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2030年のヘルスケア - Nomura Research Institute

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2030年のヘルスケア - Nomura Research Institute
第227回NRIメディアフォーラム
2030年のヘルスケア
~製薬をとりまく近未来の見取り図~
2015年10月07日
株式会社野村総合研究所
コンサルティング事業本部
消費サービス・ヘルスケアコンサルティング部
ヘルスケア担当部長
山田 謙次
本フォーラムの趣旨
 現在は、わが国の高齢化がピークを迎える2025年に向けた医療制度改革の端緒の時期にあたる。地域
医療構想や地域包括ケアの概念を実現するためには、入院・外来による医療施設での治療および在宅
医療を含む医療提供体制の再構築・大変革が求められている。
 医療関連の技術開発も大きな転換点にある。従来の延長となる医薬品や医療機器の開発にとどまらず、
再生医療や遺伝子治療など新しい医療技術の開発へと進む。
 NRIでは、今後15年程度を見越した、医療提供体制の変化とそれに伴う製薬業の将来像を、「9つの仮
説」という形で大胆に描いた(15年と置いたのは、現状にとらわれず、その一方ある程度実現性を踏まえ
た仮説構築を行える期間と考えたから)。
 製薬会社は、このような大きなパラダイムシフトに直面することを念頭に戦略構築を行っていくべきであり、
そのための問題提起としたい。
Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
1
目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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2
本日の論点
製薬業を取り巻く環境変化「①医療提供体制のパラダイムシフト」を論じた上で、
業態変化仮説「②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング」を議論する
1 医療提供体制のパラダイムシフト
行政
行政と民間の関わり方として
想定される形は?
予防技術の進展が
医療に与える
影響として
大きいものは?
予防
どういうプレーヤーが
どのような形で関わる
ことが想定されるのか?
医療
現行医薬
(低分子・バイオ)
新医薬
介護が
医療に与える
影響として
大きいものは?
新治療法
介護
ITの進展が
医療に与える影響として大きいものは?
IT(Big data等)
担い手としての製薬業界
研究
2 製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング
開発
製造
マーケティング
販売
時代の流れの中で、製薬業の構成機能はどのように変化していくのか?
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目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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本日の話の全体像
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説
1 (入院・外来による医療施設での治療及び在宅医療を含む)医療提供体制のパラダイムシフト
A: 健康データベースに基づくセルフメディケーションが進展する
B: 予防医療の進展による先制医療への展開が進む
C: 健康データベースはセルフメディケーション情報も加えた上で、医薬研究開発データベースとしても
活用される
D: 医療保険が県単位で統合・分離、医療介護の保険とサービス提供体制は、急性期医療とプライマリケア・
介護の2つの体系に区分される
E: 地域包括ケアにおける医療介護提供体制は、単なる連携にとどまらず一次医療と介護が一体化した
提 提供体制になる
F: 高度急性期医療から回復期機能は、垂直に機能統合する日本版IHN(Integrated Healthcare Network)
ににより提供される
2 製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング
G: オープンイノベーショングループ形成が進み、研究開発の形が変わる
H: 高分子医薬品や再生医療製品の製造機能は外部化され、複数の製薬会社の出資による独立製造会
に集約
I : 製薬会社としての存続会社は、領域に特化した開発・マーケティング・営業組織になる
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目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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①医療提供体制のパラダイムシフト
医療技術高度化と情報システムの発展により、個人が予防や治療を選択する意識が向上。
同時に医療保険制度を持続しながら、高齢者医療と高度医療供給体制を再構築。
環境変化
局面の変化
パラダイムシフト
A:健康データベースに基づくセルフメディケー
ション
予防や健康管理に
対する意識の向上
個人健康情報を活用した効
果の高い予防技術への需要
医療財政の逼迫
B:先制医療への展開
C:医薬研究データベースとしての活用
国民皆保険
維持への支持
