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免疫原性およびワクチン組成物

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免疫原性およびワクチン組成物
JP 2011-503086 A 2011.1.27
(57)【要約】
免疫原性およびワクチン組成物、ならびにそれらを調製および使用する方法が提供され
、組成物は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)
感染を防御し、その重症度を最小限に抑え、予防し、かつ/または改善するのに有効であ
る。本明細書に開示されるアジュバント添加非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモ
ニエ(M.hyopneumoniae)組成物の1回または2回投与による動物への投
与は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)の病原
性株による感染に対して動物に免疫および防御を提供し、それによって1種または複数の
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)の病原性株に
起因する疾患の重症度を軽減しかつ/または疾患を予防するのに有効である。さらに、た
とえば1種または複数の生細菌、バクテリン、トキソイド、および/またはウイルス、お
よび/またはウイルス抗原などの1種または複数の抗原をさらに含む組成物が提供される
。アジュバント添加非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopne
umoniae)を含む免疫原性組成物、およびアジュバント添加非病原性生マイコプラ
ズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)とさらに組み合わせてブ
タサーコウイルス1型−2型キメラ変性生ワクチン(cPCV1−2)を含む組成物が例
示される。
10
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JP 2011-503086 A 2011.1.27
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物において抗マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyo
pneumoniae)免疫応答を誘発する組成物であって、免疫学的に有効量のマイコ
プラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)
の非病原性生菌株および生物学的に許容できるアジュバントを含む組成物。
【請求項2】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)の非病原性生菌株が、そのゲノムが参考J株の核酸配列に対して少なくとも約9
0%の相同性を有する核酸配列を含む株である、請求項1に記載の組成物。
10
【請求項3】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)の非病原性生菌株が、参考J株に対して少なくとも約70%の多型同一性を有す
る株である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
参考J株が、ATCCアクセッション番号25934または27715を有する株であ
る、請求項2または3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)の非病原性生菌株が、ATCCアクセッション番号25934または27715
20
と称されるJ株である、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)の非病原性生菌株が、ATCCアクセッション番号27715と称されるJ株で
ある、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記生物学的に許容できるアジュバントが、1種または複数のSL−CD、Carbo
pol、およびSP−油からなる群から選択される、請求項1から6のいずれかに記載の
組成物。
【請求項8】
30
前記生物学的に許容できるアジュバントがSP−油を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記SP−油が、約1%から約25%の濃度で存在する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記SP−油が、約10%の濃度で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ヘモフィルス・パラスイス(Haemophilus parasuis)、パスツレ
ラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、ストレプトコッカス
・スイス(Streptococcus suis)、アクチノバチルス・プルロニュー
モニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)、ボルデ
40
テラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、サ
ルモネラ・コレラスイス(Salmonella choleraesuis)、エリシ
ペロスリクス・ルシオパシエ(Erysipelothrix rhusiopathi
ae)、およびレプトスピラ(leptospira)細菌からなる群から選択される、
1種または複数の生細菌、バクテリン、および/または1種または複数の精製トキソイド
をさらに含む、請求項1から10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
ブタインフルエンザウイルス(SIV)抗原、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PR
RSV)抗原、PRRS発現アライグマポックスウイルス抗原または他の抗原、PRRS
発現TGEV抗原または他の抗原、およびブタサーコウイルス(PCV)抗原からなる群
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から選択される1種または複数のウイルス抗原をさらに含む、請求項1から10のいずれ
かに記載の組成物。
【請求項13】
前記ブタサーコウイルス(PCV)抗原が、ブタサーコウイルス1型−2型(cPCV
1−2)キメラである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)の非病原性生菌株によって誘発された免疫応答が、マイコプラズマ・ハイオニュ
ーモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の病原性株による感染
に対して動物を防御するか、または感染に関連する少なくとも1つの症状の重症度を軽減
10
する、請求項1から13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)の病原性株に関連する疾患に対して動物を防御するか、または疾患に関連する少
なくとも1つの症状を予防もしくは軽減する方法であって、請求項1から14のいずれか
一項に記載の組成物を前記動物に投与するステップを含む方法。
【請求項16】
投与ステップが、非経口投与によって達成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
非経口投与ステップが、筋内注射によって達成される、請求項16に記載の方法。
20
【請求項18】
投与ステップが、経口投与によって達成される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
経口投与ステップが、手動送達または大量適用によって達成される、請求項18に記載
の方法。
【請求項20】
投与ステップが、経鼻投与によって達成される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記動物がブタである、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
30
請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物を動物に投与するステップを含む、マ
イコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumonia
e)の発生を予防または改善する方法。
【請求項23】
免疫原性組成物である、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記生物学的に許容できるアジュバントが、1種または複数のSL−CD、Carbo
pol、およびSP−油からなる群から選択される、請求項23に記載の免疫原性組成物
。
【請求項25】
40
前記生物学的に許容できるアジュバントがSP−油を含む、請求項24に記載の免疫原
性組成物。
【請求項26】
前記SP−油が、約1%から約25%の濃度で存在する、請求項25に記載の免疫原性
組成物。
【請求項27】
前記SP−油が、約10%の濃度で存在する、請求項26に記載の免疫原性組成物。
【請求項28】
ヘモフィルス・パラスイス(Haemophilus parasuis)、パスツレ
ラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、ストレプトコッカス
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・スイス(Streptococcus suis)、アクチノバチルス・プルロニュー
モニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)、ボルデ
テラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、サ
ルモネラ・コレラスイス(Salmonella choleraesuis)、エリシ
ペロスリクス・ルシオパシエ(Erysipelothrix rhusiopathi
ae)、およびレプトスピラ(leptospira)細菌からなる群から選択される、
1種または複数の生細菌、バクテリン、および/または1種または複数の精製トキソイド
をさらに含む、請求項23から27のいずれかに記載の免疫原性組成物。
【請求項29】
ブタインフルエンザウイルス(SIV)抗原、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PR
10
RSV)抗原、PRRS発現アライグマポックスウイルス抗原または他の抗原、PRRS
発現TGEV抗原または他の抗原、およびブタサーコウイルス(PCV)抗原からなる群
から選択される1種または複数のウイルス抗原をさらに含む、請求項23から27のいず
れかに記載の免疫原性組成物。
【請求項30】
前記ブタサーコウイルス(PCV)抗原が、ブタサーコウイルス1型−2型(cPCV
1−2)キメラである、請求項29に記載の免疫原性組成物。
【請求項31】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)に対する免疫応答を増強する方法であって、単回または複数回投与の請求項23
20
から30のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を動物に投与するステップを含む方法。
【請求項32】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)の非病原性生菌株が、そのゲノムが参考J株の核酸配列に対して少なくとも約9
0%の相同性を有する核酸配列を含む株である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)の非病原性生菌株が、参考J株に対して少なくとも約70%の多型同一性を有す
る株である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
30
参考J株が、ATCCアクセッション番号25934または27715を有する株であ
る、請求項32から33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)の非病原性生菌株が、ATCCアクセッション番号25934または27715
と称されるJ株である、請求項32から33のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)の非病原性生菌株が、ATCCアクセッション番号27715と称されるJ株で
ある、請求項35に記載の方法。
40
【請求項37】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)に対する免疫応答を増強する方法であって、
a)1回目に、生物学的に許容できるアジュバント材料をアジュバント添加した免疫学的
に有効量の非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma h
yopneumoniae)株を含む第1の免疫原性組成物を動物に投与するステップ、
b)2回目に、生物学的に許容できるアジュバント材料をアジュバント添加した免疫学的
に有効量の非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma h
yopneumoniae)を含む第2の免疫原性組成物を動物に投与するステップを含
む方法。
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【請求項38】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)の非病原性生菌株が、請求項2から10のいずれか一項に定義された株である、
請求項37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、免疫学および獣医学の分野に関する。より具体的には、本開示は、マ
イコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)の1種または複
数の病原性株に起因する疾患の重症度の軽減および/または予防を助ける、免疫原性組成
10
物またはワクチン組成物を包含する、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyo
pneumoniae)のJ株をベースとするアジュバント添加非病原性生マイコプラズ
マ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)組成物を提供する。ブタサ
ーコウイルス1型−2型キメラ変性生ワクチン(cPCV1−2)をさらに含む、免疫原
性組成物またはワクチン組成物を包含する、アジュバント添加非病原性生マイコプラズマ
・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)組成物も提供される。本明細
書に開示されるアジュバント添加非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.
hyopneumoniae)組成物の動物への1回または2回投与は、マイコプラズマ
・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)の病原性株による感染に対す
る細胞性免疫および/または液性免疫を包含する免疫の提供に有効である。
20
【背景技術】
【0002】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)(M.ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)とも称される)
は、豚マイコプラズマ肺炎の病原体である。この疾患は、慢性の咳、つやのない被毛、発
育遅滞、および数週間続く元気のない外観を引き起こす。感染動物では、特に腹部先端お
よび心臓葉において、紫色から灰色の硬化領域の特徴的な病変が観察される。この疾患は
ほとんど死亡の原因とはならないが、罹患したブタは多くの場合、死やストレスを招く日
和見病原体による二次感染を受けやすい(R.F.Ross、Mycoplasmal diseases、pp.436∼444、A.D.Laman等(編)、Diseas
30
es of Swine、Iowa State University Press、
1986)。
【0003】
この疾患は、ブタの疾患に関連する損失のもっとも重要な原因の1つであると考えられ
ている(Whittlestone、pp.133∼176、TullyおよびWhit
comb(編)、The Mycoplasma Vol2:Human and An
imal Mycoplasmas、New York、Academic Press
(1979))。この疾患は一般に、非効率的体重増加個体、ならびに発育阻止および病
弱動物をもたらす。さらに、罹患したブタは多くの場合、日和見病原菌による二次感染を
受けやすい(Burch、Pig America、pp.26∼27、Decembe
40
r、1982)。この疾患の経済的影響は著しい。経済的損失だけでも年間2億から2億
5千万ドルと推定されている。
【0004】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)は、細胞壁を持たない、増殖の遅い選好性細菌である。この細菌は、同様に気道
に局在する一般的な第2の因子であるマイコプラズマ・ハイオリニス(Mycoplas
ma hyorhinis)のために、気道からの単離が困難なことが多い。この疾患は
罹患ブタまたは回復期保菌ブタから、咳により生じる飛沫によって、および直接接触によ
って蔓延する。感染動物と非感染動物が混在することによって、早期かつ頻繁な再感染が
引き起こされる。感染はしばしば、分娩時の保菌雌ブタによる子ブタへの感染から始まる
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(6)
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。
【0005】
群れによる管理技法により、感染は寿命の後年まで明らかとならない可能性がある。さ
らなる感染は通常、離乳後、ブタが集められたときに観察される。顕性疾患は、通常は6
週齢以上のブタで観察される。罹患した動物では、発育速度および飼料効率が著しく低下
する。抗生物質を用いる現在の治療は高価であり、長期の使用を必要とする。動物の再感
染は依然として問題である。
【0006】
したがって、ワクチンは現在、感染およびその結果を回避するもっとも有効な方法であ
る。マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumo
10
niae)感染に対してブタを防御するワクチンを提供する数多くの試みがなされてきた
。数人の研究者が、組換えにより生成したマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Myc
oplasma hyopneumoniae)の表面抗原を含むワクチンを開示してい
る。Schaller等、米国特許第4894332号、1990年1月16日発行;欧
州特許公開第283840号、1988年9月28日公開。PCT公開第WO86/00
019号、1986年1月3日公開は、他の細胞成分を含まず、マイコプラズマ・ハイオ
ニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)原形質膜のみを含
むマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)ワクチンを開示している。Etheridge等、Res.Vet.Sci.3
3:188(1982)は、生ワクチンが静脈内、皮下、または腹腔内投与されたとき、
20
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoni
ae)による肺コロニー形成に対する不完全な防御を見出した。Kristensen等
、Am.J.Vet.Res.42:784(1981)は、加熱不活化マイコプラズマ
・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)を注射し
た後、マイコプラズマ肺炎に対してブタが防御されないことを見出した。Ross等、A
m.J.Vet.Res.45:1899(1984)は、ブタを免疫化するための、凍
結融解手順によって調製したマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasm
a hyopneumoniae)抽出物の使用は不定の防御のみを提供し、一部の例で
は、免疫ブタにおける病変発生の増強が認められることを見出した。これらの研究者はま
た、ホルマリン不活化によって調製した全細胞ワクチンも研究した。ホルマリン不活化は
30
、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)の防御免疫原性を著しく妨げ、このワクチンは有効でなかった。Yoshiok
a等、米国特許第3917819号(1975年11月4日発行)は、マイコプラズマ・
ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の不活化ワ
クチンを包含する、ホルマリンで不活化されたマイコプラズマを含むいくつかの死菌マイ
コプラズマワクチンを開示している。Chung−Nanの欧州特許公開第571648
号は、非常に増殖性であり抗原性のPRIT−5株をベースとするマイコプラズマ・ハイ
オニューモニエ(M.hyopneumoniae)ワクチンを開示した。
【0007】
不活化病原性マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyop
40
neumoniae)株をベースとするワクチンは市販され入手可能である。Fort Dodge Animal Health(FDAH)は、マイコプラズマ・ハイオニュ
ーモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)に起因する臨床徴候に
対して健常なブタを防御するワクチンとして用いるため、Suvaxyn(登録商標)お
よびRespifend(登録商標)マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycop
lasma hyopneumoniae)の名称で、マイコプラズマ・ハイオニューモ
ニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)バクテリンを市販している
。このバクテリンワクチンは、第1回ワクチン接種の2週間から3週間後に第2回投与を
行う、少なくとも1週齢のブタ用の2回投与ワクチンとして推奨されている。
【0008】
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マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)J株は、ブ
タの線毛に付着し、それによって疾患を引き起こす能力が低減された非病原性株である。
Castro等、Veterinary Microbiology116:258∼2
69(2006)およびVasconcelos等、J.Bacteriol.187(
16):5568∼5577(2005)(マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.
