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奥出雲町景観形成重点地区 (景観条例第8条)

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奥出雲町景観形成重点地区 (景観条例第8条)
奥出雲町景観形成重点地区
(景観条例第8条)
奥出雲町には豊かな自然景観、歴史・文化的景観など、良好な景観を有する地区が
存在します。中でも、たたら製鉄に起因する「文化的景観」は本町の特出すべき景観
を形成しています。そして、これらの景観は町内全域的に及ぶものであり、鉄を生産
したのみではなく、燃料木炭製造にかかる山林経営、鉄穴流しによる土地利用、さら
には伝統文化など、多面にわたり本町の文化的景観を形成してきました。
今回は、全町的な広がりをみせるたたら製鉄に育まれた文化的景観の中でも、重点
調査を実施し、関係住民との合意形成や関係部局との調整を終えた下記の7区域につ
いて奥出雲町景観形成重点地区として指定します。
(1)景観形成重点地区の指定
お く い
指定区域名
景
観
形
成
重
点
地
区
ず
も
た
な
だ
奥出雲たたらと棚田の文化的景観
やまふところ
ひ ら
た
な
だ
は
な い だ に こ う ざ ん か ん
な
な
が
ほ
ん
ば
①
小万歳区域
山懐に拓かれた棚田と羽内谷鉱山鉄穴流し本場
②
追谷区域
鉄師ト蔵家とともに歩んだ山村集落と原鈩
③
山県区域
炎舞い上がる日刀保たたらと鳥上木炭銑工場
④
福頼・蔵屋区域
鉄穴流し跡に広がる棚田と鉄穴残 丘
⑤
旭 区 域
鉄師絲原家が拓いた大原新田と鉄山山林
⑥
雨川区域
鉄師の面影を今に伝える絲原家と鉄穴鈩山内
⑦
真地区域
内谷溪谷に佇 む鉄師櫻井家と槙原角炉
て
っ
ほのお
し
ぼ
く
ら
け
あ ゆ
にっとう
ま
かん な な が
さ ん そ ん しゅうらく
ほ
と り か み も く た ん せ ん こうじょう
あと
ひろ
た な だ
て っ し い と は ら け
ひら
おおはらしんでん
て っ し
いま
おもかげ
うちだにけいこく
景観形成重点地区
たたず
はらたたら
か ん な ざ ん きゅう
てつざんさんりん
いと は ら け
て つ し さ く ら い け
かんなたたらさんない
まきはらかく
ろ
亀嵩区域
鳥上木炭銑工場
日刀保たたら
三沢区域
山県区域
③
①
小万歳区域
②
雨川区域
(絲原家))
⑥
追谷区域
(ト蔵家)
④
上阿井地区
⑦
真地区域
(櫻井家)
福頼区域(中丁・蔵屋
集落を一部含む)
⑤
旭区域(大原新田)
【凡例】
景観形成重点地区
景観形成重点地区
候補として調査中
やまふところ
ひら
た な だ
は
ないだにこうざんかん な な が
ほ ん ば
①景観形成重点地区 小万歳地区:『山 懐 に拓かれた棚田と羽内谷鉱山鉄穴流し本場』
1)小万歳地区70.40ha を景観形成重点地区に指定する。
本区域は、記紀神話に登場するスサノオとヤ
マタノオロチ退治神話の舞台の地とされる船
小万歳川(走り)
通山(鳥髪山)麓の山懐に位置している。
羽内谷鉱山鉄穴流し本場がいつ頃から稼業
したか、史料を欠き詳らかではないが、良質の
砂鉄が産する地域であることが知られていた。
鉄穴流しの後に
拓かれた水田
近世末にかけてト蔵家が稼業し、その後、日
小万歳集落
立金属株式会社に引き継がれ河川水質汚濁防
止法の施行によって禁止される昭和 47 年まで、
全国で最後まで稼業されたものである。
完全な形で保存されているもので、町指定文
化財に指定され保存されている。
中国山地脊梁部から派生するなだらかな山麓
丘陵地は鉄穴流しで流されたことにより、山林
内に不自然な棚田が開けている。この縮図が小
万歳区域であり、鉄穴流し本場の約1㎞上流に、
