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グラス型や腕時計型

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グラス型や腕時計型
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NTTコムウェア
ウェアラブルデバイスの活用で変わる
ビジネスマンのこれからの働き方
近年,グラス型や腕時計型,リストバンド型などさまざまな形態のウェアラブルデバイスの発表や発売が相次いでおり,急速
に身近な存在となりつつあります.NTTコムウェアではウェアラブルデバイスをユーザの状況を把握できるセンシングデバイ
スとして活用することによる業務効率の改善を目指し,
「どのようなデバイスで」
「どのような業務を」
「どのように効率化でき
るのか」といった観点で研究開発に取り組んでいます.ここでは本格的なウェアラブルデバイス時代の到来に先駆けて,新たな
業務のあり方を紹介します.
ウェアラブルデバイスとは
Wearable(身につけられる)という言葉が示すように,
せることができれば業務の中断をなくし,結果として業務
の効率化を実現することができると考えました(図 1 ).
そして,このようなユーザの欲しい情報を推測して提供す
ウェアラブルデバイスはユーザがその身に着用して利用す
るシステムは,ウェアラブルデバイスと組み合わせること
るタイプのデバイスです.グラス型や腕時計型,リストバ
によってこそその真価を発揮するのです.組み合わせる
ンド型を中心にさまざまな形態が存在し,各社こぞって新
ウェアラブルデバイスの形態として着目したのは腕時計型
製品の開発が行われています.形態にかかわらずウェア
でした.単に情報を通知し,表示するだけであればスマー
ラブルデバイス全般に共通する,スマートフォンやタブ
トフォンなどのスマートデバイスでも実現は可能ですが,
レットといったスマートデバイスとの大きな違いは「身に
腕時計型のデバイスを用いるメリットとして大きく次の3
つけているため利用する際に鞄やポケットから取り出す手
点が挙げられます.
間を必要としない」「両手が塞がらない」といった点です.
① 腕時計を見るだけの動作で情報が得られるため,業
また,搭載されたセンサによってユーザの状況(コンテキ
スト
*1
)を推定できる点や,ユーザが気軽に情報を参照
務への支障をきたしにくい
② また,同上の理由により会議中であっても通知を確
することが可能である点などから情報の通知場所として適
しており,メールやSNSの通知をウェアラブルデバイス
認する行為への抵抗感を受けにくい
③ 直接肌に触れているため,振動による通知に確実に
で受け取るなど主にスマートデバイスを補助する用途で利
用されることが多いようです.NTTコムウェアでは,こ
うした特長は業務の支援に活かすことができるのではない
かと考え,オフィスで勤務するビジネスマンをターゲット
としてウェアラブルデバイスを活用した業務の効率化の実
現を目指し,研究開発に取り組んでいます.
既存の業務の問題点と解決策
気付く
これらの特長は,オフィスでの勤務を基本とするビジネ
スマンのユーザのスタイルにマッチしています.
業務支援システムの解説
■システムの動作イメージ
ユーザは時計型ウェアラブルデバイスとその利用に必要
となるスマートフォンを携帯し,インターネット回線を通
現代のビジネスマンは時間に追われながら資料の作成や
してサーバと接続することでサービスを利用します.シス
会議などの業務をこなしています.しかし,こうした業務
テム全体像を図 2 に示します.スマートフォンや時計型
を中断せざるを得ないような作業が割り込むことはままあ
ウェアラブルデバイスのセンサから得られる情報を解析し
り,業務の効率を低下させる一因ともなっています.例え
てのユーザのコンテキスト推定はスマートフォン側で,
ば出張を控えたビジネスマンは,約束の時間までに訪問先
Webスケジューラの解析やAPIマッシュアップ * 2 による
に到着するための乗換案内情報や道順を調べる必要が生じ
ます.このような作業に要する手間や時間を煩わしいと感
*1
じられる方は多いのではないでしょうか.
*2
私たちはこのような細かな作業をシステムに肩代わりさ
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NTT技術ジャーナル 2015.11
コンテキスト:どのような状況にあるかを表します.例えば「停止して
いる」
「歩いている」
「電車に乗っている」などが該当します.
APIマッシュアップ:Webサービスが提供するAPIを利用していくつかの
サービスを組み合わせて新たなサービスを創出すること.
これまでは・・・
調べるのに時間が「かかる」
業務を中断して出張先に向かうための情報を調べる必要がありました
…
訪問先の最寄り駅は何駅かしら?
