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アノーロエリプタ7吸入用 アノーロエリプタ30吸入用 製造販売承認申請書

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アノーロエリプタ7吸入用 アノーロエリプタ30吸入用 製造販売承認申請書
アノーロエリプタ7吸入用
アノーロエリプタ30吸入用
製造販売承認申請書添付資料
第2部(モジュール2)CTDの概要(サマリー)
2.4.
非臨床試験の概括評価
グラクソ・スミスクライン株式会社
Apr 09 2014 16:38:24
非臨床試験の概括評価の目次
頁
2.4. 非臨床試験の概括評価 ............................................................................................. 1
2.4.1. 非臨床試験概略 .................................................................................................. 1
2.4.2. 薬理試験 ............................................................................................................ 2
2.4.2.1. 効力を裏付ける試験 .................................................................................... 2
2.4.2.2. 副次的薬理試験 ........................................................................................... 5
2.4.2.3. 安全性薬理試験 ........................................................................................... 6
2.4.3. 薬物動態 ............................................................................................................ 7
2.4.3.1. 吸収 ............................................................................................................. 7
2.4.3.2. 分布 ............................................................................................................. 8
2.4.3.3. 代謝 ............................................................................................................. 8
2.4.3.4. 排泄 ............................................................................................................. 9
2.4.3.5. 薬物動態学的薬物相互作用 ......................................................................... 9
2.4.4. 毒性試験 ............................................................................................................ 10
2.4.4.1. 急性毒性試験 ............................................................................................... 10
2.4.4.2. 反復投与毒性試験 ........................................................................................ 10
2.4.4.3. 遺伝毒性試験 ............................................................................................... 13
2.4.4.4. がん原性試験 ............................................................................................... 13
2.4.4.5. 生殖発生毒性試験 ........................................................................................ 13
2.4.4.6. 局所刺激性試験 ........................................................................................... 14
2.4.4.7. その他の毒性試験 ........................................................................................ 14
2.4.5. 総括および結論 .................................................................................................. 21
2.4.6. 参考文献 ............................................................................................................ 22
Apr 09 2014 16:38:24
2.4 の略号等一覧
略語(略称)
AGP
AUC
BDC
Bmax
CLp
Cmax
COA
COPD
cTnI
CYP
ED50
F
FEV1
GLP
GSK573719A
GW642444M
hERG
HSA
IC50
Ki
kon
LABA
LAMA
M1~M5 受容体
MgSt
OCT
OCTN
pA2
Pgp
pKi
QTc
TK
tmax
Vss
Apr 11 2013 15:52:19
内
容
α1-酸性糖蛋白質
血漿中濃度-時間曲線下面積
胆管カニュレーション処置
最大結合
血漿クリアランス
最高血漿中濃度
セロビオースオクタアセテート
慢性閉塞性肺疾患
心筋トロポニン I
チトクローム P450
最大作用の 50%の作用を示す用量
経口バイオアベイラビリティ
1 秒量
医薬品の安全性試験の実施に関する基準
ウメクリジニウム臭化物
ビランテロールトリフェニル酢酸塩
ヒト ether-a-go-go 関連遺伝子
ヒト血清アルブミン
最大阻害作用の 50%の阻害作用を示す濃度
阻害定数
結合速度定数
長時間作用性 β2 刺激薬
長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬
ムスカリン性アセチルコリン受容体サブタイプ 1~5
ステアリン酸マグネシウム
organic cation transporter
carnitine / organic cation transporter
作動薬単独の濃度反応曲線を 2 倍だけ高濃度側に平行移動させるのに必要な
競合的拮抗薬のモル濃度の常用対数の絶対値(競合的拮抗薬の親和性および
効力の指標)
P 糖蛋白質
Ki(阻害定数)の値の常用対数の絶対値
補正 QT
トキシコキネティクス
最高血漿中濃度到達時間
定常状態における分布容積
2.4.
2.4.
2.4.1.
非臨床試験の概括評価
非臨床試験の概括評価
非臨床試験概略
本剤は、長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)であるウメクリジニウム臭化物
(GSK573719A)および長時間作用性 β2 刺激薬(LABA)であるビランテロールトリフェニ
ル酢酸塩(GW642444M)を配合した吸入粉末剤である。GW642444M 単独の非臨床試験成
績については、レルベア 100 エリプタ他の承認申請時に既に提出しており、詳細はその資料
概要に記載されているため、新たな検討についてのみ本資料概要に記載した。
効力を裏付ける試験として、GSK573719 のヒトムスカリン性アセチルコリン受容体(ム
スカリン受容体)サブタイプに対する結合特性、ムスカリン受容体拮抗作用ならびにヒト摘
出気管支標本における収縮抑制作用および作用持続性を検討する in vitro 試験を実施し、マ
ウスおよびモルモットにおける気管支収縮抑制作用および作用持続性を検討する in vivo 試
験を実施した。副次的薬理試験として、GSK573719 の各種受容体、イオンチャネルおよび
トランスポーターに対する結合親和性を検討する in vitro 試験ならびにモルモットのアセチ
ルコリン誘発徐脈に対する作用を検討する in vivo 試験を実施した。また、安全性薬理試験
として、ラットの中枢神経系および呼吸系、イヌの心血管系に及ぼす GSK573719 の影響を
検討する試験ならびに GSK573719 の hERG 試験を実施し、GSK573719A/GW642444M の併
用によるイヌの心血管系に及ぼす影響を検討する試験を実施した。すべての安全性薬理試験
は GLP 適合試験として実施した。GW642444M の薬理試験成績については、レルベア 100 エ
リプタ他の承認申請時の資料概要において既に提出しており、それ以上の検討は実施しなか
った。
GSK573719A を単独投与したときの吸収、分布、代謝および排泄を、マウス、ラット、ウ
サギ、イヌおよびヒトでの in vivo または in vitro 試験により検討した。また、
GSK573719A/GW642444M 併用吸入投与試験でそれぞれの曝露量に及ぼす併用投与の影響を
検討した。さらに、GW642444M の OCT1、OCT3、OCTN1 および OCTN2 による輸送を検討
した。非臨床薬物動態試験での被験物質はおもに GSK573719A を用い、一部の試験では
GSK573719 のトリフルオロアセテート塩(GSK573719G)も使用し、投与量および血漿中濃
度は、特記しない限り遊離塩基量として示した。
GW642444M の毒性データについては、レルべア 100 エリプタ他の承認申請時に提出済み
であるため、本資料概要には考察の一部についてのみ記載した。
GSK573719A の毒性評価のため、反復投与毒性(急性毒性評価を含む)、遺伝毒性、がん
原性、生殖発生毒性、局所刺激性および皮膚感作性試験を実施し、原薬中に含まれる不純物
(類縁物質)の安全性を評価した。また、GSK573719A および GW642444M の併用投与によ
る反復投与毒性および胚・胎児発生に関する試験を実施した。多くの試験では GSK573719A
の添加物として MgSt を使用しているが、開発初期に実施した一部の試験においては添加物
として COA を使用したため(その後開発中止)、ブリッジング試験を実施し、
GSK573719A の毒性および TK に対する添加物の影響について検討した。GSK573719A およ
び GW642444M の投与量および濃度は、いずれも遊離塩基換算量として記載した。なお、吸
入投与試験における投与量は、特記しない限り、推定投与量として記載した。
Apr 09 2014 13:45:52
2.4 - p. 1
2.4.
非臨床試験の概括評価
重要な試験のほとんどは GLP 適合試験として実施した。
なお、本剤の申請時点においては、その有効成分の一つである GSK573719 の臨床用量と
して 62.5 および 125 μg/日の 2 用量について承認申請したが、承認審査の過程で用法・用量
を見直し、臨床用量を 62.5 μg/日とした。
2.4.2.
薬理試験
2.4.2.1.
