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科学の最先端における 測定機能
科学の最先端における 測定機能 科学の最先端における測定機能 科学の最先端では、研究が「科学上の発見」にとどまらず、新しい科学の発見 へとつながることがよくあります。銀河系やナノスケール、あるいはその中間 における現象の解析に並外れた速度と正確な測定ソリューションにより、信頼 性の高い結果が得られます。 世 界 中 の ラ ボ で、Agilentの 測 定 シ ス テ ム は、 高 性 能 の 実 験 シ ス テ ム に 不可欠なものになっています。Agilentの測定器は、高速測定が必要な2つの 主要分野(リアルタイム・アプリケーションとシングルショット/イベント・ ベースのアプリケーション)で使用されています。Agilentは、システムのモ ニタや制御、実験の相互作用データやイベント・データの捕捉に必要な最高の 速度と正確な測定結果を提供します。 2 写真:CERN からの厚意により掲載。 ©Copyright CERN Geneva. 非常に難しい研究にも対応可能 Agilentの最先端研究用測定ソリューションは、実験装置に直接統合することが できます。オシロスコープ、電源、高速データ変換などの測定器を取り揃えて います。Agilentのデジタイザは、多くの同期捕捉チャネル(高速、低消費電力、 高チャネル密度、高確度)が必要な場合に特に有用です。 このカタログの残りの部分では、2つのカテゴリ(リアルタイム・アプリケーショ ンとシングルショット測定)の6つの最先端アプリケーションについて紹介しま す。これらのアプリケーションは、業界最高性能のシンクロトロンのモニタ/ 制御から、大気中の希少ガンマ線イベントの測定にまで及びます。これは、 Agilentの測定システムの機能のほんの一例に過ぎません。Agilentは、世界中 の研究チームと緊密な協力関係を維持し、非常に難しいプロジェクトにも対応 する最適なソリューションの構築を支援しています。 www.agilent.co.jp/find/advanced-research 3 リアルタイム・モニタリング/制御をリード ダイナミック・リアルタイム測定により、さまざまな実験プロセスを拡張す 「Agilent Acqirisデジタイザが、 ることができます。例えば、システム・パラメータの設定、理想条件を満た ビーム・モニタリング測定を すまでの高速プロセス・モニタリング、実験データの記録(数秒間、数分間、 数時間)などがあります。 可能にしています。 Agilent Acqirisデジタイザは、 目的の信号の捕捉/解析に必要な このような状況でデータを高速収集するには、スループットを最大にする必 速度と帯域幅を備えています。」 要があります。Agilent Acqirisデジタイザは、データ帯域幅を最大化し、 高速測定を実現する革新的な手法を実装しています。今日では、これらの機 能により、粒子/電子ビームの制御やモニタリングなどのアプリケーション やリアルタイムでのマイクロ波分光分析処理で、優れたスループットを実現 Stéphane Deghaye CERN - 欧州原子核研究機構 ビーム部門、制御グループ エンジニア(コンピュータ) しています。 粒子ビームの制御 CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)は、世界最高性能の粒子加速器で、7 TeVの衝突エネルギーを生み出すことができます。CERNコントロール・セン タ(CCC)は、LHCおよびLHCにビームを供給する一連の加速器を管理していま す。オープン・アナログ信号情報システム(OASIS)は、インジェクタ・チェー ンに沿って、2,000個を超える個々のアナログ信号を収集して表示することがで きます。 陽子バンチが光速に近い速度で移動している場合は、測定速度が極めて重要で、 デジタイザの測定間のデッド・タイムが非常に短くなければなりません。これが、 CERNがすべての加速器にAgilent Acqirisデジタイザを使用している主な理由 の1つです。現在、500 Mサンプル/s ∼ 8 Gサンプル/sの範囲、8ビットまたは 10ビット分解能(1チャネル/2チャネル/4チャネル)のデジタイザが70個以上 設置されています。これらのデジタイザは、広帯域ビームのモニタリング、加 速器のキャビティ内の順方向/逆方向RF信号のモニタに使用されています。 大型加速器 (LHC) スーパー陽子 シンクロトロン (SPS) PSB 陽子 子 ロトロン シンクロ ス タ ート :L ina c2 (PS) S) 写真:CERN からの厚意により掲載。 ©Copyright CERN Geneva. 4 蓄積リング ビー ム線 ブースタ・ リング 強い光の発生 リアルタイム・モニタリング/ 制御機能の拡張 シンクロトロン光源は、電子を加速さ せて、太陽より100万倍も明るい光子 ビームを生成します。この強い光は、サ ブ・ナノメートル・スケールの材料化学、 生物学、医学の分光実験に使用されて います。 高品質ビームを作るために、Australian Synchrotron(AS)は、フィルパターン・モニタリング (FPM)と呼ばれ る手法を用いて、蓄積リングの電子バンチの強度分布をリアルタイムで 測定しています。