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4 e-ラーニングによる研修の効果的な実施方法についての調査研究
4 e-ラーニングによる研修の効果的な実施方法についての調査研究 (1)要約 ◎テーマ e-ラーニングによる研修の効果的な実施方法についての調査研究 ◎研究内容の要約 e-ラーニングによる研修を安価に実施するためのシステムを開発するとともに、実施者の負 担をできるだけ少なくし、受講者のサポートなど研修効果を高める方法についての調査研究を 行った。 ◎キーワード e-ラーニング、研修、デジタルコンテンツ (2) 研究の概要 ①e-ラーニングの利点と課題 勤務校等のコンピュータで受講する e-ラーニングによる研修は、受講者にとっては、 ・研修場所に行く必要がなく、往復の時間が節約できる ・自分のニーズや能力、校務の時間に合わせて受講ができる ・すべてを見なくても、必要なところ、重要なところだけを見ることができる ・分からないところがあれば、繰り返し受講できる 実施者にとっては、 ・募集人数や研修会場の制限が少ない ・出張旅費が不要である ・実際に研修するよりも担当者の負担が少ない などの利点があり、近年導入している自治体や教育機関も増加している。 一方 ・分からないところがあっても、質問ができない ・一人でコンピュータに向かうため、緊張感が保てない ・認証や研修履歴の処理には、専用サーバやシステムが必要である ・コンテンツの質と量が不足している ・個人情報の取扱いに配慮する必要がある などの課題もある。 大阪府教育委員会では、平成 19~20 年度に文部科学省の「先導的教育情報化促進事業」を活用し て、教員の ICT 活用指導力の向上を目的として、e-ラーニングによる研修を外部の専用サーバシス テムで実施したところ、これらの課題が明らかになった。 ②システムの開発 教育センターでは、平成 20 年度から e-ラーニングによる研修をセンター研修として実施するこ とにしたが、一般に大学等で導入されている e-ラーニングシステムは専用サーバを必要とし、高機 能であるが高価であり、教育センターでの導入は困難であった。そこで、教育センターの既存 Web サーバで稼動する必要最小限の機能をもったシステムを独自に開発し、平成 21 年度から活用してい る。現在、実現している機能は、次の通りである(図1)。 ・ID、パスワードによる受講者登録、管理 7 ・Web ベースの既存コンテンツの活用 ・受講の進捗状況や履歴の把握(図2) ・受講者間の情報交換(掲示板) ・受講後のアンケート(図3) 図1 メニュー画面(受講者用) 図2 個人別学習状況画面(管理者用) 図3 アンケート集計画面(管理者用) ③研修効果を高める方法 「分からないところがあっても、質問ができない」等の e-ラーニングの課題を克服するため、受 講者へのサポートの充実を図った。まず専用 Web ページ(図4)を作成して、「研修の進め方」(図 5)や、「よくあるお問い合わせ(FAQ)」(図6)等の情報提供を行うとともに、課題及びレポート のダウンロードができるようにした。また質問及び課題提出用として、専用メールアドレスを設定 した。 図4 図5 専用 Web ページのメニュー画面 「研修の進め方」の画面 図6 「よくあるお問い合わせ」の画面 ④成果と課題 このシステムを活用して、「ICT 活用基礎研修」及び「ICT 活用促進リーダー研修」を実施した。 それぞれの受講修了率は、 「ICT 活用基礎研修」が 86.7%、 「ICT 活用促進リーダー研修」が 100%で あった。以前に実施した「先導的教育情報化促進事業」による e-ラーニング研修の受講修了率(約 66%)と比べると、効果があったと思われる。また受講者に対するアンケートも好結果であった。 ただ一部の市町村ネットワークでセキュリティの関係で e-ラーニングのシステムにログインで きない、画面の解像度(800×600)が小さいため一部のコンテンツで一度に全画面が見えないなど の課題もある。 本研究の成果を生かして、さらに効果的な実施方法やシステムを検討するとともに、コンテンツ の充実を図り、受講者及び実施者にとって実りある e-ラーニングによる研修に取り組んで行きたい。 (3)資料等 ①問い合わせ先 大阪府教育センター 〒558-0011 ②研究報告書 教育課程開発部 情報・技術研究室 大阪市住吉区苅田4丁目 13 番 23 号 TEL 06-6692-1882 「e-ラーニングによる研修の効果的な実施方法についての調査研究」 入手方法 Webページに掲載 8