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「気になる」幼児の発達の遅れと偏りに関する研究

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「気になる」幼児の発達の遅れと偏りに関する研究
東北大学大学院教育学研究科研究年報 第 58 集・第 2 号(2010 年)
「気になる」幼児の発達の遅れと偏りに関する研究
本 郷 一 夫* 飯 島 典 子** 平 川 久美子***
本研究は保育所における「気になる」子どもの発達的特徴を明らかにするために、「気になる」子
ども 48 名(3 歳児クラス 10 名、4 歳児クラス 24 名、5 歳児クラス 14 名)に対して、乳幼児発達スケー
ル(KIDS)および「気になる」子どもの行動チェックリスト(D-3 様式)への記入を保育者に求めた。
その結果、以下の点が明らかになった。① KIDS の 8 つの領域の発達月齢は実際の生活月齢よりも
下回っていた。また、その差は年長児ほど大きくなっていた。②「気になる」子どもは特定の領域に
難しさを抱えているのではなく、同じ領域の中でも「できること」と「できないこと」の発達の偏り
が大きかった。③〈言語(表出)
〉の通過率と〈対人的トラブル〉
〈衝動性〉の平均得点との間に正の相
関が、
〈社会性(対成人)
〉
の通過率と〈順応性の低さ〉
〈ルール違反〉の平均得点および「気になる」子
どもの行動チェックリスト全体の平均得点との間に負の相関が認められた。
キーワード:
「気になる」子ども、保育所、発達の偏り、KIDS、行動チェックリスト
Ⅰ.問題と目的
保育の場では、いわゆる「気になる」子どもの理解と支援のあり方についての関心が高まってい
る。ここでいう「気になる」子どもとは、顕著な知的な遅れがないにもかかわらず「子ども同士のト
ラブルが多い」
「自分の感情をうまくコントロールできない」
「多動である」などの行動特徴をもつ子
どもである(本郷,2005)
。本郷・澤江・鈴木他(2003)による保育所における「気になる」子どもの調
査では、
「気になる」子どもは男児に多く(83.0%)、どの年齢にも存在していること、また、そのほ
とんどの子ども(82.3%)
が相談機関を利用していないという結果が得られた。これには、
「気になる」
子どものように知的に遅れが見られない子どもの場合、3 歳児健診などで発達の問題を指摘される
ことが少なく、集団活動を通じて保育者が問題行動に気づくことが多い(小枝・関・前垣,2007)こ
とが関連していると考えられる。
このような「気になる」子どもが示す問題行動の特徴は大きく「対人的トラブル」
「落ち着きのな
教育学研究科 教授
仙台幼児保育専門学校 非常勤講師
***
教育学研究科 博士課程後期
*
**
― ―
121
「気になる」幼児の発達の遅れと偏りに関する研究
さ」
「状況への順応性の低さ」
「ルール違反」
「衝動性」の 5 つに分けられる(本郷,2006b)。本郷・飯島・
杉村他(2005)の調査では、これらの行動特徴は、3 歳以前から観察されるが、とりわけ「対人的トラ
ブル」
は年齢にともなって増加する傾向にあることが示された。これに関連して本郷・杉村・飯島他
(2006)
は「気になる」子どもの「対人的トラブル」
について「気になる」子どもの行動チェックリスト
と行動観察との関連を検討している。その結果、保育者は「気になる」子どもの他児への否定的行
動の多さ自体が「気になる」
のではなく、それをきっかけとして他児からの否定的行動が生じトラブ
ルが発生する場合に「気になる」ことが明らかにされた。これらのことから、「気になる」子どもと
他児との関係の問題は「気になる」子どもの「問題」行動そのものというよりも、他児からの反応に
よって大きく変化すると考えられる。
また、
「気になる」子どもの行動特徴は保育の工夫や保護者への支援を通じて変化することが知
られている。本郷・飯島・平川他(2007)による保育コンサルテーションの効果の検討では、「状況
への順応性の低さ」
「ルール違反」
といった行動特徴は、支援の結果減少することが示された。一方、
「落ち着きのなさ」は幼児期では変化しにくいことが示された。このように、子どもによっては支援
を通じて「気にならない」子どもになっていく場合もあるが、後に発達障害児として学校教育場面
において特別な配慮が必要になる場合もあるため、比較的早期からの支援が重要である(本郷,
2006a)
。
適切な支援を進めていくためには「気になる」子どもの問題行動の背景となる発達状態を捉える
必要がある。しかしながら、
「気になる」子どもの発達状態は行動特徴を捉えただけでは理解する
ことが難しい。たとえば、平澤・藤原・山根(2005)
は、保育の場における「気になる・困っている行動」
