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那覇市ゼロエミッション基本構想 報 告 書
那覇市ゼロエミッション基本構想 風格ある県都那覇市の創造 報 告 書 平成 14 年 3 月 那 覇 市 はじめに 那覇市では現在、市民生活や企業活動などから日量 300 トンものごみが排出 され、その処分にかかる膨大な行政コストや新焼却炉の建設、最終処分場の問 題等ごみ処分に関する問題が山積し深刻な状況にあります。 そして今、私たちを取り巻く環境問題はゴミ問題に止まらず、大気汚染や水 質汚濁、そして、地球規模で起っている地球温暖化や酸性雨の問題まで数多く の問題があり、解決を迫られています。 21 世紀を迎え、世界的に取組まれているごみ問題をはじめ環境に関するこれ らの諸問題は、大量の生産や消費をシステム化した現行の経済活動に起因して いるというのが一般的な認識ですが、単に企業活動ばかりでなく過剰に豊かさ を求める一般の市民生活のあり方そのものも原因になり得るということを認識 していくことが問題解決に向けて大変重要な事であると思います。 那覇市では既に 2000 年 3 月に国の環境基本法にもとづいた「那覇市環境基 本計画」を策定しました。この計画では、本市の環境保全に関する総合的な立 場から市民や事業者、行政等が主体的に協働して行う街づくりのための指針を 明確にしたところです。そこでさらに本市が未来に向かって持続的に発展する には資源循環型社会を目指すゼロエミッション社会の構築が必要となることか ら本構想を策定しました。環境に関する各指針が既に「環境基本計画」で示さ れていますので本編では、ゼロエミッションに関する基本的な理念を基本構想 として第 1 章にまとめ、第 2 章以降はゼロエミッションを推進するための基本 計画に類する事項をまとめました。 今後は、本構想のなかに位置づけた事業を理念に沿って実施していくことに よって、地球的規模での環境問題解決に那覇市が一定の役割を果たし、地域が 潤い活性化し、そして産業振興が図られます。 そしてこれらの事業実現には、市民、NPO、企業、教育機関、行政間の強 固なパートナーシップが何よりも必要とされ、それぞれの役割を担っていくこ とが求められます。 50 年先、100 年先の世代の安心で豊かな生活のために、行政はもちろん市民 はじめ関係機関も率先して行動していくことをお願い申し上げます。 平成14年3月 那覇市長 翁長雄志 −目次− 序章 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1頁 1.那覇市がゼロエミッション事業に取り組んだ背景 2.『那覇市ゼロエミッション基本構想』策定の意義 3.ゼロエミッションの概念と沖縄振興における位置づけ 4.基本構想の概要と関連諸計画 第1章 基本的考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5頁 1−1.基本理念・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5頁 1−2.基本構想の方向性と目標・・・・・・・・・・・・・・・・・6頁 1.市民生活の質の向上とライフスタイルの転換 2.環境教育、および地域の活動を通した人材育成 3.環境をキーワードとした産業振興と雇用促進 4.環境モデル都市としての情報発信 1−3.地域活性化のための戦略的施策・・・・・・・・・・・・・・9頁 1.環境に配慮した観光を主軸とする産業クラスターの形成 2.アカデミア・パーク構想 1−4.行動指針(ガイドライン) ・・・・・・・・・・・・・・・11頁 1.環境行動指針(ゼロエミッション那覇宣言) 2.実施方法 3.情報公開と環境監査 1−5.推進主体と組織体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・12頁 第2章 那覇市の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13頁 2−1 那覇市の概況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13頁 1.那覇市の産業構造 (1)那覇市の人口動態と世帯の推移 (2)那覇市の産業別事業所数及び就業人口 (3)那覇市食品関連事業所数 2.那覇市観光の課題 2−2 那覇市の廃棄物等の現状と課題・・・・・・・・・・・・・18頁 1.那覇市のごみ排出量・組成 (1)那覇市のごみ排出量・組成及び資源処理フロー (2)廃棄物組成 (3)那覇市の環境問題取り組み状況 2.那覇市の生活環境を取り巻く課題 2−3 第3章 那覇市における環境に関する全体課題・・・・・・・・・・24頁 循環型社会システム構築に向けて・・・・・・・・・・・・・26頁 3−1 循環型社会形成の方向性・・ ・・・・・・・・・・・・・26頁 3−2 那覇市の現状と課題からの対応 ・・・・・・・・・・・・・27頁 1.那覇市の将来像からの対応 2.事業展開からの対応 3.技術面からの対応 4.回収システム等からの対応 5.減容化システムからの対応 6.回収コスト負担からの対応 7.全体的取り組みからの対応 3−3 資源循環型技術の那覇市導入可能性・・・・・・・・・・・33頁 1.事業化技術 2.那覇市ゼロエミッション産業振興フロー図 3.基本構想の具体的取り組み 第4章 那覇市ゼロエミッション基本事業・・・・・・・・・・・・・37頁 4−1 循環型社会形成推進事業・・・・・・・・・・・・・・・・41頁 1.那覇市循環型社会形成構築事業 2.環境教育推進事業 3.循環型モデル推進事業 4.那覇市エコ・エネルギー都市形成事業 5.環境製品・技術開発推進事業 第5章 構想推進プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72頁 1.那覇市ゼロエミッション事業推進(社会のニーズにより対応) 2.協力体制の構築 3.那覇市ゼロエミッションモデル推進事業 4.那覇市からの提言 5.事業推進プログラム 終章 ∼今後の展望と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87頁 資料編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90頁 資料―1.支援制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92頁 資料−2.循環型社会形成に向けての関連法規・・・・・・・・・97頁 用語解説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・98頁 序 章 1.那覇市がゼロエミッション事業に取り組んだ背景 人間は「地球」の自然生態系の一部として存在している。地球は、現在の科 学で知られている限りにおいて、豊かな生命体が存在する唯一の惑星であり、 私たち人類にとってかけがえのない故郷である。 「青い地球」と賞賛されるこの 地球には、多種多様な生命体が織り成す生命の網が張りめぐらされているが、 今、この生命の網が人間活動によってほころび始めている。 このような地球規模で起こっている環境問題の多くは、消費や生産活動とい ったローカルなレベルでの人間活動から生じたものである。那覇市の状況をみ ても、交通渋滞から引き起こされる大気汚染、生活排水による河川・海の汚染、 ごみ排出量の増加に伴う焼却工場の規模拡大、最終処分場の不足等が生活環境 の悪化につながっているばかりでなく、生活費の高騰や経済効率の悪化、財政 逼迫等の経済問題を引き起こしている。このような観点から、国においては、 「循環型社会形成推進基本法」 (平成 13 年 6 月)を含む6つの関連法律が制定、 あるいは改正された。今や、環境問題は国ばかりでなく地方自治体においても 重要な政策課題になっている。 ゼロエミッションが市政の課題として取り上げられた直接的な背景には、那 覇市におけるごみ問題の深刻化がある。平成 18 年度の稼動をめざして新焼却 炉を建設することが決ったが、ごみ排出量は築 20 年になる現施設の処理能力 を超えており、現最終処分場の使用期限は今年 12 月で終了する等、ごみ処理 を取り巻く状況は逼迫している。循環型社会をめざし、単なるリサイクルやご み減量ではない抜本的な社会変革が必要とされている。 2.『那覇市ゼロエミッション基本構想』策定の意義 『那覇市ゼロエミッション基本構想』(以下、基本構想という)は、地域の生 活行動、産業活動を通して持続可能な社会を築くことを目的としている。健全 な自然生態系を保つことは生命維持の必須条件であり、自然の恵みを最大限に 生かすことが持続可能な経済活動につながるからである。本構想策定の意義と しては、以下の3点があげられる。 第一に、グローバルな視点に立った持続可能な発展(開発)に地方自治体が 積極的な役割を果たすこと。農業を基本とした経済から工業を基本とした産業 社会への移行は物質的な豊かさをもたらしたが、経済活動は入口で資源の枯渇、 出口で環境汚染という地球の限界に直面している。有限の地球にあって、私た ちは将来世代に負の遺産を残さないために行動する責任を負っている。島は小 1 さな地球の縮図だといわれる。沖縄が島しょ地域における持続可能な発展のモ デルを示し、世界に発信することを目標に、地域住民にもっとも近い位置にあ る市町村が率先して行動し、市民や事業者に対して環境に配慮した行動を奨励 し、支援することについて、県都としての那覇市にはリーダーシップが求めら れている。 第二に、本構想の策定により「風格ある県都・那覇市」をめざす市政の基本 姿勢を示すことで、地域の活性化が期待されること。市民生活の向上、産業振 興、健全財政は地方自治体の責務であり、環境に配慮した理想の都市像に向か って市民と事業者、学校、行政が協力して行動することで那覇市が活性化し、 結果的に環境を汚染しない「ゼロエミッション」が達成される。美しい自然景 観と豊かな自然生態系を保全し、市民の精神的・身体的健康に配慮したまちづ くりをすすめ、守礼の邦の伝統文化を継承発展させることは、那覇市にとって 地域の活性化につながるものである。また、本構想に関連する事業を推進する にあたっては、市民、NPO、企業、教育機関、行政間のパートナーシップ、及 び行政内部における意思の疎通が不可欠である。本構想策定のプロセスにこれ らの事業主体が参加することにより、事業の遂行がより効率的に行われるばか りでなく、コミュニケーション機会が増加することにより、地域が活性化する ことが期待される。 第三に、 「風格ある県都・那覇市」における産業活性化の方向を示すこと。豊 かな亜熱帯の自然景観に恵まれ、独特の伝統文化と歴史を有する沖縄県は、日 本国内のみならず、アジア・太平洋地域における観光・保養地として優れてい ると評価されている。平和都市宣言に加え、環境都市宣言をすることにより、 行政機関はもとより、市民生活や企業行動においても規範を示すことができる。 また、那覇市は、沖縄県の首都として、また交通拠点(玄関口)として、観光 リゾート・娯楽・芸能等を中心とした情報発信の拠点とすることができる。環 境、観光、情報の各分野を結合することで相乗効果が生まれ、新たなビジネス チャンスが創り出されることが本構想のねらいでもある。 2 3.ゼロエミッションの概念と沖縄振興における位置づけ エミッション(emission)とは、気体・液体・固体成分の廃棄・排出を意味 するもので、ゼロエミッションとは、地球の自然環境を保全するために、大気、 水、土壌等を汚染する物質の廃棄・排出を自然の浄化能力の範囲内に抑え、環 境負荷をゼロにしようというものである。そのためには、生産と生活の両面に おいて資源・エネルギーを効率的に利用し経済的・社会的無駄を排除しなくて はならない。このような観点から、ゼロエミッションの理念は工場等の生産現 場において廃棄物ゼロを目指す運動、および資源の生産性を高めるための付加 価値の高い製品開発をめざす企業戦略として取り組まれてきた。また、循環型 社会の形成をめざす国の施策として、経済産業省(旧通産省)と環境省(旧厚 生省)共管のエコタウン事業があることから、地方自治体においては、地域活 性化と廃棄物資源化の一石二鳥をねらったエコタウンづくりに取り組む形でゼ ロエミッションが取り組まれ、すでに 13 の自治体において事業が認可されて いる。 他方、沖縄県においては、21 世紀沖縄振興プランの 3 本柱の一つとして、 『ゼ ロエミッション・アイランド「沖縄」構想』が平成 12 年 3 月に策定された。 同構想は、 「美しい自然と豊かな暮らしを両立させていくための第一歩となる未 来に向けた構想」として「島しょ型の環境共生モデル地域の実現に向けた取り 組みの成果を発信していくことが、アジア・太平洋の交流の中心としての沖縄 の発展にもつながっていく」とし、具体的施策として環境共生モデル地域の形 成を挙げている。また、沖縄振興開発審議会による『沖縄の振興についての調 査審議結果報告』 (平成 13 年 6 月)においては、自然環境保全に配慮した美し い沖縄づくりが、経済自立をめざす産業振興および地域活性化の観点からとり あげられている。これらの調査結果を基に、本年 2 月に閣議決定された沖縄振 興特別措置法(沖縄振興新法)においては、産業振興の筆頭に観光リゾート産 業の振興が挙げられ、 「潤いのある平和な美しい沖縄づくり」は内閣府沖縄関係 予算の重点項目になっている。 3 4.基本構想の概要と関連諸計画 本構想は、持続可能な社会の達成を目標として将来ビジョンを描き、長期目 標年度を 20 年後の 2021 年に定める。また、基本構想という名称ではあるが、 実質的には基本計画的内容をも併せ持つものであり、市民意識の高揚、科学技 術の進歩、社会状況の変化等を考慮に入れ、必要に応じて見直しを行なう。 策定にあたっては、学識経験者、有識者等で構成する「那覇市ゼロエミッシ ョン基本構想審議会」を設け、その下に作業部会を設置して構想の内容につい ての詳細な検討を行なった他、庁内にゼロエミッション推進本部及び作業部会 を設けて関係部局の関連施策との整合性を図った。また、関連企業や経済団体、 NPO等、地域の諸団体から現場の意見を聴取し構想に反映することに努めた。 また、本構想と関連して、『那覇市第3次総合計画』(1998 年 3 月策定)を はじめ、 『那覇市環境基本計画』 (2000 年 3 月)、 『那覇市環境保全行動計画』 (2001 年 3 月) 、 『那覇市都市計画マスタープラン』 (1999 年 4 月) 、 『那覇市水環境保 全推進計画(那覇市生活排水対策推進計画)』 (1995 年策定、2001 年 2 月改定)、 『那覇市緑の基本計画』 (2001 年 3 月)、 『那覇市一般廃棄物処理基本計画』 (1998 年 3 月) 、 『那覇市観光コンベンション振興計画』 (2000 年 3 月)等の関連諸計 画がある。具体的な事業は、既にこれらの計画において検討され事業遂行にあ たっているところでもあり、本構想は関連諸計画を所管する関連部局と連携し て事業をすすめることになる。 4 第1章 基本的考え方 1−1 基本理念 基本構想は、「風格ある県都・那覇市」を持続可能な社会、すなわちゼロエミ ッションが達成された社会として将来ビジョンを描く。そこでは、エコロジー とエコノミーが一体化され、自然生態系に配慮した質の高い生活文化があり、 それを支える環境意識の高い市民がいる。市民生活と生産活動は遊離したもの ではなく、環境に配慮した生活が結果的に自然の恵みを生かした生産活動にな っているのである。本構想においては、持続可能な社会を形成するために「風 格ある県都・那覇市」の美しい地域づくりをゼロエミッションの基本理念とし て掲げる。 ゼロエミッションは、長期的、総合的な視点に立ち、ごみをつくらない(資 源を無駄遣いしない)経済システムをつくろうというものである。それは、市 民(生活者、消費者)が誇りを持てる活力溢れるまちであり、県都にふさわし く清潔で美しい景観をもったまちである。具体的には、那覇市のメーンストリ ートの国際通りや国道 58 号線において交通渋滞がなく空気がきれいなこと、久 茂地川や安里川のほとりが悪臭のない散歩コースになっていること、漫湖公園 や波の上では子ども達が安心して泳げる清らかな水辺があること、単なる焼却 や埋め立てに貴重な資源を使わないこと等である。 また、ゼロエミッションの理念にたつ美しい地域づくりは、資源の公平・効 率的な利用を図ることにより、社会的な公正を達成しようとする経済本来の目 的をもっており、健康、安全、安心という生活の質的な側面の充足を目的とす る。そのためには、老人や子ども、身体的にハンディキャップのある人々が安 心して暮らせるように公共の社会基盤を整備し、観光やビジネス等のために訪 れる長期・短期の来訪者に対して、交通手段や宿泊・飲食・娯楽施設、街の案内 等に細やかな配慮をする必要がある。これらは相応の社会基盤、すなわちハー ド面への投資と同時にサービス労働的なソフト面における雇用をも生み出し、 環境ビジネスの市場となる産業振興と不可分につながっている。 5 1−2 基本構想の方向性と目標 持続可能な社会ではこれまでの「資源の採掘→生産→流通→消費→廃棄」と いう一方通行の経済システムに代わって、「資源の再生→生産→(動脈)流通→ 消費→(静脈)流通→資源の再生」という循環型の経済システムがつくられて いる。廃棄物(環境汚染物質)を出口で処理するのでなく、廃棄物をつくらな いような社会システムをつくることがゼロエミッションの課題であり、生活と 生産のシステムに廃棄物が出ないようなゼロエミッションの理念を組み込むこ とが必要である。 経済活動には消費者と事業者の双方が関わっているので、本構想においては 持続可能な発展に向けて市民の意識・ライフスタイルを転換していくための「ま ちづくり」、及び生産活動において事業所の環境行動や環境ビジネスを支援する 「産業振興」を両輪とする方向性を定め、行政の基本的な役割を市民・事業所 の環境学習支援機能とコーディネート機能にあると位置づける。この方向性に 向けた目標として以下の4点が挙げられる。 1.市民生活の質の向上とライフスタイルの転換 市民生活の質の向上には、現世代ばかりでなく将来にわたって市民が健康で 快適な生活をするという視点が欠かせない。そのために必要な社会基盤、すな わち公共交通機関や公園緑地等を自然環境との共生、循環という視点から見直 していくハード面の整備は重要である。しかし、もっとも大事なことは市民が 主体的に「まちづくり」に関わっていく市民参画、そしてそのための情報提供、 情報公開といったソフト面の環境整備である。