医療保険の持続可能性を
高めるための改革
D:医療介護保険とサービス提供体制
が2つの体系に区分・集約
高齢期の在宅医
療の需要拡大
地域包括ケアの具体的な
供給体制整備
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化
治療技術の
高度化
高度医療技術の開発と
供給体制整備
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F:二次三次医療は日本版IHNに一体化
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目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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①医療提供体制のパラダイムシフト A:健康データベースに基づくセルフメディケーション
個人の健康情報は、健診やカルテ・レセプトなどの診療情報として大量に蓄積されている。
近年は健康活動の記録も加わり、2030年には遺伝子情報の蓄積も進展。
現段階では、健保、医療機関、研究機関などにデータが散在
健診情報
+
• 身長
• 体重
• 血液
• X線
• 胸部CT
• MRI
• 腫瘍マーカー
•・・・
カルテ情報
レセプト情報
•検査結果
•診断結果
•病名
•治療履歴
•投薬履歴
•医療費
•・・・
遺伝子
情報
+
+
健康活動記録
•運動記録
•消費カロリー
•さらには、体調
や症状、薬の服
用状況などを医
師に送信も
東北メディカル・
メガバンク機構
・国家的研究プロジェクトで住民の遺伝子情報を蓄積
・個人向け遺伝子検査サービスも勃興
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①医療提供体制のパラダイムシフト A:健康データベースに基づくセルフメディケーション
個人の健康情報は統合・一元化され、自動診断により、個人用健康管理プログラムが立
案される時代となる。その活動を積極的に誘導する機関は医療保険。
個人健康情報蓄積・集約
健診情報
カルテ情報
レセプト情報
健康活動記録
統
合
・
一
元
化
診断・立案
統
計
的
解
析
・
自
動
診
断
遺伝子情報
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個
人
用
健
康
管
理
プ
ロ
グ
ラ
ム
実行支援
医療保険
特定保健指導
生活者
生活者は健康管理
プログラムに沿い、
自己責任で
健康管理
健康管理プログラム
見守り・緊急通報
食事
健康食品・サプリ
食事の栄養評価
休息・
リフレッシュ
リラクゼーション
ジム・フィットネス
健康データベー
スに基づくセルフ
メディケーション
生活支援
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①医療提供体制のパラダイムシフト A:健康データベースに基づくセルフメディケーション
健康管理の資金は健康保険が供給、個別サービスは地域包括ケア推進組織(①E地域包括ケアで
詳述)により提供される。サービスコンテンツは、製薬会社など多様な事業主体から提供される。
資金供給・管理
各人の健康保険
全体管理・資金供給
サービス提供主体
生活者
地域包括ケア推進組織(①E:地域包括ケア で詳述)
(一次医療と介護サービスの連合提供組織体)
サービスコンテンツ
サービスコンテンツの
提供者
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•地域包括ケア推進組織を通じて
製薬会社
医療機器会社
健康管理プログラムの提供等
保健指導会社
アプリ開発会社
通信キャリア等インフラ提供者
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目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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①医療提供体制のパラダイムシフト B:先制医療への展開
高齢化社会では、遺伝素因、環境因子の影響が大きい非感染症疾患への対応が重要に
なる。
高齢化の進展
2030年には
高齢者は
3,860万人
(3人に1人が高齢者)
非感染症疾患(NCDs)への対応が重要
 非感染症疾患とは、心臓血管病、癌、慢性肺疾
患、糖尿病等の総称
 全世界の死因の60%(3500万人)を占める
 非感染症疾患は、遺伝素因と環境因子の相互作
用が考えられ、加齢も関係し、無症候期が長い
等の特徴を有する
(参考)米国ではオバマ大統領が先制医療研究予算
250億円投入を表明
 100万人以上を対象としたコホート研究(罹患集団と
非罹患集団の疾病発生率を比較して、要因と疾病発
生の関連を調べる観察的研究)を進める方針
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①医療提供体制のパラダイムシフト B:先制医療への展開
今後は予防医療の進展とともに、先制医療への展開が進む。
先制医療では、健康な人に対しても疾病リスク管理を行うことになる。
予防医療(病気になりにくい心身を
作るための医療)
先制医療(個人の発症リスク要因を
事前に発見し発症前に除去)
集団の予防
個人の予防
疾病メカニズムの理解
個人の発症リスクを予測
疾病の発生の未然防止
発症前介入
製薬会社には発症した病気の治療だけでなく、
「病気の発症を止める」作用を持つ医薬品開発が求められる
