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"PM2.5"による汚染の現状と対策~(PDF)

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"PM2.5"による汚染の現状と対策~(PDF)
2015/ 1/ 25
中国の大気汚染について
~微小粒子状物質“PM2.5”による
汚染の現状と対策~
在中国日本国大使館
経済部書記官(環境担当)
井上直己
済南に向かう高速鉄道の車窓から
2
3
4
5
http://m.pm25.com
「緑色呼吸」
6
全国城市空气质量实时发布平台
7
全国城市空气质量实时发布平台
8
9
微小粒子状物質(PM2.5)とは
• PM: Particulate Matters(粒子状物質)
– 工場のばい煙、自動車の排気ガス等(人間活動によ
るもの)と、黄砂、森林火災等(自然由来)
– 粒子として排出される一次粒子とガス状物質が大気
中で化学反応し、二次生成粒子を形成。
– 硫酸塩、硝酸塩等に加え、重金属(鉛、亜鉛、ヒ素、
カドミウム等)も付着。
• 2.5μm:
– 人の髪の毛:PM100(直径100μm=0.1mm)程度
– PM10:直径0.01mm以下=髪の毛の約10分の1
– PM2.5:直径0.0025mm以下=髪の毛の約40分の1
• PM10に占めるPM2.5の割合は、5~7割程度。
10
(出典)東京都環境局のウエブサイトより
11
衛星から観測したPM2.5(2001~2010年)
(出典) Global An n ual Averag e PM2.5 Grids from MODIS an d MISR Aerosol Optical Depth (AOD), 2010
12
厳重汚染時の北京市内の風景(2014年10月9日)
13
2014年10月9日の衛星写真
北京:
343μg m3
343μg/m
(出典)NASA: Earth Observatory
14
2014年11月2日の衛星写真 (APEC期間直前)
北京:
8 μg/m
μg m3
(出典)NASA Worldview: Earth Observatory
15
中国74都市の大気質の状況(2014年)
● 2014年1月~9月における大気質の状況は、74都市
の環境基準達成日の比率が79.1%(前年同期78.6%)、
京津冀が55.4%(同47.1%)と、それぞれわずかな改善
が見られるのに対し、上海周辺地域が83.5%(同
85.7%)、香港周辺地域が82.9%(同86.8%)と減少。
● 同期間のワースト10とベスト10の都市は下記の通り
1
2
3
4
5
6
7
ワース 济南
唐山 保定 邢台 邯郸 衡水 石家庄
ト
(山東) (河北) (河北) (河北) (河北) (河北) (河北)
8
9
10
北京
廊坊
(河北)
天津
(省)
ベスト 海口 舟山 拉萨 珠海 江门 贵阳 台州 丽水 深圳 福州
(チ
(広東) (広東) (貴州) (浙江) (浙江) 惠州 (福建)
(省・ (海南) (浙江)
ベット)
中山
自治
(広東)
区)
16
中国74都市の大気質の状況(2013年)
●全都市のPM2.5年平均濃度は72マイクログラム
(μg)/m3
●北京、天津、河北省全体のPM2.5濃度は、年平均
106μg/m3 。長江デルタは、67 μg/m3 、珠江デルタ
は、53 μg/m3
●国の基準値以下だった都市はチベット自治区ラサなど
3都市のみ。
●大気質指数について、昨年1年のワースト10は、
①邢台(河北省)、②石家庄(河北省)、③邯郸(河北
省)、④唐山(河北省)、⑤保定(河北省)、⑥济南(山東
省)、⑦衡水(河北省)、⑧西安(陝西省)、⑨廊坊(河北
省)、⑩郑州(河南省)。
※ 河北省から7都市がランクイン
17
大気汚染物質濃度の日中比較
2013年
中国
74都市平均
2012年度
日本
一般局
2012年度
日本
自排局
0.002
0.011
19
0.002
0.020
21
14.5
15.4
※1
SO2 (ppm) ※2
NO2 (ppm) ※2
SPM (μg/m³)
0.014
0.021
-
※3
PM10 (μg/m³)
118
PM2.5
