...

JGS震災地盤環境委員会 タスクフォース(TF)案

by user

on
Category: Documents
5

views

Report

Comments

Transcript

JGS震災地盤環境委員会 タスクフォース(TF)案
廃石膏ボード再資源化シンポジウム
2013年7月19日(金)
TKP東京駅前カンファレンスセンター
再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の
環境安全品質ガイドラインについて
(独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター
主任研究員 肴倉 宏史
[email protected]
発表の内容
1. 「循環資材に共通の環境安全品質に関
する基本的考え方」の紹介
2. 「再生石膏を用いた農業用土壌改良資
材の環境安全品質ガイドライン」」に関す
る取組の紹介
2
循環資材の例
建設副産物・廃棄物
建設発生土
廃アスファルトコンクリート
廃コンクリート
建設汚泥
廃石膏ボード など
鉄鋼スラグ・非鉄スラグ
高炉スラグ
製鋼スラグ(転炉系)
製鋼スラグ(電気炉系)
銅スラグ
フェロニッケルスラグ など
石炭灰
フライアッシュ
クリンカアッシュ など
都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰
焼却主灰、溶融スラグ
下水汚泥焼却灰、溶融スラグ など
循環資材の発生量
副産物・廃棄物の種類
建設副産物・廃棄物
建設発生土
a
コンクリート塊
1.4 億 m3
a
アスファルト・コンクリート塊
廃石膏ボード
非鉄スラグ
石炭灰
b
c
a
2000 万トン
180 万トン
750 万トン
高炉スラグ
2300 万トン
製鋼スラグ(転炉)
1000 万トン
製鋼スラグ(電気炉)
300 万トン
銅スラグ
300 万トン
フェロニッケルスラグ
230 万トン
d
下水汚泥中間処理残渣
e
3000 万トン
a
建設汚泥
鉄鋼スラグ
年間発生量
1200 万トン
f
一般廃棄物焼却灰(溶融スラグを含む)g
240 万トン
510 万トン
a 平成20年度建設副産物実態調査 b 鉄鋼スラグ統計年報(平成20年度実績) c 日本鉱業協会調べ(平成20年度実績)d 石炭灰全国実態調査報告書(平成19年度実績)
e 石膏ボード工業会(平成22年推計値) f 産業廃棄物排出・処理状況調査(平成17年度実績) g 日本の廃棄物処理 平成19年度版
4
廃棄物最終処分量の推移
100
“循環資材”
91 89 91 89
最終処分量(百万トン)
84
80
80
産業廃棄物
69 69
66
57
60
48
40
20
45
40 39
30
一般廃棄物
26 24
22 20
17 17 16 15 15
17
14 14 13 12
11 11 11 10
9.0 8.5 8.1 7.3 6.8
6.3 5.5
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
0
H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20
年 度
5
環境省統計値より作成
心配な点
安全性は大丈夫?
