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(57)【要約】 本発明は、とりわけポリエチレングリコールで修飾

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(57)【要約】 本発明は、とりわけポリエチレングリコールで修飾
JP 2006-515281 A 2006.5.25
(57)【 要 約 】
本発明は、とりわけポリエチレングリコールで修飾された治療にまたは予防に有効な量の
アルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物を個体に投与することを含んでなるインビボ
でのウイルス複製を調節する方法、ウイルス複製を調節すると同時に癌を処置する方法、
および患者における一酸化窒素レベルを調節する方法を対象とする。
(2)
JP 2006-515281 A 2006.5.25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体中の1以上のウイルスの複製を阻害する方法であって、ポリエチレングリコールに
結合したアルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物を、該個体中のウイルス複製を阻害
するために効果的な量で該個体に投与することを含んでなる上記方法。
【請求項2】
上記個体に、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗原生動物剤からなる群から選
択される1以上の化合物を投与する工程をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記個体に、1以上の他の抗ウイルス化合物を投与する工程をさらに含んでなる、請求
10
項1に記載の方法。
【請求項4】
上記抗ウイルス化合物が、1以上のアジドブジン(AZT)、ジダノシン(ジデオキシ
イノシン、ddI)、d4T、ザルシタビン(ジデオキシシトシン、ddC)、ネビラピ
ン、ラミブジン(エピビル、3TC)、サキナビル(Invirase)、リトナビル(
Norvir)、インジナビル(Crixivan)、デラビルジン(Rescript
or)、ペグ化(PEG)インターフェロン−α(IFN)またはリバビリンである請求
項2に記載の方法。
【請求項5】
上記組成物が筋肉内、皮内または腹腔内に投与される請求項1に記載の方法。
20
【請求項6】
ポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを含んでなる上記組成物が
、ウイルス複製を測定するためのアッセイにおいて50%より多くの細胞で少なくとも5
0%までウイルス複製を阻害するほどに約1mM未満の濃度で効果的である、請求項1に
記載の方法。
【請求項7】
ウイルス複製を阻害するために効果的なポリエチレングリコールに結合したアルギニン
デイミナーゼの量が、1週間あたり約40IU/m
2
から約160IU/m
2
の間である
、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
30
ウイルス複製を阻害するために効果的なポリエチレングリコールに結合したアルギニン
デイミナーゼの量が1週間あたり約160IU/m
2
である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ウイルス複製を阻害するために効果的なポリエチレングリコールに結合したアルギニン
デイミナーゼの量が、血漿アルギニンレベルを5μM未満に下げる、請求項1に記載の方
法。
【請求項10】
アルギニンデイミナーゼが連結基を介してポリエチレングリコールに共有結合し、該ポ
リエチレングリコール分子のぞれぞれが約10,000∼約30,000の分子量を有す
る、請求項1に記載の方法。
40
【請求項11】
上記ポリエチレングリコール分子のそれぞれが約20,000の分子量を有する請求項
1に記載の方法。
【請求項12】
連結基がスクシンイミド基、アミド基、イミド基、カルバメート基、エステル基、エポ
キシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、炭水化物、チロシン基、システイン基および
ヒスチジン基、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される請求項10に記載の
方法。
【請求項13】
連結基がスクシンイミジルスクシネートである請求項10に記載の方法。
50
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JP 2006-515281 A 2006.5.25
【請求項14】
約7∼約15個のポリエチレングリコール分子がアルギニンデイミナーゼに結合してい
る、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
約9∼約12個の上記ポリエチレングリコール分子がアルギニンデイミナーゼに結合し
ている、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
上記アルギニン デイミナーゼがマイコプラズマ(Mycoplasma)属の微生物
に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
10
上記微生物がマイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma arginini
)、マイコプラズマ ホミヌス(Mycoplasma hominus)、マイコプラ
ズマ アースリチデス(Mycoplasma arthritides)およびそれら
の組み合わせから成る群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アルギニンデイミナーゼが、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1
3、14、15、16、17、18、19、20または21のアミノ酸配列を有する、請
求項1に記載の方法。
【請求項19】
アルギニンデイミナーゼが配列番号1または4のアミノ酸配列を有する、請求項1に記
20
載の方法。 【請求項20】
ウイルスが肝炎ウイルスである請求項1に記載の方法。
【請求項21】
ウイルスがHCVである請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ウイルスがHCV1bである請求項1に記載の方法。
【請求項23】
1以上のウイルスに暴露されたと疑われる個体を処置する方法であって、該個体中のウ
イルス複製を阻害するために効果的なポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイ
30
ミナーゼを含んでなる組成物の量を該個体に投与する工程を含んでなる上記方法。
【請求項24】
1以上のウイルスについて危険がある個体のウイルス複製を阻害する方法であって、該
個体中のウイルス複製を阻害するために効果的なポリエチレングリコールに結合したアル
ギニンデイミナーゼを含んでなる組成物の量を該個体に投与することを含んでなる上記方
法。
【請求項25】
1以上のウイルスに感染したと同定された個体のウイルス複製を阻害する方法であって
、該個体中のウイルス複製を阻害するために効果的なポリエチレングリコールに結合した
アルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物の量を該個体に投与することを含んでなる上
40
記方法。
【請求項26】
個体中の腫瘍を処置すると同時に1以上のウイルスの複製を阻害する方法であって、ポ
リエチレングリコールに連結基を介して共有結合した治療にまたは予防に有効な量のアル
ギニンデイミナーゼを含んでなる組成物を、腫瘍の増殖を抑制し、そしてウイルス複製を
阻害するために効果的な該個体に投与する工程を含んでなる上記方法。
【請求項27】
個体が組成物の投与前に1以上のウイルス感染に感染したと同定された、請求項26に
記載の方法。
【請求項28】
50
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腫瘍がメラノーマ、肉腫または肝癌である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
腫瘍が肝細胞癌である請求項26に記載の方法。
【請求項30】
ウイルスが肝炎ウイルスである請求項23ないし27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
上記ウイルスがHCVである請求項23ないし27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
上記腫瘍が肝細胞癌であり、そして上記ウイルスがHCVである請求項26に記載の方
法。
10
【請求項33】
個体の一酸化窒素レベルを調節する方法であって、一酸化窒素を調節するために効果的
なポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼの量を該個体に投与するこ
とを含んでなる上記方法。
【請求項34】
アルギニンデイミナーゼが連結基を介してポリエチレングリコールに共有結合され、該
ポリエチレングリコール分子のぞれぞれが約10,000∼約30,000の分子量を有
する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
上記ポリエチレングリコール分子のそれぞれが約20,000の分子量を有する請求項
20
33に記載の方法。
【請求項36】
連結基がスクシンイミド基、アミド基、イミド基、カルバメート基、エステル基、エポ
キシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、炭水化物、チロシン基、システイン基または
ヒスチジン基の1以上である請求項34に記載の方法。
【請求項37】
約7∼約12個のポリエチレングリコール分子がアルギニンデイミナーゼに結合してい
る、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
上記アルギニン デイミナーゼがマイコプラズマ(Mycoplasma)属の微生物
30
に由来する、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
アルギニンのレベルの調節に対するウイルス複製の感受性を測定する方法であって:
(a)1以上のウイルスを含んでなるサンプルを、ポリエチレングリコールに結合したア
ルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物と接触させ;そして
(b)ポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物の
存在下および不存在下でウイルス複製のレベルを比較する、
ことを含んでなり、アルギニンデイミナーゼと接触したサンプル中のウイルス複製の減少
がアルギニンデイミナーゼに対するウイルス感受性の指標となる上記方法。
【請求項40】
40
一酸化窒素のレベルの調節に対するウイルス複製の感受性を測定する方法であって:
(a)1以上のウイルスを含んでなるサンプルを、ポリエチレングリコールに結合したア
ルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物と接触させ;そして
(b)ポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物の
存在下および不存在下でウイルス複製のレベルを比較する、
ことを含んでなり、アルギニンデイミナーゼと接触したサンプル中のウイルス複製の減少
が一酸化窒素に対するウイルス感受性の指標となる上記方法。
【請求項41】
上記化合物が、ポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを含んでな
る上記組成物の投与と同時に該個体に投与される、請求項2または3のいずれか1項に記
50
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載の方法。
【請求項42】
治療にまたは予防に有効な量のポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナ
ーゼを含んでなる組成物を個体に投与することを含んでなる、ウイルス複製の阻害が必要
な個体におけるウイルス複製を選択的に阻害する方法。
【請求項43】
ウイルスがHCVである請求項42に記載の方法。
【請求項44】
治療に有効な量のポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを含んで
なる組成物を個体に投与することを含んでなる、個体の肝機能を改善する方法。
10
【請求項45】
肝機能がChild−PughスケールまたはMayo末期肝疾患スコアを使用して評
価される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
肝機能が少なくとも1つの肝機能のマーカーを測定することにより評価され、マーカー
がビリルビン、アルブミン、プロトロンビン時間、腹水の存在または脳障害の等級である
、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
ポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物の投与
前の上記個体の肝機能がChild−PughレべルAである、請求項44に記載の方法
20
。
【請求項48】
ポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物の投与
前の上記個体の肝機能がChild−PughレべルBである、請求項44に記載の方法
。
【請求項49】
ポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物の投与
前の上記個体の肝機能がChild−PughレべルCである、請求項44に記載の方法
。
【請求項50】
30
1以上のウイルス感染を有すると同定された個体がアルギニン除去療法に感受性である
と同定する方法であって:
a)個体から1以上のウイルスを含んでなるサンプルを得;そして
b)ポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物の不
存在下でのサンプル中のウイルス複製に対して、ウイルス複製に適する条件下でポリエチ
レングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物と接触したサンプ
ル中のウイルス複製を比較することを含んでなり、該サンプル中の少なくとも40%のウ
イルス複製の阻害は個体がアルギニン除去療法の候補であることの指標となり、そして4
0%未満のウイルス複製の阻害は個体がアルギニン除去療法の候補ではないことの指標と
なる上記方法。
40
【請求項51】
個体中の1以上のウイルスを処置する方法であって:
a)個体が請求項50に記載のアルギニン除去療法の候補であるかどうかを決定し;
b)個体がアルギニン除去療法の候補であるならば、個体をアルギニン除去療法で処置し
;そして
c)個体がアルギニン除去療法の候補でないならば、個体を通常の抗ウイルス処置で処置
する、ことを含んでなる上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
50
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本発明はウイルス複製を阻害する方法、癌を処置する方法、転移を処置および/または
抑制する方法、およびウイルス複製を阻害すると同時に癌を処置または転移を処置および
/または抑制する方法等を対象とする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ウイルス感染は、肝炎およびHIVを含む数種のウイルスに直接起因して毎年、数百万
人の死亡を導く主な死亡原因である。
【0003】
肝炎はヒト肝臓の疾患である。これは肝臓の炎症により現れ、そして通常はウイルス感
10
染により引き起こされる。A、B、C、D、EおよびG型肝炎のような数種のウイルスは
ウイルス性肝炎を引き起こすことが知られている。それらの中でもHBVおよびHCVが
最も深刻である。
【0004】
C型肝炎ウイルス(HCV)は汎発流行病であり、世界中で1億7千万人以上が感染し
ている。ウイルス性疾患の中で、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)は5倍以上に
広がっており、そして今年、慢性HCV感染から生じる肝硬変および肝細胞癌(HCC)
から約10,000人のアメリカ人が死亡するであろう(非特許文献1。C型肝炎ウイル
スに関連する肝細胞癌の発病率および補因子:台湾における12,008名の男性の予測
実験;非特許文献2。慢性C型肝炎ウイルス感染患者に対する取り組み;非特許文献3。
20