環境配慮型の市民生活は押し付 けによっては達成されない。環境に配慮した生活や消費者行動の奨励、エコ商 品の紹介等を通してグリーン・コンシューマーを育成し、関連する NPO や消費 者団体の活動を支援していく必要がある。 6 2.環境教育、および地域の活動を通した人材育成 ライフスタイルの転換は、意識変革によって可能となる。まちづくりの視点 からも学校と地域における環境教育の充実、環境学習の場が求められており、 地域のリーダーを育てていく必要がある。資源の循環をベースにした農村地域 との交流、家庭ごみの資源化の促進等は地域住民の環境学習・環境行動を支援 し、地域の商店街や市場を活性化する地域活動のモデル事例となろう。ハード 面の施設整備としては、学校と家庭、地域を融合する体験学習を促進するため に、身近な自然と親しめるビオ・トープや環境学習センター等の施設を整備す ることが挙げられる。 3.環境をキーワードとした産業振興と雇用促進 持続可能な社会に軟着陸するための手法として、観光産業を主軸とし情報産 業、農林水産業、製造業等の関連産業が連携する産業クラスターの形成をはか る。また、新技術の開発、新規事業の創設を支援するとともに、既存の事業所 がより環境に配慮しつつ事業体質を強化できるよう助成策を講じる。営利企業 のほか、環境・福祉関連の NPO やボランティアによる協働の市民事業支援も市 民生活の充実や学校・地域における環境学習を推進する活動、雇用の場の創造 として重要である。 4.環境モデル都市としての情報発信 基本構想の推進にあたっては、市民、事業者、および行政職員の意識改革が もっとも重要な課題であり、市役所として以下のような事業を通して市民との コミュニケーションをすすめる。 ① 行政における率先行動 まずは市役所本庁が ISO14001 を取得することで、ごみ減量やグリーン購入 制度の促進等、環境マネジメントシステムを確立し、公共事業においてもリサ イクル製品の優先的使用や環境に配慮した事業所を優先的に採用する政策を実 施する。また、新庁舎や学校等を建築する際には、自然エネルギーや中水道の 供給システムをとり入れたり、リサイクル資材を使用する等、設計段階から環 境に配慮したモデル建築物にすると観光名所ともなり、市民の自覚を促す効果 がある。 ② NPO、大学等の研究機関、及び国際機関等とのネットワークの形成 上述した産業支援と環境教育の充実をはかる事業の推進にあたっては、県内 および国内外の NPO や研究機関との連携を深め、情報ネットワークの構築をは かる。 7 ③国、県、他市町村との連携 資源循環型社会を構築するための事業は那覇市単独では遂行できない場合が 多い。デポジット条例の制定やエコタウン事業等の事業遂行には、循環型社会 の形成を促進する法律を所管する国や県の機関、及び県内外の他市町村と連携 して事業の遂行、効率化を図る必要がある。 公民館 NPO 自治会 市場 通り会 こども会 商店 ゼロエミッション 学校 まちづくり PTA 産業振興 企業 事業者団体 個人・家庭 那 覇 市 国 県 他市町村 図1 ゼロエミッションの両輪と関係者 8 1−3 地域活性化のための戦略的施策 1.環境に配慮した観光を主軸とする産業クラスターの形成 那覇市は琉球王朝時代から政治・経済・文化の中心地として発展してきた沖 縄県の県都である。すなわち、那覇市は県内外の人々の交流の場、物資流通の 要所、情報の交流・発信地であり、産業は、官公庁、商業、ホテル、娯楽、金 融業等の第三次産業に特化した構造になっている。この産業特性を考慮してゼ ロエミッションの視点から那覇市の産業振興を考えると、観光を主軸に据えた 展開がみえてくる。そこでは、観光産業が、情報産業や農林水産業、製造業等 の振興にエンジン的役割を持つような総合的な視野が求められる。 観光産業はホテル・レストラン等の飲食業をはじめ、伝統工芸品や食品製造 業、航空機・船舶・バス・タクシー等の旅客輸送業から芸能・娯楽・商業、ク リーニング・清掃・花卉園芸等まで関連産業のすそ野が広い産業である。なかん ずく、地域の歴史や住民の生活態度、ホスピタリティまでが含まれる生活文化 産業でもある。那覇市には世界遺産の首里城、識名園をはじめとする名所旧跡 やラムサール条約に認定登録された漫湖の湿地と亜熱帯の自然景観、それに観 光客に人気の食文化をもつ公設市場等、観光資源にはこと欠かないが、必ずし もその魅力を出しきっているとはいえない。 ドイツのフライブルグ市等の例にみるまでもなく、環境意識の高い市民がつ くりあげる生活満足度の高いクリーンな街自体が観光資源となる時代である。 平和学習、伝統文化の学習と並んで沖縄の自然を教材とした環境学習は魅力的 な沖縄観光の目玉になる素材であり、市民の環境意識を高めるために行政が投 資することは、市民生活の向上と産業振興の双方に相乗効果をもたらすものと 期待される。 農・畜・水産業 食品加工等・ 宿泊 製造業 コンベンション 娯楽・芸能 飲食店 環境関連 ビジネス 情報・産業 観 光 コンベンション 商業 伝統工芸 その他 公益事業 (建設・金融保険等) (電気・水・ごみ処理) 図2 運輸・通信 観光・コンベンション関連産業クラスター 9 2.アカデミア・パーク構想 ゼロエミッションの達成は、ひとり沖縄だけでなく地球規模で関心を持たれ ている課題である。高度技術先進国として環境関連技術の開発が期待されてい る日本と、発展途上にある巨大な市場である中国を視野に入れつつ、沖縄が島 しょ地域であることのメリットを生かしてゼロエミッション関連の技術開発と 社会的応用事例の先進モデル地域となることは、時代の要請に適った方向であ る。 国際水準の先端科学技術研究者を招致するには、研究施設を整備するだけで なく、創造性を刺激する豊かな自然環境と便利な交通・通信手段の確保という 一見矛盾する条件をクリアする必要がある。また、エネルギーや水、食糧を限 りなく輸入に頼るのでなく、かなりの程度自給する計画、すなわちライフライ ンの確保や安全保障の問題も、それ自体が持続可能な社会に向けての研究テー マである。 沖縄は自然環境においても社会環境においても魅力ある研究課題をもってい る地域であり、持続可能な社会に向けての課題を研究する国際的な機関の誘致 が考えられてよい。中・長期的視野に立ち、具体的な可能性に向けて検討をす すめることが求められる。 3.ゼロエミッション・インダストリアル・パーク(エコタウン)構想 エコタウン事業は、ゼロエミッション構想を推進するために平成 9 年度に経 済産業省と環境省が連携して創設した事業である。環境は有限かつ有料の資源 であるという前提にたち、環境保全コストを経済活動に適切に組込むことを目 標に、それぞれの地域の経済的、社会的、地理的、歴史的特性を生かし、環境 産業の自立的発展を促進することがその目的である。環境調和型の地域経済形 成の観点から、民間活力を支援する事業に沖縄型のコンセプトを反映し、世界 に散在する島しょ地域にその技術を提供することは国際貢献にもなる。市民生 活の質を高めるという視点から、また上記の観光・リゾートを主軸とした産業 振興、アカデミア・パーク構想及びゼロエミッション構想を推進するための模 範的な事例をつくるという視点からも、国、県、近隣市町村と一体となって事 業の実現を図ることが求められる。 10 1−4 行動指針(ガイドライン) 1.環境行動指針(ゼロエミッション那覇宣言) 健全な環境を保つこと、すなわち環境管理は人間の健康管理と同じように予 防が第一であり(予防原則)、行動を始めるのは早い方がよい。手遅れになって からでは経済的にも多大な費用がかかるからである。本構想においては、沖縄 の風土に立脚した市民生活の有り様(ライフスタイル)と産業活動の振興を考 えるために環境管理の視点を導入し、行動指針(ガイドライン)として以下の 4 点を掲げる。 (1)沖縄固有の風土と文化の多様性を尊重する。 伝統文化の継承発展はゼロエミッションの基本的な理念である。沖縄の 島々には自然と密着した伝統行事があり、那覇市においても琉球王朝の伝統 を引き継ぐ豊かな伝統文化や伝統工芸がある。 (2)生命を育み支える自然を大切にする。 地域の文化はその地域の自然を土台としている。健康な市民生活を支える ためにも生命のゆりかごである自然を積極的に保全することが必要である。 生物の生命の安全と健康な生活に焦点をあて、市内に残る森や河川等の自然 環境資源を保全・修復することは地域の健全な発展を促進する。 (3)生活は域内循環型をめざす。 島の自然生態系はそれ自体で完結している。とりわけ地域の風土が育んでき た食材の自給はその生態系循環の基本であり、域内経済の循環をめざすとと もに、人間の活動や人工物・外来種等が島の自然生態系を破壊しないように 管理していくことが肝要である。 (4)ユイマール(助け合い、分かち合い)の心で支えあう。 ユイマールは島の厳しい生存条件の下で人々が培ってきた助けあいの精神 であり、暮らしの知恵である。この思いやりと分かち合いの心を守礼の邦の ホスピタリティ精神として生かすことが大事である。 2.実施方法 事業の実施にあたっては、市民、事業者等の自主的な取り組みが基本である が、具体的な事業展開を促進するために行政がコーディネート機能を十分に発 揮し、制度の運用や資金面での支援をとおして協働関係、パートナーシップ関 係を築いていく必要がある。 11 3.情報公開と環境監査 事業が実施される過程においては、その事業行動が本構想の理念に添ったも のであるか、すなわち持続可能な社会に向けた方向性に向かって進んでいるか、 以下の、項目に照らしあわせながら進めていく必要がある。また、行政の説明 責任を果たすためにも、実施組織の内部監査及び市民団体等を含む外部組織に よる監査制度を導入して環境報告書を作成し、情報公開をすすめていかなけれ ばならない。 ①その事業行動は、本構想で掲げた環境目的に向かって進んでいるか。 ②その事業行動は、さらなる改善のための柔軟な基盤を作っているか。 ③その事業行動は、速やかで十分な見返りをもたらすか。 1−5 推進主体と組織体制 ∼那覇市ゼロエミッション推進本部を中心とする連合体∼ 基本構想の推進にあたっては、市長を本部長とし、助役、収入役、関係部局 長を構成員とする那覇市ゼロエミッション推進本部の下に関係各課の課長クラ ス担当者で構成される庁内作業部会が全庁横断的に事業に取り組む。事業の遂 行にあたっては、企業や NPO、市民団体とのパートナーシップが不可欠である ことから、企業関係者や NPO による「関係団体協議会」を設置し、今後の施策 に反映させる。近隣市町村や県、国と連携する他、国際的なネットワークの形 成も重要な課題である。 また、国連大学が提唱する「ゼロエミッション研究構想」理念の普及を推進 している国連大学ゼロエミッションフォーラムに加盟し、同フォーラムの全面 的支援を得て構想の実現を図る。那覇市には地方自治体におけるゼロエミッシ ョン展開のモデル都市として、その責任ある行動と貢献が期待されている。 12 第2章 2−1 那覇市の現状と課題 那覇市の概況 那覇市は、古くは自然豊かな緑にあふれ、河川にはメダカやターイユ(ふな) が泳ぎ、海浜は市民の憩いの場として生活に密着していた。しかしながら、昨今 の状況は、経済の発展とともに、交通問題、河川・大気汚染、廃棄物処理等、市 民生活を取りまく環境は、年々厳しい状況にある。 1.那覇市の産業構造 (1)那覇市の人口動態と世帯の推移 那覇市の人口及び世帯数に関しては、人口は、平成2年と比較して 3,729 人の 1.3%の減となっており、ここ 10 年間においては減少傾向にある。 反面、世帯数は 11,831 世帯増加しており、核家族化が進んでいる。 【図表−2−1那覇市の人口動態と世帯の推移】 人 年 度 口 人 総 数 世 口 男 帯 数 女 平成2年 304,836 146,942 157,894 99,846 7年 302,368 146,476 155,892 106,486 12 年 301,107 144,974 156,133 111,677 (資料出典:那覇市商工行政概要) 13 (2)那覇市の産業別事業所数及び就業人口 那覇市の産業構造は下表のとおりである。事業所数でみると、小売業、サービ ス業、飲食業等を中心とした第三次産業が 99.2%となっている。那覇市の産業特 徴として、観光事業を中心として、卸売・小売・飲食業が主要になっている。 【図表2−2那覇市の産業別事業所数及び就業人口一覧】 産 業 別 事業所数 構成比 従業員数 (%) 構成比 純生産額 (%) (百万円) 21,666 100.0 138,943 100.0 農業 8 0.0 62 0.0 林業 1 0.0 − − − 1 0.0 − 0.0 建設業 1,067 4.9 10,548 7.6 製造業 618 2.9 5,690 4.1 5 0.0 278 0.2 運輸・通信業 473 2.2 12,349 8.9 卸売業 1,133 5.2 9,905 7.2 小売業 5,964 27.6 26,269 18.9 飲食業 4,377 20.2 18,686 13.5 金融・保険業 458 2.1 8,388 6.0 不動産業 1,900 8.8 4,596 3.3 サービス業 5,661 26.1 42,166 30.3 総 数 漁業 鉱業 熱供給・水道業 − 0.0 18 億 19 百万 − 852 億 24 百万 7,875 億 9 百万 (資料出典:那覇市の事業所平成8年) 那覇市の産業別純生産額は「平成 9 年度那覇市商工行政概要」 によれば、 約 8,342 億円になっている。また、那覇市観光統計から平成 9 年度観光関連は推定で 2,354 億円になっており、産業全体の 28.2%を占めており、サービス業を中心とした観 光産業が那覇市の主要産業になっていることが理解される。 14 (3)那覇市食品関連事業所数 那覇市における、平成 11 年現在の食品関連取扱事業所数は下表のとおりであ る。食堂・レストラン等の飲食店、食品販売の事業所を中心に数多くの企業が那 覇市で営業展開している。那覇市の産業構造において、観光産業を中心とした食 品関連事業所が多いことが理解される。このことは、食品残さ等、食品排出物が 大きな課題である(量的規模)ことが推定される。 【図表2−3那覇市の食品関連事業所数一覧】 名 称 事業所数 1 飲食店営業(食堂・レストラン) 2 飲食店営業(仕出・弁当) 3 飲食店営業(旅館) 4 飲食店営業(その他) 5 菓子製造業 名称 事業所数 4,024 16 乳類販売業 395 223 17 食肉処理業 1 31 18 食肉販売業 496 4,224 19 食肉製造業 4 401 20 乳酸菌飲料製造業 1 6 乳処理業 1 21 食用油脂製造業 5 7 乳製品製造業 1 22 みそ製造業 7 8 魚介類販売業 639 23 醤油製造業 1 24 ソース製造業 3 9 魚介類せり売り営業 3 10 魚肉ねり製品製造業 14 25 酒類製造業 11 11 食品の冷凍、冷蔵業 21 26 豆腐製造業 48 2 27 納豆製造業 2 12 缶詰、瓶詰食品製造業 13 喫茶店営業 474 14 あん類製造業 28 めん類製造業 1 15 アイスクリーム類製造業 14 29 そうざい製造業 39 101 30 添加物製造業 1 31 清涼飲料水製造業 小 計 10,098 23 小 計 1,113 合 計 11,211 社 (資料出典:沖縄県中央保健所平成 11 年活動概況) 以上の産業構造の現状から那覇市の基幹産業となっている観光産業に関して の課題を整理し、ゼロエミッションからの対応を検討する。 15 2.那覇市観光の課題 那覇市の産業構造は、観光関連産業を中心とした飲食業、娯楽業、道路旅客運 送業などの割合が高くなっている。宿泊施設軒数も全県の 47.4%を占めており、 県内観光の玄関口としての役割は非常に大きいものがある。 この観光産業を環境の視点からみれば、人が訪れることにより、ごみの問題、 排気ガス等からの交通問題、水使用の問題等、直接廃棄物処理の課題から生活環 境まで幅広い分野に影響している。 産業構造からの観光は、収入面からみても、 「平成 12 年那覇市観光コンベンシ ョン振興計画」によれば、平成 10 年実績で、65,899 円 /1 人で、総額 2,558 億円に達している。また、観光は、裾野の広い産業であり、宿泊のホテル業、移 動としての交通機関、食する飲食業、農林水産業、購入する小売店、卸売、製造 業、遊ぶ要素としての各娯楽施設などの関連産業にも影響を与える。 このように、那覇市の産業構造からして、観光関連産業育成、振興は重要なテ ーマとなる。沖縄観光入域客の大半が訪れる那覇市であるが、基本的には、短期 観光地となっているため、客数の伸び(平成元年対比 1.45 倍)と収入面の伸び (同対比:1.18 倍)のアンバランスも生じている。 これからして、那覇市の魅 力の強化、新たな観光メニューづくりが求められる。 環境面からは、都市地区における、「環境とは」から市内全域が環境に配慮し た街づくり、学習、体験できるシステム構築が望まれる。前述したとおり、観光 から見た環境とは、単に「ごみ」問題に止まらず、例えば、「ホテル」の場合、 まず、安らぎの空間としての花、緑化が必要であり、水の大量使用による水問題、 交通手段としてのクリーンエネルギー問題、市民とのふれあいによるアミューズ メント機能問題等多岐に渡るものである。 これらの問題は那覇市のみでは解決し得ない面もある。そこで、近隣市町村、 農家、事業所などの連携強化も必要となる。今後、長期滞在型の観光を実践する には、都市基盤整備はもちろんのこと、新たな観光魅力増進のメニューづくりが 必要である。 環境問題は、単に廃棄物関連のみではなく、自然、文化、市民の日常生活に及 ぶ広い概念でとらえ、住民にとって住み良い環境を形成し、結果として訪問者も 気持ち良く散策できる那覇市を形成する。そのための、ゼロエミッションからの 16 観光メニューの創造を目指すべきと考える。花と緑あふれる那覇市のまちづくり には、土と水と空気を大切にし、新しい社会の仕組みをつくる具体的取組みが求 められる。そこで、那覇市ゼロエミッション推進事業として、市民に憩い、企業 に活力、人々に安らぎを与えるキーワードを「観光」と位置付け、市民とのふれ あい、学べる観光プログラムの推進が求められる。 【図表2−4】 観 光 N 事 P 業 O 所 育 地 行 域 政 那覇市ゼロエミッション 交流・体験 快適性・学ぶ 観光、訪問客 17 廃棄物資源化推進の 民 教 まち 市 技術研究のまち エコエネルギーの まち い や し の ま ち 美 し い ま ち 環 境 2−2 那覇市の廃棄物等の現状と課題 1.