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デル、防衛庁からの クライアントPC 5万6000台以上を受注
News Briefs 日本で過去最大規模の案件 デル、防衛庁からの クライアントPC 5万6,000台以上を受注 デルは2006年4月13日、防衛庁より、 5万6,000台以上のクライアントPC案件を受注した。 同案件は一般競争入札方式で行われ、 さらに公示から入札までが 約2週間というスピード案件であったが、コストパフォーマンスに優れた製品群とともに、 強い要求があったウイルス対策などをデル単独で組み込んで 納入できる体制などが高く評価された。 過去最大規模の案件獲得で 公共分野などの市場開拓に弾み こうした取り組みは確実に成果を上げ 1,200台のブレード・サーバを納めた。 ており、これまでに官公庁や各種研究機 そして、2006年4月、デルの国内の公共 関へ多数の納入実績がある。最近では 分野では過去最規模大となる防衛庁から “デルモデル”を掲げるデルにおいて 2005年11月、国際共同素粒子実験が進 の5万6,000台以上のクライアントPCの も、 「さらなる成長を加速させるために、 められている大学共同利用機関法人 高 受注に成功し、国産ベンダーの牙城であ インターネットや電話による直販ビジネ エネルギー加速器研究機構(KEK)へ、 った中央官庁への納入実績を着実に積み スに加え、ソリューション・ビジネスを Bファクトリー計算機システムとして 重ねる結果となった。 強化してきた」 (伊藤嘉明 公共営業本部 本部長)とし、ソリューション販売のビ ジネスモデル構築を図ってきた。なかで 公共営業本部の 3つのセクションが掲げるミッション も、2004年11月には公共分野へより注 力するものとして、公共営業本部に「官 公庁営業部」 、 「文教営業部」 、 「医療営業 官公庁営業部 部」の3つのセクションを新たに配置し ITによる業務の効率化を通じて、 人々が安全で暮らしやすい世の中に なるように貢献する。 た。それぞれのセクションでは右図のよ うなミッションを掲げている。 デル 公共営業本部 本部長 伊藤嘉明 文教営業部 より良い教育環境の醸造を通じ、 次世代のリーダー育成に貢献する。 医療営業部 医療機関の利便性向上を通じ、 国民の健康を支えることに貢献する。 32 DELL INSIGHT_ JULY 2006 News Briefs デル全体を巻き込んで 短期間で磐石の態勢を整える 防衛庁は2006年3月28日、海上自衛 隊の護衛艦「あさゆき」からWinny経 由で情報が流出したことをきっかけとし て、防衛庁全体での次のような情報流出 のための再発防止策をまとめた。 デル クライアント製品マーケティング本部 OptiPlex 製品マーケティングマネージャー 井村英三 デル 公共営業本部 アカウント・エグゼクティブ 大森章雅 ①職場から私有PCを一掃 ②記憶媒体に保存されるデータを自動的 に暗号化することや無許可の持ち出し プロジェクトチームを編成し、アライア フィック、さらに米国本社など、デル全 を禁止 ンス・パートナーであるユニアデックス 体を巻き込む“一大プロジェクト”にな 株式会社と応札することになった。 った。 ③インターネットの接続制限とメールの 自動検査の実施 応札にあたっては、デスクトップPCは 「このプロジェクトを遂行できたの ④シンクライアント・システムへの逐次移行 15インチ液晶モニタ付のビジネススタ も、デルの機動力の高さだ」と、この防 ⑤防衛庁に必要なセキュリティレベルに ンダード「OptiPlex」シリーズを、ノート 衛庁プロジェクトメンバーである公共営 応じたOSの導入 ブックPCはベーシックモデル「Inspiron」 業本部アカウントエグゼクティブの大森 これらを骨子とする情報セキュリティ シリーズと決定する。同時に、3月15日 章雅は自信を見せる。 向上のための抜本的な対策に沿って、① の公示日から入札日までの約2週間とい 入札当日、公共営業本部は明け方から の「職場から私有PCを一掃する」ため う短い期間で、防衛庁の発注仕様の確 緊張感に包まれており、伊藤は「ノート に、防衛庁支給となるクライアントPC 認、工場での生産量確保、保守体制、ロ ブックPCは競合各社が相当強気で来る 約5万6,000台の緊急調達を実施する。