を示す子どもを「診断なし群」
と「診断あり群」
(
「知的障害以外群」)と「診断あり群」
(「知的障害群」)
とに分け、保育者の「気になる・困っている行動」の違いについて検討を行っている。その結果、保
育者の「気になる・困っている行動」の上位 5 項目には、「集団活動に関する問題」と「ことばに関す
る問題」がいずれの群にも含まれていた。このように、幼児期初期では診断名の有無に関係なく問
題行動が共通していることがある。したがって、「気になる」子どもの支援にあたっては行動の背
景にある発達的特徴を捉え、その発達上の困難さや課題に応じた支援を進めていく必要がある。
しかしながらこれまで「気になる」子どもの発達がどのような特徴をもつのかという観点につい
ては十分な検討がなされているとは言えない。とりわけ、「気になる」子どもの発達的特徴は単純
な知的な遅れでは説明できない(平澤・藤原・山根,2005;古市,2009)。むしろ、その他の発達の特
徴についても捉える必要がある。そこで本研究では、「気になる」子どもの発達の特徴を詳細に捉
えることで、
「気になる」子どもの支援のあり方を検討することを目的とした。
Ⅱ.方 法
1. 対象児
「保育の場における『気になる』子どもの保育支援に関する研究プロジェクト」の 2006 年度と 2009
年度に参加した S 市の保育所のうち、のべ 17 カ所から「気になる」子どもとして報告された 50 名の
― ―
122
東北大学大学院教育学研究科研究年報 第 58 集・第 2 号(2010 年)
うち、
「KIDS(乳幼児発達スケール)
」と「
『気になる』子どもの行動チェックリスト(D-3 様式)」の
いずれも記入がなされた子ども 48 名(男児 40 名、女児 8 名)を対象とした。子どもの内訳は、3 歳児
クラス 10 名(平均月齢 49.5 か月)
、4 歳児クラス 24 名(平均月齢 61.2 か月)、5 歳児クラス 14 名(平均
月齢 71.4 か月)
であった。
2. 調査期間
2006 年 10 月~ 11 月および、2009 年 10 月~ 11 月。
3. 尺度
「気になる」子どもの発達特徴と行動特徴を把握するために、在籍するクラスの担任の保育者に
KIDS と「気になる」子どもの行動チェックリスト(D-3 様式)に記入を求めた。
⑴ KIDS
KIDS は、養育者(主に母親)や保育者といった乳幼児の日頃の行動によく触れている大人が子ど
もの生活全体の様子を評価することで、乳幼児の発達状態を把握できるように構成された質問紙で
ある。この KIDS は対象年齢によって質問紙のタイプが異なっており、タイプ C は 3 歳 0 か月から 6
歳11か月の子どもに用いるようになっている。このタイプ C は〈運動〉
(16項目)
〈操作〉
(16項目)
〈言
語(理解)
〉
(16 項目)
〈言語(表出)
〉
(16 項目)
〈概念〉
(16 項目)
〈社会性(対子ども)〉
(16 項目)
〈社会
性(対成人)
〉
(16 項目)
〈しつけ〉
(21 項目)
の 8 つの領域(全 133 項目)から構成されていた。
KIDS の各項目にはそれが出来る場合の該当年齢が示され、マニュアルに従った記入方法では生
活年齢を基準とし生活年齢に該当する項目から開始するようになっている。しかし、本研究では「気
になる」子どもの発達特徴を詳細に捉えるため、すべての子どもについてタイプ C の最初の項目(最
も月齢の低い子どもについて記入を開始する項目)から開始した。そして、保育者に各項目につい
て対象児が「明らかにできる」あるいは「やらせればできる」と思われる項目にチェックするよう求
めた。
⑵ 「気になる」子どもの行動チェックリスト(D-3 様式)
「気になる」子どもの行動特徴を把握するために、本郷(2006b)による「気になる」子どもの行動
チェックリスト(D-3 様式)を用いた。このチェックリストは、当該児について保育者がどのような
点で「気になる」
と感じているのかを整理するためのものであり、
〈保育者との関係〉
〈他児との関係〉
〈集団場面〉
〈生活・遊び場面〉
〈その他〉の 5 つの領域(各領域 12 項目、合計 60 項目)から構成されて
いた。このうち〈その他〉
は広汎性発達障害の子どもの特徴で構成されていた。
保育者は対象児と誕生日が近い同性の他児(複数)と比べて各項目に示される特徴がどの程度「気
になる」のかを、
「まったく気にならない」⑴から「たいへん気になる」⑸までの 5 段階で評定するよ
うに求められた。集計にあたっては、どのような場面で「気になる」行動がみられるのかを表す領
域別平均得点のほか、どのような点で「気になる」のかを表す因子別平均得点(各因子 6 項目:
〈対人
的トラブル〉
〈落ち着きのなさ〉
〈状況への順応性の低さ〉
〈ルール違反〉
