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東芝教育訓練用原子炉 TTR-1

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東芝教育訓練用原子炉 TTR-1
10/20 3 校 15
原子力
歴史構築賞
平成 年度
1回
第
20
Atomic Energy Historic Award
東芝教育訓練用原子炉 TTR-1
Toshiba Training Reactor -1
株式会社東芝
▲東芝の自社技術で設計・建設した TTR-1 の外観(建設当時)
Point
日本の原子力黎明期に東芝の自社技術で設計・建設
発電用原子炉設備の安全性・信頼性・経済性向上に寄与
社内外の人材育成や原子力理解促進に貢献
受賞後の声
日本原子力学会創立 50 周年を記念して新設された原子力歴史構築賞を受賞できて光栄である。TTR-1
は約 40 年にわたり利用、運転を続けてきたが、所期の目的を達成したことから、2001 年 3 月末をもっ
て施設を廃止することとし、運転を停止した。今後は、本賞の精神を運転中の東芝臨界実験装置 NCA
で引き継ぎ、原子力平和利用の進展と定着に貢献していく所存である。
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Atomic Energy Historic Award
■日本の原子力黎明期に東芝の自社技術で設計・建設
東芝教育訓練用原子炉(TTR-1)は、最高熱出力 100kW
で U/Al 合金燃料のスイミングプール型の研究用原子炉であ
る(写真1)。TTR-1 は東芝が設計、建設した初の原子炉で
あり、1959 年初め、科学技術庁による教育訓練用小型原
子炉の国産化の公募に応募して設置が計画された。1960
▲写真1 プールタンクの輸送(建設当時)
年5月に原子炉設置許可を受け、1962 年3月に初臨界を
達成した。
■発電用原子炉設備の安全性・信頼性・経済性向上に寄与
TTR-1 が運転に入ると、炉物理基礎試験や放射化分析の
ほか、炉雑音解析、反応度計、計算機による原子炉の自動起
動・出力制御・異常検知等の研究開発が精力的に行われ、自
動起動等はその後の原子力発電所の運転自動化の基礎となっ
た。また、原子力発電所の導入、国産化と時期を同じにして、
炉内機器の異常を早期に発見する技術の研究開発は、原子炉
▲写真2 原子炉の計算機制御
機器の改良と稼働率の向上に多大な貢献を果たした。なお、
原子炉の最短時間計算機制御(写真2)、原子炉反応度計の
開発、新型転換炉用炉内中性子検出器の開発、TTR-1 炉内
に設置したナトリウム(Na)インパイルループ(図1)に
よる Na 中核分裂生成物の挙動等に関して日本原子力学会賞
を受賞した。
また、BWR 発電所向けの中性子検出器(インコアモニタ)
の出荷前特性試験に使用し、TTR-1 運転停止の 2000 年度
▲図1 ナトリウムインパイルループ
末までに約 2,600 本のインコアモニタの供給に貢献した。
■社内外の人材育成や原子力理解促進に貢献
引用・参考文献
1)K.Monta,“Time Optimal Digital Computer
Control of Nuclear Reactor(III),”J.Nucl.
Sci.Technol.,4[2],51-62,1967
2)T.Sakai,N.Miyaji,S.Hara,et al.,
“Study
of the deposition kinetics of non-volatile
fission products using the in-pile fission
product loop(FPL-2),”Liquid metal
engineering and technology,BNES,
London,537-542,1984
初期においては原子炉技術者の教育訓練に使用していた
が、1990 年代になって原子炉の設計に携わる社内の技術
者を対象とした研修や教育の一環として炉物理実験の教育に
活用された。受講した技術者は 310 名にのぼり、社内の原
子力技術者の養成と技術力の向上に多大な貢献を果たした。
1993 年および 1995 年には、 通産省(当時)・ 資源エネ
ルギー庁からの要望で、 発電炉の行政に携わる職員に対して
炉物理に関する原子炉実習研修を行った。 JCO 臨界事故直
後の半年間、社外から約 270 名の見学者を受け入れ、原子
力利用に関する理解活動に貢献する等、原子力の発展期にお
いて社内外の原子力人材の育成や理解促進に貢献してきた。
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