那覇市のごみ排出量・組成 (1)那覇市のごみ排出量・組成及び資源処理フロー 那覇市のごみの排出量は、平成 11 年度実績では、日量 360tの年間 131,742 tである。 そのうち資源回収量は、 1日平均約 24tで全体の 6.6%になっている。 さらに、資源回収される本来の資源化利用量は、その約 54%の 13tにとどまっ ている。その要因としては、資源化事業所不足、資源利用としての流通面の課題、 それらを保管する施設不足、分別収集時の異物混入等の複合的な課題が考えられ る。もう一つの大きな課題は、焼却施設の老朽化による焼却処理の限界から、他 の施設への委託処理等に頼らざる得ないことである。 【図表2−5排出量及び資源処理フロー】 日量排出量 360t 家庭系ごみ 236t 資 源 ご み 24t 不 燃 ご み 34t 粗 大 ご み 3t 事業系ごみ 124t 可 燃 ご み 資 源 ご み 0.01t 169t 資源化24t (家庭系のみ) 焼却処理 190t 不 燃 ご み 14t 埋立処理 50t 最終処分 ◆排出量からの課題 ・排出量抑制の徹底と具体的方法論の再検討 ・資源化分別後の利活用施設整備の推進 ・分別排出、収集時における異物混入等の排除の徹底 ・焼却施設の老朽化による処理の限界 ・最終処分場の逼迫 18 粗 大 ご み 1t 可 燃 ご み 101t (2)廃棄物組成 那覇市での廃棄物組成は、下表のとおり厨芥物、古紙類・プラスチック類の3 種類で全体の 86.8%を占めている。この特性は、基本構想策定にも大きな影響を 与えるものであり、課題解決のブレークスルー(突破口)になる。反面、この3 種類の廃棄物副産物をいかに分別回収し、資源循環させるシステムを確立するか が問われている。 平成 12 年度ごみ質試験成績 【図表2−6 可燃全体ごみ】 試 験 項 H12.6.15 目 H12.9.22 62.2 17.4 2.0 15.3 2.1 0.5 0.8 0.1 0.7 0.8 43.8 7.6 48.6 2,390 132 紙 ・ 布 類 種 ビニール・合成樹脂類 木・竹・ワラ類 類 厨 芥 類 不 燃 物 類 組 鉄類(スチール缶含む) 非鉄類(アルミ缶含む) 成 ビン、カレット類 雑物類(陶磁器等) その他 三 水 分 成 灰 分 分 可 燃 分 低 位 発 熱 量 Kcal / Kg 単位体積重量 kg / 立方メートル 56.2 10.0 10.5 8.8 1.9 0.1 1.3 0.4 0.1 12.6 45.0 5.3 49.7 2,010 136 単位:% 平 均 H13.2.23 70.4 10.0 2.2 10.2 2.6 1.1 0.7 0.1 0.7 4.7 46.4 8.8 44.8 2,130 136 62.9 12.5 4.9 11.4 2.2 0.6 0.9 0.2 0.5 6.0 45.1 7.2 47.7 2,177 139 ※組成等一部 100%になるよう端数処理してあります。 可燃ごみ組成 0.5% 0.6%0.2% 0.9% 2.2% 6% 11.4% 4.9% 63% 12.5% 紙 ・ 布 類 ビニール・合成樹脂類 木・竹・ワラ類 厨 芥 類 不 燃 物 類 鉄類(スチール缶含む) 非鉄類(アルミ缶含む) ビン、カレット類 雑物類(陶磁器等) その他 ◆廃棄物組成からの課題 ・組成構成割合が高い厨芥物等の利用方法・技術 ・回収システムの確立 ・各廃棄物(古紙類、プラスチック類、生ごみ)の総合処理利用システム の可能性と技術 ・地域連携、企業間連携等の総合連関システム構築 19 (3)那覇市の環境問題取り組み状況 那覇市においては、環境基本計画のもと具体的施策として環境保全行動計画と 減量・資源化実行計画が作成され、廃棄物抑制はもちろん、快適な那覇市の実現 を目指している。 また、減量に向けた個別行動計画は下表のとおりであるが、平成 12 年度の目 標 7.1%に対し実績 3.1%であることから、平成 16 年度 25.8%減量は厳しい状況 も予想される。課題としては、回収体制の在り方を含め、資源化利用方法におい て、総合的な資源循環システムの構築が必要である。 【図表2−7那覇市のごみ減量計画】 平成 10 年度ごみ排出量 129,287 トン 項目 減量項目 12 年度 ①生ごみ処理機購入助成 193 行 家 政 庭 ②集合住宅への処理機導入 34 施 系 策 ③家庭系ごみの有料化 0 に ④古紙(新聞)回収 978 よ 事 ⑤古紙(段ボール、雑誌、その他) る 業 ⑥瓶の回収 734 ご 系 ⑦生ごみの堆肥化 0 み の − ⑧ごみの処理手数料の適正化 減 そ ⑨草木ごみの資源委託 2,038 量 の ⑩家電リサイクル法粗大ごみの有料化 0 0 他 ⑪容器包装法リサイクル法 小 計 平成 10 年の排出量を 100 とした場合の達成率 市 ⑫家庭系・事業系 5 種分別の徹底 民に ⑬啓発・広報の強化 運よ ⑭リサイクルプラザ活動の強化 動る ⑮マイバック運動 ・減 ⑯県産品トイレットペーバーの推進 門量 ⑰その他 口化 小 計 那覇市役所庁舎内のごみの減量 合 計 平成 10 年の排出量を 100 とした場合の達成率 (単位:t/年) 13 年度 14 年度 15 年度 16 年度 合 計 441 750 977 1,117 3,478 68 119 170 0 1,957 7,610 2,935 7,610 3,424 7,610 3,424 22,831 12,718 734 0 734 0 734 3,833 734 4,380 3,670 8,213 − 2,036 688 0 − 2,036 688 0 − 2,036 688 0 − 2,036 688 265 − 10,180 2,752 265 20,475 64,718 3,975 5,924 3.1% 4.6% 14,872 11.5% 19,472 15.1% 221 15.8% 612 10.02% 門口収集の全域実施 4% 5% 10% 10% の減量 の減量 の減量 の減量 の減量 5,171 6,464 12,929 12,929 12,929 − − 10% − − − 9,146 12,388 27,801 32,400 33,404 7.1% 21.5% 25.1% 25.8% 9.6% 50,422 115,140 (資料出典:那覇市ごみ減量・資源化計画) 20 ◆減量・適正処理の計画的推進の枠組み 国の基本方針 ・廃棄物の減量などの適正処理に関する目標と方策 ・処理施設の整備に関することなど 廃棄物の総合的かつ計画的な推進 (減量・適正処理) 都道府県の廃棄物処理計画 市町村の廃棄物処理計画 ・廃棄物の減量などの適正処理に関する目標と方策 ・那覇市資源、減量化計画 ・処理施設の整備に関することなど ・那覇市環境保全行動計画 排出事業者減量計画の策定 21 2.那覇市の生活環境を取り巻く課題 (1)大気汚染 大気汚染に関する環境基準値は達成しているが、快適な状況とは言い難い現状 にある。大気汚染の要因は、主に自動車を中心とした交通システムが考えられる。 すなわち、「環境共生都市」形成には、自動車を中心とした車社会の在り方が問 われている。 (2)水環境 以前の那覇市の河川は、川魚と子供たちが一緒に泳げたほどの景観を有してい たが、都市化にともない、家庭や事業所からの排水等の影響で、魚はもちろん人々 からも遠ざかっている。今後これら水辺空間を浄化し、子供の声が聞こえる河川 を取り戻すことが求められている。 また、水問題は河川等のみではなく、日常生活には欠かせない上下水道等水資 源の安定確保の課題も抱えている。北部から給水を受けている那覇市においては、 可能な限り雨水や湧水、再生水等の有効利用と節水型社会の形成が求められてい る。 (3)交通、道路環境 交通、道路環境問題は、単に交通渋滞による経済的ロスのみではなく、生活環 境、省エネ、地球温暖化等も含む幅広い課題でもある。一部の調査によれば、交 通渋滞による経済ロス数値が那覇都市圏で年間損失額 16 万円/1人、県全体で は 1,600 億円になっており、東京、大阪についで那覇市との結果が報告されてお り、経済振興の側面からも対応策の検討が求められている。 22 (4)経済活性化 那覇市の産業構造は、観光関連を柱とした第 3 次産業が中心となっている。土 地利用等物理的制限が多い那覇市においては、今後の産業活性化の方向性として も、観光・伝統文化・情報・研究開発等ソフト面の充実が重要と考えられる。企 業活動においても環境に配慮した事業運営が資源、人材、資金の効率的活用につ ながり、発展のキーワードとなる。那覇市においては、環境に配慮した経済運営 を社会の仕組みとして取り組むことが「まちづくり」においても求められている。 (5)エネルギー問題と温暖化防止 那覇市は、県内人口の約 23%を占めており、エネルギー使用(電気、ガス、 石油等)、交通量の増加、コンクリート化によるヒートアイランド現象など、今 日的な課題も抱えている。これらは、沖縄県全体の問題でもあるが、那覇市にと っても現実的なエネルギー、環境問題への対応の要請が高まっている。化石燃料 は有限な資源であり、次の世代へ豊かな環境を引き継ぐため、快適な生活、地球 温暖化防止等への国際貢献など、県都としての那覇市が果たすべき役割はますま す大きくなっている。 【環境問題と温暖化防止】 地球規模での環境問題の深刻化 資源の問題(化石燃料の限界) 地球温暖化(気象の変化) ・海面上昇、砂漠化・洪水、干ばつ・害虫、病原菌の繁殖 ・生態系の変化 エネルギー消費の抑制 国際的エネルギー 世界経済の持続的な 需給バランスの確立 成長と維持 地球環境を守る 23 2−3 那覇市における環境に関する全体課題 那覇市における環境に関する全体課題を以下のように整理する。 ①産業構造から(製造分野の比率は低く、小売業、サービス業、飲食業が主要 産業)観光資源循環型社会の在り方の検討と主要産業としての「観光に新た な視点での市民を含めた取り組みと住み良い環境をつくっていくメニュー づくりの推進。 ②廃棄物の総量は大きいが、広範囲の個別事業所、地域から少量づつ排出され ており、効率的な回収体制構築が必要。 ③廃棄物組成において、厨芥物・古紙・プラスチック類が大半を占めており、 これらの主要副産物をいかに利用し、減量化するのか。 ④回収面における回収方法の徹底が不十分。また、回収後の保管ヤード等の不 整備による資源利用面での課題、不法投棄等の問題解決が必要。 ⑤生活環境改善においては、社会の仕組みとしての総合的都市計画の推進。 ⑥企業、市民における環境問題意識の向上及び協調体制の再構築の必要性。 ⑦土地の物理的限界により、地域連携における広域的な資源利用方法の検討。 ⑧那覇市の特性と資源流通等の情報発信機能の充実化の方法論の検討。 ⑨資源循環型社会形成の在り方への対応。 このような課題に対して次のような取り組みが必要である。 【取り組み要約】 ・「新たな観光」をキーワードとしたまちづくりにおける活性化 ・回収システムの効率化 ・既存処理技術の汎用技術の開発 ・事業集積による効率化 ・処理技術の集積化(処理事業 − 連携 ・利用面での研究開発の推進 ・情報交換システムの構築 24 − 処理事業) ◆那覇市循環型社会システム構築の課題 目標 新たな経済の仕組みを構築し、産業、まちの活性化を達成 廃棄物別処理技術の課題 処理技術の課題 処理施設の課題 資源化技術の課題 技術的課題 利用技術の課題 トータル的利用技術の課題 技術情報のシステム化 技術導入の課題 沖縄型技術確立の課題 廃棄物別回収システム 回収運搬システム 那覇市における回収システム システム〔回収 流通の〕課題 市場性(エンド・ユーザー) 流通システム 企業化の課題 排出者(市民・企業・公的機関)の排出抑制・分別意識啓発 情報収集と研究開発機能の強化推進 関係者の課題 市民・行政・市民団体・企業の環境課題の共有 関係機関の取り組み体制の確立 広域的取り組み体制の必要性 以上のような課題を出発点とし、「観光」を切り口とした、具体的資源循環シ ステムを構築し、各種組織、技術をリンクさせた新たな那覇市循環型社会形成の 可能性を展望することが必要と考える。 25 第3章 循環型社会システム構築に向けて 3−1 循環型社会形成の方向性 那覇市ゼロエミッション基本構想においては、廃棄物特性、産業構造などの 課題から戦略的には、那覇市の基幹産業であり、経済、交通、水、生活環境問 題等、各方面への波及効果が大きい「観光産業」をキーワードとして取り組む。 沖縄観光の特徴は、サンゴ礁に代表されるように豊かな自然、多様な生態系を 有しているが、エネルギーの大量利用による温暖化等の影響により、今後深刻 な状況が予想される。この生態系を維持することが沖縄観光、ひいては那覇観 光にとっても大きな課題である。この課題解決は、市民にとっても住み良いま ち、美しいまちを形成することになる。そこで、各段階における取り組みの推 進方法としては、以下のようなプロセスを基本とする。 排 出 の 抑 制 現状の排出物の確認と抑制・市民意識啓発 回 収 の 効 率 それでも排出された物の回収方法の検討 資源利用技術の利活用 資源技術選定と利用(需要面からの検討) 資源循環のまち構築 事業としての可能性検討、支援制度の在り方 産業クラスター形成、生活空間の快適性 生活環境の改善 人・企業が元気 潤いのまち 快適生活環境の形成・財政負担軽減 環境研究開発のまちと産業振興 26 3−2 那覇市の現状と課題からの対応 1.那覇市の将来像からの対応 那覇市が目指すべき方向性は、沖縄県の玄関口としての「風格ある那覇市」 の実現である。そのためには各方面での課題を解決していく必要がある。 産業、生活環境、交通システム、エネルギー等の個別課題をどのように解決 していくかが問われている。そのブレークスルー(突破口)として、観光産業 資源循環システムを基本とした「那覇市ゼロエミッション」の考え方による取 り組みが重要である。すなわち、 「観光」からは、食、遊ぶ、体験する、ふれあ う、交通、自然等あらゆる分野に関係するものである。 「観光」と「環境」を結 びつけ、具体的な対応を検討する。すなわち、自然と人に配慮したまちづくり は、住む人にとって「住んで良かった、住んでみたい」まちとなり、訪問する 人にとっては何度でも行きたくなる街となる。そのための事業展開としては以 下のような項目を推進する。 ① 人に優しい地域つくり 人と自然に配慮したまちづくり。憩い、癒し、学び、触れ合い等のまちとし ての整備 ② 産業振興としての人材育成 産業や地域を支えるのは人材であり、人材育成は今後の産業振興や地域づく りの柱となる。また、人材育成機関、例えば大学における雇用は、直接、間接 を合せれば、大学の規模にもよるが、全国平均 2,000 人前後という結果も報告 されている。人材育成は雇用効果にも好影響を与える。 ③ 企業集積、技術集積、研究開発機能の集積 人材育成機能と合せ環境研究アカデミアパーク等の整備を推進し、那覇市の 特性である、自然、文化、サービス産業、環境からの技術開発を進めて行く。 大きなテーマとしては台風と災害、温暖化と島嶼地域に関する研究開発を進め 那覇から南の島々への国際貢献を果たす。 以上のように、これらかの那覇市の在り方を検討し、廃棄物の処理、利用に とどまらず新たな社会システムのからの対応策が重要である。もちろん、個別 課題解決についての検討も必要で、次に事業面からの対応について提示する。 27 2.事業展開からの対応 那覇市循環型社会形成としては、実現性の高い事業・可能性に関して検討を 要する事業を明確にして取り組むことが重要である。実現性の高い事業として は、高度技術によるものでなくても、需要面からの可能性を中心に事業化を図 る。 需 要 面 利用可能産業分野 対象資源・事業技術 ガラス・古紙利用 農業分野利用商品化技術 那覇市の観光産業の 高付加価値化 (副産物資源化技術) ・微細カレット化技術 ・ガラス発泡化技術 建設・土木分野利用技術 ・古紙解繊技術 廃油・廃プラスチック利用 燃料分野利用技術 ・廃油浄化技術 ・油化還元技術 ・エコオイル、燃料化技術 生ごみ利用 ・堆肥、飼料化技術 ・乾燥水分調整材技術 【事業推進方法】 熱源化事業 熱源利用 他の資源化事業 エネルギー利用の効率化によるコスト軽減 域内循環システム 既存商品との競合がなく、新たな商品化による事業化 需要面からの可能性(農業分野、建設土木、熱源利用等) 既存事業の活性化 廃棄物資源化事業と既存企業の連携による活性化 28 これらの事業システムを構築し、単に廃棄物処理事業ではなく、他の資源利用 事業と既存事業とを連関させた廃棄物処理利用事業の立ち上げが必要である。 さらに、建設及び食品リサイクル法の実施における整合性も検討する必要があ る。例えば、ガラス類においては建設廃材ガラス、自動車用ガラス等の利用技 術の確立など、今後予想される廃棄物資源利用技術を、今から検討しておくこ とが事業の効率化につながり、安定した循環システム構築のキーワードとなる。 また、生ごみ、古紙、廃油、廃プラスチック等の技術関連での事業化を進め る場合でも、以下のとおり個別の廃棄物資源利用ではなく、各利用分野を総合 的に組み合わせた処理、利用が望まれる。 要は「何を、どのように商品化」すれば、利用面で可能なのかを検討し、回 収方法を対応させることが必要である。 水分調整 生ごみ等 燃料供給 古紙商品化 廃油・廃プラスチック ・周辺環境負荷軽減 ・安価な商品化技術 ・利用し易い燃料化技術 ・利用面での可能性 ・大量商品化技術 ・保存性に優れた商品化技術 ・搬入方法と回収 ・中長期的品質 ・二次的処理不要な商品化技術 ・資源化技術とコスト ・市場規模に見合った ・最終排出物軽減化技術 商品化技術 29 3.技術面からの対応 技術面からの対応は、廃棄物処理、生活環境改善、まちづくり等により、幅 広い対応が求められる。特に、省エネルギー社会、交通システム、大気汚染等 への対応には、国・県・他市町村との協調を図りつつ、那覇市における具体的 取組メニューを発信し、中・長期展望を示す事が重要である。廃棄物処理、利 用等の緊急課題解決には、既存技術の集積と地域及び企業間連携で対応可能と 考えられる。 技術面における選定条件は次の5点があげられる。 ・那覇市での事業化可能な技術の選定。 ・地域連携を含めた事業化技術の選定。 ・廃棄物資源化における関連企業処理技術集積と利用面からの那覇市 の活性化からの選定。 ・既存商品とは別個の新たな商品化技術の選定。 ・二次的処理の生じない技術選定。 30 4.回収システム等からの対応 廃棄物資源利用においては、いかに効率的回収システムを構築するかが成功 の大きな分岐点となる。那覇市は、消費サービス事業所が大半であり、さらに 年間 450 万人前後の観光客により、年間を通して飲料関係の消費が低下せず容 器類の排出量が多い。