C型肝炎の経過と結果;非特許文献4。C型肝炎ウイルス感染;非特許文献5。C型肝炎
の病因、自然経過、処置および防止)。さらに血液ドナーのスクリーニングプログラムの
設定にもかかわらず、HCVの有病率は米国、西欧およびアジアで増え続けている。慢性
疾患への進行はほとんどのHCV感染患者で起こる。さらに毎年、HCVはすべての慢性
的に感染した個体の1∼4%にHCCを引き起こす。さらにHCCは肝硬変でなくても起
こり得る(非特許文献6。腫瘍除去後のインターフェロン治療はC型肝炎ウイルスに関連
する肝細胞癌を持つ患者の予後を改善する;非特許文献7。C型肝炎ウイルスに関連する
肝細胞癌における新規腫瘍マーカーの同定;非特許文献8。日本におけるC型肝炎ウイル
ス感染と関連する肝細胞癌:予測可能な将来の他国への投影;非特許文献9。C型肝炎ウ
イルスが関連する肝細胞癌の自然経過および病因)。現在30∼50歳の人のHCV感染
30
の有病率を仮定すると、HCCの発生数および死亡率は米国では次の10∼20年で2倍
になると推定される(非特許文献10。米国における肝細胞癌およびC型肝炎)。世界中
で5億人がHCVに感染していると予想される。現在、効果的な免疫感作法は無く、そし
てC型肝炎は衛生および環境条件における改善、ならびに伝染経路の中断のような他の予
防的方法により防除できるだけである。
【0005】
今日、外科的切除以外にHCCの効果的治療は無い(非特許文献11。成人の肝細胞癌
(HCC)の診断および処置に関するガイドライン;非特許文献12。米国における肝細
胞癌およびC型肝炎;非特許文献13。肝細胞癌の世界的流行疫学;非特許文献14。肝
細胞癌:全身的処置;非特許文献15。肝硬変を持つ110名の患者を対象とした肝細胞
40
癌の高周波切除。;非特許文献16。肝臓および胆管)。しかしわずか5%未満のHCC
患者が外科的処置の対象であり、そして∼1%が実際に切除を受けているだけである。こ
れらの切除された患者でさえも、特にHCVに感染している者がHCCを再発することは
多い。
【0006】
アミノ酸除去療法(deprivation therapy)は幾つかの癌の処置に
は効果的な手段である。正常な細胞はアルギニンを必要としないが、多くの癌細胞株はこ
のアミノ酸について栄養素要求的である。すなわち限定するわけではないがHCCを含む
癌は、アルギニン除去療法により選択的に殺すことができる(非特許文献17。ペグ化(
Pegylated)アルギニンデイミナーゼ(ADI−SS PEG2
0 , 0 0 0
mw
50
(7)
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)は、インビトロおよびインビボでヒトのメラノーマおよび肝細胞癌を抑制する;非特許
文献18。マイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma arginini)に
由来する抗腫瘍酵素であるアルギニンデイミナーゼのポリエチレングリコールによる化学
的修飾;非特許文献19。マイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma arg
inini)から精製したアルギニンデイミナーゼのインビボ抗腫瘍活性;非特許文献2
0。インビトロにおけるマイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma argi
nini)のデイミナーゼの増殖阻害活性に対するヒトメラノーマ細胞株の高い感受性。
インビトロにおけるマイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma argini
ni)のデイミナーゼの増殖阻害活性に対するヒトメラノーマ細胞株の高い感受性)。こ
の療法は、アルギニンがシトルリンから合成できるのでヒトではアルギニンが必須アミノ
10
酸ではないために十分に耐容される(非特許文献21。ヒトのアミノ酸要求;非特許文献
22。小児のアルギニン要求。および総説については非特許文献23を参照にされたい。
アルギニン要求における種の変動。Willard J.Visekの栄誉をたたえるシ
ンポジウムの講演収録−アンモニアから癌および遺伝子発現までにおいて(Procee
dings from a Symposium Honoring Willard J.Visek−from Ammonia to Cancer and Gene Expression)。ADIは細胞外アルギニンをシトルリンに転換し、これは正常
な細胞に取り込まれ、そして細胞内でアルギニンに転換され得るが、癌細胞、特にHCC
細胞はそれらが律速酵素であるアルギニノコハク酸シンターゼを欠くので転換できない(
非特許文献17。ペグ化アルギニンデイミナーゼ(ADI−SS PEG2
0 , 0 0 0
m
20
w)はインビトロおよびインビボでヒトのメラノーマおよび肝細胞癌を抑制する)。この
アルギニノコハク酸シンターゼを発現できないことは、最近、他者によって確認された(
非特許文献24。細胞培養中の組換えアルギニンデイミナーゼの抗増殖活性に対する耐性
は、内因性酵素アルギニノコハク酸シンターゼと相関する)。我々はこのアルギニノコハ
ク酸シンターゼ欠失の実験を他の腫瘍に拡大した(非特許文献25。ヒトの癌におけるア
ルギニノコハク酸シンターゼ欠失の方法発病率および分布:アルギニン除去に対して感受
性の癌を同定する方法)。ADI−SS PEG2
0 , 0 0 0
mwのヒト臨床試験からの
予備結果は、この治療が抗癌療法として安全かつ効果的であることを示す。
【0007】
B型肝炎ウイルス感染は、広スペクトルの肝臓傷害を導く可能性がある。さらに慢性の
30
B型肝炎感染は、死亡の主な原因である後の肝細胞癌の発症に関連した。現在のHBV感
染の防止は、安全かつ効果的なB型肝炎のワクチン接種である。しかしワクチン接種はす
でに感染した人(すなわち保菌者および患者)の処置には効果的ではない。
【0008】
後天的免疫不全症候群(AIDS)は、症例が過去数年間に劇的に増加したと報告され
た致命的な疾患である。AIDSウイルスは1983年に最初に同定された。幾つかの名
前および頭字語が知られて来た。これは3番目に知られたT−向リンパ性ウイルス(HT
LV−III)であり、そして免疫系の細胞内で複製する能力を持ち、顕著な細胞破壊を
引き起こす。AIDSウイルスはレトロウイルスであり、このウイルスは複製中に逆転写
酵素を使用する。この特定のレトロウイルスはリンパ節症関連ウイルス(LAV)、AI
40
DS関連ウイルス(ARV)、そして最も最近ではヒト免疫不全症ウイルス(LIV)と
して知られている。HIVの2つの異なるファミリー、すなわちHIV−1およびHIV
−2が今日までに記載された。本明細書では頭字語“HIV”は、総称的にヒト免疫不全
症ウイルスを指すために使用する。
【0009】
単純ヘルペスウイルス(HSV)1型および2型は、ヒトに通常感染している持続(p
ersistent)ウイルスである;それらはヒトの疾患に種々の問題を引き起こす。
HSV1型は、口腔の“熱性疱疹”(再発性口唇疱疹)を引き起こし、そしてHSV2型
は世界の多くの場所で主な性病となった陰部疱疹を引き起こす。完全に満足のいく陰部疱
疹の処置は現在存在しない。さらに稀ではあるが、HSVは脳炎も引き起こし、これは生
50
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命を脅かす脳の感染となる(非特許文献26;非特許文献27)。最も重篤なHSVが引
き起こす疾患は樹枝状角膜炎、これは角膜に分枝損傷を生じる目の感染であり、後に永久
的瘢痕化、そして視野の喪失を導く可能性がある。HSVの目の感染は失明の主な原因で
ある。HSVは治療が不可能ではないが難しいウイルスである。
抗ウイルス療法
現行の抗ウイルス療法には幾つかの問題がある。第1に相対的に効果的な抗ウイルス剤
がほとんどない。多くの既存の抗ウイルス剤は逆または望ましくない副作用を引き起こす
。最も効果的な治療(ワクチン接種のような)は、ただ1種類のウイルス株について高度
に特異的である。しばしばウイルスは突然変異を受けるので、薬剤またはワクチンのいず
れにも耐性となる。
10
【0010】
ウイルス感染に関する多くの現行の処置は、インターフェロン−α(IFN−α)を中
心に展開している。IFN−αは細胞受容体に結合し、そしてタンパク質合成に関与する
酵素を含む細胞内応答を開始する。これは最終的に抗ウイルス活性/応答を導く。しかし
種々の臨床試験からのデータは、IFN−αで処置した患者の約40%が最初は治療に応
答するが、これらの70%が処置の終了後には逆戻りすること示した(非特許文献28)
。全体として、長期治療効果および応答は、患者の10∼30%で観察されただけである
(非特許文献29)。加えてインフルエンザ、疲労、筋肉および頭痛、さらには鬱、体重
減少および下痢のような多くの副作用が観察された(非特許文献28)。
HCV療法
20
HCV感染の現在の標準的療法は、ペグ化(PEG)インターフェロン−α(IFN)
およびリバビリンである。この療法は持続的な抗ウイルス応答を生じることができるが、
有意な数の患者がこの療法に応答せず、またはこの処置から排除される(非特許文献30
。C型肝炎の患者を対象とした抗ウイルス処置の驚くべき小効果;非特許文献31。C型
肝炎の治療の副作用およびそれらの管理;非特許文献32。慢性C型肝炎ウイルス感染に
はペグインターフェロンアルファ−2aにリバビリンを加える;非特許文献2。慢性C型
肝炎ウイルス感染の患者に対する取り組み;非特許文献33。C型肝炎ウイルス感染;非
特許文献5。C型肝炎の病因、自然経過、処置および防止;非特許文献34。慢性C型肝
炎の初期処置について、リバビリンを加えたインターフェロンアルファ−2bと比較した
リバビリンを加えたペグインターフェロンアルファ−2b:無作為化試験)。例えばリバ
30
ビリンを加えたPEG−IFN α−2a(Pegasys(商標))、およびリバビリ
ンを加えたPEG−IFN α−2b(Pegintron(商標))の最近の実験は、
試験した患者の∼56%が持続的なウイルス応答を有することを示す(非特許文献35。
これまでの治療に無応答である患者を対象とした慢性C型肝炎の処置;非特許文献36。
新規および修飾インターフェロンアルファ:前臨床および臨床データ;非特許文献37。
慢性C型肝炎の処置:系統的総説;非特許文献38。C型肝炎の最適な治療;非特許文献
31。C型肝炎の治療の副作用およびそれらの管理;非特許文献39。C型肝炎の治療の
紹介;非特許文献40。2種類のヒト細胞株のポリオウイルス感染に及ぼす一酸化窒素の
効果;非特許文献41。ポリエチレングリコール−インターフェロン:C型肝炎ウイルス
治療における現状;非特許文献34。慢性C型肝炎の初期処置について、リバビリンを加
40
えたインターフェロンアルファ−2bと比較したリバビリンを加えたペグインターフェロ
ンアルファ−2b:無作為化試験)。しかし、米国および西欧で最も多い遺伝子型である
HCV遺伝子型1aおよび1bについて、応答はわずか∼46%であった。HCV遺伝子
型2および3はより良い応答を有した(76%∼82%)。さらにこの∼50%の応答率
は、臨床試験で実験した患者に関するもののみである;これは全患者群を表してはおらず
、したがって偏っている(非特許文献35。これまでの治療に無応答である患者を対象と
した慢性C型肝炎の処置;非特許文献36。新規および修飾インターフェロンアルファ:
前臨床および臨床データ;非特許文献37。慢性C型肝炎の処置:系統的総説;非特許文
献38。C型肝炎の最適な治療;非特許文献31。C型肝炎の治療の副作用およびそれら
の管理;非特許文献32。慢性C型肝炎ウイルスにはペグインターフェロンアルファ−2
50
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aにリバビリンを加える;非特許文献39。C型肝炎の治療の紹介;非特許文献40。2
種類のヒト細胞株のポリオウイルス感染に及ぼす一酸化窒素の効果;Wedemeyer
2002、非特許文献34。慢性C型肝炎の初期処置について、リバビリンを加えたイ
ンターフェロンアルファ−2bと比較したリバビリンを加えたペグインターフェロンアル
ファ−2b:無作為化試験)。例えば米国における大規模実験では、選択基準により潜在
的患者1337名のうち404名が排除された(すなわち∼30%)(非特許文献42。
慢性C型肝炎の初期の処置としてインターフェロンアルファ−2b単独またはリバビリン
との併用。肝炎国際治療グループ)。他の大規模な実験はしばしば失敗し、それらのスク
リーニング基準または登録した患者の割合を記載できない。大きな教育病院により米国で
行われた最近の実験は、全HCV患者の72%が医学的または精神的禁忌、進行中の薬物
10
またはアルコール乱用、評価手順の固守の失敗、正常肝臓酵素、または処置無しを好む患
者といったような理由からIFNで処置されなかった(非特許文献30。C型肝炎の患者
を対象とした抗ウイルス処置の驚くべき小効果)。同様の結果が他でも確認された(非特
許文献43。C型肝炎患者における抗ウイルス療法の使用)。このようにHCVに感染し
た群の有意な部分が、様々な医学的または精神的禁忌から現在「最高標準の手当」である
処置を受けていない。米国および西欧における「最高」の患者を使用した実験でも、∼5
0%が持続的ウイルス応答に達するだけである。
【0011】
IFN−αもPEGおよび非PEGを配合した形の両方でおよそ同じ頻度で起こる有意
な副作用を有する(非特許文献36。新規および修飾インターフェロンアルファ:前臨床
20
および臨床データ;非特許文献31。C型肝炎の治療の副作用およびそれらの管理;We
demeyer 2002、非特許文献32。慢性C型肝炎ウイルス感染の患者に対する
取り組み;非特許文献4。C型肝炎ウイルス感染;非特許文献5。C型肝炎の病因、自然
経過、処置および防止)。これらの副作用には実験した82%までの患者で熱を伴うイン
フルエンザ様の病気、悪寒、筋痛および不定愁訴を含み、∼20%の患者には鬱、短気お
よび鬱と不安のような神経精神的合併症を伴う。顆粒球減少症、貧血または血小板減少症
を伴う骨髄抑制が、脱毛と同じように∼5%で起こる。これらの副作用は大変重篤である
ことが多いので、さらなるIFNアルファでの処置は中断され、すなわちIFN治療をさ
らに限定する。したがってHCVに関する新たな処置が必要である。
HIV療法
30
幾つかの薬剤は、アジドブジン(azidovudine:AZT)、ジダノシン(d
idanosine)(ジデオキシイノシン、ddI)、d4T、ザルシタビン(zal
citabine)(ジデオキシシトシン、ddC)、ネビラピン(nevirapin
e)、ラミブジン(lamivudine)(エピビル(epivir)、3TC)、サ
キナビル(saquinavir)(Invirase)、リトナビル(ritonav
ir)(Norvir)、インジナビル(indinavir)(Crixivan)、
デラビルジン(delavirdine)(Rescriptor)を初めとしてHIV
の処置に認可された。非特許文献44および非特許文献45を参照にされたい。HCVに
関する別の処置は、リバビリンであった。リバビリンは広範囲の標的ウイルス活性を持つ
抗ウイルス剤である。リバビリンは修飾塩基を有するグアノシン類似体であり(1−β−
40
D−リボ−フラノシル− −1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド)、そして
グアノシン三リン酸塩の低下をもたらす細胞酵素であるイノシンモノリン酸デヒドロゲナ
ーゼを阻害することが提案された。非特許文献28。しかしリバビリンは副作用を引き起
こす。非特許文献46。特にリバビリンは患者の赤血球に蓄積し、そして溶血性貧血を引
き起こす可能性がある。
【0012】
AIDSワクチン(Salk’sワクチン)が試験され、そしてCD8に由来するケモ
カインである数種のタンパク質がHIVサプレッサーとして作用することが見いだされた
。上記の合成ヌクレオチド類似体、タンパク質および抗体に加えて、数種の植物および植
物由来物質が、インビトロの抗HIV活性を有することが分かった。しかしHIVウイル
50
(10)
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スは容易に破壊されず、また宿主細胞のウイルス複製を防ぐ良いメカニズムもない。
アルギニン除去のインビトロ使用
過去30年間にわたり、多くの実験で細胞外アルギニンはインビトロでウイルスの複製
に必要であることが証明された。過去にはこれはアルギニンを欠く組織培養基を作成し、
そしてアルギニンを含まない培地を達成するために補充物として使用する血清を透析する
ことにより成された。アルギニンの除去を達成するためにこの方法を使用すると、ウイル
スの多数の多様なファミリーの複製に阻害を生じ、それらには;アデノウイルス(非特許
文献47。アデノウイルス複製のアルギニン依存性およびウシ肺疫菌様微生物によるプラ
ーク形成の阻害)、ヘルペスウイルス(非特許文献48。ヒト細胞における単純ヘルペス
ウイルスのアミノ酸要求)、SV40(非特許文献49。腫瘍およびSV40ウイルスの
10
ウイルス抗原の合成に及ぼすアルギニンおよび他のアミノ酸の離脱効果)、サイトメガロ
