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実践例 第5学年 単元「自動車をつくる工業」における学習の展開例
実践例 第5学年 単元「自動車をつくる工業」における学習の展開例 ∼シミュレーションゲームの導入による言語活動の充実を通して∼ 新学習指導要領における社会科の言語活動は,「観察や調査・見学などの体験的な活動や それに基づく表現活動」として示されている。 具体的には,次のような取組が考えられる。 ○ 表現するためには,その内容が不可欠である。資料などの読解力と理解力,論理的な 思考力,公正な判断力,解釈・評価する力などの育成と一体化させながら言語活動の充 実を図る。 ○ 調べたことや考えたこと,疑問に思ったことなどを,文章,図表,イラストなど様々 な表現形態を習得し,それぞれの特質を踏まえて表現する。 ○ 学習テーマを基にした発表,報告,討論,話し合い,ディベートなどを学習過程に組 み入れ,分かったことや考えたことなどを交換し合う場を設けること。 ○ 話し合ったり討論したりする際のルールやマナー,表現活動を充実させるための技能 などをしっかり身に付けさせること。 高学年の社会科では,観察や調査・見学などの体験的な活動を行うことが難しい。中でも, 第5学年の「自動車をつくる工業」では,身近に自動車工場 があるところは少なく,教科書や 資料中心の学習内容になりがちである。 そこで,「自動車をつくる工業」の単元における,観察や調査・見学などの体験的な学習や 表現活動などの言語活動を取り入れた指導計画例を紹介する。 ○ 指導過程 時間 つかむ 調べる まとめる 広げる 1 5 2 2 第5学年 単元名「自動車をつくる工業」(全10時間)の指導計画例 主 な 学 習 活 動 1 学習課題をつかむ。 (1) 自動車のボンネットを開いて,中の様子を観察する。 ・ たくさんの機械や部品で作られていることを実感する。 ・ 約3万個の部品で作られていることを知る。 ・ 注文して,約4週間で届けられることを 知る。 2 学習問題を立てる。 自動車は,どのような工夫をして作られ,わたしたちに届 けられるのだろうか。 3 予想を立て,追究の柱を立てる。 4 追究の柱を,様々な方法で調べる。 (1) 教科書や資料で調べる。 (2) インターネットで,疑似工場見学をして調べる。 (3) シミュレーションゲーム で疑似体験を通して調べる。〔実践例〕 (4) 自動車販売店の方をゲストに迎え,自動車の流通について 調べ る。 5 調べたことをまとめる。 自動車は,関連工場や製品を運ぶ人々の様々な工夫や努力によ りわたしたちに 届けられる。 ・ 個人新聞にまとめる。 6 調べたことを発表する。 ・ ポスターセッションで発表する。 7 これからの自動車開発を考える。 (1) 環境にやさしい車作りを調べる。 (2) 人にやさしい車作りを調べる。 8 まとめをする 。 -1- 主な言語活動 ・観察する ・話し合う ・調べる ・体験する ・インタビュー する ・まとめる ・発表する ・調べる ・まとめる ここで,本単元において,シミュレーションゲーム等を導入して言語活動の充実を目指した 木田博教諭(鹿児島市立山下小学校 )の実践を紹介する。 言語活動の充実を図る学習指導案 鹿児島市立山下小学校 1 単元名 教諭 木田 博 第5学年社会科「自動車をつくる工業」(全10時間) 2 本時の目標 ・ 流れ作業のシミュレーションゲーム を通して,自動車工場ではたらく 人々の工夫や努力について 考 えることができる 。 (社会的な思考・判断) ・ 自動車工場の生産の様子に興味をもち,シミュレーションゲーム にすすんで参加しようとする。 (社会的事象へ の関心・意欲 ・態度) 3 基礎的・基本的な知識・技能の活用の視点 ○ 既習事項との関連 子どもたちは ,前時までの学習を通して,自動車工場では産業ロボット や多くの人々の手によって, 自動車が生産される流れや仕組みについて理解してきている 。そこで,これらの知識・理解を生かし ながら,シミュレーションゲームという形で流れ作業の疑似体験をすることで ,これらの 理解が具体 的な体験に基づくものへと深めていくことができる。 ○ 実生活,実社会での活用の視点 自動車工場 の流れ作業のシミュレーションゲーム を通して,本事例に限らず,その他多くの生産活 動においても,同様の工夫と改善が行われているのではないかという類推を行いながら,社会的事象 に対する認識を深め,学習したことを一般化させたり ,他の事象へと適用或いは転用させたりしてい くことができる。 また,生産の効率性と正確性を高めるための話合い活動をグループ で行い,次の活動に生かすとい う経験を通して,話し合い活動における合意形成や意思決定の能力の基礎を養うことができる。 4 具体的な言語活動と,それを通して育てたい力 (1) 本時の学習課題「工場で流れ作業が行われている理由は何か」について ,予想を立て,それを学 習によって得られた結果を比較することで,自分の考え方のよさについて 評価し,次に生かそうと する意欲や態度を育てる。 (2) 流れ作業のシミュレーションゲームの感想や気付きをそれぞれ発表することで,体験によって 得 られた自分の感覚,感情を言語に置き換えて表現する力を育てる。 (3) シミュレーションゲームの合間に行う話合い活動(作戦タイム)において,次の活動に対しての 工夫や改善点について話し合うことで,お互いの考えをしっかりと 伝え合い理解し合いながら,集 団としての考えを深め高める力を育てる。 -2- 5 本時の実際(4-5/10) ※体験活動を取り入れるため,2時間(45×2)で実施 学習活動 指導上の留意点 言語活動充実の視点 1 工場において自動車がどのよ ・ 流れ作業(ライン作業)の意味 ・ これまでの学習を基に流 うに生産されていたかを 想起す について,確認させながら,こ れ作業が行われている理由 導 る。 2 なぜ工場で流れ作業が行われ 入 ているか話し合う。 3 れまでの学習を振り返らせる。 ・ 子どもたちの理解がこの段階 本時の学習課題 を確認する。 ではまだ表面的なものでしかな いことに気付かせる。 工場で流れ作業によって 自動車が生産されている理 由を考えよう。 10 分 4 自動車生産のシミュレーショ ・ 1度目の活動では,少ない道 ・ 具で効率的に生産するためには 作業を分担して行う必要がある て感じたことや気付いたこ とを,自分なりの言葉で表 (1) グループで時間内に正しく何 ことに気付くようにする。 現できるようにする 台の自動車(紙工作)を生産でき るかを競う。 ・ 2,3度目の活動の前に,話 し合いの時間(作戦タイム)を設 ・ (2) 生産に使える道具(はさみ・ のり・色鉛筆)は数を制限す うしたら早く正確に生産で きるかについて,活動を通 る。 グループで考えさせる。 (3) 指示書通りに生産し,正しく ・ 各活動の終わりに,必ず指示 して気付いたこと,考えた ことを基に改善の方策につ 書通りに生産されたかどうか検 (4) 生産の仕方や順序は,それぞ れのグループで工夫して行う。 分 査する時間を設けることで,生 産の正確さについても意識させ ・ ループで話し合っておく。 資料「ラインで作業する田中 さんの話(改)」を読み,考えた ことを発表し合う。 末 10 分 いて話し合う。 シミュレーション活動と (5) 合計三回行い,それぞれの活 る。 動の前に生産の仕方についてグ ・ 活動を通して気付いたこと, 5 終 作戦タイムにおいて,ど け,どのような工夫をしたら, より早く正確に生産できるかを 生産されたものだけを認める。 70 各活動の終了時に体験し ンゲームを行う。 ※ゲームの概要 展 開 や意味について,考えたこ とを表現し話し合う。 6 考えたことと実際にラインで作 ら,流れ作業によって生産 業する人の話を比べて,共通点 を見いだすことで,共感的にと されている理由について自 分なりの考えを説明する。 らえられるようにする。 本時の学習のまとめをする。 ・ 自動車工場では ,早く正確 にたくさんの車を 生産するた めに,流れ作業で 車を生産し ている。 資料とを比較して,その共 通点や相違点を考えなが 体験的な活動を通して得た知 ・ 導入時の予想に本時の学 識を整理し,その一般化を図る 習によって得られた認識を ことができるようにする。 加味しながら,流れ作業の 意味について再度考え,表 現する。 -3- 授業記録 単元名「自動車を作る工場」 ※ワークシート を事前に配布 1 工場において自動車がどのように生産されていたかを 想起する。 ●14:15∼14:18● 教 自動車工場では,自動車をどんな 方法で生産していたかな ? 児 流れ作業で生産されていました 。 