羽内谷鉱山鉄穴流し本場
水田と民家2軒が現れ、鉄穴流しと水田開発の 鉄穴流しで拓かれた景観構造の縮図である小万歳
鉄穴流しで拓かれた景観構造の縮図である小万歳
関連が理解できるものである。
これは鉄穴流しによって山深い山林が開発され、その後に人の営みがなされたことを
示している。
なお、日刀保たたらの操業に用いる砂鉄は、羽内谷鉱山の隣接地で磁力選鉱により
採鉱されている。この鉱山は良質の砂鉄が包含していることが知られている。
鉄穴流し跡に拓かれた棚田
保存されている羽内谷鉱山鉄穴流し本場設備
て っ し ぼ
②景観形成重点地区
く
ら
け
あゆ
さ ん そ ん しゅうらく
はらたたら
追谷区域:
『鉄師ト蔵家とともに歩んだ山村集落と原鈩』の文化的景観
1)追谷地区237.03ha を景観形成重点地区に指定する。
追谷集落は、本町の南東部に位置
し、船通山から派生する狭隘な谷間
ト蔵庭園・ト蔵家墓所
ト蔵橋
に流れる追谷川の両丘陵の鉄穴流し
ト蔵橋
大龍寺・秋葉大権現
跡地を棚田に拓き、集落が形成され
ている。
伯耆国からこの地に移り住み土着
した卜藏氏は、製鉄業を営み、それ
以後、本拠を置き続けた。
原鈩(叢雲鈩)跡
原たたら跡をはじめ、同氏が寄進
した石造物などが集落内に多数残っ
ており、その勢力を知ることができ
原鈩(叢雲鈩)跡
る。
ト蔵家が拓いた追谷集落
さて、追谷集落は一級河川の斐伊
川を挟んで南東に位置し、集落に入る架橋を「卜蔵橋」
と名付けている。それほど、卜蔵家の影響力のもとに
集落は歴史を歩んできており、今日の景観が残された
といえる。
卜蔵橋を渡ると程なく卜蔵氏の旧邸宅が所在した
場所に江戸時代初期元禄頃の作庭とされる見事な
鉄穴流し跡の棚田が残る集落内の景観
庭園が残っている。また、集落内にある大龍寺は竹
崎地区唯一の寺院で、すなわちト蔵氏の菩提寺であった。境内にある秋葉大権現は、
浜松にある本山秋葉大権現をト蔵氏が明和 5 年(1768)に分祀して持ち帰ったもので、
白木造りの豪華な宮である。
現在も遺構が残る“原たたら”が同年から操業を始めているので、この火伏の神と
して勧請したものと考えられ、奉納する「十七夜」の祭りは今に受け継がれ伝統芸能
となっている。
また、原たたら跡には残された 63 駄 1 歩という驚異的な出鉄を称えた石碑が誇ら
しげに鎮座しているほか、金屋子神社跡をはじめご神木である桂の木、さらに、周辺
は往時の山内の佇まいを色濃く残し、たたら製鉄とともに歩んだ集落としての文化的
景観を残している。
原(叢雲)たたら跡に残る鉄池
原(叢雲)たたら跡に残る鉄池
驚異的な出鉄を記念して建立された頌功石
ほのお ま
③景観形成重点地区
1)山県区域
あ
にっとう
ほ
と り か み も く た ん せ ん こうじょう
山県区域:『炎 舞い上がる日刀保たたらと鳥上木炭銑工場』の文化的景観
0.607ha を景観形成重点地区に指定する。
特殊鋼を生産していた安来製鋼所が原材料と
なる木炭銑(和銑)を生産する主力工場として
大正 7 年(1916)に安来製鋼所鳥上工場を現在
地に建設した。これは、広島鉄山の小花冬吉氏
らによって開発された小型高炉の木炭銑角型熔
鉱炉であり、日生産量 3 トンで操業を開始した
ものである。続いて、昭和 27 年(1952)にペレタ
イジングによる2号炉が増設され注目を集めた。
このことは、鳥上の地が古来よりの製鉄の由
緒はもとより、雲伯鉄鋼合資会社創立の時から
深いつながりをもつト蔵家が代々製鉄業を営ん
できたところであったとともに、この地で採れ
る真砂砂鉄が良質であったことが決定理由であ
った。一方、昭和8年(1933)に財団法人日本
刀鍛錬会が、日本刀の原材料である玉鋼の枯渇
と、たたら吹き製鉄技術の保存のため、鳥上木