ウイルス(非特許文献50。サイトメガロウイルス感染におけるアルギニン依存的反応)
、RSウイルス(非特許文献51。RSウイルス複製の後期同時性)、ポリオーマウイル
ス(非特許文献52。ポリオーマに感染したマウス胚細胞における非機能的アルギニン生
合成経路)、ニューカッスル病ウイルス(非特許文献53;ニューカッスル病ウイルスの
集成に関する実験:ウイルス複製におけるアルギニン依存的段階)、麻疹ウイルス(非特
許文献54;HeLa細胞における麻疹ウイルスのアミノ酸要求)、インフルエンザ(非
特許文献55;インフルエンザウイルス伝播の改善された方法。I.細胞培養におけるウ
イルス再生の強化)、および恐らく、より関連性のあるワクシニアウイルス(非特許文献
56、Earle’s L細胞におけるワクシニアウイルスの伝播のためのアミノ酸要求
20
。非特許文献57、ワクシニアウイルスの増殖に及ぼすマイコプラズマの効果:アルギニ
ンの要求。非特許文献58、KB細胞におけるワクシニアウイルスの後期mRNA転写に
関するアルギニン要求。非特許文献59、ワクシニアウイルスの複製に及ぼすアルギニン
除去の効果)、家兎痘ウイルス(非特許文献60。家兎痘ウイルスに感染したマウス肉腫
180細胞におけるシトルリンの強化された利用)が含まれる。ワクシニアウイルスは天
然痘(バリオーラウイルス)を含むオルトポックスウイルス属の原型的なメンバーである
。ウイルス複製の阻害は、たとえタンパク質合成および感染細胞の複製が影響を受けなく
てもインビトロで観察される。
【0013】
アルギニンを分解する酵素は知られており、そしてアルギニンデイミナーゼ(ADI)
30
を含む。しかしそのような異種タンパク質を治療的に使用することに伴う問題は、その抗
原性である。マイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma arginini)
に由来するアルギニンデイミナーゼの、シアヌル酸クロライド連結基を介するポリエチレ
ングリコールを用いた化学的修飾は、非特許文献18に記載された(マイコプラズマ ア
ルギニニ(Mycoplasma arginini)に由来する抗腫瘍酵素アルギニン
デイミナーゼのポリエチレングリコールによる化学修飾)。しかし修飾されたタンパク質
は、シアヌル酸クロライド連結基に由来するシアン化物の放出により、代謝された時に毒
性であった。
【0014】
従来技術に付随する問題が無いウイルス複製の阻害する方法が必要である。本発明はこ
40
れらの、ならびに他の重要な目的を対象とする。
【参考文献】
【0015】
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【非特許文献60】Cooke BC,Williamson JD,J Gen Vi
rol 21:339−348,1973
【発明の開示】
40
【0016】
発明の要約
本発明は、ポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを患者に投与す
ることを含んでなるウイルス複製の調節法を対象とする。また本発明はウイルス複製を調
節すると同時に、例えば肉腫、肝癌およびメラノーマを含む癌を処置する方法も対象とす
る。また本発明はウイルス感染についてアルギニン除去療法に対する個体の感受性を測定
する方法、肝機能を改善する方法等を対象とする。本発明のこれらのおよび他の観点は、
本発明の以下の詳細な説明により明らかとなる。
発明の詳細な説明
概観
50
(14)
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本発明はポリエチレングリコールで修飾されたADIがウイルス複製を阻害するという
予期せぬ知見に基づく。ADIは連結基を用いて、または無しでポリエチレングリコール
に共有結合されるが、幾つかの態様では連結基を利用する。例えばPEG−20,000
は有用な酵素活性レベル、抗原性、循環半減期、効力および比較的容易な製造を現す。
【0017】
細胞外アルギニンの低下がウイルス複製を阻害するメカニズムは知られていない。ヒト
およびマウスのような草食動物(アルギニンに対する絶対要求性を有する肉食動物とは異
なる)(総説については、Rodgers QR.1994.アルギニン要求における種
の変動。Willard J.Visekの栄誉をたたえるシンポジウムの講演収録−ア
ンモニアから癌および遺伝子発現までにおいて(Proceedings from a
10
Symposium Honoring Willard J.Visek−from
Ammonia to Cancer and Gene Expression)。
特別出版物86−1994年4月(Special Publication 86−A
pril 1994)、61801 イリノイ州 アルバナ、マンフォードホール 21
1、イリノイ大学農業実験ステーション、第9∼21頁を参照にされたい)、およびほと
んどの細胞は、アルギニンが2つの細胞内酵素(アルギニノコハク酸シンターゼおよびア
ルギニノコハク酸リアーゼ)を使用してシトルリンから合成され得るので、成長にアルギ
ニンを必要としない。すなわち細胞外アルギニンの排除は、シトルリンが細胞に利用され
得る限りアルギニンの細胞内レベルに影響を及ぼさない。ウイルス複製は細胞内プロセス
であるので、細胞外アルギニンの減少がウイルス複製を阻害できるとは予想されていない
20
。
【0018】
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、細胞外アルギニンの低下がウイルス複
製を阻害できる1つの可能なメカニズムは、一酸化窒素の合成を阻害することによる。一
酸化窒素は細胞外アルギニンから合成され、すなわちこのアルギニンプールの排除は、こ
の重要な代謝産物の生産を効果的に阻害する。一酸化窒素は幾つかのウイルス感染に対し
て保護的であると考えられているが(Akaike T,Maeda H.2000.一
酸化窒素およびウイルス感染。Immunology 101:300−308)、一酸
化窒素合成の阻害は、リンパ球脈絡髄膜炎ウイルス(Campbell IL Sami
mi A,Chiang CS.1994.誘導性一酸化窒素合成の発現。リンパ球脈絡
30
髄膜炎のマウスを対象とした神経病理学と臨床的特徴との相関。J.Immunol 1
53:3622−3629)およびHIV(Blond D,Raoul H,LeGr
and R,Dormont D.2000.一酸化窒素の合成は初代ヒトマクロファー
ジにおけるヒト免疫不全症ウイルスの複製を強化する。J.Virol 74:8904
−8912)の複製を遮断することが示された。また一酸化窒素合成の阻害は、インフル
エンザ(Akaike T,Noguchi Y,Ijiri S,Setoguchi
K、Suga M,Zheng YM,Dietzschold B、Maeda H
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ジカルの両方の関与。Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:2448
−2453;Karupiah G,Chen J−H,Mahalingam S,N
40
athan CF,MacMicking JD.1998.一酸化窒素シンターゼ2−
欠失マウスを対象としたインフルエンザAウイルスの急速なインターフェロンγ−依存性
クリアランスおよび肺炎の合併からの保護。J Exp Med 188:1541−1
546)、ポリオウイルス(Lopez−Guerrero JA,Carrasco L.1998.2種類のヒト細胞株のポリオウイルス感染に及ぼす一酸化窒素の効果。J
Virol 72:2538−2540)、狂犬病ウイルス(Ubol S,Sukw
attanapan C,Maneerat Y.2001.誘導性の一酸化窒素合成は
、狂犬病ウイルスに感染したマウスの死亡を遅らせる。J Med Microbiol
50:238−42)およびフラビウイルス(Kreil TR,Eibl MM.1
996.一酸化窒素およびウイルス感染;インビトロでのフラビウイルスに対する抗ウイ
50
(15)
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ルス活性無し、およびインビボでの実験的感染における病原への寄与に関する証拠。Vi
rology 219:304−306)の致命的な影響から動物を保護することも示さ
れた。しかしこれらのこれまでに使用した一酸化窒素合成インヒビターは、動物およびヒ
トの両方でそれらの毒性(肝不全、発作および死亡)により制限されてきた。すなわち培
養基からアルギニンを排除することから生じるウイルス複製の阻害(一酸化窒素生産を明
らかに排除するプロセス)が、ウイルス複製の阻害が起こる唯一のメカニズムであるとい
ことは明らかではない。またこの一酸化窒素およびウイルス感染の刺激/阻害の二重性は
、他の病理学的出来事でも一酸化窒素を用いて観察される(Colasanti M,S
uzuki H.2000.NOの二重特性。Trends Pharm Sci 21
:249−252)。すなわち一酸化窒素の阻害が、すべての続く感染性の出来事を排除
10
すると期待すべきではない(Bogdan C.2001.一酸化窒素および免疫系。N
ature Immunology 2:907−916)。しかし過去に使用された一
酸化窒素合成インヒビターとは異なり、ADI−PEG20は一酸化窒素の生産の阻害に
安全で、しかも効果的であると思われ、そしてウイルス感染に対する保護におけるこのバ
イオメディエーターの役割の解明を助けるために使用することができる。
定義
本開示を通じて、以下の略号を使用することができる:PEG、ポリエチレングリコー
ル;ADI、アルギニンデイミナーゼ;SS、スクシンイミジルスクシネート;SSA、
スクシンイミジルスクシンアミド;SPA,スクシンイミジルプロピオネート;およびN
HS、N−ヒドロキシ−スクシンイミド。
20
【0019】
ポリエチレングリコールで共有的に修飾された(連結基を用いて、または用いずに)A
DIは、今後“ADI−PEG”または“PEG−ADI”と呼ぶ。
【0020】
「ポリエチレングリコール」または“PEG”は、分枝または直鎖の一般式H(OCH
2CH2)nOH(式中、nは少なくとも4である)で表される、エチレンオキシドと水
の縮合ポリマーの混合物を称する。「ポリエチレングリコール」または“PEG”はそれ
らのおよその重量平均分子量を示す数の接尾辞と合わせて使用する。例えばPEG−5,
000(PEG5)は、約5,000の平均分子量を有するポリエチレングリコール分子
を指し;PEG12,000(PEG12)は約12,000の平均分子量を有するポリ
30
エチレングリコール分子を指し;そしてPEG20,000(PEG20)は約20,0
00の平均分子量を有するポリエチレングリコール分子を指す。
【0021】
本明細書で使用する用語「個体」は動物、幾つかの態様では哺乳動物、そして幾つか態
様ではヒトを指す。用語「個体」にはそのような動物から採取した生物学的サンプルを含
む。
【0022】
本明細書で使用するように、用語「ウイルス性疾患」とはウイルスにより引き起こされ
る疾患および障害を指す。ウイルス性疾患には限定するわけではないが動物またはヒトを
含む哺乳動物に感染するウイルスを含む。ヒトのウイルスには以下のウイルスファミリー
40
に由来するウイルスを含む:ポックス、ヘルペス、アデノ、パポバ、パルボ、ヘパドナ、
ピコルナ、カリシ、アストロ、トガ、フラビ、コロナ、パラミクソ、オルトミクソ、ブン
ヤ、アレナ、ラブド、フィロ、ボルナ、レオ、およびレトロ。
【0023】
本発明により処置することができるウイルスおよび関連疾患の例には、限定するわけで
はないが痘瘡ウイルス(天然痘);単純ヘルペスウイルスのようなヘルペスウイルス(単
純疱疹)、水痘−帯状疱疹ウイルス(水痘、帯状疱疹)、エプスタイン−バールウイルス
(単核細胞症、バーキットリンパ腫)、KSHV(カボジ肉腫)およびサイトメガロウイ
ルス(失明);アデノウイルス;肝炎ウイルス(A/B/C);ポリオウイルス、ライノ
シルセス(rhinociruses)、風疹、黄熱、西ナイルウイルス、デング、ウマ
50
(16)
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脳炎、RSウイルス(RSV)、パラインフルエンザウイルス、およびタバコモザイクウ
イルスを含む。
【0024】
幾つかの態様では、ウイルスは中でもHIV、インフルエンザ、ポリオウイルス、単純
ヘルペス、B型肝炎、C型肝炎および肝炎の他のウイルス株、カポジ肉腫、ライノウイル
ス、西ナイルウイルス、痘瘡およびワクシニアの1以上である。
【0025】
本明細書で使用する「調節(modulation)」とは、遺伝子の発現の上昇(刺
激)または減少(阻害)のいずれかを意味する。本発明の幾つかの態様では、阻害は遺伝
子発現の調節の形態である。
10
【0026】
本明細書で使用する用語「阻害する」とは、ベースラインと比較して質または量の低下
または減少を指す。例えば本発明の内容において、ウイルス複製の阻害とは、ベースライ
ンと比較してウイルス複製における減少を指す。幾つかの態様では、約30%、約40%
、約50%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%
、約99%、約100%の低下が存在する。当業者はウイルス複製が阻害されたか否か、
そしてどの程度まで阻害されたかを容易に測定することができる。
【0027】
本明細書で使用する用語「約」は値の+/−20%、+/−15%、+/−10%、+
/−5%を指す。
20
【0028】
本明細書で使用する用語「生物適合性」とは、一般に生物機能に対して有害ではなく、
しかもアレルギーおよび疾患状態を含め、許容できない程度の毒性をもたらさない物質ま
たは化合物を指す。
【0029】
「循環半減期」とは、修飾されたADIが患者に注入された後、ADIの量が元のピー
ク血清レベルの半分のレベルに排除されるまでの期間を指す。循環半減期は、ヒトまたは
マウスを含む任意の関連する種で測定することができる。
【0030】
本明細書で使用する用語「共有結合した」、「結合した」および「カップリングした」
30
は互換的に使用され、そして直接的またはリンカーを介してADIをPEG分子に連結す
る共有結合を指す。
【0031】
本明細書で使用する用語「治療に有効な量」とは、所望する治療的応答を生じるために
効果的な本発明の化合物の量を意味する。具体的な治療に有効な量は、明らかに処置する
特定の状態、患者の健康状態、処置する哺乳動物または動物の種類、処置期間、同時療法
の性質(もしあるならば)、および使用する具体的な製剤および化合物またはその誘導体
の構造のような因子により変動する。肝機能を改善する内容では、用語「治療に有効な量
」は、肝機能を改善するポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼの量
を指す。幾つかの態様では、治療に有効な量は個体のChild−Pughスケールまた
40
はMayo末期肝疾患(Mayo End−stage Liver Disease:
MELD)スコアを改善するために効果的である。幾つかの態様では、治療に有効な量は
限定するわけではないがビリルビンレベル、クレアチレベルおよび国際的な標準比を含む
肝機能マーカーの比較に基づき、肝機能の改善するために効果的である。
【0032】
本明細書で使用する用語「ウイルス複製を阻害するために効果的な量」とは、ウイルス
複製レベルの低下、すなわち個体中に検出可能なウイルス量の低下(すなわちウイルス力
価またはウイルス負荷量(viral load)の低下)を生じる、個体に投与される
ポリエチレングリコールに連結基を介して共有結合したADIを含んでなる化合物の量を
指す。ウイルス複製を阻害するために効果的な量を測定するために、個体のウイルス負荷
50
(17)
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量を本発明の化合物で処置する前に測定し、次いで処置後に測定することができる。ウイ
ルス複製のレベルは例えば:化合物の投与前および後にサンプル中の実際のウイルス粒子
の数を定量すること、および化合物の投与前および後にサンプル中に存在する1以上のウ
イルス抗原のレベルを定量することを含め、多数の日常的な方法により定量することがで
きる。幾つかの態様では、「ウイルス複製を阻害するために効果な量」は約5μM未満の
血漿アルギニン濃度に下げるために必要な量である。血漿アルギニン濃度を測定する方法
は、当該技術分野では周知である。
【0033】
またウイルス複製に関するアッセイもウイルスインヒビターの効力を測定する能力を持
つ方法を提供し、そして当該技術分野では周知である。そのようなアッセイはインビボま
10
たはインビトロで行うことができる。HCVはチンパンジーで生じることが知られており
、ここでの感染はヒトで見られる感染に良く似ている。霊長類に近いツパイアス(tup
aias)および免疫不全症マウスでの実験的感染の報告もあった(Xie,Z.C.e
t al.,Virology,244,513(1998);Schinazi,R.