効力を裏付ける試験
GSK573719
受容体結合試験において、GSK573719A はムスカリン受容体サブタイプ M1、M2、M3、
M4 および M5 受容体に対する標識リガンドである 3H-N-メチルスコポラミンの結合を強力に
阻害し、その阻害定数(Ki)はそれぞれ 0.159、0.151、0.062、0.050 および 0.131 nM であっ
た(2.6.2.2.1.1.1)。また、M3 受容体に対して 3H-N-メチルスコポラミンと競合的な拮抗作
用を示した(2.6.2.2.1.1.1)。M1~M5 受容体のうち気道平滑筋には M2 および M3 受容体が
存在し、それぞれ平滑筋弛緩の抑制および平滑筋収縮に関与する[Belmonte, 2005]ことから、
COPD 患者の肺における GSK573719 の気管支拡張作用の機序は、おもに M2 および M3 受容
体に対する拮抗作用と考えられる。M2 および M3 受容体の 3H-GSK573719 結合試験におけ
る最大結合(Bmax)はいずれも 3H-チオトロピウム結合試験と同程度であった
(2.6.2.2.1.1.2)。また、3H-GSK573719 および 3H-チオトロピウムは、いずれも M2 受容体と
比較して M3 受容体に対する結合選択性を示した。M2 および M3 受容体における 3HGSK573719 の結合速度定数(kon)はいずれも 3H-チオトロピウムと同程度であり、速やかな
結合を示した。3H-GSK573719 の M2 受容体からの解離は、3H-チオトロピウムと同様に M3
受容体からの解離よりも速やかであった(2.6.2.2.1.1.2)。したがって、GSK573719 は
LAMA であるチオトロピウムと同様に、気道平滑筋において M2 受容体と比べて M3 受容体
に対して選択的な結合を示し、M2 受容体からは速やかに解離するのに対し、M3 受容体で
は緩徐な解離を示すと考えられる。
細胞機能試験において、GSK573719A は M1、M2 および M3 受容体を介するアセチルコリ
ン誘発カルシウム動員反応を競合的かつ強力に阻害し、その親和性は pA2(競合的拮抗薬の
効力の指標)としてそれぞれ 9.59、10.11 および 10.62 であったが、程度の差はあるものの、
いずれの受容体でもアセチルコリン誘発カルシウム動員反応の最大反応を低下させた
(2.6.2.2.1.2.1)。また、M1、M2 および M3 受容体に対してアゴニスト作用は示さなかった
(2.6.2.2.1.2.1)。これらのことから、GSK573719 は気道平滑筋において M2 および M3 受容
体に結合し、アセチルコリンによるカルシウムを介した筋収縮を誘発する初期の細胞内シグ
ナル(カルシウム動員)を競合的に阻害すると考えられる。M3 受容体を介するアセチルコ
リン誘発カルシウム動員反応に対する GSK573719 濃度依存的な拮抗作用は、細胞を 180 分
間洗浄しても完全には回復しなかった(2.6.2.2.1.2.2)。一方、チオトロピウムは M3 受容体
を介するアセチルコリン誘発カルシウム動員反応の濃度反応曲線を高濃度側に移動させ、最
大反応を濃度依存的に大きく低下させた。細胞を 90 分間洗浄することで最大反応の低下は
回復したが、チオトロピウム濃度非依存的な拮抗作用は残存した(2.6.2.2.1.2.2)。したがっ
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2.4 - p. 2
2.4.
非臨床試験の概括評価
て、GSK573719 およびチオトロピウムの M3 受容体に対する拮抗作用は、いずれも長時間持
続することが示唆された。
ヒト摘出気管支標本におけるカルバコール誘発収縮に対して、GSK573719A および既存の
短時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬であるイプラトロピウムは同程度の効力(pA2 はそれ
ぞれ 9.5 および 9.2)で抑制作用を示し(2.6.2.2.1.3.1)、Schild 解析の結果より、GSK573719
およびイプラトロピウムはカルバコールと競合的な拮抗作用を示すことが示唆された。
GSK573719 はカルバコール誘発収縮の最大反応を軽度に低下させたが、イプラトロピウム
は最大反応を低下させなかった(2.6.2.2.1.3.1)。また、チオトロピウムはカルバコール誘発
収縮の最大反応を顕著に低下させ、競合的拮抗薬の効力の指標の一つである pA2 は算出でき
なかった(2.6.2.2.1.3.1)。GSK573719 のカルバコール誘発収縮に対する抑制作用の作用発
現はチオトロピウムおよびイプラトロピウムよりも緩やかであったが、作用持続時間はチオ
トロピウムと同程度で、イプラトロピウムよりも長かった(2.6.2.2.1.3.2)。したがって、
GSK573719 およびチオトロピウムは M3 受容体に対する拮抗様式は異なるものの、いずれも
拮抗作用は長時間持続することが示された。これらの試験において GSK573719 にみられた
アゴニスト誘発収縮の最大反応を低下させる作用は、受容体からの解離が緩徐な競合的拮抗
薬にみられる現象であり[Kenakin, 1984]、GSK573719 は M3 受容体からの解離が非常に緩徐
であるため、カルバコールの受容体結合が平衡状態に到達せず、カルバコール誘発収縮の最
大反応を低下させたと考えられる。
In vivo における気管支収縮に対する作用として、GSK573719A はマウスへの単回鼻腔内投
与 5 時間後のメサコリン誘発気管支収縮を用量依存的に抑制し、その ED50 は 0.02 μg であっ
た(2.6.2.2.1.4.1)。0.05 μg では投与 30 時間後に約 80%の最大抑制作用を示し、投与 6 日後
まで有意な抑制作用が持続した(2.6.2.2.1.4.1)。チオトロピウム(0.05 μg)においても、同
様に投与 6 日後まで有意な抑制作用が持続した(2.6.2.2.1.4.1)。また、GSK573719A
(0.025 μg)の 5 日間鼻腔内投与によるメサコリン誘発気管支収縮に対する抑制作用は、
Day 1(35%抑制)と比較して Day 5(60%抑制)では軽度の上昇がみられた(2.6.2.2.1.4.1)。
5 日間(Day 5~Day 9)の休薬により抑制作用はほとんど消失したが、Day 10 に 1 回投与す
るとその 24 時間後(Day 11)のメサコリン誘発収縮抑制作用は Day 1 と同程度であった
(2.6.2.2.1.4.1)ことから、GSK573719A をマウスの鼻腔内に 5 日間投与しても作用は減弱し
ないことが示唆された。モルモットにおいて、GSK573719A およびチオトロピウムは 2.5 μg
の気管内投与 4 時間後のアセチルコリン誘発気管支収縮をいずれも 90%以上抑制した
(2.6.2.2.1.4.2)。GSK573719A およびチオトロピウムはアセチルコリン誘発気管支収縮に対
して、それぞれ投与 1 および 2 日後まで 50%以上の抑制作用を示した(2.6.2.2.1.4.2)。
GSK573719A(0.025~2.5 μg)はモルモットへの気管内投与により、アセチルコリンの静脈
内投与による気流抵抗の上昇を用量依存的に有意に抑制した(2.6.2.2.1.4.3)。チオトロピウ
ム(25 μg)も同様に、気管内投与によりアセチルコリンの静脈内投与による気流抵抗の上
昇を有意に抑制した(2.6.2.2.1.4.3)。したがって、GSK573719A およびチオトロピウムはマ
ウスへの鼻腔内投与およびモルモットへの気管内投与により気管支収縮抑制作用を示し、そ
の抑制作用はいずれも長時間持続性であることが示された。
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2.4 - p. 3
2.4.
非臨床試験の概括評価
ヒト代謝物の M33 および M14 は、M1、M2 または M3 受容体を介するアセチルコリン誘
発カルシウム動員反応に対して阻害作用を示し、M33 の M3 受容体に対する阻害作用の効力
は GSK573719 の約 1/5 であったが、M14 の M1 および M3 受容体に対する阻害作用は、いず
れも M33 の阻害作用の 1/50 未満と弱かった(2.6.2.2.1.5.1)。GSK573719A の 1000 μg/日を
ヒトに 7 日間吸入投与したときの血漿中 M33 は定量限界未満であった(2.6.4.5.1.2.1.3)。し
たがって、M33 は in vitro 受容体機能試験においては M1 および M3 受容体に対して強い拮抗
作用を示したが、GSK573719A の臨床使用によって M33 が肺以外の組織のムスカリン受容
体に対して薬理作用を示す可能性は低いと考えられる。
以上の成績より、GSK573719 は M1~M5 のムスカリン受容体サブタイプ全体に対して作
用する拮抗薬であり、in vitro および in vivo において M3 受容体に対して強力かつ長時間持続
性の拮抗作用を示すことにより、長時間持続性の気管支収縮抑制作用を発現する LAMA で
あることが示唆された。
GW642444
GW642444 はヒト β2 受容体に対して強力かつ選択的な刺激作用を示し、その作用は LABA
であるサルメテロールと同程度またはわずかに強く、内活性はサルメテロールより高かった。
また、GW642444 はモルモット摘出気管標本の電気刺激誘発収縮およびヒト摘出気管支標本
のプロスタグランジン F2α 誘発収縮に対して強力な弛緩作用を示し、その効力はサルメテロ
ールと同程度であった。GW642444 の弛緩作用の発現時間はサルメテロールより早かったが、
作用の持続性はサルメテロールと同程度であった。さらに、ビランテロール酢酸塩
(GW642444A)はモルモットのヒスタミン誘発気管支収縮に対して、単回噴霧投与により
用量依存的な弛緩作用を示し、その効力および作用持続性はサルメテロールと同程度であっ
た。ビランテロール α-フェニルケイ皮酸塩(GW642444H)はモルモットへの反復噴霧投与
によりタキフィラキシーを示した。これらの成績から、GW642444 はサルメテロールと同程
度の効力をもち、類似した薬理学的性質を有することが示された(レルベア 100 エリプタ他
資料概要 2.6.2.6 参照)。
GSK573719/GW642444
GSK573719A/GW642444M の配合理由の根拠を示す動物試験は、以下に示す理由により実
施しなかった。
COPD 患者を対象とした臨床試験において、これまでに長期的な肺機能の低下を改善する
COPD の薬物治療法は示されていない[GOLD, 2011]。しかし、近年の試験において LAMA
であるチオトロピウムおよび LABA であるホルモテロールの併用により、単剤投与時と比
較して高い FEV1 改善効果が示されている[Tashkin, 2009; van Noord, 2005]。このような成績
に基づき、LAMA/LABA の併用療法は COPD 患者の症状を軽減し、肺機能を改善させる上
で各単剤よりも有効であると考えられており、現在公表されているガイドラインにおいて
LAMA または LABA 単剤では症状が改善しない場合に両薬剤の併用が推奨されている
[GOLD, 2011]。
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2.4 - p. 4
2.4.