その駅から訪問先までの道順と所要時間は…
ということはその駅には11:30までに着く必要が…
会社の最寄り駅からその駅に行くには…
…だから,このビルを10:15に出れば良いのね!
創造的な業務に時間を「かける」
これからは・・・
業務に集中していても何時に出発すれば良いかが分かります
10:32発
∼11:27着
あら,時計に通知が来たわ.
海浜幕張駅
…10:15ごろにビルを出ればOKね.
京葉線快速
(東京行)
新木場駅
図 1 システムの利用イメージ
④ 適切なタイミングで有益な情報を通知
提供される情報
スケジューラ
スケジュール詳細
Webサービスの情報
乗り換え案内
天気予報
センサ情報
ニュース
…
情報提供サーバ
コンテキスト
(常時)ユーザのコンテキストを推定して送信
(常時)スケジューラから情報を取得
① コンテキストと組み合わせて高度なコンテキストを推定
② 求められている情報の種類と送信タイミングを推定
③ マッシュアップにより提供する情報を作成して送信
図 2 システムの動作イメージ
提供情報の作成および通知処理はサーバ側で行われます.
Webスケジューラの解析にはWebスケジューラが提供
するAPIを利用し,APIが用意されていない場合はWebス
サーバ側でWebスケジューラの解析内容と組み合わせる
こ と で, よ り 高 度 な コ ン テ キ ス ト の 推 定 が 行 わ れ ま す
(表).
クレイピング *3を用います.このため企業によって異なる
さまざまなWebスケジューラに柔軟に対応することが可
能です.また,スマートフォンで推定したコンテキストを
*3
Webスクレイピング:WebページのHTMLソースから,必要なテキスト
情報だけを抽出する技術です.
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from
NTTコムウェア
センサから得られる情報を基にしたコンテキスト推定
(1) Webスケジューラ
と,Webスケジューラを参照しての予定把握,そしてこ
「開催日時」「開催場所」「目的」など予定の詳細情報を
の両方の情報を組み合わせた高度なコンテキストの推定は
取得し,乗換案内情報の作成やその提供タイミングの推定
常時行われています.ここで推定された高度なコンテキス
を行います.
トにより,ユーザに情報を提供することがユーザにとって
の助けになると判断されるとAPIマッシュアップにより情
(2) ウェアラブルデバイスやスマートフォンの各種セ
ンサから得られる値
加速度センサや地磁気センサ,GPSなどによってユー
報の作成と送信が行われる仕組みになっています.
■提供する情報とそのタイミングの推定
ザのコンテキストを推定し,提供する情報の選定やその提
システムでは手動で収集するにはひと手間を要するよう
供タイミングの判断に用います.例えば会議中であれば緊
な情報を提供します.出張先への乗換案内の情報のほか,
急度の高い情報のみを通知するようにしたり,電車で移動
訪問先企業の報道発表や時事ニュースの記事を要約したも
中であれば隙間時間を有効活用するべくさまざまな情報を
のなど,営業活動において必須となる話題などが考えられ
通知したり,また歩行中であれば目的地への道順の案内に
ます.また,ユーザがどのような情報を欲しがっているか
限定した通知を行うなどといった配慮を実現することがで
というだけでなく,その情報をどのようなタイミングで提
きます.
供するかということも重要なファクタになります.提供す
例えば乗換案内情報を提供する場合,図 3 のようにして
る情報とタイミングを推定する方法として,以下の情報を
センサやWebスケジューラの情報を組み合わせて種々の
使用します.
情報を導き出し,適切なタイミングで情報提供します.
表 高度なコンテキストと提供する情報の推定例
センサから推定したコンテキスト
Webスケジューラから
推定した行動条件
推定される
高度なコンテキスト
提供すべき情報の判断
目的地付近で停止中
会議までまだ時間がある
早めに到着した
ニュース
オフィス内で停止中
出発時刻が近い
会議に参加中
乗換案内
電車による移動中
目的地に移動中
休憩中
ニュース
⑦ ⑥の時刻に間に合う乗換案内情報を取得
④ 地図情報から目的地の最寄り駅を決定
⑤ 目的地の最寄り駅から目的地までの移動時間を計算
⑥ ⑤を基に目的地の最寄り駅に到着すべき時刻を決定
① GPS情報から現在地の最寄り駅を決定
② 現在地から現在地の最寄り駅までの移動時間を計算
経路案内サービス
地図検索サービス
GPS(現在位置)
経路案内サービス
地図検索サービス
乗り換え情報検索サービス
現在地最寄り駅
目的地最寄り駅
目的地
A社打ち合わせ
品川アネックスビル
13:00-15:00
加藤,大田
⑧ ②と⑦を基に現在地を出発すべき時間を決定し,乗換案内情報を通知
Webスケジューラ
③ Webスケジューラから「目的地」「到着すべき時刻」を抽出
図 3 乗換案内情報提供の例
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キャナや目視によってラベルを1枚ずつ読み取る方法に比
べて所要時間を大幅に短縮し,かつ読み取りミスを低減し
ます(図 4 ).