炭銑工場の隣接地に「靖国鈩」を建設し、操
鉄穴流し跡の棚田が残る集落内の景観
業を開始した。これも、この地の優秀性が評
価された所以である。
今日、鳥上木炭銑工場は国土の歴史的景観に寄与しているものとして国登録有形文
化財に登録されており、日刀保たたらは国選定技術として、世界で唯一たたら操業が
行なわれていることは周知のとおりである。これらは我が国の製鉄の近代化遺産とい
うべきものでもある。
また、この地では、古くから盛んにたたら製鉄や鉄穴流しが稼業され、「谷鈩川」
や「焼鈩」などのたたらに関する地名が残り、周辺の山林は、かつてト蔵家が所有し
た鉄山山林であったこともと知られている。このことから、本地域は、たたら製鉄の
聖地ともいうべき所で、かつて鉄山であった山林を背景に構える鳥上木炭銑工場は、
平成 20 年に「しまね景観賞」を受賞するほど、たたら製鉄の文化的景観を色濃く残
している。
景観賞を受賞した鳥上木炭銑工場と日刀保たたら
鈩に関する河川や地名を多く残す
「
④景観形成重点地区
かん な な が
あと
ひろ
た な だ
か ん な ざ ん きゅう 」
福頼・蔵屋区域:『鉄穴流し跡に広がる棚田と鉄穴残 丘 』の文化的景観
1)福頼・蔵屋区域720.81ha を景観形成重点地区に指定する。
福頼集落と蔵屋集落との間にあった南北に長く
舌状に延びた丘陵尾根を大規模に鉄穴流しした跡
地に形成され、広大な棚田が広がる地域である。
この地域は、黒雲母花崗岩からなる母岩で、良
質な砂鉄を産したようで、集落奥地の板井谷は、
最上級の籠り砂鉄が取れることで知られていた。
このため、福頼川を挟んだ両丘陵に巧みに鉄穴水
路を導き隈なく流している。水路の導水は約 1.5
㎞上流の河川より引かれ、途中暗渠(鉄穴まぶ)
を掘るなどして幾重にも丘陵尾根上に導いている。
この水路は、後世にほ場整備による開発がなされ
ているものの、基本的に当時導いた「鉄穴横手」
の用水路の水系がそのまま現在も使用されている
ものである。
また、丘陵上に数か所の溜め池を配するなどし
て鉄穴流しを稼業していたことが理解できるもの
である。
さらに、
「採掘切羽」と呼ばれる砂鉄を含有する
500m
1000m
山肌を切り崩した断崖様の採掘遺構も残存し、そ 0
の高さは 30m余りもある。その地山は、経年とと
丘陵尾根すべてが流され拓かれた棚田
もに被植するが、風化しているため表面崩落を繰り返している部分もある。
そこに、墓地などの信仰施設が所在したために小さな丘状に残された「鉄穴残丘」
が棚田に点在し、鉄穴流しを背景とする特徴ある文化的景観を形成している。
斐伊川
山郡集落
福頼集落
蔵屋集落
蔵屋川
福頼川
【凡例】
選定範囲
河川
鉄穴横手:現在農業用水路に使用している。
鉄穴で流されたと考えられる範囲。
採掘切羽跡と空田井手
鉄穴流し跡に広がる棚田が広がる棚田景観
点在する小山状に残る鉄穴残丘
山郡川
て っ し い と は ら け
⑤景観形成重点地区
ひら
おおはらしんでん
てつざん さんりん
」
旭区域:
『鉄師絲原家が拓いた大原新田と鉄山山林』の文化的景観
1)旭地区145.33ha を景観形成重点地区に指定する。
絲原家は、備後国より移住したと伝え、
当地初代の善左衛門が所有していたとす
る大原鉄山において寛永 10 年(1633)に
たたらを稼業したのが始まりとしている。
天明 8 年(1788)に、
“大原たたら”
(大
原新田地内にあったもので、字名を残し
ている)を雨川の“鉄穴たたら”に移し、
永代たたらとして操業を開始すると、本
拠本宅も雨川に移したものである。
このため、絲原家の屋号は、大原の地
の「湯ノ廻」をそのまま使用している。
絲原家が開発した大原新田
現在、日本の棚田百選に選ばれている
大原新田は、江戸時代末の文久 2 年(1862)に絲原家が鉄穴流しの技法を用いて造成