hyopneumoniae)J株の全ゲノム配列を記載している(ATCC25934
))。病原性株と非病原性株(J株)とのゲノム比較は、マイコプラズマ・ハイオニュー
モニエ(M.hyopneumoniae)株間の相対病原特性の決定要因になると考え
られている、線毛付着を包含する表面タンパク質の変化を明らかにした。Vasconc
elos等(2006)およびDjordjevic等、Infection and 10
Immunity72(5):2791∼2802(2004)。
【0009】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)は、その細
胞表面、膜リポタンパク質、特に種特異的抗原決定基を有するP46、P65、およびP
97タンパク質に発現する。最近、Bouh等は、非病原性生マイコプラズマ・ハイオニ
ューモニエ(M.hyopneumoniae)参考J株ATCC25934のP46お
よびP65に対するモノクローナル抗体を記載した。Clin.Diag.Lab.Im
munology10(3):459∼468(2003)。BlankおよびStem
keは、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)J株
ゲノムの物理的地図および遺伝子地図を記載し、Can.J.Microbiol.46
20
:832∼840(2000)、Wilton等は、非病原性マイコプラズマ・ハイオニ
ューモニエ(M.hyopneumoniae)J株から生成された発現ライブラリのス
クリーニング、およびマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumon
iae)に対するブタ超免疫抗血清によるライブラリのスクリーニングを記載した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
その組成物がマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae
)の病原性株に対する有効性を提供する、アジュバント添加非病原性生マイコプラズマ・
ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)から製造さ
30
れた、免疫原性組成物またはワクチン組成物を包含する組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、免疫学的に有効量の非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(My
coplasma hyopneumoniae)および生物学的に許容できるアジュバ
ントを含む、免疫原性組成物またはワクチン組成物を包含する組成物を提供する。本明細
書に開示される組成物は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma
hyopneumoniae)に対する免疫応答を誘発し、それによってこの生物体に
起因する疾患を予防しおよび/またはその重症度を最小限に抑えるか、またはこの疾患に
関連する少なくとも1つの症状を改善する。
40
【0012】
したがって、一態様において本発明は、動物において抗マイコプラズマ・ハイオニュー
モニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)免疫応答を誘発する組成
物を提供し、前記組成物は、免疫学的に有効量のマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(
Mycoplasma hyopneumoniae)の非病原性生菌株および生物学的
に許容できるアジュバントを含む。
【0013】
一実施形態において、組成物は、そのゲノムが参考J株の核酸配列に対して少なくとも
約90%の相同性を有する核酸配列を含む、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(My
coplasma hyopneumoniae)の非病原性生菌株を含む。
50
(8)
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【0014】
一実施形態において、組成物は、そのゲノムが参考J株の核酸配列に対して少なくとも
約95%の相同性を有する核酸配列を含む、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(My
coplasma hyopneumoniae)の非病原性生菌株を含む。
【0015】
一実施形態において、組成物は、そのゲノムが参考J株の核酸配列に対して少なくとも
約99%の相同性を有する核酸配列を含む、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(My
coplasma hyopneumoniae)の非病原性生菌株を含む。
【0016】
一実施形態において、組成物は、参考J株に対して少なくとも約70%の多型同一性を
10
有する、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneu
moniae)の非病原性生菌株を含む。
【0017】
一実施形態において、組成物は、参考J株に対して少なくとも約85%の多型同一性を
有する、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneu
moniae)の非病原性生菌株を含む。
【0018】
一実施形態において、組成物は、参考J株に対して少なくとも約95%の多型同一性を
有する、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneu
moniae)の非病原性生菌株を含む。
20
【0019】
一実施形態において、本明細書に記載される組成物に用いられるマイコプラズマ・ハイ
オニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の非病原性生菌
株の相同性率は、ATCCアクセッション番号25934(GenBankアクセッショ
ン番号AE017243)または27715を有する非病原性参考J株との比較によって
求められる。他のいくつかの実施形態において、参考株は、病原性株、たとえばATCC
アクセッション番号25617または25095を有する株であることができる。
【0020】
一実施形態において、本明細書に記載される組成物に用いられるマイコプラズマ・ハイ
オニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の非病原性生菌
30
株の多型同一性率は、ATCCアクセッション番号25934または27715を有する
非病原性参考J株との比較によって求められる。他のいくつかの実施形態において、参考
株は、病原性株、たとえばATCCアクセッション番号25617または25095を有
する株であることができる。
【0021】
一実施形態において、本明細書に記載される組成物に用いられるマイコプラズマ・ハイ
オニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の非病原性生菌
株は、ATCCアクセッション番号25934または27715と称されるJ株である。
【0022】
一実施形態において、本明細書に記載される組成物に用いられるマイコプラズマ・ハイ
40
オニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の非病原性生菌
株は、ATCCアクセッション番号27715と称されるJ株である。
【0023】
一実施形態において、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の非病原性生菌株によって誘発された免疫応答は、マイコ
プラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)
の病原性株による感染に対して動物を防御するか、または感染に関連する少なくとも1つ
の症状の重症度を軽減する。
【0024】
一実施形態において、本明細書に開示されるアジュバント添加非病原性生マイコプラズ
50
(9)
JP 2011-503086 A 2011.1.27
マ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)組成物の動物への1回投与
は、マイコプラズマ感染からの免疫を動物に提供するのに有効である。
【0025】
一実施形態において、本明細書に開示されるアジュバント添加非病原性生マイコプラズ
マ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)組成物の動物への2回投与
は、マイコプラズマ感染からの免疫を動物に提供するのに有効である。
【0026】
本明細書に開示されるアジュバント添加非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニ
エ(Mycoplasma hyopneumoniae)ワクチン組成物は、マイコプ
ラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)に
10
起因する感染および疾患に対してブタに使用するために適切に用いることができ、ブタ集
団においてマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopne
umoniae)に起因する感染および疾患の蔓延の管理および/または予防に有用であ
ろう。
【0027】
したがって、本開示の免疫原性組成物およびワクチン組成物は、生物学的に許容できる
アジュバントなどの1種または複数のアジュバントと組み合わせて1種または複数の非病
原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneum
oniae)を用いる。生物学的に許容できるアジュバントは、場合により、SP−油、
SL−CD、アクリル酸ポリマー(Carbopol(登録商標)、Noveon,In
20
c.、Cleveland、OHなど)、ならびに1種または複数の不飽和テルペン炭化
水素たとえばスクアレンまたはスクアランなどの代謝性油、およびPluronic(登
録商標)(BASF、Florham Park、New Jersey)などのポリオ
キシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマーの混合物からなる群から選択された1
種または複数のアジュバントであることができる。
【0028】
本明細書に記載の組成物に用いられるアジュバントの濃度は、アジュバントの性質によ
って決まることになる。アジュバントは典型的に、最終濃度約1∼50%(v/v)、よ
り典型的には最終濃度約10%、15%、20%、25%、または30%(v/v)で本
明細書に記載の組成物に存在する。SP−油を含む組成物では、アジュバントは典型的に
30
、約1%から約25%(v/v)、より典型的には約5%から約15%(v/v)、たと
えば約10%(v/v)などで存在する。アクリル酸ポリマー、ならびに1種または複数
のテルペン炭化水素およびポリオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマーを含
む代謝性油の混合物を含む組成物では、アクリル酸ポリマーと代謝性油/ポリオキシエチ
レン−ポリプロピレンブロックコポリマー混合物の比は典型的に、約1:25から約1:
50の比であり、典型的に最終濃度約1%から約25%(v/v)である。
【0029】
一実施形態において、生物学的に許容できるアジュバントは、SP−油を含む。一実施
形態において、SP−油は、約1%から約25%v/vの濃度で存在する。一実施形態に
おいて、SP−油は、約5%から約15%v/vの濃度で存在する。一実施形態において
40
、SP−油は、約10%v/vの濃度で存在する。
【0030】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示の組成物は、1種または複数の他の生細
菌、バクテリン、トキソイド、および/またはウイルス抗原をさらに組み合わせて用いる
ことができる。したがって、これらの実施形態のいくつかの態様において、アジュバント
添加非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae
)組成物は、たとえばヘモフィルス・パラスイス(Haemophilus paras
uis)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、
ストレプトコッカス・スイス(Streptococcus suis)、アクチノバチ
ルス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumo
50
(10)
JP 2011-503086 A 2011.1.27
niae)、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchis
eptica)、サルモネラ・コレラスイス(Salmonella cholerae
suis)、エリシペロスリクス・ルシオパシエ(Erysipelothrix rh
usiopathiae)、およびレプトスピラ(leptospira)細菌などの1
種または複数の病原体由来の(a)1種または複数の生細菌、(b)1種または複数のバ
クテリン、(c)1種または複数の精製トキソイド、および/または(d)ウイルスがブ
タインフルエンザウイルス(SIV)、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)
、PRRS発現アライグマポックスウイルスおよび/または他の抗原、PRRS発現TG
EVおよび/または他の抗原、ならびにブタサーコウイルス(PCV)からなる群から選
択される1種または複数のウイルス抗原とさらに組み合わせて、免疫学的に有効量の非病
10
原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneum
oniae)、および1種または複数の生物学的に許容できるアジュバントを含むことが
できる。これらの実施形態のいくつかの態様において、ブタサーコウイルス1型−2型キ
メラ変性生ワクチン(cPCV1−2)をさらに組み合わせて用いる、免疫原性組成物ま
たはワクチン組成物を包含する組成物が本明細書において例示される。これらの実施形態
または別の実施形態において、免疫原性組成物またはワクチン組成物を包含する組成物は
、たとえばSGGK、チメロソール、および/またはEDTAなどの保存剤ならびに安定
剤を追加的にまたは場合により包含することができる。
【0031】
本明細書に記載の組成物に用いられるそのような他の生細菌、バクテリン、トキソイド
20
、および/またはウイルス抗原の濃度は、生細菌、バクテリン、トキソイド、および/ま
たはウイルス抗原の性質によって決まることになり、典型的に本明細書に記載の組成物に
存在する。他の抗原が細菌性であるそのような組成物の場合、細菌は典型的に、ミリリッ
トル当たり約0.5×105から0.5×1010の最終濃度で存在する。あるいは、細
菌は、ミリリットル当たり約0.5×106から0.5×109の最終濃度、またはミリ
リットル当たり約0.5×107から0.5×108の最終濃度で存在する。
【0032】
本発明の第2の態様は、本明細書に記載のアジュバント添加非病原性生マイコプラズマ
・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)組成物を
投与することによって、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma 30
