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1 - <パネルディスカッション> 電力小売全面自由化と道内電力

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1 - <パネルディスカッション> 電力小売全面自由化と道内電力
<パネルディスカッション>
電力小売全面自由化と道内電力市場参入可能性について
コーディネーター
早稲田大学環境・エネルギー研究科
准教授
パネリスト
経済産業省資源エネルギー庁電力市場整備室
室長補佐
(株)エネコープ((株)トドック電力)
常務取締役
(株)F-Power
常務執行役員
かぶちゃん電力(株)
取締役 電力事業部長
みやまスマートエネルギー(株)
代表取締役
小野田 弘士 氏
大能 直哉 氏
木暮 明大 氏
宇佐美 慶人 氏
田野 純一郎 氏
磯部 達 氏
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
本日のパネルディスカッションですが、何か一つの答えを出そうということよりは、せっかくの機会ですので、今日御登壇
している皆さんが展開している事業のことを知っていただいて、需要家の立場の方もいれば、今後参入を検討している立場の
方もいると思うのですが、その参考にしていただければと思っています。なので、私より皆さんにしゃべっていただく時間を
長くしたいなと思っています。1時間強になりますが、よろしくお願いします。
○(株)エネコープ(木暮氏)
コープさっぽろの100%子会社であるエネコープが全道で一番灯油を売らせていただいています。そのエネコープの100
%子会社がトドック電力です。
コープの電気は、コープさっぽろの組合員さんに電力を販売します。コープさっぽろの組合員さんは、全道の家庭の53%
ぐらいの方が組合員になっていただいて、この家庭をターゲットとして、ビジネス展開をしていこうと思っています。
メニューを発表したのが、2月14日。6月1日から電力を供給させていただくことになっております。供給エリアは、離
島を除く、全北海道エリアです。
我々の電気の特徴なのですが、一つ目が再生可能エネルギーを利用したFIT電気メニュー。FIT電気ということで、F
IT電気を60%使用ということなのですが、2月14日の段階でFIT電気メニューというのを発表したのが、日本で我々
が最初。最初にして、60%が最大です。我々が60%、他社で多いところが57%ぐらい、それ以外のところとなると50
%以下で、20数%とかですので、他はあまりそれほど多くないと理解いただければと思います。
恐らく今後も60%というのはかなりハードルが高いのではないかというようには言われています。
我々は、これはポリシーなのですけど、FIT電気で北海道電力さんよりも安くしていくというところで提供しています。
もう一つがベーシック電気メニューというかたちで、これは安さを追求したメニューです。
実際にどういう電源を使っているかということなのですが、江別にある木質バイオマス、それから尻別にある水力発電、そ
れから昆布盛の風力発電といった再生可能エネルギーのFIT電気をもとに提供していくのがFIT電気メニューです。
契約・請求ということでいきますと、ビジネスの類型で、取次ぎという形態。取次ぎといっても、我々のグループでない電
力会社のものを取り次ぐということではなくて、ベーシックメニューでは、コープさっぽろが子会社であるエネコープ、ある
いは、再エネでやっているFIT電気というところのトドック電力を取り次いでいく。
これはどういうことかというと、コープさっぽろから請求する、あるいはコープさっぽろで契約をするということなのです。
ですから、お客様からみたら、コープさっぽろと取引している。ただ、電気自体は、コープさっぽろの子会社あるいは孫会社
から買っているというイメージになりまして、我々がもう既に持っている150数万世帯、160数万世帯弱というところの
組合員さんに対して、コープさっぽろの請求手段でやっていくというようなかたちになっております。
電気の基本的な仕組みとして、よく聞かれるのですが、電気会社でない人間が、電気の販売をやって大丈夫か、例えば、真
夜中の停電は対応できるのかっていうことがあるのですが、先ほどまで発送電分離の話がちょっとでてきていましたけど、実
は小売の自由化においては、送配電あるいは計測関係が、ここ北海道においては、北海道電力がやるということですので、そ
れは今までと全く変わらないということになっています。ですので、我々は、コープさっぽろから電気が買えるということと、
その中で、発電所を選べる、それから、今までの北海道電力よりも安い電気が選べるといったビジネスを展開しております。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
はい、どうもありがとうございました。それでは続いて、エフパワーの宇佐美さん、お願いします。
○(株)F-Power(宇佐美氏)
エフパワーの活動エリアですが、沖縄県を除く全国9エリアで営業を展開しています。
手前どもの自社電源では、千葉にあるガス火力発電所、新潟にはガスエンジンの発電所があります。
計画中としては、ここ北海道の釧路発電所と九州に響灘発電所があります。
これはどちらも石炭を主としております。釧路発電所の石炭は北海道釧路コールマインさんで採れる石炭、まさしく北海道
で石炭を採らせていただきまして、その燃料を使って、発電事業を行い、北海道の皆様に安定的に電気を供給させていただき
たいという決意の基に、その発電所に手前ども投資するということを決定しました。
環境アセスメントが終わり次第、建設着工、運転開始は2019年12月を予定しております。
石炭を主として燃料を燃やすのですけど、実はこれ、バイオマスも混焼します。そういった意味では、環境にもやさしい。
石炭ですけど、高効率でかつバイオマスも混ぜてということで、いろいろな工夫、智恵を今出し合って、メーカーさんとも
タイアップしてやっていきたいというように考えています。
九州の方の北九州の響灘発電所というところは、北九州市さんのところにある発電所なのですが、これも石炭ですが、バイ
オマスも混焼します。
実は、北九州市さんも地域の電力会社ということで、2015年12月に、北九州パワーという会社を設立されました。ゆ
くゆくは手前どものこの発電所から出てきた電気も、北九州パワーさんに供給をさせていただくということで、地産地消のか
たちを目指しております。会社はもうできましたので、この4月から稼働ということなのですけど、これもバランシンググル
ープでの需給調整、この機能は手前どもが請け負っております。
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全国で大体新電力全部のシェアが5.5%ぐらいですが、そのうちのエフパワーという意味では15.68%占めさせてい
