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Diabetes Care from the USA ∼米国CDE事情∼ 連載第3回

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Diabetes Care from the USA ∼米国CDE事情∼ 連載第3回
第 375 号 2009 年
(平成 21 年)6 月 5 日発行(毎月 1 回 5 日発行)昭和 53 年 3 月 22 日 第三種郵便物認可 ISSN 0913-3380
連載第3回
(4)
Diabetes Care from the USA ∼米国CDE事情∼
3
AADEの一本道
いるといっても過言ではない。
AADE 事務局は、シカゴ(イリノイ州)
A A D E( 米 国 糖 尿 病 教 育 者 協 会 :
にあり、会員により選出される 理事会
American Association of Diabetes
の意見を中心に、諸団体との調整にあた
Educators)は、1973 年冬枯れのシカゴ
るとともに、専門的な人材育成セミナー
に、糖尿病教育について討議するために
を運営している。
集まった 18人の糖尿病教育者によって誕
生した。それから35 年の時を経て、現在
の会員数は、1 万 2,170 人である。
AADEの学術活動
● James A.Fain(PhD,RN,BC-ADM,FAAN)
略 歴
1974年
1976年
1979年
1985年
1986年
1989年
1993年
現職
St Joseph Hospital 看護学校卒業 RN取得
University of Rhodo Island, 看護学部卒業 BNS取得
Alabama in Birmingham, 看護学部 修士課程修了(看護学修士・糖尿病専攻)
University of Connecticut, 教育学部 博士課程修了(教育学博士・教育管理専攻)
Outstanding Young Men of America 授賞
Who's Who in American Nursing
Fellow of the American Academy of Nursing(FAAN)
University of Massachusetts Dartmouth, College of Nursing 学部長・教授
AADEは、隔月論文誌として、「糖尿病
価を問われる状況にある。
“風と共に去
ともに、糖尿病療養指導の専門分野活動
エデュケータ」( The Diabetes Educator)
りぬ”の舞台となったアトランタで、糖尿
(SPG:Specialty Practice Group)
(表 2)
職種の医療職者によって構成され、その
を発行し、筆者は、1990 年以来その編集
病教育の新しい局面をともに探ることに
も、活発に行われている。SPG は、州や
内訳は、看護師(49 %)
、栄養士(37 %)
、
長の席にある。米国は、異なる民族・異
なる。
施設の壁を越え、全米規模の活動であり、
薬剤師(3 %)
、その他運動療法士・心理
なる文化・異なる言語からなる国家であ
学者など(11 %)である。AADE の使命
り、糖尿病教育を展開するうえでさまざま
AADE は、糖尿病教育にかかわる多
AADEのネットワーキング
共通する課題を全国レベルで検討・解決
している。年次集会では、SPG 会合に 1
は、糖尿病とともに生きる人々が健康的
な対応が必要となる。多様な研究者から
AADEが願うこと
「1 万 2,000人のネットワークのつなが
な生活を送るために、自己管理を成功に
の投稿によってダイナミックな研究が蓄積
AADEが願うこと
りをなくさないで」(Don’
t lose your
年次集会には、糖尿病の患者・家族の方
導くことにある。重要なことは職種の違
され、「研究」から「実践」へ(Translating
connection to our network of 12,000)と
も参加し、当然
SPG 会合においても、患
AADEが願うこと
いによって糖尿病教育を寸断させること
Research to Practice)
というサイクルが
言われるように、AADE 会員は強い連帯
者の立場から意見を述べることができる。
なく、ひとつのものに統合させることで
起こっている。
感で結ばれている。米国には、AADE 支
ある。
AADEは、糖尿病教育者が有すべき能
部が 100カ所以上もあり、大半の州には
時間半の時間が割り当てられる。さらに、
AADEが願うこと
AADEは、糖尿病教育をDiabetes Self-
力として、最新の糖尿病管理に精通する
少なくとも1 支部が存在する。AADE 支
糖尿病教育は、糖尿病をコントロール
Management Education(糖尿病自己管理
とともに、個人の自己管理行動や選択を
部では、地域の特性にあった糖尿病教育
するための重要な鍵である。AADE は、
教育)
と称し、単なる知識・技術の伝達で
理論に基づき理解することをあげている。
セミナーを開催し、新しいメンバー獲得
この分野で時勢に乗り遅れないように、
