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全国高校ロボットコンテストに向け製作

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全国高校ロボットコンテストに向け製作
「2016高校生テクノフォーラム」
発表題目
「3Dプリンタを活用した全国ロボコンへの挑戦」
岡山県立水島工業高等学校
情報技術科3年
研究者名
青山
沖嶋
小野
清水
海都
慎哉
拓海
優貴
発表者名
青山 海都
沖嶋 慎哉
小野 拓海
畝田
小田
小野
西谷
恭平
仁
マイケル
駿佑
畝田 恭平
小田 仁
小野 マイケル
1.まえがき
本校は、「誠実は人間最高の善である」という校訓のもと、専門科(機械科・電気科・工業化学科・
建築科・情報技術科)の5つの科で構成され、平成 27 年 5 月 1 日現在 939 人の男女共学の工業高校で
す。
また、5つの科の特色を生かし、MECIAという全科共同プロジェクトをしています。
MECIA(メシア)とは、各科の頭文字をとり、命名された名前です。近年ではエアロMECIA
という有人飛行機を製作し、平成 27 年 10 月 17 日(土)に実際に飛行しました。テレビや新聞でも報道
されました。
私たち、情報技術科では、平成 27 年 9 月 26 日(土)の「全国高等学校ロボット競技大会(岡山大会)
」
に出場するために、昨年の全国大会終了後より新しいロボット製作に取りかかりました。
2. 前年度のロボコン全国大会
前年度の大会は、缶詰を回収し、自立型ロボットへのせて指定された場所まで運びます。さらに、ペ
ットボトルを飛ばしてゴールへ入れ合う対戦方式の大会でした。ペットボトルを回収する際に、私たち
のロボットはアームを使って回収しました。ワイヤーを使って巻き上げ方式でアームを動かしていまし
た。県大会はきれいな軌道を描いてペットボトルを飛ばすことができました。確実にペットボトルを飛
ばすことができたので、優勝することができました。そして宮城県で開催された全国大会に出場しまし
た。全国大会ではたくさんの高校が参加していました。他県のロボットに比べ岡山県の技術レベルが低
いと感じ、私たちが作ったロボットよりもはるかにすごいロボットがたくさんありました。特に九州の
ロボットの性度が高く、驚きました。また、自立型ロボットは缶詰を置くだけでなく他の高校はゴール
を動かすように作ってありました。ゴールを動かされては全く歯が立たず一本も入れることができませ
んでした。他の高校も独自の工夫がなされていてすごく参考になりました。試合本番前になってワイヤ
ーが切れてしまうというハプニングが起きてしまいました。その時は、ワイヤーを張りなおす作業がと
ても大変でした。
このワイヤーが切れました。
図1 前年度県大会の様子
-1-
3.平成 27 年度全国大会用ロボット製作
まず、ロボット用制御基板製作(図2)に取り掛かりました。1年生の頃から基板製作を始めましたが、
最初は見るに堪えない程のはんだ付けの実力でした。しかし、今井先生の指導の下、2年間はんだ付け
の練習をして、やっとの思いで、ロボット制御に使える基板を作り上げることが出来ました。自立型ロ
ボットとリモコン型ロボット用に2人 1 組で合計4枚の基板を完成させました。
このプログラムを基板に書き込みます
パワーIC
CPU
コントローラ
ー接続プラグ
液晶画面
図2 ロボット用制御基板
次に、ロボット製作にとりかかりました。
今年度の大会用には3Dプリンタを活用してロボットの軽量化を図り、主にフレーム接合部分には3
Dプリンタで出力したパーツを用いました。ロボットには、コントローラーで操縦するリモコン型ロボ
ット(図3)とリモコン型ロボットが上部に乗ると自動で動く自立型ロボット(図4)があります。去
年の大会では、ワイヤーを使い、切れてしまった苦い経験があるので、今年度のロボット製作では、駆
動部にはほとんどチェーンを使いました。チェーンを使うことによって切れる心配がなくなり、より丈
夫にすることができました。岡山大会1週間前に全てが出来上がり、ロボットの操縦練習に取り組みま
した。完成されたロボットは「水工情報 1 号」と命名しました。
図3 リモコン型ロボット
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(1)駆動用オムニホイールについて
