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牛深の昔の海を 写真で振り返る 御所浦の伝統漁法 “とんとこ漁”

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牛深の昔の海を 写真で振り返る 御所浦の伝統漁法 “とんとこ漁”
∼ くま も と ∼
10月26日㊏・27日㊐
27日㊐は牛深漁港でも放流行事を実施!
ることから、この名前がついたといわ
れています。網を張る“網船”と、魚群
を探す“灯船”、取った魚を運ぶ運搬船
そう
など5艘程度が1船団になって漁を行
いるのがわかります。
▲地元の中学生を対象にした
“とんとこ漁”体験のようす
さばえ かなめ
(牛深町・79歳)
イワシの加工は住民総出
学校が臨時休校になることも
鯖江 要さん
昭和 年ごろは、イワシの巾
着 船 の 乗 組 員 を し て い ま し た。
このころは の船団︵約230
艘︶が牛深港を拠点にして漁を
していたと記憶しています。当
す。
クロマグロがよく釣れていた
こ ろ、私 は 4 歳 か 5 歳 で し た。
記憶している中でいちばん大き
なものは、約 貫︵約135㎏︶
もありました。子ども心にとて
も大きく感じたのを覚えていま
36
46
るほどだったんです。
ため、大漁の日は加工に多くの
人手が必要になり、住民が総出
で作業にあたりました。ときに
は学校が臨時休校になって、子
どもたちも手伝いにかりだされ
時は、イワシを取っても生きた
ままで流通することがほとんど
なく、大部分が削り節や魚油な
どに加工されていました。この
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いちばん多いときで、当時は
御所浦町全体で 艘以上の船が
とんとこ漁をしていたと思いま
こ ろ か ら 行 わ れ て い ま し た が、
とんとこ漁がなくなってしまう
のは、やはりさみしいですね。
10
それでも、 年ほど前から地
元の中学生や修学旅行で御所浦
10
盛 ん に な っ た の は 昭 和 年 代、
冬にタチウオをとるようになっ
漁を行っています。
とんとこ漁は、私が子どもの
をする船は、私も含めて 艘く
らいになりました。私はこの漁
現在、御所浦町でとんとこ漁
す。そのころは、とてもにぎわ
いを見せていましたね。
50
妻とともに、昭和 年から地
元の近海で
〝とんとこ漁〟
をして
(御所浦町御所浦・76歳)
を訪れる子どもたちを対象にし
てからです。もともと、タチウ
て、とんとこ漁体験を行ってい
オはいたんですが、網をかみち
ます。子どもたちは目を輝かせ
ぎってしまうので取るのを避け
な が ら 取 り 組 ん で く れ ま す し、
ていました。ところが、このタ
チウオが高値で取り引きされて ﹁こ ん な に お い し い 魚 を 食 べ た
のは初めて﹂と、とても喜んで
いることがわかったんです。
くれます。天草の海はすばらし
また、とんとこ漁は春から秋
いということを、再認識する瞬
までが主な漁期で、冬の漁はあ
ま り 思 わ し く な か っ た ん で す。 間ですね。
今後も、子どもたちに御所浦
それで、タチウオを取れば1年
の伝統漁法を伝えていきたいと
を通して漁が成り立つというこ
とで、
広まったんだと思います。 思っています。
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深港です。昭和24(1949)年には、同
港のイワシの水揚量が全国で2位を記
写真①
(写真提供:吉川茂文さん〔牛深町〕)
写真②
浦本 正準さん
います。主にタイやフグ、タチ
ウオなどが取れ、1年を通じて
うらもと まさのり
〝とんとこ漁〟を子どもたちに伝えていきたい
録しました。このときに行われていた
きんちゃく
漁法は巾着網漁(まき網漁)で、魚を
取るときの網の形が巾着財布に似てい
が大好きですのでまだ続けたい
と思っていますが、 年後はど
う な っ て い る か わ か り ま せ ん。
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と比較することで、相当に巨大なクロ
マグロであったことがうかがえます。
とんとこ漁のしくみ
6
2013 . 8 . 1
市政だより 天草 No.176
7
います。写真②は、巾着網による操業
のようす。大量のイワシが網に入って
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当時、牛深沖にはクロマグロがいて、
帆船で2∼3人の乗組員により一本釣
りで漁をしていたそうです。体長や重
量などは不明ですが、見物人の大きさ
照)
。以前は、この漁を行うときに魚
を追い込むため船をたたいており、そ
の音から
“とんとこ漁”
と呼ばれるよう
になったといわれています。
写真①は、牛深で水揚げされたクロ
マグロです。写真には、「昭和14年2
まぐろ
月18日鮪大漁記念」と書かれています。
きのロープを使って行います(下図参
クロマグロが大漁
ご ち
牛深の昔の海を
写真で振り返る
“とんとこ漁”
は御所浦に昔から伝わ
御所浦の伝統漁法
る漁法で、一般的には吾智網漁といわ
“とんとこ漁”れているものです。一艘の船で、袋状
の網と魚を追い込むためのチェーン付
かな海づくり」
”を、今号から3回にわたって掲載します。
今回は、牛深の昔の海を写真で振り返るほか、御所浦町で現在も続いてい
る伝統漁法“とんとこ漁”について紹介します。
豊かな海 づくり
天草灘や有明海、八代海の3つの海に囲まれている天草。私たちは、日々
海からの恩恵を受けて暮らしているといっても過言ではありません。
そこで、天草の海の豊かさ、大切さを今一度考えていただく“シリーズ「豊
シリーズ
全国豊かな海づくり大会
第33回
イワシの水揚げが全国2位
昭和20年代、天草はイワシの宝庫で
した。この一大拠点となったのが、牛
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