6
循環資材共通の環境安全品質の検討
「スラグ類の化学物質評価方法検討小委員会」(2009年度)
「コンクリート用骨材又は道路用等のスラグ類に化学物質評価方法を
導入する指針に関する検討会」(2010~11年度)
7

鉄鋼業や非鉄製錬業の副産物として生じるスラグ、
あるいは一般廃棄物等を溶融固化したスラグの循環
利用では、環境安全品質の管理が必要

環境安全品質の管理はあらゆる循環資材に必須で
あり、相互の整合性は重要な課題

そこで、あらゆる循環資材で共有できる「基本的な考
え方」を率先して提案し、それをコンクリート用ならび
に道路用スラグJISへ適用
「コンクリート用骨材又は道路用等のスラグ類に化学物質評価方法を
導入する指針に関する検討会」(2010年度~) 検討委員の構成 (50音順、敬称略)
<委員長>
大迫 政浩
<委
岡本
長田
鹿毛
菊池
久保
栗栖
小林
員>
誠一郎
守弘
忠継
喜昭
和幸
一之
延房
肴倉 宏史
清水 和久
陣内 浩
副田 康英
塚越 浩
辻
長瀧
橋本
細見
前田
丸山
薮田
山中
幸和
重義
修治
正明
正俊
暉彦
和哉
量一
渡辺 博志
(独) 国立環境研究所 企画部 次長
(独) 土木研究所 材料地盤研究グループ 上席研究員
(社) 日本産業機械工業会 代表企業委員
(独) 建築研究所 材料研究グループ 上席研究員
(独) 港湾空港技術研究所 地盤・構造部 部長
(独) 土木研究所 道路技術研究グループ 上席研究員
日本鉱業協会 非鉄スラグ委員会 委員長
(社) 日本土木工業会 (飛島建設 (株) 土木事業本部 土
木技術部 技師長)
(独) 国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター
主任研究員
旭コンクリート工業 (株) 技術部長
大成建設 (株) 技術センター 建築技術研究所 主任研究
員
全国生コンクリート工業組合連合会 技術委員長
東京二十三区清掃一部事務組合 施設管理部 副参事
(特命担当)
群馬大学大学院 教授
愛知工業大学 特任教授
日本道路(株) 執行役員技術部長
東京農工大学大学院 教授
JX日鉱日石金属 (株) 金属事業本部 総括室 主席技師
長岡技術科学大学 教授
鐵鋼スラグ協会 技術委員長
(株) 神戸製鋼所鉄鋼部門技術総括部 資源循環グルー
プ グループ長
(独) 土木研究所 材料地盤研究グループ 上席研究員
※所属・役職名は 2011年 3月当時
8
<関係者>
秋山 博
浅古 勝久
根木 桂三
石井 芳明
奥村 博昭
鯉江 雅人
坂本 浩一
坂元 耕三
鈴木 澄江
高橋 和敬
坪井
藤原
堀越
松井
森戸
晴人
忠
稔
康治
義貴
日本鉱業協会 技術部 兼 環境保安部 部長代理
国土交通省 大臣官房技術調査課 課長補佐
環境省 水・大気環境局 土壌環境課
経済産業省 製造産業局 住宅産業窯業建材課 セメント係
長
鐵鋼スラグ協会 技術部長
経済産業省 資源エネルギー庁 鉱物資源課 課長補佐
経済産業省 産業技術環境局 産業基盤標準化推進室 係
長
経済産業省 産業技術環境局 産業基盤標準化推進室 課
長補佐
(財) 建材試験センター 経営企画部 調査研究課 課長
経済産業省 産業技術環境局 環境生活標準化推進室 課
長補佐
(社) 日本産業機械工業会 部長
環境省 大臣官房 廃棄物・リサイクル対策部 廃棄物対策課
経済産業省 製造産業局 鉄鋼課製鉄企画室 課長補佐
国土交通省 住宅局 建築指導課 課長補佐
国土交通省 道路局 国道・防災課 技術企画官
循環資材が確保すべき環境安全品質(1)
地下水の摂取
降雨
雨水の浸透
循環資材
(汚染物質の放出)
地下水面
汚染物質の移動
ヒトや環境へ悪影響を与えないようにするために
循環資材の周辺環境媒体の環境基準等が守られること
でも,循環資材はずっとその場所にあるの?