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目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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①医療提供体制のパラダイムシフト C:医薬研究データベースとしての活用
健康データベースは医薬研究開発にも活用される。巨額の開発費を確保できる欧米大手製薬会社
(メガファーマ)だけでなく、データの有効活用により中小製薬会社にも医薬品開発の機会が増す。
健康データベース
活用者
健診情報
カルテ情報
レセプト情報
個人の同意に基づく
データ収集
同意と契約に基づく
DB利用権販売
健康データベース
個人
製薬会社
(研究開発)
診断結果
病名
遺伝情報
活動記録
個人向け健康情報
サービス提供者
診療記録
個人情報保護
外部提供規約
医療・介護サービス
提供者
健康活動記録
医療保険
遺伝子情報
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目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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17
①医療提供体制のパラダイムシフト D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約
医療保険が県単位で統合・分離し、「急性期医療」と「地域包括ケア」の2つの体系に区
分される。それぞれの保険原理に適した医療サービスが提供される。
医療保険
介護保険
国民健康保険
協会けんぽ
高度医療基金
県単位で統合 拠出
急性期医療を提供
企業健保・共済
組合などの
職域医療保険
急性期医療保険
高度急性期医療
急性期医療
回復期医療
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プライマリ
ケア基金
後期高齢者
医療制度
拠出
県単位で統合
地域包括ケアを提供
地域包括ケア保険
機能分離
プライマリケア
療養病床
介護計画
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目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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①医療提供体制のパラダイムシフト E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化
地域包括ケアは、一次医療と介護が一体化したサービス提供体制となる。総合診療医と
ケアマネジャーの協業による計画管理のもと、在宅医療・介護サービスが提供される。
地域包括ケア推進組織
総合診療医・ケアマネジャー協業による計画管理
提供機能
担い手
健康管理
訪問診療提供者
地域住民全体の
健康管理を委託
(人頭払い方式)
在宅医療
訪問看護提供者
在宅介護
介護サービス提供者
介護施設
二次・三次医療
への紹介・連携
地域住民
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地
域
包
括
ケ
ア
保
険
保険料
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①医療提供体制のパラダイムシフト E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化
地域包括ケアでは健康管理・在宅医療において、簡便かつ有効な診断・管理・治療技術
が求められる。
健康管理・在宅医
療等に有効な
技術開発が必要
 簡便な検査・診断技術
 健康管理(セルフメディケーション)に有効なコンテンツ・
サービス・システム
 在宅医療を支援するサービス・システム 等
製薬会社
への影響
 地域包括ケアに必要な新しい技術開発は多くのプレー
ヤーが参入すると見込まれる
 製薬会社は健康・医療に必要な技術レベルを熟知し、
幅広い医療技術提供者として期待される
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目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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22
①医療提供体制のパラダイムシフト F:二次三次医療は日本版IHNに一体化
高度急性期から回復期までの医療は、機能が垂直に統合された日本版IHN(Integrated Healthcare
Network)により提供される。地域の複数の医療機関が患者情報や医療技術を集積連携する。
地域医療連携推進組織(日本版IHN)
地域住民全体の
急性期医療
管理
高度急性期から回復期までの医療を垂直統合
高度急性期病院
急性期病院
がん治療・再生医療・
遺伝子治療・免疫療法等
一般的な手術・薬物療法
回復期病院
治療終了後の療養管理
情報・業務を統合
患者情報DB
事務バックヤード集約
紹介・逆紹介
連携
急
性
期
医
療
保
険
共同購買
人材採用・研修・人事
地域包括ケア推進組織
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病診連携管理