(μg/m³)
72
※3
※1 中国のデータは中国環境保護部発表(2014年3月)
※2 中国のデータはmg/m³からppmに換算
※3 PM10とSPMでは粒径が異なることに注意が必要
18
北京市内から発生するPM2.5の汚染源別割合
(2012-13年度)
その他
14%
揚塵
14%
工業生産
18%
自動車
31%
石炭燃焼
23%
備考:その他にはレストラン、自動車修理、畜産養殖、建設塗装等が含まれる
出典:2014.4.16.北京市環境保護局発表「北京市PM2.5来源解析」
北京市内PM2.5の主要成分(2012-13年度)
微量元素
5%
その他
10%
有機物
26%
地殻物質
12%
アンモニウム
塩
11%
硫酸塩
16%
硝酸塩
17%
出典:2014.4.16.北京市環境保護局発表「北京市PM2.5来源解析」
元素炭素
3%
北京の大気汚染の現状
1級(優)11.2%
2級(良) 37%
3級(軽度汚染) 23%
2013年の大気質指数の割合
4級(中度汚染) 12.9%
5級(重度汚染) 12.3%
6級(厳重汚染) 3.6%
PM10, NO2等
O3
2013年の各汚染日における
主要汚染物質の比率
北京市政府公表資料より
PM2.5
21
600
北京における2013年のPM2.5濃度(1日平均値)
(米国大使館における観測点のデータを元に作成)
500
日平均値(μg/㎥)
日本の環境基準(35μg/㎥))
400
300
200
100
0
1月1日 2月1日 3月1日 4月1日 5月1日 6月1日 7月1日 8月1日 9月1日 10月1日 11月1日 12月1日
北京の米国大使館観測点データに基づく2013年平均値は
102μg/m3、日本の年平均環境基準(15μg/m3 )の約7倍
22
北京における2014年のPM2.5濃度(1日平均値)
500
400
日平均値(μg/㎥)
日本の環境基準(35μg/㎥)
(米国大使館における観測点
のデータを元に作成)
300
200
100
0
1月1日 2月1日 3月1日 4月1日 5月1日 6月1日 7月1日 8月1日 9月1日 10月1日 11月1日 12月1日
北京の米国大使館観測点データに基づく2014年平均値は98μg/m3、
日本の年平均環境基準(15μg/m3 )の6倍以上
北京市政府の発表(1月4日)によれば、北京市内の観測点の平均値
23
は、85・9 μg/m3 (前年より3.6 μg/m3低下)。
北京における近年のPM2.5濃度の推移
200
2012年度
2013年度
PM2.5濃度 (μg/m3)
2014年度
150
100
2010年度
50
2011年度
日本の環境基準: 35μg/m3
0
春
夏
秋
冬
10 11 12
4月 5月 6月 7月 8月 9月
1月 2月 3月
月 月 月
2010年度 80 87 107 120 100 95 116 122 98 44 163 58
2011年度 91 67 109 108 105 99 121 109 104 112 84 99
2012年度 94 90 96 81 81 60 94 94 102 199 124 125
2013年度 67 86 113 69 62 90 106 91 97 118 171 111
2014年度 95 72 59 89 63 71 141 105 82
(在中国米国大使館における観測点のデータを元に作成。)
済南市の大気汚染の状況
• 2014年8月において青空が見られたのは
6日間のみ。(昨年同期比の半数以下)
• 2014年1月~9月の全国74主要都市の空
気質指数ランキングで、済南はワースト
1。中国環境基準(75㎍/㎥)の達成日は
半数に満たなかった。
25
23:00
21:00
19:00
17:00
15:00
13:00
50
11:00
100
9:00
7:00
5:00
3:00
26日 1:00
23:00
21:00
19:00
17:00
15:00
13:00
500
11:00
9:00
7:00
5:00
3:00
25日 1:00
2014年10月25日午後 最高値 472μg
同年10月26日朝 最低値 7 μg
10月25日~26日のPM2.5の推移
最高値 472μg/㎥
450