hyopneumoniae)に対する免疫応答を生じさせる、またはマイコプラズマ・
ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)に起因する
疾患に対して動物を防御する、および/または動物集団の中でそのような疾患の発生を予
防もしくは改善する方法を提供する。関連する態様において、本開示はまた、マイコプラ
ズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)に対
する免疫応答を増強する方法を提供する。そのような方法は、1回または2回投与で、1
種または複数のアジュバント添加非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(My
coplasma hyopneumoniae)株を含む組成物をブタなどの動物に投
与するステップを含む。
【0033】
40
一実施形態において、本発明の方法は、そのゲノムが参考J株の核酸配列に対して約9
0%の相同性を有する核酸配列を含む、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Myco
plasma hyopneumoniae)の非病原性生菌株を用いる。
【0034】
一実施形態において、本発明の方法は、そのゲノムが参考J株の核酸配列に対して約9
5%の相同性を有する核酸配列を含む、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Myco
plasma hyopneumoniae)の非病原性生菌株を用いる。
【0035】
一実施形態において、本発明の方法は、そのゲノムが参考J株の核酸配列に対して約9
9%の相同性を有する核酸配列を含む、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Myco
50
(11)
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plasma hyopneumoniae)の非病原性生菌株を用いる。
【0036】
一実施形態において、本発明の方法は、参考J株に対して少なくとも約70%の多型同
一性を有する、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyop
neumoniae)の非病原性生菌株を用いる。
【0037】
一実施形態において、本発明の方法は、参考J株に対して少なくとも約85%の多型同
一性を有する、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyop
neumoniae)の非病原性生菌株を用いる。
【0038】
10
一実施形態において、本発明の方法は、参考J株に対して少なくとも約95%の多型同
一性を有する、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyop
neumoniae)の非病原性生菌株を用いる。
【0039】
一実施形態において、本明細書に記載される、本発明の方法で用いられるマイコプラズ
マ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の非病
原性生菌株は、ATCCアクセッション番号25934または27715と称されるJ株
である。
【0040】
一実施形態において、本明細書に記載される、本発明の方法で用いられるマイコプラズ
20
マ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の非病
原性生菌株は、ATCCアクセッション番号27715と称されるJ株である。
【0041】
一実施形態において、本発明は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycopl
asma hyopneumoniae)に対する免疫応答を増強する方法を提供し、こ
の方法は、
a)1回目に、生物学的に許容できるアジュバント材料をアジュバント添加した免疫学的
に有効量の非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma h
yopneumoniae)株を含む第1の免疫原性組成物を動物に投与するステップ、
b)2回目に、生物学的に許容できるアジュバント材料をアジュバント添加した免疫学的
30
に有効量の非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma h
yopneumoniae)を含む第2の免疫原性組成物を動物に投与するステップを含
む。
【0042】
いくつかの実施形態において、企図される正確な適用例に応じて、組成物は、筋内、皮
下、もしくは腹腔内注射などによって非経口で、またはクリームの局所適用によって投与
することができる。あるいは、組成物は、鼻腔内噴霧、または手動送達もしくは大量適用
による経口投与など、エアロゾル、鼻腔内、または経口経路によって投与することができ
る。
【0043】
40
本発明の第3の態様は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma
hyopneumoniae)による感染を患っている、またはマイコプラズマ・ハイ
オニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)による感染に関
連する少なくとも1つの症状を患っている動物を治療する薬剤を調製するための、本明細
書に記載のマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopne
umoniae)株、およびこれらの株を含む組成物の使用を提供する。
【0044】
本発明のこれらの実施形態および他の実施形態、特徴、ならびに利点は、本明細書にお
いて以下に示す詳細な説明および添付の請求の範囲から明らかとなるであろう。本明細書
に言及するすべての特許、特許出願、および他の文献は、それらの全体を参照により本明
50
(12)
JP 2011-503086 A 2011.1.27
細書の一部とする。矛盾する場合、本開示が優先される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の方法および治療法を記載する前に、そのような方法および条件は多様であって
よいため、本発明は記載される特定の方法および実験条件に限定されないことが理解され
る。さらに本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであ
り、限定を意図しない。
【0046】
本明細書および添付の請求の範囲では、単数形「a」、「an」、および「the」は
、文脈が明らかに別段の指示をしていないかぎり、複数の参照物を包含する。したがって
10
、たとえば、「この方法」への言及は、1つまたは複数の方法、ならびに/または本明細
書に記載されており、および/もしくは本開示を読むことにより当業者に明らかとなる種
類のステップなどが包含される。
【0047】
したがって、本出願において、当分野の技術の範囲内で通常の分子生物学、微生物学、
および組換えDNA技法を用いることができる。そのような技法は文献に十分に説明され
ている。たとえば、Sambrook、Fritsch、およびManiatis、Mo
lecular Cloning:A Laboratory Manual、Seco
nd Edition(1989)Cold Spring Harbor Labor
atory Press、Cold Spring Harbor、New York(
20
本明細書では「Sambrook等、1989」);DNA Cloning:A Pr
actical Approach、Volumes IおよびII(D.N.Glov
er編、1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.
Gait編、1984);Nucleic Acid Hybridization(B
.D.HamesおよびS.J.Higgins編、(1985));Transcri
ption And Translation(B.D.HamesおよびS.J.Hi
ggins編、(1984));Animal Cell Culture(R.I.F
reshney編、(1986));Immobilized Cells And E
nzymes(IRL Press、(1986));B.Perbal、A Prac
tical Guide To Molecular Cloning(1984);F
30
.M.Ausubel等(編)、Current Protocols in Mole
cular Biology、John Wiley & Sons,Inc.(199
4)を参照されたい。
【0048】
本明細書に記載したものと類似または等価の任意の方法および材料を本発明の実施また
は試験において用いることができるが、好ましい方法および材料をここに記載する。本明
細書に言及されるすべての刊行物は、それらの全体を参照により本明細書の一部とする。
【0049】
(定義)
本明細書で用いられる用語は、当業者に認識され知られている意味を有するが、便宜上
40
および完全を期すため、特定の用語およびそれらの意味を以下に示す。
【0050】
用語「約」または「およそ」は、統計的に意味のある値の範囲内を意味する。そのよう
な範囲は桁の範囲内、典型的に所与の値または範囲の50%以内、より典型的には20%
以内、より典型的には10%以内、さらにより典型的には5%以内であることができる。
用語「約」または「およそ」によって包含される許容可能な変動は、研究される特定の系
によって決まり、当業者に容易に認識され得る。
【0051】
「アジュバント」は、組成物、典型的にはワクチン組成物において非病原性生マイコプ
ラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の
50
(13)
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抗原性を増強する1種または複数の物質からなる組成物を意味する。アジュバントは、抗
原を緩徐に放出する組織デポとして、さらに免疫応答を非特異的に増強するリンパ系活性
化因子としても機能を果たすことができる(Hood等、Immunology、Sec
ond Ed.、Menlo Park、CA:Benjamin/Cummings、
1984、p.384)。多くの場合、アジュバント不在下での抗原単独による初回ワク
チン接種は、液性または細胞性免疫応答を誘発できない。アジュバントには、これに限定
されるものではないが、完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、
無機質ゲル、たとえば水酸化アルミニウム、界面活性物質、たとえばリゾレシチン、プル
ロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油または炭化水素
エマルション、スカシ貝(keyhole limpet)ヘモシアニン、および潜在的
10
に有用なヒトアジュバント、たとえばN−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イ
ソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−
イソグルタミン、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−ア
ラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリ
ルオキシ)−エチルアミン、BCG(カルメット・ゲラン桿菌(bacille Cal
mette−Guerin))、およびコリネバクテリウム・パルバム(Coryneb
acterium parvum)が包含される。好ましくは、アジュバントは生物学的
に許容できる。
【0052】
本明細書に記載の組成物に用いられるアジュバントは、典型的に「生物学的に許容でき
20
るアジュバント」であり、したがって、結果として得られる組成物がin vivoで付
随する毒性なしに動物に投与できるように、非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモ
ニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)と組み合わせて用いること
ができる。SP−油、SL−CD、Carbopol、ならびに1種または複数の不飽和
テルペン炭化水素、たとえばスクアレンまたはスクアランなどの代謝性油、およびPlu
ronic(登録商標)などのポリオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマー
の混合物からなる群から選択された1種または複数の生物学的に許容できるアジュバント
と組み合わせて、非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasm
a hyopneumoniae)を含む組成物が本明細書において例示される。
【0053】
30
非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopn
eumoniae)株またはそれに由来する分子は、免疫グロブリン(抗体)またはT細
胞抗原受容体などの免疫系の抗原認識分子と特異的に相互作用できるとき、「抗原性」で
ある。典型的に抗原分子は、少なくとも約5個、典型的には少なくとも約10個のアミノ
酸の「エピトープ」を含有するポリペプチド、またはその変異体である。本明細書では「
エピトープ」とも呼ばれるポリペプチドの抗原部分は、抗体もしくはT細胞受容体認識に
関して免疫優性である部分であることができ、または免疫化のために抗原部分を担体ポリ
ペプチドにコンジュゲートすることによって分子に対する抗体を生成するために用いる部
分であることができる。抗原性である分子は、それ自体が免疫原性である必要はなく、す
なわち担体なしに免疫応答を誘発できる必要はない。
40
【0054】
用語「少なくとも」は以上を意味する。
【0055】
本明細書では、「バクテリン」は、不活化されており、ある種のアジュバントと組み合
わせて動物に投与したとき、防御免疫を誘発して、疾患または感染に対して防御すること
のできる細菌収穫物である。
【0056】
アクリル酸ポリマーは、典型的にカルボマーである。カルボマーは「Carbopol
」の商品名で市販され入手可能であり、たとえばそれぞれ参照により本明細書の一部とす
る米国特許第2909462号および第3790665号に記載されている。
50
(14)
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【0057】
用語「担体」は、化合物または組成物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤
、安定剤、保存剤、および/またはビヒクルを指す。そのような担体は、落花生油、ダイ
ズ油、鉱油、およびゴマ油などの石油、動物、植物、または合成起源のものを包含する、
水および油などの滅菌液体であることができる。水または水溶液食塩溶液、たとえばリン
酸緩衝溶液、リンガー溶液、ならびに水性デキストロースおよびグリセロール溶液はしば
しば担体として、特に注射溶液用に用いられる。担体または希釈剤は非毒性でなければな
らず、抗原/免疫原の生物活性に影響を及ぼしてはならない。湿潤剤または乳化剤、界面
活性剤、およびpH緩衝物質などの他の追加補助物質も本発明の組成物に用いることがで
きる。保存剤には、たとえばチメロソールおよび/またはEDTAを包含することができ