ただいております。
お客様として、実は官公庁の施設というのも多いです。これ以外は民間の企業ということです。
このようにエフパワーとして営業展開をしていますが、実際のところ、エフパワーって誰っていうのが、北海道においては
当然でございますし、知名度というのもないというのもわかっています。
そういった中で、北海道の方に、いい電気を、安い電気を届けたい、一方で釧路の方に地方創生の目玉として発電所も建設
し、電気事業を担っていくということでございますので、どなたかパートナーの方と組んでできないかと、北海道を元気にで
きないかということで、コンサドーレ様とサッポロドラッグストアー様と提携させていただきまして、エゾデンということで
作っていただきました。
手前どもの電気の販売、営業の代理店であるエゾデンさんということで、二人三脚で北海道に安定的にずっと電気を届けら
れるように、頑張っていきたいと思います。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
はい、ありがとうございました。また、後ほどもう詳しい話が聞けるかなと思います。それでは引き続いて、かぶちゃん電
力の田野さま。
○かぶちゃん電力(株)(田野氏)
私どもは道外で電力事業を展開しています。
私どもは元々、長野県飯田市において、干し柿を主力商品として通信販売をやっている会社で、この事業はかぶちゃん農園
という会社がやっています。この通信販売業から、グループ会社で、「農」・「食」・「環境」の3つのテーマを融合して事業を
やらせていただいています。
今回私どもが電力小売に参入することにつきましては、「取次ぎ」という契約形態をさせていただいて、私どもの通信販売
のお客様に対して、電気を販売していくビジネスモデルとなっています。
私どもはカタログを2種類お客様にお届けしています。「かぶちゃん通信」というカタログは、定期的に年4回、私どもの
お客さんに事業の紹介をしているカタログでして、もう一つは「かぶちゃん農園だより」というカタログで、干し柿をメイン
商品に販売するカタログです。
この干し柿は、長野県の地域ブランドに認定されている、地域を活性化する事業の中の商品で、私どもも一生懸命この商品
を全国にアピールしている地元の企業であるのですが、事業拠点は長野県飯田市で、本部は、東京です。
なお、社長の鏑木武弥の名前から、「かぶちゃん」という社名になっています。
私どもが電力小売に取り組むにことについての興味の有無のアンケートを、「かぶちゃん通信」カタログでさせていただき
まして、現状、3,600人ぐらいのお客様からアンケート返送を頂いております。このアンケートの反響で私どもが電力小
売を行うことに対するお客様の興味、関心の高さを実感しております。
私どものお客様は、主力製品が干し柿のため、幾分年齢層が高い方々が多く、ウエブとかスマートホンとかでの通知でなく、
紙媒体のカタログ等でわかりやすくシンプルに商品プランを御案内することで、私どもの電力小売事業を進めていこうと考え
ています。
私どもは、まずは東京電力管轄、中部電力管轄、あと関西電力管轄、この3つの地域電力管轄エリアから、4月1日から始
めさせていただき、順次体制が整い次第、九州電力管轄等々というかたちで広げていく予定で検討しています。まずはこの3
つのエリアの電力小売を、取次ぎでやっていくことからスタートします。
もともとの電気をどこから供給を受けるのかということになりますと、登録業者の株式会社イーネットワークシステムズ様
から電力供給していただくビジネスモデルとなっています。
また、私どもは同時に再エネ発電事業者でもありまして、太陽光発電所を22か所持っていますし、木質バイオマス発電所
も持っています。そして地熱発電所も持っていますので、まだ現状契約関係ではっきりは言えないのですが、一番大元のとこ
ろに大手商社さんが入っていただく予定になっておりまして、私どもが所有する再エネ発電所で発電した電力を、今FITで
やっているのですが、これを大手商社さんに卸して、ぐるっと私どもで小売をするというようなスキームが今考えている私ど
ものビジネスモデルです。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
はい、ありがとうございました。それでは、みやまスマートエネルギーの磯部さんお願いします。
○みやまスマートエネルギー(株)(磯部氏)
私たちの会社は、福岡県みやま市がちょうど1年前に昨年の3月に会社をつくりました。
地域の金融機関である筑邦銀行と地元で60年ぐらい電気工事店していて顧客接点をもつ企業と、とりあえずその3社でつ
くりました。
他の企業さんと違って自治体が経営主体であるので、私たちの目的は、電力販売が目的ではなくて、電力の販売はあくまで
手段、電力の販売で得た利益を、住みやすいまちづくりのための市民サービスを充実させるために住民に還元をしていこうと
いう目的でつくっております。
地域のエネルギーをできるだけ利用して、地方を元気にする、地方創生につながる仕組みをつくっていくことが目的であり
ます。地域の中の地産地消の電力を調達して、電力を販売する利益を、市民サービスにつぎ込んでいく。市民サービスをより
市民が豊かに、あるいは便利に楽しく暮らせるような各種サービスを提供するためにつかっていく。
その過程の中で、商店をもっと元気にしていこうということで、電力の販売にポイントをつけ、そのポイントを使って地域の
商店でお買物ができて、地域の商店が潤うような仕組みを作る。地産地消の取り組みが地域の商店、産業振興につながってい
くようなこと。ですから、電力の販売はあくまでも手段であって、目的は地域を元気にしていくということを考えています。
事業の目的に関し、一つ目は地域問題の解決であります。私たちの町は、福岡県の博多から、南へ電車で1時間ぐらい、熊
本との県境にあります。人口が3万9,013人、4万人弱です。世帯数が1万4,000世帯、典型的な地方の小さな町で
す。休みになると若い人たちは、博多に1時間ぐらいですから、買物に行ったり、ちょっと近くに中核都市がありますので、
そういうところに買物に行って、昼は地域の商店街が、シャッター商店街になって、なかなか街が元気にならない。人口減少
がずっと続いていまして、毎年500人ずつぐらい、人口の減少が続いています。500人減る中の200人は、高齢者の方
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がお亡くなりになるのですが、残り300人は社会減で、若い世代を中心に、転出が続いているということで、毎年500人
ずつ減っている。 平成30何年には、2万人台になって、市のかたちをとれないという人口減少問題をエネルギーで解決で
きないかというところが最大のテーマであります。