児 ロボットや機械を使って生産していました。 教 流れ作業のことを,別の言い方で「ライン作業」と言います。 2 なぜ工場で流れ作業が行われているか話し合う。 ●14:18∼14:23● 教 自動車工場では流れ作業で生産されているのはわかったけれど,ど うしてこんな生産の仕方をするのかな? 児 流れ作業の方が早く生産できるからです。 児 手際よく作れるからです 。 児 同じ作業をしている方が,すぐ作れるからです。 教 多くの自動車工場が流れ作業によって 自動車を生産しているようですが,何かこの生産方法によさが あるはずですね。その理由を予想して,ワークシートに書いてみよう。 ※ワークシートに予想を書く。 ★子どもたちの予想★ ・ 一人で作っていると順番がわからなくなる 。・全員で作るとやり残しがない。 ・ スムーズ に進めることができる。・できるだけ時間をかけないで 多くの車をつくるため。 ・ 早く作れて楽だから。・お客さんに早く届けるため。 等 3 本時の学習課題を確認する。 ●14:23∼14:28● 教 では,今日はこのことについて,みんなで考えていきましょう。 ※ 学習課題 を掲示する。 「工場で流れ作業によって自動車が生産されている理由を考えよう。」 教 この理由がわかるためには ,どうしたらいいですか 。 児 自動車工場を見学する。 教 近くに自動車工場があったかな? 一番近くても福岡にしかないね。 児 自動車の販売店に聞く。 教 販売店の人が,工場のことまで知っているのかな? 児 整備工場で聞けばいいと思います。 教 整備工場 でも,流れ作業でやっているのかな? 児 やっていないと思います。 教 そうですね。でも,今日はもっとみんなが 体験的にわかるように,実際に自動車を作ってもらおうと 思います。 ※ ペーパークラフトの自動車を提示する。 教 この紙の自動車をグループで生産するゲームを通して,その理由について考えてみたいと思います。 4 自動車生産 のシミュレーションゲームを行う。 (1)シミュレーションゲームの説明をする。 ●14:28∼14:35● ※ ゲームに必要な道具とゲームの進め方のプリントをグループごとに 配る。 教 このゲームの目的は,時間内に指示書の通りに何台の車を作ること ができるかということです。 ただし,使える道具は,各グループではさみ3本,のり又はテープ2 個,赤鉛筆2本,青鉛筆2本だけです。それ以外の道具はしまってく ださい。のりを使うか,テープを使うかはグループで考えてください。 教 はさみやのりは ,本当の自動車工場で言うと何になりますか? -4- 児 工業機械やロボット です。 高価で大規模な機械やロボットをそんなにたくさん工場に設置しておくことはできないので,ここで も使える道具を制限します。 教 次に,車の車体にはA∼Fまでの記号がつけてあります。指示書にもA∼Fまでの指示書があります。 必ず,この指示書通 りに作ってください 。せっかく作っても指示書と違っていたら,その自動車は完成 品として数えません 。ですから,必ずできあがった時に,指示書を見てチェックして,検査のところに サインをしてください。サインのないものも認められません。 教 色塗りは,ボンネット(完成品を示す)の部分だけで構いません 。ただ,きちんと塗られていないもの も認められません。また,ランプは3種類,タイヤは2種類ありますから,間違わないようにつけてく ださい。 教 作業の進め方,順序は自由です。グループ で考えながら進めてください。 教 (2)1回目のゲームを行う。 ●14:35∼14:45 ※ あえて,ここではグループで話し合う時間をあまり与えず, ゲームを行う。 教 では,ゲームを始めます。時間は8分です。 ※ 机間支援を行いながら,活動を見守る。き ち ん と検査が行 われるように途中で声をかける 。 ※ 子どもたちは,流れ作業を意識してはいたが, ほぼ全グル ープがそれぞれ個々に車を作っていた 。 教 はい,時間です。いくつ生産できたか ,教えてください。 ※ 完成品を取り上げながら,きちんと指示書通り か,又は不 良品になっていないかを 確認していく 。 ※ ここでは,全グループ (4班)が,時間内に一つも完成させることが できなかった。 教 この車は,ちゃんと 完成しているみたいだね …? 児 先生,その車,後ろにライトがついていません。(子どもたちか ら笑い声) 教 こんな車,出荷できるかな? 