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情報システム用接地に関するガイドライン

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情報システム用接地に関するガイドライン
電子情報技術産業協会技術レポート
Technical Report of Japan Electronics and Information Technology Industries Association
JEITA ITR-1005
情報システム用接地に関するガイドライン
Guideline for earthing of information processing systems
2007 年 12 月制定
作 成
情報システム用設備専門委員会
Information System Facilities Subcommittee
発 行
社団法人 電子情報技術産業協会
Japan Electronics and Information Technology Industries Association
JEITA ITR-1005
目
次
ページ
まえがき
1
適用範囲
······················································································································································
1
2
引用規格及び文書 ·······································································································································
1
3
情報システム用の接地
·······························································································································
1
············································································································
1
······················································································································
3
··························································································
5
······································································
5
···································································································
7
···············································································································
7
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7
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9
···································································································································
9
3.1
電気設備技術基準に基づく接地
3.2
JIS C 60364 に基づく接地
3.2.1
共用接地を採用した情報システムの接地
3.2.2
等電位ボンディングを採用した情報システムの接地
4
異なった等電位ボンディング間の伝送
5
情報システム用関連設備の接地
5.1
保護導体サイズ
6
雷保護システムと接地環境
7
接地設備の維持管理
JEITA ITR-1005 審議委員会の構成表
··········································································································
10
JEITA ITR-1005
まえがき
電気事業法の改正(1995 年 12 月)を受け,電気設備に関する技術基準を定める省令(以下,電気設備
技術基準)の簡素化・機能性化を盛り込んだ改正が告示(1997 年 3 月 27 日)され,国際規格等の取込み
が容易に行える環境が整えられた。
その後,「電気設備の技術基準の解釈」が公表(1997 年 6 月)され,この解釈に国際規格(IEC 60364
建築電気設備,以下,IEC 60364)の取入れを行い,旧来の「電気設備の技術基準」と併記されること
になったとともに IEC 60364 が JIS C 60364 として登録された。これを受けて,JEIDA(現 JEITA)か