反面、地理的特性から大規模な事業所の設置が難しく、 住居混在等の限界がある。 これらの課題対応には、制度面の検討、廃棄物の減量化、資源化を推進し事 業を可能にすることが必要である。 事業化においては、生産規模・需要面・回 収量の一元化による効率的な回収システムの構築(バランスを失うと循環が停 止)が重要である。そのため、廃棄物の回収には、行政、消費者・市民、事業 者の連携による効率的な対応策が求められる。将来的には、一般廃棄物・産業 廃棄物等での対応ではなく、資源廃棄物として総合的な回収、搬出システム の構築の検討も必要と考える。 【那覇市における資源化廃棄物総合回収システムの構築】 排出者 事業者 事業系資源物 徹底した分別と 家庭系資源物 回収方法 資源 那覇市 資源利用の推進 情報発信機能強化 回収方法の再検討 回収業者指導強化 廃棄物 5.減容化システムからの対応 減容しての回収、搬出は経費軽減につながりヤード等の軽減にもつながる。 減容をどの工程で実施するかの検討も必要である。 消費者段階 回収業者段階 保管ヤード段階 (例)生ごみ処理機 プレス機 簡易分別機 ディスポーザー 破砕機等 圧縮固化 31 6.回収コスト負担からの対応 基本的には、排出者負担であるが、そのコスト負担の方法論は慎重に検討さ れるべきである。検討事項としては、次の3点があげられる。 ・デボジッド制 ・新たな税体系による負担方法 ・事業規模と回収量の整合性(関係機関情報交換システムの構築の必要性) 7.全体的取り組みからの対応 那覇市資源循環型社会の形成においては、まず、住民が住みやすい快適なま ちづくりを基本に、産業振興と人材育成、環境事業化の可能性などの個別課題 としての回収方法・利用技術・エンドユーザー・完結の工程を効率よく推進す ることが必要である。 環境面から考えた那覇市の将来像 住み良いまち、潤いのまちの創造 環境資源循環による効率的なまち、人材育成と活用システム 事業化の推進 個別事業化への具体的支援体制の整備 効率的回収・搬入システム 那覇市での回収・搬入システム、分別収集システムの構築 (直営・委託・許可業者間の運搬手段における効率化の検討) 減容・保管ヤード等の整備 (事業化との整合性システムの構築) 利用技術 商品化技術開発 二次的環境汚染のない商品化 消費面での安定性 安定的消費 二次的環境処理の発生抑制 (地域完結型技術/二次的環境汚染の生じない技術) 32 3−3 資源循環型技術の那覇市導入可能性 那覇市の廃棄物組成からの資源循環型技術を一覧することにより、那覇市の 資源循環型社会構築の第 1 歩を踏み出す出発点とする。基本的には、発生抑制、 再使用、再利用の段階においての行動が重要であるが、再利用としての循環型 技術の可能性を検討する事により、 『那覇市ゼロエミッション基本構想』の枠組 みを具体的に整理する。 1.事業化技術 対象ごみ 生ごみ 木屑類 ペットボトル 技 術 条 ①コンポスト化・飼料化等 ガラス類 廃食油 整 理 地域連携・事業所単位での取り組 ②発酵技術による製品開発 み・品質分析・技術面での効率化 ③水と二酸化炭素に分解消滅 (コスト低減の実現) ①コンポスト水分調整材 同 ②堆肥コンポスト化 チップ形態とコスト ③建設資材化 公園用路盤材、ボード資材 ①ペレット化・フレーク化 将来的安定処理体制の確立、 (再生原料化) 処理費、原料生産技術の限界 廃プラスチック ①プラスチック材料、再生製品 古紙類 件 上 利用面での開発検討 ②油化還元 全てのプラ処理は不可、分別方法 ③燃料化(RDF) ・ガス化 安定利用の開発 ①RDF 化 安定利用の開発 ②汚泥・畜産系水分調整材利用 農家連携の構築 ③古紙ボード化 技術確認、行政利用の強化 ④再生利用製品(古紙再生) 島内需要の推進 ①建設資材、農業用土壌改良材 建設用ガラス等の開発 ②園芸用資材 利用面での行政の対応 ①ボイラー用燃料化 大量消費可能、技術的にも ②ディーゼル燃料(エコオイル) 簡易だが回収方法の構築 焼却灰 ①焼却灰のリサイクル 施設整備、コスト ②土木用資材 グリーン購入法等 33 2.那覇市ゼロエミッション産業振興フロー図 那覇市環境産業創出システム 地域連携・技術集積 環境情報発信機能 人材育成機能 那覇市の活性化(産業集積と連携) (産業・地域の再構築) (観光産業基盤整備) 資源化システム コンポストシステム エネルギーシステム 粗大ごみ 畜産廃棄物 RDF 瓶・ガラス 生ごみ 廃プラ 泡盛粕 漁業系廃棄物 し尿・生ゴミ さとうきび残さ 農業系廃棄物 ごみ焼却廃熱利用 廃プラスチック 食品産業廃棄物 廃油燃料化 古紙 その他有機系 バイオガス利用 その他個別廃棄物 自然エネルギー利用 事業化 事業化・雇用促進 美しいまち 食の観光産業の創出 癒しのまち 産業・公共施設用エネルギー ・処理技術開発産業 ・有機農産物 ・公共施設 ・再生製品製造事業 ・高度園芸農業 ・ケアー付き老人ホーム ・既存企業事業拡大 ・健康ブランド産業 ・クワハウス等 ・高齢者の事業化 ・食の観光産業 ・電気・ガス・油化・ 温水 現行の取り組み 取り組み分野の拡大 ・法的規制への対応 ・関係者間の連携強化 ・各分野の役割分担の明確化 ・容器包装リサイクル法 ・具体的排出抑制等3R ・環境事業の対策強化 ・食品リサイクル法 取り組み強化 循環型システム構築 ・環境情報発信機能 ・建設リサイクル法 循環型社会の実現による美しいまちの創造 ・市民生活に優しい社会 ・企業連携による産業振興・廃棄物から環境資源への位置付け 34 3.基本構想の具体的取り組み 花と緑にあふれる那覇市のまちづくりには、土と水と空気を大切にし、新し い社会の仕組みをつくる具体的取り組みが求められる。そこで、那覇市ゼロエ ミッション推進の事業として、市民に憩い、企業に活力、人々に安らぎを与え るキーワードを、那覇市の基幹産業であり、他の産業分野、市民生活と密接に かかわりの深い「観光資源の循環」と位置づけ事業推進を進める。 すなわち、前述したように、これまでの見る観光から新たな観光の在り方を 那覇市から情報発信するものである。これからの観光は、「見る」「ふれあう」 「体験・学習する」「そこの市民の日常生活を体感する」「街に住む感覚での滞 在方法」をめざすべきであり、ホテル、市民においても、日常から環境に配慮 した生活スタイル、迎える姿勢が重要で、エコホテル、エコ市民として、那覇 市全体が観光資源となるような仕組みづくりが求められる。 その一環として廃棄物処理利用技術からの事業化を推進等、環境産業からの 対応も必要であり、さらに那覇市からの情報発信、研究機能の充実も図ってい く必要がある。 那覇市の課題、現状からこのような基本的方向性を念頭に次に具体的事業を提 示する。 35 図表 3−1 花と緑のまち那覇市 36 第4章 那覇市ゼロエミッション基本事業 那覇市ゼロエミッション基本構想は、持続可能な社会形成のための経済シス テム、生活スタイルの指針と位置づけ、環境基本計画等との推進とともに「潤 いのある那覇市」実現のため以下のような事業項目を基本とする。 那覇市環境基本条例(未制定) 那覇市ゼロエミッション基本構想 社会システムとしての取組み指針 循環型社会 那 覇 市 環 境 基 本 計 画 の実現 個々の環境保全行動の指針 ・新たな経済システムの方向性 ・市民生活の方向性 ・個々の廃棄物の利用システム構築に ・個々の環境保全の方向性 よる資源化の方向性 資 産 源 業 化 化 ・快適な生活環境構築の方向性 基本構想推進のための事業項目 減 保 量 全 那覇市環境保全行動計画 1.那覇市循環型社会形成構築事業 個々の市民・事業所等の日常行 2.環境教育推進事業 動への在り方への指針 3.循環型モデル推進事業 那覇市ごみ減量・資源化実行計画 4.エコ・エネルギー都市形成事業 個別廃棄物の具体的減量目標 5.環境製品・技術開発推進事業 と行動計画の指針 風格ある那覇市の実現 37 「那覇市ゼロエミッション基本構想」の施策体系一覧表 基本事業名 1 那覇市循環型社会形成事業 個別事業項目 具 体 的 内 容 (1)那覇市環境マネージメ ①那覇市版 ISO の制定 ントシステム ・再生品等需給情報集積 ・那覇市表彰制度の創設 (2)環境情報センター機能 ②情報センター設置 の整備 ・市民活動情報集積発信 ・地域廃棄物情報収集 ・環境に優しいまちづくりの推進 (3)地域エコマネー制度の ③地域エコマネーによる地域活性化 導入 2 環境教育推進事業 推進 (1)地域エコ教育システム ①生ごみ堆肥化モデル事業 ②校区単位での環境メニュー作成事 業 ③地域エコクラブ構築事業 ④環境技術・環境機器類、地域単位 等での環境取組活動等の発表・報 告 機会の創出 (2)ビオトープ地域 システム ①ビオトープ地域システム事業 ・小動植物生息のための基盤整備 ②グローバルネットワーク事業 (3)環境共生、学習体験 観光の促進 38 ①環境共生・体験学習・観光の促進 基本事業名 3 循環型モデル推進事業 個別事業項目 (1)生ごみ等有機性廃棄物 資源化 具体的内容 ・生ごみ等と木くず、古紙と廃食 油総合処理による事業化推進 (2)廃食油利用による事業化 ・廃食油によるエコオイル、ボイ ラー燃料化事業の推進 ・石鹸化推進 (3)炭化技術による資源循環 事業化 ・し尿、汚泥、食品残さ、木くず 等の炭化活性炭推進事業 (4)古紙循環事業化 ・那覇市専用トイレットペーパ− 再生事業 ・畜産、建設汚泥水分調整材利用 事業の推進 ・古紙ボード利用推進 ・パルプモールド梱包用容器類利 用推進 (5)廃プラスチック類による ・熱源、油化還元、炭化、RDF 等 事業化 4 那覇市エコ・エネルギー 都市形成事業 (1) エコ・エネルギー導入 事業 ・太陽エネルギー導入の推進 ・風力エネルギー導入の推進 ・ごみ発電(廃熱利用含む)の 推進 ・バイオマス発電事業の推進 ・高効率エネルギーシステム(コ ージエネレーション)の推進 ( 2)クリーンエネルギー交通 ・クリーンエネルギー交通システ システム推進事業 39 ムの推進 基本事業名 5 個別事業項目 環境製品・技術開発推進 (1)那覇市環境製品流通 事業 システム 具体的内容 ・グリーン購入法等制度面からの 推進 ・エコショップの充実化と推進 ・食材、食品の開発と地域活性化 推進 ・再生品流通等マーケティングの 推進 ・耐久消費財のリース制度導入 ・回収システムの効率化事業の推進 (2)環境技術研究開発事業 ・生ごみ等有機性資源の活用技術 開発の推進 ・古紙用途開発技術の推進 ・プラスチック類分別と利用技術の 開発 ・高度資源化利用技術の開発 ・省エネルギー技術開発の推進 ・沖縄特性を生かした商品化技術の 開発 ・既存技術のコスト低減化技術開発 の推進 ・経済的手法の開発と活用の推進 (3)地域、技術連携システム ・那覇市と農村地域共同資源化事業 による事業化 の推進 ・技術(事業所)と技術(事業所) の 連携による事業の効率化の推進 ・コーディネート人材育成の推進 ・企業育成事業の推進 ・アカデミアパーク事業の推進 40 4−1 循環型社会形成推進事業 那覇市循環型社会形成の事業項目を以下のように整理し、具体的に取り組み 可能な事業から順次手がける事が重要である。 1.那覇市循環型社会形成構築事業 市民・事業者等における様々な環境情報を収集・データ化するとともに、 リサイクル事業所等の製品情報を広く提供する。これにより、市民・企業・ 市民団体・行政等が情報を共有し、人材、環境事業所の育成を推進する。 1−(1) 那覇市環境マネージメントシステムの導入 1−(1)−① 那覇市版 ISO(仮称:NSO)の制定 那覇市における事業所を対象にした、那覇市版 ISO(仮称:NSO)を設定 し推進する。その具体的方法論として、環境負荷軽減の行動計画作成による 事業所との協定を結び、那覇市は、ホームページ、広報誌等において市民に 公開する。 (仮称)NSO の仕組み NSO 審査委員会(NPO) ①委託 ② ⑤ 那覇市 応 認 募 証 ⑥広報 ④報告 市民・子供 ③審査 シール等 事業所・地区・通り会 使用許可 環境行動の立案・実施 41 環境教育 各事業所 事業活動に応じて、環境負荷を低減する具体的数値目標の設定 ・具体的減量計画の作成(例、古紙類排出量 10%の減量) ・省エネ環境負荷低減行動計画の作成(例、ガソリン車をハイブリッド車に) ・排出物抑制行動計画の作成(例、容器類の簡素化、抑制) ・地域全体での取組計画の作成(例、地域共同施設、分別資源化の推進) NSO 審査委員会 環境負荷軽減目標達成度合い、省エネ、技術開発等の環境改善活動 等への取組が顕著な個人、地域、企業、学校等に関しての認定によ り活動を支援する制度の推進。 ・達成企業は「環境事業所」として認定する。 認定シールの発行(販売活動面での活性化への支援) また、那覇市の産業構造は零細、中小企業が主流であり、即 ISO 取得には資金 的に厳しいものがある。そこで、那覇市のノウハウを活かした「那覇市版 ISO」 (仮称:NSO)を設定し、那覇市での事業展開のメリットの一つとし、今後の産 業振興に生かすことが可能となる。 ・行政組織に反映させる。(具体的取り組み情報を開示する) ・市民・企業への還元 (那覇市版環境基準(仮称:NSO)の推進、順次 ISO 取得へとステップアップ) ・地域への還元 (地域連携、広域的取り組みへの指導強化) 那覇市 ISO 認証取得ノウハウ 提供 企業 市民 地域 42 1−(2)−② 環境情報センター機能の整備 環境産業、快適な生活空間の創造においての那覇市の役割で重要な要素の一つ は、環境情報を集積し、発信していく機能の整備事業である。 環境情報センターは、以下のような機能を整備し、那覇市から県内を始め、 全国との情報交換により、新たな那覇市の在り方を提示することである。 ①企業レベルにおけるリサイクル技術等の情報集積機能 ②再生品等に関する供給・需要情報の集積機能 ③市民活動情報発信集積機能 ④学校教育との連携システム機能 ⑤地域別廃棄物量、性状の情報集積機能(回収時でのバーコード化によるデータ化) 具体的には、ホームページ等の開設により、誰もがアクセスできる環境を整 備し、企業が有するリサイクル技術情報、市民活動情報、リサイクル品等の供 給、需要情報、研究開発情報等に関する情報を一元化し、今後の環境活動に資 するものとする。 43 ◆ 情報センター機能における那覇市の役割フロー図 環境技術情報 研究開発機能 環境製品情報 グリーン購入 機能 廃棄物情報 事業化情報 機能 那覇市環境情報 センター 貢献機能 国際情報機能 県民情報発信 環境教育情報 人材育成機能 那覇市環境事業 情報 ・情報機能強化における情報技術の活用(廃棄物回収車による廃棄物情報のデータ化) ・環境技術・研究機能の強化(島嶼地域型技術の研究開発) ・再生利用情報機能の強化(事業活性化への情報提供と循環システム化推進機能) ・人材育成・交流機能(環境教育、国際交流、市民への情報提供) ・技術集積・企業集積による事業の効率化 44 1−(3)地域エコマネー制度の導入 郊外大規模店舗との競合にある那覇市の商店街や通りの活性化を図る手段 として、地域の特性(人間ふれあい、伝統、我が街の意識)を十分発揮し、 環境に優しい通り、地域づくりの整備を図る。 その方法論の一つとしてエ コマネー制度の導入イメージを次に提示する。 環境美化奉仕 人材発掘 地 事業理解 域 NPO エコマネー 地域活性 エ 支払い 消費者 コ 通 寄 り 付 商品購入 (モデル商店街) 企 固定客の確保 業 (商店) 地域活性化を図る手段としてのエコマネーシステムの導入 消費者 環境美化、モデル資源回収(持参)等への協力、商品安価 購入 NPO 商店(通り) 行 政 事業内容の紹介効果、人材発掘効果 固定客の確保、NPOへの寄付行為による社会貢献 空店舗対策等の推進(エコショップ、有機野菜店舗等) 45 2.環境教育推進事業 体験型環境教育の実践を推進する。これにより、地域全体で環境問題へ取 り組む機会の創出を通して市民参加型「那覇市まちづくり」と「緑あふれる 憩いのまち」を実現する事により、結果として市民に快適な環境を、経済的 には、総合的産業である観光産業を活性化する。 2−(1)地域エコ教育システム 2−(1)−①生ごみ堆肥化モデル事業 学校・地域・企業単位での生ごみ利用システムの構築による「那覇市ゼロエ ミッション」実践を通して環境問題を考える機会を創出する。 生ごみは、那覇市において大きなウェートを占めている廃棄物問題であり、 市民、学校、企業等においての共通課題でもある。そこで、この「生ごみ」を 通して、廃棄物から資源化し、快適な緑の空間を創造することにより、市民に 親しまれる街並み形成の過程を、体験学習として取り組んでいく。 以上のシステム構築には、現在の生ごみ処理機補助制度及びより効率的な運 用の在り方を含めた、今後の那覇市循環社会構築の方向性からの再検討が必要 である。 2−(1)−② 校区単位での環境取組メニュー作成事業 環境問題(生ごみ、古紙、地球温暖化、空気、水辺の汚れ、街と自動車等) の具体的課題を情報提供し、各校区において環境取組メニューを作成する。 それにより、どのように那覇の環境を良くするのか、また、那覇市のみでは 難しい場合、他の地域、子供達とどう連携していくのか。このような取り組 みにより、環境問題は、世界と協調した対応の必要性などを理解する。 46 2−(1)−③ 地域エコクラブ構築事業 学校と地域、地域と地域の連携により、那覇市全体の環境問題解決への具 体的行動クラブとして、地域エコクラブを創出する。また、地域活性化とし てのエコマネー制度等の導入を推進し、子供と社会の接点を試み、特徴ある 地域、通り会の活性化を推進する。 例えば、便利な食生活から環境問題みれば、以下のように多岐に渡る課題検討 項目が浮かび上がってくる。 季節を問わず 温室栽培 野菜が食べられる 世界中の食べ物 ビニール ごみ問題 暖房器具 資源問題、温暖化問題 輸送機関 燃料使用 排気ガス、交通渋滞 加工、容器 ビニール、トレーなどのごみ が食べられる 簡単に食べられる (インスタント食品) 肉や魚がいつでも 生態系の破壊 食べられる 海浜の埋め立て利用による海岸線の汚染 農薬による動物等への影響 家庭の食品ごみの内訳 家庭食品ごみ 食品以外 9.6% 食べ残し 37.5% 調理くず 52.9% (資料:三和総合研究所研究開発第 2 部) 47 2−(1)ー④ 環境技術、環境機器類、地域単位等での環境取組活動等 の発表・報告機会の創出 那覇市が率先して、市民が環境問題に触れ合う機会を提供し、事業者と市民 (消費者)間の情報交換を積極的に支援し、環境問題取り組みへのきっかけを 提供するシステムを構築する。 