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アートとクィア
クィア • 性の規範を問題化する方法 アートとクィア … もとは「変態」を意味する侮蔑語 ⇨ 「変態」で何が悪い ∼ 多様性 と〈共〉∼ 問題なのは「人」ではなく「規範」!! 中村美亜 (九州大学大学院芸術工学研究院) 本日の流れ 「アートとクィア」と言えば… ! クィアなアーティスト 1. 前提確認 ! アートのクィア的解釈 2. 多様性再考 ! アートとクィアの親近性 3. アートとクィア・アクティヴィズム ! アートとクィア・アクティヴィズム 4. メモリーワーク 5. 多様性と〈共〉 ジェンダー • 社会的次元で人間を男女に二分する方法 セックス(生物学的次元) 参考:インターセックス(性分化疾患) 男女が先にあって、その違いではなく、 二分の仕方が問題!! 多様性 セクシュアリティ • 性のあり方(存在・欲望・行動)を第三者的に理 解する方法 ⇨ 性は生き物としての機能(サバイバル・生殖)に由来、 でも、どう発動するかは「社会的」問題 性は決して「本能」では語れない!! … 「マイノリティ」や「マジョリティ」の区分は 所与ではない ⇨ 社会の力関係で作られる マイノリティ問題は「境界」問題!! デフォルトは「誰も」が多様 一般的な「多様性」観 女性 LGBT マジョリティ 障碍者 • すべての人間が多様であること 外国人 少数民族 移民 多様性を前提とするなら、人は他者を 「理解」することはできない ↑「他者」と「自分」は同一人物ではないから 他者 しかし、体験を共有することは可能 「共振/共鳴」によってつながりうるのでは? 自分 アートとクィア・アクティヴィズム アート ① 古代ギリシア「テクネー」 ⇨ わざ ② ローマ時代「アルス」 ⇨ 知 ③ 近代ヨーロッパ「アート」 ⇨ 作品 • HIV は単なる疾病ではなく、社会的病でもある • ACT UP (AIDS Coalition to Unleash Power) • Silence = Death プロジェクト • 「他人事は自分の事」(境界を崩す) 人と人(世界)の間で関係性を変えるもの 世界の見え方を変える 仕掛け (ナチスの強制収容所でのバッジを転用) エイズ・メモリアルキルト 「忘れないこと」 「個」から「共」へ 古橋悌二とダムタイプ • 1994年にオーストラリアでS/Nを初演 • S(signal)と(noise)という境界を問う Living Together 計画 • HIV/AIDSの予防啓発と陽性者支援 →リアリティを伝える大切さ • 2002年に始動(手記集め) • NPOぷれいす東京とRainbow Ring (現コミュニティセンターakta) LT仕掛け人の生島嗣さんと張由紀夫さん 手記集 さまざまな手法 メモリーワーク 過去の忘れ去りたい記憶を、他者とともに語 りなおしつつ、新たな共有の記憶を紡いでい く作業 1. Living Together Lounge • 新宿二丁目 • それ以外の地域 2. Living Together のど自慢 3. リーティング・イベント • Living Together Concert • 居酒屋版 4. 展示 • 写真展 • 手記リレー アートを通じたメモリーワーク • 忘れない • 語りなおす • 境界変容(他人事と自分事)→ 〈共〉の領域 ★ 共有の記憶づくり(集合的記憶) = 小文字のhistory(vs. 大文字のHistory) ★ ナラティブ・セラピー 世の中に存在するもの (something) は多様で複雑 人間は「わからない」という状況に耐えられない 名前(概念)を与える 知恵 名前(概念)が先に存在しているような錯覚にとらわれる 自己や他者の存在を否定する フェスティバルFUKUSHIMA! かさねがさねの想い2 多様性と〈共〉 • 〈共〉が固定した状態 ⇨ 個の否定 • 〈共〉がない状態 ⇨ 孤立 つねに動きのあるものとして更新し続けることが必要 … 境界変容とメモリーワーク 共振・共鳴を生み出す 人間の叡智としてのアート実践 制度改革 ⇄ 意識改革 わな