〈衝動性〉)が算出できるよう
― ―
123
「気になる」幼児の発達の遅れと偏りに関する研究
に構成されていた。
Ⅲ.結 果
1. KIDS における発達月齢差
KIDS では各領域の得点および総合得点に応じて発達月齢を算出できるように構成されている。
そこで、対象児の実際の月齢と KIDS による発達月齢との差を求めた。表 1 には領域ごとの発達月
齢差が示されている。表1より、
全領域において実際の月齢よりも KIDS の発達月齢の方が低かった。
全体で最も月齢差が大きかったのは〈社会性(対成人)〉
(- 15.7)であり、次いで〈運動〉
(- 11.0)、
〈し
つけ〉
(- 10.1)
であった。
表 1 発達月齢差
領域
運 動
操 作
KIDS 月齢-生活月齢
-11.0
-6.7
言語
言語
(理解) (表出)
-7.8
-9.1
概 念
-9.5
社会性
社会性
しつけ
(対子ども)
(対成人)
-8.7
-15.7
-10.1
表2には年齢群ごとの結果が示されている。ここから、いずれの年齢群においても社会性(対成人)
の月齢差が最も大きかった。しかし、この領域の項目には「自分にできない工作など、親に作れと
せがむ」
「親に行き先を言って遊びに行く」
「買い物でおつりをもらうことができる」など保育所では
観察されないものが多く含まれている。
そのため、保育者はこれらの項目に答えることができなかっ
たため、発達月齢差が大きくなった部分もあると考えられる。
表 2 年齢群ごとの発達月齢差
KIDS 月齢-生活月齢
運 動
操 作
言語(理解)
言語(表出)
概 念
社会性(対子ども)
社会性(対成人)
しつけ
3 歳児
4 歳児
5 歳児
-4.9
-6.7
-4.4
-4.4
-4.3
-6.0
-7.8
-3.3
-12.6
  -5.3
  -8.5
  -9.3
-10.5
  -8.0
-16.3
-11.9
-12.7
  -9.1
  -8.9
-12.1
-11.4
-11.9
-20.2
-12.1
F値
多重比較
6.98**
3 歳児< 4 歳児・5 歳児
3.61*
4.36*
4.44*
8.41**
7.90**
3 歳児< 5 歳児
3 歳児< 4 歳児・5 歳児
3 歳児< 5 歳児
3 歳児< 4 歳児・5 歳児
3 歳児< 4 歳児・5 歳児
自由度はいずれも(2,45)*p < .05, **p < .01
その他の領域も含めてみると、全般的に年齢群が高くなるほど発達月齢差は大きくなる傾向に
あった。とりわけ、
〈運動〉
〈しつけ〉では、3 歳児群から 4 歳児群にかけて発達月齢差の開きは 6 か
月以上大きくなっていた。そこで、領域ごとに年齢群ごとの発達月齢差について一元配置の分散分
析を行って検討した結果、
〈運動〉
〈言語(表出)
〉
〈概念〉
〈社会性(対子ども)〉
〈社会性(対成人)〉
〈し
― ―
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東北大学大学院教育学研究科研究年報 第 58 集・第 2 号(2010 年)
つけ〉
の領域において統計的な有意差が認められた。Bonferroni の多重比較を行ったところ、
〈運動〉
〈概念〉
〈社会性(対成人)
〉
〈しつけ〉
は 4 歳児、
5 歳児の方が 3 歳児よりも発達月齢差が有意に大きかっ
た。また、
〈言語(表出)
〉
〈社会性(対子ども)
〉
は 5 歳児の方が 3 歳児よりも発達月齢差が有意に大き
かった。
〈操作〉
〈言語(理解)
〉
では有意差が認められなかった。
2. KIDS における項目通過率
対象児それぞれの生活月齢以下の全項目について保育者が「明らかにできる」
「やらせればでき
る」と回答したという基準に基づいて通過率を求めた。先述したように項目にはそれが出来る場合
の月齢が示されている。そのため、年長児ほど記入された項目数が多く、年少児では記入された項
目数が少ない。また、
〈社会性(対成人)
〉では保育所では確認できないような内容の項目には記入
されていないこともあった。そのため、項目ごとに記入数にばらつきが生じていた。そこで、記入
数が 24 以上で保育所において確認可能な項目のうち通過率が 60%以下であった項目を表 3 に、通過
率が 90%以上であった項目を表 4 にまとめた。
ここから、
領域ごとの通過率をみると同じ領域の項目でも通過率の高い項目と低い項目があった。
すなわち、
〈運動〉では「転がって動いているボールを捕まえることができる」
「20m ぐらいスムー
ズに全力疾走ができる」
などは通過率 100%であるのに対し、
「子ども達だけでリレー遊びができる」
「ボールを 3 回ぐらいドリブルできる」などの通過率は低かった。〈言語(理解)〉では「10 まで数えら
れる」
「指の数がいくつあるかを知っている」
