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リンゴのし好と品種育成の方向
東北農業研究 別号 (Tohoku Agric Res Extra lssuc)3,61-70(1990) リンゴ の し好 と品種育 成 の方 向 石 山 正 行 (青 森県 りんご試験場) Trcnds in Apple Flavor and ObicctiVes in Brceding Tν lasayuki l sHlYANIA (Aomori Apple Experiment Station) 明治初期に外国品種 の導入か ら始 まった 日本 北海道大学 に贈 られ た。 この うち 2品 種 は,前 の リンゴ栽培 は,ま だ 120年 ほ どの歴史 しか持 記 154品 種 に含 まれて いたので,明 治 時代 には, っていな い。 しか し,こ の間 に,リ ンゴ栽培 は, 総計169品 種が導入された2ゝ 開拓使と勧業寮 多 くの 困難を乗 り越えて産業へ と大 きく発展 し が輸入 した品種の原産国は,ア メ リカ 54,フ ラン た。 また,外 国の リンゴ栽培 と比較 して,品種 ス38,イ ギ リス 14,ソ 連 とベル ギ ー 各 々4,ド の変遷 も激 lン い ものが あ った。 イツ,オ ランダ, カナダ 各 々 3,オ ーストリア 2, 中国 1,不 明28で あ った。 我 が 国の リンゴ栽培 は,昭 和 40年 ころまでは , 国光や紅玉などの外国品種を基礎 に成長 し,そ 各県 に配布 された これ らの品種 が結実 lン 始 め れ以後は, 日本 で育成 されたふ じや つが るなど たのは明治 10年 ころからで,岩 手 が 明治 8年 を軸に展開 してきた。 青森 が 明治 10年 で,品 種 は,い ずれ も紅魁 であ ここでは, この品種 の交代を リンゴの味の点 , った。各地 で成 り始め るにつれて リンゴの評価 か ら考察 し, これ か らの リンゴ育種 で考慮すべ が あが り,明 治 20年 以後 栽培 は拡大 していった。 き事柄 について述べ る。 lン か し,当 時 は品種 の評価が定 まらず, 1園 地 で 30∼ 40品 種 と,非 常 に多 くの品種を栽培 して i いた。青森県 では,明 治 17年 ころか ら品評会 で リンゴ品 種 の 変 遷 と し好 の 変化 (1)明 治 ∼昭和中期 品種 の選定 がすす め られ ,明 治30年 ころ までに リンゴが公式 に 日本 に入 った のは 明治 4年 は,ほ ぼ優良品種 が決 まった。 (1871年 )で,北 海道開拓使 が アメ リカか ら 表 -1は ,明 治 27年 2月 に開 かれた試食会の 導入 した。勧業寮 も明治 4年 か ら9年 にかけて 結果 で,そ の後主要品種 となった 国光,紅 玉が アメリカ とフ ランスか ら多 くの品種を導入 した。 高く評価された2な この2品 種の他に紅魁,柳 玉 倭錦 ,紅 絞 り,祝 及 び旭 が,明 治 か ら昭和 の初 期 にかけて 多 く栽培 され た。 国光 とIII玉 は,昭 , この両者 が導入 した品種 の数は,全 部 で 154種 であった。明治 23年 には,17品 種 がカナダか ら -61- , 表 -1 ―ジ エア州な ど,い ずれ も北米東部原産の 品種 津軽果樹研究会試食結果 であ った。 リンゴの味を構成す る要素は,糖 と酸の含量 , 果肉の質,果 汁 の多少,香 りな どであるが, こ 63 63 60 60 (青 森県 りん ご百年史, 59 59 59 57 57 57 こでは,味 を構成す る最 も大 きな要素 であ る糖 と酸の 多少 か ら,こ れ らの 品種 の味を検討 した 1981) い。 