9
循環資材が確保すべき環境安全品質(2)
自由に流通
自由にリサイクル
自由流通基準
合格
利用
材料段階
チェックゲート
循環資材
利用環境
利用段階
チェックゲート
10
利用条件別
管理基準
合格
管理・大口利用
・利用方法や利用場所を制限
・届出や許可制による所在管理
⇒ 循環資材のライフサイクルのなかで、
最も配慮すべき曝露環境に注目
循環資材が確保すべき環境安全品質(3)
他の資材と混合
二次製品
構造物
単体で使用
舗装工
地盤材料
多様な利用形態を考慮
11
循環資材が確保すべき環境安全品質(4)
人 体
飛散・揮散
循環資材
粒子
混入
溶出
土 壌
大 気
摂取・付着
地下浸透
表面流出
地下水
表流水・海水
吸収・付着
摂取・吸収・付着
吸 入
降下・吸収
淡水
水吸収
土遊び等
皮膚吸収
飲料水
経口摂取
水産物
食 品
農畜産物
土壌微生物
藤倉まなみ(1999)土壌環境の保全と埋立処分,
廃棄物学会誌,10(2)138-146を修正
「溶出経路」
「直接摂取経路」 ⇒ 環境影響の経路の考慮
12
循環資材に共通の環境安全品質の基本的考え方
合理的な範囲でできるだけ簡単な検査・・・
⇒以上より、次の5項目を提案
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
13
最も配慮すべき曝露環境に基づく評価
放出経路に対応した試験項目(溶出・含有)
利用形態を模擬した試験方法
環境基準等を遵守できる環境安全品質基準
環境安全品質を保証するための合理的な検査体系
「環境安全形式検査」における試料調製と試験方法
一般用途:コンクリートとしての利用後に破砕され、路盤材として再利用
破砕し粒度を調製
(RC-40相当)
他材料
「利用模擬試料」
スラグ骨材
成形体を作製
溶出量試験:JIS K0058-1の5. (有姿撹拌試験)
含有量試験:JIS K0058-2
港湾用途:港湾のコンクリート構造物としての半永久的利用
スラグ骨材のままでの
試験も可
他材料
溶出量試験:JIS K0058-1の5.
(有姿撹拌試験)
スラグ骨材
14
環境安全形式検査 と 環境安全受渡検査
かたしき
環境安全形式検査
環境安全受渡検査
環境安全品質基準への適合を確認
環境安全形式検査に合格したものと
同じ方法で製造されたものについて,
環境安全品質を速やかに保証する
利用形態を模擬した
試料調製と試験
15
うけわたし
出荷される製品で試験
共通の「基本的考え方」に基づく環境安全品質導入の展開
循環資材の環境安全品質および
検査方法に関する基本的考え方
スラグ指針検討会報告書
建設分野の規格への環境側面導入に関する指針
(日本工業標準調査会)
附属書1 コンクリート用スラグ骨材に環境安全品質
及びその検査方法を導入するための指針
附属書2 道路用スラグに環境安全品質及びその検
査方法を導入するための指針
2 年以内に導入
再利用が想定される用途
コンクリート用骨材
道路用材
アスファルト用材
路盤材
・・・
JIS A5011-1, -2, -3, -4, JIS A5015,
JIS A5031, JIS A5032, (今後制定されるJIS)
その他の環境JIS
港湾工事における石炭灰混合材料の有効利用
ガイドライン ((財)石炭エネルギーセンター)
再利用が想定されない用途
コンクリート用骨材
地盤改良材
ケーソン中詰め材
サンドコンパクションパイル材
環境修復用材
・・・
港湾・空港等整備におけるリサイクル技術指針(案)
非鉄スラグ利用技術マニュアル
((財)沿岸技術センター)
その他の循環資材利用ガイドライン
リサイクル製品認定制度共通指針
発表の内容
1. 「循環資材に共通の環境安全品質に関
する基本的考え方」の紹介
2. 「再生石膏を用いた農業用土壌改良資
材の環境安全品質ガイドライン」」に関す
る取組の紹介
17
ガイドラインの背景
循環型社会の形成に資するものとして、廃石膏ボード再資源化のための
取組が全国各所で進められている。
国土交通省(平成24年3月)「廃石膏ボード現場分別解体マニュアル(案)」
解体排出の手順、再生利用が困難なボードの処理方法、アスベストな
ど有害物質を含有した一部の石膏ボードの判別方法、管理型処分場へ