FPM手法では、超高速光ダイオードと高性能デジタ イザを使用して、シンクロトロン放射光を測定します。 ASチームは、Agilentと協力して、バンチ毎の分解能が得られるダイオー ド/デジタイザ・ディテクタを開発しました。これにより、蓄積リング への追加電子の入射をコンピュータ制御して、損失を補填したり、特定 の 実 験 の カ ス タ ム・ フ ィ ル パ タ ー ン を 作 成 す る こ と が で き ま す。 Agilentが開発した手法は、Australian Synchrotronの制御システム・ ソフトウェアに不可欠なものになっています。 FFT 分光分析のリアルタイム実行 大気の研究では、マイクロ波放射測定により、分子の回転遷移によって 放出される弱い放射を測定することで、オゾンや二酸化炭素などの物質 が定量化されます。このような放射により圧力に依存したスペクトラム 線が発生するので、調査対象物質の高度プロファイルを作成することが できます。 測定機器の周波数分解能により、体積混合比プロファイルが得られる上 限高度が決まります。また、測定全体の帯域幅により下限高度が決まり ます。 リアルタイムでの FFT分光分析は、通常、観測機器に乗せて空中に運ば れる音響光学型分光計(AOS)に代わる方法で す。比較テストにより、Agilent Acqirisデ ジタイザで構成されたリアルタイム・システ ムは、同等のテスト結果が得られることがわ かっています。また、このシステムには、広 い垂直軸範囲と優れた垂直軸分解能、広いダ イナミック・レンジ、温度や振動に対する優 れた安定度といった利点があります。 詳細について Agilentのリアルタイム・モニタリング/制 御 用 ソ リ ュ ー シ ョ ン の 詳 細 に つ い て は、 www.agilent.co.jp/find/advanced-researchをご覧ください。 5 U1065A高速デジタイザ: 2 ∼ 8 Gサンプル/sで10ビット の 分 解 能(1 ∼ 4チ ャ ネ ル )、 PCIインタフェース経由で最大 400 MB/sの速度、1 Gサンプ ルの捕捉メモリ、高速トリガ・ レートでの複数のアプリケー ションの同時捕捉/読取り。 U1080A高速 デジ タイザ(オ ン ボードFPGA搭載): 2 ∼ 4 Gサ ン プ ル/sで8ビ ッ ト の分解能(2チャネル)、信号処 理用のオンボードFPGA、ADC のフル・スピードでのリアルタ イム32 kポイント・フリーラン FFT用のファームウェア(オプ ション)。 U1084A高速 デジ タイザ(オ ン ボードFPGA搭載): 2 ∼ 4 Gサ ン プ ル/sで8ビ ッ ト の分解能(2チャネル)、信号処 理 用 の オ ン ボ ー ドFPGA、4x PCIeインタフェースで最高500 MB/sの速度、オンボード・デー タ削減用のファームウェア・オ プション。 シングルショット・イベントの捕捉 ワンショット実験では、イベント全体を捕捉できるので、詳細なポスト・プ ロセッシングや複数の観点からの解析が行えます。希少イベントの識別、爆 発イベントの捕捉、原子レベルのプロセスの最適化では、これは極めて重要 です。 これらのアプリケーションでは、データの収集に、高速度、優れた測定忠実 度、大容量メモリが必要です。Agilentは、正確かつ詳細なデータ捕捉を実 現するさまざまな革新的な手法(トリガ遅延、データ・ストリーミング、マ ルチチャネル同期)を実装しました。 「Agilentのデジタイザを使用する ことにより、n_TOF研究チームは、 予想どおりの中性子捕捉実験を 行うことができました。 大容量の内蔵メモリ、高いクロック 確度、有用なデータ削減機能を備えた デジタイザは、まさに私たちが必要と していたものです。 」 Paolo Cennini CERN- 欧州原子核研究機構 n_TOFテクニカル・コーディネータ 電波天文学における利用 天文学者は、高度な手法を用いて、可視光の観測では困難だったり、 不可能なイベントを特定します。そのひとつの例が、電波天文学 の最前線であるガンマ線です。これらの光線は、活動銀河系の中 心にある超巨大質量ブラックホールなどの過程、または超新星の 爆発の後に残ったパルサーによって生成されます。 ガンマ線の大部分は地球の大気圏で吸収されてしまいますが、吸収 過程でチェレンコフ放射光が数ns間にわたって発生します。このような 放出は地上の検出器を使って測定することができますが、宇宙線(豊富)もガ ン マ 線( 稀 )も チ ェ レ ン コ フ 放 射 を 引 き 起 こ す た め、 検 出 は 困 難 で す。 Agilent Acqirisデジタイザは、これら2つの光線が識別でき、トリガ遅延や ns分解能などの機能により、真のガンマ線を捕捉できます。 光速度測定機能の拡張 さまざまな衝撃実験や無衝撃実験で、光速度測定が診断ツールとして用いられて います。光ドップラー速度測定(PDV)と呼ばれる手法は、表面速度を測定するた めの簡単で比較的低価格の方法です。このようなシステムには、光ファイバ、連 続波(CW)ファイバ・レーザ、光ファイバ・サーキュレータ、光プローブ、ディ テクタ、高性能デジタイザが用いられています。速度情報がタイム・ドメイン信 号内に周波数として埋め込まれるため、DSP法では、非常に弱い信号でも高い 確度で抽出できます。 