ら 「情報システム用接地」方式と「共用接地・等電位ボンディング」方式についてガイドラ イ ン
(JEIDA-G-23:1999)として発行された。
本委員会では,今般当該ガイドライン(JEIDA-G-23:1999)を見直し,技術レポート JEITA ITR-1005 と
して発行した。
なお,本技術レポートは,既設の「接地」方式の変更を強要するものではなく,また,新たに接地工事
を行う際には「情報システム用接地」方式と「共用接地・等電位ボンディング」方式が共存することは避
けなければならないことを明示している。
1
JEITA ITR-1005
電子情報技術産業協会技術レポート
情報システム用接地に関するガイドライン
Guideline for earthing of information processing systems
1
適用範囲
情報システム及び関連設備の接地について適用される。
2
引用規格及び文書
次に掲げる規格は,本ガイドラインに引用されることによって,本ガイドラインの規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版だけが本ガイドラインの規
定を構成するものであって,その後の改正版,Amendment 又は追補には適用しない。西暦年を付記して
いない引用規格は,その最新版(Amendment・追補を含む)を適用する。
a)
日本工業規格(以下,JIS という。)
JIS C 0365:2007 感電保護-設備及び機器の共通事項
注記
対応国際規格:IEC 61140:2001,Protection against electric shock – Common aspects for installation
and equipment 及び Amendment 1:2004
JIS C 60364-4-41:2006 建築電気設備-第 4-41 部:安全保護-感電保護
注記
対応国際規格:IEC 60364-4-41:2001,Low-voltage electrical installations - Part 4-41: Protection for
safety - Protection against electric shock
JIS C 60364-4-43:2006 建築電気設備-第 4-43 部:安全保護-過電流保護
注記
対応国際規格:IEC 60364-4-43:2001,Low-voltage electrical installations - Part 4-43: Protection for
safety - Protection against overcurrent
JIS C 60364-5-54:2006
建築電気設備-第 5-54 部:電気機器の選定及び施工-接地設備,保護導体
及び保護ボンディング導体
注記
対応国際規格:IEC 60364-5-54:2002,Electrical installations of buildings - Part 5-54: Selection and
erection of electrical equipment - Earthing arrangements, protective conductors and protective
bonding conductors
b)
法令等
電気設備に関する技術基準を定める省令(電気設備技術基準)
電気設備技術基準の解釈
内線規程
3
情報システム用の接地
情報システム用の接地は,「安全の確保」,「基準電位の確保」,「ノイズ障害の防止」を目的とし,接地
極,接地端子,接地幹線,接地母線及び保護導体で構成される。
3.1
電気設備技術基準に基づく接地
「情報システム用接地」が動力機器等の接地と共用されていると,情報システムの安定稼動に影響を受け
る可能性があるため,専用の接地極を推奨する。(図 1 参照)
2
JEITA ITR-1005
分電盤
分電盤
ビル鉄骨
動力機器
分電盤
接地幹線
床
M
情報システム
分電盤
床
E
M:電気器具の露出導電性部分
接地端子
E :空調設備・電源関連設備等
接地極
図 1―情報システムの専用接地
・接地極:専用とし,接地抵抗値は情報システムにより異なるためコンピュータ・メーカに確認する。
・接続方法:専用線とし,情報システム用分電盤から専用の接地極に接続する。
・接地幹線の太さ:情報システムにより異なるためコンピュータ・メーカに確認する。
情報システム専用の接地極が設けられず,やむを得ず他の機器と共用させる場合は,専用線(接地幹線)
を接地極の近傍(接地端子等)から分岐することが必要である。(図 2 参照)
ただし,この場合でも動力機器との接地極の共用は避けることが望ましい。
分電盤
動力機器
分電盤
ビル鉄骨
分電盤
接地幹線
床
M
情報システム
分電盤
接地端子
E
床
M:電気器具の露出導電性部分
E :空調設備・電源関連設備等
接地極
図 2―専用接地が確保できない場合
3
JEITA ITR-1005
3.2
JIS C 60364 に基づく接地
JIS C 60364 が採用している接地方式は,安全(感電保護)と安定稼動を目的とした「共用接地」及び安
全を重視した「等電位ボンディング」がある。
a)
主接地端子又は接地母線導体に直接接地する方法(共用接地)
b)
機器間,ビルの鉄骨,金属ダクト等の系統外導電性部分,金属製水道管等金属パイプを相互に接続し
等電位(基準電位確保)を保ちながら専用線で主接地端子又は接地母線導体に接続する方法(等電位
ボンディング)