400
350
300
250
200
150
最低値 7 μg/㎥
0
26
APEC期間中の取組
●10月24日、張高麗副総理は、APEC首脳会合
期間における大気汚染防止は、党中央等が高
度に重視、石にかじりついてでも全うしなければ
ならないと強調。
●APEC会議期間内は、北京及び周辺5省(河北
省、天津市、内モンゴル、山東省、山西省)にお
いて30~40%の排出削減をするべく、措置を実
施。
●環境保護部及び地方政府は、それぞれ監督組
を組織、各地で立入検査・監督を行い、生産停
止、減産、工事中止等を徹底
(11月の中国粗鋼生産は前年比で0.2%減少)
27
APEC期間中の北京の青空
28
2014年10月~11月における
北京市のPM2.5濃度(一日平均値)
10月8~10日
深刻汚染
の出現
10月24~25日
11月19~20日
11月26日
29日
10月
18~20日
日本の
環境基準
35μg/㎥
APEC リーダーズ・ウィーク
(平均値: 約58μg/㎥)
(出典) 在中国米国大使館のモニタリングデータを基に加工
APEC期間中の取組の評価結果
北京市環境保護局は12月17日、APEC期
間中の大気汚染対策の評価結果を公表。
・ 期間中のPM2.5全市平均濃度: 43 μg /㎥
・ もしも今回の措置がなければ69.5μg / ㎥
今回の措置により26.5μg / ㎥が削減
・ 汚染緩和の貢献度は、ナンバープレートの偶数
奇数による車両走行規制が39.5%で最も高
く、建設工事の中断:19.9%、工業生産停
止・減産:17.5%、同期間の休日化:12.4%、
道路のちり・ほこり対策:10.7%
30
環境基準及び
中国政府機関の対策
31
環境基準
中国
PM10
PM2.5
日本
米国
WHO指針
中国
日本
米国
WHO指針
年平均値
100μg/m3
(70μg/m3)(※)
20μg/m3
35μg/m3(※)
15μg/m3
12μg/m3(※※)
10μg/m3
1日平均値
150μg/m3
1時間値
-
100μg/m3
200μg/m3
150μg/m3
50μg/m3
75μg/m3(※)
35μg/m3
35μg/m3
25μg/m3
(※)2012年2月に改正環境基準が公布、PM10の年平均値が100 μg/m3 →70
μg/m3 へ強化され、PM2.5の環境基準を新たに設定。
新基準は、北京・天津・河北、長江デルタ、珠江デルタ等の重点地
域、直轄市及び省都の計74都市で2012年末から前倒しで実施、2016年1月
~全国施行。
(※※)米国:2013年3月にPM2.5の年平均値が15 μg/m3 →12 μg/m3へ強化32
注意喚起のための暫定的な指針
※1 環境基準は環境基本法第16条第1項に基づく人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準。
PM2.5に係る環境基準の短期基準は日平均値35µg/m3であり、日平均値の年間98パーセンタイル値で評価。
※2 高感受性者は、呼吸器系や循環器系疾患のある者、小児、高齢者等。
※3 暫定的な指針となる値である日平均値を超えるか否かについて判断するための値。
(環境省「微小粒子状物質(PM2.5)に関する専門家会合」、平成25年11月)
AQI(中国)と各汚染物質の濃度との関係
各汚染物質濃度の値
微小粒
二酸化 二酸化 粒子状 一酸化 一酸化 オゾン オゾン
子状物
大気質 SO2:
SO2: 窒素
窒素
物質
炭素
炭素
(O3): (O3):
分指数 24時間 1時間平 (NO2): (NO2): (PM10):(CO): (CO): 1時間平 8時間滑 質
(PM2.5):
(IAQI) 平均
均
24時間 1時間平 24時間 24時間 1時間平 均
動平均
24時間
(μg/m3) (μg/m3)平均
均
平均
平均
均
(μg/m3 (μg/m3
平均
(μg/m3)(μg/m3)(μg/m3)(μg/m3)(μg/m3))
)
(μg/m3)
0
50
100
150
200
300
400
500
0
50
150
475
800
1600
2100
2620
0
0
0
0
0
0
0
0
150
40
100
50
2
5
160
100
500