行 政 事業所 研究機関 情報交換機会の創出 市民団体・NPO コーディネート 指導 環境教育機関 市民、事業者への情報提供 教材としての利用 地域活動の発表機会の創出 環境情報の共有 エコ商品等の利活用の推進 体験学習 市民、事業者、地域 発表、報告会等を通して、生活者、市民から、環境に優しい商品の利用を推 進するとともに、の企業への商品形態等の在り方を提案し、より環境に優しい 商品開発の推進を図る。 ①市民の生活様式の再検討への情報提供 ②メーカーへの働きかけと環境に優しい商品開発の機会創出 ③事業所での環境負荷軽減技術導入への情報提供システム ④那覇市ゴミゼロの日設定(第3土曜日) ・市民花卉、野菜等のコンクール(生ごみ堆肥使用、処理機購入地域団体等) ・こども体験発表 ・リサイクル事業、処理事業所等の見学会と対話の会 ・那覇市古紙利用トイレットペーパーの配布と利用推進 ・冷蔵庫点検日の設定、マイバッグの推進 48 2−(2)−① ビオトープ地域システム事業 人間に便利な生活スタイルが生物にとっては住みづらい環境を生んでしまっ た。例えば、食料のための乱獲、都市開発や森林開発で住みかが減少したり、 生活や事業所からの排水で河川が汚染された。また、私たちがペットとして飼 ったり、持ち込んだりした外来種が、元の生態系を壊した。 都市開発 生活排水 外来種の移動 住宅地の拡大 工場排水 乱獲 温暖化 生活環境の変化、森、水辺の減少 食料不足 生物種の減少 小動物の減少は、食物連鎖により大型の動物の減少を招き、ひいては人間に とっても住みにくい環境になる。このような状況を実践をもって理解するとと もに、地域に潤いの場所を創出し、自然、生き物と環境の学習の場を提供する。 地域、通り、学校等に小さな小動物が住める環境を整備する 地域住民・学校の協力 管理維持を通しての環境学習会の開催 NPO 等の協力、指導体制の確立 那覇市全体を公園化し、環境学習、住民の潤いの場所の創出 49 2−(2)−② グローバルネットワーク事業 環境問題は、単に廃棄物の処理、利用等のごみ問題だけではなく、地球規模 での取り組みが必要な広く大きな問題である。それゆえに、各地域間、国の枠 を超えた連携が重要である。地球温暖化、食料問題、エネルギー問題等は、ま さに国際的な取り組みが必要である。そのため、地球規模で手をつなぐ必要性 がある。他方、地域内での連携も大変重要である。特に沖縄県は、島嶼地域で あり、環境の変化には弱く他の地域との連携が難しい課題も抱えている。基本 的には、域内での課題解決、そのための仕組み、方法論が求められる。そこで、 沖縄での環境問題の解決手法を通して世界の島々への貢献する。 アジェンダ その他の 21 リオ宣言等 条約 環境問題に 生物多様性条約 持続可能な開発 関係する 気候変動枠組条約 公害防止の基本原則 行動計画 砂漠化防止条約 県内地域 連携 那覇市 国際地域 推進 貢献 具体的環境問題 情報発信機能 国際貢献 解決の行動 リーダ機能 国際連携 事業推進機能 50 3.循環型モデル推進事業 那覇市においては、し尿浄化汚泥、生ごみ、古紙等の発生量が多く、早急な 対応が求められている。これら個々の資源利用には限界があり、バイオガス技 術をキーポイントとして、各廃棄物処理を総合的に利用する事により、事業化 が可能と思われる。事業効果としては、緑化(緑の街)や中水道利用の促進に よる地下水の汚染軽減と循環利用の推進、熱源利用による温暖化削減への貢献 等が考えられる。また、農村地区との連携による安全・安心な食材提供による 那覇市の活性化への貢献も期待され、具体的事業モデルを通して基本構想推進 を図る。 3−(1)生ごみ等有機性廃棄物資源化 研究機関連携 生ごみ・ し尿 液 分 メタン発酵 泡盛粕等 (地域エネル (地域内資源化) ギー利用) ・ホテル関係 消化液 ユーグレナ (水処理と生産) ・食品 地域外移出 ・スーパー等 固形分 ・抗がん 堆肥・飼料 ・化粧品 ・燃料等の原料 ・泡盛業界 古 木 紙 く 水分調整材 ず 農業振興 (チップ、解繊) 健康野菜生産 熱源供給 廃食用油 流通システム 廃食油還元燃料化 那覇市食文化の向上 (有機農産物市場) ・ファ−ストフード ・飲食店・食品製造業 関係機関コーディネート機能 各種技術システム連携 事業推進調整機能 各種事業連携 利用面での役割 民間資金活用と行政 回収システムの検討 街の活性化 負担制度 事業性の検討と環境負荷軽減 51 那覇市食文化への貢献 有機性廃棄物利用事業の取組みにあたっては、以下の事項に関する整理を図 り、民間ノウハウの活用が望まれる。 ・事業化に向け対象廃棄物の物質フロー、発生状況、収集形態、処理状況、エ ネルギー、コンポスト飼料の需給可能性、経済性に関する調査を実施する。 ・実証試験の実施(規模、場所、事業実施体制の確定)、事業性の確認 ・事業化(コンポスト、飼料化事業) ・高付加価値商品化研究開発(化粧品、食品等) ・燃料源としての対象廃棄物等の廃棄物資源回収システムの効率化と推進 ・那覇地区内での物理的地理条件の整備 ・家庭系生ごみの水分調整材用乾燥機器への体制づくり ・他の地域との連関資源化処理方法との整合性 ・企業間協力の具体的方法論の検討 52 3−(2)廃食油利用による事業化 廃食油の熱源利用は、京都市、滋賀県愛東町他各地で推進されている。基本 的には植物性油で、環境負荷は軽減され今後の熱源としては可能性は十分と認 識する。一方、これも燃焼には変わりはなく、将来の燃料電池等への橋渡し燃 料として考慮する事も必要である。また、沖縄県のような島嶼地域においては 石鹸等の資源化には需要面での限界があるが、当面の利用方法としては検討す る。 ガラス資源化事業 廃食油 ガラス再利用商品化技術 ガラス処理燃料 (ボイラー燃料使用) ガラス発泡化技術 (製品化) 軽量屋上緑化用品 食品企業 生ごみ等乾燥技術 高品質人工大理石用品 飲食企業 公共施設用燃料 有機資源水分調整 公共施設経費の効率化 ファストフード等 エコ・オイル 建設関連企業 (車両燃料) 農業資材企業 廃食油石鹸 回収機能の強化と組織的対応 回収システム構築機能 事 業 技術は確立(大量需要が課題) 導 入 環境事業導入 民間資金活用と行政 導入方法の検討 負担制度 事業性の検討と 那覇市環境事業育成 公共事業での積極的利用 市民への啓発 環境負荷軽減 廃食油の利用促進の事業化スケジュールとしては以下のような検討が望まれる。 ・ 事業化に向け、廃食油の物質フロー、発生状況、収集形態、処理状況、エネ ルギー(ボイラー燃料、那覇市公用車利用)の需給可能性、経済性に関す る 調査の実施 53 ・実証試験の実施(利用事業所、場所、事業実施体制の確定)、事業性の確認 ・事業化(ボイラー燃料化、エンジン燃料事業) ・廃食油回収システムの効率化と推進 ・那覇地区内での事業化における物理的地理条件の整備 ・一般的普及と車検制度等の法的対応 ・エコ・エネ資源化処理方法と二次的処理の整合性 ・ボイラー用燃料化の推進と安定供給(回収)体制の構築 ・廃油を原料とした石鹸化における需要拡大 54 3−(3) 炭化技術による資源循環事業化 炭化技術利用は、焼却ではなく、二酸化炭素の発生等を抑制し、環境負荷は 軽減されると同時に、活性炭技術導入により、焼却残等からの有害物質の固定 化、土壌、水質浄化にも利用可能であり、環境共生のまち那覇市においては、 重要な技術と認識する。 具体的には、製糖事業所におけるバガスの炭化との組合せで土壌浄化、焼却 施設用活性炭供給システムが事業的には可能と考える。 食品残さ し尿・浄化汚泥 炭 化 技 公園等緑化処理 術 活性炭の製造技術 生産基盤整備 営農、土壌保全 焼却施設利用 ・水質保全 ・生態系保全 ・有害物質処理 ・土壌改良 ・木炭等に変わる燃料化 ・土壌改良剤 ・炭素の固定化による ・土壌改良材 ・水質浄化材 地球温暖化対策 ・空気清浄材 那覇市環境保全型都市(村)づくりへの提言 各廃棄物の総合処理利用 回収システム構築機能 事 業 導 入 環境事業導入 温暖化防止・有害物質固定 公共事業での積極的利用 民間資金活用と行政 導入方法の検討 焼却後の有害物質固定 負担制度 事業性の検討と 温暖防止効果 環境負荷軽減 55 炭化技術事業推進は、那覇市と事業所、近隣市町村との地域連携を図り、次 のような作業工程が必要である。 ・事業化に向け、対象廃棄物の物質フロー、発生状況、収集形態、処理状況、 利用面の需給可能性、経済性に関する調査を実施 ・実証試験の実施(利用事業所、場所、事業実施体制の確定)、事業性の確認 ・事業形態(炭化、活性炭事業) ・利用面での那覇市の限界(地域連携) ・炭化技術とコスト面での適正化 ・回収方法と前処理技術の簡素化 ・他の地域との連関資源化処理方法との整合性 ・関係機関の連携システム構築 56 3−(4)古紙資源循環事業化 古紙利用技術は、各分野での商品化が開発されており、那覇市の基本事業と してどのように対応するか技術の選択が必要である。越路業そのものは、国際 市場の動向によりかなりの影響があり、現状の処理方法には限界がある。そこ で、域内での理活用を進める必要性があり、特に消費地としての那覇市の取組 は重要である。次に各種技術を一覧し、那覇市での事業の可能性を提示し、本 構想から事業展開を図っていく。 ◆古紙の利用技術 パルプモールド 古紙を溶解し、梱包用容器(卵パック等)の利用 セルローズファイバー 古紙等の繊維を綿状にして壁等の断熱材等に利用 発泡緩衝材 発泡スチロールに替わるクッション材 コンクリート型枠材 建設用型枠材 農業用マルチ 雑草等の抑制 家畜用敷き料 おがこ代替 堆肥原料 水分調整材 下水汚泥脱水システム 水分調整材 建設汚泥処理材 固形燃料 各種燃料化 再生紙、パルプ技術 トイレットペーパー、再生紙等 ◆那覇市における事業可能性技術 トイレットペーパ−等再生利用 那覇市専用ペーパー (既存企業技術の活用可能) 古 畜産系水分調整材への利用 紙 (課題:解繊技術と利用技術) 古紙ボート等への利用 (課題:事業性) 57 農業分野、建設分野との連携 土木工事、建設資材等 各種事業間連携 各技術の連携 用途拡大・環境取り組み具体例の提示 回収システム構築機能 既存技術の活用 公共事業での積極的利用 民間資金活用と行政 事業系回収方法の検討 利用面での可能性 販売流通 事業性の検討と技術開発 市民への啓発 これらの事業推進にあたっては、以下のような作業を実施する。 ・短期取り組み可能な、古紙の再生利用としてのトイレットペーパー事業の 立ち上げ 「那覇市らしい」ネーミング、性状、生産規模等の検討 無漂白紙の製造依頼 那覇市ネーミングのトイレットペーパー製造依頼 市民団体の活用、支援 行政による広報活動、エコショップ、スーパー等活用 那覇市全体でのゼロエミッション推進モデル 市民等の利用促進 ・畜産系等事業化に向け、対象廃棄物の物質フロー、発生状況、収集形態、処 理状況、利用面の需給可能性、経済性に関する調査を実施 ・実証試験の実施(古紙事業所、場所、事業実施体制の確定)、事業性の確認 ・事業化(古紙用途拡大事業) ・事業系古紙資源回収の効率化と推進 ・那覇市にふさわしい再生古紙の名称(市民募集等) ・畜産系、建設分野への利用・処理体制づくり ・他の地域との連携資源化計画との整合性 ・ボード化技術と事業性の検討、体制づくり 58 3−(5)廃プラスチック類による事業化 廃プラスチックの再資源化技術は、マテリアルリサイクル(原料再生利用) とサーマルリサイクル(エネルギー源利用)に大別できる。しかし、事業化検 討にあたっては、タイヤ類、ペットボトル類、塩化ビニール、その他のプラス チック類に分類しての事業推進が必要である。 ◆廃プラスチック類のリサイクル法 再生原料(ペレット化) マテリアルリサイクル 塩化ビニール 再生製品(花鉢、擬木、マンホール蓋等) 科学原料(モノマー等) ペットボトル 油化・ガス化 再生燃料 塩ビ、ペット ボトル以外 固形燃料 サーマルリサイクル 熱回収 ごみ発電 那覇市を含めた沖縄県内での廃プラスチック推進事業の条件としては、 ・利用面での可能性 ・二次的環境影響がないこと。 ・利用コストが多大にならないこと。 等を考慮すれば、熱源利用が可能性として考えられる。 廃プラスチックの熱源利用は、新焼却炉の整備計画による発電事業との整合 性を図りつつ、ペットボトル、塩化ビニール、その他の廃プラスチック類に分 類して検討する。基本的には熱源利用は環境負荷の軽減につながり、今後の熱 源の一つとして可能性は十分と認識する。一方、廃食用油同様燃焼には変わり はなく、将来の燃料電池等への橋渡し燃料として考慮する事も必要である。 59 事業化項目 廃 那覇市可能性 ペットボトル シャツ、カーペット等の繊維再生 モノマー原料 塩化ビニール類 熱源利用 高温ごみ発電 発泡スチロール 合成木材、家電用部材、緩衝材等 ペレット化 その他廃プラスチック 油化、熱源、再生品(花鉢等各種製品) 油化、熱源 プ ラ ス チ ッ ク 処理困難物の課題解決 事 業 導 入 環境負荷軽減、産業用熱源 回収システム構築機能 導入方法の検討 環境負荷の軽減 民間資金活用と行政 事業性の検討 最終処分場負荷軽減 最終処分場等の負荷 新焼却炉計画 産業用燃料確保 事業展開スケジュールは、次の事項の検討から始めることが必要である。 ・事業化に向け、廃プラスチックの物質フロー、発生状況、収集形態、処理状 況、エネルギーの需給可能性、経済性に関する調査を実施 ・南部農業用廃プラ油化事業性、技術、利用面での実施状況確認 ・事業化(新焼却施設計画発電との整合性) ・廃プラスチック分別回収システムの効率化と推進 ・那覇地区内での事業化における物理的地理条件の整備 ・新焼却炉計画との整合性 ・エコ・エネ資源化処理方法と二次的処理の整合性 ・利用面の検討と安定供給体制の構築 60 4.那覇市エコ・エネルギー都市形成事業 省エネルギー、エコ・エネルギーの事業取組は、昨今の地球規模での環境問題 はへの対応はもちろんのこと、那覇市の美しい空気、潤いのまちの実現のため にその取組は重要である。 エコ・エネルギー、省エネへの取り組みの必要性としては、 ・エネルギー消費大国日本の国際的な責務になっている。 ・企業においてもエネルギーや環境に配慮した企業活動への転換が求められて いる。 ・市民個々の対応が必要である 地球規模での環境問題の深刻化 資源の問題(化石燃料の限界) 地球温暖化(気象の変化) ・海面上昇、砂漠化 ・洪水、干ばつ ・害虫、病原菌の繁殖 ・生態系の変化 エネルギー消費の抑制 国際的エネルギー 世界経済の持続的な 需給バランスの確立 成長と維持 地球環境を守る 地方自治体にあっても現実的なエネルギー、環境問題への対応の要請が高ま っている。 ・エネルギー使用の合理化 ・再生資源の利用 ・特定フロン等の生産全廃への対応 ・エネルギー環境問題への対応 61 具体的には、 ① エネルギーを無駄なく利用する。 出力エネルギー 成績係数 COP = 入力エネルギー ②有効エネルギーを増やす (例:電池の消費、小さなエネルギーで動く機械開発) ③捨てたエネルギーを回収する(もし、資源がなくなったら) 以上のように、エネルギー対策は大きな環境問題であり、那覇市の将来像、 まちづくり、生活環境の在り方を検討するにあたっては、地域エネルギー導入 の検討も必要である。環境に優しいエネルギーシステムの構築を那覇市が県内 のリーダーとして取り組むことは、循環型社会形成に果たす役割は大きい。 ◎エネルギーシステム導入の可能性 エネルギー分類 エネルギーシステム 自然エネルギー 太陽エネルギー、風力エネルギー、水力エネルギー リサイクルエネルギー バイオエネルギー、廃棄物エネルギー、 廃熱エネルギー 高効率エネルギー コージェネレーション、燃料電池 那覇市は、交通量の増加、コンクリート化によるヒートアイランド現象など の地域問題を抱えており、地球温暖化防止への那覇市が果たすべく国際貢献等 の役割はますます大きくなっている。エネルギービジョンは、単に環境問題の みでなく、那覇市の総合計画において検討されるべき事項であるが、エネルギ ーシステムに関して循環型社会システム構築としての点から検討する。 62 4−(1)エコ・エネルギー導入事業 エネルギー導入検討にあたっては、市民個々、事業所、公園等の公的空間、 建設物、交通関係等、各分野ごとの検討が必要であるが、ここでは各分野での 導入可能なエネルギーシステムを一覧する。 種類 導入方法 太陽エネルギー 個人住宅への導入・事業所への導入・庁舎、公民館等公共施設 (太陽光発電) 街灯・防犯灯の導入、学校教育の教材としての導入 風力エネルギー 発電事業、観光資源としての導入・地域開発のシンボル要素 太陽エネルギーとの併用導入・公園等への導入による市民啓発 ご み 発 電 新焼却炉による地域への貢献・施設の熱源利用・廃棄物処理熱 (廃熱利用含む) 源利用 バイオマス発電 泡盛事業所、ホテル事業所、公的機関における廃棄物処理 (生ごみ、泡盛粕等) 那覇市モデル事業導入 高効率エネルギー 病院・スポーツ施設・年間を通して安定した電力負荷が発生す (コージェネレ-ションシステム) る建物のエネルギー効率化と省エネ これらのエネルギーシステム導入には、技術面からの検討も必要であるが、 那覇市ゼロエミッション推進においては、廃棄物バイオガスシステム・自然エ ネルギーとしての太陽エネルギー利用及び廃食油還元エネルギーシステム事業 導入を図る。 新エネルギー導入にあたっては、以下のような検討を重ね、那覇市での取り 組みが必要である。 ・まちづくり、環境対策との融合において検討 ・地域住民の福祉向上、環境教育面からの検討 ・那覇市産業活性化への波及効果からの検討 ・沖縄県においてのモデル、国際貢献からの検討 ・ 市民参加型の実施体制の在り方からの検討 63 これらの検討に加え、さらに交通システム、生活スタイル、これからの那覇 市まちづくりとの整合性を図りつつ、幅広い計画の作成が必要である。 エネルギーシステム導入手順は、以下のような工程であるが、那覇市でのエネ ルギー導入事業としては、太陽熱利用による建築物への利用技術、泡盛事業所 からの副産物、生ごみ等の利用としてのバイオマス発電、ごみ発電事業を推進 する。 導入目的の明確化 導入計画対象施設の設定 導入検討 (研究機関・企業・行政によるパートナーシップ) 導入決定 実施計画・設計 64 供 用 開 始 4−(2)クリーンエネルギー交通システム推進事業 那覇地区圏は、交通量の多さは全国でも有数な地域であり、快適な環境空間 を創造するためにも、クリーンエネルギー自動車の普及啓発事業を推進する。 大気汚染物質排出量が少なく、石油に代替する新しいエネルギーで動く、クリ ーンエネルギー自動車といっても以下のように各種技術開発されている。 また、今後の在り方としては、路面電車等の新たな交通システムに向けた事 業導入への取り組みも重要である。 現在、クリーンエネルギー自動車としては、 ・電気自動車 ・天然ガス自動車 ・ハイブリッド自動車 ・メタノール自動車 ・廃食油還元利用エネルギー自動車などが開発されている。 