10
る。適切な医薬担体は、「Remington’s Pharmaceutical S
ciences」、E.W.Martin、第18版に記載されている。多種多様な担体
が当分野でよく知られており、特定の担体の選択は十分に当業者の水準の範囲内である。
【0058】
用語「コロニー形成単位」または「CFU」は、所与のサンプル中の複製能力のある生
物体の数を示すために用いられる測定単位である。これはコロニーが細菌の対/クラスタ
ーまたは単細胞の複製に由来するという理論に基づくものである。
【0059】
「免疫学的に有効量」は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasm
a hyopneumoniae)に対する免疫応答を誘発する非病原性生マイコプラズ
20
マ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の量で
ある。「免疫学的に有効量」は、レシピエント動物の種、品種、年齢、大きさ、健康状態
によって決まり、1種または複数の株がマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Myco
plasma hyopneumoniae)の病原性株であるか、または非病原性株で
あるかにかかわらず、その動物のマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycopla
sma hyopneumoniae)の1種または複数の株への曝露歴に影響されるこ
とになる。本明細書では、非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycop
lasma hyopneumoniae)の「免疫学的に有効量」は、適切なアジュバ
ントと組み合わせて用いられるとき、非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(
Mycoplasma hyopneumoniae)の免疫原性を増強し、それによっ
30
て病原性マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneu
moniae)株によるチャレンジに対して防御免疫を提供するのに十分なマイコプラズ
マ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の量で
ある。一実施形態において、免疫学的有効量は、最少約1×103生物体である。一実施
形態において、免疫学的有効量は、約1×103コロニー形成単位/ml(CFU/ML
)から約1×1011CFU/MLの範囲である。一実施形態において、免疫学的有効量
は、約5×107CFU/MLである。
【0060】
本明細書では、用語「免疫原性」は、その非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモ
ニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)が液性および/または細胞
40
性免疫応答を誘発できることを意味する。免疫原性株は抗原性でもある。免疫原性組成物
は、動物に投与したとき、液性および/または細胞性免疫応答を誘発する組成物である。
【0061】
用語「免疫原性組成物」は、その組成物を哺乳動物において免疫応答を誘発するために
用いることのできる、抗原、たとえば微生物を含有する任意の医薬組成物に関する。免疫
応答には、T細胞応答、B細胞応答、またはT細胞応答およびB細胞応答の両方を包含で
きる。この組成物は、細胞表面でMHC分子と結合して抗原を提示することにより哺乳動
物を感作する機能を果たすことができる。さらに、抗原特異的Tリンパ球または抗体は、
免疫化宿主の将来の防御を可能にするために生成され得る。「免疫原性組成物」は、細胞
媒介性(T細胞)免疫応答、もしくは抗体媒介性(B細胞)免疫応答、または両方を誘発
50
(15)
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し、微生物による感染に関連する1つまたは複数の症状から動物を防御する可能性がある
か、または微生物の感染による死亡から動物を防御する可能性のある、全微生物またはそ
れに由来する免疫原性部分を含む生、弱毒化、または死菌/不活化ワクチンを含有するこ
とができる。
【0062】
本明細書では、用語「単離された」は、言及される材料がその天然環境から取り出され
ていることを意味する。したがって、単離された生物材料は、細胞成分、すなわちその天
然材料が天然に存在する細胞の成分(たとえば、細胞質または膜成分)の一部または全部
を含まない可能性がある。材料は、それが細胞抽出物または上清に存在する場合、単離さ
れている。単離されたタンパク質は、細胞内で結合している他のタンパク質もしくは核酸
10
、または両方と結合していてもよく、または膜結合タンパク質である場合、細胞膜と結合
していてもよい。単離された小器官、細胞、または組織は、生物体が見出される解剖学的
部位から取り出されている。単離された材料は、その必要はないが、精製されていてもよ
い。
【0063】
本明細書では、用語「MHDCE」は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Myc
oplasma hyopneumoniae)DNA細胞等価物を示し、所与のサンプ
ルに存在するマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopn
eumoniae)生物体の概数を求めるために用いられる測定単位として定義される。
【0064】
20
本明細書では、用語「非経口投与」は、胃腸管を経る手段以外のいくつかの手段による
投与、具体的には静脈内、皮下、筋内、または髄内注射による生物体への物質の導入、な
らびに腹腔内注射または局所適用などの他の非経口および非経鼻投与経路を意味する。
【0065】
用語「参考J株に対する多型同一性」は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(My
coplasma hyopneumoniae)の参考J株に対する非J株マイコプラ
ズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)のタ
ンパク発現プロファイル間の類似性を指す。多型同一性は、これに限定されるものではな
いが、たとえば研究中のマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)微生物の1種または複数のタンパク質の量もしくは大きさ
30
、1種または複数のタンパク質の沈降速度、または1種または複数のタンパク質の物理的
特徴もしくは生化学的特徴の変化を包含する、1種または複数のタンパク質の1つまたは
複数の特徴に基づくことができる。この用語はまた、マイコプラズマ・ハイオニューモニ
エ(Mycoplasma hyopneumoniae)の1つの非J株とマイコプラ
ズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の参
考J株の任意の1種または複数のタンパク質をコードするヌクレオチド配列間の類似性も
包含することができ、欠失または置換を包含するこれらの配列の任意の変異を包含する。
ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の変化は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(My
coplasma hyopneumoniae)生物体の非病原性の保持を可能にする
ものである。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の乱れ(perturbation)を観
40
察する多種多様なアッセイが当分野でよく知られている。たとえば、核酸またはアミノ酸
配列の大きさおよび構造は、当業者に知られているノーザン、サザン、ウエスタン、SD
S−PAGE ELISAプロファイリング、PCR、およびDNA配列決定プロトコル
によって観察される(たとえば、Calus,D.等、Veterinary Micr
obiology、Vol.120、Issues 3∼4、March 10、200
7、284∼291頁;Scarman,AL等、Microbiology(1997
)、Vol.143:663∼673参照)。さらに、1本鎖DNA高次構造多型解析な
どの、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の乱れを観察する他の方法も当分野でよく知られ
ている(たとえば、1999年9月7日発行の米国特許第5382510号、および19
95年1月17日発行の米国特許第5952170号参照)。
50
(16)
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【0066】
本明細書では、用語「精製された」は、非関連材料、すなわちその材料が得られる天然
材料を包含する混入物の存在を低減または除去する条件下で単離された材料を指す。たと
えば、精製された細菌またはタンパク質は典型的に、組織培養または卵タンパク質、およ
び非特異的病原体などを包含する宿主細胞または培養成分を実質的に含まない。本明細書
では、用語「実質的に含まない」は、材料の分析試験において操作上用いられる。典型的
に、混入物を実質的に含まない精製材料は、少なくとも純度50%、より典型的には少な
くとも純度90%、さらに典型的には少なくとも純度99%である。純度は、クロマトグ
ラフィ、ゲル電気泳動、免疫学的アッセイ、組成分析、生物学的アッセイ、および当分野
で知られている他の方法によって評価できる。精製方法は、当分野でよく知られている。
10
用語「実質的に純粋」は、当分野で知られている通常の精製技法を用いて達成され得る最
高度の純度を示す。
【0067】
「参考株」は、信頼できる供給元から得られ、他の未確立または未知培養物との比較を
行うことのできる対照株として用いることのできる微生物、たとえばマイコプラズマ・ハ
イオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の株を指す。
本発明において、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyo
pneumoniae)の参考株は、American Type Culture C
ollection(ATCC)から得られ、ATCCアクセッション番号25934お
よび27715が付与されている非病原性J株であることができる。本発明において、A
20
TCCアクセッション番号25934および27715を有する「参考株」は、本発明の
免疫原性組成物を調製するためにも用いられた。本発明の他のいくつかの実施形態におい
て、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumo
niae)の参考株は、American Type Culture Collect
ion(ATCC)から得ることができ、ATCCアクセッション番号25617および
25095が付与されている。
【0068】
用語「SL−CD」は、米国特許第6610310号および第6165995号に記載
されているシクロデキストリンアジュバントのファミリーに属するスルホリポ−シクロデ
キストリンを指す。典型的に、SL−CDは、1種または複数の不飽和テルペン炭化水素
30
、たとえばスクアランなどの代謝性油、および好ましくはポリオキシエチレンソルビタン
モノオレアートなどの非イオン性界面活性剤との混合物に配合される。
【0069】
用語「SP−油」は、1%から3%(v/v)のポリオキシエチレン−ポリオキシプロ
ピレンブロックコポリマー、2%から6%(v/v)のスクアラン、0.1%から0.5
%(v/v)のポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、および緩衝塩溶液を含む
油エマルションであるアジュバントを指す。
【0070】
用語「ワクチン」または「ワクチン組成物」は、同じ意味で用いられ、動物において免
疫応答を誘発する少なくとも1種の免疫原性組成物を含む医薬組成物を指す。ワクチンま
40
たはワクチン組成物は、感染による疾患または起こり得る死から動物を防御することがで
き、活性成分の免疫活性を増強する1種または複数の追加成分を包含してもしなくてもよ
い。ワクチンまたはワクチン組成物は、医薬組成物に典型的なさらなる成分を追加的に含
むことができる。ワクチンまたはワクチン組成物は、ワクチンまたはワクチン組成物に典
型的なさらなる成分を追加的に含むことができ、たとえばアジュバントまたは免疫調整剤
が包含される。ワクチンの免疫原性活性成分は、それらの元の形態、もしくは変性生ワク
チンの弱毒化生物体として完全な生きた生物体、または死菌もしくは不活化ワクチンの適
切な方法で不活化された生物体、またはウイルスの1つもしくは複数の免疫原性成分を含
むサブユニットワクチン、当業者に知られている方法で調製された遺伝子操作、変異、ま
たはクローンワクチンを含むことができる。ワクチンまたはワクチン組成物は、上記成分
50
(17)
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の1つ、または2つ以上を同時に含むことができる。
【0071】
本明細書では、「病原性」は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycopla
sma hyopneumoniae)感染に関連する疾患を引き起こすマイコプラズマ
・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)株の能力
を指す。病原性は、動物において疾患の進行を観察することによって評価できる。マイコ
プラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)
の「病原性」株の一例は、本発明において記載および使用される、マイコプラズマ・ハイ
オニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)のチャレンジ株
によって例示されるものである。マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycopla
10
sma hyopneumoniae)の他の病原性株は、Srain No.2561
7または25095と称され、American Type Culture Coll
ection(ATCC)から入手可能である。用語「非病原性」は、病原性を欠いてい
るマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)の株を指す。すなわち、非病原性株、分離株、または構築体は非病原性であり、
疾患を引き起こすことができない。本明細書では、用語「非病原性(avirulent
)」は、用語「非病原性(non−virulent)」と同じ意味で用いられる。マイ
コプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)非病原性生培養J
株(FCX3−Line1、American Type Culture Colle
ction(ATCC)からStrain No.27715として入手可能である)を
20
用いる組成物が本明細書において例示される。同様にATCCから入手可能である別の「
非病原性」株は、Strain No.25934と称される。ATCCアクセッション
番号27715と称されるJ株は、ATCCカタログに記載のとおり、ATCCアクセッ
ション番号25934と称される親J株からクローン化された。