した代表的なもので、隣接する渋谷新田も同様である。
通常棚田といえば猫の額ほどでしかも不整形な水田が丘陵斜面に展開しているが、
本棚田は一区画あたりの面積が平均して 20a近くもある。しかも整然としたこの区画
は、現代の技術においてほ場整備したものと見まちがえるほど精密に整備されており、
その技術の高さが見てとれる。
そして、この用水は山一つ隔てた金川水系より導水しており、数 km にわたる鉄穴
横手(用水路)は、測量技術の高さも窺える。
また、かつて鉄山(たたら製鉄用燃料木炭山林)であった仏山(標高 1,010m)を
背に構えた大原新田の景観は、鉄穴流しの技術による所産と鉄山の要素があいまって、
他では見ることができない独特な景観を形成している。
整然と区画された大原新田
免谷池
て っ し
おもかげ
いま
つた
いと は ら け
かんなたたらさんない
⑥景観形成重点地区 雨川区域:『鉄師の面影を今に伝える絲原家と鉄穴鈩山内』の文化的景観
1)雨川地区32.96ha を景観形成重点地区に指定する。
天明 8 年(1788)に現在地に主力
鈩である“鉄穴たたら”を設け、永
代たたらとして大正 10 年(1921)
までの 133 年という長きにわたっ
て操業された。
鉄穴鈩の名称は、この地が、大規
模な鉄穴流し(大鉄穴)が行われた
跡地であったことから、そのままそ
れを名称にしたという。
絲原家(鉄穴鈩跡)
特徴としては一般的なたたら場
とは異なり、豪壮な構えの絲原家の
居宅や出雲流として著名な庭園が
鉄師の面影を今に伝える絲原家と鉄穴たたら山内(絲原家)
同居するという職住接近というと
ころにある。明治 30 年代後半において、この鉄
穴たたら山内には 39 戸 196 人が居住し、このほ
かに手代屋敷が数件所在し、計 2 百数十名が生活
をともにしていた。
今日、絲原家住宅主屋ほか計 9 棟が国土の歴史
的景観に寄与していることから、国登録有形文化
財に登録されている。
登録有形文化財絲原家住宅
黒門(門柱門扉)で迎える奥行きのある屋敷構
えは、隆盛を誇った鉄師頭取の佇まいを今に伝えている。
また、敷地内には、製鉄を司る者すべての守護神である金屋子神社を配するなど、
金屋子の神が宿るたたら山内景観は、一種独特の異空間をつくりあげている。
鉄師の面影を今に伝える絲原家と鉄穴たたら山内(絲原家)
黒門
うちだにけいこく
⑦景観形成重点地区
たたず
て つ し さ く ら い け
まきはら かく
ろ
真地区域:
『内谷溪谷に佇 む鉄師櫻井家と槙原角炉』の文化的景観
1)真地地区356.20ha を景観形成重点地区に指定する。
櫻井家は大坂夏の陣で奮闘活躍した塙団右衛門
の末裔で、安芸藩の福島正則に仕えたが、改易さ
れると武士を捨て安芸国可部で商いを始めた。
その後、良質な砂鉄を産することと、豊富な山
林資源に着目し、上阿井の谷深く抱かれた狭隘な
内谷に移り居を構え製鉄業をなした。菊一印は櫻
井の鉄を指し、この良鉄の名声は遠く国友鉄砲鍛
冶にも使われるなど、奥出雲の鉄の優秀性が知ら
れている。
製鉄業が軌道にのると、元文 2 年(1737)現在
地に本格的な主屋の造営を始め、7,000 ㎡を越える
広大な敷地に主屋をはじめ付属屋、土蔵群が立ち
並ぶ鉄師頭取の屋敷構えをつくりあげていった。
そして、奥出雲ご三家と呼ばれる格式をもつに至
り、松江藩7代藩主松平不昧が来駕した際、築庭
された池庭に落ちる瀑布を愛で、その素晴らしさ
に「岩浪」と名付け、その直書が残っている。
今日、櫻井家宅主屋ほか9棟が国重要文化財に
狭隘な谷間に佇む櫻井家住宅
指定されている。
また、眼前を流れる内谷川沿いには京もみじが植えられ、四季折々に染まる渓谷な
ど周囲と調和した景観は訪れる者の心を和ませ癒してくれる。