クリーンな交通システム構築には、長期的な展望が必要であるが、当面事業 導入としては、パッカ−車、バス、行政等の公共車両から導入を図り、各企業 等への理解を深めることが必要である。 導入普及を図るためにも燃料供給施設の整備が必要となる。 そのためには、行政・民間が一体となり、既存ガソリンスタンド等での付帯設 備の推進も必要である。 65 5.環境製品・技術開発推進事業 那覇市循環型社会形成の実現は、環境製品の利用促進への取り組みがスムー ズにいくかどうかが大きな成功への鍵となる。すなわち、エンド・ユーザー面 からの取り組みが必要であり、何よりも重要である。技術的には解決されても、 商品、利用面からの支援がなければ結果として循環せず、元の廃棄物になる可 能性がある。そこで、那覇市ゼロエミッション基本構想においては、これらの 環境製品流通のあり方、今後の技術開発事業を推進する。 5−(1)那覇市環境製品流通システム 再生商品活用におけるまちの活性化を実現する。具体的には、エコショップ の活用はもとより、地域、通り会の特性を発揮し、環境をキーワードとしたま ちづくりを推進する。 生ごみ堆肥 ビオトープ 通りの特徴強化による活性化 有機野菜(健康志向への対応) 健康食材による差別化(食文化の観光化推進) 花のまちづくり(花壇の整備等) 小動物に会えるまち 古紙技術 廃食油技術 環境教材としての活用 市民の環境問題を考えるきっかけの提供 エコ商品技術開発の推進(事業化による活性化) 燃料資源の効率化(安価なエネルギー利用による企業効率) 大気汚染の減少、話題の提供による人の流れの呼び戻し エコマネー 制度導入 地域、通り会への市民の関心 人と地域のつながり強化 NPO 等市民団体における人材確保 地域の美化推進によるまちの活性化 66 環境商品が流通し、事業化成功例が市民の目に映れば、更なる技術開発が進 み、地域、企業の活性化が推進され、他の環境改善にもつながり、那覇市の活 性化へと発展する。そのためには、グリーン制度、環境製品への補助、費用面 での支援等、制度面からの支援策の強化推進が重要である。 具体的には、・グリーン購入法等制度面からの積極的対応(行政)・エコショ ップの充実化と広報体制の強化(市民団体への開放とアイデア導入) ・市民との 共同作業、事業方法論の検討(通り会、NPO 等の支援体制の強化)・健康食品 開発事業との連携強化(食材、食品の開発) ・エコマネー導入方法の具体化(法 的手続き、地域の理解) ・具体的再生商品の流通マーケティングの実施・耐久消 費材のリース制度導入これらの事業展開と平行して、回収システムの効率化も 推進しなければならない。 対象廃棄物をいかに効率よく回収するかは、事業性を検討する前提条件とな る。既存回収方法の課題を整理し、これからの循環型社会形成における資源化 推進にとってどのような回収方法が最善なのかを、関係機関の同意を得る努力 などの取り組みを推進する。 67 5−(2)環境技術研究開発事業 那覇市においては、地形的に新たな産業構築は困難な課題も抱えており、こ れからの環境問題解決への貢献は研究開発事業推進が求められる。また、企業 と住居地区が混在している那覇市においては、いかに地域住民の理解を得なが ら各種事業を進られるかは大きな課題であり、研究開発の取り組みから事業へ の理解を得ることも方法論と考える。 さらに、那覇市の産業創造は、研究開発産業、食と観光、文化産業が将来的 に有望と考えられる。その意味からしても環境技術研究開発事業は、那覇市の 産業創造の方向性にもマッチしていると考える。その基礎となるのが市民団体 を始め関係機関総合による取組体制の推進であり、市民への理解を得る地道な 活動の強化が望まれる。 ◎研究開発事業メニュー ・生ごみ等の有機性資源の活用技術の研究開発 ・古紙利用用途開発技術の研究分野 ・プラスチック類分別と利用技術の開発 ・高度資源化利用技術開発(生分解性容器の開発・有機物からの高度利用技術) ・省エネルギー技術の開発(自然エネルギー活用技術、廃棄物活用エネルギー 技術) ・沖縄産特性を生かした商品化技術(月桃等の布地開発、安全な食器類、有害 物質除去技術) ・既存技術のコスト低減化研究推進 環境技術はハイテクの応用ではなく、コスト面、温暖な気象条件等の特異性 を生かした、ローテク技術においても可能である。 すなわち、既存技術の情報収集を進めつつ、各種技術の可能性を研究開発す る。特に、那覇市の緊急課題である、生ごみ、古紙、プラスチック類、エネル ギー(交通機関、企業におけるエネルギ−削減)を対象とした技術開発の推進 を図る。 68 研究開発事業導入手順としては、次に示すような工程が考慮される。 研究対象の明確化 既存技術収集・分析 那覇市の現状課題 利用面の可能性等 県内への導入の 可能性検討 (検討委員会の設置) 技術開発の 方向性 実施計画・設計 事業計画作成 技術移転 新産業創出 なお、技術研究開発事業の推進は、今後の那覇市がアカデミアパーク作りを も念頭に、環境研究機関の設置を図り、島しょ性、亜熱帯の自然、サービス産 業、文化等を網羅した総合的ゼロエミッションの技術的研究開発を推進する。 具体的には、以下のような事業展開を試みる。 ・各企業のノウハウ提供と組織的対応への取り組み ・新たな技術開発ではなく、沖縄に特化した当座の課題解決技術開発への取 り組み ・既存技術コストの低減化研究への取り組み ・島嶼地域での循環技術開発(技術のコンパクト化等) ・高度利用技術開発人材育成 ・地域での理解を得る処理方法、利用事業への対応策の検討 ・研究機関等の協力体制確立と資金確保 69 5−(3)地域、技術連携システムによる事業化 那覇市をはじめ、県内の処理利用事業化にあたっては、安定した資源量の確 保と需要面の確保が重要となる。そして、地域間、企業間の協力により、各種 廃棄物資源を有効に利活用し、いかに、安価な再生品を提供するかが大きな課 題である。 例えば、生ごみを有効活用するには農業分野との連携が必要であ り、古紙においてもトイレットペーパーは別としても、別途大量消費には、畜 産系、建設事業と連携が重要となる。 また、コスト低減のためには、廃食用油等のエネルギーを活用し生ごみを堆 肥化することにより、安価な商品提供が可能となる。このように、地域、企業、 技術の協力体制を構築する事は環境課題解決、環境産業振興には必要となる。 一方、需要からの支援として、資源化事業と利用事業者との情報提供システム の構築が産業振興には重要である。 堆肥化 那覇市 (那覇市の厨芥物) (エネルギー技術提供) (エネルギー提供) 熱源化企業 農村地域 那覇市 耕種農家、畜産農家 (食材) 健康食材 (流通) (堆肥化水分調整) (古紙解繊熱源) 利用企業 70 (コスト低減) 再生品 連携事業導入には推進は以下のような手順で実施する。 農村自治体の設定 自治体検討会の設置 地域連携の可能 那覇市からの提言 既存技術収集・分析 企業技術集積 利用面の可能性等 コーディネート 関係機関集積メリット 性の検討 企業技術集積コ ーディネート 技術効率化 実施計画・設計 地域共同負担 方向性 事業計画作成 企業技術集積 地域・技術連携推進事業は、将来の研究都市づくりによる活性化策、産業集積 連鎖の仕組みを確立するとともに、新製品、新技術を開発する。 そのための当面の取り組みとして、以下の事項を推進する。 ・各企業のノウハウ提供と組織的対応への取り組み ・自治体連携における課題の整理(事業主体のあり方等) ・企業間技術利用におけるコスト負担 ・地域での理解を得る対応策の検討 ・どの技術と技術を連携させるのが効率的かの検討 ・市民団体等のコ−ディネート機能の在り方 (地域連携イメージ図) 地域連携イメージ図 間伐材・木くず 近隣市町村 那覇市 堆肥施設 生ごみ等有機資源 71 第5章 構想推進プログラム 1. 那覇市ゼロエミッション事業推進(社会のニーズにより対応) 本基本構想事業の実現に向けての推進方法は、以下のとおりである。 (1)那覇市ゼロエミッション基本構想のアピール 本構想の概要ならび進捗状況と併せ、関係各機関、市民等に広く活用される ことが望まれる。 (2)関係機関の連携 各基本事業の推進には、民間による取組みやすい環境整備を基本とし、那覇 市ゼロエミッション推進室を中心に、事業毎に関係者を網羅した(仮称)検討 推進委員会等を設置し、具体的行動プログラムを作成し推進する。 (3)行政自ら取組み可能な事業から順次推進。 各事業において、行政の積極的な対応が可能な事業、民間のノウハウを活用 できる事業等の選択をし、広報的機能を果たすべき事業を推進する。例えば、 那覇市版トイレットペーパー、ごみ回収ボックス等普及事業、環境製品の積極 的利用等の事業を進めて行く。これらにより、市民へのアピールを実践から進 めることが望まれる。 (4)基幹産業である観光産業をキーワードとした癒し、潤い機能と環境学習 の強化事業 那覇市の基幹産業である「観光」をキーワードに事業を展開する。 那覇市の産業構造は、サービス業を中心としており、特に関連産業も多岐にわ たる観光産業とも密接な関わりをもっている。従来の消費志向的な観光形態か ら脱却し、那覇市固有の自然環境・文化的特性を生かした環境学習のプログラ ムを観光資源として提供する。具体的には、環境と調和した美しい景観を創出 するとともに、道路や河川においても緑や生態系に配慮し、体験 学習、交流 学習の空間づくりとしての事業を推進する。 (5)環境情報機能、研究開発機能の強化事業 市民、民間の取り組みへの支援を目的に情報提供機能を推進する。その上で、 中長期的展望から那覇市の産業振興、新たな事業推進を構築する方向性として、 環境研究機関を誘導し、沖縄が有する「島嶼性・亜熱帯の自然・サービス業・ 固有の文化等」をゼロエミッションからの切り口での環境に関する研究、企業、 人材育成、機関等を集積した研究・交流・体験できるアカデミアパーク等の実 現を図る。 72 2.協力体制の構築 事業の具体化には、関係者のパートナーシップが必要となる。その中で市民、 事業所、行政等関係機関の明確な役割分担を明確にすることが重要であり、次 に、それぞれの役割について以下のように整理する。 (1)市民の役割 市民の役割は、循環型社会の出発点であり、事業推進の原動力となる。 一人一人の意識向上が重要で、各家庭からの取り組みによって那覇市が住みや すいまちへと発展する。 (ア)排出抑制への努力 ごみを出さない生活様式 ・ごみを出さない買い物スタイル ・食材等の計画的購入 エネルギーの効率的な利用について ・省エネを心がけた生活スタイル ・資源は有限であり、代替物の確保は容易でない。 (イ)分別排出の徹底 分別がリサイクルの基本 ・ごみも分別すれば資源 ・リサイクルにもエネルギーが必要であるとの再確認 (ウ)家庭内リサイクルの取り組みと地域活動への参加 家庭は社会の小さなシステム(教育) ・生ごみの堆肥化(花のある生活) ・水の有効な利用(風呂水の散水や洗濯水等の利用面からの見直し) ・こまめな点検(電気、車の利用等) (エ)環境に優しい商品購入、企業への提言 ・エコマーク商品等の購入 ・リサイクル、エコ事業の育成 73 (2)事業所の役割 環境問題への取り組みは、企業にとっての大きな経営戦略となり、無駄の発 見による経営の効率化、社会的イメージの向上効果が期待される。これからの 経済社会を考慮した場合、環境問題への取り組みいかんでは、事業の存続にも 影響しかねない。また、社会全体への影響も大きく、環境負荷の軽減に努める ことは事業展開における責務でもある。 (ア)自らの事業所の実態把握、事例調査 ・ごみの排出量、性状等の実態調査による職員への意識啓発 ・他の事業所、地域での取り組み事例調査等 ・エネルギー動向と対応 (イ)ごみを出さない抑制行動 ・排出抑制目標の設定 ・再資源化等排出抑制計画の作成 ・生産等におけるエネルギーの効率化 (ウ)ごみ減量化・エネルギー効率化行動 ・具体的行動計画の作成 ・業界、顧客との協同体制の確立 ・エネルギーの効率化は生産性のバロメーターである。 (環境負荷の軽減が事業所の経済効率であり、社内での省エネ チェック体制の構築) (エ)環境に優しい取り組み推進 ・環境 ISO 等の取得 ・環境=エコノミーであるとの認識での事業運営再点検 (オ)取り組みの点検・再計画 ・地域との協調、継続推進 ・企業イメージアップと企業効率 74 (3)行政の役割 循環型社会の形成(那覇市ゼロエミション)への基盤づくりにおける支援、 コーディネート機能を十分に発揮するとともに、各種情報収集と発信をする。 (ア)循環型社会形成への取り組み(共同参画システム構築) 市民・事業者の取り組み基盤づくり ・市民、事業所の自主的取り組み支援 ・地域社会での取り組み環境づくり ・市民の意識啓発 (イ)発生抑制、リサイクルの促進(行動計画への支援) ・排出抑制目標の設定 ・取り組み内容、結果の評価・是正 (ウ)ごみ、地域環境対策強化(環境負荷の軽減) ・具体的行動計画の作成 ・地域・行政単位での取組行動計画 ・省エネ、高効率エネルギー社会システムへの取り組み強化 (エ)循環型社会システムの仕組みづくり(各計画推進と再点検及び課題抽出) ・那覇市版環境 ISO 等の創設 ・事業認定制度の創設 ・生活スタイルの提案 (オ)環境に優しい那覇市の基盤整備(環境共生のまち那覇の実現) ・環境負荷をかけない交通システムの整備 ・企業化等各種支援及び施設整備 (カ)事業実施点検と継続的改善 ・市民・事業者・行政のパートナーシップによる取り組み強化 75 (4)市民団体(NPO)の役割 環境問題解決には、市民事業の一端を担う NPO の役割は非常に大きな要素 となる。市場では供給できにくい社会サービスをプロフェッショナルな立場か ら、行政と市民、事業者を結びつけ、那覇市のゼロエミッション事業推進を図 ることが重要である。 (ア)市民・事業者・行政連携へのシステム構築 ・事業推進における関係者のコーディネート (イ)事業推進方策の提言 ・排出抑制からリサイクルまでの行動の在り方提言と実践 (ウ)地域活動への参加と事業化支援 ・地域活性化、環境学習等の指導及び環境をキーワードとした事業 化支援 (エ)コミュニティビジネスによる地域貢献 ・地域住民、行政等のニーズ、施策から地域貢献事業の立ち上げ ・ 市民、事業者、行政を連携させたゼロエミッション事業の推進へ のパートナーシップ機能 以上のように関係者の役割分担を明確にし、それぞれにとって大きなメリッ トがあることの共通認識を持つことが重要である。 76 3.那覇市ゼロエミッションモデル推進事業 本構想が、広く市民、事業所等に理解を得るには具体的な事業推進が望まれ る。そこで、モデル事業の推進にあたっては、経済的影響を考慮すれば総合産 業であり那覇市においての基幹産業である「観光産業」からの取組み推進が条 件的には最善と考える。これにより、本構想の実践をとおして那覇市からの情 報発信を行い、今後の各事業取り組みの模範とする。 (1)具体的事業推進プログラム 事業推進プログラムは、那覇市が「花と緑のまち」となる具体的な方法とし て、総合産業としての観光産業モデルとし、その対象資源としては、那覇市が 抱える課題の一つである「生ごみ」「古紙」からの事業展開を試みる。 ◆モデルプログラム 対象事業所:ホテル業 目指す方向性:花と緑と健康による観光への新たなメニュー提供 対象廃棄物資源:事業系ホテル生ごみ、古紙 関連事業所:堆肥製造業、栽培農家、畜産農家、堆肥製造機器メーカー、研究機関、 学校、地域等 推進方法: ホテル、堆肥製造業の選定を行う。 農家、学校、地域等のモデル対象を選定する。 具体的処理量、利用面からの必要量の決定を行い、堆肥化製 造技術面の検討を加え、製品としての堆肥の成分分析を実施 する。 農産物、花卉類の選定 栽培、植樹、植栽の実施 趣旨の説明文の添付 ホテル、学校、地域での花運動、健康食材利用 ホテルでの差別化としての健康食材のメニュー化 学校、地域での緑化運動推進 ホテルからホテル、ホテルから地域等への循環 以上のように花づくりと観光面での新たなメニューを提供するシステムを構 築することが重要である。これからの観光は、 「触れあい」 「体験できる」 「動く」 「色がある」 「健康」 「味わう」など、新たな観光のソフトづくりが重要であり、 沖縄観光の玄関としての那覇市でのゼロエミッション実践行動が望まれる。 77 (2)観光の資源循環モデル事業フロー モデル事業推進における全体像と各工程での関係者の役割について以下のよ うにとりまとめ、今後の各事業推進のモデルとする。 事業名:ホテル生ごみ、古紙循環モデル事業 事業主体:事業所(ホテル業)、農家、堆肥製造業、地域、市民、学校 研究機関、行政 資源循環全体フロー ホテル業 ホテル選定 事業系生ごみ、 堆肥事業所 堆肥製造業 事業系古紙 製紙事業所 製紙事業所 堆肥生産 ホテル環境ペーパ− 研究機関 品質分析 (環境に配慮したサ 堆肥供給 ービス提供メニュー 栽培品種選定 の作成) 市民・農家 花づくり運動の推進 農産物生産 ホテルのアピール (地域、通り等植栽) (有機農産物) (環境への配慮を広報) 花壇の整備 高付加価値農産物 健康食材による差別化メニュー 植栽の整備 健康づくりの実践 環境への取組み広報 安定した販売先確保 経営効率の向上(消耗品等の節約) 行 政 ホテルを中心とした資源循環フローは以上のとおりであるが、次に個別モデ ルとしてホテルからホテルへの循環、ホテルから地域、学校への資源循環、ホ テルから高齢者の生きがい資源循環の 3 つのパターンを提示し、今後のゼロエ ミッション基本構想事業の取り組みモデルとする。 78 モデル−1 ホテルからホテルへの資源循環 ホテルから排出される生ごみ、古紙を資源化し、ホテルヘ循環させ、エコホ テル等のコンセプトによる、新たな戦略メニューとして確立する。 具体的事業方法 生ごみ 古紙 対象ホテルの選定 ・ホテルの生ごみ量の把握 ・分別、回収方法の検討 ・処理方法の決定 ・生ごみの提供 対象ホテルの選定 ・ホテルの古紙量の把握 ・分別、回収方法の検討 ・再生紙の利用面からの検討 ・古紙の提供 堆肥製造事業所の選定 ・堆肥製造技術の検討 ・堆肥生産 製紙事業所 ・資源化用途による技術等の 検討 ・用途古紙の再生品生産 野菜生産農家の選定 ・堆肥量と栽培品種の検討 ・栽培、農産物提供 研究機関 ・堆肥、生産農産物等の 成文分析 ・堆肥化技術等の情報提供 ホテル ・エコホテルとしての広報 ・古紙製品を出発点として ホテル全体を環境に配慮した システムづくりの構築 ・環境取り組み事例を広く市民 へ提供し、環境学習の場として 活用 ホテル ・健康食材提供と説明 ・有機食材の可能性とメニューづくり ・特徴あるホテルの形成 ホテルからホテルへの資源循環 ホテルからホテルへの資源循環 以上のようにホテルからホテルへの資源循環事業は、ホテル自からの積極的 な取り組みが必要であり、行政もコーディネート機能を十分発揮し、関係者に よるモデル事業推進の検討会等を早急に立ち上げることが必要である。 