の搬入等を指示。
解体業者や中間処理業者の対応が進み、
再生処理業者へ搬入される廃石膏ボー
ドの品質が向上
さらに今後、増加の一途を辿る廃石膏
ボードの循環利用推進のために、廃石膏
ボードから再生処理された「再生石膏」の
用途開拓が喫緊の課題
18
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
ガイドラインの目的
本ガイドラインは、再生石膏の用途として農業用
の土壌改良資材に利用するための考え方と具体
的な検査方法を示すことを目的とする。
再生石膏が土壌改良資材として安心して利用さ
れるように、本ガイドラインの内容には、廃石膏
ボードを原料としているために混入する恐れの
ある有害物質への対応方法や責任を含めること
とした。
19
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
ガイドラインの構成
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」」
試行版 第一版 より抜粋
1章 本ガイドラインの目的
2章 適用範囲
3章 再生石膏を土壌改良資材として用いるにあたって
3.1 石膏の農用地への施用の効
果
3.2 再生石膏が保障すべき環境安全品質の項目
3.3 アスベスト等含有ボードへの対応
3.4 硫化水素への対応
3.5 pHへの対応
重金属等
4章 「循環資材に共通の環境安全品質の考え方」の適用
5章 環境安全品質検査方法
5.1 環境安全品質基準
5.2 環境安全形式検査方法
20
5.3 環境安全受渡検査方法
5.4 検査の責任者及び検査の頻
度
2章 適用範囲
本ガイドラインが示す環境安全品質とその
検査方法は、廃石膏ボードを原料とし、再
生処理して得られた再生石膏のうち、農業
用の土壌改良資材として利用しようとする
ものに対して適用する。
21
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
ガイドラインの構成
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」」
試行版 第一版 より抜粋
1章 本ガイドラインの目的
2章 適用範囲
3章 再生石膏を土壌改良資材として用いるにあたって
3.1 石膏の農用地への施用の効
果
3.2 再生石膏が保障すべき環境安全品質の項目
3.3 アスベスト等含有ボードへの対応
3.4 硫化水素への対応
3.5 pHへの対応
重金属等
4章 「循環資材に共通の環境安全品質の考え方」の適用
5章 環境安全品質検査方法
5.1 環境安全品質基準
5.2 環境安全形式検査方法
22
5.3 環境安全受渡検査方法
5.4 検査の責任者及び検査の頻
度
3.1 石膏 の農用地への施用の効果
財団法人日本土壌協会発行『土壌改良と資材』
海水に氾濫した土壌の矯正に石こうを用いて、透水性の著しい改善効果を認め
て以来、1960~1980年代には石こうの土壌改良に関する多くの試験が世界各
地で行われた。その結果、石こうの有用性は以前に知られていたより、広い範囲
の土壌や作物に適用されることが示された。
1992年の肥料取締法改定
“石こう(リン酸を生産する際に副産されるものに限る。)”が、特殊肥料に指定。
「非アロフェン土壌におけるアルミニウムの過剰障害に対する改善効果」が認め
られたもの。
天然石こうを主原料とし、これに若干の有機質肥料を混合した石こう質土壌改良
材が市販されている。商品として15~20 kg袋入りで販売されており、土壌の膨
軟性・通気性・酸度調整・根の発育性・水稲の倒伏防止、品質向上等の改善に
効用があるとうたわれているが、現状では法的制約のない土壌改良資材の一種
として使われている。民間農法として、水稲栽培にカルゲンを施用(45 kg~75
kg/10a)したカルゲン農法がある。また、リン酸石こうやふっ酸石こうにリグニン、
フミン酸、リン酸、硫化鉄、硫酸などを加えた資材も利用されている。
23
3.1 石膏 の農用地への施用の効果(つづき)
植物に対する効果
土壌に対する効果
(ア) カルシウムの効果
(ア) 強酸性下層土の改善
(イ) pHの矯正
(イ) 塩基供給能の改善
