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ドーピング防止の基礎

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ドーピング防止の基礎
10/5/2011
ドーピング防止の基礎
日本薬剤師会ドーピング防止に関する
特別委員会作成資料を中心に
ドーピングとは何か?
2008年3月作成
2009年4月改訂
2010年3月改訂
2011年4月改訂
福岡県薬剤師会薬事情報センター 松永ゆかり
2011.9.30
ドーピングの定義
世界ドーピング防止規程(The World Anti-Doping Code)によっ
て定義されている。具体的には以下の8項目のうちの1つ、又は
2つ以上に該当する場合を言う。
‹ 競技者の検体に、禁止物質又はその代謝物若しくはマーカーが存在する
こと。
‹ 競技者が禁止物質若しくは禁止方法を使用すること又は使用を企てるこ
と。
‹ 適用されるドーピング防止規則において認められた通告を受けた後に、
やむを得ない理由によることなく検体の採取を拒否し若しくは検体の採取
を行わず、又はその他の手段で検体の採取を回避すること。
‹ 検査に関する国際基準に準拠した規則に基づき宣告された、居場所情
報未提出及び検査未了を含む、競技者が競技会外の検査への競技者
の参加に関する要請に違反すること。検査未了の回数又は居場所情報
未提出の回数が、競技者を所轄するドーピング防止機関により決定され
た18ヶ月以内の期間に単独で又はあわせて3度に及んだ場合には、ドー
ピング防止規則違反を構成する。
‹ ドーピング・コントロールの一部に不当な改変を施し、または不当な改変
を企てること。
‹ 禁止物質又は禁止方法を保有すること。
‹ 禁止物質若しくは禁止方法の不正取引を実行し、又は不正取引を企てる
こと。
‹ 競技会において、競技者に対して禁止物質若しくは禁止方法を投与する
こと、若しくは投与を企てること、競技会外において、競技者に対して競
技会外で禁止されている禁止物質若しくは禁止方法を投与すること、若
しくは投与を企てること、又はドーピング防止規則違反を伴う形で支援し、
助長し、援助し、教唆し、隠蔽し、若しくはその他の形で違反を共同するこ
と、若しくはこれらを企てること。
つまり・・・
禁止物質の使用はもちろんのこと、
禁止物質を所持する、検体採取を拒否することも
ドーピング違反となる!
ドーピングの主な禁止理由
‹スポーツの価値を損なう
ドーピングはなぜだめなのか?
‹フェアプレーの精神に反する
‹競技者の健康を害する
‹反社会的行為である
JADA「ドーピング検査Q&A」より抜粋
1
10/5/2011
1.スポーツの価値を損なう
スポーツは、世界中の人々にとって貴重で普遍的な文化財
産である。
2.フェアプレーの精神に反する
スポーツはルールの遵守が大前提である。
↓
ドーピングによりいくら好成績を残したとしても、ドーピングは、
スポーツの存在意義や価値をおとしめる行為であり、絶対に
認められない!
スポーツはドーピングに対して反対の立場であり、
スポーツに参加する人はドーピング防止規程を
守る事が大前提である。
スポーツは競技能力の高さだけを競うものではない!
自分だけ規程を遵守しないという事は、
スポーツマンシップに反しアンフェアである!!
3.競技者の健康を害する
医薬品
臨床試験により治療効果と副作用のバランスで用量を設定
4.反社会的行為である
スポーツの文化価値の低下
薬を使わないと一流になれないのでは文化価値が低下!
ドーピングに使用する場合は・・・
青少年への悪影響
通常用量をはるかに超えて使用されることがある!
選手が使っていると必ずまねをする青少年が出る!
例:メチルテストステロンは男子不妊症などに対して50mg/day
程度の用量で用いられるが、ドーピングでは数g/weekの単
位で用いられた例もある。
致命的な有害事象が起こってもおかしくない!
薬剤師会ドーピング防止活動
ドーピング防止における
薬剤師会の取り組み
2003年 NEW!!わかふじ国体
国体におけるドーピング検査の開始
↓
(社)静岡県薬剤師会
「薬局におけるアンチ・ドーピングガイドブック」の作成、
ド ピングホットラインの設置・・・等の活動を実施
ドーピングホットラインの設置・・・等の活動を実施。
2004年 日本薬剤師会アンチ・ドーピングに関する特別委員会
を設置※。埼玉(2004年)、岡山(2005年)、兵庫(2006
年)、秋田(2007年)、大分(2008年)、新潟(2009年)、
千葉(2010年)を全国展開のモデル事業と位置づけ、
開催県の薬剤師会活動を支援。
※現在は、国内における呼称との調和を図るため「ドーピング防止に関する特別委員
会」と名称を改めた。
2
10/5/2011
なぜ薬剤師によるドーピング防止活動が
有用なのか?
薬剤師に求められているものとは?
1.薬の専門家である。
禁止表には必ずしも薬物名が記載されているわけではない。
↓
例えば、「ベータ 2作用薬は禁止」といわれても、一般の選手
がもらった薬がこれに当たるのかどうか判別するのは困難。
↓
薬の専門家である薬剤師なら容易に判別可能である!
医薬品
の知識
ドーピング
の知識
2.実際に薬の調剤、販売等をしている。
患者さんに最終的に薬を渡すのは薬剤師である。
↓
薬局等の現場でのコミュニケーションによって、
うっかりドーピングは有効に防止することができる!