【0072】
(一般的説明)
本開示は、1種または複数の非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Myc
oplasma hyopneumoniae)、たとえばJ株(FCX3−Line1
、ATCCアクセッション番号27715)など、および1種または複数のアジュバント
、典型的には生物学的に許容できるアジュバントを用いる、免疫原性組成物またはワクチ
30
ン組成物を包含するマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hy
opneumoniae)組成物の1回または2回投与レジメンが、病原性マイコプラズ
マ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)感染に
関連する疾患に対する防御および/または予防または改善に有効であるという発見に基づ
くものである。
【0073】
一実施形態において、これに限定されるものではないが、そのゲノムが参考J株の核酸
配列に対して少なくとも約90%の相同性、または少なくとも約95%の相同性、または
少なくとも約99%の相同性を有する核酸配列を含むJ株を包含する、他のマイコプラズ
マ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)の非病
40
原性生菌株の本発明の組成物および方法における使用が企図される。
【0074】
一実施形態において、これに限定されるものではないが、参考J株に対して少なくとも
約70%の多型同一性、または少なくとも約85%の多型同一性、または少なくとも約9
5%の多型同一性を有するJ株を包含する、他のマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(
Mycoplasma hyopneumoniae)の非病原性生菌株の本発明の組成
物および方法における使用が企図される。
【0075】
参考J株は、ATCCアクセッション番号25934または27715と称されるマイ
コプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae
50
(18)
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)株から選択することができる。
【0076】
一実施形態において、本発明の組成物および方法に用いられる非病原性生J株は、AT
CCアクセッション番号25934または27715と称されるJ株である。
【0077】
一実施形態において、本発明の組成物および方法に用いられる非病原性生J株は、AT
CCアクセッション番号27715と称されるJ株である。
【0078】
ブタサーコウイルス1型−2型キメラ変性生ワクチン(cPCV1−2)(米国特許出
願公開第2003/0170270号および第2004/0253270号参照)とさら
10
に組み合わせて、1種または複数の非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M
ycoplasma hyopneumoniae)株を用いる、ワクチン組成物を包含
する組成物も、病原性マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma h
yopneumoniae)感染および/または病原性ブタサーコウイルス感染に関連す
る疾患に対する防御および/または予防または改善に有効であることも本明細書において
開示される。
【0079】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物はさらに、ヘモフィルス・パラスイス(
Haemophilus parasuis)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteu
rella multocida)、ストレプトコッカス・スイス(Streptoco
20
ccus suis)、アクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobaci
llus pleuropneumoniae)、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bo
rdetella bronchiseptica)、サルモネラ・コレラスイス(Sa
lmonella choleraesuis)、エリシペロスリクス・ルシオパシエ(
Erysipelothrix rhusiopathiae)、およびレプトスピラ(
leptospira)細菌からなる群から選択される、1種または複数の生細菌、バク
テリン、および/または1種または複数の精製トキソイドを含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物はさらに、ブタインフルエンザウイルス
(SIV)抗原、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)抗原、PRRS発現ア
30
ライグマポックスウイルスまたは他の抗原、PRRS発現TGEVまたは他の抗原、なら
びにブタサーコウイルス(PCV)抗原からなる群から選択された1種または複数のウイ
ルス抗原を含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、本開示は、病原性マイコプラズマ・ハイオニューモニエ
(Mycoplasma hyopneumoniae)株11を含有するLI−34と
称される肺ホモジネートによる感染に対する防御に関して以下に記載する(J.Clin
.Microbiol.1999 Mar;37(3):620∼7参照)。しかしなが
ら、本明細書に開示の組成物は、広範な病原性マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M
ycoplasma hyopneumoniae)感染に関連する疾患またはその疾患
40
に関連する少なくとも1つの症状に対する防御および/または予防または改善に有効であ
ろうことが企図される。数多くの病原性マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Myco
plasma hyopneumoniae)分離株が当分野で知られており、Amer
ican Type Culture Collection、12301 Parkl
awn Drive、Rockville、Md.20852を包含する様々な供給元か
ら入手可能である。これらの病原性株の例には、これに限定されるものではないが、AT
CCアクセッション番号25095、27714、および25617が包含される。
【0082】
本開示の組成物、特に免疫原性組成物またはワクチン組成物は、当分野で容易に利用可
能である1つまたは複数の方法によって、非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニ
50
(19)
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エ(Mycoplasma hyopneumoniae)の凍結乾燥または新しく収穫
した培養物から調製することができる。ATCC番号27715(ATCC番号2593
4の濾過およびクローン化3回分離株)として入手可能である非病原性生マイコプラズマ
・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)J株(FCX3−Line1
)を含む組成物が本明細書において例示される。
【0083】
非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopn
eumoniae)は、それぞれ全体を参照により本明細書の一部とする米国特許第53
38543号および第5565205号に記載の方法で培養することができる。より詳細
には、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneum
10
oniae)は、PPLO(ウシ肺疫菌(Pleuropneumonia)様生物体)
完全培地(Difco;Becton Dickinson and Company、
San Jose、California)などの培地で増殖させることができる。生物
体の増殖を、色調変化単位(CCU)を決定するなどの標準的な技法によってモニターし
、十分に高い力価が得られたときに収穫する。組成物製剤に混入する前に、このストック
を通常の方法でさらに濃縮または凍結乾燥することができる。Thomas等、Agri
−Practice7(5):26∼30に記載の方法などの他の方法も用いることがで
きる。
【0084】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
20
iae)の分離株を増殖させる条件は、培地の正確な組成、および増殖させる特定の分離
株に応じて変化することができる。マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycopl
asma hyopneumoniae)分離株は典型的に、インキュベーション時から
収穫時まで測定して、約48時間から約144時間増殖させる。
【0085】
製剤化される正確な組成に応じて、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycop
lasma hyopneumoniae)は、たとえば超遠心分離または限外濾過によ
って濃縮することができる。濃縮したマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycop
lasma hyopneumoniae)を当分野で知られている方法によって回収す
ることができ、生理的に許容できる適切な担体、典型的に、たとえば食塩水、リン酸緩衝
30
溶液(PBS)、最小必須培地(MEM)、またはHEPES緩衝剤を含むMEMなどの
水性培地と混合することができる。次いで、適切なアジュバントとさらに合わせて、体積
当たり体積(v/v)ベースで所望の濃度を提供することができる。組成物はさらに、典
型的には約0.05%から約0.20%(w/v)の濃度で、EDTAなどの1種または
複数のキレート剤を含むことができる。あるいは、免疫原性組成物またはワクチン組成物
に用いられるマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopn
eumoniae)株を、上記のとおり濃縮し、または凍結乾燥し、体積当たり重量(w
/v)ベースで、所望の濃度で適切なアジュバントに再懸濁することができる。
【0086】
上記のとおり、免疫原性組成物またはワクチン組成物を包含する、本開示の組成物は一
40
般に、1種または複数のアジュバント、典型的には生物学的に許容できるアジュバントと
組み合わせて、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyop
neumoniae)の非病原性生菌株を含む。
【0087】
1回投与の場合、組成物は、約1×108から約3×1011MHDCE/mlに相当
する量の非病原性生マイコプラズマ・ニューノモニエ(Mycoplasma pneu
nomoniae)を含有することができる。あるいは、組成物は、約1×109から約
3×109MHDCE/mlに相当する量の非病原性生マイコプラズマ・ニューノモニエ
(Mycoplasma pneunomoniae)を含有することができる。組成物
は、各投与用量が筋内、皮下、または腹腔内投与では動物当たり約1mlから約5ml、
50
(20)
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または約2mlとなり、経口または鼻腔内投与では約1から約10ml、または約2から
約5mlとなるように製剤化される。
【0088】
2回投与の場合、組成物は、典型的に約1×108から約3×1011MHDCE/m
l、より典型的には約1×109から約3×109MHDCE/mlの非病原性生マイコ
プラズマ・ニューノモニエ(Mycoplasma pneunomoniae)を含有
する。2回投与のいくつかの実施形態において、組成物は、約103CFU/MLから1
011CFU/MLを含有する量の非病原性生マイコプラズマ・ニューモニエ(Myco
plasma pneumoniae)を含有することができる。組成物は、各投与用量
が筋内、皮下、または腹腔内投与では動物当たり約1mlから約5ml、好ましくは約2
10
mlとなり、経口または鼻腔内投与では約1から約10ml、典型的には約2から約5m
lとなるように製剤化される。
【0089】
本開示の免疫原性組成物およびワクチン組成物に用いるアジュバント混合物は、細胞媒
介性および/または局所(分泌型IgA)免疫応答を刺激することによって免疫応答を増
強する。生物学的に許容できるアジュバントは、たとえば、SP−油、SL−CD、アク
リル酸ポリマー(Carbopolなど)、ならびに1種または複数の不飽和テルペン炭
化水素、たとえばスクアレンまたはスクアランなどの代謝性油、およびPluronic
(登録商標)などのポリオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマーの混合物か
らなる群から選択される1種または複数のアジュバントであることができる。アジュバン
20
トはさらに、IL−12およびIL−18などのサイトカイン、水酸化アルミニウム、エ
チレンマレイン酸コポリマー、DEAEデキストラン、およびミコバクテリア細胞壁由来
アジュバントなどから選択することができる。
【0090】
本明細書に記載の組成物に用いられるアジュバントの濃度は、アジュバントの性質によ
って決まることになる。アジュバントは典型的に、最終濃度約1∼50%、より典型的に
は最終濃度約10%、15%、20%、25%、または30%で本明細書に記載の組成物
に存在する。アジュバントの抗原の濃度は、体積当たり重量ベース(w/v)、または体
積当たり体積ベース(v/v)で調製することができる。たとえば、本発明の組成物に送
達される抗原は、凍結乾燥形態で調製し、その後アジュバントで直接再構成して、体積当
30
たり重量ベースで指定の濃度を生じることができる。あるいは、抗原は最初に適切な希釈
剤(たとえば、緩衝剤)で再構成し、次いで、上記のとおり体積当たり体積ベースで抗原
およびアジュバント両方の最終所望濃度が生じるのに十分な量のアジュバントをそれに添
加する。
【0091】
いくつかの実施形態において、アジュバントは、単一組成物として抗原/免疫原と共に
投与することができ、または抗原/免疫原の投与前、同時、もしくは投与後に投与できる
。
【0092】
アジュバントの選択は、アジュバントを含有する抗原/免疫原の安定性、投与経路、投
40
与スケジュール、ワクチン接種される種に対するアジュバントの有効性によって決まり、
さらに関連する規制機関によって動物またはヒトでの使用が認可されたものでなければな
らない。
【0093】
SP−油を含む組成物では、アジュバントは典型的に、約1%から約25%(v/v)
、より典型的には約5%から約15%(v/v)、たとえば約10%(v/v)などで存
在し、アクリル酸ポリマー、ならびに1種または複数のテルペン炭化水素およびポリオキ
シエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマーを含む代謝性油の混合物を含む組成物で
は、アクリル酸ポリマーと代謝性油/ポリオキシエチレン−ポリプロピレンブロックコポ
リマー混合物の比は典型的に、約1:25から約1:50の比である。代謝性油、ポリオ
50
(21)