非臨床試験の概括評価
また、気道平滑筋の緊張に対して LAMA/LABA が併用効果を示す薬理学的な根拠が示さ
れている[Cazzola, 2010]。LABA は気道平滑筋の β2 受容体を刺激することにより直接的に平
滑筋を弛緩させ、一方、LAMA は気道平滑筋のムスカリン受容体機能を阻害することによ
り、副交感神経系より遊離したアセチルコリンにより誘発される気道平滑筋収縮作用を抑制
する。したがって、LAMA/LABA の併用により気道平滑筋を直接的および間接的に弛緩さ
せ、相加的な併用効果を示すと考えられる。また、LABA は気道において交感神経系の β2
受容体を刺激し、近傍の副交感神経の伝達調節を介してアセチルコリン遊離を低下させるこ
とから、LAMA との併用により LAMA のムスカリン受容体拮抗作用を増強させると考えら
れる。
さらに、既存の LAMA であるチオトロピウムにおいて、β2 刺激薬との併用効果を示す薬
理試験成績が報告されている[臭化チオトロピウム水和物スピリーバ吸入用カプセル 18μg 公
開資料概要, 2004]。イヌにチオトロピウムおよび短時間作用性 β2 刺激薬であるサルブタモー
ルを併用吸入投与することにより、アセチルコリン誘発気管支収縮反応に対する抑制作用に
併用効果が認められている[臭化チオトロピウム水和物スピリーバ吸入用カプセル 18μg 公開
資料概要, 2004]。また、モルモットにチオトロピウムおよびその当時海外で開発中であった
LABA であるカルモテロールの併用気管内投与により、アセチルコリン誘発気管支収縮反応
に対する抑制作用に併用効果が認められている。
GSK573719 は既存の LAMA であるチオトロピウムと同様にムスカリン受容体サブタイプ
全体に対して作用する拮抗薬である。また、in vitro および in vivo において気道平滑筋に存
在するムスカリン受容体に対して強力で競合的かつ長時間持続性の拮抗作用を示し、チオト
ロピウムと同様に長時間持続性の気管支収縮抑制作用を示す LAMA であることが示唆され
た。LABA 成分である GW642444 は、アドエアの LABA 成分であるサルメテロールキシナ
ホ酸塩と同程度の効力をもち、類似した薬理学的性質を有することが示されている(レルベ
ア 100 エリプタ他資料概要 2.6.2.6 参照)。
したがって、LAMA である GSK573719A および LABA である GW642444M の併用投与に
より気管支拡張作用の併用効果を示すと考えられる。
2.4.2.2.
副次的薬理試験
GSK573719
GSK573719A は 4 種類のムスカリン受容体サブタイプ以外の検討した 46 種類の受容体、
イオンチャネルおよびトランスポーターのうち、モルモット κ オピオイド受容体、ラット σ
(非選択性)受容体、ラット L 型 Ca2+チャネル(ベラパミルサイト)、ラット Na+チャネル
(site 2)およびヒトドパミントランスポーターに対して結合親和性を示し、その Ki はそれ
ぞれ 69、220、330、170 および 780 nM であった(2.6.2.3.1.1)。これらの作用は、本剤
(GSK573719A/GW642444M、臨床用量 62.5/25 μg)を日本人 COPD 患者に吸入投与したと
きの GSK573719 の定常状態における臨床曝露量(Cmax:79.4 pg/mL=0.185 nM、2.7.2.2.1.6、
DB2116975 統合解析)の 370 倍以上の高濃度での作用であった。したがって、GSK573719A
の臨床使用によって生体内でこれらの受容体を介する生理作用に影響を及ぼす可能性は低い
と考えられる。
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2.4 - p. 5
2.4.
非臨床試験の概括評価
コリン作動性の徐脈は、心筋の M2 受容体を介する反応であることが示唆されている。モ
ルモットのアセチルコリン誘発徐脈に対して、GSK573719A はアセチルコリンによる気流抵
抗の上昇を有意に抑制する用量(0.25 および 2.5 μg)で抑制作用を示さなかった
(2.6.2.3.1.2)ことから、本剤の臨床用量をヒトに吸入投与したときに、GSK573719 が心筋
の M2 受容体に作用する可能性は低いと考えられる。
GW642444
GW642444 は検討した 57 種類の受容体およびトランスポーターのうち、ヒトセロトニン
5-HT1A 受容体、モルモット σ 受容体およびヒトセロトニントランスポーターに対して結合親
和性を示し、その pKi はそれぞれ 6.3、6.7 および 7.1 であった(レルベア 100 エリプタ他資
料概要 2.6.2.3 参照)。
2.4.2.3.
安全性薬理試験
GSK573719
吸入投与によるラットの中枢神経系に及ぼす影響として、322 μg/kg 以上で中等度の瞳孔
散大がみられた(2.6.2.4.1.1)。吸入投与によるラットの呼吸系に及ぼす影響として、
215 μg/kg 以上で 1 回換気量の低下(3~17%)を伴う呼吸数増加(18~45%)がみられた
(2.6.2.4.1.3)。hERG 試験において、hERG テール電流を濃度依存的に阻害し、その IC50 は
9.41 μM(4.033 μg/mL)であった(2.6.2.4.1.2.1)。静脈内投与によるイヌの心血管系に及ぼ
す影響として、10 μg/kg で脈圧の軽度低下(最大 7 mmHg)、心拍数の上昇(最大 49 bpm)、
PR 間隔の延長、RR 間隔の短縮および独立した P 波がみられた(2.6.2.4.1.2.2)。
以上の GSK573719 の安全性薬理試験において、影響を及ぼした用量における動物の血漿
中濃度または in vitro で影響を及ぼした濃度は、上記の臨床曝露量(2.7.2.2.1.6、DB2116975
統合解析)よりも少なくとも 40 倍以上高いと推察されることから、GSK573719A の臨床使
用によって中枢神経系、心血管系および呼吸系に対して重篤な有害事象が発現する可能性は
低いと考えられる。
GW642444
吸入投与によるラットの中枢神経系に及ぼす影響として、0.036 mg/kg 以上で自発運動量
の低下および 34.399 mg/kg で体温の低下がみられた。吸入投与によりラットの呼吸系に影響
はみられなかった。また、in vitro で hERG テール電流に対して阻害作用(IC50:4.8 μM)を
示し、1 μM 以上でイヌ摘出プルキンエ線維の活動電位振幅および最大脱分極速度の低下な
らびに活動電位持続時間の短縮がみられた。静脈内投与によるイヌの心血管系に及ぼす影響
として、0.1 μg/kg で非常に軽度の QT および QTc 間隔の延長がみられ、0.3 μg/kg 以上で心拍
数の上昇ならびにこれに起因する PR、RR、QT および QTc 間隔の短縮がみられ、1 μg/kg で
は軽度の血圧の低下がみられた(レルベア 100 エリプタ他資料概要 2.6.2.4 参照)。
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2.4 - p. 6
2.4.
非臨床試験の概括評価
GSK573719/GW642444
静脈内投与によるイヌの心血管系に及ぼす影響として、GSK573719A の 0.3 μg/kg および
GW642444M の 0.3 μg/kg を併用投与することにより、平均血圧、収縮期血圧および拡張期血
圧の上昇(それぞれ最大 11、14 および 9 mmHg)がみられた(2.6.2.4.3.1)。また、
GSK573719A/GW642444M の併用投与では、一過性の心拍数の中等度上昇(最大 34 bpm)が
認められたが、GW642444M の単独投与においても同程度の心拍数の上昇(最大 33 bpm)が
みられた(2.6.2.4.3.1)。この試験における GSK573719 および GW642444 の血漿中濃度は、
本剤(GSK573719A/GW642444M、臨床用量 62.5/25 μg)を日本人 COPD 患者に吸入投与し
たときの GSK573719 および GW642444 の定常状態における臨床曝露量(2.7.2.2.1.6、
DB2116975 統合解析)のそれぞれ約 15 および 33 倍に相当することから、臨床使用において
GSK573719A/GW642444M の併用投与により、血圧および心拍数上昇に関連する重篤な有害
事象が発現する可能性は低いと考えられる。
2.4.3.
薬物動態
2.4.3.1.
