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変革を続ける倉庫会社

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変革を続ける倉庫会社
平成25年7月10日
変革を続ける倉庫会社
VOL.9
■ 倉庫業界では通信販売の需要増などに対応するため倉庫の近代化を進める一方、老
朽化した倉庫をオフィスビルや商業施設に建て替える動きが進んでいます。
■ 今後も三菱倉庫の「江戸橋倉庫ビル」建て替えなどのプロジェクトが目白押しであり、
倉庫会社の多くは積極的な不動産開発を計画しています。
■ 主要倉庫会社は多額の含み益を有しており、不動産市況が活性化する局面で注目を
集める可能性が高いと考えられます。
不動産事業は倉庫会社の収益源
かつての倉庫会社は、生産と消費を結ぶ物流拠点
として商品の保管業務を中心に事業を展開してき
ました。しかしながら、近年はライフスタイルの変化
による通信販売の需要増などに対応するため、大
規模な倉庫を有し、先進的な情報通信システムや
仕分けシステムを備えるなど、倉庫業界にも新たな
付加価値が求められはじめています。直近では、
三井不動産が千葉県市川市で物流施設を開発す
るなど、倉庫業界以外の業界から倉庫事業に進出
する例もみられます。
倉庫会社は、このような物流近代化の流れに対応
するため、物流倉庫の高度化を進めていますが、
一方で老朽化した倉庫をオフィスビルや商業施設
などの賃貸用不動産に建て替えるなど、不動産事
業の収益を拡大させてきています。
主要倉庫会社の2012年度決算を見ると、三菱倉庫、
三井倉庫は、不動産事業の部門別利益が、本業で
ある物流事業を上回っています。主要倉庫会社の
保有する不動産としては、三菱倉庫の「東京ダイヤ
ビルディング」、「横浜ダイヤビルディング」(いずれ
もオフィスビル)や「横浜ベイクォーター」(ショッピン
グモール)、三井倉庫の「IBM箱崎ビル」(オフィス
ビル)、住友倉庫の「東京住友ツインビルディング」
(オフィスビル)などが主な物件です。
主要倉庫会社 部門別利益合計に占める
不動産事業の比率 (2012年度)
(%)
70
60
50
40
30
20
10
0
三菱倉庫
三井倉庫
住友倉庫
(出所)各社決算資料より三菱UFJ投信作成
VOL.9
倉庫会社の多くは今後も積極的な不動産開発を行う計画
倉庫会社の多くは今後も積極的な不動産開
発を計画しています。
倉庫会社による主な不動産プロジェクト
三菱倉庫は東京都中央区にある本社ビル「江
戸橋倉庫ビル」を地上18階、地下1階建て、延
べ床面積で約3万㎡のオフィスビルに建て替
える予定です。「江戸橋倉庫ビル」は東京都選
定歴史的建造物に選定されており、旧建物の
外観を保存したうえで開発を行います。また、
住友倉庫は大阪の淀屋橋に地上10階、地下1
階建て、延べ床面積で約1.2万㎡のオフィスビ
ル「淀屋橋ミッドキューブ」を建設する予定です。
企業名
プロジェクト
三菱倉庫
江戸橋倉庫ビル
住友倉庫
淀屋橋ミッドキューブ
安田倉庫
横浜駅西口 再開発
東陽倉庫
名古屋納屋橋東地区再開発
イヌイ倉庫
勝どきエリア第3次再開発
・上記プロジェクトは2013年6月末時点で進行中のものです。
(出所)各社公表資料より三菱UFJ投信作成
250
多額の含み益を有する主要倉庫会社
倉庫会社は土地を戦前から保有している場合
が多く、これらの土地の簿価※はきわめて低い
ため多額の含み益を有しています。2012年度
の決算資料で各社が開示している賃貸等不
動産の時価開示によれば、賃貸等不動産の
簿価と時価の差額は三菱倉庫で1,719億円、
三井倉庫で1,101億円、住友倉庫で521億円と
賃貸等不動産だけでも多額の含み益を有して
います。
現在進めている不動産プロジェクトが保有資
産の価値増加につながることも見込まれ、不
動産市況が活性化する局面では、倉庫会社
が注目を集める可能性が高いと考えられます。
※簿価とは、取得時の価格に減価償却等の会計処理を行った
価格のこと。
主要倉庫3社の賃貸等不動産 (2012年度)
(単位:億円)
三菱倉庫
三井倉庫
住友倉庫
①賃貸等不動産
時価
2,491
1,484
970
②賃貸等不動産
簿価
772
383
449
含み益
①-②
1,719
1,101
521
(注) 含み益は賃貸等不動産時価から賃貸等不動産簿価を
差し引いた数値。
(出所)各社決算資料より三菱UFJ投信作成
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