児 そんな車は要らないと思います。 教 残念ながら,最初のゲームは,引き分けということですね。では, ゲームを通して 気付いたことや反省点をワークシート に書きましょ う。 ★子どもたちのワークシートから★ ・ 流れ作業の方がいい。・流れ作業じゃないと作れない。 ・ 今,何の車を作っているのか分からなくなった。・机の上がごち ゃまぜで 大変だった。 ・ 時間が短い。・周りに紙くずがたくさんあって集中できなかっ た。・車の数(種類)が多すぎる。 ・ 順序よくできなかった。・すごくあわててしまう。 ・ 一人ずつあせり ,みんな車を一台ずつ作ろうとしたから間に合わなか った。 ・ いろいろな部品があってむずかしい。・ 最初ばかり早くて,後ろが間 に合っていなかった 。 ・ 担当が分かりづらかった。・溶接(糊による接着作業のこと)の人数を 増やした方がいい。 (3)作戦タイム①を行う。 ●14:45∼14:50 教 2回目のゲームを行う前に,グループ で作戦タイムを設けます。2回目は 勝利できるように ,グループ で勝つ方法を考えて,ワークシート に書きま しょう。 ★子どもたちの ワークシートから★ ・ 順番をしっかり決める。・ 指示書を車に貼る。 ・ 席を移動して作業をしやすくする 。 ・終わったら他の所を手伝う。 -5- ・サインを簡単なものにする。・切る→切る→絵塗り→作る→タイヤ→ランプの順に作っていく。机 はその順番に座る。・得意な人がその作業を行う。・机を整理する。・落ち着いてする 。 (4)2回目のゲームを行う。 ●14:50∼15:05 教 では,2回目のゲームを始めます。1回目の反省とグループで考 えた作戦を生かして頑張ってください。 ※ 机間支援をしながら,そのグループなりの工夫を取り入れたり,上 手に役割分担をしていたり,無駄な動きを減らす努力をしているグ ループをチェック 。 教 はい,時間です。いくつ生産できたか 。見せてください。 ※ 勝利の判定をし,勝利チームを称賛する。ここでは3班のみが 2台の車を指示書通りに完成させた。指示書のサインを確認し, 学級全体で称賛した。 教 3班が勝った理由は ,どこにあるのか聞いて,そしてみんな で考えてみましょう。 児 本当の自動車工場で は指示書を車のボンネットの裏に貼 っ てあることに気付いて,ぼくたちも同じように,車の上に 指 示書を貼 り付けたら,いちいち指示書をさがす手間が省け る と思ってやりました。 児 作業を分担して, もし,作業に暇ができたら,他の作業 の 手伝いにすぐいけるようにしました。 児 その作業が得意だ と言う人を選んで,みんな自分の得意 な 作業ができるようにしました。 教 自分たちなりに工夫がうまくいったところは ,たくさん生産できているようですね 。 (5)作戦タイム②(休憩を含む)を行う。 ●15:05∼15:15(内15:05−15:10は休み時間) 教 最後のゲームを行う前に,作戦タイムを設けます。最初,5分間トイレ休憩を済ませてから,話し合 いを始めてください。話し合った反省点や新しい作戦はワークシート に書いておきましょう。 ★子どもたちのワークシートから★ ・余計なものは 片付ける。 ・使わないものは 机にださない。 ・ちゃんと点検し,間違いのないようにする。・大変な作業に人を多くする。 ・先に確認をする。 等 (6)3回目(最後)のゲームを行う。 ●15:15∼15:30 教 それでは ,最後のゲームを始めます。これまでの反省を 生かして上手に生産してください。 ※ 机間支援をしながら,そ のグループなりの工夫を取り入 れたり,上手に役割分担 をしていたり,無駄な動きを減 らす努力をしているグループをチェック。 教 はい,時間です。いくつ生産できたか。見せてください 。 ※ 今回,3班が5台完成さ せ,2班が3台完成させ,1, 4班が2台完成させることができた。 教 今回,みんなのグループ ではどんな作戦を立てましたか。 児 うまくいくように ,作業の順番を入れ替えました 。 児 検査をする役割の人を作りました。 児 指示書の内容を先に確認しておいて,作るようにしま した。 児 必要なものだけ,机の上に並べるようにしました 。 教 児 どうして,必要なものだけを並べなきゃいけないの ? 要らないものがあると ,作業がしにくいからです 。 -6- 児 どこに,部品や道具があるか 分からなくなるからです。 なるほど。