今年のオムニホイール(図5)は、新しいホイールを購入予定でしたが、どの学校もオムニホイール
を使用しているらしく、商品がなく購入できなかったので、昨年のものを再利用して使いました。
今年のロボットにそのまま使おうとしたら、タイヤのサイズが合わず、タイヤの高さなどを調節する
ために、調整をしました。3Dプリンタでジョイントの部分とモーター取り付け部品を作りました。こ
の2つを使い駆動部分を調整しました。この調整をするときにパイプを切る作業では、バンドソー(図
4)を使いました。試行錯誤しながら作っていたので、何回も作り直しました。とても骨が折れる作業
だったと思います。
リモコン型ロボットに使うオムニホイールはチェーン駆動とし、去年のような失敗をしないためによ
り強度のあるものを選んで取り付けました。チェーンを使うことにより、丈夫なだけでなく簡単に取り
外しもでき、また好きな長さに調節するのも簡単になりました。
図4 バンドソーでパイプ切断
チェーンをここに使用
図5 調整をし、モーターを装着したオムニホイール
-3-
(2)リモコン型ロボットと自立型ロボットについて
回転板を回転させる。
テニスボールを殻
と一緒に回収する
テニスボ
ときの場所を決
ールを設
め、ボタンを三回
置するモ
押すと自動的に真
ード。
ん中の回転板にテ
ニスボールを乗せ
る。
ロボットを左右に回転させる。
ロボットを前進、後退させる。
図6 コントローラー
リモコン型ロボットは、テニスボールやバレーボールを回収して、指定された場所まで運び、回収し
たものを置く動作をします。操作をするためのコントローラーはプレイステーション2のリモコンを使
用しました(図6)。ロボット本体の移動は昨年度のロボットで使用したオムニホイールを再利用しま
した。テニスボールは毛羽立っているので、回収する際にマジックテープを使うことで確実に取りやす
くなるように工夫しました。そしてテニスボールを覆っている殻と一緒に回収することで時間短縮をし
ています。最後に指定された場所に置くときは、LEDランプを利用してその光を基準にし、ボールを
乗せる位置決めをしています。
図2 自立型ロボット
3つに分けたスイッチ
図7 自立型ロボット
自立型ロボットには、リモコン型ロボットが乗る部分にスイッチがあります。リモコン型ロボットが
自立型ロボットに乗り、タイヤがそのスイッチに当たった時に電源が入り、動き出します。そして、向
かい側のスロープにリモコン型ロボットを届けてからカウントダウンを始めます。さらに、スイッチ
は、3つに分けて配置しているので、いきなり動き出したりせずに、安定した動作ができます。また、
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基板(図 1)に、液晶がついているので、そこにカウントダウンの表示をつけ、時間配分の目安にし、
時間が過ぎると自動で動き出すようにしました。
また、スピーカーを付けて、発車時に音を出して発車するタイミングをわかりやすくしました。ちな
みに発射音は「サンダーバード」です。先生が「サンダーバード」が好きなのでその音を選びました。
そして、3Dプリンタで作ったパーツを使うことによって補強パーツを付けたり、鉄を曲げることな
く接続したりできます。タイヤも3Dプリンタで作り、チェーンを加工なしで取り付けることができ、
安価に作ることができました。
さらに、自立型ロボットの移動は、移動時間を計測し、タイマで制御時間を決めました。タイマの移
動時間の微調整にかなり時間を使いましたが、試合当日までに準備することができ、しっかりと動いて
いました。
4.3Dプリンタの活用
(1)3Dプリンタで作ったいろいろなパーツ
ジョイト(図8)を作る際に、CADを使って設計しました。
これを使うことによってアルミ材を曲げることなく繋げることが
でき、さらに、プラスチックでできているため、アルミ材を使う
より、はるかに重量の軽いロボットを組みあげることができまし
た。
また、パーツを組み直したりすることが容易にできるため、
様々な部分にこのパーツを使いました。
図8 ジョイント
ギア(図9)は、ギア同士を組み合
わせて動力を伝達していくのに必要な物です。
中央の凹み部分を作るときにギアの内側の部分が空洞になって
しまったり、下部の円と中央にある穴が重なってうまく空かなか
ったりと色々注意する部分があって大変でした。
図9 ギア
ギアが回転運動を組み合わせることで動力を繋げていくのに対し