などの通過率が高い一方で、「歌が 10 曲以上歌える」は
通過率が低かった。
〈概念〉
では「
『強い・弱い』
がわかる」
「『勝ち・負け』がわかる」などの通過率が高
いのに対し、
「
『厚い・薄い』
がわかる」
「
『右・左』
がわかる」の通過率は低かった。〈社会性(対子ども)〉
では「おにごっこのルールがわかる」
「紅白の競技で勝敗がわかる」は通過率 100%であるのに対し、
「グループの中で妥協しながら遊ぶ」
「2 ~ 3 人でないしょ話をする」などは通過率が低かった。そし
て、
〈しつけ〉では、
「ズボン、スカートを自分で脱ぐ」
「口をすすぐことができる」は通過率 100%で
あるに対し、
「歯磨きを自分からやる」
の通過率は低かった。
このような項目による通過率の違いは、単純に月齢の低い項目の通過率が高く、月齢の高い項目
の通過率が低いというものではなかった。すなわち、KIDS で示されている各項目が出来た場合の
月齢
(通過月齢)
をみると、
「20ピースのジグソーパズルができる」
(〈操作〉)
「10まで数えられる」
(〈言
語(理解)
〉
)といった 5 歳代の項目の通過率が高いのに対し、「ブランコに立ち乗りができる」
(〈運
動〉
)
「グループの中で妥協しながら遊ぶ」
(
〈社会性(対子ども)〉)といった 4 歳程度の項目の通過率
が低かった。
― ―
125
「気になる」幼児の発達の遅れと偏りに関する研究
表 3 通過率の低い項目
領 域
通過月齢
通過数
通過率
子ども達だけでリレー遊びができる
スキップができる
ボールを 3 回ぐらいドリブルできる
ブランコに立ち乗りができる
5:0
4:3
5:3
3:9
10
22
14
27
35.7
48.9
56.0
57.4
言語(理解)
歌が 10 曲以上歌える
4:3
24
54.5
概 念
「厚い・薄い」がわかる
「右・左」がわかる
4:6
4:6
21
21
53.8
55.3
4:6
4:3
4:3
4:9
18
19
21
20
48.6
48.7
51.2
55.6
交差点の信号を見て正しく渡る
5:0
18
52.9
歯磨きを自分からやる
4:3
21
47.7
運 動
項 目
社会性(対子ども) 小さい子の世話をする
グループの中で妥協しながら遊ぶ
グループがひとつとなって、ごっこ遊びができる
2 ~ 3 人でないしょ話をする
社会性(対成人)
しつけ
*〈社会性(対成人)〉のうち保育所で確認できない内容の項目は除いた
表 4 通過率の高い項目
領 域
項 目
通過月齢
通過数
通過率
運 動
すべり台をあお向けになって、すべり降りることができる
転がって動いているボールを捕まえることができる
片足ケンケンができる
20m ぐらいスムーズに全力疾走ができる
でんぐりがえりができる
公園にあるジャングルジムの頂上まで登れる
片足で 5 秒間くらい立っていられる(動いてもよい)
3:3
3:3
3:3
3:6
3:0
3:6
3:6
47
47
48
48
46
46
45
100.0
100.0
100.0
100.0
97.9
95.8
93.8
操 作
自分でのりをつけて、紙をはる
まねて十字が書ける
ハサミで紙を直線に切る
20 ピースのジグソーパズルができる
3:0
3:3
3:3
5:0
48
47
46
31
100.0
97.9
95.8
91.2
言語(理解)
10 まで数えられる
友達の名前がわかる
指の数がいくつあるかを知っている
5:0
3:0
4:3
46
45
37
95.8
95.7
92.5
同年齢の子どもとふたりで会話ができる
3:0
45
95.7
3:0
3:6
3:9
46
44
44
97.9
91.7
91.7
4:9
4:9
37
36
100.0
100.0
自分が作ったものを見せたがる
3:3
46
95.8
ズボン、スカートを自分で脱ぐ
口をすすぐことができる
自分でパンツを脱いでオシッコをする
脱いだ後、服をたためる
自分でパジャマが着られる
箸が使える
ジャンパーなどの上着を自分で着る
3:0
3:3
3:0
4:0
3:6
3:3
3:9
48
48
47
46
46
45
44
100.0
100.0
97.9
97.9
95.8
93.8
91.7
言語(表出)
概 念
「汚い・きれい」がわかる
「強い・弱い」がわかる
「勝ち・負け」がわかる
社会性(対子ども) おにごっこのルールがわかる
紅白の競技で勝敗がわかる
社会性(対成人)
しつけ
*〈社会性(対成人)〉のうち保育所で確認できない内容の項目は除いた
― ―
126
東北大学大学院教育学研究科研究年報 第 58 集・第 2 号(2010 年)
3. 「気になる」子どもの行動特徴
表 5 には「気になる」子どもの行動チェックリスト(D-3 様式)の結果が示されている。ここから、