本ガイドラインでは,情報システムの安定稼動に優れた「共用接地」を推奨するが,
「等電位ボンディン
グ」を採用する場合は,3.2.2 項「等電位ボンディングを採用した情報システムの接地」を参照のこと。
◆接地母線導体とは
接地母線導体は,主接地端子へ接続される導体で,主接地端子と同等の機能をもつものである。した
がって,一般電気器具の保護導体及び情報システムの主等電位ボンディング導体を直近の接地母線導体
に接続することが許される。
(図 3 参照) 接地母線導体への接続は,容易に脱着できない端子構造とし,
十分な機械的強度と導電性を確保する。
また,接地母線導体は銅導体で,断面積は 50 mm2 以上とし高周波ノイズ対応の検討が別途必要であ
る。
接地母線導体
分電盤
①
分電盤
②
分電盤
①
分電盤
ビル鉄骨
①
接続端子
主接地端子
動力機器
床
M
情報システム
E
①保護導体
床
②主等電位ボンディング導体
M:電気器具の露出導電性部分
接地極
E :空調設備・電源関連設備等
図 3―接地母線導体
4
JEITA ITR-1005
◆等電位ボンディングとは
接近した導電部分間(窓枠,機器筐体,金属ダクト等)に同時に接触した場合でも,各々の電位差に
よる感電保護を目的とした接地方法である。この等電位ボンディングは安全の観点から大地に近い電位
でなければならない。
具体的には,電源の引込み口において,接地母線導体等(保護導体,接地導線,主接地端子)に,ビ
ルの鉄骨,金属ダクト,又はその他金属部分を相互に接続し,建屋全体の等電位を確保する。
(図 4 参照)
図 4―ビル全体の等電位ボンディング例
5
JEITA ITR-1005
3.2.1
共用接地を採用した情報システムの接地
情報システムの主等電位ボンディング導体と,建物における電気設備すべての保護導体を主接地端子(又
は接地母線導体)に接続し,主接地端子(又は接地母線導体)を共用する接地方法である。(図 5 参照)
建物接地極の接地抵抗は 2Ω 以下とする。
M
動力機器
情報
システム
E
②
①
①
①
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 主接地端子(接地母線導体)
③
接地極(2Ω 以下)
①保護導体
②主等電位ボンディング導体
③接地線
M:電気器具の露出導電性部分
E:空調設備・電源関連設備等
図 5―共用接地
3.2.2
等電位ボンディングを採用した情報システムの接地
情報システム及び関連機器(以下,情報機器等という。)が導入されている部屋において,外部からの電
気的影響を排除し,情報機器等が正常に稼動するよう保護接地とともに機能接地を設け,その設置環境に
おいて基準電位を作り情報機器等の間に電位差を生じないようにする接地方法である。
(a 項,b 項を参照)
情報機器等の等電位ボンディングについては,外部からの電気的ノイズを排除するため,補助等電位
ボンディング用導体は用いない。
(図 6 参照)
また,情報機器等に対する EMC の観点から,等電位ボンディング対応を施す場合は,設備関連部門及
び情報機器等のメーカとの詳細打合が必要である。
M
M
④
情報
システム
④
M
①保護導体
P
②
① ①
①
②主等電位ボンディング導体
③接地線
④補助等電位ボンディング導体
M:電気器具の露出導電性部分
④
P :鉄骨,金属ダクト等の系統外導電性部分、金属製
②
○ ○ ○ ○ ○ ○
P
水道管等金属パイプ
主接地端子
(接地母線導体)
③
接地極
図 6―情報システムの等電位ボンディング例
6
JEITA ITR-1005
a)
放射状に接続された保護導体による接地方法
①
①
⑤
ITE
分電盤
①
①
分電盤
ITE
ビル鉄骨
⑤
ITE
専用接地線
接地母線
①
①
ITE
⑤
ITE
⑤
ITE
②
ITE:情報機器等
②
①:保護導体
床
②:主等電位ボンディング
主接地端子
(接地母線導体) ③:接地線
主接地端子
⑤:信号ケーブル
③
接地極
接地極
図 7―放射状に接続された保護導体
図 7 は放射状に保護導体で接続される接地方法である。また,接続箇所以外はすべて絶縁状態を保たね
ばならない。
[特長]
・情報機器等の接地システムを他の給電回路・金属構造体から分離することにより電磁撹乱の影響を
大幅に低減できる。
ただし,信号ケーブルが発生ノイズの大部分を受けるような電磁撹乱に対しては大地面に対して比較的
高いインピーダンスをもつため,機器は高い耐力をもたなければならない。
b)
地域的水平等電位ボンディングによる接地方法
通常の保護導体を地域的メッシュ(ボンディング材料:情報機器等のメーカとの打合せが必要)に接続
することにより地域的に等電位を作り出し,基準電位面を確保する方法である。
①
①
ITE
⑤
ITE
①
分電盤
分電盤
⑤
ビル鉄骨
ITE
専用接地線
接地母線
①
①
①
ITE
地域的メッシュ
⑤
ITE
⑤
②
②
③
ITE:情報機器等
①:保護導体
②:主等電位ボンディング
主接地端子
③:接地線
(接地母線導体) ⑤:信号ケーブル
地域的メッシュ
可能な限り短く
主接地端子
接地極
接地極
図 8―地域的な水平等電位ボンディング(メッシュ)
床
ITE
7
JEITA ITR-1005
図 8 は放射状接続に加え地域的メッシュを用い,情報機器等を接続し,等電位ボンディング状態を作り
出す接地方法である。また,接続箇所及び地域的メッシュ以外はすべて絶縁状態を保たねばならない。
[特長]
・メッシュ状に接続することにより,情報機器等間で低インピ-ダンス接地網が得られ,外部からの