ど ジスティックスなど社内調整を行い、万 と踏んでおり、とても厳しい競争となる れほど緊急を要する案件だったかは、 全の体制を整えた。日本向け製品の生産 ことが予想できた」と振り返る。しかし、 2006年3月15日に公示し、年度末の30 拠点は中国の履門(アモイ)にあるCCC 結果的には、デスクトップPC3万2,146 日に入開札という状況を見てもわかる。 (China Customer Center)にあるた 台に加え、ノートブックPC2万4,026台 この案件に対し、デルでは直ちに社内 め、日本法人のみならず、アジア・パシ も落札した。 防衛庁から受注した デルのデスクトップPC「OptiPlex 210L」 DELL INSIGHT_ JULY 2006 33 News Briefs 在庫を持たないデルモデルにより 常に最新技術・規格が提供される った製品の中で、デスクトップPCの らに推し進めるとともに、今後もIT教 「OptiPlex」を例にとると、モデル寿命 育の普及でニーズが拡大していくと予想 が12∼15か月と長いことに加え、自由 される学校などをはじめとした文教分 今回の防衛庁のPC調達は、秘密情報 にカスタマイズができることで、常に最 野、個人病院から大病院までをターゲッ の漏えいがきっかけとなっていただけ 新スペックの製品を提供できる。また、採 トにした医療分野などに顧客層を広げて に、情報セキュリティの対策が重視され 用が決まった製品は、インテルが2003年 いく考えだ。 た仕様となっている。クライアント製品 から提唱しているフォームファクタの新規 「日本は文教や医療分野などで、職員 マーケティング本部でOptiPlex製品マ 格「BTX(Balanced Technology eXt 1人当たりのPC普及率が先進国の中で ーケティングマネージャーを務める井村 ended form factor specification)」 も低い。ただし、導入に向けたムードは 英三は、防衛庁が要求する仕様にも的確 に準拠した筐体を採用しており、従来の 高まっており、デルではコストメリット に対応できたことを落札理由の1つとし 「ATX」筐体に比べて放熱性が20∼30% だけでなく、信頼性などユーザのメリッ て、次のように述べる。 向上し、静音性も高い設計となっている。 トをアピールしていく」 (伊藤) 「防衛庁の要求に合わせて、情報漏え 加えて、2006年7月から本格運用される こうした分野への事業拡大の起爆剤に いを防ぐ仕組みやウイルス対策などを製 EU(欧州連合)の電子機器に対する環 もなるのが、今回の防衛庁への5万6,000 品出荷段階で組み込んで納入できること 境規制であるRoHS指令(電気電子機 台以上のクライアントPC納入である。 が強みになった。デルはこうした仕組み 器を対象に、鉛やカドミウム、水銀といっ をCFI(Custom Factory Integration) た有害物質の使用量を規制)にも適合し として提供している」 ており、環境汚染物質を使用していない 防衛庁から受注した OptiPlex 210Lの特長 詳しくは後述するが、CFIでは顧客 というのも特長だ。 「あらためてスペック の要求する仕様を工場であらかじめセッ を強調しなくても、顧客にメリットのあ トアップして納めるため、顧客はすぐに る仕様になっている」と井村は胸を張る。 PCを使用できる。受注後に生産、納品 というデルモデルの中で、CFIは同一仕 様の高品質カスタマイズPCを安く大量 今回のプロジェクトの成功は 各市場への取り組みを加速させる に一括導入したいという顧客の要求に応 えるビジネスモデルである。 