したがって、地域の電力を少しでも循環させながら市民サービスに振り向けて、その結果、この町に住んでよかったな、こ
の町に住み続けることで便利だな、高齢者が安心して安全な町で暮らせるな、というところに市民の方々と一緒になってどう
いうサービス展開をしていったらいいか、どういう街作りをしていったらいいのか、市民の方々のモチベーションを上げなが
ら、この電力事業に参加をしていただくことで、地域の課題の解決につなげていこうということが最大の事業の目的です。そ
ういう中で、少しでも地域の経済の活性化につながれば、いわゆる電力会社を通じて電気代をつくるために必要な資源を海外
にキャッシュアウトする必要なく、地域のエネルギーを地域の中で回していくことによって地域経済の活性化につながってい
くだろうということを考えています。
もう一つの目的として、エネルギーの地産地消があります。
みやま市は、平地が多く、山が少なくて、北海道と同じですけど、再生可能エネルギーの賦存量が非常に多い町です。数年
前にみやま市が主体的に市有地に大規模なメガソーラーの発電施設をつくりました。
今、その市が持っているメガソーラーの電力を利用して、全ての公共施設、小中学校ですとか、道の駅とか図書館とか、本
庁舎とか、そういう所に供給をしています。あるいは、町の取り組みに協力していただける市内の工場ですとか、病院ですと
か、そこはほぼ全て地域のエネルギーを使って協力していただいています。
市が持っている太陽光が5メガあるのですけど、賦存量が非常に多くて、市内全体では、60メガの太陽光があります。安
定しませんけど、昼間の電力だけであれば、小さな町ですから、市内に住む人たち、あるいは事業所全てに対して電力を供給
してもまだ余るぐらいの賦存量です。ですから、できるだけそうした再生可能エネルギーを利用して、あるいは、住宅の太陽
光設置率も非常に進んでいます。
国の補助金制度が少し少なくなったきた現状でも、市役所が設置補助金をつけて、CO2削減、省エネルギーのために太陽
光の設置を促しています。
おかげで全国平均の戸建てを分母にする設置率5.6%なのですけど、みやまでは、1万1,277の戸建ての分母に対し
て、1,200世帯、10%を超える住宅の設置率です。田舎ですから、大きな家に住んでいる人も多くて、余剰電力も私た
ちが買って、その電力を4月1日から一般の御家庭にも届けていきます。
市内にある太陽光、再生可能エネルギーをできるだけ面的に利用しながら、市内の企業あるいは御家庭に提供していき、そ
れを市民サービスに還元していく、市民サービスに振り向けていく。そういうことを目的に作っている会社です。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
はい、ありがとうございました。それぞれ非常に個性的な事業を計画されているということで、この後、もう少し踏み込ん
だお話を伺いたいと思っているます。その前に、先ほど私の方でも少し触れたのですが、自由化を前にして、いわゆる大手の
1社であったロジテックさんが撤退するということもあって、若干水を差したみたいな言い方をされることもあるのですが、
その点について、大能さんから、お話しできる範囲で構いませんので、今後注意すべき点などについて、少し御示唆いただけ
ればと思います。
○経済産業省資源エネルギー庁電力市場整備室(大能氏)
日本ロジテック協同組合は、4月以降は事業を行わないことを表明しましたので、これまで供給を受けていた方の切り替え
に関する対応に万全を期すことなどについて、国から指導させていただいています。自由化及び競争活性化の中で特に重要な
のは、消費者の方々の保護のための制度を整備することであると認識しています。さきほど触れたように、小売事業をこれま
でより厳しい登録制とした上で、供給力確保や苦情、問合せに対応する体制の整備に関する審査を経て登録しております。ま
た、契約内容等の説明の義務を課すと共に、消費者保護のための指導等を進めています。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
ありがとうございます。需要家の方も、そういう事業者を見極める視点を育てていくことも重要かと思っています。それで
は、これからもう一周各事業者さんに、お話を伺いたいと思いますが、少し事業のスタイル別に分けると、最初のエネコープ、
トドック電力さんとかぶちゃん電力さんは、基本的に既存のお客さんですね、それがコープさんであったり、通販のお客さん
であったりというかたちなのですが、そこをうまく活用して参入していこうという枠組みかなと思います。
木暮さんの方は小売事業者側の立場で、かぶちゃん電力さんは取次店の立場で、そこの違いはありますが、そういった視点
でやはり既存のお客さんへの付加価値を高めるとか、そういったメリットがあると思っていますが、もう少し具体的に、本業
のアカウントを利用することのメリット、強みですとか、後は具体的にどういうメニューを検討されているかということを、
伺いたいと思います。
○(株)エネコープ(木暮氏)
コープの電気の特長ですが、実は、エネコープ、実際には販売自体は、コープさっぽろになるのですが、約10万世帯に灯
油の定期配達を行っています。
この灯油の定期配達をされている方は、従量料金が、北電よりも安いのですが、それにプラス2%割引させていただいて
います。
それから、コープのポイントがつくというのが、重要なのですね。実はいろいろなポイントがつくところがあるのですが、
読んでいくとどこで使えるポイントかよくわからないポイントがあったりするのですね。ですから使えるポイントじゃないと
意味がないのですが、年間の利用額、例えば一般的な家庭だと10万円前後になると思うのですが、これに対して店で使える
ポイントが付くので、もし北電と値段が変わらなくてもポイントが付くだけでメリットが出てくるということです。
更に安いということで、実はトドックスマホという家庭用スマホを始めさせていただいており、機器代自体2万円台です。
通信サービス自体は、月々3ギガで2,000円弱、1,880円なのですが、そのスマホと電気を契約していただくと毎月
100円引きますというサービスをつけています。それから今までコープさっぽろでいろいろ御購入いただいている方は、請
求をまとめることができます。
やはり電気というのは、誰から買うか、顔が見えるかということが一番重要だと思っています。電気自体は、見えないので、
結局は誰から買うかということ、あるいはお店がその辺にあるかとか、宅配で家にまで配達してくれる人から買うのかという
ことですね。
コープさっぽろグループということでいくと、例えば宅配は34万世帯道内でやっています。その中にチラシを入れさせて
いただくと、新聞の折り込みと比べると、多分リターン率は10倍から50倍ぐらい違うと思っています。皆さん読んでくだ
さるのですね。