そういえば ,本当の自動車工場でも,部品を必要なものしか置いておかないような 工夫が なかったかな? 児 ジャストインタイム 方式です。 教 そうだね 。みんなは 自然に流れ作業を行っていただけでなく,ジャス トインタイム方式も取り入れていたんだね 。 教 ところで ,みんなの 机のまわりには,いっぱい紙くずが落ちているん だけど。それ何かな? 児 作業の途中で出たゴミです。 教 それ,本当の自動車工場なら,それは何かな? 児 工場から出た廃棄物になると思います。 教 そのままにしていたら ,どうなる。 児 会社の責任者に叱られる。 児 工場の周りがゴミだらけになる。 児 周りの地域の人たちに迷惑になる。 教 さて,今日はみなさんに自動車を生産してもらったわけだけれど,本 当の自動車工場でも,みなさんがやったことと同じようなことがあるの かな? 児 本当の自動車工場 では,きちんとすることが決められているから, 違うと思います。 児 同じように作戦を立てるみたいに,考えながら工夫していると思い ます。 教 5 資料「ラインで作業する田中さんの話」を読み,考えたことを発表し合う。 ●15:30∼15:40● 教 ここに「ラインで作業する田中さんの話」という資料があります。この資料 を読んで,気付いたこと,考えたことを書きましょう 。今日みなさんがやった 作業と比べながら 書きましょう。 ※資料を配る。書いていることをチェック しながら ,今日の作業と自動車工場で 働く人々との工夫を関連づけて書いている 子どもを取り上げて称賛する。 教 それでは ,気付いたことを発表してください。 児 自動車工場 で働く人々も僕たちがしたのと同じように チームワークで行う 仕事だと言うことは同じです。 児 自動車工場 でも,トラブルやミスはすぐ知らせるようにすることが大切な のだと思います。 児 油断すると,けがをしたり,ミスしたりするのは同じだったと思います。 児 むだをなくすことか大切なのも同じだと思います。 教 流れ作業をしながら,同じ作業を続けながら,他の作業もしたいなぁと 思っ た人はいませんでしたか ? 児 他の作業がしたいと思いました 。 教 そうですよね。実は,自動車工場でも同じ作業 を続けていると,ミスやけがにつながるだけで なく,作業を続ける意欲がなくなってくるので, 定期的に作業場所を変えるようにしています 。 ★子どもたちのワークシートから★ ・ ぼく達がやったチームごとにすることや, 分担することなどは同じだったけれど,受け 持つ作業を入れ替えたりはしなかった。自動 車工場で働いている人の戦略はすごいと思っ た。 わたしたちのグループと似ていて,整理を したり先に確認したりして ,ちゃんと間違え ないか調べないといけないことが分かりまし た。 ・ これはゲームだったけど,本当の仕事がど れだけ大変だったかが分かった気がする。 -7- ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 同じことは,作業を分担することとチームのみんなと話し合いながら工夫しているところでした。 次に取り付ける部品が分かるように工夫するというところがいい 工夫だなあと思いました 。チー ムのみんなで話し合ってでた考えを理解し合って,それを工夫の一つに加えているところがいい なあと思いました。私たちも話し合ってアイディアや作る順番を決めたりしました。チームで協 力すると,一人でやる倍は早くできると 考えました。私たちも完成するのを改めて見ると,すご くうれしくなりました。 ぼくたちがやった 流れ作業は場所がごちゃごちゃしていて 作業しにくかった 。作戦を立てている ところが同じだった。一つの車を正確に作るのは難しいんだなあと思った。 チームごとに協力して車作りに取り組んでいる。むだなうごきをなくす 取組もしている。正確に 車を作れるようにたくさん工夫している。 一生懸命 やっても ミスが多かった。だけど田中さんや工場のみなさんは 工夫してすぐ終わるので すごいなあと 思いました 。 流れ作 業は と て も大変だけど,うれしく なるのは 不思議。だけど,チームワークで 行っているからできる仕事。 この田 中さんと 同じ よ う に,話し 合って 作戦を立てたら,ゲームに勝てる。 最初は ミスを な く す た め に,同じ 作業を ずっと同じ人がやっているのかと思った。 