周囲を見渡すと、近代化遺産の角炉(たたら角炉伝承館)が残るほか、山深い谷に
細々と営まれている棚田は往時のまま保存されている。
猿政山に代表される鉄山に囲まれた山内遺構を色濃く残した風景は、あたかも時の
流れを止めたようであり、たたら製鉄文化の縮図ともいえる歴史的景観を今に留めて
いる区域である。
内谷川に染まる京もみじと櫻井家住宅
櫻井家の名庭「岩浪(瀑布)」
(2)景観形成方針
たたら製鉄に起因する景観は本町の景観形成の核となるもので、本町の特出すべき
景観であります。具体的な景観保全施策としては、大部分を占める山林と農地は景観
を阻害する要因は少ないものと考えられるので、森林法、農地法、文化材保護法など
の行為規制、奥出雲町の景観条例により規制・誘導をはかります。また、それに加え、
地域住民の理解と協力を得ながら、協働によって、景観形成に努めます。
また、修景整備については、できる限りその地域で生活をしている住民が主体とな
り将来に継承していくべき姿をイメージしながら守り、保全していきます。
景観の管理運営については、その地に住み生活を営んでいる地域住民が中心的役割
を果たし、企業や団体等が協力し、行政が指導助言や支援施策を講じるという連携し
た仕組みが必要となります。今後は、景観協定を推進し、景観形成重点地区に指定し
た地域については、良好な景観形成を図るため、土地所有者などの合意により、対象
となる区域における景観の形成に関する事項を地域住民等が理解したうえで協定し
ていく必要があります。
(3)景観形成基準
(現状維持に努める事項)
これまで、良好な状態で守られてきたものについては、現状維持を基本とし、今後
も保全・管理していくものとします。
山村集落景観に調和した住宅の維持
・集落における住居は、奇抜なものやけばけばしい色彩
を避け、周囲の景観と調和したものにする。
・2 階建て以下(最高高さ 10m以下)とし、陸屋根を避
け勾配屋根と自然素材の使用を基本とする。
・敷地内の緑化に努め、地域に根差した樹種を植栽する
こととし、屋敷林等の既存樹木をできる限り保全・活
用する。
棚田の維持と保全
・鉄穴流しによって拓かれた棚田で産出する米は、ブラ
ンド米として高く評価されており、積極的に営農する
とともに、耕作放棄がおこらぬよう努める。
・未ほ場整備地については、現状維持が好ましいが、耕
作維持のため止むを得ず行う場合は、届出をするとと
もに、指導をうけるものとする。
・畦畔の草刈りを積極的におこなうこと。
用水路(鉄穴井手)の維持と保全
・現在使用している多くの用水路は、鉄穴流しのために
導かれた用水路(鉄穴井手)であり、重要な構成要素
のため、現状維持と保全に努める。
・水田の維持のため、土水路をコンクリート製品の敷設
をする場合は、現在の流水形状のまま敷設することを
原則とし、流水形状を変更する場合は届出ること。
・管理作業の草刈りをおこない保全すること。
鉄穴残丘の維持と保全
・鉄穴残丘は、墓地や鎮守の杜が所在したことから残さ
れたもので、水田と相まって特異な景観を形成してい
る重要な要素であることから、現状のまま維持するこ
とを原則とする。
・周囲の草刈りを積極的に行ない、良好な環境を保つよ
う努めること。
・現状変更する場合は届出ること。
歴史的建造物の維持と保全
・鉄師などが寄進した歴史的建造物は、現状を変えるこ
となく維持するものとする。
・老朽化や災害等によるき損等が発生した場合は、速や
かに届出をして、補助事業等により修繕を行なうこと
とする。
・周囲の樹木の伐採や、除草に努め良好な環境を維持す
ること。
(修景や復元などに努める事項)
少子高齢化などにより放置され、景観を阻害している要素や問題と思われる事象に
ついては、国の補助事業等を活用して積極的に修景を図るもととします。