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それからあの人から買おうということで買っていただけるということもありますし、店舗に来て話をしようというところで、
道内に108店舗ありますので、そこで全部申込みもできます。電気に関しては、特に今のタイミングですと、恐らく何も見
ずにホームページあるいはコールセンターだけで、頼まれる方というのは、相当まだ少数派だと思っています。
また、今までどなたも、北電の料金表をちゃんと見たことがないのですね。今回のことで初めて見て、これ何ということで、
聞かないとわからないというところで、やはり対面の良さがあるのではないかと思っています。
我々はこういうセットをやっているのと、我々が持っている顧客接点を最大限使っていく。あるいは、今まで持っている決
済の仕組みを使いながらやっていくというかたちでビジネスを展開させていただいております。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
ありがとうございます。田野さんいかがでしょうか。
○かぶちゃん電力(株)(田野氏)
私どもは取次店という契約形態を選択しましたが、私どもは独自に発電所を持っておりますので、私どもがPPSになると
いうことも選択肢の一つとしてありました。なぜ取次店を選択したのかと言いますと、一番の理由は、私どもは元々通信販売
業ですので、私どもの商品を御愛顧していただいているお客様を既にもっているということが私どものメリットとして大きい
と考えたからです。
「干し柿」という一つの商品が事業の中心にあり、元々は干し柿の商品販売を拡大していこうことはあったのですが、これ
が多く売れる一方、農家の方々が高齢化してきまして、農業を来年からやめてしまうとか、柿の栽培や収穫作業ができなくな
ってしまう農家の方々が多くなり、これもまさに長野県も他の地方の県もそうなのですが、そういった状況を現地で直面する
中で、今後、私どもはこの事業をやっていくために、そして、干し柿という日本の伝統的な食べ物を継承していくためにも、
耕作放棄地に柿の苗木を植えていく必要性を感じて、農業をやむを得ず断念される地元農家の方から農地を継承して、柿の苗
木を植えていく取り組みをしています。
この農地を継承して柿の苗木を植えていく取り組みをする中で、農家の方だったり、近隣の地元の方々が、農地の他にも土
地をお持ちなのです。農業の継承ということだけでなく、高齢化による手つかずで荒れている土地の有効活用と環境保全への
取り組みの重要性を感じて、太陽光発電所をやっていこうと取り組みだしたのが、ちょうど震災の頃です。
私どもが事業に取り組むにあたり大切に思っていることがあります。日本の自然を守り、農を守ることは食の安全につなが
ります。自然環境の保全は私どもの大きな課題であり、新たな活動の指針になっています。
これらの取り組みの過程を、カタログで紹介する中で、お客様から私どもが電力小売に参入しないのかという声がかなり多
くありました。私どもには、お客様に対応するコールセンターを持っており、今回の電力小売を行うにあたり、「取次ぎ」の
契約形態で重要な問合せや受付窓口、電気料金の収納、債権回収も自社で対応することができます。
また、自分たちでカタログを制作する部署もあり、コールセンターがあり、それに加えてシステム関連を行う会社、いわゆ
る通信販売業ですから、データ抽出だったり、セグメント、マーケティングを行うための顧客分析を行う会社が私どものグル
ープ会社にあります。
そして電気料金の決済方法を何種類か御用意できるということですね。いわゆる電気料金をどういったかたちで回収するの
か、カード決済があるのか、郵便振り込みができるのか、コンビニ収納ができるのかという料金回収のインフラを既に構築し
ているということが、通信販売業を行っている私どもの強みだと考えています。
今回の電力小売事業をグループ全体の事業の中の一つの事業と捉えており、私どもは、ただ単に電力小売を事業単体ベース
で事業収益を考えていません。通信販売のお客様に対するサービスの一つ、お客様の固定化の手段ということで考えています。
また、もう一方で地域活性化、「まちづくり」ということを長野県飯田市において、早稲田環境研究所と連携しながら今やっ
ています。
その中で「伊那谷道中かぶちゃん村」という一つのテーマパークがあるのですが、私どもが地元の第3セクターから8年前
に譲り受け、そのテーマパーク事業の活性化のためにどうするかという、課題がありました。やはり地元にお客様に来ていた
だかないと、なかなかテーマパーク事業が活性化していきません。その課題解決策として、長野県には海がなく、森林資源が
豊富な県でありますので、木質バイオマス発電所をかぶちゃん村内に建設し、地元の小学生等々の環境学習の場として提供を
しまして、小野田先生にも御協力を頂きまして「親子で楽しく環境学習」という課外授業を行っています。地元に眠る森林資
源の利活用と未来を担う子供たちへの環境学習の取り組みが認知され、何とか、おかげさまで、かぶゃん村の昨年度の来村数
が10万人を達成することができました。
元々長野県飯田市の人口が10万人ぐらいしかいないのですけど、楽しく環境学習ができるテーマパークとして県外、県内
からお客様に来ていただけるようになり地元の地域活性化を行っております。地元の資源を無理なくムダなく有効活用するこ
とが目的でありましたので、木質バイオマス発電所は、小型の木質バイオマス発電所です。大型のものは私ども中小企業なの
でできません。小型の木質バイオマス発電所を自分たちのテーマパーク「かぶちゃん村内」に、昨年の6月に竣工して以来、
全国各地の行政の方々、団体等々皆さんが視察に来られて、大体今1,500人ぐらいの方々が全国から来ていただき、かぶ
ちゃん村というテーマパークでこういう取り組みをやっているといことも知っていただけたものと考えております。
私どもの今回の電力小売料金メニューにつきましては、先ほども申し上げましたように、私どものお客様は年齢層の高い方
が多く、いろいろなアンケートやお客様のお声を直接「4月1日から電力自由化になるのですがどうされますか」と尋ねたと
きに、新電力に乗り換えるに当たって「料金メニューがわかりづらい」とか、「いろいろ何がどうなのか、どうなっていくの
か、何が良いのか悪いのか、いろいろ出ているがわかりづらいし、めんどくさい」とかなり多くのお客様からお声を頂いてい
るので、私どもが電力小売を御案内するメニューはシンプルに、セット割もポイントも基本的に何もないです。私どもの料金
メニューは「かぶちゃん電気マル特プラン」という名称のもので、東京電力管轄、関西電力管轄、中部電力管轄エリアによっ
て、それぞれ違うのですが、何%かの電気料金割引をして、私どもを選んでもらうのかという独自の特典は、私どもの農業生
産法人かぶちゃんファームの社員が栽培し収穫した農作物をお届けします、という私どものグループ会社が行う事業からの特