(ウ) 硫黄の効果
(ウ) 硫黄欠乏土壌の改良
(エ) 塩類土壌・アルカリ土壌の改良
(オ) 土壌コロイドの安定化
(カ) 床土の補助資材としての利点
以上のことから、石膏の土壌改良資材としての効果は確固なものと
認識される。したがって、再生石膏についても、土壌改良資材として
の効果は十分に期待され、環境安全品質管理が十分になされること
により、農作物の生産と循環型社会形成の両者に大きく貢献するも
のと期待される。
24
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
3.2 再生石膏製品が保証すべき環境安全品質の項目
廃石膏ボードを原料としているために対応すべき有害物質等について有識
者ヒアリングを実施した結果を踏まえ、再生石膏を利用するために以下の
項目について考え方を明確にする必要があると判断
1. アスベスト等: 他の石膏には含まれる恐れのない有害成分が、再生
石膏製品にも同様に、含まれる恐れがないこと(3.3節)。
2. 硫化水素: これまでに石膏が施用された農用地において、その発生
抑制が十分に管理可能な有害物質が、再生石膏を施用した農用地にお
いても同様に、十分に管理可能であること(3.4節)。
3. 農用地土壌の特性(pH): 再生石膏製品が施用された土壌の特性のうち
特にpHについて、施用前の特性と異ならないこと(3.5節)
4. 再生石膏中の重金属等: 再生石膏製品が、農用地へ施用される各種
肥料等に対して定められた“含有を許される有害成分の最大量”等の
関係基準と同等の値を満足できること(4章・5章)。
5. 農用地における重金属等: 再生石膏製品が施用された農用地の土壌
が、人の健康保護や生活環境保全のために定められた「土壌の汚染に
係る環境基準」他、有害物質に関する基準と同等の値を満足できるこ
と(4章・5章)。
25
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
3.3 アスベスト等の有害物質を含有する廃石膏ボードへの対応
一般社団法人石膏ボード工業会「廃石膏ボードの再資源化について」
有害成分として、過去に、特定の石膏ボード製品に含まれていたアスベスト、ヒ
素、カドミウムについて留意する必要性を指摘。
平成25年7月現在、石膏ボードハンドブック環境編としてWeb掲載
http://www.gypsumboard-a.or.jp/safety/index.html
解体作業時に破砕されてしまうと、分別や分離が困難に
石綿障害予防規則に基づく適正な対応を行う必要
廃石膏ボード受入業者は、建築物解体業者に対して、有害成分を含有する廃
石膏ボードが確実に除外されていることを確認する必要
アスベストを含有する石膏ボードは以下のような特徴等を有しており、主に
建築物の解体時に管理を着実に行うことにより、再生石膏原料への混入除
外は十分に可能
-アスベスト入り石膏ボードが使用された建築物の建築年度は限定的である。
-アスベスト入り石膏ボードが使用された建築物は、非住宅向けであり、限定的である。
-石膏ボード表面に印字されている製品名、防火材料認定番号から識別が可能である。
26
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
27
3.4 硫化水素への対応
通常の石膏肥料や土壌改良資材と同じ扱いで問題ない。
稲作における硫化水素の被害は,主に老朽化水田における秋
落ちと呼ばれる問題があったが,今日ではほぼ全ての水田で秋
落ちの問題は解決されている。秋落ちは,水田の鉄欠乏が原因
であり,鉄分がないために,発生した硫化水素が硫化鉄として
固定されずに稲の発育障害をおこす現象である。
老朽化した水田で秋落ちの心配がある場合や鉄分がすぐに溶
脱してしまうような土壌である場合,無硫酸根肥料の施肥が必
要であったり,含鉄資材の投入などの改良が行われることから,
再生石膏由来の土壌改良資材に特化した対応は特に必要ない
と考える。
28
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
3.5 pHについて
植生への影響が大きいため、再生石膏を土壌へ混合す