選手の身近なアドバイザー
WADA禁止表(
WADA
禁止表(2011
2011年)
年)
常に禁止される物質と方法
(競技会(時)&
(競技会(時)
&競技会外)
2011年
2011
年WADA
WADA禁止表の概要
禁止表の概要
競技会(時)に禁止対象となる
競技会(
物質と方法(競技会((時))
物質と方法(競技会
S0.
S0
. 未承認物質
[禁止物質
禁止物質]]
[禁止物質
禁止物質]]
S6. 興奮薬
S1. 蛋白同化薬
S7. 麻薬
S2.
ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S3. ベータ 2作用薬
S8. カンナビノイド
S9. 糖質コルチコイド
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
[禁止方法]
特定競技において禁止される
物質(主に競技会((時))
物質(主に競技会
M1. 酸素運搬能の強化
P1. アルコール
M2. 化学的・物理的操作
P2. ベータ
ベータ遮断薬
遮断薬
M3. 遺伝子ドーピング
特定物質
すべての禁止物質は 「特定物質」として扱われる。但し、
S1、S2.1からS2.5、S4.4およびS6.a.および禁止方法M1、
M2およびM3は除く。
特定物質でのドーピング違反の場合、競技者又はその
他の人が、自己の体内に特定物質がいかに入り、又は
いかに保有するに至ったかを証明でき、かつ特定物質
の使用が競技者の競技力の向上又は競技力を向上さ
せる物質の使用の隠蔽を目的としたものでないことを
証明できれば、制裁措置が軽くなる可能性がある。
WADA禁止表(
WADA
禁止表(2011
2011年)
年)
常に禁止される物質と方法
(競技会(時)&
(競技会(時)
&競技会外)
競技会(時)に禁止対象となる
競技会(
物質と方法(競技会((時))
物質と方法(競技会
S0.
S0
. 未承認物質
[禁止物質
禁止物質]]
[禁止物質
禁止物質]]
S6. 興奮薬
S1. 蛋白同化薬
S7. 麻薬
S2.
ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S3. ベータ 2作用薬
S8. カンナビノイド
S9. 糖質コルチコイド
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
[禁止方法]
特定競技において禁止される
物質(主に競技会((時))
物質(主に競技会
M1. 酸素運搬能の強化
P1. アルコール
M2. 化学的・物理的操作
P2. ベータ
ベータ遮断薬
遮断薬
M3. 遺伝子ドーピング
3
10/5/2011
S0.未承認物質
S0
.未承認物質
禁止表のどのセクションにも対応せず、人体への治療目的使用
が現在どの政府保健医療当局でも承認されていない薬物(すな
わち、前臨床段階、臨床開発中、あるいは臨床開発が中止に
なった薬物)は常に禁止。
WADA禁止表(
WADA
禁止表(2011
2011年)
年)
常に禁止される物質と方法
(競技会(時)&
(競技会(時)
&競技会外)
競技会(時)に禁止対象となる
競技会(
物質と方法(競技会((時))
物質と方法(競技会
S0.
S0
. 未承認物質
[禁止物質
禁止物質]]
[禁止物質
禁止物質]]
S6. 興奮薬
S1. 蛋白同化薬
S7. 麻薬
S2.
ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S3. ベータ 2作用薬
S8. カンナビノイド
S9. 糖質コルチコイド
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
現在開発段階の薬物、あるいは現在ヒトへの使用が許可され
ていない薬物の乱用が問題となっているため、2011年より新た
なセクションとして新設。
[禁止方法]
特定競技において禁止される
物質(主に競技会((時))
物質(主に競技会
M1. 酸素運搬能の強化
P1. アルコール
M2. 化学的・物理的操作
P2. ベータ
ベータ遮断薬
遮断薬
M3. 遺伝子ドーピング
S1. 蛋白同化薬
蛋白同化男性化ステロイド(Anabolic androgenic steroid : AAS
蛋白同化男性化ステロイド(Anabolic
AAS)
)
‹ 運動能力の向上を目的とした、いわゆる筋肉増強剤とし
て使用されるため禁止されている。
‹ 長期に乱用した場合には、肝臓がん・前立腺がんの発生
率上昇や、高コレステロール血症に伴う心筋梗塞リスク
の上昇など、致命的な副作用が起こる可能性がある。
その他の蛋白同化剤
‹ 気管支拡張剤のクレンブテロール塩酸塩(販売名:スピロ
ペント錠・顆粒)が蛋白同化作用を有することから禁止物
質として例示されている。
‹ 海外で骨粗鬆症治療剤として用いられているチボロンが、
禁止物質として例示されている。
‹ 動物用の成長促進剤として用いられるゼラノールも禁止
物質として例示されている。
a. 外因性AAS
1-アンドロステンジオール、1-アンドロステンジオン、ボランジオール、ボラス
テロン、ボルデノン、ボルジオン、カルステロン、クロステボール、ダナゾール、
デヒドロクロロメチルテストステロン、デソキシメチルテストステロン、ドロスタ
ノロン、エチルエストレノール、フルオキシメステロン、ホルメボロン、フラザ
ボール、ゲストリノン、4-ヒドロキシテストステロン、メスタノロン、メステロロン、
メテノロン、メタンジエノン、メタンドリオール、メタステロン、メチルジエノロン、
メチル-1-テストステロン、メチルノルテストステロン、メチルテストステロン、メ
トリボロン ミボレロン ナンドロロン 19 ノルアンドロステンジオン ノルボレ
トリボロン、ミボレロン、ナンドロロン、19-ノルアンドロステンジオン、ノルボレ
トン、ノルクロステボール、ノルエタンドロロン、オキサボロン、オキサンドロロ
ン、オキシメステロン、オキシメトロン、プロスタノゾール、キンボロン、スタノ
ゾロール、ステンボロン、1-テストステロン、テトラヒドロゲストリノン、トレンボ
ロン
以上46種類の物質と、類似した化学構造もしくは生物学的作用
を有するその他の物質
※赤字は平成23年4月現在、日本で医薬品として流通している物質
WADA禁止表(
WADA
禁止表(2011
2011年)
年)
b. 外因的に投与した場合の内因性AAS
アンドロステンジオール、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、プラ
ステロン(デヒドロエピアンドロステロン:DHEA)、テストステロン
以上5種類の物質と18種類の代謝物・異性体
常に禁止される物質と方法
(競技会(時)&
(競技会(時)
&競技会外)
競技会(時)に禁止対象となる
競技会(
物質と方法(競技会((時))
物質と方法(競技会
S0.