典をお付けして御案内していく予定です。
私どものお客様は、どっちかというとふるさと納税に近い感覚なのかなという気はしないでもないのですが、要するに地方
において「食」・「農」・「環境」の3つのテーマを融合した取り組みをやっており、それが地方創生の一つの事業スキームとし
てお客様にカタログで御紹介しておりますので、それを御覧になったお客様で、私どもが御案内する「かぶちゃん電気マル特
プラン」に乗り換えてみようかなという関心のある方が、私どものようなところを選択いただけるのではないかなと考えてい
ます。あまり今の大手さんのところと私ども競合する気がないというか、値引きや特典内容で競合は実質的にできません。電
力小売の「取次ぎ」を行うに当たりシステム構築だったり、社員教育だったり、お客様のお問合せ対応だったり、やることは
多々あるのですが、取次ぎということでやることであれば、今の通信販売業で培ってきたノウハウを持っていますので、やる
のであればできるのではないか、ということで今動いております。アンケートに書いて返送していただいているお客様も今
3,600人、今後まだ増えてくると思うのですが、お客様にお応えをしていかなければならないということで、私ども今後、
- 4 -
専門部署を立ち上げてやっていこうと考えているところです。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
はい、ありがとうございます。例えば発電所を持っています。そういうところがゼロから、請求書を作ってやるというのは、
なかなかハードルが高いのですね。ですので、そういう既存のアカウントを活用するのは、現実解の一つではないのかなと思
います。
次に宇佐美さんにお話をお伺いしたいと思いますが、(株)F-Powerさん、シェアでいえば第2位の大手の新電力だという
ことでありますが、逆に地域のブランドを活用しながら、道内でも事業を検討されているということで、先ほども説明ありま
したが、もう少し詳しく地元の代理店方式の採用に至った経緯ですとか、今後どうやって活用していくかということで、今日
いらっしゃっていただいている方々に接点があるのかという話を含めて少しお話をお伺いできればと思います。
○(株)F-Power(宇佐美氏)
最初、北海道さんの方と、また釧路市さんの方とちょっと付き合いが始まりまして、バイオマス石炭火力発電所を北海道に
つくろうと、北海道をインフラ事業から支えようということで御縁がありまして小売よりも発電所建設の方が先にありました。
出力は11万キロワット、石炭火力ですのでベース電源と言われているものです。
要するに24時間365日、定期修理する以外は発電し続けますので、そういった電気が出てくると、当然この電気をどう
しようというふうになる訳です。どうやって北海道のお客様に販売していこうかといった中で、インフラとして北海道を支え
るという意味で、別な意味で北海道を支えているような企業の方、そういった方と手を組めないかということで、ひとつの出
会いがコンサドーレだったんです。実は私、大学のサッカー部でコンサドーレの野々村社長とですね、先輩後輩といいますか
教え子だったので、電話しまして、発電所をつくるんで、今後電気も自由化になるから、コンサドーレも、コンサドーレ札幌
から北海道コンサドーレ札幌に名前を変えるんだというような話があり、北海道全体を元気にしたい、スポーツを通じて元気
にしたいというような話を聞いていたものですから、そういった意味でコラボレーションは可能なのかなといったところで、
彼とちょっと話を始めました。
正直我々も莫大な投資をしますので北海道の方にいろいろ広くという思いがありましたので、そういった中で彼と話した中
で生活を支援されている、あるいは、コンサドレーレといろいろ提携をされていたということで、サッポロドラッグストアー
さんの富山社長ともそこでお話をさせていただきまして、コンサドーレとサッポロドラッグストアーとの2社のブランドをつ
くろうじゃないかということで「エゾデン」をつくっていただいたというのが経緯でございます。
サツドラさんにおかれましては、「EZOCA」カードという既存のカード会員の方が120万人ほどいらっしゃるので、そ
ういったものをお持ちでございますので、そういったところと提携して今後準備ができましたら、策としましてコンサドーレ
の方からは札幌ドームの試合のチケットでの提携とかサツドラさんとはポイントカードの優遇措置とか、そういったところを
いろいろと検討させていただいて、がんばっていきたいと思っています。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
ありがとうございます。それではですね、引き続き、みやまスマートエネルギー(株)の磯部さんにお話をお伺いしたいと
思いますが、今、お三方からお話しいただきましたが、基本的には安心感といいますか、まあそういったことをそれぞれのや
り方でアプローチしているのかなというふうに思うのですが、そういう意味で、自治体さんが参画しているというのはですね、
ひとつ地域から見ても非常に安心できるパターンなのかなと思っているのですが、先ほどあくまでも電力は手段ですよと言う
お話があったんですが、恐らくこういう動きをしたいという自治体さん、私もいろいろと相談を受けているのですが、自治体
さんがこういった電力事業に参画するということの意義といいますか、ほかの地域向けのメッセージとしてコメントいただけ
るとありがたいのですが、いかがでしょうか。
○みやまスマートエネルギー(株)(磯部氏)
先ほど御説明しましたように市民サービスの還元というか充実に振り向けていくというお話として具体的には、例えばタブ
レットを提供していこうとしているのです。タブレットではなくてもパソコンやスマートフォンをお持ちであればいいんです
けれども、田舎町ですから高齢者比率が非常に高くてパソコンの操作がなかなかできなくて、高齢者の方でも参加していただ
けるように、高齢者の方がお買物をしていただいたり、あるいは高齢者向けの様々なメッセージを配信したりというようなこ
とで繋がりを考えています。
例えば、タブレットの中で、「みやま横丁」と書いてあるボタンを押すと地域の商店だけが参加をして、地域の商店からお
買いものができて、そして、私たちがデリバリーをするというような仕組みを考えています。あるいは、農家の方が、ちょっ
とナスがたくさん獲れたからおすそわけという格好で出品していただいて、それを電力の契約者には、ちょっとでも安く提供
していくというように、地域の電力に契約していただくと地元の商店街から、安くて、デリバリーをしていただいて、地元の
商店も少しでも売上げが上がって元気が付いていくというようなことも考えています。
あるいは「なんでもサポートすっ隊」というのは、特にお年寄りの方は、例えば、九州では珍しいのですけれども、お年寄
