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電気通信大学の知的財産戦略
The University Electro-Communications The University of of Electro-Communications 電気通信大学 電気通信大学 INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 知的財産本部 知的財産本部 I PO 日経知的財産フォーラム2004 文部科学省「知的財産戦略と大学の役割」 電気通信大学の知的財産戦略 平成16年9月13日 電気通信大学知的財産本部 堀 建二 mail:hori@ip.uec.ac.jp Tel.0424-43-5836 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 電気通信大学概要 ■ 概要 教 員 数:360名 研究室数:約200 学 生 数:学部 4,331名 修士 974名 博士 206名 特色:単科大学(1学部 7学科、2研究科10専攻) 本学出身弁理士:約100名 知的財産業務従事者:約340名 電気通信学部 大学院電気通信学研究科 大学院情報システム学研究科 情報通信工学科 情報通信工学専攻 情報システム設計学専攻 情報工学科 情報工学専攻 情報ネットワーク学専攻 電子工学科 電子工学専攻 量子・物質工学科 量子・物質工学専攻 知能機械工学科 知能機械工学専攻 システム工学科 システム工学専攻 人間コミュニケーション学科 人間コミュニケーション学専攻 情報システム運用学専攻 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 知的財産本部の組織 ■ 地域・産学官連携推進機構の組織 機構長 企画戦略会議 連携推進連絡会 産学官等連携推進本部 知的財産本部 運営委員会 運営委員会 <構成員> ・本部長(機構長) ・産学官連携推進担当理事 ・副本部長 ・各部門長 ・各部門から1名 ・電気通信学部3名 ・情報システム研究科1名 ・その他本部長が必要と認めた者 リエゾン部門 共同研究センター ベンチャー創出支援部門 サテライト・ベンチャー・ ビジネス・ラボラトリー 機器分析部門 機器分析センター <構成員> ・本部長(機構長) ・産学官連携推進担当理事 ・副本部長 (知的財産マネージャー統括担当) ・知的財産本部評価委員会委員長 ・電気通信学部3名 ・情報システム学研究科1名 ・その他本部長が必要と認めた者 地域貢献部門 評価委員会 知的財産本部長 知的財産マネージャー TLO役員 その他委員長が必要と認めた者 知的財産本部長 1名(機構長) 知的財産本部運営の統括 知的財産副本部長 1名 (知的財産マネージャー統括担当) 知的財産創出・管理・活用の統括 知的財産マネージャー 6名 特許出願 特許情報管理 学内知財ネットワーク管理 知財教育、啓蒙活動 知的財産創出サポート 事業化評価 事務職員(研究協力課) 1名 知的財産本部事務 知的財産マネージャー業務補助 事務補佐員 2名 知的財産本部事務 知的財産マネージャー業務補助 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 大学は何のために特許を出すのか 大学の使命とは The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 大 学 の 使 命 「知」の創造=研究 「知」の伝承=教育 「知」の普及=社会貢献 論文・著作(One-way)、産学連携(Interactive)、 知的財産(Enforcement) The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 大学の使命における大学知的財産活動の役割 「知」の創造=研究 ・特許資料を研究情報として活用 (先行特許調査) ・より創造的な研究(ブレスト) ・産業界に密着した研究(受託・共同研究) ・外部研究資金の増大(受託・共同研究、ライセンス収入) 「知」の伝承=教育 ・創造性教育 ・学生特許出願(アイデアコンテスト、パテントコンテスト) ・知的財産教育(講座、セミナー) ・ベンチャー支援 「知」の普及 ・産学官連携(受託・共同研究) ・技術移転・ライセンス The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 「企業」では知的財産を どのように作り出し、 企業戦略の中でどのように使っているか The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 日本主要企業2004年度の研究開発費と 2003年の特許公開件数の対比 (億円) 8,000 6,000 4,000 2,000 6,400 2,850 3,560 5,500 1,000 3,900 1,354 1,800 2,650 3,200 1,770 2004年度 研究開発費 1,470 2,130 6,800 4,700 3,100 4,100 1,450 0 0 1 松下電器 2 キヤノン 3 東芝 