S0
. 未承認物質
[禁止物質
禁止物質]]
c. その他の蛋白同化薬※
[禁止物質
禁止物質]]
S6. 興奮薬
ク ン テ
クレンブテロール、選択的アンドロゲン受容体調節薬(SARMs)、チボロン、
、選択的アン
ゲン受容体調節薬(
)、チボ ン、
ゼラノール、ジルパテロール
※ただし、上記5成分だけに限定されない。
S1. 蛋白同化薬
S7. 麻薬
S2.
ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S3. ベータ 2作用薬
S8. カンナビノイド
S9. 糖質コルチコイド
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
[禁止方法]
※赤字は平成23年4月現在、日本で医薬品として流通している物質
特定競技において禁止される
物質(主に競技会((時))
物質(主に競技会
M1. 酸素運搬能の強化
P1. アルコール
M2. 化学的・物理的操作
P2. ベータ
ベータ遮断薬
遮断薬
M3. 遺伝子ドーピング
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10/5/2011
S2. ペプチドホルモン、成長因子
および関連物質
以下の物質と、これらに類似の化学構造又は生物学的効果を有する物質、
及びこれらの放出因子は禁止。
‹ 赤血球新生刺激物質(エリスロポエチン(EPO)、ダルベポエチン(dEPO)、低
酸素誘導因子(HIF)安定薬、メトキシポリエチレングリコール-エポエチン
ベータ(CERA)*、ペジネサタイド(ヘタマイド等))
‹ 男性における絨毛性ゴナドトロピン(CG)および黄体形成ホルモン(LH)
‹ インスリン類
‹ コルチコトロピン類
‹ 成長ホルモン(GH)、インスリン様成長因子(IGF-1等)、線維芽細胞成長因
子類(FGFs)、肝細胞増殖因子(HGF)、機械的成長因子(Mechano Growth
Factors:MGFs)、血小板由来成長因子(PDGF)、血管内皮増殖因子
(VEGF)、筋、腱あるいは靭帯での蛋白合成/分解、血管新生、エネルギー
利用、再生能あるいは筋線維組成の変換に影響を与えるその他の成長因
子
※赤字は平成23年4月現在、日本で医薬品として流通している物質
‹ 赤血球新生刺激物質(EPO、dEPO、HIF安定薬、CERA、ペジネサタイド等)
→赤血球を増やして運動能力向上につながるため禁止。
‹ 男性におけるCGおよびLH
→男性ホルモン産生量を増加させるため禁止。
‹ インスリン類
→骨格筋においてグルコースの取り込み促進や蛋白合成促進
作用などがあるため禁止。
‹ コルチコトロピン類
→副腎皮質を刺激して血中コルチコイドを上昇させ 男性ホルモン
→副腎皮質を刺激して血中コルチコイドを上昇させ、男性ホルモン
の分泌を促進するため禁止。
‹ 成長ホルモン(GH)
→筋肉増強作用を有するため禁止。
‹ インスリン様成長因子(IGF-1等)
→細胞の分化と増殖を促進するため禁止。
‹ 機械的成長因子(MGFs)
→筋肉がダメージを受けた際などに増加し、筋肉の損傷回復や筋肉
量の維持に大きな役割を果たすため禁止。
S3. ベータ
ベータ22作用薬
WADA禁止表(
WADA
禁止表(2011
2011年)
年)
常に禁止される物質と方法
(競技会(時)&
(競技会(時)
&競技会外)
競技会(時)に禁止対象となる
競技会(
物質と方法(競技会((時))
物質と方法(競技会
S0.
S0
. 未承認物質
[禁止物質
禁止物質]]
[禁止物質
禁止物質]]
S6. 興奮薬
S1. 蛋白同化薬
S7. 麻薬
S2.
ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S3. ベータ 2作用薬
S8. カンナビノイド
[禁止方法]
サルブタモール・サルメテロール吸入剤
特定競技において禁止される
物質(主に競技会((時))
物質(主に競技会
M1. 酸素運搬能の強化
P1. アルコール
M2. 化学的・物理的操作
P2. ベータ
ベータ遮断薬
遮断薬
M3. 遺伝子ドーピング
WADA禁止表(
WADA
禁止表(2011
2011年)
年)
常に禁止される物質と方法
(競技会(時)&
(競技会(時)
&競技会外)
競技会(時)に禁止対象となる
競技会(
物質と方法(競技会((時))
物質と方法(競技会
S0.
S0
. 未承認物質
[禁止物質
禁止物質]]
[禁止物質
禁止物質]]
S6. 興奮薬
S1. 蛋白同化薬
S7. 麻薬
S2.
ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S3. ベータ 2作用薬
S8. カンナビノイド
[禁止方法]
製品名
サルブタモール硫酸塩
サルタノールインヘラー(GSK
サルタノールインヘラー(GSK)、ベネトリン吸入
)、ベネトリン吸入
液(GSK
液(
GSK)、アイロミールエアゾール(大日本住
)、アイロミールエアゾール(大日本住
友)
サルメテロールキシナホ酸塩
セレベントディスカス・ロタディスク(GSK
セレベントディスカス・ロタディスク(
GSK))
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
アロマターゼ阻害薬、選択的エストロゲン受容体調節薬等は
乳癌治療剤、骨粗鬆症治療剤、排卵誘発剤として使われるが、
蛋白同化作用を有するため禁止。
1.アロマターゼ阻害薬(AI)
例:アミノグルテチミド、アナストロゾール、アンドロスタ-1,4,6-トリエン3,17-ジオン(アンドロスタトリエンジオン)、4-アンドロステン-3,6,17トリオン(6-オキソ)、エキセメスタン、ホルメスタン、レトロゾール、
テストラクトン
2.選択的エストロゲン受容体調節薬(SERMs)
例:ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン
特定競技において禁止される
物質(主に競技会((時))
物質(主に競技会
M1. 酸素運搬能の強化
P1. アルコール
M2. 化学的・物理的操作
P2. ベータ
ベータ遮断薬
遮断薬
M3. 遺伝子ドーピング
一般名
S9. 糖質コルチコイド
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
但し、サルブタモール(24時間で最大1600μg)およびサルメテ
ロールが、製造販売会社によって推奨される治療に従って吸入
使用される場合は禁止されない。
S9. 糖質コルチコイド
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
蛋白同化作用による筋組織量の増加などを期待して使用され
るため、ベータ2作用薬はその両光学異性体を含め全て禁止さ
れる。
3.その他の抗エストロゲン物質
例:クロミフェン、シクロフェニル、フルベストラント
4.ミオスタチン機能を修飾する薬物
例:ミオスタチン阻害薬
※赤字は平成23年4月現在、日本で医薬品として流通している物質
5
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S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
WADA禁止表(
WADA
禁止表(2011
2011年)
年)
常に禁止される物質と方法
(競技会(時)&
(競技会(時)
&競技会外)
競技会(時)に禁止対象となる
競技会(
物質と方法(競技会((時))
物質と方法(競技会
S0.
S0
. 未承認物質
[禁止物質
禁止物質]]
[禁止物質
禁止物質]]
S6. 興奮薬
S1. 蛋白同化薬
S7. 麻薬
S2.
ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S3. ベータ 2作用薬
① 尿量を増加させ、禁止物質や代謝物の尿中濃度を下げる
とともに、体外への排出を促進し、禁止物質使用の痕跡を
消す。
消す
S8. カンナビノイド
S9. 糖質コルチコイド
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
利尿薬は、臨床では高血圧や浮腫の治療薬として用いられる
が、以下のような目的で使用されることがあるため禁止。
[禁止方法]
特定競技において禁止される
物質(主に競技会((時))
物質(主に競技会
M1. 酸素運搬能の強化
P1. アルコール
M2. 化学的・物理的操作
P2. ベータ
ベータ遮断薬
遮断薬
② 体重別種目などで、体水分の排泄を促して体重を急速に
減量する。
また、禁止物質使用の痕跡を消す可能性のある物質が隠蔽薬
として禁止されている。
M3. 遺伝子ドーピング
a. 隠蔽薬の例
利尿薬、デスモプレシン、プロベネシド、血漿増量物質(グリセロール、およ
び以下の物質(アルブミン、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、マンニ
トール)の静脈内投与等)、その他類似の生物学的効果を有するもの。
b. 利尿薬の例
アセタゾラミド、アミロリド、ブメタニド、カンレノン、クロルタリドン、エタクリン
酸、フロセミド、インダパミド、メトラゾン、スピロノラクトン、チアジド類(ベンド
ロフルメチアジド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド等)、トリアムテレン、
その他類似した化学構造又は生物学的効果を有するもの。
(但し、ドロスペリノン、パマブロムおよび局所使用のドルゾラミドおよびブリ
ンゾラミドは禁止物質には含まれない。)
WADA禁止表(
WADA
禁止表(2011
2011年)
年)
常に禁止される物質と方法
(競技会(時)&
(競技会(時)
&競技会外)
S0.
S0
. 未承認物質
[禁止物質
禁止物質]]
[禁止物質
禁止物質]]
S6. 興奮薬
S1. 蛋白同化薬
S7. 麻薬
S2.
ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S3. ベータ 2作用薬
[禁止方法]
P1. アルコール
M2. 化学的・物理的操作
P2. ベータ
ベータ遮断薬
遮断薬
M3. 遺伝子ドーピング
WADA禁止表(
WADA
禁止表(2011
2011年)
年)
常に禁止される物質と方法
(競技会(時)&
(競技会(時)
&競技会外)
競技会(時)に禁止対象となる
競技会(
物質と方法(競技会((時))
物質と方法(競技会
S0.
S0
. 未承認物質
[禁止物質
禁止物質]]
[禁止物質
禁止物質]]
S6. 興奮薬
S1. 蛋白同化薬
S7. 麻薬
S2.