糖度 (屈 折計示 度)か らみ ると,低 い紅魁 で 和 45年 ころ まで リンゴ産業 を リー ドした。 これ 123%′ 高 い紅玉が 158%で ,ほ ぼ 12∼ 16%の らの 品種 は,紅 玉 が ニ ュー ヨー ク州 ,国 光 が ′ヾ 13 Jr^v4/ 図 紅魁 12 1 1 紅玉 1 回 09 酸 度 ︵ %︶ 08 ロ アイダレッド 図 07 鶴 ロ カイ 5 06 光 ロ スパイゴール ド /国 ロ 綱佼り 恵 05 ロ 04 さん さ ガラ ロー ロ 千秋 図 回回 ′ 陸奥 顆 新世界 スターキング 回 ふじ f 跡 14 精 図 注 1糖 度 (劾 度 と 酸 度 図 明治∼ 昭和中期 の品種,回 現在 の主要品種 日 Jヒ 米 の加工適性品雹 □ 新品雹 そ の他 点線中 は,現 在 のし好に合 っている品種 M.26台 の果実 で, 2∼ 4年 平均 98,最 も 範 囲 で あ る。酸度 は,低 い祝 が 047%,高 い 紅 た。糖酸比 が最 も低 い品種は紅tlで 126%で ,045∼ 130%が そ の 範 囲 で あ る。 リンゴの味 では,糖 や 酸 それ ぞれ の量 よ 高 いのは祝 で 272,す べての 品種 が30以 下 であ りも, この 両者 の バ ラ ンスが 重要 で あ る。 図 ― 比 が,そ れぞれ 334,455で あるか ら,こ れ ら 2に は,糖 を酸 で害」った値 を糖 酸比 として示 し の品種 は,概 して酸味 が強 い。 魁が る。現在の主要品種 であ るふ じやつが るの糖酸 -62- □ 印度 糖 新 世 界 “ L 40 ili淫 30 回 10 ロ 凶 ヽ 、 き旭 @ 占 ロ 7ttv.,f ロ I島 D A ■林 回 口 さ ー 曹 勇 │ 燻 「 I :,:色 カイ 5 エン′ヾイア ;1_ []/ ガラ 比 20 [当 口 既 顕一而冒下 酸 夕キ ___ト ロ *16 /ロ ri=-^az 金星 回ふじ []ジ ョナ ゴー ル 回組 コ ックス 0 プラム レイズ 14 精 図 度 2糖 C) 酸 比 と 記号の説明は,図 -1と 同 じ 表 -2 (2)現 在の品種 昭和 63年 の品種別生産割合 口叩 昭和 に入 る と, 日本 で も本格 的 に リンゴ育種 割合 種 が 開始 され ,昭 和 20年 以後 ,そ の成果 が続 々発 ふ 表 され た。昭和23年 に陸奥 ,昭 和 33年 にふ じが つ 東北 7号 として,昭 和 48年 に つが るが 公表 され デ リシ ャ ス 系 た。 また,昭 和 5年 には,ス タ ーキ ング・ デ リ 王 シ ャスが ア メ リカか ら輸 入 され た。 その 結果, ジ ョナ ゴ ール ド 昭和 40年 前後,特 に昭和 43年 産 国光 の 価格暴落 陸 奥 紅 玉 ゴ が激減 し,代 わ って ス タ ーキ ング・ デ リシャス, ー そ ふ じ,つ が るな どが急激 に増 加 l´ た。昭和63年 49 5 る 142 114 58 40 30 19 10 91 デ ン 他 計 の 品種 別生産量 では,ふ じが全体 の 495%を 占 じ 林 ル の を機 に品種更新 が進 み,旭,印 度,国 光,紅 玉 が (%) 99 9 め,次 いでつが るが 142,デ リシャス系統 114, は,糖 度はほとんど変わ らず,酸 度がほぼ半減 58, ジ ョナ ゴール ド40,陸 奥 30,紅 玉 19, ゴール デ ン・ デ リシ ャス 10で ,国 光 した ことであ る。 これは,糖 酸比をみれば 明 ら かで,明 治∼昭和前半 の主要品種が20前 後 であ は統計 か ら姿 を消 した。 