80
200
150
4
10
200
160
650
180
700
250
14
35
300
215
800
280 1200 350
24
60
400
265
ー
565 2340 420
36
90
800
800
ー
750 3090 500
48
120 1000
ー
ー
940 3840 600
60
150 1200
ー
各汚染物質の IAQI うち、最も高い数値がAQIとなる。 AQI
が50を超えている場合には、それに対応する汚染物質が首
要汚染物質となる。
→ PM2.5以外の汚染物質も含めた総合的な汚染指数
0
35
75
115
150
250
350
500
34
米国のAQI(大気質指数)
大気質指数
(AQI: Air
Quality
Index)
0-50
(緑)
51-100
(黄)
101-150
(橙)
151-200
(赤)
201-300
(紫)
301-500
(赤褐色)
PM2.5濃度
(日平
均)
指数の類別
健康影響
0-12
μg/ m3
12.1-35.4
μg/m3
良好(Good)
大気環境は良好で、汚染による危
険性はほとんど又はまったくない。
中程度
(Moderate)
大気汚染度は許容範囲だが、ある
種の汚染物質は一部の人の健康
に影響を与える可能性がある。
一般成人には健康に影響を及ぼす
おそれはないが、心臓・肺疾患患
者、高齢者及び子供は、リスクが増
える。
すべての人に対し、ある程度の健
康への影響を与える可能性があり、
敏感な人には、より深刻な影響を
与える可能性がある。
健康アドバイス
・特に敏感な人は、長時間又
は激しい屋外活動の減少を控
えるよう心がけるべき。
・心臓・肺疾患患者、高齢者
35.5- 敏感な人に影響
(Unhealthy for
及び子供(高リスクの人)は、
Sensitive Groups)
長時間又は激しい屋外活動を
3
μg/m
控えるべき。
健康に悪影響
・高リスクの人は、長時間又
(Unhealthy)
は激しい屋外活動を中止すべ
150.4
き。
3
μg/m
・すべての人は、長時間又は
激しい屋外活動を控えるべき。
・高リスクの人は、あらゆる
150.5- 健康に極めて悪影 健康に関する注意報:
響(Very
すべての人に対し、健康により深刻 屋外活動を中止すべき。
250.4
Unhealthy)
な影響を与える可能性がある。
・すべての人は、長時間又は
μg/m3
激しい屋外活動を中止すべき。
有害
健康に関する緊急警報:
250.5すべての人に対し、健康への影響
500.4 (Hazardous)
を及ぼす可能性が高い。
μg/m3
55.4
55.5
※米国と中国では環境基準が異なるため、 0~150μg/ m3の汚染濃度に対応するAQIが異なる。
※※ Technical assistance document for reporting of daily air quality(米国環境保護庁:http://www.epa.gov/airnow/aqi-technicalassistance-document-dec2013.pdf)(8頁目)を基に作成。
35
中国のAQI(大気質指数)
中国のAQI(大気質指数)
大気質指数 PM2.5濃度 指数の類
(AQI: Air
別
(日平均)
(2016年全国施
Quality
行)
Index)
0-50
優
0-35
(緑)
μg/m3
51-100
(黄)
35-75
μg/m3
良
健康影響
汚染なし
健康アドバイス
・通常の活動が可能
特に敏感な人に対し軽い影響
・特に敏感な人は、屋外活動を控え
るべき。
敏感な人は症状が悪化。健康な人に
も刺激症状
・心臓・肺疾患患者、高齢者及び子
供(高リスクの人)は、長時間又は
激しい屋外活動を控えるべき。
101-150
(橙)
75-115
151-200
(赤)
115-150 中度汚染 敏感な人はさらに症状が悪化。健康 ・高リスクの人は、長時間又は激し
な人も心臓や呼吸器へ影響の可能性 い屋外活動を中止すべき。
μg/m3
μg/m3
軽度汚染
・すべての人は、屋外活動を適度に
控えるべき。
201-300
(紫)
150-250 重度汚染 心臓病・肺疾患患者は症状が顕著に ・高リスクの人は、屋外活動を中止