領域別平均得点では、いずれの年齢群においても〈集団場面〉における保育者の「気になる」程度が
最も高かった。因子別平均得点では、
3 歳児群では〈落ち着きのなさ〉因子においてのみ保育者の「気
になる」程度が 3.0 以上であった。4 歳児群、5 歳児群では 5 つの因子全てが 3.0 以上であった。とり
わけ 4 歳児群では〈順応性の低さ〉
、5 歳児群では〈落ち着きのなさ〉
〈衝動性〉において保育者の「気
になる」程度が最も高かった。
表 5 「気になる」子どもの行動における領域別・因子別平均得点の変化
3 歳児
4 歳児
5 歳児
全体
領 域
保育者との関係
他児との関係
集団場面
生活・遊び場面
その他
2.42
2.53
2.74
2.58
1.89
2.83
2.84
3.26
3.13
2.23
2.98
2.76
3.31
3.09
1.98
2.79
2.75
3.16
3.00
2.09
因 子
対人的トラブル
落ち着きのなさ
順応性の低さ
ルール違反
衝動性
2.45
3.03
2.98
2.78
2.67
3.08
3.26
3.39
3.17
3.25
3.29
3.32
3.21
3.17
3.32
3.01
3.23
3.25
3.09
3.15
表 6 「気になる」子どもの行動における特徴的な項目
領 域
因 子
項 目
平均得点
保育者
集団場面
集団場面
他 児
集団場面
集団場面
生活・遊び
保育者
集団場面
他 児
順応性の低さ
落ち着きのなさ
衝動性
ルール違反
順応性の低さ
落ち着きのなさ
衝動性
落ち着きのなさ
対人的トラブル
対人的トラブル
一度主張し始めるとなかなか自分の考えを変えない
じっと椅子に座っていられない
周りの子どもにつられて騒いでしまう
他児とともに一定時間待っていることができない
集団場面より、一対一場面の方が落ち着いていられる
手足をそわそわ動かしたり、きょろきょろしたりする
いけないと分かっているのに、ついついやってしまう
他のことが気になって、保育者の話を最後まで聞けない
椅子に座っている時、他児に話しかける
他児の行為に対して怒る
3.73
3.71
3.65
3.58
3.58
3.52
3.52
3.44
3.38
3.33
表 6 には項目ごとの平均得点の上位 10 項目がまとめられている。項目別にみると、「一度主張し
始めるとなかなか自分の考えを変えない」
(
〈保育者との関係〉領域〈順応性の低さ〉因子)
「じっと椅
子に座っていられない」
(
〈集団場面〉領域〈落ち着きのなさ〉因子)の順に保育者の「気になる」程度
が高かった。この 10 項目には〈その他〉領域を除く 4 つの領域の項目が含まれている。
4. KIDS の通過率と「気になる」子どもの行動チェックリスト(D-3 様式)との関連
KIDS の通過率と「気になる」子どもの行動チェックリスト(D-3 様式)の全項目の平均得点および
因子別平均得点との相関係数を算出した。表 7 にはその結果が示されている。このうち 5%水準以
― ―
127
「気になる」幼児の発達の遅れと偏りに関する研究
下の有意な正の相関が認められたものは、
〈言語(表出)〉の通過率と〈対人的トラブル〉
〈衝動性〉の
平均得点との間であった。また、
〈社会性(対成人)〉の通過率と〈順応性の低さ〉
〈ルール違反〉の平
均得点および D-3 全体の平均得点との間に負の相関が認められた。
表 7 KIDS の通過率と「気になる」子どもの行動チェックリストの平均得点との関連
対人
落ち着き
順応性
ルール
衝動性
D-3 全体
運動
操作
言語(理解)
言語(表出)
概念
社会性(対子ども)
社会性(対成人)
しつけ
-.049
.096
.195
.349*
.244
.217
-.177
.023
-.115
-.144
.050
.177
.051
.085
-.226
-.005
-.179
-.141
-.092
.057
-.100
-.078
-.513**
-.237
-.176
-.163
-.095
.022
-.102
-.071
-.531**
-.237
-.137
-.037
.159
.310*
.189
.106
-.237
-.010
-.145
-.063
.037
.196
.037
.013
-.339*
-.086
KIDS 全体
.169
-.009
-.222
-.236
.067
-.057
*p < .05, **p < .01
Ⅳ.考 察
本研究は保育の場における「気になる」子どもの発達の特徴を捉えることを目的とした。具体的
には「気になる」子ども 48 名について KIDS を用いて実際の生活月齢と発達月齢との差、項目通過
率および、KIDS の通過率と「気になる」子どもの行動についての保育者評定との関連について分
析した。以下にそれぞれについて考察を行う。
1. 発達月齢差