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キシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマー、およびアクリル酸ポリマーは、水中
油型エマルションの形態で用いることができ、ここでアクリル酸ポリマーは典型的に約0
.5g/lから約10g/lの濃度で用いられ、代謝性油は典型的に約2ml/lから約
6ml/lの濃度で用いられ、ポリオキシエチレン−プロピレンブロックコポリマーは典
型的に約1ml/lから約3ml/lの濃度で用いられる。
【0094】
代表的な適切なアジュバント混合物には、これに限定されるものではないが、1種また
は複数のアクリル酸ポリマーと、代謝性油、たとえば不飽和テルペン炭水化物、またはそ
の水素添加生成物、好ましくはスクアラン(2,3,10,15,19,23−ヘキサメ
チルテトラコサン)またはスクアレン、およびポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレ
10
ンブロックコポリマーの混合物との混合物が包含される。そのようなアクリル酸ポリマー
は、ホモポリマーまたはコポリマーであることができる。
【0095】
アクリル酸ポリマーは、典型的にカルボマーである。カルボマーはCarbopolの
商品名で市販され入手可能であり、たとえばそれぞれ参照により本明細書の一部とする米
国特許第2909462号および第3790665号に記載されている。
【0096】
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーは、固体および液体成
分の懸濁を助ける界面活性剤、典型的には液体界面活性剤である。界面活性剤は、商品名
Pluronic(登録商標)でポリマーとして市販され入手可能である。界面活性剤ポ
20
ロキサマー401は、商品名Pluronic(登録商標)L121で市販され入手可能
である。
【0097】
アジュバント混合物は、水性媒質中のエマルションとして製剤化された代謝性油、アク
リル酸ポリマー、およびポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー
を含むことができる。いくつかの実施形態において、アジュバント混合物は、約50ml
/lから約100ml/lの量で存在することのできる、スクアランおよびPluron
ic(登録商標)L121(ポロキサマー401)の混合物などの代謝性油およびポリオ
キシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを包含することができ、カルボ
キシメチレンポリマーはCarbopol934P(Carbamer934P)である
30
ことができ、約2ml/lの量で存在できる。
【0098】
好ましいアクリル酸ポリマーは、B.F GoodrichからCarbopol93
4P NFおよび941 NFとして市販されているものであり、これはポリアリルスク
ロースで架橋されたアクリル酸のポリマーであり、化学式(CH2CHOOOH)nを有
する。これらのポリマーは、水性担体と適切に製剤化される水性ゲルを形成する。ポリオ
キシエチレン−ポリプロピレンブロックコポリマーは、BASFからPluronic(
登録商標)L121、L61、L81、またはL101として市販されている非イオン性
界面活性剤であることができる。
【0099】
40
いくつかの実施形態において、本明細書に開示の組成物は、さらに組み合わせて、1種
または複数の他の生細菌、バクテリン、トキソイド、および/またはウイルス抗原を用い
ることができる。したがって、これらの実施形態のいくつかの態様において、アジュバン
ト添加非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumonia
e)組成物は、(a)1種または複数の生細菌、たとえばヘモフィルス・パラスイス(H
aemophilus parasuis)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteur
ella multocida)、ストレプトコッカス・スイス(Streptococ
cus suis)、アクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobacil
lus pleuropneumoniae)、ボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bor
detella bronchiseptica)、サルモネラ・コレラスイス(Sal
50
(22)
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monella choleraesuis)、エリシペロスリクス・ルシオパシエ(E
rysipelothrix rhusiopathiae)、およびレプトスピラ(l
eptospira)細菌など、(b)1種または複数のバクテリン、(c)たとえばヘ
モフィルス・パラスイス(Haemophilus parasuis)、パスツレラ・
ムルトシダ(Pasteurella multocida)、ストレプトコッカス・ス
イス(Streptococcus suis)、アクチノバチルス・プルロニューモニ
エ(Actinobacillus pleuropneumoniae)、ボルデテラ
・ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、サルモ
ネラ・コレラスイス(Salmonella choleraesuis)、エリシペロ
スリクス・ルシオパシエ(Erysipelothrix rhusiopathiae
10
)、およびレプトスピラ(leptospira)細菌などの1種または複数の病原体由
来の1種または複数の精製トキソイド、ならびに/または(d)ウイルスがブタインフル
エンザウイルス(SIV;SIV株H1N1、H1N2、およびH3N2など)、豚繁殖
・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)、PRRS発現アライグマポックスウイルスお
よび/または他の抗原、PRRS発現TGEVおよび/または他の抗原、およびブタサー
コウイルス(PCV)からなる群から選択される1種または複数のウイルス抗原とさらに
組み合わせて、免疫量の非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycopl
asma hyopneumoniae)、および1種または複数の生物学的に許容でき
るアジュバントを含むことができる。ブタサーコウイルス1型−2型キメラ変性生ワクチ
ン(cPCV1−2)とさらに組み合わせて1種または複数の非病原性生マイコプラズマ
20
・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)株を用い
る、ワクチン組成物を包含する組成物が本明細書において例示される(米国特許出願公開
第2003/0170270号および第2004/0253270号参照)。
【0100】
これらの実施形態または別の実施形態において、ワクチン組成物を包含する組成物は、
たとえばチメロソールおよび/またはEDTAなどの保存剤を追加的にまたは場合により
包含することができる。それぞれ全体を参照により本明細書の一部とする米国特許出願公
開第2002/0131980号および第2003/0017171号も参照されたい。
【0101】
本明細書に記載の組成物に用いられるそのような他の生細菌、バクテリン、トキソイド
30
、および/またはウイルス抗原の濃度は、バクテリン、トキソイド、および/またはウイ
ルス抗原の性質によって決まることになり、典型的にミリリットル当たり約0.5×10
5
から0.5×1010の最終濃度で本明細書に記載の組成物に存在する。あるいは、細
菌は、ミリリットル当たり約0.5×106から0.5×109、またはミリリットル当
たり約0.5×107から0.5×108の最終濃度で存在する。
【0102】
本開示の組成物は、本明細書に記載のアジュバント添加非病原性生マイコプラズマ・ハ
イオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)組成物を投与
することによって、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hy
opneumoniae)に起因する疾患に対して動物を防御する、および/または動物
40
集団の中でそのような疾患の発生を予防もしくは改善する方法において有用であろう。本
明細書に記載の組成物はまた、動物でマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycop
lasma hyopneumoniae)に対する細胞媒介性および/または液性免疫
応答などの免疫応答を増強する方法において有利に用いることができる。そのような方法
は、1回または2回投与で、1種または複数のアジュバント添加非病原性生マイコプラズ
マ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)株を含
む組成物を動物、典型的にはブタに投与するステップを含む。企図される正確な適用例に
応じて、組成物は、筋内、皮下、経口、エアロゾルで、または鼻腔内に投与することがで
きる。
【0103】
50
(23)
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本開示の方法によれば、望ましい投与レジメンは、1回または複数回の所望のワクチン
組成物をブタに投与することを含む。典型的には、2回投与で動物に投与する場合、それ
らの投与は、約1週間隔から約4週間隔、より典型的には約2週間隔から約3週間隔で投
与される。
【実施例】
【0104】
本開示は、以下の非限定的な実施例を参照することにより、よりよく理解されるであろ
う。
【0105】
(実施例1)
10
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)非病原性アジ
ュバント添加生ワクチンの調製
この実施例は、本開示による代表的なアジュバント添加非病原性生マイコプラズマ・ハ
イオニューモニエ(M.hyopneumoniae)組成物の調製を開示する。
【0106】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)は、多くの容易に利用可能な供給元から得ることができる。本明細書に記載の一
実施形態において、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoni
ae)非病原性生培養J株(FCX3−Line1)は、American Type Culture Collection(ATCC;Manassas、VA)からAT
20
CC Strain No.27715として得た。マイコプラズマ・ハイオニューモニ
エ(M.hyopneumoniae)の他の任意の非病原性株を、組成物の調製に用い
ることができ、たとえばATCCアクセッション番号25934と称される親J株などで
ある。他のいくつかの実施形態において、当業者に知られている手順を用いてin vi
tro試験またはin vivo試験によって求められるように、培養物が非病原性であ
ると確立されるまで、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneu
moniae)の任意の病原性生菌株を調節、弱毒化、または変異させてよいことが想定
される。ATCC25934J株の全ゲノム配列はVasconcelos等(J.Ba
cteriol.(2005)、187(16):5568∼5577)によって公表さ
れており、GenBankアクセッション番号AE017243が付与されている。AT
30
CC株25934に関連するいくつかの配列はPubMedに見出すことができ、Gen
Bankアクセッション番号AY737012(16SリボソームRNA遺伝子)、AY
512905(アドヘシン遺伝子、AF013714(プロリポタンパク質p65遺伝子
)、U02538(23S rRNA遺伝子)、およびU02537(多剤耐性タンパク
質ホモログ遺伝子)を有する。
【0107】
殺菌アッセイのために、生理食塩水20mlで再水和したマイコプラズマ・ハイオニュ
ーモニエ(M.hyopneumoniae)培養物の1つの凍結乾燥バイアルから各ワ
クチン組成物を調製した。ワクチン組成物は、再水和培養物5ml、および最終体積10
mlで指定のアジュバント濃度を得るのに十分なアジュバントの組合せを包含した。再水
和培養物5mlと生理食塩水5mlを合わせることによって、対照組成物も調製した。す
べての組成物を、サンプル採取に先立って、5分間混合した。混合後5分(0時間)、3
時間、および7時間の時点ですべての組成物からサンプルを採取した。各サンプル採取時
点でコロニー形成単位(CFU)によって、各ワクチンの生存能力を求めた(表1参照)
。
【0108】
40
(24)
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【表1】
10
【0109】
0時間のすべての対照生存能力を平均することによって、ストック培養物の平均生存能
力、平均9.09×107CFU/mlを求めた。比較として、ストック培養物の最確数
20
8
(MPN)を求め、1.85×10
MPN/mlを得た。ワクチン混合とワクチン接種
には典型的に3時間未満かかる。したがって、アジュバントの殺菌効果を考察するとき、
3時間の時点がもっとも重要である。対照と比較して、3時間サンプル採取時点での5%
および10%のSP−油の傾向は、それぞれ2倍差および4倍差である。
【0110】
最終濃度10%(v/v)のSP−油を含有する希釈剤で凍結乾燥培養物のバイアルを
再水和することによって、ワクチンAを調製した。プラセボワクチンは滅菌生理食塩水で
あった。
【0111】
(実施例2)
30
ブタにおけるアジュバント添加マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopne
umoniae)非病原性生ワクチンのin vivo有効性
この実施例は、代表的なアジュバント添加非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモ
ニエ(M.hyopneumoniae)ワクチン組成物のin vivo有効性を実証
する。
【0112】
4から6週齢の合計30頭のブタをCharles City、IowaのFort Dodge Animal HealthのSPFの群れから得た。抗生物質および成長
促進剤を含まない飼料を用いて、水と食物を自由に摂取させ、ブタを維持した。ワクチン
組成物および対照組成物を投与する動物を別の部屋に収容し、ワクチン接種、モニター、
およびチャレンジ期間、すべてのブタを同様の条件下で維持した。
【0113】
30頭のブタを無作為に次の3群に割り当てた。1群はワクチン組成物を投与され、1
群はプラセボを投与され、1群は環境対照とした。ブタは表2に示すとおりにグループ分
けした。
【0114】
40
(25)
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【表2】
10
【0115】
適切なワクチン2ml用量を用いて、筋内注射によって4から6週齢のブタをワクチン
接種した。第1群はワクチンAを投与し、第2群はプラセボを投与した。第3群のブタは
ワクチン接種およびチャレンジを行わず、環境対照とした。第1群のブタは、2週間の間
隔で2回ワクチン接種した。第2回ワクチン接種の2週間後、第1群および第2群のすべ
てのブタを、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)