悪化、抵抗力が低下。健康な人にも すべき。
μg/m3
すべて症状が出る
301-500
(赤褐色)
・すべての人は、屋外活動を控える
べき。
250-500 厳重汚染 健康な人も忍耐力が低下し、強烈な
症状が見られ、疾病を早期に発症
μg/m3
・高リスクの人は、屋内に留まり、
体力消耗を避けるべき。
・すべての人は、屋外活動を中止べ
き。
※米国と中国では環境基準が異なるため、 0~150μg/ m3の範囲に対応するAQIが異なる
36
中国の対策: 大気汚染防止行動計画
●13年9月12日、国務院は「大気汚染防止行動計画につい
ての通知」を公表。
●主要な目標は以下のとおり。
・17年までの5年間に全国の一定規模以上の都市のPM
10濃度を12年比10%以上低下させる。
・北京市、天津市、河北省、長江デルタ、珠江デルタ等の
区域(※)のPM2.5濃度を、それぞれおおよそ25%、
20%、15%低下させる。
・北京市のPM2.5濃度をおおよそ1立方メートル当たり
60μg(60μg/m3)に抑制。
(※)環境保護部によるとこの地域の国土面積は全体の8%ながら、全国の42%の
石炭、52%のガソリン・ディーゼルを消費し、55%の鉄鋼、40%のセメントを生
産、SO2、NOx、煤塵排出量の30%を占める。
37
中国の対策: 大気汚染防止行動計画
目標達成のための10項目の措置(十条措置)
1 総合対策の拡大、多汚染物
排出の減少(石炭小型ボイ
ラーの取締り、老朽車の淘
汰加速、新エネルギー車の
普及、ガソリン品質向上等)
2 産業構造の調整・最適化
6 市場メカニズム機能の発揮、
環境経済政策の整備(価格・
税制等の政策により大気汚
染防止分野への民間参入を
推奨)
7 法律体系の整備、法律の監
督管理の厳格化
3 企業の技術改造の加速、技 8 地域協力メカニズムの構築、
術革新能力の向上
地域環境ガバナンスの統括
4 エネルギー構造調整の加速、 9 観測予警報応急体制の整備、
クリーンエネルギー供給の増
重汚染天候に対する適切な
加
対応
5 省エネ環境保護に関する市 10 政府や企業の責任の明確化、
場参入条件の厳格化、産業
国民参加の働きかけ
38
38
の空間的分布の最適化
環境保護法改正
2014年4月24日、環境保護法が制定から25年を
経て、初めて全面改正。(2015年1月1日施行)
・環境保護は国の基本国策であると規定
・「保護優先」を同法の基本原則として規定
・行政担当官の人事評価に際して、環境保護目標
を指標とする「環境保護目標責任制度」に、強制
的効力を付与
・国は全国に観測測定ネットワークを構築、測定
データの共有メカニズムを整備、環境と健康に関
する測定、調査及びリスク評価を制度化
39
環境保護法改正
・土地開発利用計画の策定に当たっての環境影
響評価の実施の義務化
・環境汚染・破壊行為を、一定の団体が訴追する
「環境公益訴訟」を規定
・環境保護執行機関に、違法施設の差押え等の
「警察権力」を与え、公安執行機関と共同した刑事
拘留等の執行について規定
・区域共同防止調整メカニズムを規定
・環境情報公開及び民衆参画について、独立した
章を新設。(重点汚染排出機関に対して環境情報
公開を義務化)
40
中国国内の関連施策
・大気汚染防止法改正案が、2014年12月26日に全人代
常務委員会において審議。(同日、新華ネット)
(1987年制定。過去の改正は1995年及び2000年。)
・中国政府が大気汚染対策等の環境保護のために500
億元(約9700億円)規模の基金を設立する見通しに
なった。(2014年12月3日、中国証券報)
済南市の大気汚染対策
(2014年11月18日公布)
・ 空気質の目標: 2014年末に空気質を昨年
同期比10%以上削減、2015年末に
2010年比20%以上削減、済南市にて
70㎍/㎥以下に。
・2015年末まで、全市内の9.2万台の黄ラベ
ル車(老朽車)の淘汰
• 毎年新たに導入するバスの70%以上、タク
シーの100%をクリーンエネルギー車に。
• 2017年末には公共交通機関の分担率を
40%に。
42
済南市の大気汚染対策
(2014年11月18日公布)
1. 粉じん及び残渣対策
2. 工業汚染源対策
3. 自動車汚染対策行動
4. 精油品質保障行動