ったのに対 して,現 在 の主要品種は40前 後 であ 王林 現 在 の主要 品種 の味 を糖 度 と酸度 か らな る と (図 -1),糖 度 13∼ 16%,酸 度 030∼ 060% る (図 -2)。 糖酸比 が30以 下 の品種 は,ジ ョナ ゴール ド,陸 奥及び紅玉だけ ■ 甘 い品種 が全 生産量の 90%を 占めている。食味 が甘 い方 に向 で あ る。 昭和前半 の 品種 と比較 して特徴 的 なの -63- ド ったのは リンゴだけでな く,モ モ 9)を は じめ 季の会 "の 試食会 の結果 であ る。第 1位 のガラ は,ニ ュージーラン ド原産の品種 で,糖 酸比 は 多 くの果樹 で同 じ傾 向であ った。 32で あ る。 2位 の ジ ョナ ゴール ドはア メ リカの 2 品種 で,糖 酸比 が26,3位 の千秋 は,糖 酸比 が 品 種育 成 の方 向 (1)し 好の変化へ の対応 ほぼ30で あ る。 これ ら 3品 種 は,ふ じと同等か し好 の歴史的変化 でみた よ うに,現 在好 まれ それ よりやや酸味 があ り,糖 酸比 40以 上の 4- てい る リンゴの味 は,糖 度 13∼ 16%,酸 度 03 23,金 星及び王林 より評価 が高かった。 また ∼ 06%で ,糖 度比 30∼ 50である。 この傾 向が 糖酸化 が20よ り低 い コックスオ・ レンス カイ 5 急激 に変化す るとは考えられないが,最 近 ,も 及びアイダ レッ ドは,評 価 が低 い。 中学生を対 う少 し酸味の あ る リンゴを要求す る声 が 聞かれ ` る。表 -3は 有名な果物商の社長 で構成す る 四 象 とした同様 の調査 で も,ガ ラ,ジ ョナゴール 表 -3 , ド,千 秋 の評価 が高い点 か らみて,糖 度が13∼ 16%の 範囲で,糖 酸比30前後の品種 が将来伸 び 四季の会試食結果 口叩 る可能性を持 っている。 平均得 点 糖酸比 1 50 a 319 121a l14a 26 0 リンゴの全生産量 に 占める加工の割合は20% 29 8 くらいで,そ の 90%が 果汁 に加工 されてい る。 23 0 93 ab 49 0 加工製品の品質 には,原 材料 が大 きな影響を与 金 星 0 57 c 41 1 王 林 0 29 c 46 7 種 ラ ガ ジ ョナ ゴ ール ド 秋 千 - 4 コ ックスオ レンジ カ 5 イ アイ ダ レ ッ ド -107d -129d -136d (2)加 工適性 の高い品種 える。現在の リンゴ品種 は,生 食 を 目的に開発 され,育 種 の段階 で加工は あ ま り考慮 されなか 185 197 159 つたOι ンたがつて,現 在の主要品種 は,加 工 適 性 が高 い とはいえない。表 -4に ,品 種別,加 注 昭 58111実 施 工 品 目別の加工 適性 を示 した。紅玉,陸 兜 LSD=062(5%) 品種 別 加工 適 性 混濁 果汁 紅 玉 ○ ◎ ◎ 国 光 ○ 〇 〇 ○ デ リシャス系 /3.ム ◎ ○ 透 明 果汁 プ 一 朧 ガブ 表 -4 ク タ 乾燥 夕λ 備考 ネ ス ;グ ロ チ 治 ○ ◎ ○ 〇 O 〇 ○ ○ X X 〇 ◎ じ ○ 〇 陸 奥 〇 〇 ○ ○ ◎ ◎ 〇 〇 〇 〇 ◎ ○ ○ ○ 〇 r-/vf/l a ○ 〇 × × × × ジョ‐ ―ヽ ド │ ○ ○ ◎ ○ │○ ○ ◎ ○ つ 王 が る 林 (青 森県工締 │○ 場調査 ) -64- ○ 〇 ふ 恵 ◎最適 ○ 〇 × ○ ジ ◎ ○適 ×不適 ョナゴール ド及び恵が広い加工適性を持 って い る。 ム,パ イなど,家 庭料理 の 中に リンゴが よく取 主力製 品の混濁果汁には,紅 玉 とジ ョナ ゴール り入れられて い る。