りの一人暮らしの方が凍結で水道管が破裂しても手の施しようがないので、例えばこのボタンを押していただいたら私たちが
スカイプの画面で私たちの社員が出てきて、「どうしましたか?」と対応するとか。
例えば、犬の散歩まで代行しますというようなことも発表しています。何でもお困りごとがあれば、日頃の生活の御用聞き
みたいなことまでやります、ということをしています。その前提として見守りというのがあるのですけれども、特に御高齢者
の方の見守りサービスというのは充実させていきたいと思っています。
今、家庭向けのスマートメーターも設置されるので、契約をされると30分間隔で私たちが電力データを把握することがで
きます。
30分値でどこまでできるのかというのは少し考えなければいけないところですが、電力の使い方を私たちが把握できるこ
とによって、ふだんと違う様子を知って、それによってお声がけをすると。
今、2,000世帯の方に経済産業省さんの補助事業を使って、この2年間実証実験をしてきました。そのデータは30分
値ではなくて5分間隔のデータを取って、高齢者の電力データを把握して、ふだんと違う様子を知って、お声がけをしてきま
した。
メールを配信してどうしましたかということもしますし、あるいはそれで御返答がなければ私たちから電話をしまして「お
じいちゃん、おばあちゃん、どうしましたか?ふだんと違うのですけれども元気にされていますか?」という配信をして、も
のすごく喜ばれています。
センサーや監視カメラで見守ったり、あるいは自治体ですから様々な支援サービスというものはあるのですけれども、電力
のデータからさりげなく日常生活を、しかも自治体というブランドで見ていただけているという安心感が、お年寄りから非常
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に高く、モニターに参加いただいた高齢者の方々ほぼ全員が、このサービスを是非続けてほしいというアンケートの答えがあ
りました。4月からは、電力の契約をしていただいたら、こうした見守りサービスも提供しますと、お年寄りの方には無料で
提供しますけれども、そういったお年寄りの方へのサービス、あるいは若い方へのサービス、それぞれニーズがいろいろとあ
ると思いますので、そういったお声を聞きながら、ひとつのインターフェースとしてこういったタブレットを提供して進めて
いこうという取組をしています。
実は同じように地域のエネルギーを活用してこうした地域を元気にするような活動を、形は様々ですし、それぞれの自治体
さんが抱える課題というのは様々にありますので、アウトプットはいろいろですけれど、基本的には同じような目的を持った
ところに対しては、こうしたサービスのプラットフォームを自治体さん向けに無料で提供もしています。
今、10以上の自治体さんが、九州だけではなくて、同じような取組を一緒にやりましょうとお声がけを頂いております。
昨日も記者発表をしてきたのですけれども、鹿児島の肝付町(きもつきまち)といいまして、みやま市よりももっと小さな町
ですけれども、太陽光も風力も小水力もバイオマスも全部あるよう町で、そこと再生可能エネルギーを融通し合いましょうと
いう協定を結んできました。みやま市が晴れたときには、太陽光の電気を肝付町にお届けする、あるいは肝付町でできた電力
を私たちに融通していただくというように、再生可能エネルギーをお互いに融通する仕組みをつくって提携をしていきましょ
うと。
電気はどこでも運べますので、必ずしも九州ではなく、他の自治体さんとも連携をしながら、こうした市民サービスのプラ
ットフォームは一自治体で囲い込む話ではないと思っていますので、それを皆さんで共有して、お互いの市民が産業交流とい
うかポイントを使ってお互いの地域の商品が安く買えたりというようなことで、人の流れだとか産業の交流に繋がればという
ようなことも考えているところです。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
今お話しいただいたような地域サービスという視点は今後重要。やはり、なかなか価格だけだと行き詰まってしまうという
のは、実はそういう地域も出てきているわけですが、そういう視点は重要かなと思います。最後、もう一言ずついただきたい
と思います。まず木暮さんと宇佐美さんには、道内で事業を展開され始めているというところがございますので、そういった
ビジネスの展開する上での工夫ですとか、配慮が必要な点みたいなところを中心に伺えればと思っています。
○(株)エネコープ(木暮氏)
電力事業自体だけで収益を成り立たせようとするにはある程度規模がないと成り立ちません。ミニマム的な、例えば数千人
規模レベルの規模というのは絶対に成り立ちません。
ですから、今ある本業があってやるということがあれば数千人でも成り立つのですが、基本的に将来に数万、あるいはでき
れば数十万いかないと家庭向けは成り立たないと思います。北海道はそういった意味では非常に人口密度が薄いというか、営
業がなかなか大変な部分があります。
加えて、今の時点でいくと皆さんが、TVCMを見た、じゃあ入ろうというタイミングではないのです。
ですから今までの顧客接点を持っている事業者さんが今までと違うビジネスをやっているときに御説明をされるとか、そう
いったことがないとかなり厳しい事業になると思っております。
ですから北海道では、やるのであれば本業を持っている方が、それをもっと補強するためにやるというのがひとつの在り方
ではないかと思っております。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
では、続いて宇佐美さん。
○(株)F-Power(宇佐美氏)
電源は釧路につくりますけれども、やはり本州と連携が薄いということが北海道の最大のネックでございますので、北海道
に自前の電源をしっかり持ってやっていくことがひとつ大きなところなんです。
もうひとつスモールビジネスという意味で、新しく御紹介したいのですが、JA士幌町さんには酪農家さんがいらっしゃい
ましてバイオマス発電をやられています。
そちらのバイオマス発電を使いまして士幌地域限定ですけれども自分のところでできた、酪農家さんのバイオマス発電を使
って士幌地域の人は電気供給を受ける、こういった仕組みもやりたい。4月1日からスタートさせようと思っております。J
A士幌さん自体が電力事業ということでは初めてでございますので、電力事業の需給調整であるとか、請求のシステム、そう
いったもののバックアップのサポートとして(株)F-Powerがさせていただいて地域の方に貢献できればと思っております。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
それでは、田野さん、磯部さんからは、少し言い残したところも含めて今後の課題なり、北海道の皆さんへのメッセージな
りをお願いできればと思います。
○かぶちゃん電力(株)(田野氏)