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①医療提供体制のパラダイムシフト F:二次三次医療は日本版IHNに一体化
高度急性期病院は、再生医療や遺伝子治療などの最先端治療を提供する場となり、条
件・期限付承認のもとに、安全管理・有効性データを収集し、治療技術の高度化を担う。
最先端治療は
高度急性期病院
に集約
 新しい医療技術に訓練されたスタッフ
 細胞・遺伝子製造設備
 安全性・有効性にかかわるデータ収集ができる体制など
の厳格な基準を満たす
 条件付承認により新技術は各地で実施される
製薬会社
への影響
 新しい医療技術は、大学・研究機関の支援を受けた製
薬・医療機器業界が開発する。
 各地域に成立する日本版IHNとの協業体制構築が必要
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目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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25
②製薬業界アンバンドリングとリストラクチャリング
製薬会社は、これまで研究から営業まで全ての機能を揃えて1つの会社となっていた。今
後、それぞれの機能毎に最適化を追求すれば根本的に業態が変化する。
他の製薬会社や複数の研究機関と連携した
オープンイノベーション型の共同シーズ探索
体制
研究機能
特定の領域の治療に関する医薬品、検査機器、
再生医療製品、遺伝子治療製品などを総合的
に供給
開発機能
製造機能
機能毎に最適化
マーケティング
・営業機能
治療領域:生活習慣病
治療領域:がん
治療領域:精神疾患
治療領域:感染症
当初から国内、アジア、欧米など地域別に開発
担当会社を決めた共同開発体制
等
バイオ医薬、再生医療製品、遺伝子治療製品
などを日系他社と共同製造会社設立
⇒製薬業界におけるアンバンドリングとリストラクチャリングが同時に起こる
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②製薬業界アンバンドリングとリストラクチャリング
製薬会社のビジネスモデルは、医薬品という製品供給だけではなく、「医療技術全体を供
給する事業」へと変化する。
治療
プロトコル
患者の状態
把握・診断
治療法選択
治療
予後管理
医薬品をはじめとした医療技術を提供
現状は医薬品供給に留まる
医
療
技
術
例①
糖尿病
検査技術
例②
再生
医療
テーラーメイド
医療技術
(遺伝子診断・
コンパニオン
診断薬)
糖尿病
治療薬
透析
機器
再生医療製品
食品等の他製品
・サービス
定期検査
今後は全ての治療プロトコルが、製薬会社の事業領域となりうる
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目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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28
②製薬アンバンドリングとリストラクチャリング G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成
製薬会社単独では新規有効成分の探索が困難な時代。
米国で特許保持者が多いのは、バイオベンチャーによる開発が多いため。
FDA承認医薬品の物質特許保有者(1998~2007年)
特許保有者指標
120.0 100.0 Biotechnology company; or university‐discovered, transferred to biotechnology company in the same region
University‐discovered, transferred
to biotechnology company in a different region
Small pharmaceutical company
Large pharmaceutical company
University‐discovered, transferred to pharmaceutical company
61.4 80.0 ※指標の作成方法:薬剤の主要特許の発
明者を特定し、所属機関を特定する。複数
の発明者が存在する場合は一定のルール
に基づき割当られ、発明機関、発明国の合
計が1になるように数値化している。
バイオベンチャー
60.0 3.3 7.7 メガファーマ
40.0 0.3 20.0 45.3 2.0 2.3 2.4 1.9 0.5 2.4 18.8 18.0 17.1 13.1 0.0 United 米国
States
Japan
日本
UK
英国
Copyright(C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.
Germany
ドイツ
5.5 3.2 0.5 Switzerland
スイス
0.6 1.4 16.9 8.2 France
Other その他
フランス
European
欧州
1.0 1.0 1.1 3.5 1.0 Canada Others
加・豪
その他
and
Australia
3.2 2.5 出所)Kneller, Robert. 2010. Importance of new companies for drug discovery:
origins of a decade of new drugs. Nature Reviews Drug Discovery 9 (November) 867-882.