この分野 での需要の拡大 は ドが最 も適す るが,ふ じとつがるは,果 汁の濁 普及活動 に負 うところが大 きいが,調 理に適 し りが足 りな いためやや不適 であ る。天然果汁 の た品種 の供給 も考慮 されなければならない。 農林規格 では,糖 度が 10%以 上,酸 度 が 03% , 調理用 リンゴは,生 食用 よ りもやや酸味 が要 以上必要 とされ る。単純 に計算す ると,糖 酸比 求 され る。更に,加 熱 した場合の果 肉の質及 び は33で あ る。市販の 天然果汁 は,か つ て この程 糖酸比 が重要 であ る。紅玉が調理用 として優れ 度の糖酸比 の ものが多 かったが,現 在好 まれ る ているのは,こ れ らの条件 に合 ってい るか らで のは,糖 酸化 が25く らいの ものであ る。現在の ある。高橋が '7)の 調査によると,主 要品種の中 主要品種 の 中で,ほ ぼ この条件に合 っているの ■ 煮た場合に紅玉に近い糖酸比を持 っているの は,紅 玉,陸 奥,ジ ョナゴール ドの 3品 種 で は,陸奥とジョナゴール ドcそ の他の品種 では 生産量 の 9%を 占めるに過 ぎない。果汁の味は スパ イ ゴ ール ド,恵 , コ ックス 。オ レンジ,ア ブ レン ドして調整 され るの ■ 個 々の品種 の味 イダ レ ッ ドな どであ る。 また,煮 リンゴで紅 玉 は あま り問題 とな らな いが ,品 種別 果 汁 の に近 い 肉質 を持 って い るの は,陸 奥 とスパ イ ゴ 製造には,品 種 自体 の味 が重要 となる。北 アメ ール ドで あ った (図 -4)。 食 味 を加 えた全 体 10)(透 明果汁)の 高 い品種 的 な評価 で も,紅 玉 と並 んで陸奥 とスパ イ ゴ ー を図 -3に 示 したが,精 酸比は,い ずれ も20前 ル ドが 高 か った。紅 玉 は,調 理 の材料 と して最 , , , リカの果汁加工 適性 ` も優れ て い るが,大 きな欠点 は,俗 に ゴ ム病 " 25 とよばれ る果 肉の障害 が 出やす く,貯 蔵性 の 低 24 23 い こ とで あ る。 ア メ リカでは,焼 き リンゴには 22 糖 21 芹 川,パ イには 生娘 な ど,調 理品 日ご とに適す 20 る品種 が よ く知 られ て い る。 今後 ,紅 玉 に代 わ 酸 19 18 彙ヒ 17 16 る調理 用品種 の 開発 が, リンゴの需要拡大 に大 ア イダレッL旭 エン パイア 切 で あ る。 15 12 13 (4)そ の他 の特殊 な形質 14 糖度 図 -3 1)ア (%) 北米の加工 適性品種 (Zubechs,1967よ り作成) ミノ態 窒素 農林 規格 では, リンゴ天然果汁 の ア ミノ態窒 注 対照は,旭 と君ガ袖を 2:1で 混合したもの 素合量 を 8 0mg・ %以 上 と して い る。 加 工 原 料 は,か っては この規準に合 っていたが,品 種 や 後 であ る。 日本の一 人当 り果汁消費量 は,欧 米 栽培条件 が変 わ った現在 の20%程 度 で,今 後需要を伸ばすためには,加 エ 原料 の 確保 が 困難 にな りつつあ る8)(図 -5)。 工 原料の品質向上が重要 である。 ア ミノ態 窒素 の合有量 は,年 に よる変動 が大 き この 規準 を満 たすカロ (3)調 理用品種 くて品種 固有 の値 を つ かみ 難 く(図 -6),ま た, 欧米 では,生 食や加工の他 に焼 リンゴ,ジ ャ ア ミ′態窒素 が果汁 に与 え る影響 も明 らか で な -65- タ ー キ ス ツ ネ イ ゴ 玉 ン グ │ ド │ ナ ゴ ビ ド 光 図 -4 l 園 硬 さ,図 ガムL趨 と し 奥 煮 リンゴの テ クネチ ャー (高 橋 ら,1987よ り作成 ) そしゃく性 ア ミ ノ 態 (18) (12) 奎 素 %"(“ )彎 悦%腸 圏里楊 含 量 2 C・ %)。 