4 ソニー 5 リコー 6 日立製作所 7 三菱電機 8 富士写真 9 富士通 10 日本電気 11 シャープ 12 三洋電機 13 デンソー 14 トヨタ自動車 15 本田技研工業 16 日本電信電話 17 日産自動車 18 武田薬品 5,000 10,000 15,000 (件) 13,147 10,857 9,272 7,172 6,738 6,727 6,451 6,180 4,768 4,454 4,283 4,116 3,557 2003年公開 特許件数 3,411 2,825 2,548 2,403 203 対象R/D費用 上位17社 日経 2004年7月30日 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 「企業」における知的財産体制の規模 大手電機メーカーの例(推定値) ■ 国内出願 ■ 外国出願 年間3,000件∼13,000件 年間1,000件∼5,000件(国別) ■ 知的財産部員 100名∼600名 ■ 知財経費(部門経費と出願費用) 年間50億円∼300億円 ■ ロイヤリティー収入 ■ 研究開発費 年間∼500億円 年間1,000億円∼6,000億円 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 「企業」の知的財産戦略 「知的財産」の目的 ■ 売上、利益を上げる ■ 製品を独占、競合製品より性能を良くする ■ 競合相手の特許を使う(クロス) ■ 相手が特許を取るのを防ぐ(防衛特許) ■ 競合相手からロイヤリティを取り、競争優位に立つ ■ ロイヤリティで稼ぐ(製造会社としては本来の目的ではない) The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 企業知的財産活動の収支 支 出 クロスライセンス ライセンス支出 収 入 クロスライセンス ライセンス収入 係争費用 出願,維持費用 特許庁 特許事務所 特許報酬 知財部門運営費 (人件費 他) 自社使用 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 大学知的財産本部活動の課題 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 大学は何のために特許を出すのか ■ 研究の活性化、ターゲットの明確化 ■ 産学連携の推進 共同研究、受託研究の促進 ■ 研究資金の獲得 共同研究、受託研究の促進 ロイヤリティー収入 ■ 学生の教育 創造性教育 知的財産教育 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 電気通信大学知的財産本部の運営(1) 特許庁 知的財産研究プロジェクト 人 件 費 事 業 費 事業活動費 特許調査DB 特許管理システム 文部科学省 大学知的財産本部 整備事業 本部運営費 消耗品、印刷 レンタル 旅費、その他 ・21世紀型産学官連携手法に係る モデルプログラム事業 ・大学知的財産戦略研修会 を含む 大 学 知的財産本部経費 人 件 費 出願経費 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 電気通信大学知的財産本部の運営(2) 特許庁 人 件 費 事 業 費 特定プロジェクト 事業活動費 特許調査DB 特許管理システム 文部科学省 本部運営費 消耗品、印刷 レンタル 学生の知財教育、発明支援 学内啓蒙活動・体制整備 旅費、その他 学外啓蒙活動 人 件 費 産学連携/ 共同研究、受託研究推進 知的財産権 創 出 維 持 大 学 出願経費 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 電気通信大学知的財産本部の運営(3) 特定プロジェクト 学生の知財教育、発明支援 大学知的財産経費 学内啓蒙活動・体制整備 学外啓蒙活動 産学連携/ 共同研究、受託研究推進 知的財産権 創 出 維 持 共同研究・受託研究 オーバーヘッド ライセンス収入 直接費用配布分 大学配布分 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 大学知的財産権の活用 ■ 共同研究・技術移転の促進 ライセンスは知的財産権実施前 ライセンスは無料、または低価格 ■ 権利行使(ライセンス交渉、訴訟) ライセンスは知的財産権実施後 ライセンスは権利行使価格 この2つは本質的に大きく異なる。 権利行使を目指さなければ真に強い知的財産権を獲得することは出来ない。 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 権利行使できる特許とは 1.特許が分かりやすい(複雑な特許は駄目) 2.その製品の市場が大きい (権利行使には金がかかる) 3.特許請求の範囲が広い(逃げることが難しい) 4.