5. レストラン油煙集中対策行動
6. クリーンエネルギー普及行動
7. 工業廃熱利用行動
8. 東部老朽工業区の移転改造・老朽設備淘汰
9. 緑色生態バリヤの建設行動
10.全市民参加の環境保全行動
43
済南市の大気汚染対策「十大行動」
44
中国における大気汚染解決の見通し
• 中国政府系の環境観測機関幹部は、中国の
大気汚染の根本的解決には20~30年間か
かると指摘。「奇跡的な環境改善」をしても15
~20年かかるという。(2014年10月、中国中
央人民放送(電子版))
• 解振華・国家発展改革委員会副主任は、11
月25日、APECブルーの常態化は2030年頃
までに実現する見通しである旨を発言。
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日中大気汚染防止協力
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日中の大気汚染協力
• 北京市、甘粛省、河南省、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区
等で、暖房熱源の石炭から天然ガスへの転換等の円借款を実施
• 湖南省湘潭市や湖北省武漢市で、発電所・製鉄所、自動車の大気
汚染対策、総量削減計画策定を支援
• 省エネ・環境総合フォーラムや省エネ・環境ビジネスのマッチング(J
ETRO・NEDO・日中経済協会)を通じた企業支援
• 公害経験の共有や植林を通じた日中環境NGOの交流
日中の大気汚染協力
• 2014年3月、日中韓環境大臣会合の合意に基づく政策対
話を北京にて開催し、VOC対策やオフロード自動車対策
等について対話を継続することとされた。2015年春には当
該政策対話を韓国にて、第17回日中韓環境大臣会合を
中国にて、それぞれ開催予定。
• 日中経済協会が設立した中国大気汚染改善協力ネット
ワークは、2014年3月に山東省及び天津市のミッション団
を日本に招聘し、地方政府や中国企業と意見交換。
• JETRO、NEDO、日中経済協会が中国全土10個所に設
置している、日中省エネ・環境協力相談窓口を通じて、両
国企業による環境ビジネスのマッチングを推進。
日中の地方自治体間の協力推進
• 日本の自治体と中国の地方政府の間ではこれまで長きにわたり環
境協力が推進されてきている。
– 東京都 - 北京市
– 富山県 - 遼寧省
– 山形県 - 黒竜江省
– 川崎市 - 瀋陽市
– 北九州市 - 大連市
– 京都市 - 西安市
– 四日市市 - 天津市
等
• こうした豊富な経験を有する我が国の地方自治体を中心とした関係
機関の知見やノウハウを活用し、中国の主要都市における人材育
成等の協力を実施する連携強化・支援事業を、環境省が実施。
(年間1.3億円)
PM2.5に関する総合的な取組(政策パッケージ)の概要
取りまとめの背景
PM2.5対策は大気環境行政における残された大きな課題
平成25年1月以降の中国におけるPM2.5による深刻な大気汚染、国内における濃度上昇
PM2.5による大気汚染への包括的な対応が必要
政策パッケージの目標
目標1 国民の安全・安心の確保
目標2 環境基準の達成
目標3 アジア地域における清浄な大気の共
有
PM2.5の現象解明と
削減対策の検討
アジア地域における地域的取組の推進
目標達成のための取組
予報・予測精度の改善等
• PM2.5予報を目指したシミュレーションモ
デルの構築等に取り組みます。
中国在留邦人対応の強化
• 邦人への情報提供の強化、現地へ
の医師の派遣等に取り組みます。
上記取組の基盤となる事業
発生源情報の
整備
二次生成機構
の解明
• 中央環境審議会に専門
委員会を設置し、現象解
明と削減対策について総
合的に検討を進めます。
• 日中韓の政策対話など協力を進めます。
二国間連携の強化
• 日中都市間連携事業を実施します。
• 韓国ともPM2.5のデータ共有等を進めます。
自治体、企業、研究者と連携し日本の英知を結集
アジア各国との密接な協調
モデルの構築
(越境大気汚染の
寄与解明)
大気環境モニタ
リングの充実
健康影響に関する
知見の集積
健康影響、そして
一人一人が行う対策
51
PM2.5の健康影響