て、ラック(図10)はギアの回転を直線運動として伝達してい
くことができます。
図10 ラック
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(2)パーツの取り付け
図11 リモコン型ロボット
図12 自立型ロボット
図13 自立型ロボットギア拡大図
実際に3Dプリンタで作ったパーツの取り付けですが、ジョイントはこのロボットのフレーム同士を
繋げるときに使いました。ロボットの軽量化やフレームの組み立てが容易になり、ジョイントはロボッ
トを作るときにとても役に立ちました。フレームとフレームを繋げるためにジョイントを多く使用した
ので、それを3Dプリンタで大量に生産しなくてはならなくなりました。さらに、できたジョイントの
形を整えたりするのに金ノコなどで不要部分を削ろうとしました。また、ジョイント部分はプラスチッ
クでできているため、ジョイント部分に使われているパーツに負荷がかかりやすく、大きな力が加わっ
たり、乱雑に扱ったりするとアルミに差し込む所で折れてしまうことがあるので、運んだりするときは
注意が必要でした。
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4.競技概要
リアス式海岸で有名な英虞湾(あごわん)を船に見立てた自立型ロボットとリモコン型ロボットで三
重県の特産品の一つである真珠を取りに行きます。大真珠(バレーボール)と小真珠(テニスボール)
を取り出し、テニスボールとバレーボールを、装飾品を飾る塩ビソケットの上に置きます。そして置い
た後、ゴールエリアに戻るまでの競技です。※競技時間は1チーム3分間
○得点条件
港エリアを1度でも自立型ロボットがリモコン型ロボットを乗せ往復した場合、20点とします。た
だし、アイテムを 1 個も持たず、復路の港エリアを渡った場合は、得点を与えられません。(リモコン
型ロボットが自立型ロボットに乗り港エリアを完全に往復したと審判がクリアと判断した場合、旗があ
がります)
競技の途中、リスタートになった場合は、20点の得点が与えられている場合も取り消され、再度往
復しなければ得点となりません。
テニスボールが台に乗っている場合は1個につき8点とする。(最大64点)
バレーボールが台に乗っている場合は1個につき16点とする。
(最大16点)
※3分終了時にリモコン型ロボットがゴールエリアにすべて収まっていない場合、装飾台上の得点を与
えないものとします。
小真珠(テニスボール)
真珠湾エリア
港エリア
大真珠(バレーボール)
スタート・ゴール地点
「装飾台・塩ビソケット」
図14 競技場全体のスケッチ図
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5.まとめ
昨年のロボットは壊れた後の修理作業がとても大変で、さらに、ロウ付けをして組み立てていたので
失敗したときは最初からフレームを作り直さなければならなかったのでとても大変な作業でした。本番
では試合直前にロボットのアーム部分ステンレス線が切れてしまい、現地のホームセンターへ買いに行
かなければならないという不測の事態が起こりました。そのようなことがないように今年のロボット
は、ギアを3D プリンタで作って作業効率を上げ、スペアを作ることによって故障したときはすぐに対
応できるようにしました。また、タイヤなどにステンレス線を使わず、チェーンを使うことによって、
切れることがないようにしました。今年はオムニホイールが手に入らなかったので昨年使ったタイヤを
再利用し、今年のロボットの大きさに合わせて調整しました。とても、その作業に時間がかかり、何回
も作り直したので一番大変な作業だったと思います。
今年のロボットは昨年のロボットよりもさらに改良を重ね、全国大会出場を確実なものにできたと僕
たちは思っていました。しかし、僕たちが思っていたよりも県大会のレベルがはるかに上がっていて、
僕たちの読みが外れていました。テニスボールを3個乗せることができたら確実に全国大会出場だった
はずがテニスボール5個を乗せるロボットがあり、焦りなどで試合本番では3個を乗せることもできま
せんでした。とても悔しい大会でした。
後輩には、今年度よりも、もっとすごいロボットを作り、県大会で優勝し、全国大会でも活躍しても
らいたいと思います。
図15 県大会結果
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