はなく、患者・家族が行動変化を起こし、
2002 年 AADE は『AADE 7 Self-Care
にも努めている。AADE には、糖尿病
会員に最新の情報資源を届けるとともに、
セルフマネジメントを継続させるために
Behaviors(AADE 7 つの糖尿病自己管
療養指導士(CDE)の更新試験を何度も
支部と協力してネットワークの機会を提
必要な双方向性(interaction)
の関係であ
理行動)
』
(表 1)を提唱した。AADE は、
パスし、CDEとして 30 年を過ごしてきた
供し、また、糖尿病に関係する他機関と
るととらえている。したがって、医療職
7つの糖尿病自己管理行動のなかで、患者
会員も多い。この人たちは、CDE とい
の緊密な協力によって、糖尿病教育を発
者には、セルフマネジメントサポート(自
自身が最も行動変化したいことにフォー
う新しいジャンルを切り開いてきたパイ
展させていきたい。
己管理支援)の役割が求められている。
カスをあて、実践的な行動計画を作成す
オニアであり、聡明でユーモアに富んだ
るために、AADE 7 Goal Sheets を出版
方ばかりである。
AADEのウイング
米国では、糖尿病に関する学術団体や
国家機関として、AADEのほかに、ADA
(米国糖尿病学会)
、A Diet A(米国栄養
士学会)、VA(退役軍人健康管理局)、
CDC(疾病対策センター)
、IHS(インディ
した。これは、糖尿病教育の効率化を高
めるとともに、フォローアップに必要な
記録として汎用されている。
また、年に 4 回「実践の中の AADE」
(AADE in Practice)という新聞を発行
している。これは、糖尿病教育に関係す
アン健康管理局)
、DRTC(糖尿病研究訓
るモチベーショナルインタビューなどを
練センター)
、JDRI(国際若年型糖尿病財
コンパクトにまとめた記事が多く、楽し
団)
、NCBDE(全米糖尿病教育者認定機
く最新の情報にあふれている。
(訳:福井大学医学部看護学科
また AADE では、支部単位の活動と
森川 浩子)
表1 AADE 7 Self-Care Behaviors
Healthy Eating
適切な食事
Being Active
活動的である
Monitoring
血糖モニタリング
Taking Medication
薬の管理
Problem Solving
問題解決 Reducing Risks
合併症のリスク回避
Healthy Coping
心理社会的適応
表2 2009年度 AADE SPG(Specialty Practice Group)
構)
があり、それぞれが独自の活動を行っ
AADE 学術活動の中心は、盛大な年
ている。AADE は、常にこれらの組織と
次集会である。2009 年 8 月開催予定の
Advanced Practice
上級の糖尿病教育実践
緊密な関係を保ち、かつ学会としての活
第 36 回 AADE 年次集会(ジョージア州ア
African American
アフリカ系アメリカ人
動を展開していかなければならない。
トランタ)のスローガンは、
「新しい局面
またAADEの出版物は、英語圏の国々
AADEが願うこと
を拓く」
(Exploring New Dimensions)
Asian and Pacific Islander
アジアおよび太平洋諸島住民 Camp Educators
キャンプ指導者 Continuous Glucose Monitoring
継続的な血糖モニタリング
(ヨーロッパのみでなく、アジアや中近
である。オバマ大統領になり、国民皆保
Disabilities
身体障害
東の国々においても)でも、非常に速い
険制度が論議されるなか、AADE が追
Foot Care
フットケア スピードで読まれている。AADE の活
及してきた“セルフマネジメント能力を
Hispanic /Latino American
ヒスパニック/ラテンアメリカン 高める教育”は、質とコストの両面から真
Home Health Care Diabetes Educators
在宅糖尿病ケア
動は、世界中の糖尿病教育をリードして
図 AADEのロゴ
AADEのロゴ
(最新)
AADE創設からのロゴ
Inpatient Management
入院患者管理
Insulin Pump Therapy
インスリンポンプ療法 Integrative Care
統合的なケア Native American/ Indian Health Service
アメリカ原住民/インディアン健康管理局
Office & Clinic Based Diabetes Educators
診療所を基盤とする糖尿病教育者
Pediatric Educator
小児糖尿病教育担当者
Pharmacy
薬物療法
Physical Activity
運動療法
Pregnancy /Reproductive Health
妊娠/生殖に関係する健康 Public Health
公衆衛生
Veteran Affairs/ Department of Defense
退役軍人/防衛局
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