一回戦の時はみんな個人で作っている 感じ だったけど,自分がやる仕事を決めてやっ たら,一回戦の時よりスムーズにできた。 だけど途中でぐちゃぐちゃになって,どこ に何があるのか分からなくなった。 同じ作 業をしていたら早 く終わ る と思っ ていたけど,ずっとしていたら,ミスやけ がにつながるとは知りませんでした。一生 懸命やっても,間に合わなかったり,やりわすれがあるので,車作りは油断できないなと思いま した。 最初は話が多かったり,とてもあせってやっていました。でも,だんだんと話が少なくなってき ました。田中さんたちはいろいろな工夫をしてすごいなあと思いました。 作業を分担しているところが同じでした。他にも早く正確にするために 話し合って工夫したり, むだな動き,時間をなくすというところが同じでした 。作業がすぐ終わった人は他の人の作業を 手伝いました。待っている 間に,指示書を見てセロハンテープを付けて待っていたら時間もむだ じゃないし楽でした。でもやっぱり一つの車を作るのに時間がかかった。 本時の学習のまとめをする。 ●15:40∼15:50● 教 では,今日の学習のまとめをしましょう。ワークシート を見てください。自動車工場では,どんなふ うに生産するために,流れ作業で生産しているのですか ? 児 なるべく早く生産するためです 。 児 正確に生産するためです 。 ※ 板書し,ワークシートに書かせる。 教 では,自動車工場ではたらく人たちは,そのために,どんなことをしていますか。 児 話し合いながら,もっと早く正確に生産できるように工夫しています。 児 働く人に無理がないように,工夫しています。 ※ 板書し,ワークシートに書く。 教 次の時間は,このように 大量生産された自動車がどのように運ばれ,またどのような問題を抱えてい るのかを考えていきましょう。 -8- 〔授業後の板書の様子〕 -9- 〔参考資料〕 自動車工場ゲームの進め方 ゲームの目的 今から作ってもらう自動車はA∼Fまであります。この自動車を指示 書の通りにまちがいなく ,時間内になるべくたくさん完成させることが このゲームの目的です。 勝利の条件 時間内に全ての自動車を完成させたら,一番早く完成させたグループ が勝ちとなります。もし,どのグループも作り終わらなかったら,時間 終了の時点で,なるべくたくさんの 自動車を完成させたグループが勝ち となります。ただ,できあがった自動車が指示書とちがっていたら,そ の自動車は完成品と数えません。ですから,必ずできあがったら,検査 して,指示書にサインしてください。 ゲームのルール (1) 時間は8分です。 これを3回行います。1 ゲーム終了した後には,作 戦タイムを もうけます。 (2) グループで使える 道具は,はさみ3本,のり (テープ)2個,赤鉛筆・青鉛筆それ ぞれ2本ずつです。それ以上の道具を使ってはいけません。 (3) 作業の内容は下の通りですが,どの順番に行っても自由です。 ○ 車体(上)と車体(下)の四つのすみのいらない部分を切り取る。 ○ 指示書の通りに,車体(下)のボンネットの部分に色をぬる。※色は赤と青の2種 類です。 ○ 車体の点線の部分を折り曲げながら,組み立てる。のりではりつける。 ○ 車体(上)と車体(下)をのりではり合わせる。 ○ 指示書の通りに,ランプを前後に取り付ける。前2個,後2個 ※ ランプは○□◇の3種類です。 ○ 指示書の通りに,タイヤを取り付ける。前2個,後2個 ※ タイヤは星形とハート型の2種類です。 ○ 指示書の通りに,完成しているか 検査して,正しくできて いたら,指示書にサインする。 (4) 作業の進め方は,グループで作戦を立てながら考えてくださ い。 (5) まっすぐ自動車が立たないもの,指示書とちがっているもの は完成品と認めません。したがって,指示書にサインのないも のも認められません。 - 10- 自動車工場 ゲーム 感想・ 作戦シート 5年( )組 名前( 予想/どうして自動車工場では,流れ作業(ライン作業)で,自動車を生産するのでしょうか。 ● 1回目のゲームを終えて,どんなことに気付きましたか?どんな感想を持ちましたか? ● 2回目のゲームで勝つためには,どうしたらいいか作戦を考えましょう。 ● 3回目のゲームで勝つためには,どうしたらいいか考えましょう。 今日のまとめ 自動車工場では… するために,流れ作業で生産している。 また,自動車工場ではたらく人たちは,そのために, している。 - 11- )