吸収
GSK573719
雌雄ラットおよびイヌに GSK573719A をそれぞれ最長 26 および 39 週間吸入投与したとき
の血漿中には GSK573719 が定量されたが、血漿中濃度のバラツキは大きく、tmax はおおむね
吸入終了直後であり、曝露量は投与量増加に伴い増加した。いずれの動物種でも曝露量に明
らかな性差および蓄積はないと考えられた(2.6.4.3.1.1.1 および 2.6.4.3.1.2.1)。本剤は肺局
所での効果を期待する吸入散剤であり、全身への曝露を期待するものではないが、
GSK573719A を吸入投与したとき、全身への曝露が低いが確認され、この要因として肺から
の吸収および嚥下による消化管からの吸収の可能性が考えられた。しかしながら、ラットに
単回経口投与したときの循環血漿中 GSK573719 濃度は定量限界未満であり、1/3 例でのみ投
与 5 分後の門脈血漿中に定量限界付近で定量されたこと、BDC ラットに単回経口投与した
ときの胆汁および尿中排泄率より、消化管の吸収は少なくとも投与量の約 0.3%と低かった
ことから、GSK573719 は消化管からほとんど吸収されないと考えられた(2.6.4.3.1.1.3 およ
び 2.6.4.6.1.2.1)。また、ラットに GSK573719A を 0.5 時間持続門脈内投与したときの循環血
漿中には投与開始 35 分後まで GSK573719 が定量されたが、経口投与では循環血漿中に定量
されず、門脈血漿中では定量限界付近で定量されたことから、肝臓での初回通過効果が大き
いと考えられた(2.6.4.3.1.1.4 および 2.6.4.3.1.1.3)。さらに、イヌに GSK573719A および
14
C-GSK573719A を単回経口投与したときの血漿中 GSK573719 および薬物関連物質濃度は定
量限界未満であったことから、GSK573719 は消化管からほとんど吸収されないか肝臓での
初回通過効果が大きいと考えられた(2.6.4.3.1.2.3)。これらのことから、ラットおよびイヌ
での全身曝露量に及ぼす嚥下の影響はないと考えられた。なお、ヒトに GSK573719A を経
口投与したときの F は 1%未満と低く、初回通過効果を受けることが示唆されている
(2.7.2.2.1.2.1.1)。また、ラットおよびイヌに GSK573719A を静脈内投与したときの CLp は
高く、Vss は大きかったことから組織移行性は高いと考えられた(2.6.4.3.1.1.2 および
2.6.4.3.1.2.2)。
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2.4 - p. 7
2.4.
非臨床試験の概括評価
GSK573719/GW642444
雌雄ラットおよびイヌに GSK573719A/GW642444M をそれぞれ 4 週間および最長 13 週間
併用吸入投与したとき、血漿中濃度のバラツキは大きかった。また、併用投与により互いの
曝露量に明らかな影響を及ぼさなかった(2.6.4.3.2)。
2.4.3.2.
分布
GSK573719
雄の有色ラットに 14C-GSK573719A を単回静脈内投与したときの薬物関連物質は速やかに
広く組織に分布し、投与 35 日後でもブドウ膜/網膜に薬物関連物質が定量されたことから、
薬物関連物質はメラニンと結合すると考えられた(2.6.4.4.1.1)。
動物およびヒトでの GSK573719(5~200 ng/mL)の in vitro 血漿蛋白結合率は 74.8~88.8%
と中程度と考えられ、各動物種およびヒトでいずれも濃度にかかわらず一定であった
(2.6.4.4.1.2)。また、ヒト(男性)での GSK573719 の平均血漿蛋白結合率は 88.9%であり
(2.6.4.4.1.2)、HSA、AGP および γ-グロブリンへの結合はいずれも中程度であった
(2.6.4.4.1.3)。動物およびヒトでの薬物関連物質の血球移行性は最大で 31%と低かった
(2.6.4.4.1.4)。
GSK573719 の受動的膜透過性は低く、Pgp、OCT1 および OCT2 の基質であったが、Pgp
を阻害しないと考えられた(2.6.4.4.1.6、2.6.4.4.1.7.1、2.6.4.4.1.8 および 2.6.4.4.1.9)。また、
野生型 FVBn および Pgp 欠損マウスに 14C-GSK573719G を単回経口投与したとき、
GSK573719 の消化管からの吸収には Pgp が関与していると考えられ、GSK573719A は
in vitro および in vivo で Pgp の基質であることが確認された(2.6.4.4.1.7)。
GW642444
GW642444M は OCT1、OCT3、OCTN1 および OCTN2 の基質ではなかった(2.6.4.4.2)。
2.4.3.3.
代謝
GSK573719
ヒト肝ミクロソームならびにヒト、ラットおよびイヌ肝細胞と 14C-GSK573719A をインキ
ュベートしたとき、14C-GSK573719 のそれぞれ 50%以上、43、26 および 28%が代謝された
(2.6.4.5.1.1.1 および 2.6.4.5.1.1.2)。ヒト肝ミクロソームでのおもな代謝物は O-脱アルキル
体(M14)および水酸化体(M33)であり、ヒト肝細胞では M14 および M33/メトキシ水酸
化体(M34)であった(2.6.4.5.1.1.1 および 2.6.4.5.1.1.2)。また、雌雄ラットの肝臓に 14CGSK573719A を灌流させたときの胆汁中のおもな成分は未変化体であり、代謝物としては
M21/M22、M27、M11、M13、M1 および M14 がおもに生成された(2.6.4.5.1.1.3)。
ラットおよびイヌに 14C-GSK573719A を単回静脈内投与したときの血漿中のおもな成分は
未変化体であり、イヌではその他に M14 および M33 が生成された(2.6.4.5.1.2.1.1 および
2.6.4.5.1.2.1.2)。ヒトに GSK573719A を 7 日間吸入投与したときの血漿中のおもな成分は未
変化体であり、その他に M14 の生成が確認された(2.6.4.5.1.2.1.3)。また、ラットおよびイ
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2.4 - p. 8
2.4.
非臨床試験の概括評価
ヌ(無処置および BDC)に 14C-GSK573719A/G を静脈内投与したときの尿糞中には未変化
体ならびに M14 および M33 を含む複数の代謝物が確認された(2.6.4.5.1.2.2)。さらに、
BDC イヌに 14C-GSK573719G を 10 分間持続静脈内投与したときの胆汁中でのおもな成分は
M14 であり、その他に未変化体および M33/M34 を含む複数の代謝物が確認された
(2.6.4.5.1.2.3)。動物およびヒトではおもに未変化体として、一部は代謝物として尿糞中に
排泄された。以上、動物およびヒトでのおもな代謝経路は水酸化および O-脱アルキル化で
あると考えられた。ヒトで生成が確認された代謝物はいずれも動物で確認された。
ヒト肝ミクロソームでの M14 の生成は、キニジンおよび azamulin によりそれぞれ 90 およ
び 52%阻害され、M33 の生成はキニジンにより 100%阻害された(2.6.4.5.1.3.1)。
GSK573719 は CYP1A1、2D6 および 3A4 で代謝されたが、CYP2D6 でもっとも代謝されたこ
と(2.6.4.5.1.3.2)から、GSK573719 の in vitro 代謝にはおもに CYP2D6 が関与すると考えら
れた(2.6.4.5.1.3)。また、GSK573719A は in vitro で CYP2D6 および 3A4 を阻害した
(2.6.4.5.1.5)。雌雄ラットに GSK573719A を 4 週間吸入投与したとき、雌の 2000 μg/kg/日
群で CYP1A1 の mRNA 量を 7.7 倍増加させたが、1/3 例のみでの増加であったこと、雄の 30
および 200 μg/kg/日群で CYP4A1 の mRNA 量を最大 3.6 倍増加させたが、2000 μg/kg/日群で
はみられず、用量依存性はなかったことから、GSK573719A は CYP を誘導しないと考えら
れた(2.6.4.5.1.6)。
2.4.3.4.
排泄
GSK573719
ラットおよびイヌに 14C-GSK573719A を単回静脈内および経口投与したとき、薬物関連物
質のおもな排泄経路は糞中であり、イヌではおもに胆汁を介して糞中に排泄されると考えら
れた(2.6.4.6.1.1 および 2.6.4.6.1.2.2)。また、BDC ラットに単回経口投与したときの胆汁中
排泄率が約 0.2%と低かったことから、糞中に排泄された薬物関連物質の多くが未吸収の成
分であると考えられた(2.6.4.6.1.2.1)。
妊娠ラットに GSK573719A を妊娠 6 日から分娩 20 日後まで皮下投与したとき、出生児
(2/54 例)の血漿中に GSK573719 が定量されたが、残りすべての出生児の血漿中では定量
限界未満であった(2.6.4.6.1.3)。
2.4.3.5.
薬物動態学的薬物相互作用
GSK573719
GSK573719 の in vitro 代謝にはおもに CYP2D6 が関与したこと(2.6.4.5.1.3)から、
CYP2D6 代謝能欠損者では代謝が遅延する可能性が、また臨床で CYP2D6 を阻害または誘導
する薬剤と併用投与する際に薬物動態学的薬物相互作用を起こす可能性が考えられた。しか
しながら、CYP2D6 代謝能欠損者と CYP2D6 活性を有する健康被験者での血漿中
GSK573719 の曝露量に差は認められなかった(2.7.2.2.1.8.1.1)。
GSK573719 の受動的膜透過性は低く、Pgp、OCT1 および OCT2 の基質であったこと
(2.6.4.4.1.6、2.6.4.4.1.7 および 2.6.4.4.1.8)から、GSK573719A は臨床で Pgp、OCT1 および
OCT2 を阻害または誘導する薬剤と併用投与する際に薬物動態学的薬物相互作用を起こす可
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2.4 - p. 9
2.4.