さらに、今回、防衛庁への納入が決ま セキュリティ ●ケンジントンロックで筐体の開閉をロック 可能 ●BIOS上でシステム、 アドミニストレータ 並びにHDDバスワードの設定可能 治体、政府系研究機関などへの拡販をさ 簡単 メンテナンス ●筐体前面のLEDでヘルスチェック可能 ●LEDの組み合わせでメンテナンスが 必要な部品を確認 ●ダウンタイム削減に貢献 ●工具無しでコンポーネント交換可能 ●ダウンタイム削減に貢献 ●カラー・コーディング、取り外し可能な モジュールはブルーカラー ●RoHS&WEEE対応、 グローバルな環境規格に対応 ●グローバルモデル、世界中で 同じモデルを販売 DELL INSIGHT_ JULY 2006 ●BTX準拠のマザーボードレイアウト、 電源ユニット、筐体を採用 ●高い熱処理と静穏性 ●前面から新鮮な空気を取り入れ、 後ろに一気に流す ダイレクト ディテクト 環境対策 34 信頼性 今後、公共営業本部では中央官庁や自 News Briefs お客様の要求仕様を生産工場で設定、出荷 効率的なマシンの導入・運用を サポートするCFIサービス デルとしての究極のBTOを実現 CFIとは、PCの導入にあたって、お 客様の仕様に応じたアプリケーションや CFIを提供することで、導入時にお客 のBTO製品と同じ5段階の品質チェッ 様で行われていた煩雑なセットアップ作 クによって、品質や信頼性、安定性が保 業を簡素化し、結果、リードタイムの大 証される。 幅短縮を実現する。 さらに、お客様が要求した仕様はマス 周辺機器をインストールして直送するデ デルの工場では、一台ごとに構成の違 ルのサービス・プログラムである。エン うPCを同時に生産可能な柔軟な生産ラ 来的に追加のPCを発注する際などにも、 タープライズ・ユーザの場合、PC導入 インを採用しており、要望のあったお客 短い納期で調達できるメリットがある。 の際に数十台から数千台といった規模で 様向けに製造工程そのものをカスタマイ 一括導入するケースがある。従来は、納 ズする。同一仕様のカスタマイズ・マシ 品後にお客様のIT担当者が、PC1台ず ンを一括生産し、すぐに業務で利用でき つに必要なアプリケーションをインスト る状態で納品するというデルモデルとし ールしたり(ライセンス契約も含む) 、 ての究極のBTO(受注生産方式)が実 各種設定を行ったりするという作業が多 現する。 かったが、すべてを終えるには膨大な時 ター・イメージとして残されるため、将 当然ながら、CFIによって提供され 間と工数を要する。 るPCなどは、すべてISO9002認証を取 そうした従来の課題に対し、デルが 得しているデルの工場で生産され、通常 中国東南部の福建省・厦門(アモイ)にあるCCC(China Customer Center)内のCFI工程現場。 一般的な導入プロセスとCFIを利用した場合との比較 一般的な導入プロセス 工場 仕様に沿って カスタマイズ 出荷 出荷 お客様 お客様 CFI 工場 仕様に沿って カスタマイズ お客様が削減可能な 時間とコスト CFIのプログラム・メニュー ソフトウェア・インテグレーション ・お客様ご提供のマスター・イメージをコピーしたクローンPCの生産 ・個別パラメータの設定(IPアドレス、ワークグループ、DNS、コンピュー タ名、デフォルトゲートウェイ) ・ハードディスクのパーティショニング ハードウェア・インテグレーション ・お客様ご指定のハードウェア構成をご指定されたコンピュータ複数台にイン ストレーション ・お客様ご指定の内蔵周辺機器をインストレーション ・BIOS、ポート設定 イメージ・リカバリCD ・マスター・イメージをCDにコピーし、製品1台ずつに同梱 ・ハード障害以外のOS、アプリケーションの再インストール作業を大幅 に簡略化 ・コーポレート・リカバリ・サービスと組み合わせた場合、ハードディスク障 害時にエンジニアがお客様のもとに伺い、ハードディスク交換、イメージ復 旧を同時に行うことが可能 資産管理サービス お客様ご指定の資産管理タグ(資産管理番号、会社名、オーダー日付/番号、 設定IPアドレス等)のラベル印刷、および製品への添付 ・ラベルサイズ:S=5.1×2.5cm、M=7.6×3.8cm、L=7.6×5.0cm ・資産管理レポート(作成した資産管理タグ情報と個別パラメータ設定に、デ ルの製造番号“サービスタグ番号”を加えたExcel形式のレポート) DELL INSIGHT_ JULY 2006 35