速度測定の上限は、デジタイザのアナログ帯域幅により決まります。 帯域幅が広いほど、見かけ上の速度は速くなります。PDVの絶対 確度は、デジタイザのタイムベースとレーザの波長により決まり ます。Agilentの測定器はこのような実験に最適です。研究者は、 2.325 km/sまでの表面速度の測定にはAgilent Acqirisデジタイ ザを、10 km/sまでの表面速度の測定にはAgilentデジタイジング・ オシロスコープを使用しています。 6 放射性廃棄物の核変換の最適化 原子力発電では、管理が必要な放射性廃棄物が発生します。研究者 たちは、数十年にわたり、このような廃棄物の量を削減し、環境へ の毒性を低減する方法を模索してきました。今日では、核変換は、 放射性元素をより寿命の短い物質や安定した物質に変換する最新の 技術です。 核変換は放射性崩壊の過程で自然発生しますが、問題の放射性物質 に対応する厳密なエネルギー・レベルの中性子間の相互作用を利用 して人工的に加速することができます。工業規模で放射性廃棄物の 核変換を最適化するには、正確な相互作用エネルギーの「フィンガー プリント」を得るための方法が必要です。このような方法の1つは、 中性子飛行時間法(n_TOF)と呼ばれ、陽子を鉛ターゲットに入射 させます。これらの中性子の束が放射性物質の隣接サンプルに影響 を与え、その相互作用をモニタします。 n_TOFプロセスの正確な制御と最適化は、モニタ可能な中性子エ ネルギーの分解能に依存します。CERNの研究者たちは、Agilent Acqirisデジタイザを含めた実験装置を使用しています。このシス テムでは、中性子間の相互作用を、より広いエネルギー範囲にわたっ て、より詳細かつ正確にモニタすることが可能になっています。 シングルショット・イベント の測定機能の拡張 U1050Aタイム−デジタル・コン バータ: 5 psまたは50 psのタイミング 分解能を備え、12個のチャネル を記録可能。 U1064A高速デジタイザ: 1 ∼ 4 Gサンプル/sで8ビットの 分解能(1 ∼ 4チャネル) 、最大 32 Mサンプルの捕捉メモリ。 U1065A高速デジタイザ: 2 ∼ 8 Gサンプル/sで10ビット の分解能(1 ∼ 4チャネル)、最 大1 Gサンプルの捕捉メモリ。 U1066A高速デジタイザ: 420 Mサンプル/sで12ビットの 分解能(2チャネル)、最大8 M サンプルの捕捉メモリ。 AcqirisMAQSマルチチャネル収 集ソフトウェア: データ収集システムの制御/モ ニタリング専用のターンキー・ ソフトウェア。 陽子 シンクロトロン 200 m U1056B高速データ・コンバータ・ ブースタ システム: デジタイザ、シャーシ、インタ フェース、アクセサリ、 AcqirisMAQSソフトウェアの 組み合わせにより、一体型のデー タ収集システムを実現。 TOFチューブ 実験領域 中性子源 線 形 加 速 器 DSO91308A、DSO91208A、 DSO90808A高性能Infiniium 詳細について オシロスコープ: 40 Gサンプル/sで8ビットの分 解能(最大8チャネル)、最大1 G サンプルの捕捉メモリ、最大13 GHzの帯域幅。 Agilentのシングルショット・アプリケーション用 ソリューションの詳細については、www.agilent. co.jp/find/advanced-researchをご覧ください。 7 科学の最先端における測定機能 科学の最先端では、研究が「科学上の発見」にとどまらず、新しい科学の発 見へとつながることがよくあります。世界中の最先端研究施設で、Agilent の測定システムは要求の厳しい実験システムに不可欠なものとなっていま す。リアルタイム・アプリケーションでもシングルショット・イベントでも、 Agilentは、最先端の科学におけるシステムのモニタや制御、実験装置から のデータ捕捉に必要な速度と正確な測定結果を提供します。 「私たちがマックス・プランク天文学 研究所向けに設計した 電波天文学用の受信機は、 Acqirisテクノロジーの アプリケーションの採用によって 劇的なテクノロジーの進歩を 詳細については、以下のWebサイトをご覧ください。 www.agilent.co.jp/find/advanced-research 実証しました。」 John Summers RFエンジン 販売/営業開発担当副社長 アジレント・テクノロジー株式会社 本社〒 192-8510 東京都八王子市高倉町 9-1 計測お 客様窓口 受付時間 9:00-18:00(土・日・祭日を除く) www.agilent.co.jp www.agilent.co.jp/find/digitizers TEL ■■ 0120-421-345 (042-656-7832) FAX ■■ 0120-421-678 (042-656-7840) Email [email protected] 電子計測ホームページ www.agilent.co.jp ● 記載事項は変更になる場合があります。 ご発注の際はご確認ください。 © Agilent Technologies, Inc.2010 Published in Japan, May 28, 2010 5990-5420JAJP 0000-00DEP