M2. 化学的・物理的操作
1. ドーピングコントロールで採取された検体の完全性及び有効性を変
化させるために改ざん又は改ざんを試みる事は禁止。これらにはカ
テーテルの使用、尿のすり替え、尿の改質(蛋白分解酵素等)など
が含まれるが、これらに限定されない。
2. 静脈内注入は禁止。但し、医療機関の受診過程、または臨床的検
査において正当に受ける静脈内注入は除く。
3. 血液を採取し、操作を加え、循環系へ再注入する一連の処置は禁
止。
特定競技において禁止される
物質(主に競技会((時))
物質(主に競技会
M1. 酸素運搬能の強化
禁止方法
M1. 酸素運搬能の強化
1. 血液ドーピングの禁止。血液ドーピングとは、自己血、同種血、異種
血又はすべての赤血球製剤を投与すること。
2. 人為的な酸素摂取や酸素運搬、酸素供給の促進の禁止。(例として
過フルオロ化合物、エフェプロキシラール(RSR13)、修飾ヘモグロビ
ン製剤(ヘモグロビンを基にした血液代替物質やヘモグロビンのマイ
クロカプセル製剤等)が含まれるが、これらに限定されない。)但し、
酸素自体の補給は除く。
酸素自体の補給は除く
S8. カンナビノイド
S9. 糖質コルチコイド
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
※赤字は平成23年4月現在、日本で医薬品として流通している物質
競技会(時)に禁止対象となる
競技会(
物質と方法(競技会((時))
物質と方法(競技会
ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S3. ベータ 2作用薬
S8. カンナビノイド
S9. 糖質コルチコイド
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
[禁止方法]
特定競技において禁止される
物質(主に競技会((時))
物質(主に競技会
M1. 酸素運搬能の強化
P1. アルコール
M2. 化学的・物理的操作
P2. ベータ
ベータ遮断薬
遮断薬
M3. 遺伝子ドーピング
6
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S6. 興奮薬
中枢神経系を興奮させ、疲労感の軽減や競争心を高める作用
があるが、正常な判断力を失わせたり致命的な副作用が起こ
る可能性、さらには競技相手にも危害が及ぶ可能性があるた
め禁止される。
興奮薬は関連した光学異性体を含めて禁止。ただし、イミダ
興奮薬は関連した光学異性体を含めて禁止
ただし イミダ
ゾール誘導体の局所使用と、監視プログラムに含まれるものを
除く。
なお、2011年禁止表では64個(非特定物質:36個、特定物質28
個)の化合物が例示されているが、類似の化学構造や生物学
的効果を有するものも禁止される。
非特定物質
アドラフィニル、アンフェプラモン、アミフェナゾール、アンフェタミン、アンフェ
タミニル、ベンフルオレックス、ベンズフェタミン、ベンジルピペラジン、ブロマ
ンタン、クロベンゾレックス、コカイン、クロプロパミド、クロテタミド、ジメチルア
ンフェタミン、エチルアンフェタミン、ファンプロファゾン、フェンカミン、フェネチ
リン、フェンフルラミン、フェンプロポレックス、フルフェノレックス、メフェノレッ
クス、メフェンテルミン、メソカルブ、メタンフェタミン(d体)、 p-メチルアンフェ
タミン、メチレンジオキシアンフェタミン、メチレンジオキシメタンフェタミン、モ
ダフィニル、ノルフェンフルラミン、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェン
テ
テルミン、4-フェニルピラセタム(カルフェドン)、プレニラミン、プロリンタン
ン、
ラ タ (
ン)、
ラ ン、
リンタン
特定物質
アドレナリン、カチン、エフェドリン、エタミバン、エチレフリン、フェンブトラゼー
ト、フェンカンファミン、ヘプタミノール、イソメテプテン、レブメタンフェタミン、メ
クロフェノキサート、メチルエフェドリン、メチルヘキサンアミン(ジメチルペン
チラミン)、メチルフェニデート、ニケタミド、ノルフェネフリン、オクトパミン、オ
キシロフリン、パラヒドロキシアンフェタミン、ペモリン、ペンテトラゾール、フェ
ンプロメタミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、セレギリン、シブ
トラミン、ストリキニーネ、ツアミノヘプタン
※赤字は平成23年4月現在、日本で医薬品として流通している物質
WADA禁止表(
WADA
禁止表(2011
2011年)
年)
常に禁止される物質と方法
(競技会(時)&
(競技会(時)
&競技会外)
競技会(時)に禁止対象となる
競技会(
物質と方法(競技会((時))
物質と方法(競技会
S0.
S0
. 未承認物質
[禁止物質
禁止物質]]
[禁止物質
禁止物質]]
S6. 興奮薬
S1. 蛋白同化薬
S7. 麻薬
S2.
ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S3. ベータ 2作用薬
S8. カンナビノイド
S9. 糖質コルチコイド
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
[禁止方法]
特定競技において禁止される
物質(主に競技会((時))
物質(主に競技会
M1. 酸素運搬能の強化
P1. アルコール
M2. 化学的・物理的操作
P2. ベータ
ベータ遮断薬
遮断薬
S7. 麻薬
鎮痛・鎮静作用による精神状態の向上等を目的として使用され
るため、禁止。呼吸抑制や依存性、錯乱、眩暈、眠気などの有
害作用があり、安易な使用は非常に危険。
加えて、国内では麻薬及び向精神薬取締法によって規制され
ているものもある。
ているものもある
禁止表で明確に禁止されている麻薬
ブプレノルフィン、デキストロモラミド、ジアモルヒネ(ヘロイン)、フェンタニル
及び誘導体、ヒドロモルフォン、メサドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモ
ルフォン、ペンタゾシン、ペチジン
※赤字は平成23年4月現在、日本で医薬品として流通している物質
M3. 遺伝子ドーピング
WADA禁止表(
WADA
禁止表(2011
2011年)
年)
常に禁止される物質と方法
(競技会(時)&
(競技会(時)
&競技会外)
競技会(時)に禁止対象となる
競技会(
物質と方法(競技会((時))
物質と方法(競技会
S0.