79 モデル−2 ホテルから地域、学校への資源循環 ホテルから排出される生ごみを資源化し、地域、学校との連携により循環さ せ、地域、学校の緑化を推進し、地域のコミニューケーション形成に寄与する。 具体的事業方法 生ごみ 対象ホテルの選定 ・ホテルの生ごみ量の把握 ・分別、回収方法の検討 ・処理方法の決定 ・生ごみの提供 堆肥製造事業所の選定 ・堆肥製造技術の検討 ・堆肥生産 緑化地域、学校の選定 ・堆肥量と緑化品種の検討 (研究機関の協力による 栽培品種の選定) ・地域、市民における緑化等植栽 ・栽培場所での取り組み説明文の掲載 地域、学校 ・地域、通り緑化推進 ・学校での実践的な教材 ・特徴地域、学校の形成 ホテルから地域・学校との資源循環 本モデル事業は、ホテルから地域、学校との資源循環を試みるものであり、 地域、学校とホテルの連携を「緑化」を通じて推進するものである。 地域、学校とっては、安らぎの空間とよりよいコミニュケーションが生まれ、 ホテルにとっても地域との連携による新たな事業展開の可能性が拓かれる。事 業推進においても行政のコーディネート機能を十分発揮し、事業推進に向けた 関係機関の組織形成が必要である。 80 モデル−3 ホテルから高齢者の生きがいづくりに寄与する資源循環 ホテルから排出される生ごみを資源化し、高齢者及びリハビリ事業の一つと して循環させ、緑化、野菜等の栽培を通して、高齢者の生きがい、リハビリに 寄与する。 具体的事業方法 生ごみ 対象ホテルの選定 ・ホテルの生ごみ量の把握 ・分別、回収方法の検討 ・処理方法の決定 ・生ごみの提供 堆肥製造事業所の選定 ・堆肥製造技術の検討 ・堆肥生産 取り組み団体等の選定 ・関係団体等の資源も活用 ・堆肥量と栽培品種の検討 ・高齢者における栽培・植栽 ・栽培場所での取り組み説明文の掲載 ホテルとの環境取り組み高齢者の生きがい ・栽培農産物の食材利用 ・高齢者による料理教室の開催 ・ホテルからのレシピの提供 ・リハビリのみでなく、高齢者の働く場の提供 までも検討し、積極的社会参加システムの提供 ホテルから市民・地域との資源循環 本モデル事業は、ホテルから高齢者の生きがいづくりに貢献しようとするも のである。ホテルの生ごみから「栽培・緑化」を通じて高齢者の社会参加とリ ハビリ、健康食材による食からの楽しみを提供して行く。高齢者が持つノウハ ウを生かし社会参加を実感していただき、そこからコミニュケーションが生ま れる。また、楽しみながらのリハビリも可能となる。そのための関係機関によ る組織形成が必要である。 81 (2)モデル事業を実施するために関係者は何をすべきか。 ①ホテル業 資源の分別、提供と農産物等の消費 ・エコホテルとしての取り組み広報体制の確立 ・開かれたホテルの創造 (歯ブラシ、タオル等消耗品における環境商品使用等) ・地域住民等への解放によるふれあい機会の創出 (花等の展示、地域への還元) ②農 家 堆肥使用による有機農産物の生産、飼料における畜産飼育 ・ホテル等への供給 (安定した提供システムの構築) ・消費者ニーズの把握 ③堆肥製造業、飼料生産事業所 生ごみの受入、堆肥生産、飼料生産 ・農家への堆肥供給 ・安価な処理技術の開発 ④市民、地域、学校 ・生ごみ堆肥による緑化運動の展開 ・環境体験学習としての教材・地域での取り組み体制の構築 ⑤研究機関 ・堆肥製造技術情報提供 ・品質分析と栽培品種の指導 ⑥市民団体(NPO) ・事業推進計画作成への指導 ・関係者連携と課題の分析、関係者学習プログラム提示 ⑦行 政 ・計画推進のコーディネート ・事業推進支援施策の強化 ◆期待される効果 ①観光産業をモデルにすることによる他産業への波及効果 ②今後の観光の在り方とエコホテルへのステップ効果 ③快適な地域環境の創出効果 ④モデル事業の取り組みによる市民への意識啓発効果 ⑤総合学習教材としての教育効果 以上のように、ホテル業を核とした、生ごみ、古紙による循環システムの構 築を推進し、本構想からの各事業を短期、中期、長期に分類し、順次社会情勢 を考慮に入れながら可能なものから取り組んで行く事が重要で、次に事業プロ グラムを一覧し、取り組みへの手順とする。 82 4.那覇市からの提言 那覇市ゼロエミッション基本構想は、那覇市の循環型社会形成のみにとどま らず、沖縄県全体への提言でもある。すなわち、県内環境問題は一市町村のみ の課題ではなく、島しょ地域として全域での課題でもある。さらに、効率的課 題解決には、 「エコタウウン」形成等の事業集積化も重要で、那覇市から次のよ うな事業展開の必要性を発信する。 1.沖縄県エコ地域の制定と企業、技術集積機能強化 2.回収システムにおける資源分別情報センター機能の強化 3.グリーン購入法、デポジット制の強化や整備 4. 島しょ地域でのゼロエミッション推進のための地域連携・指導体制の整備 5.企業育成を推進する技術開発研究の強化 以上のような全県的取り組みとともに、那覇市においては、特性に合せて実 現性の高い事業から順次着手し、今後、各事業を推進するにあたっては、詳細 な検討を重ねながら進めていく。 まずは、那覇市での取り組み事業は、基幹産業としての観光産業をとおした、 「環境共生のまち」「癒しのまち」「おいしい空気が味わえるまち」等、そこに 住む人々と訪問する人々が憩える場所の実現を図る。その視点から短期可能 性・中期的期間での可能性あるいは長期的展望での可能性を明確にし、回収シ ステム、各地域間の連携、それに見合った事業規模での可能性等を検討するこ とが重要である。 一方、環境問題を解決し、事業化するには、技術=事業とはならない事情が ある。 「地域環境ビジネスとは何か」を考えた場合、環境課題、廃棄物資源には 地域特性は少なく、特に那覇市においては、量的分散・回収効率・利用面での 限界・他地域との連携及び搬入、搬出が困難であるというマイナス特性を抱え ている。これをクリアすることこそが、 「環境リサイクル事業」の成功につなが る。そのためには、需要を前提とし、前述したように排出物の量・商品化コス ト・二次的処理の生じない方向での技術開発及び事業化が重要である。 ま た、再生された商品、環境事業の結果生まれた二次商品の流通面からのサポー ト体制こそが、環境事業の成功のキーポイントと言え、沖縄県の資源循環型社 会形成における那覇市の大きな役割と考えられる。 83 【広域的取り組みフロー】 沖縄県の特徴である島しょ性から資源化を図っていくには、広域的利用シス テムの構築が必要となる。次にその概念図を示し今後の検討に資する。 主要システム 対象廃棄物 地域特性 熱源利用システム ・廃プラスチック類 ・廃棄物全般溶融 ・廃 油 ・古 紙 ・泡盛副産物 農業用・建設用 熱源・新商品 ・南部広域システム 利用システム 開発事業 ・域内での可能性 ・畜産廃棄物 ・漁業系廃棄物 ・生ごみ 観光・サービス業等 ・サトウキビ副産物 ・豆腐粕 ・し尿汚泥等 事業化利用面 での連携 県広域的取組体制の構築 ・廃プラスチック類 有効成分抽出商品化 システム ・古紙類(セルロース等) ・廃油(食用) (新技術開発による中 長期的視野での事業化) 県広域的取組体制の構築 ・瓶、ガラス類 建設資材等利用 ・建設廃材 システム ・プラスチック類 ・タイヤ類 84 5.事業推進プログラム 本基本構想を具体化するにあたっては取り組み可能な具体的事業の選択が必要であり、事業推進プログラムを以下のように整理する。 平成 14 年度以降推進事業 具体的モデル事業 ホテルをモデルとした事業の推進 短期推進事業 (平成 14 年から 3 年内に着手する事業) 1.那覇市循環型社会形成事業 事 業 項 目 具 事 業 項 目 具 実施期間 体 的 内 容 ①生ごみ堆肥化モデル事業 ②地域エコクラブ構築事業 ③環境技術・環境機器類、地域単位等での環境 取組活動等の発表 ・報告機会の創出 ④校区単位での環境メニュー作成事業 ⑤エコショップの充実化と推進 (2)ビオトープ地域システム ①ビオトープ地域システム事業・小動植物生息のための基盤整備 (3)環境共生学習体験観光の促進 ①環境共生 ②体験学習 ③観光の促進 (1)廃食油利用による事業化 ①廃食油によるエコオイル、ボイラー燃料化事業 ②石鹸化推進 ①畜産、建設汚泥水分調整材利用 ②古紙ボード利用推進 ③パルプモールド梱包用容器類利用 ①再生原料、熱源、油化還元、炭化、RDF 等 (3)廃プラスチック類事業化 (1)エコ・エネルギー導入事業 ①ごみ発電(廃熱利用含む) ②太陽エネルギー導入の推進 ①クリーンエネルギー車の導入事業 (2)クリーンエネルギー交通システム推進事業 5.環境製品・技術開発推進事業 容 (1)地域エコ教育システム (2)古紙循環事業化 4.那覇市エコ・エネルギー都市形成事業 内 ①那覇市版 ISO の制定 ・再生品等需給情報集積 ・那覇市表彰制度の創設(事業所等の認証制度) ・市庁舎内における再生品等の展示利用 ②情報センター設置 ・市民活動情報集積発信 ・地域廃棄物情報収集 ・環境に優しいまちづくりの推進 ①地域エコマネーによる地域活性化推進 (1)環境マネージメント事業 (3)地域エコマネー制度の導入 3.循環型モデル推進事業 的 (1) 生ごみ・古紙廃棄物資化事業 ①ホテルからの生ごみ、古紙資源化事業 (2)古紙による那覇市版トイレットペーパー、ごみボッ ②ホテル、行政機関等における古紙の利用促進 クス等の活用事業 (2)環境情報センター機能の整備 2.環境教育推進事業 体 (1)那覇市環境製品流通システム グリーン購入法等制度面からの推進 再生品流通等マーケティングの推進 85 下記の事業に関しては、技術、社会情勢、関係者の合意形成等の検討を行い可能性の高い事業から順次推進を図る。 事業化の可能性のある事業 3.循環型モデル推進事業 事業項目 具体的内容 (1)生ごみ等有機性総合廃棄物資源化 ・生ごみ等と木くず、古紙と廃食油総合処理による事業化推進 (2)炭化技術による資源循環事業化 ・し尿、汚泥、食品残さ、木くず等の炭化活性炭推進事業 4.那覇市エコ・エネルギー都市形成事業 (1)エコ・エネルギー導入事業 ・風力エネルギー導入の推進 ・バイオマス発電事業の推進 ・高効率エネルギーシステム (コージエネレーション)の推進 ・クリーンエネルギー交通システム導入の推進 5.環境製品・技術開発推進事業 (1)那覇市環境製品流通 システム ・環境にやさしい食材、食品開発と地域活性化推進 ・耐久消費財のリース制度導入 ・回収システムの効率化事業の推進 (2)環境技術研究開発事業 ・生ごみ等有機性資源の活用技術開発の推進 ・古紙用途開発技術の推進 ・プラスチック類分別と利用技術の開発 ・高度資源化利用技術の開発 ・省エネルギー技術開発の推進 ・沖縄特性を生かした商品化技術の開発 ・既存技術の改良及びシステム技術開発の推進 ・経済的手法の開発と活用の推進 (3)地域、技術連携システムによる事業化 ・那覇市と農村地域協同資源化事業の推進 ・技術(事業所)と技術(事業所)の連携による事業の効率化の推進 ・コーディネート人材育成の推進 ・環境企業の育成事業の推進 ・グローバルネットワーク推進事業 ・アカデミアパーク推進事業 86 終 章 ∼ 今後の展望と課題 序章で述べたように、本構想のスタート時には逼迫したごみ問題があり、現 在においてもこの状況は基本的には変っていない。 ゼロエミッション基本構想は、未来に望ましい社会像を描き、現在何をなす べきかを導きだすというバックキャスティングの手法を念頭において作業を進 めた。その結果、 「まちづくり」と「産業振興」を両輪として事業展開を図ると いう展望が導き出された。 しかしながら、事業の実施には多くの課題があることも認識された。整理の 仕方によっては、課題は多々あるが、ここでは以下の3点に整理してみた。 第一の課題として挙げられるのが、事業展開にあたってのプログラムづくり である。本来、行政が事業を実施するに際しては、基本構想→基本計画→実施 計画という手順を踏み、計画段階だけで 3 年かかるが、ゼロエミッションに関 わる事業は急を要するという認識から、本構想においては基本計画的内容を併 せ持つものとなり、モデル事業の実施まで検討されている。さらに一歩すすめ て、短期的及び中・長期的展望に立つプログラムの作成が検討された。しかし ながら、第4章で掲げた個別事業は民間主導で行われるもので、その分野も多 岐にわたっており、また、すでに技術的に確立していて事業化段階にきている ものから、未だ実験段階にあるものまで多様な事業を網羅している。そのため、 技術進歩が著しい時代にあって、これらの事業を行政が短期的及び中・長期的 事業に分類して枠をはめることは妥当ではないという認識に達した。そのため 事業プログラムは常に社会状況や事業実施環境について検討を行い、環境が整 理された事業については、早めに着手するという行政の柔軟な姿勢が大切であ る。 第二に、那覇市らしいゼロエミッションの施策を実施するためのシステムづ くりである。沖縄の特性を生かすという観点からは、従来は制約要因として考 えられていた島という物理的条件も、他の観光地域との差別化要因として循環 型社会のモデルとなる絶好の条件を備えている。そのためには他地域の後追い やものまねでは駄目である。市民にとって住みよいまちづくりはすなわち観光 振興につながる同じコインの両面であり、市民にとって暮らし易いまち、市民 が誇りを持つことのできるまちが都市型エコツーリズムと呼ぶべきものである。 美しい地域、住みよいまちをつくる元気な市民の存在こそが那覇市の観光を支 える原資なのである。 87 別の調査で行われた観光客へのアンケートによると、沖縄が観光立県として 発展するために改善すべき点としてもっとも多かったのが、 「海や道路、街中の ごみを減らす」、 「自然を守る」、 「交通機関の整備、道路事情の改善」であった。 これらは、そのまま市民生活の向上と一致するものである。他者の目を意識し たまちづくりのために、市民意識の啓発・高揚に力を入れること、及び経済、 環境、教育、都市計画等の関連部門をはじめ、市役所全体がゼロエミッション の理念を自らの事業分野において実施していくためのシステムづくりが課題で ある。 第三の課題として、人材育成のための環境学習に関するコンセプトと学習プ ログラムの作成である。那覇市の将来を担う次世代を育てていくために、学校 において環境教育をすすめるとともに、学校と地域が融合して世代間のコミュ ニケーションを促進する生涯学習の視点をとりいれることが必要である。また、 ビジネスの分野において環境に関連した人材を養成するための支援体制をつく ることも大事である。環境学習のための素材は豊富にある。持続可能な社会を 実現できるか否かは、ひとえに環境学習にあるといっても過言ではない。環境 学習を支援する NPO とともに、学校、市民、事業所との間のコーディネータ ーとして機能することも行政の役割である。環境学習のコンセプトには、協働 社会におけるパートナーシップの体制づくりが欠かせない。 最後に、本構想の事業推進プログラムを実施していくためには今後、行政内 部の組織体制や推進方法等をしっかり構築することが重要なので充分な研究を 重ねなければならないが、事業推進に向けては、職員一人一人がその必要性を 認識し、全庁体制で望むことも大変重要である。また、環境教育や意識開発な どは、時間を経て効果を認識するものであるが、市民や事業者の意識改革がそ の大きな原動力となることを考えれば、財政的支援が十分行われるよう配慮す ることも必要である。 88 那覇市ゼロエミッション基本構想審議会委員名簿 那覇市ゼロエミッション基本構想審議会 氏 会 長 桜井 名 国俊 所属団体名 沖縄大学 人文学部 役職名 教 授 副会長 渡久地澄子 沖縄県女性団体連絡協議会 事務局長 委 員 田里 友三 沖縄総合事務局経済産業部環境資源課 課 長 委 員 上間 仁 沖縄県文化環境部環境政策課 課 長 委 員 大城 喜信 財団法人 亜熱帯総合研究所 専務理事 委 員 湊川 武弘 財団法人 南西地域産業活性化センター 委 員 宮里 一郎 那覇市観光ホテル旅館事業協同組合 理 事 長 委 員 名嘉地用輔 社団法人 専務理事 委 員 上間 沖縄県経済農業共同組合連合会 畜産部長 委 員 渡久地英男 那覇市商工会議所 事務局長 委 員 浜川 国子 那覇市立小学校校長会(小禄小学校) 校 長 委 員 山路 敬三 国際連合大学ゼロエミッションフォーラム 会 長 委 員 鵜浦真紗子 国際連合大学高等研究所 研 究 員 委 員 福岡 沖縄リサイクル運動市民の会 事務局長 哲也 智子 沖縄県工業連合会 上席研究員 那覇市ゼロエミッション基本構想作業部会 部 会 長 渡久地 澄子 沖縄県女性団体連絡協議会 事務局長 専務理事 委 員 名嘉地 用輔 社団法人 沖縄県工業連合会 委 員 渡久地 英男 那覇市商工会議所 事務局長 委 員 宮里 一郎 那覇市観光ホテル旅館事業協同組合 理 事 長 委 員 福岡 智子 沖縄リサイクル運動市民の会 事務局長 89 資料−1 支 援 制 度 ① 補助金制度 ■創造技術研究開発費補助金制度(旧技術改善費補助金) 制度の目的 補助対象者 補助対象事業 枠 環境技術枠 補助対象経費 補助率等 問い合わせ 中小企業が自ら行う新製品、新技術等に関する大きな規模の研究開発について、そ の開発に要する経費の一部を補助することによって、中小企業の技術開発を促進し、 中小企業の技術改善を図る。 ●中小企業基本法(昭和 32 年法律第 154 号)第 2 条に規定する中小企業 ●中小企業団体の組織に関する法律(昭和 32 年法律 185 号)第 3 条 1 項に規定す る中小企業団体(火災共済協同組合、信用組合および同組合連合会ならびに商工 連 合会は除く) ●特定の法律によって設立された組合およびその連合会であって、その直接または 間接の構成員たる事業者の 3 分の 2 以上が中小企業基本法第 2 条に規定する中小 企業である団体 ●民法(明治 29 年法律 89 号)第 34 条に規定された社団法人または財団法人であ って、当該法人の直接または間接の構成員の 3 分の 2 以上が中小企業基本法第 2 条 の規定する中小企業である団体 中小企業が自ら行う新製品、新技術に関する研究開発 技術部門 廃棄物・リサイクル技術部門 技術内容 1.廃棄物処理技術 2.リサイクル技術 1.大気汚染防止技術 2.水質汚濁防止技術 3.悪臭防止技 術 4.騒音または振動防止技術 5.地盤沈下または土壌汚 染の防止技術 6.公害防止に係わる管理・計測技術 7.公 害防止に係わる新プロセス技術 8.