■現場作業の直接支援
二次元バーコードの
読み取り
データセンタにおけるサーバ機器やネットワーク機器を
資産
二次元バーコードの
読み取り情報
対象とした業務や,地下トンネル(とう道)や電柱などの
高所における通信ケーブルやガス管の保守点検といった業
務を対象としています.これまでは紙媒体やタブレット端
末を用いて参照していた手順書やチェックリストをフリー
ハンドで使用可能なグラス型ウェアラブルデバイスに表示
資産リストの照合・
登録結果
することで,両手を作業に集中させることができるように
資産管理データベース
図 4 グラス型デバイスを用いた
資産管理システムの動作イメージ
なります.また,作業者の視界に大きく注意を喚起させる
表示を行うことで注意すべきポイントの見落としを抑止す
るほか,AR技術を活かして作業の対象となる部品や場所
を強調表示させるなどのアイデアが考えられています.
■システム導入の効果
本システムを導入することにより,次のような効果が得
られます.
① 業務に集中することができるため,業務の効率が上
がる
② 面倒な作業を代行して進めてくれるため,ストレス
にならない
また,スマートデバイスではなく時計型ウェアラブルデ
バイスを利用することの妥当性を検証した結果,通知に気
付くまでの時間,会議中に行われた通知への確認のしやす
■現場作業の後方支援
作業者の視界を遠隔地にいる作業指示者に共有すること
により,従来の通話に頼った連携に比べてより詳細かつ確
実な状況把握を迅速に行うことが可能となります.また,
共有された視界に直接マーカなどで書き込むなどして具体
的な報告や指示を行うこともできるため,口頭では伝わり
にくい事柄であっても容易に伝えることが可能であり,連
携ミスの低減にもつながります.
今後の展開
さの2点において明確に優位が認められました(1).この結
時計型ウェアラブルデバイスを活用した業務支援システ
果から,本システムが適用された場合には個人の業務のみ
ムについて,今後はより詳細かつ幅広いコンテキストの推
ならずユーザどうしの連絡手段としても効率化が期待で
定が可能なように改善を行い,より多くの業務シーンに適
き,相乗効果により大幅な業務効率化を果たすことが可能
用できるようにしていきたいと考えています.
となります.
グラス型のウェアラブルデバイスの活用
時計型のほか,グラス型のウェアラブルデバイスについ
ても活用方法を模索しています.グラス型のウェアラブル
デバイスの特長としては次のようなものが挙げられます.
① 視界に情報を重ねることが可能
② ユーザの視界をカメラで取得することが可能
こうした特長は,次のようなサービスに活かすことがで
きると考えています.
■資産の現場確認の効率化
データセンタなどで大量の資産を定期 ・ 不定期にチェッ
クする業務(棚卸しなど)を対象としています.資産に貼
付した二次元バーコードに顔を向けてデバイスに内蔵され
たカメラの視界にとらえるだけで,複数の資産に対して同
また,腕時計型やグラス型以外にもさまざまな形態の
ウェアラブルデバイスが存在し,またウェアラブルデバイ
スそのものも日々進化し続けています.NTTコムウェア
では,こうしたウェアラブルデバイスを有効活用するため
の研究開発を継続して業務利用を加速させ,さまざまな業
務の効率化に貢献していきます.
■参考文献
(1) M. Goto, H. Kimata, M. Toyoshi, T. Nishikiori, K. Moriwaki, and K.
Nakamura:“An Wearable Action Support System for Business Use by
Context-aware Computing based on Web Schedule,” Proc. of ISWC
2015, Osaka, Japan, Sept. 2015.
◆問い合わせ先
NTTコムウェア
品質生産性技術本部 研究開発部
TEL 043-211-2455
FAX 043-211-8766
E-mail ctpm-rd-wearable srv.cc.nttcom.co.jp
時にチェックを行うことができるというもので,従来のス
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