ることにより土壌のpHが大きく変化してはならない。石膏
は中性であるが、石膏ボードとして長期間使用され、そ
の後、解体されて再生石膏として製品化されるまでの間
に、土壌のpHに影響を及ぼす性質となっていないことを
確認することが重要。
そこで、次章以降で述べる「環境安全形式検査」および
「環境安全受渡検査」では、それぞれ、土と混合したもの
と再生石膏単味のものについて溶出試験を行う際に、pH
が適切な範囲にあることを確認する。通常の工程にした
がっていれば問題ないと思われ、安心を高めることがpH
測定の主眼である。
29
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
4章 重金属等に対する考え方
“循環資材に共通の環境安全品質の基本的な考え方”
「コンクリート用骨材又は道路用等のスラグ類に化学物質評価方法を導入す
る指針に関する検討会総合報告書」 第2章
www.jisc.go.jp/newstopics/2012/201203slag_hokokusho.pdf
• 様々な立場の委員や関係者によって2年以上の検討を重ねて策定
• 鉄鋼スラグ、非鉄スラグ、溶融スラグの日本工業規格(JIS)は、これに
基づき、環境安全品質を導入
• 様々な循環資材のJIS、ガイドライン、マニュアルなどへ導入
循環資材を農業利用する際も、この“基本的な考え方”が参考にな
るものと考え、本ガイドラインではこれを骨子とし、再生石膏を土壌
改良資材として利用する場合の環境安全品質とその検査方法を規
定した。
30
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
循環資材に共通の環境安全品質の基本的な考え方
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
31
最も配慮すべき曝露環境に基づく評価
放出経路に対応した試験項目(溶出・含有)
利用形態を模擬した試験方法
環境基準等を遵守できる環境安全品質基準
環境安全品質を保証するための合理的な検査体系
「基本的考え方」の土壌改良資材への適用
(1) 最も配慮すべき 環境安全品質の評価は,対象とする循環資材の合理
曝露環境に基づ 的に想定しうるライフサイクルの中で,環境安全性に
く評価
おいて最も配慮すべき曝露環境に基づいて行う。
土壌改良資材として利用されている状態を想定すれば良いと考えられる。た
だし、ある年数が経過後に、同じ農地に再生石膏を再散布することによる農
用地への蓄積を考慮する必要がある。
(2) 放出経路に対応 溶出量や含有量などの試験項目は,(1) の曝露環境
した試験項目
における化学物質の放出経路に対応させる。
再生石膏を土壌改良資材へ利用する場合は、土壌と混合し農地として利用
するので、溶出量と含有量の両方を試験しなければならない。
32
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
「基本的考え方」の土壌改良資材への適用(つづき)
(3) 利用形態を模擬 個々の試験は,試料調製を含め,(1) の曝露環境に
した試験方法
おける利用形態を模擬した方法で行う。
環境基準等
特殊肥料の
品質表示基準注1)
土壌の汚染に係る
環境基準
土壌汚染対策法
指定基準
試料
再生石膏単味試料
利用模擬試料
利用模擬試料
溶出
昭和48年
環境庁告示第13号
含有
肥料分析法注3)
試験
方法
平成3年
平成15年
環境庁告示第46号注2) 環境省告示第18号注2)
平成3年
環境庁告示第46号
平成15年
環境省告示第19号
注1) 特殊肥料の品質表示基準を定める件(平成12年8月31日農林水産省告示第1163号)
注2) 平成15年環境省告示第18号は平成3年環境庁告示第46号を引用しており、同一の方法である。
注3) 肥料分析法(農林水産省農業環境技術研究所法)。巻末資料を参照のこと。
33
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
利用模擬試料の調製
利用模擬試料の調製に際しての、再生石膏と土との配合比
土壌への混合量 10 aあたり45~75 kg ( 『土壌改良と資材』)
