Comments
Description
Transcript
正弦波基準信号を用いた低歪 D 級アンプの検討 A-1
平成 25 年度電子情報通信学会東京支部学生会研究発表会 講演番号: 23 正弦波基準信号を用いた低歪 D 級アンプの検討 A-1 A study of low distortion Class D amplifier using a sine wave 荒村祐志 松谷康之 s+1 2 ) + Ns ( s s+1 ) 2 … (1) と表される。信号帯域にはローパス特性、高調波歪に 対してはハイパス特性がかかっているので、低周波帯 域の歪はハイパス特性により抑圧される。これにより、 正弦波を用いても低歪化が実現できる。 3.ブレッドボード実験 本検討では市販のコンパレ ータ TL3016 (80dB) , 積分器に用いるオペアンプ OPA847 (98dB , 3.9GHz) , 帰還バッファに CMOS イン バータである SN74AC04 を用いた。 3.1 従来型変調比較 図 2 の従来回路において三角波 と正弦波それぞれを用いた変調出力のスペクトラム を図 4、図 5 に示す。入力信号を振幅 1Vpp , 1[kHz] と し、比較信号はどちらも 5Vpp , 200[kHz] とした。三 角波について 2 次歪が-65dB と小さく、SNR の高い信 号が得られていることからスプリアスが出ていない。 これに対し正弦波について 2 次歪は-60dB と大きく、 3 次歪および大きなスプリアスが生じている。 3.1 本検討変調比較 図 6 に製作した本検討回路図、 図 7 にスペクトラム解析の結果を示す。増幅器の非線 形性で発生する高調波折り返し歪が信号帯域に現れ ないよう、帰還部の増幅器入力にローパスフィルタを 付加した。従来型 PWM に正弦波を用いた場合に比べ、 実測では約-20dB の歪抑制を確認した。 4. まとめ 先行研究において提案された正弦波基準 信号の有用性を示すためブレッドボード実験を行っ た。実験の結果、三角波を用いた従来の変調方式に比 べ、正弦波を用いた提案回路の場合、約-20dB の高調 波歪の抑制がおこなわれていることを確認した。 参考文献 [1] Behzad Razavi 著 , 黒田 忠広 監訳 『アナログ CMOS 集積回路の設計 応用編』丸善出版社 2011 p.p 352-458 [2] 本田 潤 著 , 『D 級/デジタル・アンプの設計と 制作』 CQ 出版社 -23- -60 -80 -100 1 10 f[kHz] 10 f[kHz] 図 4 三角波変調 0 -20 -40 P[dB] 1 -60 -80 -100 1 図 5 正弦波変調 図 6 本検討回路 0 -20 -40 P[dB] Y = X( P[dB] Yuushi ARAMURA Yasuyuki MATSUYA 青山学院大学 理工学部 College of science engineering, Aoyama Gakuin University 1. はじめに PWM 変調(Pulse Width Modulation)を用 いた D 級アンプ(図 1)は電力効率が良く、回路規模が 小さいことから携帯オーディオ等に用いられている。 図 1 D 級アンプ構成概要 しかし、三角波生成にはオペアンプが用いられている ため、積分用増幅器がもつ歪やユニティゲイン周波数 の影響を受け、歪が生じてしまう。それにより、線形 性劣化を補正するための回路が必要となり、回路が複 雑化する問題を有する。このため、純度が高く小型な 生成回路から成る正弦波を用いた低歪回路が先行研 究において検討されている。本検討では先行研究にお 図 2 従来回路 図 3 先行検討提案回路構成 ける回路動作をブレッドボード実験により検証した。 2. 先行研究概要 従来回路を図 2, 先行検討での理 論を実現する提案回路構成を図 3 に示す。入力信号を 0 X、出力信号を Y、コンパレータで発生する歪をNs と -20 すると、提案回路の伝達関数は -40 -60 -80 -100 1 10 f[kHz] 図 7 提案型変調スペクトラム結果 Copyright © 2014 IEICE