繁茂した竹林木等の伐採による修景の推進
・鉄穴残丘や歴史的遺構等は、文化的景観の重要な構成
要素であるので、繁茂した竹林木の伐採は専門家等の
指導を得て、積極的に行なうものとする。その際、国
の補助事業を積極的に活用するものとする。
・事業実施後は、再び竹林木が繁茂することのないよう
保存管理に努める。
耕作放棄地の積極的な復元による修景の推進
・現状耕作放棄地はほとんど見られないが、条件悪地にお
いて、わずかに見受けられるものについては、復元に努
める。
・悪地により復元が困難な場所においては、補助事業等を
活用して、修景を図るよう努力する。
・事業実施後は、再び荒廃することのないよう保存管理を
する。
放置している廃屋等の撤去の推進
・現在放置された廃屋等は、景観を著しく阻害するもので
あるので、速やかに撤去するよう努めること。
・空き家等が発生した場合には、町の空き家バンクに登録
するなどして、入居者を募集し、維持管理が継続できる
よう努める。
遊歩道等の整備の推進
・林野を少し分け入ると採掘切羽等のたたら製鉄に起因す
る遺構が残存し、眠ったままになっている。これらは、
本町の景観形成プロセスを知りうる手がかりとなる重
要なものであると同時に、貴重な資源であるので、補助
事業等を活用して、誰もがいざなえるよう整備を図るも
のとする。
ビューポイント(視点場)の整備の推進
・地域と行政が連携協力して、良好な景観を愛でるビュー
ポイント(視点場)を設置し、来訪者はもとより地元住
民においても、文化的景観愛護の普及啓発を図るものと
する。
・地域住民の要望を踏まえ、説明看板等の設置を補助事業
を活用して推進する。なお、設置にあたっては統一的な
ものとする。
(4)景観形成重点地区の届出対象行為
届出対象行為
建築物の新築、増・改築、移転、撤去、外観の変更
規模
高さ 10m若しくは 3 階建て又は建築面
積 200m2 を超えるもの
工作物の新
垣(生垣を除く)、さく、塀、擁壁等
高さが2m又は長さが 5mを越えるも
築、増・改築、
の。ただし、擁壁その他これらに類する
移転、撤去、
ものは高さ5mを越えるもの。
外観の変更
煙突、排気塔等、鉄筋コンクリート造りの柱、 高さが 10m又は築造面積が 200m2 を超え
金属製の柱等、電波塔、記念塔、物見塔等、 るもの (注1)
高架水槽、冷却塔等、彫像、記念碑等、観覧
車、飛行塔、メリーゴーラウンド、ウォータ
ーシュート、コースター等、コンクリートプ
ラント、アスファルトプラント、クラッシャ
注1:工作物が建築物と一体となって設
ープラント等、石油・ガス・液化石油ガス・ 置される場合は、工作物の高さが5mを
穀物・飼料等を貯蔵し、又は処理する施設、 超え、かつ、地盤面から工作物の上端ま
汚水処理施設、汚物処理施設、ごみ処理施設
での高さが 10mを超えるもの
等
自動車車庫の用に供する立体的施設
高さが 10m又は築造面積が 200m2 を超え
るもの(注2:注1に同じ)
電気供給のための電線路、有線電気通信のた
高さ 20mを超えるもの(支持物が建築物
めの線路、空中線等(これらの支持物を含む) と一体となって設置される場合は、支持
物の高さが 5mを超え、かつ、支持物の
上端までの高さが 20mを超えるもの)
広告板、広告塔、装飾塔等
高さ 5m又は表示面積 10m2 を超えるもの
(注3:注1に同じ)
屋外における物品の集積・貯蔵
高さ5m又は面積 1,000m2 を超えるもの
鉱物の掘採、土石等の採取
面積が 300m2 を超えるもの、又は高さ及
土地の区画形質の変更
び長さがそれぞれ5m及び 10mを超え
る法面若しくは擁壁を生じるもの
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