S0
. 未承認物質
[禁止物質
禁止物質]]
[禁止物質
禁止物質]]
S6. 興奮薬
S1. 蛋白同化薬
S7. 麻薬
S2.
ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S3. ベータ 2作用薬
S8. カンナビノイド
S9. 糖質コルチコイド
S8. カンナビノイド(大麻)
大麻中で最も強い幻覚作用を有する成分は、テトラヒドロカンナ
ビノール(THC)であり、その他にもカンナビジオール(CBD)や
カンナビノール(CBN)など、60種類以上のカンナビノイドを含ん
でいる。
陶酔感、多幸感、高揚感等を期待して使用されるため、禁止さ
陶酔感
多幸感 高揚感等を期待して使用されるため 禁止さ
れている。中枢神経系に作用して妄想・幻覚・錯乱・攻撃行動を
起こすこともあり、非常に危険。
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
[禁止方法]
特定競技において禁止される
物質(主に競技会((時))
物質(主に競技会
M1. 酸素運搬能の強化
P1. アルコール
M2. 化学的・物理的操作
P2. ベータ
ベータ遮断薬
遮断薬
加えて、国内では大麻取締法により規制されている。
M3. 遺伝子ドーピング
7
10/5/2011
WADA禁止表(
WADA
禁止表(2011
2011年)
年)
常に禁止される物質と方法
(競技会(時)&
(競技会(時)
&競技会外)
競技会(時)に禁止対象となる
競技会(
物質と方法(競技会((時))
物質と方法(競技会
S0.
S0
. 未承認物質
[禁止物質
禁止物質]]
[禁止物質
禁止物質]]
S6. 興奮薬
S1. 蛋白同化薬
S7. 麻薬
S2.
ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S3. ベータ 2作用薬
S8. カンナビノイド
S9. 糖質コルチコイド
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
[禁止方法]
特定競技において禁止される
物質(主に競技会((時))
物質(主に競技会
M1. 酸素運搬能の強化
P1. アルコール
M2. 化学的・物理的操作
P2. ベータ
ベータ遮断薬
遮断薬
S9. 糖質コルチコイド
陶酔感を期待して使用されるため、禁止される。また、抗炎症
作用があるので、ケガをしていても競技を継続できてしまうこと
もあるので注意が必要。
糖質コルチコイドは、投与経路により申請の方法等が
異なるので、特に注意が必要!
が
1.経口・経直腸・静脈内・筋肉内使用は全て禁止
→使用するためにはTUE申請が必要!
2.上記以外の使用経路
→使用可能でTUEも必要ない!
M3. 遺伝子ドーピング
WADA禁止表(
WADA
禁止表(2011
2011年)
年)
常に禁止される物質と方法
(競技会(時)&
(競技会(時)
&競技会外)
競技会(時)に禁止対象となる
競技会(
物質と方法(競技会((時))
物質と方法(競技会
S0.
S0
. 未承認物質
[禁止物質
禁止物質]]
[禁止物質
禁止物質]]
S6. 興奮薬
S1. 蛋白同化薬
S7. 麻薬
S2.
ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S3. ベータ 2作用薬
S8. カンナビノイド
特定競技において禁止される物質
P1.アルコール
z血中濃度が高くなると精神運動障害が発現、反応時間や運
動能力が低下する。
z7種類の競技で、競技会(時)に限って禁止。
z検出方法は呼気分析あるいは血液分析。
zド ピング違反が成立する閾値(血液の値)は0 10g/L
zドーピング違反が成立する閾値(血液の値)は0.10g/L。
S9. 糖質コルチコイド
S4. ホルモン拮抗薬と調節薬
S5. 利尿薬と他の隠蔽薬
[禁止方法]
特定競技において禁止される
物質(主に競技会((時))
物質(主に競技会
M1. 酸素運搬能の強化
P1. アルコール
M2. 化学的・物理的操作
P2. ベータ
ベータ遮断薬
遮断薬
P2.ベータ遮断薬
z静穏作用のため選手の不安解消や「あがり」の防止、心拍数
と血圧の低下作用で心身の動揺を少なくするため禁止。
z19種類の競技で禁止。
M3. 遺伝子ドーピング
監視プログラム
WADAは、禁止表に掲載されてはいないが、スポーツ
における濫用のパターンを把握するために監視するこ
とを望む物質を、監視プログラムとして定めている。
監視プログラムは、禁止薬物ではないので使用可能
であるが、今後の動向に注意する必要がある。
1.興奮薬
競技会(時)のみ:
ブプロピオン、カフェイン、フェニレフリン、フェニルプロパノー
ルアミン、ピプラドロール、プソイドエフェドリン(150μg/mL
未満)、シネフリン
治療目的使用に係る除外措置
禁止物質・禁止方法を治療目的で使用したい競技者が申請して、認められ
れば、その禁止物質・禁止方法が使用できる。
これを、治療目的使用に係る除外措置(Therapeutic Use Exemptions:
TUE)という。
TUE付与の決定
国際的水準の競技者…国際競技連盟(IF)が決定
国内的水準の競技者…日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が決定
