...

ESHRE2016 気になった発表(その②)

by user

on
Category: Documents
26

views

Report

Comments

Transcript

ESHRE2016 気になった発表(その②)
IVP-News-160905-01-01
ESHRE2016 気になった発表(その②)
2016 年 7 月フィンランドのヘルシンキで ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)2016 が開催され、日本の方々も
多くご発表されていました。今回は個人的に気になったご発表を抄録集から抜粋してご紹介させて頂きます。
===================================================
O-122:NGS を用いたスクリーニングで高い妊娠率が得られた。
Selecting single blastocysts for transfer with next-generation sequencing significantly improves
ongoing pregnancy rates for IVF patients: results from a randomized pilot study. (ZytoGen et al.)
204 患者を対象に、無作為に NGS 群 103 人と非 NGS 群 101 人に分けて検討した。細胞は 5 日目胚から TE
の一部を採取して検査して、正倍数性の胚 1 個を移植した。臨床的妊娠率は NGS 群 70.8%と非 NGS 群 47.5%
で有意差があった。継続妊娠率も 69.9%と 45.5%で NGS 群が高かった。
O-164:セルシートエンジニアリングで作製した子宮内膜を移植したところ、子宮内膜が再生され妊娠可能であ
ることを確認。
Regeneration of endometrial function such as establishment of pregnancy by endometrial cell sheet
transplantation. (G. Kuramotoet al.)
GFP 陽性の子宮内膜細胞でセルシートを作製して、子宮内膜を切除したラットの子宮に移植し 4 週間後に観察し
たところ、GFP 陽性細胞の広がりを確認できた。交配実験の結果、GFP-子宮細胞を移植した群では、GFP 陽性
の胎嚢が確認された。
O-167:ゴナドトロピン刺激下の IUI は、IVF1 周期と同等の妊娠率が得られた。
Controlled ovarian Hyperstimulation (COH) and intrauterine insemination (IUI) vs. In-Vitro Fertilisation
(IVF) for the first line treatment of unexplained subfertility - A randomised controlled trial. (A. Nandi
et al.)
症例を無作為に COH (ゴナドトロピン) + IUI (n= 101) と IVF1 周期 (n=106)に分けて検討した。3 回 IUI を行
った場合の累積妊娠率は、31.9%(22/69)で、IVF を 1 回試みたときの妊娠率 33.9%(36/106)と同等で
あった。継続妊娠の多胎率は 9.1%と 8.3%で、COH + IUI 群の多胎は全て双胎で、IVF 群は品胎も含まれた。
O-195:アガロースの中空カプセルを用いて、患者から得られた精子を凍結-融解を行った。
Cryopreservation of very low numbers of spermatozoa from infertile men using agarose capsules.
(S. Hatakeyama et al.)
アガロースの中空カプセル内に、26 名の患者から得られた 2142 個の精子を注入して凍結-融解を試みた。融解
後の運動率は患者間で差が大きく 20~95.1%と幅が認められ、平均は 68.3%であった。スイムアップ後の運動
精子数と融解後の生存率に強い相関が認められた。
O-233:37℃に保つ新しい移植機器具で移植したところ、良好な妊娠率を得られた
A new device for warming embryo during the transfer improves clinical outcomes. Preliminary results
in a RCT. (R. Bernabeu et al.)
37℃で保温したあと、10 分間で 36.5℃にしか内部温度が下がらない器具を開発した。この器具を用いて胚移植
したところ、妊娠率は 44.4%(n=27)と 51.3%(n=39)
、p=0.624 で有意差は認められなかったものの、比
較的良好な妊娠率を得られた。
高度生殖医療技術研究所(ARMT)
IVP-News160905-01-01
O-251:PGD にともなって、早期早産や低体重児などのリスクは上昇しなかった。
Perinatal outcomes following preimplantation genetic diagnosis versus IVF or ICSI: analysis of
99,498 singleton live births (S.K. Sunkara et al.)
イギリスにおける 1991~2011 年までの 99,498 人の単体児について検討した(PGD452 周期と体外受精
99,046 周期)
。結果、オッズ率は早期早産児で 0.70, 95% CI 0.48 to 1.03、低体重児は 0.59, 95% CI 0.44
to 1.05 で、両者に有意な差は認められなかった。
O-252:c-IVF、ICSI、TESE、IVM、卵子活性化の技術を用いて誕生した児に、先天奇形を含むネガティブな問
題に有意差はなかった。
Follow-up of children born after new technologies: testicular sperm extraction (TESE), in vitro
maturation (IVM), and artificial oocyte activation (AOA) (S. Shibasaki et al.)
合計 2977 人の生児に対して、周産期及び発達について調査した。結果、早産、低体重、奇形率について、cIVF、ICSI、TESE、IVM、卵子活性化グループの間で有意差は認められなかった。また、6 歳までの発達も通常
の IVF 群と比較して、いずれのグループでも有意な差は認められなかった。
O-265:内細胞の弛緩が 1 絨毛 2 羊膜双胎のリスク要因であることをタイムラプスを用いて確認した。
Inner cell mass of blastocyst grade and loosening of inner cell mass is related to monochorionic
diamniotic twinning. (J. Otsuki et al.)
1 絨毛 2 羊膜双胎になった胚において、良好 ICM (grade A) では 0.38%(3/796)であったが、 不良 ICM
(grade B,C) では 1.38%(34/2463) で有意差を認めた。また、タイムラプス撮影を施行後に、71 個の融解胚
盤胞移植を行ったところ、1 絨毛 2 羊膜双胎が1例あり、注意深く観察したところ ICM がばらけるのが認められ
た。
==============================================================================
P-011:精子検査が可能な、スマホに取り付けられるレンズを開発
The novel device of male infertility screening with single-ball lens microscope and smartphone. (Y.
Kobori et al.)
1 個のボールレンズを使った、市販のスマートフォンに装着できる顕微鏡レンズを開発した。これを用いて精液検
査を行ったところ、精子自動計測装置(CASA)と高い相関があることを確認した。
P-168:卵丘細胞を剥離するタイミングが遅くなると、受精率や妊娠率が低下した。
Effect of timing of oocyte denudation after oocyte retrieval on fertilization and pregnancy outcome
following cleavage stage single embryo transfer. (H. Terasawa et al.)
302 周期 566 個の卵子を対象として、採卵から卵丘細胞を剥離した時間が 2 時間以内(Group A)、2~3 時間
(Group B)
、3 時間以上(Group C)の 3 群に後方視的に検討した。結果、2PN 率は順に 91.2%、87.3%
82.0% で、有意差をもって低下した。また、妊娠率は、38.9%、26.9%、23.0%で低下傾向にあった。
P-186:卵胞液で処理した精子で ICSI すると成績が良好であった。
Introduction of Follicular Fluid Activation ICSI (FFA-ICSI): retrospective investigation of a culture
result and a clinical outcomes (Y. Tanaka et al.)
ICSI 症例 73 周期を 2 群に分けて検討しった。実験群では、精子浮遊液に卵胞液を加えて 90 分間処理した後、
ICSI を行った。結果、正常受精率は 83.6% (220/263) vs. 76.2% (170/223)}、良好胚盤胞率は 45.4%
(99/218) vs. 37.4% (65/174)}、妊娠率は、45.0% (86/191) vs. 43.8% (42/96)であり、卵胞液群で高
かった。
2
高度生殖医療技術研究所(ARMT)
Fly UP