環境改善・保全技術 ①原材料費および副資材の購入に要する経費 ②構築物の購入、建造、改良、据付け、 借用または修繕に要する経費 ③機械装置または工具・器具の購入、施策、改良、据 付け、借用または修繕に要する経費 ④外注加工に要する経費 ⑤技術指導の受入に 要する経費 ⑥研究開発委託に要する経費(中小企業の団体が行う研究開発の場合で あって、その構成員である中小企業者に研究開発を委託する場合のみを対象とし、 研究開発総額の 3 分の 2 を超えない額)⑦その他に必要と認める経費 環境保全技術部門 補助率:補助対象経費の 2 分の 1 以内(直接分)または 3 分の 2 以下(地域分) 補助額:1 件当たり 500 万円以上、3,500 万円以下 (直接分)各経済産業局、沖縄総合事務局 経済産業部 (地域分)各都道府県商工 担当課 90 ■廃棄物再資源化実証プラント事業補助金制度 制度の目的 実証実験受託 者(企業、第 3 セクター、地方公 共団体等) 枠 廃棄物の再資源化・処理を促進し、資源の有効利用と環境保全に資する事を目的と する。事業は、実証プラントを建設し、その後、実証実験を行うことにより、当該 事業の技術、経済性等に関する知見を得て、広く普及させるものとする。 ・補助事業を的確に遂行するに足る技術的能力を有すること ・補助事業を的確に遂行するに必要な経費のうち自己負担分の調達に関し十分な 経理的基礎を有すること ・補助事業に係る経理その他の事務について的確な管理体制及び、処理能力を有 すること 技 術 部 廃棄物再資源化 補助対象経費 補 助 率 等 門 技 術 内 容 1.廃棄物再資源化・処理技術 2.リサイクル技術 プラント建設資金のうち機械設備等の所要額 (土地、建物、基礎工事は補助対象外) 補助率:補助対象機器の 2 分の 1 以下 補助額:1 件当たり1億円程度 申 請 お よ び 募集期間は、毎年 2~4 月に実施。 問い合わせ先 財団法人クリーン・ジャパン・センター 業務部 ■エネルギー使用合理化事業者支援事業制度(旧先導的エネルギー使用合理化設備導入 モデル事業) 制度の目的 対象事業者 事業概要 補助対象範囲 補助率 問い合わせ先 これまで、相当程度の省エネルギー努力を行っている事業者が、さらに省エネル ギーを推進するための先進的な技術の導入、先導的な取り組みの実施を行う事業 に対し、当該事業に必要な費用の一部を補助する。 全業種 ①事業者が計画した省エネルギー推進の取り組みで、先進性があり他への普及効 果が期待できる省エネルギー設備、技術の導入。 (リサイクル工程の省エネ化 事 業も含む) ②原則単年度事業。 省エネルギーに係る設備及び工事一式 1/3(1 事業当たり、補助金の上限は 2 億円) 新 エ ネ ル ギ ー ・ 産 業 技 術 総 合 開 発 機 構 ( NEDO ) 省 エ ネ ル ギ ー 対 策 部 省エネルギー 企画課 電話 03-3987-9440 91 ② 融資制度 ■中小企業金融公庫(中小企業対象) 貸付金限度額 貸付金利 問い合わせ先 対象事業 直接貸付:7億2千万円 代理貸付:一般貸付の他1億2千万円 基準利率(1.9%) ただし特定の用件に該当する場合は特別利率②(1.8%など) (H13 年 3 月 19 日現在) 中小企業金融公庫事業部特別貸付課 電話 03-3270-1287 ・産業廃棄物処理施設 再生資源化製品製造設備 ・廃棄物排出抑制のために必要な施設 ・廃棄物を製品等として利用するために必要な施設 ・リデュース・リユース・リサイクルへの取組に必要となる静脈物流施設設備 ■国民生活金融公庫(中小企業対象) 貸付金限度額 直接貸付:7 千 2 百万円 貸付金利 平成 13 年 3 月 14 日現在 問い合わせ先 対象事業 1.6%∼1.9% 国民生活金融公庫東京相談センター 中小企業金融公庫と同じ 92 電話 03-3270-4649 ■産業開発資金(沖縄振興開発金融公庫) 対 象 事 業 金 利 融資比率 (1)リデュース・リユース・リサイクル 対 象 事 業 ①リデュース事業 廃棄物の発生抑制に資するように、製品の製造、使用等に係わる 政策金利Ⅰ 資源効率を高めるための施設 70% ②リユース事業 使用済製品等を再利用するために、当該使用製品等を回収し、適 政策金利Ⅰ 切な処置を施すために必要な施設(リターナブル容器包装を含む) 70% ③リサイクル事業 使用済製品等を回収し、原材料として利用する事業に必要な施設 政策金利Ⅲ 整備 70% (2)リサイクル・リユース品普及促進 リユース・リサイクル品を利用する設備投資法令等において、そ の 普及促進の必要性が定められていているリユース・リデュース 品を利用する設備投資(リサイクル資材を利用する建築物の整備 を 含む) 政策金利Ⅱ 70% 政策金利Ⅱ 70% (3)適正な廃棄物処理を行うための施設整備 適正な廃棄物処理を行うための施設整備 問合 せ先 電話 03-3244-1620 電話 098-941-1765 日本政策投資銀行 環境エネルギー部 沖縄振興開発金融公庫 産業開発課 ※対象事業はリサイクルに係わるもののみ抜粋 ※①∼②のうち、リユース・リサイクルのために必要な使用済み製品等の回収等に係わる 設整備及び法令等において推進する必要性が定められているリデュース・リユースに る事業(リターナブル容器包装含む)については政策金利Ⅱ (参考)平成13年3月14日現在の金利体系 政策金利Ⅰ 1.85% 政策金利Ⅱ 93 1.80% 政策金利Ⅲ 1.75% 施 資す ③ 税制優遇措置 【リサイクル設備の特別償却(国税) 】 ■再商品化設備 対 象 ●PET ボトルリサイクル設備 ●カレット窯業原料製造設備 ●古紙再生ボード製造設備 措置の内容 併用年度(取得初年度)において普通償却のほかに取得価額の 25/100 の特別償却 適用期限 平成 8 年 4 月 1 日∼平成 14 年 3 月 31 日 ■特定再生資源利用製品製造設備 対 象 ●アルミニウム再生地金製造設備 ●エコセメント製造設備 ●再生紙製造設備 ●家庭用電気機器廃棄物再生処理設備 措置の内容 併用年度(取得初年度)において普通償却のほかに取得価額の 25/100 の特別償却(た だし、再生紙製造設備は取得価額の 75%を対象) 適用期限 平成 8 年 4 月 1 日∼平成 14 年 3 月 31 日 ■再生資源利用製品製造設備 対 象 ●廃プラスチック類再生処理装置 ●建設廃棄物再生処理装置 ●廃木材・再生処理装置 措置の内容 併用年度(取得初年度)において普通償却のほかに取得価額の 14/100 の特別償却 適用期限 廃プラスチック類再生処理装置:平成 8 年 4 月 1 日∼平成 14 年 3 月 31 日 建設廃棄物再生処理装置:平成 8 年 4 月 1 日∼平成 14 年 3 月 31 日 廃木材破砕・再生処理装置:平成 13 年 4 月 1 日∼平成 14 年 3 月 31 日 【廃棄物再生処理用設備の固定資産税の軽減(地方税)】 対 象 ●廃プラスチック類再生処理装置 ●建設廃棄物再生処理装置 ●古紙再生処理装置 ●ガラスくず処理装置 ●アルミニウム再生地金製造設備 ●飲料容器回収処理装置 ●家電リサイクル設備 ●自動車部品再利用製造設備 ●複写機部品再利用製品製造 設備 平成 14 年 3 月 31 日までに取得したものにつき取得後 3 年度分の償却資産に係わる 措置の内容 固定資産税の課税標準となるべき価格の 2/3 の額とする。 (ただし、ガラスくず処理装 置、アルミニウム再生地金製造装置については、課税標準は 3/4) 【容器包装リサイクル施設に係る事業所税の軽減】 措置の内容 資産割および新増設については 1/4 控除、従業者については 1/2 控除とする。 【家電リサイクル施設に係る事業所税の軽減】 措置の内容 資産割および新増設については 1/4 控除、従業者については 1/2 控除とする。 94 ④ 民活法による支援措置について リサイクルに資する設備の導入にあたり、一定の要件を満たすものについては「民間事業者の能力 の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法」 (民活法)に基づく補助金、融資、税制上の 支援措置を行っております。 ※民活法は技術革新、情報化および国際化といった経済的環境の変化に対応して、経済社会の基礎の充実に貢献 する各種の施設(特定施設)の整備を民間事業者の能力を活用して促進することを目的とするものです。 (1)支援対象施設の概要 【マテリアル・リサイクル施設】 (再生資源を原材料に利用して製品を製造する施設) ①容器包装リサイクル法に規定する分別基準適合物の再商品化を行う施設 □PET ボトルリサイクル施設 施設概要 主務大臣 PET ボトルを原材料として、プラスチック成形加工製品、繊維製品等の原材料(フ レーク、ペレット等)を製造するための施設 経済産業大臣、厚生労働大臣、国土交通大臣 □廃プラスチック油化施設 施設概要 PET ボトル以外のプラスチック製容器包装を原材料として再生油を製造するための施設 主務大臣 経済産業大臣、厚生労働大臣、国土交通大臣 □カレット他用途利用施設 施設概要 主務大臣 ガラスびんカレットを原材料として、タイル、人工軽量骨材等(ガラス容器を除く) の用途に利用される製品を製造するための施設 経済産業大臣、厚生労働大臣、国土交通大臣 ②エコセメントリサイクル施設 施設概要 ゴミの焼却灰、下水汚泥等を原材料としてセメントを製造するための施設 主務大臣 経済産業大臣、国土交通大臣 ③再生資源活用肥料化施設 施設概要 生ゴミ、汚泥等の有機性廃棄物等を原材料として、肥料を製造するための施設 主務大臣 経済産業大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、国土交通大臣 95 ④アルミニウム缶リサイクル施設 施設概要 主務大臣 回収された使用済みアルミニウム缶を原材料として利用してアルミニウム缶の製造 用に供するアルミニウム二次地金を製造するための施設 経済産業大臣 ⑤古紙他用途利用施設 施設概要 主務大臣 古紙を原材料として利用して、古紙再生ボード、古紙破砕解繊物、パルプモールド 等、紙以外の製品を製造するための施設 経済産業大臣 【サーマル・リサイクル施設】 ⑥RDF 発電・熱供給センター 施設概要 RDF(ゴミ固形化燃料)を利用して発電または熱供給を行う施設 主務大臣 経済産業大臣、国土交通大臣 (2)民活法による支援措置 ①民間能力活用特定施設緊急整備費補助金(民活補助金)で、建設事業費の 5%補助(地方公共 団体の一部負担が要件) ②日本政策投資銀行等による出資 ③日本政策投資銀行等による NTT 無利子・低利融資 ④産業基盤設備資基金による債務保証 ⑤産業基盤整備基金による NTT 低利融資に対する利子補給 (3)問い合わせ先 経済産業省産業技術環境局 リサイクル推進課 〒100-8901 東京都千代田区霞が関 1-3-1 電話 03-3501-4978 96 資料−2 循環型社会形成に向けての関連法規 環 境 基 本 法 循環型社会形成推進基本法 廃 棄 物 処 理 資 容 家 建 食 グ 源 器 電 設 品 リ 有 包 リ リ リ | 効 装 サ サ サ ン 利 リ イ イ イ 購 用 サ ク ク ク 入 促 イ ル ル ル 法 進 ク 法 法 法 法 ル 法 法 ご ご 容 廃 建 食 国 み み 器 家 築 品 等 の の 包 電 物 残 が 発 発 装 の な さ 率 生 生 の 回 ど の 先 抑 抑 リ 収 の 発 し や 制 リ 制 サ ・ 分 生 て 処 と サ と イ リ 物 別 抑 再 分 適 イ リ ク 義 サ の 解 制 生 を 正 ク ユ ル 務 イ リ 体 や 品 確 な ル | づ ク サ や リ な 保 リ を ス け ル イ 建 サ ど サ 促 ・ を ク 設 イ の ク 進 ル 廃 ク 調 棄 ル 達 ル 97 ゼロエミッション基本構想用語解説 あ行 アースデー 1970 年にアメリカで始まった、地球環境の大切さを考える大規模な市民運動。 毎年 4 月には世界各地で統一行動がなされている。 アジェンダ21 1992 年、地球環境サミットで採択された行動計画。持続可能な開発に向けて、 貿易・貧困・健康などの経済・社会的要素のあり方、大気・水質・森林などの 資源の保全方法、自治体・産業界・NGO・技術団体などの役割、資金や技術 移転、国際法整備などについて、具体的な取組み方法を定めている。 ISO14000s ISO とは、世界の規格を統一する機関のことで、国際標準化機構という国際 機関の通称。(International Organization for Standardization)環境保 全に関する規格で内容ごとに「14001」「14004」など様々な規格があり、総称 して ISO14000s(sは、シリーズの意味)と呼ぶ。 RDF 固形燃料化した廃棄物のこと。 エコロジー 生物同士の関係、生物と環境の関係について研究する学問。生態学と訳され るが、自然科学にとどまらず経済学や社会学などの視点からもアプローチする。 なお、本基本構想においては、生態学を保全すること、そのためのライフスタ イルや活動、考え方をエコロジーと規定する。 エコハウス 国土交通省が進めている環境保全型の構想。照明や冷房器具を改善したり、 機密性・断熱性を高めた建築方法で、省エネや温暖化防止を実現するのが目的。 二酸化炭素の排出量は 30∼40%の削減を目標にしている。 98 エコショップ ここでいうエコショップとは、環境に優しい商品を販売している店舗のこと で、通常いわれる簡易包装を行ったり、空き缶・空き瓶の回収などを積極的に 行っている店をさすものではない。 エコホテル ここでは、環境に配慮し、歯ブラシ等の消耗品から食材等に至る全ての使用 品はもちろんのこと、景観、緑化に至るまで環境をテーマとしたホテルを指す。 か行 環境アセスメント 新しい事業をはじめるとき、環境への影響を事前にチェック、評価して計画 をたてさせること。 (環境影響評価)例えば、企業や団体が道路工事、工業団地 建設、ビル建設をするとき、周囲に悪影響を与えないかを自らチェックして、 都道府県、住民に報告する。 循環型社会 地球環境を保全再生するための方策として、最終的に廃棄されるごみを有用 な資源として活用し、新たな原材料として活かす。これによりごみの減量・再 資源化が確立された社会。 環境資源 環境が人間にもたらす水、森林、農水産物などの資源のこと。限られた資源 で最大限の経済的利益を得る方法が「持続可能な開発」である。 環境経済学 1970 年代から注目されている経済学のいち分野。環境問題を引き起こす経済 メカニズムとその改善策。経済的利益が最大となる環境保全、環境価値の経済 学での評価、効力ある環境政策などを研究する。 環境税 政府が環境を汚染している企業に税金などの負担を求める。例として、北欧 諸国で実施している「環境税」がある。 99 環境マネージメント 企業などの自主的・積極的に環境保全のための行動をとること。そのための、 環境保全に関する指針、目標、計画などを定め、実行、記録し、その状況を点 検して方針などを見直す、という一連の手続き コージェネレーション できる限り、無駄なくエネルギーを使う技術。例えば、火力発電は、燃料を 燃やして生まれた熱を電気に変えているが、その熱の 40%程度しか電気エネル ギーを生み出す事は出来ない。つまり熱の大半は、廃熱として捨てられている。 この廃熱を暖房や給湯などに熱のまま利用する。 (再度発電設備で再利用して発 電するのがコンバインドサイクル) グリーン購入法 商品やサービスを購入する際に、 「環境」の視点を重視し、環境への負荷がで きるだけ少ないものを選んで優先的に購入すること。 さ行 スーパーごみ発電 ごみ焼却場の蒸気(廃熱)を、再度タービンで熱して利用することで効率を 上げた発電システム。 サーマルリサイクル 焼却等により熱回収再利用 生態系 ある地域に生息する生物とその生物に影響を与える気象・土壌・地形などの 非生物的環境を総合したもの。 ゼロエミッション エミッション(emission)とは、気体・液体・固体成分の廃棄・排出を意味 する。したがって、ゼロエミッションとは大気、水、土壌等を汚染する物質の 廃棄・排出を自然の浄化能力の範囲内に抑え、再生可能な資源の生産性を高め ることで結果的に環境に負荷を与える物質の自然界への廃棄をゼロにしようと するものです。 100 た行 地球温暖化 二酸化炭素などの温室効果ガスにより、太陽熱が地表面に蓄積され、大気中 の温度を上昇させている現象。 低公害車(エコ・カー) 排気ガスがゼロ、または非常に少ない車。 は行 バイオマスエネルギー 生物が生み出すエネルギー。海藻、廃棄物、ふん尿を発酵させた燃料の開発、 生物が含む石油成分の抽出、水素を発生させる特殊な菌の培養などが研究され ている。エネルギー源が自然の力で再生可能なため、未来のエネルギーとして 注目されている。 ビオトープ 多様な生物種が安定して存在できる空間をいう。自然のまま、あるいは自然 に近い状態の動植物のための生息場所を、ビオトープと位置づけている。単な る自然環境の維持ではなく、積極的な整備育成という観点から住宅や工場を建 設したり、河川・道路の工事では、生態系を意識して緑地帯を造成したり、人 工池をつくったり、屋上に植物を植えたりする。 ヒートアイランド 都市化により、緑地の減少、コンクリート化、エネルギー消費の増大等によ り、都市部で平均気温が上昇する現象。 ま・や・ら行 ラムサール条約 生物の生息地である湿地を保護するもの。水鳥は渡り鳥として国境を越える ものが多く、国際協力が必要として 1971 年に条約が結ばれた。 締結国は人と湿地が共生し、生態系を壊さずに持続的に資源を利用していく「ワ イズ・ユース」(賢明な利用)に基づく湿地保全が求められている。 ※日本は 1980 年加入 101 マテリアルリサイクル マテリアルとは、材料、原料の意味であり、再生商品化によるリサイクル。 モノマー エチレンやプロピレンのような単重体。 (これらを重合してプラスチックを製 造) ライフスタイル 生活様式、時代や社会風俗によって変化する。 リサイクル 資源を戻して再利用する。 リデュ−ス ごみをできるだけ減らす。 リフュ−ズ 不要なものは断る。 リユース 使用済み製品を再使用する。 ローカルアジェンダ 平成4年6月にブラジルのリオデジャネイロで「地球サミット」が開催され、 人と国家の行動原則を定めた「環境と開発に関するリオ宣言」とそのための行 動計画である「アジェンダ21(持続可能な開発のための人類の行動計画)」が 採択された。ローカルアジェンダは、この地方自治体版で、地域社会を構成す る市民・事業者・行政といった各主体が一体となって策定すべきとされている。 102