2008.12.31までは、標準TUE申請と略式TUE申請の2つの申請方法があった
が、2009.1.1から、略式TUE申請は廃止された。
2.麻薬
競技会(時)のみ:モルヒネ/コデイン比
8
10/5/2011
国体におけるTUE
国体における
TUE申請の手続き
申請の手続き
国体におけるTUE
国体における
TUE申請の手続き
申請の手続き
3.医師が3名以上のJADA-TUE委員会において審査。
1.TUE申請書+確認書+診断根拠を客観的に証明する書類
+都道府県名申告書
「吸入サルブタモールおよび吸入サルメテロール」以外の
吸入ベ タ2作用薬の場合は
吸入ベータ2作用薬の場合は
TUE申請書+確認書+JADA吸入ベータ2作用薬使用に関する情報提供書
+都道府県名申告書
に、競技者・医師が必要事項を記入。
2.競技者から直接JADAへ郵送(都道府県体協経由の提出も可)。
承認が必要な日の30日前までに申請。
吸入サルブタモール及び
吸入サルメテロールの取扱い
2011年よりサルブタモール(24時間で最大1600μg)および
サルメテロールが、製造販売会社によって推奨される治療
法に従って吸入使用される場合は、TUE申請は不要。
サルブタモール・サルメテロール吸入剤
一般名
製品名
サルブタモール硫酸塩
サルタノールインヘラー(GSK
サルタノールインヘラー(GSK)、ベネトリン吸入
)、ベネトリン吸入
液(GSK
液(
GSK)、アイロミール(大日本住友)
)、アイロミール(大日本住友)
サルメテロールキシナホ酸塩
セレベントディスカス・ロタディスク(GSK
セレベントディスカス・ロタディスク(
GSK))
ベータ22作用薬の経口使用や貼付使用
ベータ
‹事前にTUE申請書が必要。
‹気管支喘息であることを証明するため、「JADA吸
‹気管支喘息であることを証明するため
「JADA吸
入ベータ2作用薬使用に関する情報提供書」に記
載された検査を行い、検査結果が陽性であること
が必要。
<TUEの付与に関する基準>
‹ 急性又は慢性の病状を治療する過程において禁止物質・禁止方法が用いられ
なかった場合に、当該競技者の健康状態が深刻な障害を受けること。
‹ 当該禁止物質・禁止方法を治療目的で使用することにより、正当な疾病治療の
後に通常の健康状態に回復することから予想される競技能力の向上以外に、
追加的な競技能力の向上が生じないこと 禁止物質は又は禁止物質を使用し
追加的な競技能力の向上が生じないこと。禁止物質は又は禁止物質を使用し
て「正常下限」レベルの内因性ホルモンを増加させることは、受け入れ可能な治
療行為であるとは見なされない。
‹ 当該禁止方法・禁止物質を使用する以外に、合理的な治療法が存在しないこと。
‹ 当該禁止物質・禁止方法を使用する必要性が、使用当時に禁止されていた物
質・方法を、TUEが無いにもかかわらず以前に使用したことの(全面的であると
部分的であるとを問わず)結果として生じたものではないこと。
4.(承認された場合)
判定書(承認)を申請者(競技者)へ送付。所属の国内競技連盟(国体
の場合は都道府県体協)へ通知。ADAMSへの登録(RTPAのみ*)。
「吸入サルブタモール・吸入サルメテロール」
以外の吸入ベータ2
以外の吸入ベータ
2作用薬の取扱い
‹事前にTUE申請が必要。
‹IFのRTP競技者・国際大会に参加する競技者は、 IFもしくは国際大会により
指定された書式に従いIFもしくは国際大会にTUE申請を行う。
‹それ以外の競技者・IFにJADAへの申請を指示されたIFのRTP競技者は、
「JADA吸入ベータ2作用薬使用に関する情報提供書」を添付して JADAへ申請。
‹遡及的TUE申請は緊急使用以外は認められないので、使用前にTUE申請*を
行う。
‹病歴、診断所見、検査結果などが必要。
‹TUEの承認条件として、スパイロメトリーで1秒率が85%未満の場合は気道可
逆性試験で陽性、スパイロメトリーで1秒率が85%以上あるいは気道可逆性試
験が陰性の場合はメサコリン吸入試験か運動負荷試験が陽性であることが必
要。
‹いずれの試験も陰性であった場合は、詳細な病歴と検査結果を参考に審査。
‹新たに吸入ベータ2作用薬を使用する場合には、サルブタモールとサルメテ
ロールの吸入薬使用をWADAはすすめている。
‹「吸入サルブタモールと吸入サルメテロール」以外の吸入ベータ2作用薬を使用
しなければならない理由(その薬剤使用で症状が安定していることを病歴で明
示する、など)も必要。
糖質コルチコイド
糖質コルチコイドの全身投与(経口・静脈内・筋肉内・経直腸使用)は全て
禁止。それ以外の使用経路は禁止されず、TUE申請は不要。
使用方法
必要な手続き
経口使用、静脈内使用、筋肉内使用、経直腸使用
TUE
(禁止)
上記以外の使用経路
TUE不要
(許可)
‹吸入ベータ2作用薬で代替えできない正当な医
学的理由が認められた場合にのみ承認される。
9
10/5/2011
アドエアの取扱い
‹アドエアディスカス/同エアゾールは、サルメテロールキシ
ナホ酸塩(ベータ2作用薬)/フルチカゾンプロピオン酸エ
ステル(糖質コルチコイド)の2成分を含有する吸入薬。
‹吸入サルメテロール及び糖質コルチコイドの吸入使用に
‹吸入サルメテロ
ル及び糖質コルチコイドの吸入使用に
ついては、TUE申請は不要。
使用可能薬はどう調べるのか?