不要な雷サ-ジやノイズの流入を最小限におさえられる。
・低インピ-ダンスの接地基準面を提供できコンピュータシステムとしての EMC 対策が容易になる。
ただし,地域的メッシュは他の金属体から完全な絶縁状態を維持するため,施工/保守に高い技術力を
要求される。
4
異なった等電位ボンディング間の伝送
異なったビル間や等電位ボンディングの異なった地域間の導電性信号接続では,その間に電位差が生じ
る可能性があり,システムの安定稼動・安全性に問題が発生する危険性がある。これらの問題を避けるた
めに,等電位ボンディングの異なった地域間の信号接続は,金属導体を用いないファイバケーブルのよう
な非導電性接続によって行われることが望ましい。
5
情報システム用関連設備の接地
電源設備や空調設備等の関連設備は,感電保護のため電気設備技術基準によるか,又は JIS 規格(IEC
規格)の要求事項を満たす接地を行う必要がある。
・JIS C 60364-4-41:2006「建築電気設備 第 4 部 安全保護 第 41 章 感電保護」
・JIS C 60364-5-54:2006「建築電気設備 第 5 部 電気機器の選定と施工 第 54 章 接地設備及び保護導体」
・JIS C 0365:2007「感電保護-設備及び機器の共通事項」
ただし,
「情報システム用の接地」が IEC 規格を採用し,
「関連設備の接地」が電気設備技術基準を採用
するというような混用は避けなければならない。
また,関連設備を情報システムの構成機器として扱う場合は「情報システム用の接地」と同様の接地を
行う。
- 電源設備(分電盤,UPS,配線ダクトなど)
- 空調設備
- ラック等
5.1
保護導体サイズ(JIS C 60364-5-54 参照)
電源設備・空調設備等に使用する保護導体の最小断面積は以下の式により算出する。
(各保護導体の断面積は JIS C 60364-4-41,413.1 で要求する電源の自動遮断の条件を満たし,推定故障
電流に耐えることができなければならない)
S=
I 2t
k
(0≦ t≦ 5.0)
S :断面積(mm2)
I :予想される最大地絡電流(交流実効値:A)(IEC 60909-0 参照)
t :遮断装置の動作時間(秒)
k :保護導体 係数
保護導体の最小断面積を表から算出する場合は下表参照のこと。
8
JEITA ITR-1005
表 1―保護導体の最小断面積
線導体の最小断面積
線導体に対応する保護導体の最小断面積(mm2)
S(mm2)
保護導体が線導体と
保護導体が線導体と
同一の材質の場合
異なる材質の場合
S ≦ 16
S
k1
×S
k2
16< S ≦ 35
16(*)
k1
× 16
k2
S > 35
S *
( )
2
k1 S
×
k2 2
k1:線導体に対する k の値で,導体及び絶縁物の材質によって JIS C 60364-5-54 表 A54.1 又は
JIS C 60364-4-43 の表によって選定したもの。
k2:保護導体に対する k の値で,JIS C 60364-5-54 表 A54.2~A54.6 から該当するものとして
選定したもの。
(*)
PEN 導体の断面積の低減は,中性線の太さに対する規定に一致している場合に限り認め
られる。(JIS C 60364-5-52 参照)
また,保護導体が電源ケーブルの構成要素でないか,又は線導体と共通のエンクロージャ内に入ってい
ない場合の断面積は以下のように規定されている。
・機械的保護がある場合 銅で 2.5 mm2 以上(アルミニウムでは 16 mm2 以上)
・機械的保護がない場合 銅で 4.0 mm2 以上(アルミニウムでは 16 mm2 以上)
9
JEITA ITR-1005
6
雷保護システムと接地環境
情報システム,関連設備又はサージの侵入経路となる電源線,通信線,接地線,各種アンテナ,監視カ
メラなど関連設備の設置場所を,直撃雷又は誘導雷の影響を受ける危険度合いから雷保護領域(LPZ:
Lightning Protection Zone)に分けることで適切な雷対策を行う方法がある。ただし,ゾーンニングの考え
方は,建物内・機器間に電位差が生じない(等電位)ことを前提としている。(参考:IEC 61312)
クラスⅠサージ防護デバイス
クラスⅡサージ防護デバイス
主接地端子盤
接地端子盤
図 9―雷保護システムイメージ図
7
接地設備の維持管理
情報システムを安定に稼動させるために接地母線,保護導体,接地端子等の電気的,機械的な維持管理
が必要である。
また,共用接地では,他設備からのノイズの回り込みによる誤動作障害時の切り分けを容易にするため,
下記を明示する。
・接地母線との接続箇所名表示
・接地線の分岐箇所,及び行き先表示
(社)電子情報技術産業協会が発行している規格類は,工業所有権(特許,実用新
案など)に関する抵触の有無に関係なく制定されています。
(社)電子情報技術産業協会は,この規格類の内容に関する工業所有権に係る確認
について,責任はもちません。
JEITA ITR-1005
2007 年 12 月発行
発 行 (社)電子情報技術産業協会 インダストリ・システム部
〒101-0065 東京都千代田区西神田 3-2-1
TEL 03-5275-7261 FAX 03-5212-8122
印 刷 (株)オガタ印刷
〒 102-0072 東京都千代田区飯田橋 1-5-6
TEL 03-3264-3456
禁 無 断 転 載
この規格類の全部又は一部を転載しようとする場合
は,発行者の許可を得て下さい。
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