• PM10(直径10μm以下)、さらにはPM2.5(直径
2.5μm以下)と、粒子が小さくなるほど、肺の奥、
さらに血管へと侵入しやすくなる。
• 濃度上昇により、ぜんそく・気管支炎、肺や心臓
の疾患による受診・入院数が増加、さらには肺
がん・循環器系疾患による死亡リスクが増加。
• 高齢者や子供、肺・心臓に疾患のある方は、健
常者と比べ、より高いリスクが発生。
→ 各国は、環境基準を設定し、対策に取り組む
米国1997年~、日本:2009年~、中国2016年~(主要都
市は2012年末~)
52
PM2.5の健康影響
(国際がん研究機関の発表)
• 世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん
研究機関(IARC)は、PM2.5などの大気汚染物
質による発がんリスクを、5段階の危険度合い
のうち最高レベルのグループ1に分類(2013年
10月17日発表)。
• ぼうこうがんのリスクを高める可能性も指摘。
(グループ1には他に、たばこ、アスベスト、PCB、
アルコール飲料、ヒ素、六価クロム、放射性要素等
の放射性物質、太陽光暴露 等
• 2012年には世界で約700万人以上が大気汚染
に関連した死因により死亡。
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ぜん息・COPD(慢性閉塞性肺疾患)メール相談のご案内
独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)では、中国在留邦人の
方々を対象に、ぜん息及びCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に関する
メール相談を行います。
メールフォーム
に移動
【相談までの手順】
①「大気環境・ぜん息などの情報館」で検索または「http://www.erca.go.jp/yobou/」を入力
②「ぜんそく・COPDメール相談」のバナーをクリック
③「ぜん息・COPDメールフォームへ(外部サイトへ移動します)」をクリック
④メールフォームに必要事項及び相談内容を入力し、送信する
ぜん息・COPD(慢性閉塞性肺疾患)メール相談のご案内
【ご利用にあたって】
メールでの相談となります(電話及びFAXでの受付
は行っておりません)。
ぜん息やCOPDに関する悩みや疑問について、専
門医・看護師が無料でお答え致します。なお相談の
内容により、回答に時間がかかる場合があります。
日本語のみの対応となります。
診療や医療機関の紹介は行っておりません。
(その他)
ぜん息やCOPDに関するパンフレットは、ホーム
ページよりダウンロードすることができます(発送は日
本国内のみとなっております。予めご了承願います)。
• 部屋のサイズに適したものを選択する。
(広い部屋には複数台を。人の活動地点に設置。)
• 説明書に従い、フィルターの清掃、交換などをこまめに行う
(清掃時にはマスクを着用)。
• 日系メーカーでは8社(エクレア、シャープ、ダイキン、東芝、
パナソニック、日立、三菱重工、三菱電機) (50音順)が取
扱い。
http://product.cado.ne.jp/
http://dh.yesky.com/sharp-W380/
http://www.daikin-china.com.cn/products/streamer/
http://www.ths-toshiba.com.cn/
http://home.panasonic.cn/beauty/air/products.html
http://www.hitachi-shha.com.cn
http://www.super-k.cn/1366/kongjing.html
http://www.mlc-cn.com/air-purifiers/index.asp
※本資料で取り上げた個別商品については、皆様が対策を検討される上での参考例と
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してご紹介したものであり、購入の検討に当たっては、各自の御判断でお願いします。
空気清浄機のフィルター使用10日後
(2013年11月下旬、北京駐在員の自宅にて)
57