ョナゴ ー ルド 紅 は ゴ ス よル 光 玉 ン デ グ ン 図 -5 注 恵 奥 が 鈴 る は調 査年数 -66- 9 翠 19 印 林 号 玉 号 度 かあ し 品種 別 ア ミノ態 窒素含量 (青 森 県工 業試験場 調⊃ ()内 ■ ね き 16 15 14 ア 13 ミ 12 ノ 11 態 窒 素 含 10 9 8 7 6 』 壁 5 鱈 。%): 1986 1987 図 -6 ア ミノ態窒素の年次変動 (青 森県工 業試験場調勘 個 体 数 割 20 10 合 (%)。 4-8 8-12 ア 図 -7 12-16 16-20 20-24 ミ ノ 態 窒 素 含 量 (mg・ 24-28 28- %) 実生 の ア ミノ態 窒素合量分 布 (青 森 県工 業試 験場 , 1971) い。 しか し,高 ア ミノ態窒素品種 の開発 の 点 か た結果 であ る。約 30%の 実生 が農林規 格を上 回 らみれ ば,可 能性 は高 い と考 え られ る。 図 -7 った。 これ らの実生 の 中には,ア ミノ態 窒素 の ゛ 非常 に高 い個体 が認 め られ た (表 -5)。 は,39組 合 せ 457個 体 の ア ミノ態 窒 素 を調査 し -67- 表 -5 ア ミノ態窒素 20mg。 %以 上 の個体 畷 般 的 な品種 を原料 として い る。 欧米 では,シ ー 最高笹 ドル用 の 品種 を栽培 して い る。 イギ リスで推奨 1 30 2 され て い るシー ドル用 品種 を表 -6に 示 した。 9号 (ミ→ 瞬 /組 ⑮ 絲 夕‐ ング 4 27 9 これ らの 品種 の特徴 は ,ふ じや紅玉 と比較 して, リチャードX10号 (紅 玉 ×翠 玉) 1 27 2 タ ンこ ンが 2∼ 7倍 で,ア ミノ態 窒素 もか な り ×則∋滲゛や 2 23 4 Xゴ ーザ ン) 多 い ことである。青 森県工 業試 験場 の 醸造試 験 2 22 9 ×デリシャス 1 22 0 2 22 0 旭 ×5号 (印 度 Xゴ ールデ ン) 19号 (ゴ ウ "ツ に %ヽ ―ドX14号 力だ ルグラン×紫 幅 不 明 X紫 では, Harry Master's Jcrseyや 3) YarlingtOn Millで かな り優 れた製 品 がで きたが,日 本人 に は,少 し渋味 が強 い。 よ り日本人 の 味覚 に合 っ (青 森県工業試験場 た製 品を つ くるに は,酵 母 の 研究 と共 に,品 種 1971) の 開発 が必要 で あ る。 2)タ 3)ビ タ ミン C ンニ ン リンゴの ビタ ミンC含 量 は,果 肉 100g中 3 フイ ンや シ ー ドルの 消費 が徐 々に伸 び 近年 て い る。 日本 の シー ドルは,極 一 部 を除 いて一 表 -6 mgく らいで,果 樹 では少 な いは うで あ る。 リン シー ドル用品種 口m タンニン(%) ア ,ユ 糖度 (%) 酸度 (%) 021 0 264 1 18 0 225 Tremlet's Bitter 145 125 132 0 30 0 460 103 128 124 Harry Master's Jersey 14 1 0 33 0 401 85 Bulmer's Normaa 135 0 28 0 392 130 Yarlingtor Mill 15 1 0 27 0419 136 140 0 65 0 064 0 40 0 068 94 74 75 種 名 Dabinett Brown's Apple 玉 じ 紅 ふ (青 森県工業試験易 1982) ゴ品種 で例 外的 に ビタ ミン Cが 多 いの は,フ ラ った。