F.et al.,Antiviral Chem,Chemother.10,99(
1999))。
【0034】
ウイルス複製の阻害は、ウイルス感染またはウイルス感染の症状の重篤度の低下に貢献
する。
【0035】
20
本明細書で使用する用語「予防に有効な量」とは、所望する予防的応答を生じるために
効果的な本発明の化合物の量を意味する。具体的な予防に有効な量は、明らかに特定のウ
イルス、患者の健康状態、処置する哺乳動物または動物の種類、処置期間、同時療法の性
質(もしあるならば)、および使用する具体的な製剤および化合物またはその誘導体の構
造のような因子により変動する。
【0036】
本明細書で使用する「併用療法」とは、処置が必要な患者が疾患に関する他の薬剤をP
EG−ADIと一緒に与えられることを意味する。この併用療法は、個体を最初に1以上
の薬剤で処置し、ついで他のまたは2以上の薬剤を同時に与える順次の治療であることが
できる。
30
【0037】
本明細書で使用する「アルギニン除去療法」という句は、患者のアルギニンレベルを下
げる、最小にする、または廃する(abolish)薬剤の使用を含む処置計画を指す。
アルギニン除去療法はしばしばADIを使用して行う。アルギニン除去療法およびアルギ
ニン除去療法に使用する薬剤は、査定された1998年2月13日に出願された米国特許
出願第09/023,809号明細書、現在では2001年2月6日に発効された米国特
許第6,183,738号明細書;および2000年2月15日に出願された係属してい
る米国特許出願第09/504,280号明細書に詳述されている(それぞれ引用により
全部、本明細書に編入する)。
【0038】
40
本明細書で使用する用語「1以上のウイルスに暴露されたと疑われる個体」とは、1以
上のウイルスについて陽性であるとは診断されなかったが、最近の高リスクな活動または
彼らをウイルスと接触にさせるような活動から、1以上のウイルスに暴露された可能性が
ある個体を指す。例えばHIVに暴露されたと疑われる個体は、HIVを含むサンプルま
たはHIVに感染した個体のいずれかと接触した針で刺された個体を指す。そのようなサ
ンプルの例には限定するわけではないが、研究または調査サンプルまたは患者に由来する
血液、精液、身体の分泌物等のサンプルを含む。HCVに暴露されたと疑われる個体には
、未知の品質の血液の輸血を受けた個体を含む。輸血される血液は試験されなかったかも
しれないし、または血液がHCVを含まないことを示す試験結果は信頼できないか、また
は疑わしい。幾つかの態様では、ウイルスに感染したことが疑われる個体には、例えば性
50
(18)
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交、他人の体液との接触、皮下注射針の共有等を介することを含め、他人を介してウイル
スへ暴露された個体を含む。ウイルスが最初に生じた個体はウイルスの存在および/また
は不存在について試験されたかもしれないし、またはされなかったかもしれない。また用
語「1以上のウイルスに暴露されたと疑われる個体」には、1種のウイルスについて陽性
であるとすでに診断されたが、少なくとも1つのさらなるウイルスにも感染している個体
を含む。例えばHIVに感染している個体は、1以上の形態の肝炎にも陽性であることが
多い。そのような個体は、1以上のウイルスに関して「高リスク」であると分類すること
ができる。
【0039】
本明細書で使用する用語「選択的に阻害する」とはウイルス複製の選択的阻害を指し、
そして幾つかの態様では、ウイルスmRNAレベルのCC5
0
/EC5
0
10
%の比である。
SI>10はウイルス複製の選択的阻害を反映していると考える。
【0040】
本明細書で使用する用語「サンプル」は、患者に由来する生物学的物質を指す。本発明
によりアッセイされるサンプルは、いかなる特別な種類にも限定されない。サンプルには
非限定的例として、単細胞、多数の細胞、組織、腫瘍、生物学的流体、生物学的分子、ま
たは前記の上清もしくは抽出物を含む。例には生検用に採取した組織、切除中に採取した
組織、血液、尿、リンパ組織、リンパ液、脳脊髄液、粘膜および糞便サンプルを含む。使
用するサンプルはアッセイ形式、検出法およびアッセイする腫瘍、組織、細胞または抽出
物の性質に基づき変動する。サンプルを調製する方法は当該技術分野では周知であり、そ
20
して利用する方法に適合するサンプルを得るために容易に調整することができる。
ADI
アルギニンデイミナーゼはアルギニンのシトルリンへの転換を触媒し、そしてアルギニ
ンを排除するために使用することができる。本発明では、アルギニンデイミナーゼ遺伝子
を誘導し、クローン化するか、あるいは例えば微生物、組換えバイオテクノロジー、また
はそれらの任意の組み合わせを含む任意の起源から生産することができる。アルギニンデ
イミナーゼはマイコプラズマ(Mycoplasma)属の微生物からクローン化するこ
とができる。幾つかの態様では、アルギニンデイミナーゼはマイコプラズマ アルギニニ
(Mycoplasma arginini)、マイコプラズマ ホミヌス(Mycop
lasma hominus)、マイコプラズマ アースリチデス(Mycoplasm
30
a arthritides)、またはそれらの任意の組み合わせからクローン化するこ
とができる。幾つかの態様では、本発明で使用するアルギニンデイミナーゼは、配列番号
1∼10および13∼21の1以上のアミノ酸配列を有することができる。
【0041】
天然のアルギニンデイミナーゼは微生物中に見いだすことができ、そして抗原性であり
、そして患者の循環から素早く排出される。これらの問題はアルギニンデイミナーゼにポ
リエチレングリコール(PEG)を共有的に修飾することにより克服することができる。
ポリエチレングリコール(連結基を含むか、または含まない)で共有的に修飾したアルギ
ニンデイミナーゼは、今後“ADI−PEG”と呼ぶ。天然のアルギニンデイミナーゼと
比較した時、ADI−PEGはその酵素活性をほとんど保持し、はるかに抗原性が低く、
40
大きく延びた循環半減期を有し、そして腫瘍の処置にはさらに一層効果的である。
【0042】
ある種の欠点が生物由来のアルギニンデイミナーゼの単離に付随していた。インビトロ
で腫瘍細胞を殺すには効果的であるが、シュードモナス プチダ(Pseudomona
s putida)から単離されたアルギニンデイミナーゼは、中性pHでは酵素活性が
ほとんどなく、そして実験動物の循環から素早く排出されたので、インビボで効力を現す
ことはできなかった。マイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma argin
ini)由来のアルギニンデイミナーゼ(配列番号5)は、例えばTakaku,H,T
akase,M,Abe S,Hayashi H and Miyazaki K.(
1992)。マイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma arginini)
50
(19)
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から精製したアルギニンデイミナーゼのインビボ抗腫瘍活性。Int.J.Cancer
51:244−249、および米国特許第5,474,928号明細書に記載され、そ
の開示は引用により全部、本明細書に編入する。そのような異種タンパク質の治療的使用
に付随する問題は、その抗原性である。マイコプラズマ アルギニニ(Mycoplas
ma arginini)に由来するアルギニンデイミナーゼのシアヌル酸クロライド連
結基を介したポリエチレングリコールでの化学修飾は、Takaku,H,Misawa
,S、Hayashi H and Miyazaki K.(1993)。マイコプラ
ズマ アルギニニ(Mycoplasma arginini)に由来する抗腫瘍酵素で
あるアルギニンデイミナーゼのポリエチレングリコールによる化学的修飾。Jpn.J.
Cancer Res.84:1195−1200に記載されている。修飾されたタンパ
10
ク質は、シアヌル酸クロライド連結基に由来するシアン化物の放出により、代謝された時
に毒性であった。
【0043】
また組換えDNA技法を介するアルギニンデイミナーゼの生産も、ある種の欠点を提供
する。例えば大腸菌(Escherichia coli)で生産されたアルギニンデイ
ミナーゼは酵素的に不活性であり、すなわち酵素的に活性となるためには変性させ、そし
正しく再生しなければならない。大腸菌(E.coli)で生産されたアルギニンデイミ
ナーゼを再生するための常法は、不活性酵素を単離し、塩酸グアニジンに溶解し、そして
低イオン強度のバッファーに迅速に希釈することにより再生することである。この最終工
程には大変大容量のバッファーを必要とし、これによりアルギニンデイミナーゼの製造が
20
経費がかかり、しかも時間を要するものとなる。しかし組換え技法はある種の利点を有す
る。例えば宿主としてより発酵し易い微生物を使用することができる。さらにこれらの発
酵宿主は一般に病原性がさらに低く、そして大量のアルギニンデイミナーゼを得ることが
できる。大腸菌(E.coli)は大量のマイコプラズマ(Mycoplasma)アル
ギニンデイミナーゼを生産できることが示された。
【0044】
アルギニンデイミナーゼ酵素の化学的および遺伝的修飾は、その生物学的活性に影響を
及ぼすことができる。例えばアルギニンデイミナーゼは多くは抗原性であり、そして患者
の循環から素早く排出されることが示された。しかしポリエチレングリコールを含むアル
ギニンデイミナーゼの製剤は抗原性を下げ、そして酵素の循環半減期を上げることも示さ
30
れた。Abuchowski et al.Cancer Biochem.Bioph
ys.7:175−186(1984);Abuchowski et al.J.Bi
ol.Chem.252:3582−3586(1977)。特にアルギニンデイミナー
ゼはポリエチレングリコールで共有的に修飾することができる。ポリエチレングリコール
で共有的に修飾されたアルギニンデイミナーゼ(連結基を含むか、または含まない)は、
今後“ADI−PEG”と呼ぶ。米国特許出願第09/023,809号明細書でCla
rkは、マイコプラズマ ホミヌス(Mycoplasma hominus)(配列番
号1)、マイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma arginini)(配
列番号5)およびマイコプラズマ アースリチデス(Mycoplasma arthr
itides)(配列番号7)に由来するアルギニンデイミナーゼのポリエチレングリコ
40
ールで改善された修飾を記載し、それらの開示は引用により全部、本明細書に編入する。
天然のアルギニンデイミナーゼと比較した時、ADI−PEGはその酵素活性をほとんど
保持し、はるかに抗原性が低く、大きく延びた循環半減期を有し、そして腫瘍の処置にさ
らに一層効果的である。本発明の目的のためのポリエチレングリコールを用いたアルギニ
ンデイミナーゼの修飾をペグ化と呼ぶことができる。
【0045】
他の生物に由来するアルギニンデイミナーゼも、マイコプラズマ ホミヌス(Myco
plasma hominus)に由来するアルギニンデイミナーゼの112位に対応す
るペグ化部位を有するかもしれないと理解される。例えばストレプトコッカス ピロゲネ
ス(Streptococcus pyrogenes)に由来するアルギニンデイミナ
50
(20)
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ーゼは、104位にリシンを有し、マイコプラズマ ニューモニア(Mycoplasm
a pneumoniae)に由来するアルギニンデイミナーゼは106位にリシンを有
し、そしてキアルジア インテスチナリス(Qiardia intestinalis
)に由来するアルギニンデイミナーゼは114位にリシンを有する。さらに数種の生物に
由来するアルギニンデイミナーゼは、マイコプラズマ ホミヌス(Mycoplasma
hominus)に由来するアルギニンデイミナーゼの112位と同じ全体的に位置に
対応するリシンを有し得る。そのような生物に由来するアルギニンデイミナーゼのリシン
の位置を以下に示すことができる:
【0046】
【表1】
10
20
30
【0047】
現在、そのようなリシンまたはそれらの組み合わせへのポリエチレングリコールの結合
が酵素を不活性化できると考えられている。現在、そのようなリシンでのアミノ酸置換は
ペグ化でその酵素的活性の損失がより少ないタンパク質をもたらすことができると考えら
れている。 【0048】
幾つかの態様では、本発明はアルギニンデイミナーゼのポリペプチド鎖中に特定のアミ
ノ酸置換を提供する。これらのアミノ酸置換は、ペグ化で活性の損失が少ない修飾された
40
アルギニンデイミナーゼを提供し、すなわちペグ化で、修飾されたアルギニンデイミナー
ゼにおけるペグ化後の酵素活性の減少は、非修飾アルギニンデイミナーゼにおけるペグ化
後の酵素活性の減少よりも少ない。酵素の触媒領域での、またはそれに隣接するペグ化部
位を排除することにより、最適なペグ化がこれまでの活性の損失無しに達成される。上記
で検討したように特定の生物に由来するアルギニンデイミナーゼは、ペプチド鎖上の様々
な位置に配置されるペグ化部位を有する。本発明を限定するわけではないが、現在、アル
ギニンデイミナーゼは酵素の触媒領域、またはそれに隣接するアミノ酸リシンを有する可
能性があり、そしてこれら部位のペグ化が酵素を不活性化し得ると考えられる。これらペ
グ化部位の少なくとも1つを排除することにより、ペグ化を行い、そしてより多くの酵素
活性を保持することができる。本発明に従い、幾つかの態様でリシンはグルタミン酸、バ
50
(21)
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リン、アスパラギン酸、アラニン、イソロイシン、ロイシンまたはそれらの組み合わせと
置換される。幾つかの態様ではリシンはグルタミン酸に置換される。本発明の幾つかの態
様では、マイコプラズマ ホミヌス(Mycoplasma hominus)に由来す
る修飾されたアルギニンデイミナーゼは、Lys
Lys
4 0 8
1 1 2
、Lys
3 7 4
、Lys
4 0 5
、
またはそれらの組み合わせまたは副次的組み合わせでアミノ酸置換を有する
。幾つかの態様では、マイコプラズマ ホミヌス(Mycoplasma hominu
s)に由来する修飾されたアルギニンデイミナーゼは、Lys
Lys
u
3 7 4
4 0 8
からGlu
3 7 4
、Lys
4 0 5
からGlu
1 1 2
4 0 5
からGlu
、Lys
4 0 8
1 1 2
、
からGl
またはそれらの組み合わせへのアミノ酸置換を有する。幾つかの態様ではマイコ
プラズマ ホミヌス(Mycoplasma hominus)に由来する修飾されたア
10
ルギニンデイミナーゼは、グルタミン酸に置換される112位のリシンを有する(配列番
号2)。
【0049】
このように本発明は、アルギニンデイミナーゼのポリペプチド鎖中に特定のアミノ酸置
換を提供する。そのようなアミノ酸置換はアルギニンデイミナーゼのペプチド鎖中で問題
の多い特徴的構造を排除することができる。そのようなアミノ酸置換は、修飾されたアル
ギニンデイミナーゼの改良された復元を提供する。これらのアミノ酸置換は、減少させた
バッファー量を使用して修飾されたアルギニンデイミナーゼの迅速な復元を可能とする。
これらのアミノ酸置換はまた、復元した修飾アルギニンデイミナーゼの収量の増加も提供
する。本発明の幾つかの態様では、修飾されたアルギニンデイミナーゼはPro
2 1 0
で
20
1つのアミノ酸置換を有する。上記のように、マイコプラズマ ホミヌス(Mycopl
asma hominus)に由来するアルギニンデイミナーゼは、210位に位置する
アミノ酸プロリンを有する。本発明を限定するわけではないが現在、210位のアミノ酸
プロリンの存在が、アルギニンデイミナーゼの復元(すなわちリフォールディング)の難
しさを増す正常なポリペプチド鎖中に曲がりおよびよじれを生じると考えられている。2
10位でのプロリンの置換は、減少したバッファー量を使用して修飾アルギニンデイミナ
ーゼの迅速な復元性を可能とする。210位のプロリンの置換は、復元される修飾アルギ
ニンデイミナーゼの収量の上昇も提供することができる。幾つかの態様では210位のプ
ロリンは、セリンに置換される(配列番号3)。本発明の観点に従い、210位での他の
置換も行うことができると理解される。置換の例には、Pro
Pro
n
2 1 0
2 1 0
からArg
またはPro
2 1 0
2 1 0
2 1 0
2 1 0
からThr
、
、Pro
からAsn
からMet
2 1 0
を含む。野生型アルギニンデイミナーゼの
、Pro
2 1 0
2 1 0
2 1 0
30
からGl
210位のアミノ酸に伴うこれらの構造的特徴を排除することにより、酵素の正しいリフ
ォールディングを達成することができる。
【0050】
本発明の幾つかの態様では、修飾されたアルギニンデイミナーゼが多数のアミノ酸置換
を有する。この修飾されたアルギニンデイミナーゼは、酵素の触媒領域で、またはそれに
隣接したペグ化部位を排除する少なくとも1つのアミノ酸置換を有することができる。修
飾されたアルギニンデイミナーゼは、酵素の復元を妨害するこれら構造的特徴を排除する
少なくとも1つのアミノ酸置換も有することができる。このようにアミノ酸置換は、本発
40
明の修飾されたアルギニンデイミナーゼを提供することができる。アミノ酸置換は、酵素
活性を失う事なく修飾されたアルギニンデイミナーゼのペグ化を提供することができる。
アミノ酸置換は、減少したバッファー量を使用して迅速に復元することができる修飾アル
ギニンデイミナーゼを提供することができる。またアミノ酸置換は、上昇した収量の復元