私どもが、再生可能エネルギーに取り組み始めたのは、その地域、地域において自分たちのエネルギーをどうしようかとい
うことが考え方の出発点だと思っております。
そして、そこで事業を行っている私どもが「まちづくり」に対して、民間企業なりにどういうことができるのかということ
を地道にやらせていただいている中で、基本的には、地方の村だったり町だったり、市だったりいうところにつきましては、
10メガ、100メガといった大規模の太陽光発電設備がそこの地域のコミュニティをまかなう電力として必要ではないと考
えますし、大型の木質バイオマス発電所が必要でもないと考えています。
だけども、それぞれの地方の町や村に資源がないかといえば、実は眠っている資源があるので、自分たちの住む地域で、そ
れをいかにどう利活用して自分たちのコミュニティの中でどう循環をして完結する社会をつくっていくのかということが今後
の課題ではないかと、考えていますので 私どもは民間企業として、できることからやらせていただいております。
それにプラスして、私どもは「テーマパーク」という観光資源を持っておりましたので、観光でお客様を集客し固定客化す
ることも含めて「お客様の囲い込み」を行い、グループ会社全体の事業収益構造を構築しています。通販事業をやっていて、
お客様を持っている企業が電力小売の取次ぎという形態を選択して、電力小売参入に対して全部が全部、いわゆる同時同量と
かノウハウやシステムを持っていない企業さんでも、それぞれの地域、地域に合った取り組みができるんではないかなという
気はしています。
もう一点は、私どもは東京の企業でありまして長野県飯田市で事業をやらせていただいているのですけれども、やはり地元
は地元で良いものを認識はしておられるのですが、そこにある資源だったり宝物みたいなものというのは、他県の方々が客観
的に見た方がそれを発掘されたりとか、こういうのが面白いのではないかっていうのが実はあるように考えています。とは言
っても、東京の人間が突然いきなり行って、地元で、わーと言ってトッカントッカンやり始めますと地元の抵抗感が相当にあ
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りますので、地元の方々と話し合い協力しながら新しいビジネスモデルを各地域で立ち上げ、4月1日電力自由化がスタート
しますので、参入されるところがあれば、やはり参入した方が良いのではないかなあという気は私どもはしております。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
それでは磯部さんお願いします。
○みやまスマートエネルギー(株)(磯部氏)
先ほどから、自治体ならではの、サービスの話をしておりまして、自治体ならではの非価格競争というところは当然差別化
要素として考えていかなければいけないところなんですけれども、やはり自由化ですから、競争に勝っていかなければならな
い、価格競争に勝っていかなければいけないというのが基本にあると思っています。
そのためには自治体が主導的にそれぞれの小さな単位でプラスマイナスゼロぐらいで成り立たせることはできるのでしょう
けれども、本当に地域貢献できるぐらいの利益を上げて、インフラですから10年20年じゃなくて自治体ですから50年、
100年事業を続けないと市民へのコミットメントできないと思っていますので、そういう意味で自治体が電力の共同調達を
するとか管理コストを引き下げるための分担をするとか、そんなこともこれから課題として視野に入れていかないといけない
だろうと思っています。実際そういう話の仕方を今自治体同士で連携して話をしています。
一方でそこでは地域の再生可能エネルギーをできるだけ使って、できるだけその比率も高めようということと、一部逆行し
ます。安い電力を共同調達すると再エネ比率を下げなければいけないというところのバランスをどうやって地産地消を掲げる
地域の電力会社がどういう旗印でこれから事業をゴーイングコンサーン(継続企業)で50年続けてやっていくのかというこ
とをよくよく話し合いながら課題として掲げてやっていかなければいけないという認識でいます。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
最後に大能さんから議論を聞いての感想でも構いませんので、コメントいただければと。
○経済産業省資源エネルギー庁電力市場整備室(大能氏)
安定供給の確保や競争活性化と共に、消費者の保護も十分に図られるよう、昨年設置した電力取引監視等委員会とも連携し
て、しっかり対応していきたいと思います。
○コーディネーター(早稲田大学 小野田准教授)
ありがとうございました。それでは、簡単に私の方でまとめますけども、これからまさに電力の市場に参入しようという皆
さんに、あくまでも現段階ですけれども、非常に貴重な意見をお伺いできたのかなと思います。
そういう意味で今後、今日いらっしゃっている皆さんそれぞれの立場で参入を検討するのか、あるいは切替えを検討する
のかというのは、いろいろあると思いますが、少し考えるきっかけにしていただければというふうに思います。
2つだけ申し上げますと今日、経済部さんの事業なので申し上げますけども、起業経験のある人間の立場からするとです
ね、これだけの市場が開放されるのに何もしないのはもったいないというのが私の考えです。それだけ大きな市場が開放され
るということで、これをきっかけに地域が元気になるような取組を是非考えていただきたいなあというのもひとつでございま
す。
それから、電力の制度設計には直接は関わっていないのですが、私も幾つか制度設計とかの議論に参画していて思うのは、
国がルールをつくってやっていくんですけども、それに乗っかるだけではなかなか地域の皆さんのメリットを共有できるよう
な仕組みはできないという思いを最近感じています。最大公約数を求めていくこと、ではなくてやはり先ほど来何度も申し上
げているように北海道特有の課題を地域の皆さん自身が考えて、それをどうしていくのかということですね、そういうメッセ
ージを発信していくことが重要だというふうに思っています。
そういう意味では電力自由化というのは非常に大きないいきっかけだと思いますので、最終的には北海道をよりよくしていっ
ていただきたいなというふうに思います。それでは、今日、御登壇いただいたパネリストの皆さんに拍手をしていただいてパ
ネルを終了したいと思います。どうもありがとうございました。
<質疑応答>
○質問1
トドック電力の方にお伺いします。受付が始まったのが、3月1日からなんで、先行して受付開始したところと取りあえず
契約したんですけれども、 できれば自然エネルギーを主体にしたところと契約したかった訳です。
ただ、30A契約以上であって、15Aでは受け付けていないというお話があった訳ですけど、私は2年前に30Aから15A