非臨床試験の概括評価
能性が考えられた。しかしながら、健康被験者に GSK573719A/GW642444M と中程度の
CYP3A4 および Pgp 阻害作用を有するベラパミルを併用投与した試験で、薬物動態学的薬物
相互作用はみられなかった(2.7.2.2.1.8.2.1)。また、健康被験者に 1000 μg/日を 7 日間吸入
投与したときの血漿中 GSK573719 の Cmax(平均)は 2.038 ng/mL で(2.7.2 の付録(表
2.7.2.5-2)、AC4110106 試験)、忍容性および安全性が確認されており、予定臨床投与量で
ある 125 μg/日を 7 日間吸入投与したときの Cmax(平均)は 0.296 ng/mL であったこと(2.7.2
の付録(表 2.7.2.5-2)、DB2114637 試験)から、OCT1 および OCT2 を阻害または誘導する
薬剤と併用投与した際に、血漿中 GSK573719 濃度が変化したとしても、1000 μg/日での Cmax
(2.7.2 の付録(表 2.7.2.5-2)、AC4110106 試験)を超えないと考えられることから、臨床的
に意義のある変化を引き起こす可能性は低いと考えられた。
GSK573719 は in vitro で CYP2D6(IC50:0.1 μM)および 3A4(IC50:1.0 μM)を阻害した
こと(2.6.4.5.1.5)から、GSK573719A は臨床でこれらの CYP の基質薬剤と併用投与する際
に薬物動態学的薬物相互作用を起こす可能性が考えられたが、日本人健康成人男性に
GSK573719A/GW642444M 配合剤の 500/50 μg を単回吸入投与したときの Cmax は 1.289 ng/mL
(3 nM)であり(2.7.2.2.1.3.2.3、DB2113208 試験)、それぞれの IC50 より低いことから、
CYP の基質薬剤と併用投与する際に薬物動態学的薬物相互作用を起こす可能性は低いと考
えられた。
2.4.4.
2.4.4.1.
毒性試験
急性毒性試験
GSK573719A の急性毒性について、ラットおよびイヌに GSK573719A のそれぞれ 3418 お
よび 3430 μg/kg/日までを短期間(それぞれ 7 および 14 日間)反復吸入投与試験(それぞれ
2.6.6.2.1.1 および 2.6.6.2.1.2)により評価した。
ラットおよびイヌともに投与初期に死亡はみられなかった。一般状態への影響として、イ
ヌでは全投薬群で口渇および摂餌量の減少を伴う体重減少がみられ、961 μg/kg/日以上の群
では浅速呼吸および苦悶、3430 μg/kg/日群では咳および腹式呼吸などが投与中または投与直
後に観察された。
ラットおよびイヌにおける単回吸入投与時の概略の致死量はそれぞれ 3418 μg/kg/日超およ
び 3430 μg/kg/日超であった。
2.4.4.2.
反復投与毒性試験
ラットおよびイヌに GSK573719A をそれぞれ最長 26 および 39 週間吸入投与した
(2.6.6.3.1.1.1、2.6.6.3.1.1.2、2.6.6.3.1.2.1 および 2.6.6.3.1.2.2)。また、ラットおよびイヌに
GSK573719A および GW642444M をそれぞれ最長 4 および 13 週間併用吸入投与した
(2.6.6.3.2.1.1、2.6.6.3.2.2.1 および 2.6.6.3.2.2.2)。GSK573719A の単独および GW642444M
との併用投与試験における主要所見およびその最小影響量/無影響量をそれぞれ表 2.4.4-1
および表 2.4.4-2 に、主要な毒性試験の各投与量における GSK573719 および GW642444 の曝
露量と本剤(配合剤)をヒトに吸入投与した際の曝露量の比較(肺到達量の比較を含む)を
それぞれ表 2.4.4-3 および表 2.4.4-4 に示した。
Apr 09 2014 13:45:55
2.4 - p. 10
2.4.
非臨床試験の概括評価
GSK573719
ラットでは投与に関連した死亡および一般状態への影響は認められなかった。イヌでは
14 日間吸入投与試験(2.6.6.2.1.2)において 3430 μg/kg/日群の雌 1 例で投与 8 日の投与中に
苦悶、あえぎおよび散瞳などが観察されたことから、切迫屠殺した。一般状態への影響とし
て、GSK573719A の薬理作用(抗ムスカリン作用)に関連した変化と考えられる[Brown,
2007]口渇、鼻端乾燥および涙液量減少がみられ、投与操作(経口咽頭チューブおよびドラ
イパウダーによる吸入投与のため)に関連した変化として流涎が観察された。また、経口咽
頭チューブを用いた反復吸入投与毒性試験では頸部腫脹がみられ、投薬群で発現頻度および
各動物における発現回数の高値が認められた。本所見は対照群でも観察されたことから投与
操作に関連するものと考えられ、GSK573719A の薬理作用である粘液分泌抑制による粘膜乾
燥および唾液腺への影響により投薬群ではその発現頻度が増加したものと考えられた。なお、
ヒトは経口吸入投与のため、臨床使用において本所見が発現する可能性は低いと考えられた。
また、イヌでは 109 μg/kg/日以上の群で抗ムスカリン作用による心拍数/脈拍数の増加
[Brown, 2007]がみられ、これに伴い呼吸性洞性不整脈の消失が観察された。また、血液生化
学的検査において本所見に関連すると考えられる cTnI の高値がわずかにみられた。いずれ
の試験においてもこれらの心臓への影響の程度は重度ではなく、悪影響ではないと考えられ
た。
病理組織学的検査では、ラットおよびイヌともに上気道(鼻腔/副鼻腔、鼻咽頭、喉頭ま
たは気管分岐部)に軽微~軽度の刺激性変化がみられ、ラットでは高用量投与(13 および
26 週間吸入投与試験でそれぞれ 924 μg/kg/日および 289 μg/kg/日以上)により発現頻度また
は程度の増加(中等度~重度)が認められた。これらの変化は GSK573719A の局所刺激
(2.6.6.7.1.1)に関連したものであり、抗ムスカリン作用による気道粘膜における粘液分泌
の減少が病態悪化に寄与したものと考えられた。しかしながら、ラットの喉頭は解剖学的に
吸入異物に対して影響を受けやすく[Osimitz, 2007]、ヒトではごく短時間の経口吸入投与に
対し、ラットおよびイヌでは長時間曝露していること、また、刺激性変化の増強がみられた
ときの GSK573719A の濃度は臨床使用時よりも高濃度であることを考慮すると、許容でき
ないほどの刺激性変化がヒトで発現する可能性は低いと考えられる。GSK573719A および
GW642444M の臨床試験において、局所刺激に関連すると考えられる症状(咳嗽、鼻咽頭炎、
口腔咽頭炎)はプラセボ群を含む全群で同頻度に認められている(2.5.5.3)。また、肺への
影響として、ラット 26 週間吸入投与試験の高用量群(987 μg/kg/日)において、吸入異物に
対するクリアランスに関連したものと考えられる肺胞マクロファージ集簇[Haschek, 1998]の
発現頻度および程度の増加(軽微に対し軽度)が認められた。本所見は対照群でも一般的に
観察されるものであり、無影響量である 289 μg/kg/日を投与したときの曝露量(AUC)は、
ヒトに GSK573719A の予定最大臨床用量である 125 μg/日を投与したときの曝露量(AUC)
(以下、臨床曝露量)の約 39 倍(肺到達量換算)に相当することからも、臨床的意義の低
い変化と考えられた。
胆嚢への影響として、イヌ 14 日間吸入投与ブリッジング試験(2.6.6.8.1.2.2)の全投薬群
(目標投与量:1000 μg/kg/日)で胆嚢筋層の出血および炎症を伴う軽微~軽度の筋線維変性
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2.4 - p. 11
2.4.
非臨床試験の概括評価
/再生がみられ、剖検では中等度~重度の胆嚢拡張が認められた。ムスカリン受容体は種々
の器官において平滑筋の収縮などの副交感神経活動に関与している[Brown, 2007]ことから、
筋線維変性/再生は高用量の GSK573719 投与による過剰な胆嚢拡張による可能性が考えら
れた。なお、臨床試験においては、胆嚢サイズへの影響ならびに右上腹部痛および胆嚢に関
連する有害事象の発現頻度増加はみられておらず(2.7.4.2.1.5.2.7.5)、胆嚢炎および胆石症
などの胆嚢疾患における注目すべき有害事象の治療時における発現頻度は低く、いずれの群
においても同程度であった(2.7.4.2.1.5.2.7)。
その他に、マウスがん原性試験(2.6.6.5.1.1)の眼科学的検査において全投薬群の雄なら
びに 20.8 および 200 μg/kg/日群の雌で両側性の水晶体後面混濁の発現頻度の増加が観察され
た。本所見の発現頻度は、雄では試験実施施設における背景値範囲内であり、雌でも背景値
の範囲をわずかに上回る程度であったこと、また、水晶体に関連した組織学的変化はみられ
ていないことからも、本所見は投与に関連した変化ではないと考えられた。臨床試験では
「眼への作用」グループに分類された注目すべき有害事象の発現率は低く、いずれの群にお
いても同程度であった(すべて 1%以下)(2.5.5.7.3)。
ラットおよびイヌのそれぞれ 26 および 39 週間吸入投与試験における無毒性量はそれぞれ
87.1 および 109 μg/kg/日と推定された。このときの曝露量は臨床曝露量のそれぞれ約 11 およ
び 15 倍に相当する。
GW642444
GW642444M 投与により観察されたおもな所見は、β2 刺激薬の class effect と考えられる心
血管系(イヌにおける頻脈および心筋変性/線維化)、気道(軽度な刺激性)、代謝(体
重・摂餌量増加、肝細胞グリコーゲン貯留、グルコース低値、カリウム高値など)および乳
腺を含む雌生殖器官(卵巣嚢胞、生殖器官平滑筋の増殖性変化、乳腺腺房の発達・分泌亢
進)などへの影響であった(レルベア 100 エリプタ他資料概要参照)。
GSK573719/GW642444
GSK573719A および GW642444M の反復併用投与毒性試験(2.6.6.3.2.1.1、2.6.6.3.2.2.1、
2.6.6.3.2.2.2)における主要所見はいずれも各薬物に関連したものであり、ラットおよびイヌ
ともに併用投与による新たな毒性の発現は認められなかった。ラットでは併用投与により上
気道(鼻甲介、鼻咽頭、喉頭または気管分岐部)における刺激性変化の発現頻度・程度にわ
ずかに増強がみられたが、本所見以外についてはいずれも発現頻度・程度は単独および併用
投与時ともに同程度であり、毒性の増強は認められなかった。イヌでは 13 週間併用吸入投
与試験の 1070/7.5 μg/kg/日群の雄で喉頭粘膜に被験物質の局所刺激によるものと考えられる
混合性炎症細胞浸潤の発現頻度・程度の明らかな増加がみられたが、本所見の程度は軽微~
軽度であり、4 週間併用吸入投与試験においてもこれに関連する変化として、GSK573719A
単独投与群の雄で軽微~軽度の急性/亜急性炎症が認められていることから、併用投与によ
る刺激性の増強ではないと判断した。その他に、イヌ 4 週間併用吸入投与試験では
190/205 μg/kg/日群の雌 1 例において β2 刺激薬の class effect である血管拡張による反応性の
心拍数増加と関連したものと考えられている乳頭筋の線維化(レルベア 100 エリプタ他資料
Apr 09 2014 13:45:56
2.4 - p. 12
2.4.