29
②製薬アンバンドリングとリストラクチャリング G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成
日本では大学・研究機関(アカデミア)と製薬会社の間を橋渡しする機能が不足。
日本の大学・研究機関の研究水準は高いが、日本企業は新薬として育成しきれない。
製薬シーズを持った大学・研究機関からバイオベンチャーがスピンオフ
米国
大学・研究
機関
バイオ
ベンチャー
製薬会社
欧米大手製薬会社(メガファーマ)が有望な製薬シーズを持った
バイオベンチャーを買収、または、契約により技術導入
日本
大学・研究
機関
バイオベンチャー不在で距離が遠い
製薬会社
【大学等】 製薬シーズがあっても臨床開発するための資金が不足
【製薬会社】 大学等発の製薬シーズを見つける・育てるための仕組みが不足
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②製薬アンバンドリングとリストラクチャリング G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成
日本には多くの中堅製薬会社が存在している。これらがバイオベンチャーの役割を果たす
ことにより、日本発の医療技術開発に拍車をかけることができる可能性。
日本の中堅製薬会社の特徴
【問題点・課題】
 研究開発費が少ない
 製薬シーズの不足
【強み】
 創薬の経験を持つ企業が多い
 優秀な研究者を抱える
 得意な治療領域については、豊
富な創薬技術・データを保有
複数の中堅製薬会社が一体となって創薬することで、
・研究機能における規模の経済を獲得
・各社の創薬技術を掛け合わせることで、ブレークスルーを生み出す
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②製薬アンバンドリングとリストラクチャリング G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成
複数の中堅製薬会社が一体となって、画期的な新薬創出を担う研究ネットワーク組織を
構築し、日本型の製薬オープンイノベーショングループを形成すべき。
中堅製薬会社
A社
B社
研究者/研究費/
蓄積データ・ノウハウ
C社
承認後の販売権
(コプロモーション)
研究ネットワーク組織
領域別 研究ユニット
A
M
E
D
日
本
医
療
研
究
開
発
機
構
旧A社研究機能
シーズ探索
旧B社研究機能
旧C社研究機能
連携
シーズ
ライセンス戦略ユニット
導入
国内アカデミア
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導入
導出
海外製薬メーカー
導入
海外
バイオベンチャー
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目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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33
②製薬アンバンドリングとリストラクチャリング H:独立製造会社の共同設立
多くのバイオ医薬品は製造受託会社(BCMO)が製造。大手BCMOは欧米に集中しており、
国内には中小企業規模のみ。一方で、アジア各国は国策でBCMOを設立している。
【欧州】
 大手BCMO
• Lonza
• Boehringer Ingelheim
 準大手BCMO
• CMC Biologics
 中堅BCMO
• Royal DSM
• Fujifilm Diosynth
Biotechnologies
【米国】
 大手BCMO
• Lonza
• Boehringer Ingelheim
 準大手BCMO
• Abbot Lob/Abbvie
• CMC Biologics
 中堅BCMO
• Cook Pharmacia LLC
• Fujifilm Diosynth Biotechnologies
• Laureate Biopharmaceuticals Service
• KBI Biopharma
• Cytovance Biologics
• アルテア・テクノロジーズ(味の素)
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【アシア】
 大手BCMO
• Lonza(シンガポール)
 準大手BCMO
• Celltrion(韓国)
• Samsung BioLogics(韓国)
 その他
• A-Bio Pharma Pte(シンガポール)
• Alpha Biologics(マレーシア)
• 東洋紡バイオロジックス(日本)
• 横浜バイオリサーチアンドサプライ(日本)
• 旭硝子(日本)
34
②製薬アンバンドリングとリストラクチャリング H:独立製造会社の共同設立
高度な医療技術製品は、複数の製薬会社の出資による独立製造会社に集約することに
より、日本での高度医療技術製品の製造能力を保持すべき。
•
投資規模は従来の医薬品製造施設の数十倍の規模となる
(現在主流のバイオ医薬品は、従来工場の約10倍の建設コスト)
•
品質管理が難しいため、実績ある工場が集中的に選択される
•
様々な条件に対応できる受託企業(BCMO)が日本国内に不在
•
今後次々と、新しい医療技術である再生医療製品、遺伝子治療等
に用いられる製品の製造拠点が求められる
•
1社単独で施設を持つ負担は大きいため、複数の製薬会社による
設立・出資で共同して製造
高度製造
施設の特徴
現状
製薬会社
への影響