「N95」という規格のマスクは、PM2.5を
95%以上遮断。病院、薬局、ネット上(「口
罩N95」で検索)で販売。
ただし、マスクのフィルターの遮断性が
高くても、鼻柱や頬の周りの隙間から空気
が入ると効果は激減することに注意。
顔の形や大小は十人十色。各自の顔に
フィットする形状を選別することが必要。
後頭部全体にゴムをかけるタイプのもの
は、より密閉性が増す。
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室内の大気汚染源:たばこ
・タバコ1本で、PM2.5濃度は800μg/m3に(2008年、
北京医科大学調査)、200種類以上の有毒物質
が含まれる。
・大気汚染が厳しい環境でタバコをすることは、本
人及び周囲の人の健康リスクを著しく高める。
・2011年5月以降、衛生部
の規制により、中国国内
の公共施設やレストラン
は全面禁煙であることに
注意。
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室内の大気汚染源:たばこ
出典:産業医科大学 産業生態科学研究所 健康開発科学研究室 大和浩教授
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室内の大気汚染源:たばこ
• 中国国務院は、 2014年11月、屋内公共スペースの一
律禁煙、タバコの広告や販促の全面禁止などを内容
とした、条例案を公開、意見募集を実施。(違反した個
人への50~500元の罰金等を規定)
• 北京市政府は、同月、北京市喫煙抑制条例を可決。
- 市内の全ての屋内公共スペースでの喫煙を禁止
- 違反者には最高200元の罰金
- 公共スペース管理者は喫煙者への忠告義務と衛生部
門への通報義務が課され、その義務を履行しなけれ
ば最高1万元の罰金が科される
- 学校周辺100メートル内のタバコの販売も禁止
- 2015年6月から施行
・ 上海、天津、広州、深圳等では既に禁煙条例が施行。
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• 日本大使館「北京市内の大気汚染について」(随時更新)
http://www.cn.emb-japan.go.jp/index_j.htmからリンク
情報源
・ 環境省「微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報」
(専門家会合の報告書、微小粒子物質(PM2.5)に関するQ&A等)
http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html
・ 中国環境保護部「全国都市大気質リアルタイム公表プラットフォーム」
(現状、過去24時間のデータ)
http://113.108.142.147:20035/emcpublish/
※データの見方(日本語)はこちら。↓
http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info/cic/emcpublish_data.html
・「全国空气污染指数」携帯アプリあり((他にも類似のアプリが多数あり)
http://air.fresh-ideas.cc/
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日本もかつてはスモッグに覆われていた
「東京の公害」
写真コンクール
受賞作品
(1971年)(東京都:
「写真集 東京の公
害風景」より
スモッグ下の大阪城(1963年)
(日本の大気汚染の歴史II(公健協会)より)
空から見た京浜工業地帯の状況
(1964年)(神奈川県環境部: 「環境行
政のあゆみ」より
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北九州市のスモッグ
(1960年代前半)
(北九州市公害対策史「解析編」より)
現在の北九州
中国の青い空を
取り戻すために、
私達に何ができる
でしょうか?
2014年10月24日、北京(厳重汚染)
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