非臨床試験の概括評価
概要参照)が認められた。なお、COPD 患者を対象とした臨床試験において
GSK573719A/GW642444M 併用投与群(125/25 および 62.5/25 μg/日)および GW642444M 単
独投与群(25 μg/日)ともに、プラセボ群と比較して臨床的に意義のある心拍数への影響は
報告されていない(2.7.4.4.2.2.1.1.5)。
2.4.4.3.
遺伝毒性試験
GSK573719
細菌を用いる復帰突然変異試験(2.6.6.4.1.1)、マウスリンフォーマ TK 試験
(2.6.6.4.1.2)およびラット小核試験(2.6.6.4.1.3)を実施した結果、それぞれ 5000 μg/plate、
300 μg/mL および 20000 μg/kg/日までの処理濃度または投与量において、GSK573719A は突
然変異誘発性および染色体異常誘発性を示さなかった。これらのことから、GSK573719A は
遺伝毒性を有していないものと考えられる。
2.4.4.4.
がん原性試験
GSK573719
マウスでは雌雄でそれぞれ 200 および 533/295 μg/kg/日(投与 1~66 週/67 週以降)まで、
ラットでは 276/137 μg/kg/日(投与 1~72 週/73 週以降)までを 104 週間吸入投与したがん原
性試験(それぞれ 2.6.6.5.1.1 および 2.6.6.5.1.2)において、両動物種ともに生存率および腫
瘍性病変の発現頻度に GSK573719A 投与の影響はみられなかった。ラットでは、
30.1/14.7 μg/kg/日群の雄で脳に良性顆粒細胞腫、276/137 μg/kg/日群の雌で皮膚に良性基底細
胞腫の発現頻度の有意な増加がみられたが、用量との関連がみられない、または、試験実施
施設における背景値範囲内であったことから、投与に関連したものではないと考えられた。
非腫瘍病変としては、マウスおよびラットともに上気道の刺激性変化および鼻腔の上皮組織
および上皮下粘膜腺に好酸性封入体の発現頻度の増加がみられた。これらのことから、
GSK573719A はがん原性を有していないと考えられた。
2.4.4.5.
生殖発生毒性試験
GSK573719
雌雄ラットの受胎能および初期胚発生に関する試験(2.6.6.6.1.1.1 および 2.6.6.6.1.1.2)に
おいて、雄ラットに 180 μg/kg/日までを交配前 14 日から 49~53 日間皮下投与、雌ラットに
294 μg/kg/日までを交配 14 日前から妊娠 7 日まで吸入投与したが、交尾能、受胎能および初
期胚発生への影響は認められなかった。雌雄ラットの受胎能に対する無毒性量はそれぞれ
294 および 180 μg/kg/日と推定された。
ラットおよびウサギの胚・胎児発生に関する試験(2.6.6.6.1.2.1 および 2.6.6.6.1.2.2)にお
いて、ラットおよびウサギにそれぞれ 278 および 306 μg/kg/日までをそれぞれ妊娠 6~17 日
および妊娠 7~19 日に吸入投与したが、いずれの動物種においても生殖能ならびに胚・胎児
の生存性および発生に影響はみられなかった。ラットおよびウサギの胚・胎児発生に対する
無毒性量はそれぞれ 278 および 306 μg/kg/日と推定された。
Apr 09 2014 13:45:56
2.4 - p. 13
2.4.
非臨床試験の概括評価
ラットの出生前および出生後の発生ならびに母体の機能に関する試験(2.6.6.6.1.3.1)にお
いて、180 μg/kg/日までを妊娠 6 日~分娩後 20 日に皮下投与したところ、180 μg/kg/日群で妊
娠 6~21 日に F0 母動物の体重増加量の低値傾向みられ、60 μg/kg/日以上の群で投与開始 1 週
に摂餌量の低値がみられ、180 μg/kg/日群では分娩後も低値を示した。F0 母動物の妊娠およ
び分娩ならびに F1 出生児の生存性に対する悪影響は認められなかったが、母体毒性(体重
増加量および摂餌量低値)がみられた 180 μg/kg/日群において生後 7~21 日に出生児体重の
低値が観察された。離乳後においては、F1 の生存性、一般状態、体重および摂餌量に投与に
関連した影響は認められなかった。また、F1 の行動機能および生殖能ならびに F2 出生児に
対する悪影響も認められなかった。
母動物の生殖能および次世代の出生前・後の発生に対する無毒性量はそれぞれ 180 および
60 μg/kg/日と推定された。
GSK573719/GW642444
GSK573719A はラットおよびウサギにおいて催奇形性を示さなかったが(2.6.6.6.1.2.1 およ
び 2.6.6.6.1.2.2)、GW642444M では、ウサギにおいて 62.7 μg/kg/日以上の吸入投与または
300 μg/kg/日の皮下投与により β2 刺激薬で発現することが知られている胎児異常(口蓋裂、
眼瞼開存、胸骨分節癒合、前頭骨骨化異常など)がみられている(レルベア 100 エリプタ他
資料概要参照)ことから、GSK573719A および GW642444M の併用皮下投与による胚・胎児
発生への影響について検討した(2.6.6.6.2.1.1)。その結果、GSK573719A/GW642444M の
100/100 μg/kg/日をウサギの妊娠 7~19 日に皮下投与しても、胚・胎児発生に対する影響(胎
児体重、外表検査)は認められなかったことから、GSK573719A および GW642444M の配合
剤の臨床使用において、胚・胎児発生に対して影響を及ぼす可能性は低いと考えられた。
2.4.4.6.
局所刺激性試験
GSK573719
再構築ヒト角膜上皮モデルを用いた in vitro 試験(2.6.6.7.1.1)において、GSK573719A は
軽度~中等度の眼刺激性を有することが示された。
2.4.4.7.
2.4.4.7.1.
その他の毒性試験
皮膚感作性試験
GSK573719
GSK573719A をマウス耳介に 1 日 1 回 3 日間塗布し、局所リンパ節中の細胞増殖反応を評
価した皮膚感作性試験(2.6.6.8.1.1)において、GSK573719A は感作性物質ではないことが
示された。
Apr 09 2014 13:45:56
2.4 - p. 14
2.4.
2.4.4.7.2.
非臨床試験の概括評価
ブリッジング試験
GSK573719
GSK573719A に添加物として COA または MgSt を配合したときの毒性および TK について
比較検討するため、ラットおよびイヌの 14 日間吸入投与ブリッジング試験を実施した(そ
れぞれ 2.6.6.8.1.2.1 および 2.6.6.8.1.2.2)。
いずれの動物種においても GSK573719A の毒性および TK に添加物(COA または MgSt)
の違いによる影響は認められなかった。なお、イヌ 14 日間吸入投与ブリッジング試験では
いずれの添加物群においても剖検で中等度~重度の胆嚢拡張がみられ、病理組織学的検査で
は軽微~軽度の筋線維変性/再生が認められた。
2.4.4.7.3.