された修飾アルギニンデイミナーゼを提供することもできる。幾つかの態様では、マイコ
プラズマ ホミヌス(Mycoplasma hominus)に由来する修飾されたア
ルギニンデイミナーゼはセリンに置換される210位でのプロリン、およびグルタミン酸
で置換される112位のリシンを含む(配列番号4)。しかし上記に検討したように、修
飾されたアルギニンデイミナーゼは他の置換を含んでもよいと理解される。幾つかの態様
では、保存的置換を野生型アルギニンデイミナーゼの112位および/または210位に
50
(22)
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作成してもよい。
【0051】
修飾されたアルギニンデイミナーゼはJM101細胞でTakaku et al.,
同上に記載されたように発現された。修飾されたアルギニンデイミナーゼは、112位の
グルタミン酸および210位のセリンを含んだ。幾つの態様ではマイコプラズマ ホミヌ
ス(Mycoplasma hominus)に由来する修飾されたアルギニンデイミナ
ーゼのアミノ酸配列は、配列番号4の配列である。
【0052】
幾つかの態様ではアルギニンデイミナーゼは、マイコプラズマ ホミヌス(Mycop
lasma hominus)、マイコプラズマ ニューモニア(Mycoplasma
10
pneumoniae)、マイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma ar
ginini)、キアルジア インテスチナリス(Qiardia intestina
lis)、クロストリジウム パーフリンゲス(Clostridium perfri
nges)、バチルス リケニホルミス(Bacillus licheniformi
s)、ボレリア ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボ
レリア アフゼリー(Borrelia afzellii)、エンテロコッカス フェ
カリス(Enterococcus faecalis)、ストレプトコッカス ピオゲ
ネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス ニュー
モニア(Streptococcus pneumoniae)、ラクトバチルス サケ
(Lactobacillus sake)またはキアルジア インテスチナリス(Qi
20
ardia intestinalis)のアルギニンデイミナーゼに由来することがで
きる。
【0053】
幾つかの態様では、アルギニンデイミナーゼはマイコプラズマ ホミヌス(Mycop
lasma hominus)のアルギニンデイミナーゼに由来する(配列番号1)。幾
つかの態様では、アルギニンデイミナーゼは配列番号1と比べて少なくとも1つのプロリ
ン残基の置換または欠失を含んでなる。幾つかの態様では、少なくとも1つのプロリン残
基の置換または欠失は、配列番号1の残基210のプロリン残基、またはそれに対応する
残基の置換もしくは欠失を含んでなる。幾つかの態様では、少なくとも1つのプロリン残
基の置換または欠失は、配列番号1の残基210のプロリン残基、またはそれに対応する
30
残基のSer、Thr、Arg、Asn、GlnまたはMetへの置換を含んでなる。幾
つかの態様では、少なくとも1つのプロリン残基の置換または欠失は、配列番号1の残基
210のプロリン残基、またはそれに対応する残基のSerへの置換を含んでなる。
【0054】
本発明の幾つかの態様では、アルギニンデイミナーゼが修飾され、そして少なくとも1
つのアミノ酸置換もしくは欠失を含んでなり、ここで修飾されたアルギニンデイミナーゼ
は配列番号1と比べて触媒領域に、またはそれに隣接して減少した数のペグ化部位を有す
る。幾つかの態様では、少なくとも1つのリシン残基の置換もしくは欠失は、配列番号1
の残基112、374、405または408のリシン残基、またはそれに対応する残基の
置換もしくは欠失を含んでなる。幾つか態様では、少なくとも1つのリシン残基の置換も
40
しくは欠失は、配列番号1の残基112、374、405または408のリシン残基、ま
たはそれに対応する残基のGlu、Val、Asp、Ala、IleまたはLeuへの置
換を含んでなる。幾つか態様では、少なくとも1つのリシン残基の置換もしくは欠失は、
配列番号1の残基112のリシン残基、またはそれに対応する残基のGlu、Val、A
sp、Ala、IleまたはLeuへの置換を含んでなる。幾つかの態様では、少なくと
も1つのリシン残基の置換もしくは欠失は、配列番号1の残基112のリシン残基、また
はそれに対応する残基のGluへの置換を含んでなる。幾つか態様では、修飾されたアル
ギニンデイミナーゼはさらに少なくとも1つのプロリン残基の置換もしくは欠失を含んで
なる。
【0055】
50
(23)
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幾つかの態様では、少なくとも1つのプロリン残基の置換または欠失は、配列番号1の
残基210のプロリン残基、またはそれに対応する残基のSer、Thr、Arg、As
n、GluまたはMetへの置換を含んでなる。
【0056】
幾つかの態様では、アルギニンデイミナーゼは配列番号1と比べて触媒領域に、または
それに隣接して少なくとも1つのペグ化部位が自由になるように修飾されたアルギニンデ
イミナーゼを含んでなり、ここで該修飾されたアルギニンデイミナーゼは配列番号1の残
基112、374、405もしくは408に、またはそれに対応して少なくとも1つのア
ミノ酸置換もしくは欠失を含んでなる。幾つかの態様では、少なくとも1つのアミノ酸の
置換もしくは欠失は、配列番号1の残基112のリシン残基、またはそれに対応する残基
10
のGlu、Val、Asp、Ala、IleまたはLeuへの置換を含んでなる。幾つか
の態様では、少なくとも1つのアミノ酸の置換もしくは欠失は、さらに少なくとも1つの
プロリン残基の置換もしくは欠失を含んでなる。幾つかの態様では、少なくとも1つのプ
ロリン残基の置換もしくは欠失は、配列番号1の残基210のプロリン残基、またはそれ
に対応する残基の置換もしくは欠失を含んでなる。幾つかの態様では、少なくとも1つの
プロリン残基の置換もしくは欠失は、配列番号1の残基210のプロリン残基、またはそ
れに対応する残基のSer、Thr、Arg、Asn、GluまたはMetへの置換を含
んでなる。
【0057】
幾つかの態様では、マイコプラズマ ホミヌス(Mycoplasma hominu
20
s)由来のアルギニンデイミナーゼは、配列番号1の残基112のリシンのグルタミン酸
への置換を含んでなる(配列番号2)。幾つかの態様では、マイコプラズマ ホミヌス(
Mycoplasma hominus)由来のアルギニンデイミナーゼは、配列番号1
の残基210のプロリンのセリンへの置換を含んでなる(配列番号3)。幾つかの態様で
は、マイコプラズマ ホミヌス(Mycoplasma hominus)由来のアルギ
ニンデイミナーゼは、配列番号1の残基112のリシンのグルタミン酸への置換、および
配列番号1の残基210のプロリンのセリンへの置換を含んでなる(配列番号4)。幾つ
か態様では、マイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma arginini)
由来のアルギニンデイミナーゼは、配列番号5の残基111のリシンのグルタミン酸への
置換を含んでなる(配列番号6)。幾つか態様では、マイコプラズマ アーソリチデス(
30
Mycoplasma arthritides)由来のアルギニンデイミナーゼは、配
列番号7の残基111および112のリシンのグルタミン酸への置換を含んでなる(配列
番号8)。幾つか態様では、マイコプラズマ アーソリチデス(Mycoplasma arthritides)由来のアルギニンデイミナーゼは、配列番号7の残基111の
リシンのグルタミン酸への置換を含んでなる(配列番号9)。幾つか態様では、マイコプ
ラズマ アーソリチデス(Mycoplasma arthritides)由来のアル
ギニンデイミナーゼは、配列番号7の残基112のリシンのグルタミン酸への置換を含ん
でなる(配列番号10)。
【0058】
そのような修飾および/または置換ならびにヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、
40
2001年2月6日に発効された米国特許第6,183,738号明細書および2000
年5月4日に出願された同時係属出願第09/564,559号明細書に記載され、それ
ぞれ引用により全部、本明細書に編入する。
ポリエチレングリコール
分子量および連結基が異なる多くのポリエチレングリコールを利用することができる。
これらのPEGはタンパク質の抗原性、免疫原性および循環半減期に変動する効果を有す
ることができる(Zalipsky,S.and Lee,C.ポリエチレングリコール
の化学:生物工学および生物医学的応用。Pp.347−370、プレナム出版(Ple
num Press)、ニューヨーク、1992;Monfardini,C.,et al.,bioconjugate Chem.6,62−69,1995;Delga
50
(24)
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do C;Francis GE;Fisher D.PEG−結合タンパク質の使用お
よび性質。Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Sys.,9:2
49−304,1992)。
【0059】
本発明の幾つかの態様では、各ポリエチレングリコール分子は約10,000∼約50
.000の平均分子量を有し;約12,000∼約40,000の、約15,000∼3
0,000の;そして約20,000の平均分子量を有する。一般に30,000以上の
分子量を持つポリエチレングリコールは溶解し難く、そして配合生成物の収量は大きく減
少する。
【0060】
10
ポリエチレングリコールは直鎖もしくは分枝鎖でよい。幾つかの態様ではポリエチレン
グリコールは直鎖である。ポリエチレングリコールの分子量の増加は、一般にADIの免
疫原性を下げる傾向がある。本発明に記載する分子量を有するポリエチレングリコールは
ウイルス性疾患を処置するためにADIと一緒に使用することができ、そして任意に生物
適合性の連結基を使用することができる。
ペグ化
ADIは、例えばPark et al,Anticancer Res.,1:37
3−376(1981);およびZalipsky and Lee,ポリエチレングリ
コールの化学;生物工学および生物医学的応用。J.M.Harris編集、プレナム出
版、ニューヨーク、第21章(1992)に記載されているような(これらは引用により
20
全部、本明細書に編入する)、技術的に知られている方法を使用して生物適合性の連結基
を介してPEGに共有結合することができる。
【0061】
PEGをADIに共有結合するために使用する連結基は、任意の適合性連結基でよい。
幾つかの態様では、連結基は生物学的適合性の連結基である。上記で検討したように、「
生物学的適合性」は化合物または基が非毒性であり、そしてインビトロまたはインビボで
損傷、病気、疾患または死を引き起こさずに利用することができることを示す。PEGは
例えばエーテル結合、エステル結合、チオール結合またはアミド結合を介して連結基に結
合することができる。適当な連結基には、例えばエステル基、アミド基、イミド基、カル
バメート基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、炭水化物、スクシンイミド基(例えばス
30
クシンイミジルスクシネート(SS)、スクシンイミジルプロピオネート(SPA)、ス
クシンイミジルカルボキシメチレート(SCM)、スクシンイミジルスクシンアミド(S
SA)またはN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を含む)、エポキシド基、オキシ
カルボニルイミダゾール基(例えばカルボニルジイミダゾール(CDI)を含む)、ニト
ロフェニル基(例えばニトロフェニルカーボネート(NPC)またはトリクロロフェニル
カーボネート(TPC)を含む)、トリシレート基、アルデヒド基、イソシアネート基、
ビニルスルホン基、チロシン基、システイン基、ヒスチジン基または1級アミンを含む。
幾つかの態様では、連結基はエステル基および/またはスクシンイミド基である。幾つか
の態様では連結基はSS、SPA、SCM、SSAまたはNHSである。
【0062】
40
本発明では特定の連結基がPEG−ADIの循環半減期またはその特異的酵素活性に影
響は与えないと思われる。しかし連結基が使用される場合、幾つかの態様では、生物適合
性の連結基を使用することが重要である。タンパク質に結合するPEGはSS−PEG、
SPA−PEGおよびSC−PEGのような単鎖、またはPEG2−NHSのようなPE
Gの分枝鎖のいずれかで使用され得る。
【0063】
あるいはADIは、アミノ基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基またはカルボキシル
基を介してPEGに直接カップリングしてもよい(すなわち連結基無し)。幾つかの態様
では、PEGはADI上のリシン残基にカップリングされる。
ADI−PEG
50
(25)
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PEGのADIへの結合はADIの循環半減期を上げる。ADI上のPEG分子の数は
酵素の循環半減期に関連するようであり、一方、保持される酵素活性の量は、使用するP
EGの平均分子量に関連するようである。ADI上のPEG単位の数の上昇は、酵素の酵
素活性を減少させる。また幾つかのPEG製剤は生産することが難しく、比較的低収量の
生成物を生じることが知られている。すなわち効力的な生成物を達成するためには、循環
半減期、抗原性、生産効率および酵素活性の間でバランスが保たれる必要がある。
【0064】
一般にPEGはADIの一級アミンに結合する。アルギニンデイミナーゼ上のポリエチ
レングリコールの結合部位の選択は、当業者に知られているようなタンパク質の活性ドイ
メイン内の各部位の役割により決定される。PEGは酵素活性の実質的な損失無しでアル
10
ギニンデイミナーゼの一級アミンに結合することができる。例えばマイコプラズマ アル
ギニニ(Mycoplasma arginini)、マイコプラズマ アーソリチデス
(Mycoplasma arthritides)およびマイコプラズマ ホミヌス(
Mycoplasma hominus)からクローン化されたADIは、この手順によ
り修飾され得る約17個の残基を有する。換言すると17個のリシンは、ADIをSS、
SPA、SCM、SSAおよび/またはNHSのような生物適合性連結基を介してPEG
に結合させることができるすべての可能な点である。またPEGは当業者には本開示の観
点から明白であるように、ADIの他の部位に結合することもできる。
【0065】
1∼約30個のPEG分子をADIに共有結合させることができる。幾つかの態様では
20
、ADIは約7∼約15個のPEG分子、約9∼約12個のPEG分子で修飾される。換
言すると、アルギニンデイミナーゼの一級アミノ基の約30%∼約70%がPEGで修飾
され、アルギニンデイミナーゼの一級アミノ基の約40%∼約60%、約45%∼約55
%、そして約50%がPEGで修飾される。幾つかの態様では、PEGがADIの末端(
end terminus)に共有結合される時、わずか1個のPEG分子が利用される
。ADI上のPEG単位数の増加は、酵素の循環半減期を上げる。しかしADI上のPE
G単位数の増加は、酵素の比活性を下げる。このように幾つかの態様では、当業者には本
開示の観点から明白であるように、2つの間のバランスを取る必要がある。
【0066】
本発明では、幾つかの態様で連結基がマレイミド基を介してアルギニンデイミナーゼの
一級アミンに結合する。いったんアルギニンデイミナーゼにカップリングされれば、SS
−PEGはPEGの隣にエステル結合を有し、これはこの部位を身体中でADIからPE
Gを放出することができる血清エステラーゼに対して感受性とすることができる。SPA
−PEGおよびPEG2−NHSはエステル結合を持たないので、それらは血清エステラ
ーゼに対して感受性ではない。
【0067】
本発明に有用な特定の連結基の構造式を以下に説明する。
【0068】
30
(26)
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【化1】
【0069】
10
(27)
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【化2】
10
20
30
【0070】
処置法
幾つかの態様では、本発明は個体中のウイルス複製を阻害する方法を提供し、この方法
は連結基を介してポリエチレングリコールに共有結合したADIを含んでなる、治療にま
たは予防に有効な量の化合物を該個体に投与することを含んでなり、ここで各ポリエチレ
40
ングリコール分子は、約10,000∼約30,000の平均分子量を有する。幾つかの
態様では、ADIはポリエチレングリコール分子で修飾され、各分子は約20,000の
平均分子量を有する。幾つかの態様では連結基はスクスシンイミド基、アミド基、イミド
基、カルバメート基、エステル基、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、炭水
化物、チロシン基、システイン基、ヒスチジン基およびそれらの組み合わせから成る群か
ら選択される。幾つかの態様では、連結基はスクシンイミジルスクシネートである。幾つ
か態様では、約7∼約15個のポリエチレングリコール分子がアルギニンデイミナーゼに