KIDS によって求められる発達月齢と実際の生活月齢との差の検討では、
〈運動〉
〈操作〉
〈言語(理
解)
〉
〈言語(表出)
〉
〈概念〉
〈社会性(対子ども)
〉
〈社会性(対成人)〉
〈しつけ〉の 8 領域すべてにおいて、
発達月齢は生活月齢を下回っていた。また、
この差は年齢の増加にともない大きくなる傾向にあり、
とりわけ〈運動〉
〈概念〉
〈社会性(対成人)
〉
〈しつけ〉では 3 歳児と 4 歳児、5 歳児との間で、
〈言語(表
出)
〉
〈社会性(対子ども)
〉では 3 歳児と 5 歳児との間で有意な差が認められた。このことから、「気
になる」子ども自身の発達は進んでいたとしても、年齢が高くなるほど集団との発達の開きが大き
くなると考えられる。そのため、年長児ほど「気になる」子どもはクラス集団の活動への参加や、他
児との関わりにおいて困難さが生じやすくなると推察される。久保山・齊藤・西牧他(2009)の調査
では、保育者が捉える「気になる子ども」
の保育上の課題のうち「集団での活動における課題」は 3 歳
児から 4 歳児、5 歳児にかけて増加していた。したがって、このような保育場面での課題が生じる背
景には「気になる」子どもが集団と同じように振る舞うことの難しさが、年齢の増加にともない大
きくなることが関係していると思われる。これに関連して発達障害児への理解と対応について検討
している小枝・関・前垣(2007)は、知的発達に遅れがないが落ち着きがない、あるいは対人関係に
問題があるといった発達障害は、保育所や幼稚園において集団を経験する中で見えてくるとしてい
る。そして、早期発見というのは早ければ良いといものではなく、むしろ問題点が見えてくる時期
― ―
128
東北大学大学院教育学研究科研究年報 第 58 集・第 2 号(2010 年)
に適切に発見するという「適正発見」
という考え方が望ましいとしている。これらのことから、各々
の時期において「気になる」子どもの苦手さや困難さに応じた対応をすることで、「気になる」子ど
もが集団活動に参加できるように支援していくことが求められると言える。
2. KIDS の項目の通過率
KIDS の項目ごとに設定されている月齢を通過しているかどうかという観点から通過率を算出し
た結果、
「気になる」子どもは特定の領域に難しさを抱えているのではなく、同じ領域の中でも「で
きること」
と「できないこと」
の発達の偏りがあることが示された。たとえば、
〈言語(理解)〉では「10
まで数えられる」
(5:0)
の通過率が高いが「歌が 10 曲以上歌える」
(4:3)の通過率が低かった。また
〈社会性(対子ども)
〉では「おにごっこのルールがわかる」
(4:9)の通過率が高いが「グループの中
で妥協しながら遊ぶ」
(4:3)の通過率は低かった。このように「気になる」子どもは年齢相当の項目
だけでなく、子どもによっては年齢を上回る項目も通過する場合もある。しかしその一方で、同じ
領域において年齢を下回る項目に通過しないこともある。このことが、保育者が「気になる」子ど
もの問題の背景を捉えることの難しさに繋がると考えられる。
さらに複数の領域にわたる発達の偏りもみられた。すなわち、
〈概念〉
「『勝ち・負け』がわかる」
(3:
9)
、
〈社会性(対子ども)
〉
「紅白の競技で勝敗がわかる」
(4:9)、〈運動〉
「20 mぐらいスムーズに全
力疾走ができる」
(3:6)
の通過率が高いのに対し、
〈運動〉
「子ども達だけでリレー遊びができる」
(5:
0)の通過率は低かった。ここから「気になる」子どもはリレー遊びをするための勝敗の理解や疾走
が発達しているにもかかわらずリレー遊びを成立させることが難しいことがうかがえる。この背景
には「気になる」子どもの中には 1 番になることや、勝ち負けにこだわる子どもがいることも関連し
ていると考えられる。すなわち、
「気になる」子どもは運動発達としてリレーを成立させられない
のではなく、勝敗にこだわるためにリレーといった勝ち負けのある遊びへの参加が難しいのではな
いかと推察される。したがって「気になる」子どもの支援にあたっては、ある領域の発達にだけ着
目するのではなく複数の領域の発達特徴との関連を検討し、問題行動の背景を整理する必要がある。
3. KIDS の通過率と「気になる」子どもの行動チェックリストとの関連
KIDS の各領域の通過率と「気になる」子どもの行動チェックリスト(D-3 様式)の保育者評定との
相関を求めた結果、
〈言語(表出)
〉と〈対人的トラブル〉因子および〈衝動性〉因子との間に正の相関
が認められた。
〈言語(表出)
〉には「遊びながらよくしゃべる」
「同年齢の子ども何人かで会話がで
きる」といった項目が含まれていた。一方、
〈対人的トラブル〉因子には「『バカヤロー』などの言葉
を言う」
「他児の行為に対して怒る」といった項目が、〈衝動性〉因子には「保育者の話を遮って自分