撹拌混合の深さ 0.1~0.3 m
土壌の乾燥密度: 1.2~1.5 ×103 kg/m3
連用年数: 100年 (下記)
「乾物1トンを100年連用しても上限値を超えることがない汚泥肥料中の重金属含有
量を基準値として設定する」(平成11年における汚泥肥料の規制強化について)
以上より、
再生石膏/土
= (45~75 kg)/{(0.1~0.3 m)×1000 m2)×(1.2~1.5×103 kg/m3)}
×100年
= 1.0~6.25%
以上を勘案し、再生石膏の土に対する配合比を10%に設定。
※土壌中の有害物質が要因となり基準を超過する場合、超過しない土壌を用いて再試験を行う。
34
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
「基本的考え方」の土壌改良資材への適用(つづき)
(4) 環境基準等を遵 環境安全品質の基準設定項目と基準値は,周辺環
守できる環境安 境の環境基準や対策基準等を満足できるように設定
全品質基準
する。
土壌改良資材と同様に土壌と混合利用される一部の肥料については、「特殊
肥料の品質表示基準」が定められていることから、土壌改良資材についても
これを遵守することが望ましいと考え、適用することとした。また、農地土壌と
して遵守しなければならない土壌の汚染に係る環境基準、及び、遵守するこ
とが望ましいと思われる土壌汚染対策法指定基準を適用する
ただし、各々の基準における測定項目のうち、再生石膏に明らかに含まれて
いないものについては、適用を除外することとした。すなわち、揮発性有機化
合物、農薬類およびシアンについては、再生石膏に含まれる可能性は極めて
低いことから適用を除外する。また、リンについては作物への有効成分である
ことから適用を除外する。さらに、フッ素及びホウ素については、次の資料よ
り、土壌環境基準の農用地への適用が除外されていることから、適用を除外
する。
35
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
「基本的考え方」の土壌改良資材への適用(つづき)
環水土第44号(平成13年3月28日)「土壌の汚染に係る環境基準について
の一部改正について」より抜粋
以上の考え方に基づき、環境安全品質基準を5章で規定。
なお、これらの考え方は農用地に限定されるため、農用地以外の用途には
適用できない。また、将来、農用地以外に土地が利用される際には、その
時点において、法律等に則って適切に評価されなければならない。
36
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」」
試行版 第一版 より抜粋
5章 環境安全品質検査方法
5.1 環境安全品質基準及び環境安全受渡検査判定値
5.1.1 環境安全品質基準
5.1.2 環境安全受渡検査判定値
5.2 検査方法
5.2.1 環境安全形式検査方法
5.2.2 環境安全受渡検査方法
5.3 検査の責任者と検査の実施者
5.4 検査の頻度
37
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
土壌改良資材へ利用する再生石膏の環境安全品質基準
(溶出量基準)
参考とした基準
再生石膏単味試料
利用模擬試料
特殊肥料の品質表示基準
土壌の汚染に係る環境基準
試験方法
水銀
昭和48年環境庁告示第13号
検液1Lにつき0.005mg以下
平成3年環境庁告示第46号注2)
検液1Lにつき0.0005mg以下
カドミウム
検液1Lにつき0.3mg以下
検液1Lにつき0.01mg以下
鉛
検液1Lにつき0.3mg以下
検液1Lにつき0.01mg以下
六価クロム
検液1Lにつき六価クロム1.5mg
以下
検液1Lにつき0.05mg以下
ヒ素
検液1Lにつき砒素0.3mg以下
検液1Lにつき0.01mg以下
セレン
検液1Lにつき0.3mg以下
検液1Lにつき0.01mg以下
pH(参考値)注1) 5.8以上8.6以下
5.8以上8.6以下
注1) 排水基準を参考に設定した。
38
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