に契約変更したんです。月500円ぐらい基本料金、固定料金が安くなるんで、年間6,000円ぐらい安くなるんですけれ
ども。その関係で、15A契約はちょっとメリットが出ないという判断をされたのか、その辺りをちょっとお聞きしたい。
それからもう一点は、先日の新聞で、小売市場への新規参入を阻害するような取引に対して行政処分を下す仕組みを導入す
ると。これ2月25日の新聞です。これを公正取引委員会と共同で行うということなんですが、公取委とはどのような打合せ
の内容だったのか、簡単で結構ですから教えていただきたいと思います。
○回答:(株)エネコープ(木暮氏)
実は電力は、3段階料金になっていることは御存じかと思うんですけど、3段階で1段階目はかなり低くて、2段階目がも
うちょっと高くて、3段階目が一番高い、という電力量料金と基本料金なんです。実は参入するときの我々のコスト構造とい
うのは、実は北電さんのコスト構造、北電さんも実はコスト構造でこの値段が決まっているわけではないんですね。総括原価
なので、すべての人からどう料金をいただくかということで、例えば、1000人いたら1000人でかかったコストをどう配分
するかという形で決めている。その時どうしているかというと、多く使っている人はそのかかっているコスト以上に恐らく多
く負担させて、使ってない人はかかっているコストよりも少ない料金でやっているんですね。
実は、我々の仕入れから考えると15Aの方だと160kwhぐらいなんですね。そうするとその基本料金と1段階目と2
段階目の中盤の料金で終わってしまうので、かなり安くなってしまうんです。それで、北電さんに払っている託送料金、先ほ
どの送配電に使っている料金が9円ぐらいかかるんですね。そういうことからいきますと、実は逆ざやになってしまうんです。
普通の料金でやると。15Aで設定させていただくと同じ利益率ですと北電さんより高くなってしまうということがありまし
て、いまのところは料金として設定してないんですが、この6月からは考えていないのですが、それ以降は状況を見ながら場
合によっては入れていくということになると思います。
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○回答:経済産業省資源エネルギー庁電力市場整備室(大能氏)
ご質問頂いた記事は、適正な電力取引についての指針の関係だと思われますが、公正取引委員会は独占禁止法の観点で電力
の取引を見ており、一般電気事業者が独占的な立場を利用して公正な競争を阻害することがないよう、具体的な内容を指針で
示させて頂いています。
○質問2
北海道庁の方から火力の最大機が止まったときに北本連系でカバーできないとの説明がありましたけれども、そういった大
きな発電機を認可した、あるいは行政指導とか、強大な権限を経済産業省は持ってますよね。その現状については経済産業省
の明らかな失政としかいいようがないと思いますけれども、その点についてはどのように説明されますか。
○回答:経済産業省資源エネルギー庁電力市場整備室(大能氏)
一般電気事業者は様々な電源を用いて電気を供給しており、連系線のみで安定供給を確保しているわけではないため、その
点に御留意いただければと思います。
○質問3
お話、本当に感動して聴きました。このたび電力に参入させていただくことになりました。みやま市様にも一度ヒヤリング
にお邪魔したこともございます。そのときも感動したんですけど、今日も改めて感動しました。それぞれの皆様方に質問させ
ていただきたいと思いながら、お時間もあると思いますので、F-Powerの宇佐見様に、先ほど、士幌町様のバイオマスのお
話あったかと思うのですが、日本に自治体が1,730ぐらいあって、北海道には179の自治体があって、何かこうこのカ
テゴリーの自治体さんにアプローチしているとか、逆に、自治体さんの方からアプローチがあったときにお応えしているのか、
その辺の、私たちも今、農業の方も力を入れてきまして、この多様なサービスの中では、電気とともに農業の振興をお手伝い
させていただこうかなと思っているんですけど、ちょっと参考にお聞かせいただけたらと思います。
○回答:(株)F-Power(宇佐美氏)
自治体の方から相談があるかどうかと言われますといろいろ相談を受けてます。それぞれの自治体さんによって、これ千差
万別でございますので、電気のことでいうと、電源ある、なし。そういうことも含めて、電気も再生可能エネルギーであるか
どうか、あるいはゴミ発電があるかどうかになりますので、そういった電気の種類に応じて、それと、供給、お届けする人は
どういった方々がいるか、どういう人口の規模かに合わせて、どちらかというとオーダーメイド的になりますけれども、相談
を承ってます。どうしても電力会社をイチから立ち上げてやるのは難しいというか、そもそも無理だと思いますので、手前ど
もでサポートできる部分、一番は需給調整の部分で、手前どものバラシンググループと呼んでますけれども、一体となって需
給調整をするかどうか、といったところか、あるいは請求とかですね、そういったシステム、そういったところを一緒に共有
させていただくか、そういったところでございます。
JAさんのところですと、農村型と言いますか、一つのモデルケースになり得るんじゃないかなといった思いがあって、サ
ポートさせていただいて、まだまだ試行錯誤になるかと思いますが、酪農家さんへのメリットを返しつつ、士幌の方にも安い
というか、地元の電気で供給する、最初はJAの施設が中心になると思いますけれども、そういった形からスタートするのか
なと。ゆくゆくはですね、例えば市民の方へのサービスとかなんですけど、現実的には市役所の施設であるとか小中学校の施
設に電気を入れる、そういったことが現実的かなと思っています。
○質問4
小売が全面的に自由化になれば、いろいろな電気が普及すると思いますので、そうなればですね、原発は廃炉になっていく
のかどうか。その見通しについてお伺いしたい。
○回答:経済産業省資源エネルギー庁電力市場整備室(大能氏)
さきほど触れたエネルギーミックスが2030年の電源構成についての政府の見通しとなっており、必要な政策措置を総合
的に講じていく予定です。
○質問5
今回このような会を札幌で開催されてる訳ですけれど、函館、旭川、帯広等で開催する予定はあるのかどうか。北海道の方
に聞きたい。
○回答:北海道経済部環境・エネルギー室
私どもの予算の都合ですとかいろいろございまして、こういったフォーラムについては、札幌1か所のみの計画しかござい
ません。おっしゃるとおり北海道は広くていろいろな地域の方にこういった情報を知っていただくことは非常に重要なことだ
と思ってますので、まずは今日の会合の中身を、こういった議論があったということをホームページで御紹介して全道の皆様
に御覧いただけるようにしたいと思います。
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