結合する。幾つかの態様では、約9∼約12個のポリエチレングリコール分子がアルギニ
ンデイミナーゼに結合する。幾つかの態様ではアルギニン デイミナーゼがマイコプラズ
マ(Mycoplasma)属の微生物に由来する。幾つかの態様では、アルギニンデイ
50
(28)
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ミナーゼがマイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma arginini)、
マイコプラズマ ホミヌス(Mycoplasma hominus)、マイコプラズマ
アースリチデス(Mycoplasma arthritides)およびそれらの組
み合わせに由来する。幾つかの態様ではウイルスHCVである。幾つかの態様では、方法
はさらに治療に有効な量のさらなる抗ウイルス剤を、アルギニンデイミナーゼの投与前に
、投与と同時に、または投与後に投与する工程を含んでなる。
【0071】
本発明の1つの化合物の治療に有効な量は、ウイルス複製を阻害するために効果的な量
である。一般に処置は少ない投薬用量から開始し、これをその状況下で最適な効果が達成
されるまで少しづつ増やしていく。一般に本発明の化合物の治療用量は、1週間に2回か
10
らおよそ2週間に1回の約1∼約200mg/kgとなり得る。例えばこの投薬用量は2
mlの静脈内注射として1週間に1回の約1mg/kgから、3日に1回の約20mg/
kgとなり得る。化合物は処置の過程を通して連続的または断続的に1回用量で投与する
ことができる。ADI−PEGは1日に数回、1日に1回、1週間に1回または2週間に
1回投与することができる。
【0072】
幾つかの態様では、ADI−PEGは少なくとも約40IU/m
IU/m
2
、少なくとも約160IU/m
2
2
、少なくとも約80
、または少なくとも約200IU/m
2
の用
量で毎週投与される。幾つかの態様では、投与される用量はアルギニンの血清レベルを約
10μM、5μM、1μM、100nM未満に下げる。幾つか態様ではADI−PEG2
0は毎週約160IU/m
2
20
で投与され、患者の血清レベルを約5μM未満とする。
【0073】
本発明は個体中の1以上のウイルス複製を阻害する方法を提供し、この方法はポリエチ
レングリコールに結合した治療にまたは予防に有効な量のアルギニンデイミナーゼを該個
体に投与することを含んでなる。幾つかの態様ではウイルスはヒトのウイルスである。幾
つかの態様ではウイルスはHCVである。幾つか態様では個体は2以上の異なるウイルス
に感染している。幾つかの態様では2以上のウイルスはHIVおよびHCVである。幾つ
かの態様では、感染しているウイルスの存在および/または同一性が投与時に、または投
与前には未知である。幾つかの態様では、方法はさらに治療に有効な量のさらなる抗ウイ
ルス剤を、アルギニンデイミナーゼの投与前に、投与と同時に、または投与後に投与する
30
工程を含んでなる。
【0074】
また本発明は、1以上のウイルスに暴露されたと疑われる個体を処置する方法を提供し
、この方法はポリエチレングリコールに結合した治療にまたは予防に有効な量のアルギニ
ンデイミナーゼを該個体に投与することを含んでなる。上で検討したように、1以上のウ
イルスに感染していると診断されなかった個体の中には、彼らが恐らくウイルスに暴露さ
れた可能性がある状況におかれた者もいる。また1以上のウイルスに暴露されたと疑われ
る個体の処置には、上記のようなさらなる治療薬の投与も含む。予防的処置の過程は、ウ
イルス感染の兆候について周期的に監視することと一緒に行うことができる。幾つかの態
様では、本発明に従う処置の開始後、個体は1以上のウイルスについて陽性であると診断
40
される。
【0075】
幾つかの態様では、本発明は1以上のウイルスの危険にさらされている患者のウイルス
複製を阻害する方法を提供する。この方法は、ウイルス複製を阻害するために効果的なポ
リエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物の量を個体
に投与することを含んでなる。
【0076】
幾つかの態様では、本発明はウイルス感染に感染したと同定された個体のウイルス複製
を阻害する方法を提供する。この方法は、ウイルス複製を阻害するために効果的なポリエ
チレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物の量を個体に投
50
(29)
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与することを含んでなる。
幾つかの態様では、ポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼを含ん
でなる組成物は、ウイルス複製を測定するためのインビトロアッセイにおいて、50%よ
り多くの細胞で少なくとも50%までウイルス複製を阻害するために、0.1mM未満の
濃度で効果的である。幾つかの態様では、ポリエチレングリコールに結合したアルギニン
デイミナーゼを含んでなる組成物は、ウイルス複製を測定するためのインビトロアッセイ
において、50%より多くの細胞で少なくとも50%までウイルス複製を阻害するために
、0.05mM未満の濃度で効果的である。幾つかの態様では、ポリエチレングリコール
に結合したアルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物は、ウイルス複製を測定するため
のインビトロアッセイにおいて、50%より多くの細胞で少なくとも50%までウイルス
10
複製を阻害するために、0.01mM未満の濃度で効果的である。
【0077】
幾つかの態様では、本発明は個体中の腫瘍を処置すると同時に1以上のウイルスの複製
を阻害する方法を提供する。この方法は、ポリエチレングリコールに連結基を介して共有
結合した治療にまたは予防に有効な量のアルギニンデイミナーゼを個体に投与することを
含んでなる。幾つかの態様では、腫瘍はメラノーマ、肉腫および肝癌からなる群から選択
される。幾つかの態様では、腫瘍は肝癌であり、そしてウイルスはHCVである。幾つか
の態様では、腫瘍の存在および/または同一性は処置の時点では未知である。幾つかの態
様では、ウイルスの存在および/または同一性は、処置の時点では未知である。幾つかの
態様では、この方法はさらに治療に有効な量のさらなる抗ウイルス剤を、アルギニンデイ
20
ミナーゼの投与前に、投与と同時に、または投与後に投与することを含んでなる。
【0078】
幾つかの態様では、本発明は個体の一酸化窒素レベルを調節する方法を提供し、この方
法は、ポリエチレングリコールに結合した治療にまたは予防に有効な量のアルギニンデイ
ミナーゼを該個体に投与することを含んでなる。幾つかの態様では、調節は一酸化窒素レ
ベルの抑制である。幾つかの態様では、この方法はさらに治療にまたは予防に有効な量の
さらなる抗ウイルス剤を、アルギニンデイミナーゼの投与前に、投与と同時に、または投
与後に投与することを含んでなる。幾つかの態様では、個体は1以上のウイルスに感染し
たことがすでに同定されている。
【0079】
30
幾つかの態様では、本発明はアルギニンのレベルを調節するためにウイルス複製の感度
を測定する方法を提供し、この方法はサンプルを、ポリエチレングリコールに結合したア
ルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物と接触させ、そしてウイルスRNAまたはウイ
ルスRNA産物のレベルを測定することを含んでなる。ウイルスRNAまたはそれらの産
物のレベルを測定する方法は、当業者には周知である。
【0080】
幾つかの態様では、本発明は1以上のウイルスに感染した個体中のウイルス複製を選択
的に阻害する方を提供する。この方法はポリエチレングリコールに結合した治療にまたは
予防に有効な量のアルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物を個体に投与することを含
んでなる。幾つかの態様では、ウイルスはHCVである。幾つかの態様ではSIは10よ
40
り高く、15より高く、20より高く、または25より高い。
【0081】
幾つかの態様では本発明は、ポリエチレングリコールに結合した治療にまたは予防に有
効な量のアルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物を該個体に投与することを含んでな
る、個体の肝機能を改善する方法を提供する。
【0082】
当業者は肝機能の質を容易に測定することができる。幾つかの態様では、1以上のマー
カーの相対的な量が、健康な患者と肝臓疾患または肝臓障害がある患者との間で比較され
る。
【0083】
50
(30)
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幾つかの態様では肝機能はChild−PughスケールまたはMayo末期肝疾患(
MELD)スコアを使用して評価される。肝機能を等級分けするChild−Pughス
ケールは、肝臓疾患における死亡率を予測するために幾つかの因子を使用する。Chil
d−Pughスケールで考慮される因子には、ビリルビンレベル、クレアチンレベル、国
際標準比(INR:プロトロンビン時間(凝固するための血液の能力の尺度)としても知
られている)、腹部の腹水の存在および脳障害の等級を含む。等級は肝機能異常の上昇レ
ベルに割り当てられる;等級“A”は5∼6点のChild−Pughスコアを反映し、
そして最低レベルの肝異常を示す。等級“B”は7∼9点のChild−Pughスコア
を反映し、そして中間レベルの肝異常を示す。等級“C”は10∼15点のChild−
Pughスコアを反映し、そして最高レベルの肝異常を示す。肝機能を等級分けするME
10
LDスケールは、ビリルビンレベル、クレアチンレベルおよび国際標準比を考慮している
。
【0084】
幾つかの態様では、ポリエチレングリコールに結合したアルギニンデイミナーゼの投与
前の個体の肝機能は、Child−PughレべルA、Child−PughレべルBま
たはChild−PughレべルCである。
【0085】
幾つかの態様では本発明は、1以上のウイルス感染を有すると同定された個体がアルギ
ニン除去療法に感受性であると同定する方法を提供する。この方法は個体からウイルスサ
ンプルを得、そしてウイルス複製に適する条件下で、ポリエチレングリコールに結合した
20
アルギニンデイミナーゼを含んでなる組成物の存在および不存在下でのサンプル中のウイ
ルス複製を比較することを含んでなる。幾つかの態様では、ADI−PEGに接触したサ
ンプル中の少なくとも40%、少なくとも50%または少なくとも80%のウイルス複製
の阻害は、個体がアルギニン除去療法の候補であることの指標となり、そしてADI−P
EGによる40%未満、30%未満または20%未満のウイルス複製の阻害は、個体がア
ルギニン除去療法の候補ではないことの指標となる。
【0086】
幾つかの態様では、本発明は個体における1以上のウイルス感染を処置する方法を提供
する。この方法は、個体が上記のアルギニン除去療法の候補であるかどうかを測定し、そ
して個体がアルギニン除去療法の候補であるならば個体をアルギニン除去療法で処置し、
30
そして個体がアルギニン除去療法の候補でないならば個体を通常の抗ウイルス処置で処置
することを含んでなる。
【0087】
最も効果的な手段および投薬用量を決定する方法は、当業者には周知である。幾つかの
態様では、少なくとも数週間にわたり1週間に2回の投与が使用される。しばしば抗ウイ
ルス化合物は長期間投与され、そして個体の生涯にわたり投与され得る。最も効果的な手
段および投薬用量を決定する方法は、当業者には周知である。単回または多回投与を1回
用量のレベルで行うことができ、そしてパターンは管理者により選択される。
【0088】
投与される用量は、もちろん特定薬剤の薬力学的特徴およびその投与様式および経路;
40
個体の年齢、健康状態および/または体重;症状の性質および程度;同時治療の種類;処
置頻度;個体に現れる症状;および望む効果のような既知の因子により変動するだろう。
【0089】
ほとんどのウイルス感染の場合、抗ウイルス処置に対する応答の症状または基準は、ウ
イルス複製のレベルに集中する。ウイルスの循環するウイルスRNAレベル、そしてその
中の変化に関する試験は標準的であり、そして細胞およびヒトを含む動物に応用すること
ができる。ヒト患者では、肝臓の活性に関する試験を行うことができる。1つの試験の例
はALT(血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)試験である。ALTは主に
肝臓に見いだされる酵素であるが、程度は低いものの心臓および他の組織にも見いだされ
、そして肝機能の診断に有用である。ヒトに関する正常な成人の範囲は0から約48U/
50
(31)
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Lであり、最適な成人の値は約24U/Lである。1以上のこれらの基準における改善は
、効果的な投薬用量または処置を表示する。
【0090】
化合物は、意図する投与形態に関して、そして従来の製薬学的プラクティスに合致する
ように選択される適当な製薬学的希釈剤、増量剤、賦形剤または担体(本明細書では集合
的に製薬学的に許容され得る担体を指す)との混合物で投与することができる。例えば幾
つかの態様では、ADI−PEGはリン酸緩衝化生理食塩水、または当業者に知られてい
る任意の他の適当な溶液と注入前に混合することができる。ADI−PEG製剤は所望に
より固体(凍結乾燥物)として、または液体製剤として投与することができる。
【0091】
10
本発明の組成物は使用する投与様式に従い配合される。製薬学的組成物が注入可能な製
薬学的組成物である場合、それらは滅菌され、発熱物質を含まず、そして粒子を含まない
。幾つかの態様では、組成物は等張性製剤である。幾つかの態様では、等張性のための添
加物には、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクト
ースの1以上を含むことができる。幾つかの態様では、組成物はリン酸緩衝化生理食塩水
のような等張性溶液として提供される。幾つかの態様において、組成物の安定化剤にはゼ
ラチンおよびアルブミン含む。
【0092】
また本発明はポリエチレングリコールに連結基を介して共有結合した治療に有効な量の
ADIを含んでなる化合物を個体に投与することを含んでなる、患者における広スペクト
20
ルの遺伝的に多様なウイルスを処置する方法を提供する。
併用療法
本発明の化合物は他の抗ウイルス化合物と組み合わせて併用療法を提供することができ
る。組み合わせがADI−PEGの化合物の抗ウイルス活性を排除しない限り、任意の既
知の抗ウイルス剤を本発明の組成物と組み合わせることができる。HIVの場合、ADI
−PEGとAZT、TC−3またはプロテアーゼインヒビターとの併用療法は、いずれの
薬剤を個別に使用するよりも効果的となり得る。肝炎の場合、ADI−PEGと1以上の
シクロビル(cyclovir)、ファムシクロビル(famciclovir)または
バラシクロビル(valacyclovir)、リバビリン(ribavirin)、イ
ンターフェロンまたはベーターグロブリンとの組み合わせを併用療法として使用すること
30
ができる。例えば組換えアルファインターフェロンもADI−PEGとの併用両方として
使用することができる。
【0093】
併用療法での使用に適する他の抗ウイルス剤は当業者に知られており、そしてそれらに
は限定するわけではないが中でも、1以上のAZT(ジドブジン(zidovudine
)、Retrovir)、ddI(ジダノシン(didanosine)、Videx)
、3TC(ラミブジン(lamivudine)、Epivir)、d4T(スタブジン
(stavudine)、Zerit)、アバカビル(abacavir)(Ziage
n)、ddC(ザルシタビン(zalcitabine)、Hivid)、ネビラピン(
nevirapine)(Viramune)、デラビルジン(Delaviridin
40
e)(Rescriptor)、インジナビル(indinavir)(Crixiva
n)、リトナビル(ritonavir)(Norvir)、ネルフィナビル(nelf
inavir)(Viracept)、サキナビル(saquinavir)、ロピナビ
ル(lopinavir)/リトナビル(ritonavir)(Kaletra)、ア
ンプレナビル(Amprenavir)(Agenerase)、アタザナビル(Ata
zanavir)、チプラナビル(tipranavir)、融合インヒビターT−20
、インターロイキン−2、ヒドロキシウレア、AR177(Zintevir)、フォミ
ビルセン(fomivirsen)ナトリウム(Vitravene)、GEM132、
GEM91、GEM92、AMD3100、n−ドコサノール(1−ドコサノール)、P
RO2000、T−1249、T−20、アルビドール(arbidol)、SP−30
50
(32)
JP 2006-515281 A 2006.5.25
3(Virend)、ハイペリシン(hypericin)(VIMRxyn)、MDL
28574、SC−48334、ADA、イミキモド(imiquimod)(Alde
ra)、ISIS5320、レシキモド(resiquimod)、アデホビルジピボキ
シル(adefovir dipivoxil)(Preveon)、DAPD、エムト
リシタビン(emtricitabine)(Coviracil)、エンテカビル(e
ntecavir)、ラミブジン(lamivudine)(Zeffix、Epivi
r−HBV、Hertovir、Heptodin)、アマンタジン(amantadi
ne)(Symmetrel)、オセルタミビル(oseltamivir)(Tami