株11の病原性株を含有する肺ホモジネート(LI−34)でチャレンジした(J.Cl
in.Microbiol.1999 Mar;37(3):620∼7)。チャレンジ
20
の4週間後、第1∼3群のすべてのブタを剖検し、肺病変を評価した。
【0116】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)チャレンジ株
の肺ホモジネート(LI−34)の調製
交雑種ブタ7頭をSpring Prairie Colony Farms(Gen
etipork)から入手し、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopne
umoniae)株11の10%粗肺ホモジネート(LI31)の1:30希釈10ml
を気管内接種した。LI31粗肺ホモジネートは、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ
(M.hyopneumoniae)を含有する肺ホモジネートを、特定病原体を持たな
いブタに継代接種し、肺炎を生じた肺を疾患の早中期で収穫することによって生成した。
30
肺ホモジネートは必要になるまで−70℃で保管した。
【0117】
到着時および剖検時にすべてのブタから血清を集め、TGE(PRCV)、SW、およ
びPRVに対する抗体の証拠に関してISU Veterinary Diagnost
ic Laboratory(ISU−VDL)で評価した。さらに、PRRSVおよび
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)抗体に関して
ELISAを行い、すべてのサンプルが上記のすべての呼吸器病原体に陰性であった。
【0118】
すべてのブタを剖検した。放血に先立って、ペントバルビタールを用いて、ブタの深麻
酔を誘導した。腹側胸壁を開き、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopn
40
eumoniae)に特有の肺炎病変領域を無菌的に摘出し、個別に滅菌容器に入れた。
【0119】
それぞれの肺の少量を摩砕し、血液寒天プレート、ビーフハートインフュージョン培地
、およびFriis培地で純度を確認した。Friis培地で管希釈を行い、マイコプラ
ズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)を失効(titrate
out)させた。細菌学検査およびマイコプラズマ単離の結果が分かるまで、残存する
肺切片を50ml遠心分離管において−70℃で凍結させた。ブタ7頭のうち3頭の肺葉
を用いて、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)肺
接種物を生成した。
【0120】
50
(26)
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肺葉塊をブタ番号329、331、および332から解凍し、抗生物質を含有しないF
riis培地に摩砕した。肺接種物の純度を、ビーフハートインフュージョン、血液寒天
、およびFriis培地で培養することによって確認した。環境不純物と一致するミクロ
コッカスのみが1つのプレートで見出された。肺接種物をマイコプラズマ・ハイオニュー
モニエ(M.hyopneumoniae)レベルに関して力価測定し、およそ107C
CU/mlを含有することが見出された。SN、EMS、エンテロウイルス、HEV、P
RCV、PRRSV、仮性狂犬病ウイルス(Pseudorabies)、TGE、パル
ボウイルス、およびロタウイルスに関するウイルス単離アッセイのために、アリコートを
ISU−VDLに提出した。すべてのアッセイの結果は陰性であった。摩砕肺接種物(標
識LI34)の最終体積は、肺組織178.1gから1780mlであった。これを10
10
0×5mlおよび110×10ml体積にアリコートした。
【0121】
試験の第2相では、最低80%のブタで平均8%の肺炎の肺病変を誘発するのに必要と
される肺接種物の濃度を求めるために、ブタ9頭を用いた。すべてのブタを、前述のとお
り、LI34マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)
株11で気管内にチャレンジした。チャレンジ希釈液は、1:30、1:100、および
1:500を包含した。
【0122】
ブタを剖検した。放血に先立って、ペントバルビタールを用いて、深麻酔を誘導した。
肺を摘出し、標準的な肺ダイヤフラムで肺病変をスケッチした。すべてのブタから血清を
20
集め、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)に対す
る抗体に関してELISAでアッセイした。すべてのブタはマイコプラズマ・ハイオニュ
ーモニエ(M.hyopneumoniae)に関して低い陽性であるか、血清反応陰性
であり、到着前にマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumonia
e)に曝露されていないことを示唆した。すべてのブタから気管スワブを無菌的に集めた
。パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)およびヘモ
フィルス・パラスイス(Haemophilus parasuis)がそれぞれ4頭お
よび3頭のブタから単離された。マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopn
eumoniae)はチャレンジしたすべてのブタから単離された。肺のスケッチをZe
lss画像解析システムで評価して、肺炎肺病変率を求めた。
30
【0123】
(結論)
ブタのチャレンジは好結果であり、1:100希釈が用いるのに最適な希釈であろう。
誘発された肺炎の平均の率は10.17±6.6であり、これは通常より高いが、ブタに
存在するパスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)およ
び/またはパラスイス(parasuis)に起因する可能性がある。さらに、チャレン
ジ接種物を接種したブタの100%が著しい肺病変を有した。全体として、これらの結果
は、他の病原体が存在する場合、肺炎が増加するという点において、本出願人等がマイコ
プラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)の試験で認める結果
にかなり特有である。これは病原体と免疫系の相互作用によるものである可能性がある。
40
本出願人等は、実験的チャレンジ実験に用いるためにマイコプラズマ・ハイオニューモニ
エ(M.hyopneumoniae)肺接種物1600mlを生成した。この接種物は
、1:100希釈で気管内に用いたとき、最低80%の接種ブタで少なくとも8%または
それ以上の肺炎肺病変を生じる。
【0124】
ワクチン接種日前にワクチンを力価測定し、殺菌アッセイを行って、用いるのに適切な
アジュバント系を求めた(実施例1参照)。これらのデータから、さらなる試験用に10
%SP−油アジュバントを選択した。ストック培養物のバイアル当たり平均生存能力は3
.64×109CFU/ボトルであった。
【0125】
50
(27)
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第1回投与当日、ワクチン組成物を次のとおり調製した。ワクチンA−3バイアルそれ
ぞれの非病原性マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae
)凍結乾燥培養物を10%SP−油希釈液10mlで再水和した。それぞれの希釈の種類
に関して、3バイアルのワクチン組成物をプールし、撹拌棒を備えた撹拌プレートで20
分間混合した。プラセボは投与用滅菌ボトルにアリコートした生理食塩水であった。組成
物は2時間のワクチン接種過程中、氷上に保持した。
【0126】
第2回投与当日、ワクチン組成物を次のとおり調製した。ワクチンA−3バイアルそれ
ぞれの非病原性マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae
)凍結乾燥培養物を10%SP−油希釈液10mlで再水和した。それぞれの希釈の種類
10
に関して、3バイアルの再水和培養物をプールし、撹拌棒を備えた撹拌プレートで20分
間混合した。プラセボは投与用滅菌ボトルにアリコートした生理食塩水であった。組成物
は2時間のワクチン接種過程中、氷上に保持した。
【0127】
各組成物中の生存マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoni
ae)の濃度を投与前および投与後に求めた。コロニー形成単位(CFU/ml)を求め
ることによって、生存能力を評価した。凍結乾燥ストック培養物のバイアルを生理食塩水
10mlで再水和し、20分間混合し、生存能力アッセイの対照とした。第1の対照の生
存能力は、試験ワクチンの生存能力より低かったため、第2回投与時は、2つのバイアル
を再水和し、プールして、対照とした(試験ワクチン生存能力および対照生存能力に関し
20
ては表3を参照のこと)。
【0128】
【表3】
30
【0129】
各投与の2日前から開始して、すべてのブタを体温および臨床症状に関して毎日観察し
、各投与後7日間継続した。ブタを、これに限定されるものではないが、咳、くしゃみ、
鼻汁、減退(depression)、食欲不振、および呼吸困難を包含する臨床症状に
関して観察した。
【0130】
40
第2回投与の14日後、第1群のブタをマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.h
yopneumoniae)病原性株で経気管チャレンジした。
【0131】
チャレンジ当日、病原性マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneum
oniae)チャレンジストックの凍結(−70℃)肺ホモジネート(LI−34)を温
水下で急速に解凍し、希釈した(1:100希釈)。キシラジン(Xylazine)5
0mg/ml、ケタミン(Ketamine)50mg/ml、およびテラゾール(Te
lazol)100mg/mlからなるXylazine−Ketamine−Tela
zol(商標)混合物で、ブタを鎮静させた。それぞれのブタにチャレンジ材料10ml
を経気管投与した。確実に針が配置されるように、チャレンジ材料の投与前に、空気を注
50
(28)
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射器に吸引した。チャレンジ後、臨床症状に関して、すべてのブタを毎日観察した。
【0132】
第0日、14日、28日、および56日にブタを血清用に採血した。マイコプラズマ・
ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)チャレンジに対するブタの血清
学的応答をELISAで求めた。チャレンジの4週間後、第1∼3群のすべてのブタを安
楽死させ、肺を摘出した。試験群は盲検化し、総肺病変のスコアを取った。異型マイコプ
ラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)病変を、その後の組織
病理学的評価のためにホルマリン固定した。罹患肺のスワブサンプルを細菌単離用に集め
た。
【0133】
10
第1群のブタの平均肺病変スコア(5.9%)は、プラセボ群(14.8%)より約5
0%低かった。統計的分析を同腹(litter)に関して調整したとき、1群の緩和率
(mitigated fraction)は対照と比較したとき、肺病変の重症度が6
9.2%低減した。これらのデータを表4に要約する。すべてのブタは第1回投与当日に
血清反応陰性であり、ブタはマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneu
moniae)感染に感受性であることを示した。SP−油群のブタ1頭を除いて、ブタ
は第1回ワクチン接種後にセロコンバージョンしなかった。SP−油アジュバント添加ワ
クチン組成物を投与されたすべてのブタは、第2回注射後、抗体反応を生じた。血清学的
応答は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)に対
する免疫応答が誘発されたことを実証している(血清検査の結果に関しては表9を参照の
20
こと)。
【0134】
【表4】
30
【0135】
ワクチンがマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)
に有効とみなされるためには、データの統計的分析は肺病変の低減に関して緩和率(<5
0%信頼下限値>30%)の基準を満たさなければならない。全体として、これらのデー
タは、アジュバント添加非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyop
40
neumoniae)を、in vivoで動物に投与したとき、防御免疫応答を誘発す
るために有利に用いることができることを実証している。
【0136】
本発明を様々な実施形態においてそれぞれ述べたが、上記の説明に示し、以下の請求の
範囲でさらに具体化されるとおり、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、
当業者によってある種の修正が加えられ実行できることが予期される。本開示は本明細書
に記載した特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際、上記の説明お
よび添付の図面から、本明細書に記載したものに加えて、本発明の様々な変更が当業者に
は明らかとなるであろう。そのような変更は添付の請求の範囲に含まれることが意図され
る。すべての値は概数であり、説明のために提供されるものであることがさらに理解され
50
(29)
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る。本明細書に言及されるすべての特許および特許出願は、それらの全体を参照により本
明細書の一部とする。
【0137】
(実施例3)
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoni
ae)非病原性生菌株−ブタサーコウイルス1型−2型キメラ変性の生のマイコプラズマ
・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)画分の予
備免疫原性試験
3∼4週齢のブタにおける混合ワクチン
この実施例は、3∼4週齢のブタに筋内(IM)または鼻腔内(IN)投与するときの
10
、アジュバント添加非病原性生マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplas
ma hyopneumoniae)J(FCX−Line1)株およびブタサーコウイ
ルス(PCV)1型−2型キメラ生ワクチン(cPCV1−2、米国特許第727916
6号および第7276353号参照)を含む混合ワクチンの有効性を開示する。この混合
ワクチン(PCV/MH)は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopne
umoniae)およびブタサーコウイルスに起因する疾患の予防および/または重症度
の軽減を助けるものとして、健常なブタのワクチン接種に用いるのに適している。
【0138】
標的とする試験ワクチンは、約4.0Log10FAID50/投与のcPCV1−2
変性生ウイルス、および4×108CFU/投与のマイコプラズマ・ハイオニューモニエ
20