の考えを突然述べようとする」
「話している途中で別の話題に移ってしまう」といった項目が含まれ
ていた。ここから、
「気になる」子どもは他児や保育者と話をしたり、話しながら遊ぶことはできて
も、その途中で自分勝手に話し出したり、否定的な発言をすることでトラブルが発生しているので
はないかと予想される。
― ―
129
「気になる」幼児の発達の遅れと偏りに関する研究
実際、本研究と同じ「気になる」子どもの行動チェックリストを用いて、「気になる」子どもの知
的な遅れの有無による行動特徴の違いを検討した古市(2009)の調査でも類似した結果が得られて
いる。
すなわち、
知的な遅れのない群が遅れのある群に比べ有意に評定値が高かった項目は、
「ちょっ
としたことでも意地悪されたと思ってしまう」
「他児に暴言をはく」などの対人的トラブル、および
「やってはいけないとわかっているのについやってしまう」といった衝動性に関わる項目であった。
ここから、
「気になる」子どもの問題行動は知的な遅れでは十分に説明できないことがわかる。む
しろ、不快な情動の調整や、他者と円滑に相互交渉するための方法といった点に難しさがあると言
える。
また、
〈社会性(対成人)
〉と〈順応性の低さ〉因子、〈ルール違反〉因子および D-3 全体との間に負
の相関が認められた。
〈社会性(対成人)
〉の低さは保育所では確認できない内容の項目があること
が関連していることもあるだろう。しかしながら相関がみられている因子が〈順応性の低さ〉因子
と〈ルール違反〉因子であったことは着目する必要があろう。〈社会性(対成人)〉には「『おもちゃを
貸してあげなさい』と言うと指示に従う」
「幼稚園や保育園の先生の指示に従う」といった保育者の
働きかけへの応答についての項目がある。一方、
〈順応性の低さ〉因子には「集団場面より、一対一
場面の方が落ち着いていられる」といった項目が、〈ルール違反〉因子には「全体への指示に従わな
い」といった項目が含まれている。これらの項目はいずれも保育者の「気になる」子どもへの働きか
けに対する応答の問題である。このように、項目間の関連性に着目して見ることによって、「気に
なる」子どもの行動の背景の理解が進むであろう。
以上のことから、
「気になる」子どもの支援にあたっては、発達の偏りと遅れを発達連関の観点か
ら丁寧に捉え、それに応じた支援の方法を探ることが重要であると言えるだろう。
【文 献】
古市真智子.(2009).保育者からみた特別な支援が必要な子どもの特徴:明らかな知的障害のない子どもについて.
中部大学現代教育学部紀要,1,157-164.
平澤紀子・藤原義博・山根正夫.(2005).保育所・園における「気になる・困っている行動」を示す子どもに関する調
査研究:障害群からみた当該児の実態と保育者の対応および受けている支援から.発達障害研究,26,256-267.
本郷一夫.(2005).「気になる」幼児とは.言語,34,42-49.
本郷一夫.
(2006a).保育現場における支援.本郷一夫・長崎勤(編).特別支援教育における臨床発達心理学的アプロー
チ.別冊発達,28,182-190.
本郷一夫.
(2006b).保育の場における「気になる」子どもの理解と対応:特別支援教育への接続.東京:ブレーン出版.
本郷一夫・飯島典子・杉村僚子・高橋千枝・平川昌宏.(2005).保育の場における「気になる」子どもの保育支援に関
する研究.東北大学大学院教育学研究科教育ネットワーク研究室年報,5,15-32.
本郷一夫・飯島典子・平川久美子・杉村僚子.(2007).保育の場における「気になる」子どもの理解と対応に関するコ
ンサルテーションの効果.LD 研究,16,254-264.
本郷一夫・澤江幸則・鈴木智子・小泉嘉子・飯島典子.(2003).保育所における「気になる」子どもの行動特徴と保育
者の対応に関する調査研究.発達障害研究,25,50-61.
― ―
130
東北大学大学院教育学研究科研究年報 第 58 集・第 2 号(2010 年)
本郷一夫・杉村僚子・飯島典子・平川昌宏・太田久美子・高橋千枝.(2006).保育の場における「気になる」子どもの
保育支援に関する研究 2:
「気になる」子どもの行動チェックリストと行動観察との関連.東北大学大学院教育学
研究科教育ネットワーク研究室年報,6,35-44.
小枝達也・関あゆみ・前垣義弘.(2007).ちょっと気になる子どもたちへの理解と支援:5 歳児健診の取り組み.LD
研究,16,265-272.
久保山茂樹・齊藤由美子・西牧謙吾・當島茂登・藤井茂樹・滝川国芳.(2009).「気になる子ども」
「気になる保護者」に
ついての保育者の意識と対応に関する調査:幼稚園・保育所への機関支援で踏まえるべき視点の提言.国立特別
支援教育総合研究所研究紀要,36,55-76.