flu)、ピロダビル(pirodavir)、プレコナリル(pleconaril)
(VP−63843)、リバビリン(ribavirin)(Virazid/Vira
10
zide/Virazole)、リマンタジン(rimantadine)(Fluma
dine)、WIN54954、ザナミビル(zanamivir)(Relenza)
、フォスカルネット(foscarnet)(Foscavir)、マリバビル(mar
ibavir)、ABT−378、アテビリジン(ateviridine)メシレート
、カラノライド(calanolide)A、カプラビリン(capravirine)
、エファビレンズ(efavirenz)(Sustiva)、エミビリン(emivi
rine)(Coactinon)、GW420 867X(aka HBY1293)
、HBY 097、L−697,66I、ロビリド(loviride)、MIV−15
0、PETT−5、R165335−TMC125、タルビラリン(talvirali
ne)、チビラピン(tivirapine)、トロビルジン(trovirdine)
20
、アシクロビル(acyclovir)(Zovirax)、ブリブジン(brivud
ine)(Helpin、Zostrex)、シドホビル(cidofovir)(Vi
stide(i.v.);Forvade(局所))、サイクリックHPMPC、ファム
シクロビル(famciclovir)(Famvir)、フィアシタビン(fiaci
tabine)、フィアルリジン(fialuridine)、ガンシクロビル(gan
ciclovir)(Cymvene/Cytovene)、GW−273175X、イ
ドクスウリジン(idoxuridine)(Herpid、Kerecid/Herp
lex Liquifilm、Idoxene、Virudox、Iduridin、S
toxil)、ロブカビル(lobucavir)、ネチブジン(netivudine
)(Zonavir)、ペンシクロビル(penciclovir)(Vectavir
30
/Denavir)、ソリブジン(sorivudine)(Usevir)、トリフル
リジン(trifluridine)(Viroptic)、バラシクロビル(vala
ciclovir)(Valtrex;Zelitrex)、バロマシクロビル(val
omaciclovir)ステアレート(MIV−606)、ビダラビン(vidara
bine)(Vira−A)、935U83、アバカビル(abacavir)(Zia
gen/Trizivir)、アデホビル(adefovir)、アデホビルジピボキシ
ル(dipivoxil)(Preveon)、アロブジン(alovudine)、A
zdU、CS−92,DAPD、ジダノシン(didanosine)(Videx)、
dOTC、エムトリシタビン(emtricitabine)(Coviracil)、
ホジブジンチドキシル(fozivudine tidoxil)、ラミブジン(lam
40
ivudine)(Epivir/Combivir/Trizivir)、ロブカビル
(lobucavir)、ロデノシン(lodenosine)、スタブジン(stav
udine)(Zerit)、テノホビル(tenofovir)(Viread)、テ
ノホビルジソプロキシル(tenofovir disoproxil)フマラート、ザ
ルシタビン(zalcitabine)(Hivid)、ジドブジン(zidovudi
ne)(Retrovir)、A−77003、AG7088、アンプレナビル(amp
renavir)(Agenerase)、BMS−232632、デラビルジン(de
lavirdine)(Rescriptor)、DMP−323、DMP−450、G
W433 908、インジナビル(indinavir)(Crixivan)、KNI
−272,ラシナビル(lasinavir)、ロピナビル(lopinavir)(K
50
(33)
JP 2006-515281 A 2006.5.25
aletra)、モゼナビル(mozenavir)、ネルフィナビル(nelfina
vir)(Viracept)、PD178390、リトナビル(ritonavir)
(Norvir)、RPI312、サキナビル(saquinavir)(Invira
e/Fortovase)、SC−52151、SDZ PRI053、チプラナビル(
tipranavir)、U−103017、U−96988、ヒドロキシウレア(Hy
drea)、AGI549、フォスカルネット(foscarnet)(Foscavi
r)、LiGLA、アシクロビル(Aciclovir)−バラシクロビル(Valac
iclovir)、ファミシクロビル(Famciclovir)、イドクスウリジン(
Idoxuridine)、ガンシクロビル(Ganciclovir)、フォスカルネ
ット(Foscarnet)、シドホビル(Cidofovir)およびアデホビル(A
10
defovir)、エンフビルチド(enfuvirtide)、バルサイト(Valc
yte)、クレブジン(clevudine)、チマルファシン(thymalfasi
n)、IL−12を含む。
【0094】
併用療法は順次的であることができ、これは最初に1つの薬剤で処置し、次いで2番目
の薬剤で処置するか、あるいは併用療法は同時に両方の薬剤で処置することができる。順
次的治療は第1治療が完了した後、第2治療が始まる前の妥当な期間内であり得る。同時
に両薬剤での処置は、同日の投与で、または別々の投与であることができる。例えば幾つ
かの態様では、1つの薬剤を用いた処置が1日目にあり、そして2日目にもう1つの薬剤
を用いた処置がある。正確な処方は、処置する疾患、感染の重篤度および処置に対する応
20
答に依存する。
【0095】
本発明の化合物の投与のインビボ手段は、意図する応用に依存して変動する。当業者に
は認識されているように、本発明のADI−PEG組成物の投与が、例えば吸入または座
薬により、あるいは膣、直腸、子宮、頬および舌組織の洗浄によるような粘膜組織へ、経
口的に、局所的に、鼻内に、腹腔内に、非経口的に、静脈内に、リンパ内に、腫瘍内に、
筋肉内に、間隙に、動脈内に、皮下に、眼内に、滑液包内に、経上皮的に(transe
pithelial)および経皮的に行うことができる。本発明の化合物は錠剤、カプセ
ル、ピル、粉末、顆粒、エリキシル、チンキ、懸濁液、シロップおよび乳液のような経口
剤形として投与することができる。化合物は静脈内(ボーラスまたは注入)、腹腔内、皮
30
下または筋肉内の形態でも投与することができ、すべての使用剤形は製薬分野の当業者に
は周知である。
[実施例]
本発明はさらに以下の実施例で示し、これらは具体的説明を目的とし、本発明の範囲を
限定するものではない。
【実施例1】
【0096】
組換えADIの生産
マイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma arginini)(ATCC
23243)、マイコプラズマ ホミヌス(Mycoplasma hominus)(
40
ATCC23114)およびマイコプラズマ アルソリチデス(Mycoplasma arthritides)(ATCC23192)のカルチャーは、メリーランド州、ロ
ックビルのアメリカンタイプカルチャーコレクションから得た。
【0097】
アルギニンデイミナーゼはマイコプラズマ アルギニニ(Mycoplasma ar
ginini)、マイコプラズマ ホミヌス(Mycoplasma hominus)
およびマイコプラズマ アーソリチデス(Mycoplasma arthritide
s)からクローン化し、そしてS.Misawa et al.,J.Biotechn
ology,36:145−155(1994)(この開示は引用により全部、本明細書
に編入する)により以前に記載されたように、大腸菌(E.coli)で発現させた。特
50
(34)
異的な酵素活性、Km 、Vm
a x
JP 2006-515281 A 2006.5.25
および最適pHに関して、当業者に知られている方法に
よる各タンパク質の特性決定は、それらが生化学的に互いに区別できることを明らかにし
た。最適pHはクエン酸バッファー(pH5∼6.5)、リン酸バッファー(pH6.5
∼7.5)およびホウ酸バッファー(pH7.5∼8.5)を使用して測定した。Km お
よびVm
a x
は酵素を種々の濃度のアルギニンとインキュベーションし、そしてシトルリ
ン生産を定量することにより測定した。種々の酵素に関するKm は約0.02∼0.06
μMであり、そしてVm
a x
は約15∼20μmol/分/mgであり、これらの値は互
いに標準誤差内であった。
【0098】
アルギニンデイミナーゼ遺伝子は、例えばT.Ohno et al.,Infect
10
.Immun.,58:3788−3795(1990)(この開示は引用により全部、
本明細書に編入する)により記載されているように、M.アルギニニ(arginini
)の公開配列に由来する以下のプライマー対を使用して、ポリメラーゼ連鎖反応により増
幅した:
5’−GCAATCGATGTGTATTTGACAGT−3’(配列番号:11)
5’−TGAGGATCCTTACTACCACTTAACATCTTTACG−3’(
配列番号:12)
ポリメラーゼ連鎖反応産物は、BamHI−HindIII断片として発現プラスミド
pQE16にクローン化した。DNA配列分析では、この断片がT.Ohno et a
l,Infect.Immun.、同上に記載されているアルギニンデイミナーゼ遺伝子
20
に関する配列と同じ配列を有することが示された。マイコプラズマ(Mycoplasm
a)中のトリプトファンをコードするADI遺伝子中の5個のTGAコドンは、例えばJ
.R.Sayers et al.,Biotechniques,13:592−59
6(1992)に教示されているように大腸菌(E.coli)中での遺伝子発現前にオ
リゴヌクレオチド−指定(oligonucleotide−directed)突然変
異誘発法によりTGGコドンに変えた。組換えADIは全細胞タンパク質の10%のレベ
ルで封入体中に発現された。
【0099】
上記3種のマイコプラズマ(Mycoplasma)に由来する各タンパク質は約95
%の相同性を有し、そしてカラムクロマトグラフィーにより容易に精製される。約1.2
30
gの純粋なタンパク質を1リットルの発酵ブロスから単離することができる。組換えAD
Iは37℃で約2週間安定であり、そして4℃で保存した時には少なくとも8カ月間安定
である。当業者に知られている方法により測定されるように、このタンパク質はアルギニ
ンに対して高い親和性(0.04μM)、および約7.2∼約7.4の生理学的に最適な
pHを有した。 【実施例2】
【0100】
組換えADIの再生および精製
わずかに修飾されたADIタンパク質は、Misawa et al.,J.Biot
echnology,36:145−155(1994)(この開示は引用により全部、
40
本明細書に編入する)に記載されているように再生した。100gの細胞ペーストを80
0mlの10mM K2PO4 pH7.0、1mM EDTA(バッファー1)に再懸
濁し、そして細胞をマイクロ流動機(マイクロフルイデェクス(Microfluidi
cs)社、ニュートン、マサチューセッツ州)に2回通すことにより破壊した。Trit
onX−100を加えて、4(容量/容量)%の最終濃度とした。ホモジネートを4℃で
30分間撹拌し、次いで13,000gで30分間遠心した。ペレットを集め、そして0
.5% TritonX−100を含有する1リットルのバッファー1に再懸濁した。溶
液は100kDの保持ランク(retention rating)の中空ファイバーカ
ートリッジ(マイクロゴン(Microgon)社、ラグナヒル、カリフォルニア州)を
使用して、5容量の変性バッファー1(50mM TrisHCl、pH8.5、10m
50
(35)
JP 2006-515281 A 2006.5.25
M DTT)に対して透析した。グアニジンHClを加えて6Mの最終濃度とし、そして
溶液を4℃で15分間撹拌した。溶液をリフォールディングバッファー1、10mm K
2
PO4 、pH7.0で100倍に希釈し、そして15℃で48時間撹拌し、粒子を15
,000xgで遠心することにより除去した。
【0101】
生成した上清は、リフォールディングバッファーで前平衡化したQ Sepharos
e PastFlow(ファルマシア(Pharmacia)社、ピスカタウェイ、ニュ
ージャージー州)カラムで濃縮した。ADIは0.2M NaClを含有するリフォール
ディングバッファーを使用して溶出した。この精製手順によりSDS−PAGE分析で予
想される>95%純度のADIタンパク質を得た。8gの再生したADIタンパク質は1
10
kgの細胞ペーストから生成され、これは1リットルの発酵あたり200mgの精製AD
Iに相当する。
【0102】
ADI活性はOginsky et al.,Meth.Enzymol.,(195
7)3:639−642に記載されている方法をわずかに変更することにより測定した。
0.1M Na2 PO4 、pH7.0(BUNアッセイバッファー)中の10μlのサン
プルを96ウェルのマイクロリッタープレートに置き、40μlの0.5mMアルギニン
(BUNアッセイバッファー中)を加え、そしてプレートを覆い、そして37℃で15分
間インキュベーションした。20μlの完全BUN試薬(シグマダイアグノスティックス
:Sigma Diagnostics)を加え、そしてプレートを100℃で10分間
20
インキュベーションした。次いでプレートを22℃に冷却し、そしてマイクロリッタープ
レートリーダー(モレキュラーデバイス(Molecular Devices)社)に
より490nmで分析した。1IUは1分間に1μmoleのL−アルギニンをL−シト
ルリンに転換する酵素の量である。タンパク質濃度は、標準としてウシ血清アルブミンを
用いたピアス(Pierce)のクーマシーブルータンパク質アッセイ試薬(ピアス社、
ロックフォード、イリノイ州)を使用して測定した。精製したADI調製物の酵素活性は
、17∼25IU/mgであった。
【実施例3】
【0103】
PEGのADIへの結合 30
PEGはADIに100mM リン酸バッファー、pH7.4中で共有結合させた。簡
単に説明すると、リン酸バッファー中でADIを100モル過剰なPEGと混合した。反
応物は室温で1時間撹拌し、次いで混合物を徹底的に透析して取り込まれなかったPEG
を除去した。
【0104】
PEG−ADI組成物に使用した連結基の効果を評価する第1実験を行った。PEG1
0,000およびADIは4種の異なる連結基を介して共有結合した:SS、SSA、S
PAおよびSSPAを含むエステル基またはマレイミド基、ここで各PEG分子は5,0
00、10,000、12,000、20,000、30,000および40,000の
平均分子量を有した;エポキシ基、PEG−エポキシ、ここでは各PEG分子は5,00
40
0の平均分子量を有した;および分枝PEG基、PEG2−NHS、ここで各PEG分子
は10,000、20,000および40,000の平均分子量を有した。
【0105】
生成した組成物の5IUをマウスに注射した(各群あたり5マウス)。アルギニンの血
清レベルを測定するために、マウスは後眼窩叢から採血された(100μl)。採血直後
に、等容量の50(重量/容量)%トリクロロ酢酸を加えた。沈殿を遠心(13,000
xgで30分間)により除去し、そして上清を取り出し、そして−70℃で凍結保存した
。次いでサンプルはベックマンインスツルメント(Beckman Instrumen
ts)からの自動化アミノ酸分析機および試薬を使用して製造元から供給されたプロトコ
ールを使用して分析した。この方法によるシトルリンの限界感度は約2∼6μMであり、
50
(36)
JP 2006-515281 A 2006.5.25
そして測定の再現性は約8%内であった。血清アルギニンの量は、アミノ酸分析により測
定した。PEGおよびADIを共有結合する連結基は、インビボで血清アルギニンを減少
するADIの能力に測定できる効果をもたなかった。
【0106】
連結基およびPEGの分子量がインビボで血清シトルリンレベルに及ぼす効果を評価す
る第2実験を行った。マウス(各群5匹)にADIおよびPEG−ADIの種々の組成物
を5.0IUの量で与えた。シトルリンの血清レベルを測定するために、マウスは後眼窩
叢から採血された(100μl)。採血直後に、等容量の50(重量/容量)%トリクロ
ロ酢酸を加えた。沈殿を遠心(13,000xgで30分間)により除去し、そして上清
を取り出し、そして−70℃で凍結保存した。次いでサンプルはベックマンインスツルメ
10
ントからの自動化アミノ酸分析機および試薬を使用して製造元により供給されたプロトコ
ールを使用して分析した。この方法によるシトルリンの限界感度は約2∼6μMであり、
そして測定の再現性は約8%内であった。シトルリンの量を測定し、そして曲線下の面積
をおよそ求め、そしてμmol日で表した。
【0107】
結果はPEGの分子量がPEG−ADI組成物の効力を決定することを示す。PEG−
ADI組成物の効果はPEGのADIへの結合方法または手段には基づかないようである
。
【0108】
結果は、PEGの最適な分子量が約20,000であることを示す。薬力学的観点から
20
PEG30,000はPEG20,000よりも優れているようであったが、PEG30
,000は溶解性が低く、これは作業をさらに難しくする。酵素活性の回収に基づく収率
はPEG5,000およびPEG12,000については約90%であり;PEG20,
000については約85%;そしてPEG30,000については約40%であった。し
たがって幾つかの態様では、PEG20,000がシトルリン生産により測定される収率
と循環半減期との間の良い妥協点となるようである。
【0109】
第3実験では、ADI−SS−PEG5,000およびADI−SS−PEG20,0