土壌改良資材へ利用する再生石膏の環境安全品質基準
(含有量基準)
試料
再生石膏単味試料
参考とした基準
特殊肥料の
品質表示基準
土壌の汚染に係る
環境基準
土壌汚染対策法
指定基準
試験方法
肥料分析法
平成3年
環境庁告示第46号
平成15年
環境省告示第19号
カドミウム
ヒ素
銅
水銀
ニッケル
クロム
六価クロム
鉛
セレン
利用模擬試料
試料1kgにつき5mg以下
(米1kgにつき0.4mg未満)
試料1kgにつき150mg以下
試料1kgにつき50mg以下
試料1kgにつき15mg未満
試料1kgにつき150mg以下
試料1kgにつき125mg未満
-
-
試料1kgにつき2mg以下
-
試料1kgにつき15mg以下
試料1kgにつき300mg以下
-
-
試料1kgにつき500mg以下
-
-
-
-
試料1kgにつき250mg以下
試料1kgにつき100mg以下
-
試料1kgにつき150mg以下
-
-
試料1kgにつき150mg以下
注)取り消し線を付したものは、より厳しい基準が設定されていることから適用を除外
39
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
環境安全受渡検査判定値 (再生石膏単味試料による)
試験方法
溶出量試験
環告46号
含有量試験
肥料分析法
検査項目
カドミウム、ヒ素、pH
カドミウム、ヒ素
環境安全受渡検査判定値
下記の要領で設定する。
ただし、特殊肥料の品質表
示基準と同等の値を満足す
ること。
また、参考値として、溶出量
試験のpHは5.8~8.6の範囲
内であること。
1回につき実施する試験の数を減らすため、溶出量試験と含有量試験は各1試験
とし、安全側で判定できるように試験方法を選定した。
pHについては、作物によっては酸性を好むものがあるため、参考値とした。
40
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
5.3 検査の責任者と検査の実施者
項目
41
環境安全形式検査
環境安全受渡検査
検査の責任者
再生石膏の製造業者
再生石膏の製造業者
試料の採取者
再生石膏の製造業者
再生石膏の製造業者
試料の調製、試験
及び測定者
検液の調製及び分析は,JIS
Q 17025,又は,JIS Q 17050- 再生石膏の製造業者又は再
1及びJIS Q 17050-2に適合し 生石膏の製造業者から委託を
ている試験事業者,又は環境 受けた試験事業者
計量証明登録事業者
判定者
再生石膏の製造業者
再生石膏の製造業者
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質ガイドライン」試行版 第一版 より抜粋
5.4 検査の頻度
環境安全形式検査
• 製造工程等の変更に伴い基準設定項目の値が変化する可能性
のある場合
• 混合する土壌の種類が明らかに異なるものへ変更する場合
• これらに該当しない場合であっても有効期限を定めて実施
環境安全受渡検査
• 製造ロットごとに行うことを基本
製造ロットの大きさ等については当事者間の協議によって定める。一般
には、製造ロットごとに、要求される品質・性能を満たしているものと解
釈されることから、まず製造ロット内における変動が十分に小さいことを
確認するのが望ましい。
なお、環境安全受渡検査における環境安全品質の保証の範囲は、本ガイド
ラインで提示した配合割合の最大値(10 aあたり75 kg)以下であるので注
意しなければならない。
42
「再生石膏を用いた農業用土壌改良資材の環境安全品質
ガイドライン」 試行版 第一版 について
平成25年7月、石膏再生共同組合より発行
監修:
松本聰
肴倉宏史
遠藤和人
佐藤研一
藤川拓朗
43
一般財団法人日本土壌協会
独立行政法人国立環境研究所
独立行政法人国立環境研究所
福岡大学
福岡大学
循環資材の利用推進と環境安全品質
利用を推進
天然資源消費量の節約
利用を制限
有害物質を含む場合がある
「環境基準を守る」
ための品質管理が必要
資源採取に伴う
環境破壊の抑制
最終処分場消費
容量の節約
リサイクルは
重要!
環境安全性は
重要!
“バランス”が必要
44
ご静聴ありがとうございました。
45
Fly UP