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目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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36
②製薬アンバンドリングとリストラクチャリング I:製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ
既存の製薬会社は、得意領域に特化した開発・マーケティング・営業組織となる。
•
•
•
事業環境の変化
製薬会社への影響
医療提供体制の
パラダイムシフト
顧客の製品・サービス利用
シーンの多様化に対応
研究、製造機能の
アンバンドリング化
治療技術ごとの領域に
特化した専門性の強化
既存の製薬会社は、開発・マーケティング・営業に機能が集約される
治療領域の専門性を高め、治療法全体を提供
治療領域は医薬品のみならず、診断・治療機器や機能食品へも拡大する
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②製薬アンバンドリングとリストラクチャリング I:製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ
製薬会社は特定の領域に特化しつつ、様々な顧客のニーズに包括的に対応できる
「治療技術供給会社」へとビジネスモデルを変革し、業界としても再構築すべき。
研究機能会社
製造機能会社
研究ネットワーク
組織
機
能
治療技術供給会社
顧客
生活習慣病治療技術
地域医療連携組織
がん治療技術
地域包括ケア組織
精神疾患治療技術
独立製造
受託会社
出
資
感染症治療技術
難病治療技術
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等
販
売
医療保険
健康DB提供者
個人
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目次
2030年のヘルスケア NRIの9つの仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
①医療提供体制のパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
A:健康データベースに基づくセルフメディケーション ・・・・・・・・・・・・・・8
B:先制医療への展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
C:医薬研究データベースとしての活用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
D:医療介護保険とサービス提供体制が2つの体系に区分・集約 ・・17
E:地域包括ケアは一次医療と介護が一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・19
F:二次三次医療は日本版IHNに一体化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
②製薬業のアンバンドリング・リストラクチャリング ・・・・・・・・・・・・・・・25
G:日本型製薬オープンイノベーショングループ形成 ・・・・・・・・・・・・・28
H:独立製造会社の共同設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
I :製薬業は領域に特化した開発・マーケティング・営業組織へ ・・・・36
③問題提起 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
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問題提起
既に国内外の大手製薬会社は、単に一製剤の導入・導出という形に留まらない、事業・
機能単位での大きな組換を進め始めている。
治療領域の
組み換え
 ノバルティスとGSKは各々の事業の交換による大胆な事業構造変革に動いた
• GSKのがん治療領域をノバルティスへ移管
• ノバルティスのワクチン事業をGSKへ移管
• コンシューマーヘルスケアの合弁会社設立
 メガファーマでさえも、強みに特化する形に事業領域を組み換え始めている
機能の転換・
抜本的強化
 ファイザーは、自社の研究開発に加えて、巨大な資金力を基にバイオ
ベンチャーの買収を重ね、新たな製薬シーズを獲得し続けている。
 アステラスは、国内では売上の大半を外部からの導入品で構成。
2013年に米国老舗ベンチャーのアムジェンと共同出資会社を設立。
 武田薬品は京都大学CiRAに10年間で200億円の研究資金を提供、
研究設備や創薬技術など120億円以上に相当する研究支援を行う。
自社の貴重な資源である化合物ライブラリを公開することも辞さない
イノベーショングループを構築中。
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問題提起
製薬業界のビジネスモデルは20世紀の間は本質的に変わらなかった。
しかし、これからの15年は本質的な事業再構築(リストラクチャリング)が必要である。
 まず、これまで不在だった「新規事業開発室」を作るべき
 ここで、医薬品ではなく「医療技術を売るというビジネスモデル」の開発を
急がねばならない
 同時に、医療提供の制度やルールも変えて行かなくてはならない
(製薬会社・製薬業界から能動的に変化をリードする政策提言が必要)
 各社のトップは、このような問題意識のもとに、会社の何をどう変えなく
てはならないのか、ビジョンを持たねばならない
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