不純物の安全性評価
GSK573719
GSK573719A 原薬中で安全性の確認が必要となる閾値(0.15%)を超えて規格が設定され
ている類縁物質(8 種類)について安全性を評価した(2.6.6.8.1.3)結果、いずれの不純物に
おいても反復投与毒性試験における無毒性量ならびにがん原性試験または遺伝毒性試験にお
ける陰性用量での推定曝露量はヒト推定最大曝露量を上回っていたことから、安全性が確認
されていると判断した。
Apr 09 2014 13:45:57
2.4 - p. 15
表 2.4.4-1
GSK573719A 単独投与時のラットおよびイヌにおける主要所見とその最小影響量/無影響量
ラット
主要所見
最小影響量(μg/kg)a
イヌ
無影響量(μg/kg)a
2.4 - p. 16
14 日間または 4 週間吸入投与試験:
胆嚢: 筋線維変性/再生
243
26.1
上気道 - 刺激性変化
NO
NO
心拍数/脈拍数上昇
13 週間吸入投与試験:
38
NO
上気道 - 刺激性変化
NO
NO
心拍数/脈拍数上昇
26 および 39 週間吸入投与試験:
87.1
NO
気道 - 刺激性変化
NO
NO
心臓・肺 - 血管所見
NO
NO
心拍数/脈拍数上昇
a = 投与量は各試験の全投与期間を通しての推定投与量
b = イヌ 14 日間投与ブリッジング試験(その後実施した長期間投与試験では同程度の曝露量でも観察されず)
c = 39 週間投与試験における最高用量
- = 該当せず、NO = 観察されず
最小影響量 (μg/kg)a
無影響量(μg/kg)a
1018b
16.2
208
1002c
NO
16.2
NO
1070
1070
187
421
421
109
109
109
NO
2.4.
非臨床試験の概括評価
Apr 09 2014 13:45:57
表 2.4.4-2
主要所見
GSK573719 および GW642444 併用投与時のラットおよびイヌにおける主要所見とその影響量
ラット
影響量 (μg/kg)
GSK573719/GW642444
All
2.4 - p. 17
ラット:
上気道 (鼻甲介, 鼻咽頭, 喉頭, 気管分岐部) における刺激性変化の増強
NO
イヌ:
混合性炎症細胞浸潤 (喉頭粘膜)
NO
イヌ:
肺における亜急性~慢性炎症 (食道/胃内容物の誤嚥に対する二次的変化)
NO
イヌ:
心筋への影響 (末梢血管拡張および反射性頻脈に対する二次的変化)
注:GSK573719 および GW642444 の併用投与による新たな毒性の発現は認められず
a=
イヌ 4 週間併用吸入投与試験
b=
イヌ 13 週間併用吸入投与試験
All = おおむね全併用投与群で影響が上気道の影響範囲およびその程度には併用投与の投与量により相違がみられた。
ラットにおける GSK573719/GW642444 併用時の投与量は 817/4.37、1200/60.7 および 1060/1040 μg/kg/日
NO = 観察されず
イヌ
影響量 (μg/kg)
GSK573719/GW642444
NO
1070/7.5b
1070/7.5b
190/205a
2.4.
非臨床試験の概括評価
Apr 09 2014 13:45:57
表 2.4.4-3
主要な毒性試験における GSK573719 の曝露量と
COPD 患者 (62.5 および 125 μg/日)における推定曝露量および肺到達量の比較
動物種/投与期間/
投与方法など
(レポート番号)
ラット
4 週間吸入
(WD2005/01422/00)
ラット
14 日間ブリッジング吸入
(WD2006/03225/00)
ラット
13 週間吸入
(WD2007/02012/00)
2.4 - p. 18
Apr 09 2014 13:45:57
AUC0-t
(ng・hr/mL)b
26.1
242.8
1828.5
1509 (COA 配合乳糖)
1498 (MgSt 配合乳糖)
1381 (乳糖のみ)
38
102
288
924
87.1
289
987
30.1/14.7
101/45
276/137
16.2
208
2757.6
1018 (COA 配合乳糖)
1023 (MgSt 配合乳糖)
1103 (乳糖のみ)
40.7
187
1070
109
421
1002
1.52
6.69
144
111
126
32.1
0.767
1.44
3.79
16.5
1.55
7.19
22.5
0.201/0.103
0.690/0.318
1.95/1.12
NA
NA
94.1
58.0
66.9
69.0
0.717
2.69
14.6
7.65
33.2
70.4
4.15
19.9
232
198
212
79.5
2.10
6.09
16.2
40.1
8.08
27.1
65.4
0.113/0.637
4.05/2.10
13.5/6.75
NA
NA
205
46.6
57.4
66.1
0.684
3.93
22.5
11.2
36.3
76.2
ヒトに対する動物の曝露量比
(62.5 μg/日投与時)
Cmax
AUC
肺到達量 d
19
11
7.0
84
55
65
1814
636
488
1398
542
402
1587
581
399
404
218
368
10
5.8
10
18
17
27
48
44
77
208
110
246
20
22
23
91
74
77
283
179
263
2.5/1.3
0.3/1.7
8.0/3.9
8.7/4.0
11.1/5.8
27/39
24.6/14.1
37.0/18.5
74/37
NA
NA
5.9
NA
NA
76
1185
562
1003
730
128
370
843
157
372
869
181
401
9.0
1.9
15
34
11
68
184
62
389
96
31
40
418
99
153
887
209
364
ヒトに対する動物の曝露量比
(125 μg/日投与時)
Cmax
AUC
肺到達量 d
9.4
5.6
3.5
41
27
32
889
315
244
685
269
201
778
288
200
198
108
184
4.7
2.8
5.1
8.9
8.3
14
23
22
38
102
54
123
10
11
12
44
37
39
139
89
132
1.2/0.6
0.2/0.9
4.0/2.0
4.3/2.0
5.5/2.8
13/19
12.0/6.9
18.3/9.2
37/18
NA
NA
2.9
NA
NA
38
581
278
501
358
63
185
413
78
186
426
90
201
4.4
0.9
7.4
17
5.3
34
90
31
195
47
15
20
205
49
77
435
103
182
非臨床試験の概括評価
イヌ
13 週間吸入
(WD2007/01512/00)
イヌ
39 週間吸入
(FD2009/00466/02)
Cmax
(ng/mL)b
2.4.
ラット
26 週間吸入
(FD2009/00467/00)
ラット
がん原性吸入
(2012N131619_00)
イヌ
4 週間吸入
(WD2005/01423/00)
イヌ
14 日間ブリッジング吸入
(WD2006/03669/00)
投与量
(μg/kg/日)a
表 2.4.4-3
主要な毒性試験における GSK573719 の曝露量と
COPD 患者 (62.5 および 125 μg/日)における推定曝露量および肺到達量の比較(続き)
動物種/投与期間/
投与方法など
(レポート番号)
投与量
(μg/kg/日)a
Cmax
(ng/mL)b
AUC0-t
(ng・hr/mL)b
ヒトに対する動物の曝露量比
(125 μg/日投与時)
Cmax
AUC
肺到達量 d
1.0
0.3
NA
6.4
2.7
NA
11.0
14.8
NA
40
37
109
53
40
160
90
48
141
54
36
101
558
114
181
63
15
35
552
107
181
277
83
195
8.8
2.0
4.2
22
8.1
11
38
13
32
433
108
191
NA
NA
NA
NA
NA
NA
Apr 09 2014 13:45:58
非臨床試験の概括評価
到達率:げっ歯類 10%、イヌ 25%、ヒト 100%[Jones, 2013]
体重:マウス 0.03 kg、ラット 0.25 kg、イヌ 10 kg[Snipes, 1989]
肺重量:マウス 0.2 g、ラット 1.5 g、イヌ 110 g、ヒト 1000 g[Snipes, 1989]
2.4.