アドエアの使用にあたっては、
TUE申請は不要
基本的には・・・
薬剤師のための
ドーピング防止
ガイドブック
禁止リストの物質・方法に
該当しなければ使用できる。
とは言っても・・・
判断に迷う場合なども
あるので、使用可能薬の
リストをうまく活用する!
JPN
ドーピング・
データベース
第2版
監修 日本体育協会
WADA禁止表のドーピング
WADA禁止表のド
ピング
該当物質を網羅し、TUEの説
明やよくある質問などの有用
な情報が多く掲載されている。
日本体育協会アンチ・ドーピ
ング部会ドーピングデータベー
ング部会ド
ピングデ タベ
ス作業班の協力の下、日本薬
剤師会で作成。薬効分類別に
使用可能薬を掲載している。
右の写真は2011年版。
一般用医薬品対応時の注意
例えば総合感冒薬や胃腸薬では
似たような名前でも構成成分が異なるので注意が必要
↓
名前が完全に一致することを確認する。
毛髪・体毛用薬には禁止物質のテストステロンや
メチルテストステロンを含有するものがある。
↓
医薬品ではなく美容品と思って使用することがある。
また,外用では問題ないと思っていることがある。
株式会社じほうから発刊
10
10/5/2011
かぜ薬○○○○○
△ △ △△△胃腸薬U
かぜ薬○○○○○顆粒
△ △ △△△胃腸薬G
ステロイド軟膏の使用について
漢方薬への対応
湿疹や虫さされ,アトピー性皮膚炎などに
使用する副腎皮質ホルモンの軟膏
構成生薬に含まれる成分は非常に多数あり、全ての成分を
把握して使用の可否を判断することは困難。
↓
加えて、産地や抽出によって成分に違いが出る。
↓
毛髪・体毛用薬でテストステロンや
メチルテストステロン含有の皮膚外用薬
スポーツ関係者は蛋白同化薬のみを「ステロ
イド」と考えていることがある。ステロイドが何
を指しているか,確認が必要!
他の安全な代替薬がある場合には、
そちらを用いた方が無難である。
明確に禁止物質を含む生薬についてはチェックしておく!
例:麻黄、麝香、海狗腎、ホミカ・・・など
サプリメントへの対応
どうしても分からないときは・・・?
一般に、いわゆる健康食品やサプリメントは医薬品ほど
品質管理や成分表示等の規制が厳しくない。
↓
製品について保証のしようがない!
↓
薬剤師会ドーピング防止ホットラインへ
ご連絡ください。
(内容により日本体育協会へ問合せますので、
回答に2~3日かかる場合があります。)
基本的には選手の自己責任で使用してもらう。
JADAでは禁止リストに該当しないものを認定商品
としてHPで公表している。
ただし、JADA認定商品を使うにしても選手の自己
責任の原則は変わらないので注意。
(社)福岡県薬剤師会
薬事情報センター
電話番号:092-271-1585
FAX番号:092-281-4104
※ドーピングに関する質問は原則としてFAXで
のみ受け付けています。
11
10/5/2011
公認スポーツファーマシスト認定制度
公認
ポ
ァ
シ
認定制度
公認スポーツファーマシスト認定制度
公認スポーツファーマシスト認定制度
(財)日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が、ドーピング防止
規則やスポーツの知識に精通した薬剤師(公認スポーツファー
マシスト)を養成するために立ち上げた制度。
受 験 資 格 :基礎講習会の受講時点で薬剤師の資格を有する者。
認 定 方 法 :基礎講習会と実務講習会を受講後、知識到達度確認試験を修
了し、認定申請を行った者に対し、JADAより「公認スポーツ
ファーマシスト認定証」を発行。
スケジュール:基礎講習会(5~7月頃)
実務講習会(10~翌年2月頃)
知識到達度確認試験(翌年3月頃)
→スポーツファーマシストホームページ上で受験
↓認定申請
認定証の発行(翌年4月頃)
ドーピング防止活動に関する正確な情報・知識を持ち、
競技者を含めた一般の人に対して、適切な情報提供を
行うことが公認スポーツファーマシストの主な活動。
詳細については、スポーツファーマシストホームページへ!!
http://www.playtruejapan.org/sportspharmacist/index.html
参考文献
1) 世界ドーピング防止機構:2011年禁止表
2) 世界ドーピング防止機構:2011年監視プログラム
3) 世界ドーピング防止機構:世界ドーピング防止規程
4) (社)日本薬剤師会 他:薬剤師のためのドーピング防止ガイドブック2011年版
5) (公財)日本体育協会:JPNドーピング・データベース、じほう
6) 河野一郎:アンチ・ドーピングにおける世界の動向とわが国における取り組み
日本薬剤師会雑誌、57(1)、61-64(2005)
7)) 伊藤静夫
伊藤静夫:国民体育大会におけるドーピングコントロール、日本薬剤師会
国民体育大会 おけるド
ング ント
ル、日本薬剤師会
雑誌、57(1)、65-69(2005)
8) (公財)日本アンチ・ドーピング機構(JADA)ホームページ
(http://www.playtruejapan.org/ )
9) (公財)日本体育協会ホームページ (http://www.japan-sports.or.jp/)
10) (公財)日本アンチ・ドーピング機構:ドーピング防止のための選手必携書
11) (公財)日本アンチ・ドーピング機構:医師のためのTUE申請ガイドブック2011
12) スポーツファーマシスト認定審査委員会:公認スポーツファーマシスト認定プログラム
13) スポーツファーマシストホームページ
(http://www.playtruejapan.org/sportspharmacist/index.html )
12
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