今後の課題 であ る。 4)率野 ンスの 品種 カル ビル・ プランで,温 州 ミカ ンに近 り い ビタ ミンCが あ る1)(図 -8)。 昭和 27年 に 開 人の し好 は,初 め外観 か ら始 ま り,味 ,肉 質 始 された当場 の第 2次 品種改良試験 では,高 ビタ へ とすすみ,最 後 に香 りに行 き着 くと言われ る。 ミンC品 種 育成 を 目的 に, カル ビル・ プ ラ ンを リンゴで も味が満 たされ ると,次 に需要を掘 り 親 に実生 を育成 した。 それ らの実生 の 中 には 起 こせ るのは,果 肉の 質 と香 りで あ る。現在 , ビタ ミン C含 量 の 高 い個体 が 多 くな られた。 し の主力品種 ふ じの欠点のひ とつは,香 りが少な か し,食 味 の 点 で問題 が あ り,実 用化 で きなか いことであ る。 ふ じの香気成分 は紅 玉の25%て -68- ビ タ ヽ ン C 含 量 (ng) デ リシ ャス 印度 図 -8 ワインサ ップ ゴ→ ウシ ブラン 品種別 ビタ ミン C(還 元 型)含 量 い どであ る5、 紅玉 の他に も,印 度,旭 , レッ られ る。 ドゴール ドな ど香 りの 良 い品種 が あ り,こ れ らの 品種 の後代 に も香 りの優れた品種が多 い。 3 おわ りに 生食用 リンゴの生産が,今 後とも リンゴ栽培 当場 で育成 し現在品種登録 中の メ ローは,ゴ ール デ ン・ デ リシ ャスに 印度を交配 し,更 に の中心であるが,新 たな需要を開拓するには, 印度を 戻 し交雑 した もので,特 有 の 方香 が あ 品種の色,味 ,肉 質,香 りなどに多様性を持 る。 リンゴの 香 り成 分 は,香 料 と lン て も価値 たせ, リンゴ利用の幅を拡大することが大切 が あ り,今 後 の 育種 で増 々重要 に な ると考 え である。 弓 : 文 用 献 1)青 森県 りんご試験場編 1981 青森県 りんご試験場 50年 史 p1007-1009 2)波 多江久吉,斉 藤康 司編 1977 青森 りん ご百年史 青森県 りんご百年記念事業会 p178-193 3)伊 崎幸徳 ,工 藤 哲生 ,須 藤 輝雄 成 口清一 ,成 田 浩 1982 りんご酒 醸造試験 .青 森 県 工業試験 場業 務報 告書 昭和 56年 度 :83-87 , 4)一 ―――― , 一―― , ―――- 1971 実生 りんご分析試験 青森県工業試験場業務 , 報告書 昭和 45年 度 :25-30 5)垣 内典 夫,森 口早 草,福 田博之 , 市村信友,加 藤 豊 ,相 馬良明 -69- 1986 ソンゴ果実の香気成分 の検索 と品 種特 L畔 55:280-289. 6)高 橋みちよ.1986.家 庭 における りんご料理 の嗜好性について (第 聾D.東 北女子大学 。東北女子短期吠学 25:49-55. 7)一 一―――,鎌 倉 ミチ子 1981.家庭 における りん ご料理 の嗜好性について (第 四D.東 紀要 北女子短期大学紀要 北 女子大学・ 東 26182-88. 3)山 田三笥 慮 1985. リンゴの加工用品種について.青森県 りん ご― 第 5回 公 開試験成果発表針欝 飢 p.6-7. 9)吉 田雅た 1970。 モその品質 に関す る育種学的研究 1.酸 味.園 試報 A9:10-12. 10)Zubeckis,E 1967. 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