特許を使っていることが製品を見て分かる The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 課題(5)特許権のオファー、権利行使の時期 特許の価値=特許使用全製品価格×n% 技術移転、特許権のオファー、権利行使を いつ行うかは重要であるが、大学はあまり待てない 特許権終 了 特許査定 ︵ 拒絶 査定 ︶ 審査 審査請求 出願公開 出願 出願から20年 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 現時点での主な課題 ■ 知財マネージャーのマンパワー不足 ・すでに日常の出願業務に追われだした ・一つの出願にかける時間と費用の制限 ■ 特許出願経費が不足 出願件数の制限 ■ 大学承継基準 判定の方法 ・何を大学出願とするか 何を落とすか ・発明内容の理解 市場性の予測 ■ 企業との共同研究契約における産業財産権の取扱い ・企業との共同出願契約 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 課題(1) 基盤整備 ■ 学内組織の整備 ・知的財産本部の位置づけ、運営委員会、評価委員会 ■ 規程類の制定 ・知的財産ポリシー(利益相反ポリシー、責務相反ポリシー) ・職務発明規程(就業規則との関連)、発明補償規程 ■ 予算の確保 ・人件費、管理費、特許事務所支払費、補償金費 ■ 人材の確保 ・有力特許創出能力のある知財経験者 ■ インフラ整備 ・各種届出書、依頼書、契約書、特許管理コンピュータシステム (研究室訪問から売り込みまで一元管理)、特許調査インフラ ■ 学内啓蒙活動 ・HP、パンフレット、シンポジウム、セミナー ■ 教職員研究分野、研究内容の把握 ■ 学生の取扱い The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 課題(2) 有力発明の創出 有力発明の創出 ■ 発明者とのコミュニケーション (できるだけ多く研究室を訪ねる。研究内容の把握) ■ 発明のインセンティブ ・出願、登録補償、実績補償 ・ロイヤリティー収入配分 ・評価(発明を業績評価に加える) ■ 在籍教職員の過去の全特許出願リスト作成⇒「教員特許出願総覧」 ■ 有望な発明候補者リスト ■ 先行特許調査(研究分野別の公開特許調査、調査資料学内貸出) The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 課題(3) 出願の選択 ■ (大学が出願人となる)承継基準と選択プロセス ・承継基準(特許の有効性、ビジネスの大きさ、技術移転の 可能性、権利行使の難易度) ・選択プロセス(有力発明は知財担当者が直ちに行動、 評価委員会を臨機応変に開催) ・知的財産本部運営委員会で報告 ・出願費用と予算(出願可能数) ■ 有力特許化への工夫 ・弁理士とのコミュニケーション (弁理士の得意分野調査、リスト作成) ・出願時に技術移転、権利行使の時期・方法をTLOと協議 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 課題(3) 出願の選択(続き) ■ 提出された発明届出書の取扱い、承継判断 ・承継するかどうかの判定 合理的な判定が出来るか ・判定に必要な専門知識、発明内容の理解能力、市場性・有力企業の情報、 将来の見通し ■ リエゾンミーティング ・発明掘り起しから売込みまでの状況チェック、知的財産本部とTLOの関係者 全員、評価委員会メンバーを含め毎週開催、重要会議との位置づけ ■ メーリングリスト ・知的財産本部とTLOの関係者全員、研究室訪問、出願打ち合わせ等、関係 情報はすべてCCで流す ■ 研究室訪問、発明者との打ち合わせ ・原則、知的財産本部とTLOと2人で行動 実際の承継の判定は非常に難しい The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 課題(4) 共同研究における産業財産権の取扱い 共同研究、受託研究における発明の取扱い ■ 企業との共同研究促進を優先 ・共同研究、受託研究契約における知的財産権の取扱い ・共同研究、受託研究を促進するための知的財産権の活用 ■ 特許を受ける権利の持分の協議 ・発明が共同研究の範囲内か範囲外か? ・単独発明か、共同発明か? ・持分決定の根拠は? 発明貢献の割合? 研究費負担の割合? WIN WINの関係へ The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 大学知財 知財市場新規参入戦略? ■ 大学知財 新規参入知財市場 顧客 企業 コンペティター 企業 ■ 商品(強い商品を作る) 知的財産 知識 技術 産学官連携 コンサルティング 人材 ■ 取るべき市場戦略(一般論と変わらない) セグメント戦略 ナンバーワン戦略 The University of ElectroCommunications INTELLECTUAL PROPERTY OFFICE 文部科学省 「知的財産戦略と大学の役割」 電気通信大学の知的財産戦略 2004年9月13日 日経知的財産フォーラム2004 ご清聴ありがとうございました 堀 建二 電気通信大学 知的財産本部 知財マネージャー統括 〒182-8585 東京都調布市調布ヶ丘1-5-1 Tel: 0424-43-5836 Fax: 0424-43-5839 mail [email protected]