28.5
0.158
0.217
88.9
1.03
2.02
306
1.78
10.9
817 (4.37)
6.40
27.0
1200 (60.7)
8.60
29.6
1060 (1040)
14.5
35.2
757 (0)
8.72
26.6
996 (6.46)
90.4
84.0
イヌ
190 (205)
10.2
10.7
4 週間併用吸入
997 (0)
89.4
78.9
(FD2009/00391/00)
1070 (7.5)
44.9
61.4
イヌ
23 (29)
1.43
1.45
13 週間併用吸入
60 (72)
3.61
5.94
(WD2010/00677/01)
177 (183)
6.20
9.71
1048 (0)
70.1
79.6
0.0794
0.365
ヒト吸入 c
62.5 μg/日
0.162
0.737
125 μg/日
太字は無毒性量を示す、NA = 該当せず、NC = データ不十分のため算出せず
a = 投与量は各試験の全投与期間を通しての推定投与量. GW642444 との併用投与試験においては括弧内に GW642444 の投与量を示した。
b = 全身曝露量は全投与期間を通してのすべての測定値の算術平均であり(雌雄合算値平均)、曝露量はサンプリング時の推定投与量から
全投与期間を通しての推定投与量により補正した。
c = 日本人の COPD 患者に GSK573719A/GW642444M の 62.5/25 および 125/25 μg/日を投与したときの血漿中 GSK573719 の定常状態における曝露量
(母集団薬物動態解析による推定値) (2.7.2.2.1.6)
d = 肺到達量比は以下の計算式および想定より算出した。
動物の肺中濃度(μg/g)
(到達率×投与量(μg/kg)×動物体重(kg))/ 動物肺重量(g)
肺到達量比=
=
ヒトの肺中濃度(μg/g)
ヒト投与量(μg) / ヒト肺重量(g)
ウサギ
胚・胎児吸入
(WD2007/00762/00)
ラット
4 週間併用吸入
(FD2009/00392/00)
2.4 - p. 19
ヒトに対する動物の曝露量比
(62.5 μg/日投与時)
Cmax
AUC
肺到達量 d
2.0
0.6
NA
13.0
5.5
NA
22.4
29.9
NA
81
74
218
108
81
320
183
96
283
110
73
202
1139
230
362
128
29
69
1126
216
363
565
168
389
18
4.0
8.4
45
16
22
78
27
64
883
218
381
NA
NA
NA
NA
NA
NA
表 2.4.4-4
GSK573719A および GW642444M 併用投与試験における GW642444 の曝露量と
COPD 患者 (25 μg/日)における推定曝露量および肺到達量の比較
動物種/投与期間/投与方法など
(レポート番号)
ラット
4 週間併用吸入
(FD2009/00392/00)
イヌ
4 週間併用吸入
(FD2009/00391/00)
イヌ
13 週間併用吸入
(WD2010/00677/01)
2.4 - p. 20
投与量
(μg/kg/日)a
Cmax
(ng/mL)b
AUC0-t
(ng・hr/mL)b
Cmax
4.37 (817)
60.7 (1200)
1040 (1060)
869 (0)
6.46 (996)
205 (190)
174 (0)
7.5 (1070)
29 (23)
72 (60)
183 (177)
180 (0)
25 μg/日
NC
1.40
18.5
27.2
8.51
81.0
72.8
4.47
30.4
73.1
86.8
99.9
0.130
NC
3.81
76.6
115
12.7
207
199
10.7
74.9
156
192
231
0.670
NC
11
142
209
65
563
560
34
234
562
668
768
NA
ヒトに対する動物の曝露量比
AUC
肺到達量 d
NC
2.9
5.7
40
114
693
172
579
19
5.9
309
186
297
158
16
6.8
112
26
233
55
287
166
345
164
NA
NA
ヒト吸入 c
NA = 該当せず、NC = データ不十分のため算出せず
a = 投与量は各試験の全投与期間を通しての推定投与量. GW642444 との併用投与試験においては括弧内に GSK573719 の投与量を示した。
b = 全身曝露量は全投与期間を通してのすべての測定値の算術平均であり(雌雄合算値平均)、曝露量はサンプリング時の推定投与量から
全投与期間を通しての推定投与量により補正した。
c = 日本人の COPD 患者に GSK573719A/GW642444M の 62.5/25 および 125/25 μg/日を投与したときの血漿中 GW642444 の定常状態における平均曝露量
(母集団薬物動態解析による推定値) (2.7.2.2.1.6)
d = 肺到達量比は以下の計算式および想定より算出した。
到達率:げっ歯類 10%、イヌ 25%、ヒト 100%[Jones, 2013]
体重:マウス 0.03 kg、ラット 0.25 kg、イヌ 10 kg[Snipes, 1989]
肺重量:マウス 0.2 g、ラット 1.5 g、イヌ 110 g、ヒト 1000 g[Snipes, 1989]
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非臨床試験の概括評価
動物の肺中濃度(μg/g)
(到達率×投与量(μg/kg)×動物体重(kg))/ 動物肺重量(g)
=
ヒトの肺中濃度(μg/g)
ヒト投与量(μg) / ヒト肺重量(g)
2.4.
肺到達量比=
2.4.
2.4.5.
非臨床試験の概括評価
総括および結論
GSK573719 は M1~M5 のムスカリン受容体サブタイプ全体に対して作用する拮抗薬であ
り、in vitro および in vivo において M3 受容体に対して強力かつ長時間持続性の拮抗作用を示
すことにより、長時間持続性の気管支収縮抑制作用を発現する LAMA であることが示唆さ
れた。GW642444 はサルメテロールと同程度の効力をもち、類似した薬理学的性質を有する
LABA である。また、LAMA または LABA の単独使用による効果が不十分な場合には、
COPD のガイドラインにより両薬剤の併用が推奨されている。したがって、
GSK573719A/GW642444M の併用は 2 種類の異なる作用機序によりそれぞれの単独投与より
も強力な気管支拡張作用を示すと考えられ、併用により中枢神経系、心血管系および呼吸系
に対して重篤な有害事象を発現する可能性は低いことから、COPD 患者に 1 日 1 回吸入投与
により肺機能を改善し、COPD 症状を軽減することが期待される。
ラットおよびイヌに GSK573719A を吸入投与したときの血漿中には GSK573719 が定量さ
れたが、血漿中濃度のバラツキは大きかった。GSK573719 の曝露量は投与量増加に伴い増
加し、いずれの動物種でも GSK573719 の曝露量に性差および蓄積はなかった。また、
GSK573719A を吸入投与したとき、GSK573719 は肺から吸収されると考えられた。
有色ラットに静脈内投与したときの薬物関連物質は速やかに広く組織に移行し、薬物関連
物質はメラニンと結合すると考えられた。ヒトでの GSK573719 の in vitro 血漿蛋白結合率は
88.9%であり、血球移行性は低かった。また、ラットの授乳期に GSK573719A を皮下投与し
たとき、生後 10 日の出生児血漿中に GSK573719 が検出された(2/54 例)。
動物およびヒトでのおもな代謝経路は水酸化および O-脱アルキル化であった。
ラットおよびイヌに 14C-GSK573719A を単回静脈内および経口投与したときの薬物関連物
質の主排泄経路は糞であり、イヌではおもに胆汁を介して糞中に排泄されると考えられた。
GSK573719 の in vitro 代謝にはおもに CYP2D6 が関与し、Pgp、OCT1 および OCT2 の基質
であったが、臨床試験での成績(2.7.2.2.1.8.1.1、2.7.2.2.1.8.2.1、2.7.2 の付録(表 2.7.2.5-2)
の AC4110106 および DB2114637 試験)より、GSK573719A は臨床で CYP2D6、Pgp、OCT1
および OCT2 を阻害または誘導する薬剤と併用投与する際に薬物動態学的薬物相互作用を起
こす可能性は低いと考えられた。また、GSK573719 は in vitro で CYP2D6 および 3A4 を阻害
したが、臨床試験での成績(2.7.2.2.1.3.2.3、DB2113208 試験)より、CYP の基質薬剤と併用
投与する際に薬物動態学的薬物相互作用を起こす可能性は低いと考えられた。
GW642444M は OCT1、OCT3、OCTN1 および OCTN2 の基質ではなかった。
雌雄ラットおよびイヌに GSK573719A/GW642444M をそれぞれ 4 および最長 13 週間併用
吸入投与したとき、血漿中濃度のバラツキは大きかった。また、併用投与により互いの曝露
量に明らかな影響を及ぼさなかった。
GW642444M 単独投与による毒性評価は、レルベア 100 エリプタ他の承認申請時に以下の
ように評価されている。GW642444M 投与により観察されたおもな所見は、心血管系、気道、
代謝および雌生殖器官(乳腺を含む)などへの影響であり、いずれも β2 刺激薬の class effect
であった。また、GW642444M は遺伝毒性およびヒトに対して懸念されるがん原性は有して
いないと考えられた。生殖発生毒性試験ではウサギにおいて多くの β2 刺激薬で知られてい
る胎児症候群(低頻度の口蓋裂、眼瞼開存、前頭骨骨化異常など)が観察されたが、臨床投
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2.4 - p. 21
2.4.
非臨床試験の概括評価
与時の曝露量を大きく上回る曝露によって認められたもので、ヒトにおいて発現する危険性
は低いものと考えられた。雌ラットの生殖器官への影響に関する検討の結果、これらの変化
は β2 刺激薬の長期投与によるげっ歯類に特異的に発現すると考えられるもので、臨床使用
において危惧すべき所見ではないと考えられた。さらに、GW642444M 原薬中に含まれる不
純物についても、その設定された規格範囲内で、その安全性は確認された。
GSK573719A については、その急性毒性、反復投与毒性、遺伝毒性、がん原性、生殖発生
毒性、局所刺激性および皮膚感作性について検討し、原薬中に含まれる不純物(類縁物質)
の安全性を評価した。さらに、GW642444M との反復投与毒性および胚・胎児発生に対する
影響について検討した。その結果、GSK573719A を反復吸入投与した際にみられた投与に関
連した主要所見は、上気道における刺激性変化および薬理作用(抗ムスカリン作用)に関連
した心血管系への影響であった。ラットおよびイヌの上気道における刺激性変化は
GSK573719A の局所刺激による影響と考えられ、GSK573719A の粘液分泌抑制作用により増
強が認められた。イヌでは心拍/脈拍数の増加がみられ、これに伴い呼吸性洞性不整脈の消
失が観察されたが、投与に関連した心電図への影響は認められなかった。
GSK573719A は遺伝毒性およびがん原性は有していないと考えられた。また、
GSK573719A は雌雄受胎能、胚・胎児発生および出生後の発生に影響を及ぼさなかった。し
かしながら、母体毒性(体重増加量および摂餌量低値)がみられた 180 μg/kg/日(臨床曝露
量の約 34 倍)の投与により出生児体重の低値が認められた。
GSK573719A および GW642444M をラットおよびイヌに反復吸入投与しても、併用投与に
よる新たな毒性はみられず、ラット上気道での刺激性変化にわずかな増強が認められたのみ
であった。また、併用投与によるウサギの胚・胎児発生に関する試験でも催奇形性は認めら
れなかった。
以上より、GSK573719A および GW642444M を単独または併用投与したときの忍容性は良
好であり、主要所見は各薬物の薬理作用に関連した変化または局所刺激によるものであった
ことから、本剤の適正な臨床使用において、予期しない重篤な副作用が発現する可能性は低
いと考えられた。
2.4.6.
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