資料 1 通過率 60%以下の項目
領 域
言語(表出)
概念
しつけ
社会性(対成人)
運動
社会性(対成人)
運動
言語(表出)
社会性(対子ども)
操作
しつけ
社会性(対子ども)
社会性(対子ども)
運動
社会性(対成人)
言語(理解)
概念
社会性(対成人)
社会性(対子ども)
社会性(対成人)
操作
概念
言語(理解)
概念
社会性(対子ども)
運動
社会性(対子ども)
操作
運動
運動
言語(表出)
言語(表出)
言語(理解)
言語(理解)
項 目
公園へ行く道などを正しく説明できる
「勇気」がわかる
「ここで待っていなさい」と言われたら 15 分ぐらいじっと待てる
親に行き先を言って遊びに行く
ブランコを立ち乗りで大きくこぐことができる
「これいくら?」と値段を聞く
子ども達だけでリレー遊びができる
絵本の文章をハッキリ声を出して読む
野球遊びなど組織をする
カセットテープデッキを操作できる
歯磨きを自分からやる
小さい子の世話をする
グループの中で妥協しながら遊ぶ
スキップができる
公園などで知らない人にいたずらを注意されたらすぐにやめる
自分の誕生日(生年月日)がわかる
「無駄」がわかる
買い物でおつりをもらうことができる
グループがひとつとなって、ごっこ遊びができる
交差点の信号を見て正しく渡る
菱形が書ける
「厚い・薄い」がわかる
歌が 10 曲以上歌える
「右・左」がわかる
2 ~ 3 人でないしょ話をする
ボールを 3 回ぐらいドリブルできる
シール、人形などを友達と交換する
聞いたことを絵にする(それらしく見えればよい)
ブランコに立ち乗りができる
一人でなわとびができる
3 つの数字を逆に言える(295、816)
曜日をすべて言える
ひらがなで書かれた自分の名前が読める 46 字がすべて読める
何月何日かがわかる
― ―
131
記入数 通過数 通過率
1
1
4
28
20
12
28
10
5
23
44
37
39
45
47
12
4
12
41
34
13
39
44
38
36
25
23
7
47
12
12
17
10
5
0
0
0
4
5
4
10
4
2
10
21
18
19
22
23
6
2
6
21
18
7
21
24
21
20
14
13
4
27
7
7
10
6
3
0.0
0.0
0.0
14.3
25.0
33.3
35.7
40.0
40.0
43.5
47.7
48.6
48.7
48.9
48.9
50.0
50.0
50.0
51.2
52.9
53.8
53.8
54.5
55.3
55.6
56.0
56.5
57.1
57.4
58.3
58.3
58.8
60.0
60.0
「気になる」幼児の発達の遅れと偏りに関する研究
資料 2 通過率 90%以上の項目
領 域
操作
言語(表出)
概念
概念
しつけ
しつけ
言語(理解)
運動
しつけ
言語(理解)
言語(表出)
運動
操作
言語(理解)
社会性(対成人)
しつけ
運動
概念
しつけ
操作
しつけ
運動
運動
運動
運動
操作
社会性(対子ども)
社会性(対子ども)
しつけ
しつけ
項 目
20 ピースのジグソーパズルができる
見聞きしたことを親に話す
「強い・弱い」がわかる
「勝ち・負け」がわかる
ジャンパーなどの上着を自分で着る
自分でトイレに行きほとんど親の手を必要としない
指の数がいくつあるかを知っている
片足で 5 秒間くらい立っていられる(動いてもよい)
箸が使える
友達の名前がわかる
同年齢の子どもとふたりで会話ができる
公園にあるジャングルジムの頂上まで登れる
ハサミで紙を直線に切る
10 まで数えられる
自分が作ったものを見せたがる
自分でパジャマが着られる
でんぐりがえりができる
「汚い・きれい」がわかる
脱いだ後、服をたためる
まねて十字が書ける
自分でパンツを脱いでオシッコをする
すべり台をあお向けになって、すべり降りることができる
転がって動いているボールを捕まえることができる
片足ケンケンができる
20m ぐらいスムーズ全力疾走ができる
自分でのりをつけて、紙をはる
おにごっこのルールがわかる
紅白の競技で勝敗がわかる
ズボン、スカートを自分で脱ぐ
口をすすぐことができる
― ―
132
記入数 通過数 通過率
34
48
48
48
48
48
40
48
48
47
47
48
48
48
48
48
47
47
47
48
48
47
47
48
48
48
37
36
48
48
31
44
44
44
44
44
37
45
45
45
45
46
46
46
46
46
46
46
46
47
47
47
47
48
48
48
37
36
48
48
91.2
91.7
91.7
91.7
91.7
91.7
92.5
93.8
93.8
95.7
95.7
95.8
95.8
95.8
95.8
95.8
97.9
97.9
97.9
97.9
97.9
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
東北大学大学院教育学研究科研究年報 第 58 集・第 2 号(2010 年)
Delay and Deviation of Development of Children
with Special Care Needs
Kazuo HONGO
(Professor, Graduate School of Education, Tohoku University)
Noriko IIJIMA
(Lecturer, Sendai Nursery Teachers School)
Kumiko HIRAKAWA
(Graduate Student, Graduate School of Education, Tohoku University)
The purpose of present study was to clarify the developmental characteristic of children
with special care needs. Subjects were forty-eight 3-6 years old children. Teachers were asked to
complete Kinder Infant Development Scale (KIDS) and Behavior Checklist for Children with
Special Care Needs (D-3).
The main results were as follows:
⑴ The developmental age difference of〈Sociability (to Adult)〉in KIDS was the largest.
⑵ The developmental age difference in KIDS increased with the age.
⑶ The developmental bias in children with special care needs was large in the same
development domain.
⑷ There were positive correlation between 〈Language (Expression)〉 in KIDS and
〈Interpersonal Trouble〉
,〈Impulsivity〉in Behavior Check List. There were negative
correlation between〈Sociability (to Adult)〉in KIDS and〈Low Adoptability〉,〈Rule
Violation〉in Behavior Check List.
Key Words:children with special care needs, nursery school, developmental bias, KIDS, Behavior
Check List
― ―
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