00を用いた血清アルギニン減少およびシトルリンの生産の用量応答を測定した。マウス
(各群5匹)に0.05IU、0.5IUまたは5.0IUのADI−SS−PEG5,
30
000またはADI−SS−PEG20,000ののいずれかの単回注射を与えた。示し
た時期に上記のように血清を集め、そしてアミノ酸分析を行って血清アルギニンおよび血
清シトルリンを定量した。両製剤は血清アルギニンに用量依存的減少を、そして血清シト
ルリンに用量依存的増加を誘導した。しかしADI−SS−PEG20,000により誘
導される効果は、ADI−SS−PEG5,000により誘導される効果よりも顕著で、
しかも長期間であった。
【実施例4】
【0110】
循環半減期
BalbCマウス(各群5匹)に、5.0IU用量の天然アルギニンデイミナーゼまた
40
はポリエチレングリコールで修飾したアルギニンデイミナーゼの種々の製剤を静脈内に単
回注射した。アルギニンおよびシトルリンの血清レベルを測定するために、マウスは後眼
窩叢から採血された(100μl)。採血直後に、等容量の50(重量/容量)%トリク
ロロ酢酸を加えた。沈殿を遠心(13,000xgで30分間)により除去し、そして上
清を取り出し、そして−70℃で凍結保存した。次いでサンプルはベックマンインスツル
メントからの自動化アミノ酸分析機および試薬を使用して製造元により供給されたプロト
コールを使用して分析した。この方法によるアルギニンの限界感度は約6pMであり、そ
して測定の再現性は約8%内であった。 【0111】
血清アルギニンレベルの用量依存的減少および血清シトルリンの上昇は、天然ADIま
50
(37)
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たはADI−SS−PEGの単回用量の投与から検出された。しかし血清アルギニンの減
少および血清シトルリンの上昇は短期であり、すぐに標準に戻った。アルギニン除去の半
減期を以下の表2にまとめる。
【0112】
【表2】
10
20
【実施例5】
【0113】
PEG修飾化ADIの抗原性
天然ADI、ADI−SS−PEG5,000およびADI−SS−PEG20,00
0の抗原性を測定するために、例えばPark,Anticancer Res.、同上
およびKamisaki,J.Pharmacol.Exp.Ther.、同上に記載さ
れている手順に従った。簡単に説明すると、BalbCマウス(各群5匹)に12週間、
毎週、約0.5IU(100μgのタンパク質)の天然ADI、ADI−SS−PEG5
,000またはADI−SS−PEG20,000を静脈内注射した。動物は実験開始時
30
および4、8および12週に後眼窩叢から採血された(0.05ml)。血清を単離し、
そして−70℃で凍結保存した。抗−ADI IgGの力価は、ELISAにより測定し
た。50μgのADIを96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに加え、そして
室温で4時間インキュベーションした。プレートをPBSですすぎ、次いでウシ血清アル
ブミン(1mg/ml)で覆って非特異的なタンパク質結合部位をブロックし、そして4
℃で一晩保存した。翌日、マウスの血清を希釈し、そしてウェルに加えた。1時間後、プ
レートをPBSですすぎ、そしてペルオキシダーゼにカップリングしたウサギ抗−マウス
IgGをウェルに加えた。プレートを30分間インキュベーションし、ついで生じたUV
吸収をマイクロタイタープレートリーダーを使用して測定した。力価はバックグラウンド
の吸収(約0.50OD)から2倍の上昇を生じる血清の最高希釈として定めた。
40
【0114】
ADI−SS−PEG5,000およびADI−SS−PEG20,000は天然のA
DIよりも有意に抗原性が低い。例えばわずか4回の天然ADIの注射が約10
6
の力価
を生じる一方、任意のPEG−ADI製剤の4回の注射では測定できる抗体を生成できな
かった。しかし8回の注射の後、ADI−PEG5,000は約10
2
の力価を有し、一
方ADI−PEG20,000は12回の注射後でもこのような量の免疫応答を誘導しな
かった。この結果はPEGをADIに結合することがタンパク質に対する免疫応答を鈍ら
せることを示す。
【実施例6】
【0115】
50
(38)
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ヒトに対する応用
PEG5,000−ADIおよびPEG20,000−ADIは正常ヒト血清と一緒に
エクスビボでインキュベーションし、そしてアルギニン濃度に及ぼす効果をアミノ酸分析
により測定し、ここで酵素は完全に活性であり、そしてすべての検出可能なアルギニンを
マウスが関与する実験と同じキネティックスで分解できることが見いだされた。反応は0
.1ml容量で37℃で1時間内に行った。
【0116】
さらにヒト血清中のアルギニンおよびシトルリンのレベルはマウスで見いだされたレベ
ルと同じである。PEG−タンパク質はマウスよりもヒトで長時間循環する。例えばアデ
ノシンデイミナーゼ、アスパラギナーゼ、グルコセルブロシダーゼ、ウリカーゼ、ヘモグ
10
ロブリンおよびスーパーオキサイドジスムターゼに結合したPEGの循環半減期は、すべ
てマウスにおける同じ製剤よりも5∼10倍長い循環半減期を有する。過去においてこれ
が意味したことは、ヒトの用量がマウスで使用される用量の1/5∼1/10であること
が最も多いということである。したがってPEG−ADIはマウスよりもヒトでさらに長
期に循環するはずである。
【実施例7】
【0117】
ADI−PEG20の抗ウイルス活性は、ヒト胚芽腫細胞株Huh7のトランスフェク
ションに由来する安定なHCV RNA複製細胞株AVA5で試験した(Blight et al.,細胞培養におけるHCV RNA複製の効率的な開始、Science,
20
2000 290:1972−1974)。
インビトロ複製アッセイ ヒト胚芽腫細胞株Huh7のトランスフェクションに由来する安定なHCV RNA複
製細胞株AVA5を使用した。AVA5細胞の分裂しているカルチャーを1日1回、3日
間(培地は各化合物の添加毎に交換した)、4種の濃度の試験化合物で処理した(1濃度
につき3カルチャー)。全部で6種の未処理対照カルチャー、および10、3および1I
U/mlのα−インターフェロン(細胞傷害性が無い活性な抗ウイルス剤)で処理した3
連のカルチャー、および100、10および1μMのリバビリン(抗ウイルス活性も細胞
傷害性もない)を対照として使用した。HCV RNAおよび細胞性β−アクチンRNA
レベルは化合物の最終投与から24時間後にドットブロットハイブリダイゼーションによ
30
り評価した。β−アクチンRNAレベルは各サンプル中の細胞RNAの量を標準化するた
めに使用した。毒性分析は、抗ウイルスアッセイについて使用したプレートとは別のプレ
ートで行った。毒性分析用の細胞を培養し、そして抗ウイルス評価について使用したもの
と同じスケジュールおよび同一の培養条件下で試験化合物を用いて処置した。各化合物は
4種の濃度で、それぞれ3連のカルチャーで試験した。中性のレッド色素の取り込みを使
用して、最終処理から24時間後の相対的毒性レベルを測定した。インターナライズした
(internalized)色素の510nm(A5
1 0
)の吸収を定量分析に使用し
た。試験カルチャーにおける値は、試験カルチャーとして同じプレート上に維持した未処
理細胞の9種の対照と比較した。50%および90%効果的な抗ウイルス濃度(EC5
EC9
0
)および50%細胞傷害濃度(CC5
ctivity Index)(CC5
0
0
0
)を算出し、そして選択指数(Sele
/EC5
0
40
)を作成するために使用した。10
以上のS.I.は、選択的な抗ウイルス効果と考える。
ADI−PEG20の抗ウイルス活性
ADI−PEG20(0.01IU/ml)の単回用量を、分裂しているカルチャー細
胞が50%の集密度に達した時、これらのカルチャーに加えた。対照としてアルファイン
ターフェロン(19IU/ml)および陽性対照としてリバビリン(100μM)を使用
した。処置から3日後、RNAは標準的な実験技法を使用してカルチャーから単離し、そ
してドットブロットを使用して評価した。HCV mRNAの量を測定し、そしてアクチ
ン(対照として使用する)に関するmRNAと比較した。HCV mRNAの対照レベル
の50%阻害を引き起こすために必要な薬剤(ADI、アルファインターフェロンまたは
50
(39)
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ラボビロン)の量を測定する。アクチンmRNAの50%阻害を引き起こす薬剤の用量は
、非特異的な阻害活性を有すると考えられる。この実験から得た結果を以下に示す。
【0118】
【表3】
10
【0119】
これらのデータは、ADI−PEGがほぼアルファインターフェロンのように、そして
リバビリンよりも大いにインビトロでのHCVウイルス複製を阻害することを示す。
【実施例8】
【0120】
AVA5細胞の分裂カルチャーを種々の濃度のPEG−ADI(または対照実験では、
アルファインターフェロンまたはリバビリン)で3日間処理した。HCV mRNAレベ
ルを上記のようにアッセイした。細胞の生存能はニュートラルレッドを使用して測定した
。HCV mRNAレベルを50%(IC5
0
)および90%(IC9
を測定した。細胞の50%を殺す薬剤濃度(CC5
0
0
)阻害する濃度
)も測定した。CC5
0
/EC5
0
20
は選択指数(SI)を測定するために算出する。SI>10はウイルス複製の選択的阻害
と考える。結果を以下に示す。
【0121】
【表4】
30
【0122】
これらのデータは、ADI−PEG20がHCV複製を阻害し、そしてこの薬剤が選択
的であることを確証する。
【実施例9】
【0123】
腫瘍患者を対象とした抗ウイルス活性およびNO合成
ADI−PEG20は、肝細胞癌を有し、そして慢性的にHCVに感染している患者を
対象として抗腫瘍活性について試験した。これら患者の血清中のHCVウイルス力価も、
ホフマン ラ ロッシュ(Hoffman La Roche)により開発された標準的
な臨床アッセイを使用して測定した。血清はADI−PEG20での処置前に得た。患者
に160IU/m
2
のADI−PEG20を1週間に1回、3週間注射した。3回目のA
DI−PEG20を注射してから1週間後、患者から血清を単離し、そして再度、同アッ
セイを使用してHCV力価についてアッセイした。この実験結果を以下に示す。
【0124】
40
(40)
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【表5】
10
【0125】
これらのデータは、HCVに慢性的に感染しているヒトのADI−PEG処置が患者血
清中のHCV力価の有意な低下をもたらすことを示す。さらにアルファインターフェロン
はこれらの患者の∼50%に効果的であるだけで、HCV力価に50%の低下を達成する
ためには3∼6カ月の頻度の処置が必要であり、ADI−PEG20がこの点で、より一
層効果的であると思われる。
【0126】
ADI−SS PEG 20,000mwは、迅速な最適2段階フェイズ2試験に関す
るリチャード サイモン統計案(Richard Simon statistical
design)に従い、手術できないHCCの個体のフェイズ2試験で試験した(Si
20
mon R.1989.フェイズII臨床試験に関する最適な2段階計画。Contro
l Clin Trial 10:1−10;Simon RM,Steinberg SM,Hamilton M,Hildesheim A,khleif S,Kwak
LW,Mackall CL,Schlom J,Topalian SL,Berz
ofsky JA,2001.治療用癌ワクチンの早期臨床的開発に関する臨床試験計画
.J.Clin Oncol 19:1848−1854)。この試験はイタリア、ナポ
リのパスカル国立癌研究所(Pascale National Cancer Ins
titute)でイタリア保健省(Italian Health Ministry)
による認可の下、および地方の研究再審評議委員会(local institutio
nal review board)の認可を得て行なった。すべての個体にはヘルシン
30
キの宣言に従いインフームドコンセントが提供された。HCVに慢性的に感染し、手術で
きないHCCの全部で18名の個体をこの実験に登録した(Izzo提出)。この試験中
、3名が進行性の疾患から死亡し、そしてすべての3サイクルの処置を受けることができ
ず、すなわち更なる分析から排除された。残りの15名の個体は、3サイクル(それぞれ
が1週間に4オンスの注入からなる)のADI−SS PEG20,000mwを、最適
な生物学的用量(Optimum Biological Dose)で受けた。この最
適な生物学的用量は、血清アルギニンを∼130μMの静止レベルから検出レベル未満(
<2μM)に少なくとも7日間下げるADI−SS PEG20,000の量と定めた(
∼160IU/m
2
)。
【0127】
この治療が腫瘍に有した作用を、4週間毎に1回、CTスキャンにより評価した。応答
は標準的な国立癌研究所(NCI)の基準に従い進行性疾患(PD)、安定な疾患(SD
)、部分的応答(PR)または完全な応答(CR)のいずれかと定めた。この試験結果は
、HCCおよびHCVを持つ15個体で以下の応答が見られたことを示した: 【0128】
40
(41)
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【表6】
【0129】
10
全身的な抗腫瘍処置(または抗ウイルス処置)を、この試験前または最中に受けた個体
は無かった。臨床的な研究室の試験は実験中、少なくとも1週間に2回行い、そして血漿
サンプルは1週間に1回集め、そして−70℃で保存した。これらの凍結保存したサンプ
ルは、後にHCVについて試験した。
HCV力価に関するアッセイおよびヒト血清サンプルの血清型の決定
HCVウイルス力価は、標準的な臨床ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイ、コバ
ス アンプリコールHCVモニター 試験(Cobas Amplicor HCV M
onitor Test)、2.0バージョン;ロッシュ ダイアグノスティク(ドイツ
1999)を使用して、病院の感染疾患臨床研究室で測定した。遺伝子型は同様に測定
した。ウイルス力価はADI−SS PEG20,000mw処理の前および治療から1
2週間後に集めた血漿サンプルについて測定した。
NO合成
ADI−SS PEG20,000mwでの処置により、血漿アルギニンの用量依存的
な減少および同時にNO合成の減少が生じる(データは示さず)。この処置はNOレベル
を有意に下げたが、この処置が血圧または心拍に及ぼす測定可能な効果は無かった。
【0130】
以下の表3はADI−SS PEG20,000mwがC型肝炎力価および肝機能試験
に及ぼす効果を列挙する。
【0131】
20
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【表7】
10
20
30
40
【0132】
本明細書に記載する各特許、Genbank寄託番号、特許出願および公報は、引用に
より全部、本明細書に編入する。
50
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【0133】
本明細書での記載に加え、本発明の様々な修飾が前述の説明の観点から当業者には明白
であろう。そのような修飾も添付する特許請求の範囲内にあることを意図している。
【配列表】
10
20
30
40
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【国際調査報告】
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
A61P 35/00
A61P 43/00
A61P 1/16
テーマコード(参考)
(2006.01)
(2006.01)
A61P 35/00
A61P 43/00
111 (2006.01)
(2006.01)
A61P
1/16
A61P 35/04
(2006.01)
(2006.01)
C12Q
1/34
ZNA C12Q
1/34
(2006.01)
C12Q
1/70
C12Q
1/34
C12R
1:35
C12Q
1/70
C12R
1:35
A61P 35/04
C12Q 1/34
C12Q 1/70
C12R
1/35
(81)指定国 AP(GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,
BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,
GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,
EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,M
N,MW,MX,MZ,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU
,ZA,ZM,ZW
Fターム(参考) 4C076 AA95 BB11 BB15 BB16 BB21 CC16 CC27 CC29 CC35 CC41
EE23 EE59 FF31
4C084 AA02 AA03 AA19 BA01 BA02 BA22 BA37 BA42 DC01 MA56
MA66 NA05 NA13 NA14 ZA751 ZA752 ZB261 ZB262 ZB322 ZB331
ZB332 ZB352 ZC011 ZC012
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