(M.hyopneumoniae)J株を含有するべきである(FAID法に関しては
King等、Journal of Comparative Medicine an
d Vet.Science、29:85∼89(1965)および米国特許第4824
785号を参照のこと)。ワクチンは、最終濃度10%(v/v)のSP−油を含有する
ようにアジュバント添加した。プラセボワクチンは滅菌生理食塩水であった。
【0139】
この試験には合計66頭の3∼4週齢のブタを用いた。16頭のブタは、PCV/MH
生ワクチン2mlを1回筋内投与し、チャレンジした(第1群)。15頭のブタは、PC
V/MH生ワクチン2mlを2回(2週間隔)筋内投与し、チャレンジした(第2群)。
15頭のブタは、PCV/MH生ワクチン2ml(1ml/鼻孔)を2回(2週間隔)鼻
30
腔内投与し、チャレンジした(第3群)。15頭のブタは、PCV/MH生ワクチンを投
与せず、チャレンジした(第4群)。さらに、5頭のブタは、環境対照とした(第5群)
。
【0140】
本明細書に開示の試験に用いたワクチンは、MH凍結乾燥生抗原(ロット番号1744
−56)およびPCV(ロットC108−56)生ワクチンを含有する希釈液の組合せで
あった。ワクチン接種当日、凍結乾燥生MHケークを、PCV生ウイルスを含有する希釈
液(10%SP油でアジュバント添加、4.0Log10FAID50/ml)で再水和
した。最終ワクチンにはロット番号2315−30を付与した。MH画分の生存能力をワ
クチン接種前および接種後に求め、それぞれ3.18×108CFU/mL(前)および
40
8
1.65×10
CFU/mL(後)であった。ワクチン接種前および接種後のワクチン
のPCV力価は、それぞれ4.09Log10FAID50および3.7Log10FA
ID50であった。第2回ワクチン接種用のワクチンを上記のとおり調製し、ロット番号
2315−32を付与した。MH画分の生存能力は、ワクチン接種前および接種後それぞ
れ1.24×108CFU/mLおよび1.5×108CFU/mLであった。PCV画
分の生存能力は、それぞれ4.36Log10FAID50および3.83Log10F
AID50であった。
【0141】
ワクチンの有害反応に関して、ワクチン接種後7日間、ブタを観察した。ワクチン接種
後観察期間中、MHまたはPCVに関連しない原因のため3頭のブタが死亡した。ワクチ
50
(30)
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ン接種後期間の臨床的観察の概要を表5に示す。
【0142】
【表5】
10
20
30
40
【0143】
第1∼4群のすべてのブタを、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopn
eumoniae)の病原性株(病原性MH(LI−34)を含有するブタ肺ホモジネー
ト)でチャレンジした。第1群のブタは、第1回ワクチン接種の4週間後にチャレンジし
50
(31)
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た。第2∼4群のブタは、第2回ワクチン接種の2週間後にチャレンジした。チャレンジ
の4週間後、第1∼5群のすべてのブタを剖検し、肺病変を評価した。
【0144】
ワクチン接種日前にワクチンを力価測定した。ワクチン接種当日、非病原性マイコプラ
ズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)の凍結乾燥培養物を再水
和した。ワクチン中のマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumon
iae)生物体の濃度は、約2×108CFU/mlであった。ワクチンのサンプルを取
り置き、ワクチン接種前および接種後に生存能力アッセイを行って、実際のCFU/ml
を確認した。ワクチン接種過程中、ワクチンは氷上に保持した。
【0145】
10
各ワクチン接種の2日前から開始し、各ワクチン接種後7日間継続して、すべてのブタ
を体温および臨床徴候に関して毎日観察した。ブタを、これに限定されるものではないが
、咳、くしゃみ、鼻汁、減退、食欲不振、および呼吸困難を包含する臨床症状に関して観
察した。第2回ワクチン接種の14日後、第1∼4群のブタをマイコプラズマ・ハイオニ
ューモニエ(M.hyopneumoniae)病原性株で経気管チャレンジした。
【0146】
チャレンジ当日、病原性マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneum
oniae)チャレンジストックの凍結(−70℃)肺ホモジネート(LI−34)を温
水下で急速に解凍し、滅菌マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneum
oniae)増殖培地を用いて希釈した(1:100希釈)。キシラジン(Xylazi
20
ne)50mg/ml、ケタミン(Ketamine)50mg/ml、およびテラゾー
ル(Telazol)100mg/mlを含むXylazine−Ketamine−T
elazol(商標)混合物で、ブタを鎮静させた。それぞれのブタにチャレンジ材料1
0mlを経気管投与した。確実に針が配置されるように、チャレンジ材料の投与前に、空
気を注射器に吸引した。
【0147】
チャレンジ後、臨床徴候に関して、すべてのブタを全般的に観察した。観察は、異常な
臨床徴候に関して毎日行った。試験の第0日、14日、28日、および56日にブタを血
清用に採血した(全血13ml以下)。血清を集めたが、評価はしなかった。その後の試
験期間中、集めた血清を用いて、ブタの血清学的応答を評価するためにELISAを行う
30
ことができる。
【0148】
チャレンジの4週間後、第1∼5群のすべてのブタを安楽死させ、肺を摘出した。異型
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)病変をホルマ
リン固定し、サンプルを組織病理に関して検査した。罹患肺のスワブサンプルを細菌単離
用に集めた。チャレンジ後に死亡したブタを剖検し、上記のとおりサンプルを集めた。ワ
クチン有効性はワクチン接種の合計平均肺病変スコアとして定義したが、これは対照の平
均肺病変スコアより50%低かった。
【0149】
剖検当日、すべてのブタを安楽死させ、肺病変のスコアを取り、細菌単離用にスワブサ
ンプルを採取した。スワブから単離された細菌は以下のスタフィロコッカス・ヘモリチカ
ス(Staphylococcus heamolyticus)、ストレプトコッカス
・スイス(Streptococcus suis)(P322)、スタフィロコッカス
・エピデルミス(Staphylococcus epidermis)、アクチノマイ
セス・ピオゲネス(A.pyogenes)、アエロコッカス種(aerococus species)、ストレプトコッカス・ウベリス(S.uberis)、ボルデテラ・
ブロンキセプチカ(Bordetella bronchiseptica)(P344
)、および巨大バクテリアからなった。肺病変スコアの統計的分析を表6に示す。
【0150】
40
(32)
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【表6】
10
20
【0151】
このデータの統計的分析は肺病変の低減に関して緩和率(<50%信頼下限値>30%
)の基準を満たした。この実施例は、(a)3.18×108CFU/mlで2回2mL
IM投与したMH画分のMH/PCVワクチンの有効性、および(b)ワクチン接種後M
HまたはPCVに関連する臨床徴候のないことからMH/PCVワクチンの安全性を実証
している。
【0152】
(実施例4)
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoni
30
ae)非病原性生菌株−ブタサーコウイルス1型−2型キメラ変性生混合ワクチンの3∼
4週齢のブタにおけるマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma h
yopneumoniae)画分免疫原性試験
この実施例は、実施例4に示した試験から得られた結果を支持し、筋内投与されたとき
の、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumo
niae)非病原性生菌株−ブタサーコウイルス1型−2型(cPCV1−2)キメラ変
性生ワクチン混合ワクチン(MH/PCV)のマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M
.hyopneumoniae)画分の有効性を確認する免疫原性試験を開示する。本明
細書に開示するMH/PCVワクチンは、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.h
yopneumoniae)およびブタサーコウイルスに起因する疾患の予防および/ま
40
たは重症度の軽減を助けるものとして、健常なブタのワクチン接種に適切に用いることが
できる。
【0153】
本試験に用いたブタは、ELISAで判定されたとおり、マイコプラズマ・ハイオニュ
ーモニエ(M.hyopneumoniae)に対して血清反応陰性であった。
【0154】
合計79頭の3から4週齢のブタを無作為に4群に分けた。24頭のブタ(第1群)は
、混合PCV/MH生ワクチンの単回投与でワクチン接種した。24頭のブタ(第2群)
は、2週間隔で、混合ワクチンで2回ワクチン接種した。24頭のブタ(第3群)は、2
週間隔で、生理食塩水で2回ワクチン接種し、チャレンジ対照とした。すべてのワクチン
50
(33)
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は筋内投与した。4頭のブタ(第4群)は、ワクチン接種もチャレンジもせず、環境対照
とした。
【0155】
本試験に用いたワクチンは、MH凍結乾燥生抗原(ロット1744−66)およびPC
V(cPCV1−2ロットC108−56)生ワクチンを含有する希釈液の組合せであっ
た。ワクチン接種当日、凍結乾燥生MHケークを、PCV生ウイルスを含有する希釈液(
10%SP油でアジュバント添加、3.5Log10FAID50/ml)で再水和した
。最終ワクチンにはロット番号2315−40を付与した。MH画分の生存能力をワクチ
ン接種前および接種後に求め、それぞれ2.09×108CFU/mLおよび1.56×
108CFU/mLであった。プラセボワクチンは滅菌生理食塩水であった。
10
【0156】
第2回ワクチン接種用のワクチンを上記のとおり調製し、ロット番号2315−42を
付与した。MH画分の生存能力は、ワクチン接種前および接種後それぞれ1.05×10
8
CFU/mLおよび6.72×107CFU/mLであった。PCV画分希釈液の生存
能力は、3.44Log10FAID50であった。
【0157】
ワクチン接種日前にワクチンを力価測定した。ワクチン接種当日、非病原性マイコプラ
ズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)の凍結乾燥培養物を再水
和した。ワクチンのサンプルを取り置き、ワクチン接種前および接種後に生存能力アッセ
イを行って、CFU/mlを求めた。ワクチン接種過程中、ワクチンは氷上に保持した。
20
【0158】
各ワクチン接種の2日前から開始し、各ワクチン接種後7日間継続して、すべてのブタ
を体温および臨床徴候に関して毎日観察した。ブタは、これに限定されるものではないが
、咳、くしゃみ、鼻汁、減退、食欲不振、および呼吸困難を包含する臨床症状に関して観
察した。
【0159】
ワクチンに対する有害反応に関して、ワクチン接種後7日間、ブタを観察した。ワクチ
ン接種後観察期間中、MHまたはPCVに関連しない原因のため3頭のブタが死亡した。
ワクチン接種後期間の臨床的観察の概要を表7に示す。
【0160】
【表7】
30
40
【0161】
第1∼3群のすべてのブタを、およそ7週齢で、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ
50
(34)
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(M.hyopneumoniae)の病原性株でチャレンジした。第1群のブタは、第
1回ワクチン接種の4週間後にチャレンジした。第2群および第3群のブタは、第2回ワ
クチン接種の2週間後にチャレンジした。病原性マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(
M.hyopneumoniae)チャレンジストックの凍結(−70℃)肺ホモジネー
ト(LI−34)を温水下で急速に解凍し、滅菌マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(
M.hyopneumoniae)増殖培地を用いて希釈した(1:100希釈)。キシ
ラジン(Xylazine)50mg/ml、ケタミン(Ketamine)50mg/
ml、およびテラゾール(Telazol)100mg/mlを含むXylazine−
Ketamine−Telazol(商標)混合物で、ブタを鎮静させた。それぞれのブ
タにチャレンジ材料10mlを経気管投与した。
10
【0162】
試験の第0日、14日、28日、および56日にブタを血清用に採血した。この試験で
集めた血清サンプルは、当分野でよく知られているELISA法を用いて、マイコプラズ
マ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)およびPCV2に対する動
物血清学的応答を評価するために試験することができる。市販され入手可能であるELI
SA試験キットを用いて、ワクチン接種後0日(0DPV)およびチャレンジ後0日(0
DPC)から集めた血清サンプルを、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyo
pneumoniae)、ブタインフルエンザ(H1N1)、および豚繁殖・呼吸障害症
候群(PRRS)に対する抗体に関して試験することができる。
【0163】
20
チャレンジ4週間後(28DPC)、第1∼4群のすべてのブタを安楽死させ、肺を摘
出した。肺病変スコアを記録し、典型的なマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.h
yopneumoniae)病変をホルマリン固定した。サンプルを組織病理に関して検
査した。マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)に罹
患した1つの肺葉から、二次感染を検出する細菌単離用にスワブサンプルを集めた。さら
に、気管支肺胞洗浄液も集めた。肺をリン酸緩衝溶液で洗浄し、得られた流体をPCR試
験用にアリコートした。
【0164】
肺病変の重症度の低減を評価するため、推定量(estimator)は緩和率(MF
)統計値とした。緩和率を以下のとおり算出した。
30
【0165】
【数1】
式中、
W1=ウィルコクソン順位和統計値
40
nC=対照群の対象数
nV=ワクチン接種群の対象数
【0166】
緩和率の95%信頼区間を算出した。
【0167】
肺病変の重症度の低減を主張する場合、以下のとおりである。
HO:MV=MC
HA:MV MC
式中、
MV=ワクチン接種群の肺病変スコアの中央値
50
(35)
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MC=対照群の肺病変スコアの中央値
【0168】
単一集団のサンプルのパラメトリックおよびノンパラメトリック解析を行うPROC UNIVARIATEを用いて(SAS Institute Inc.、Cary N
C)、連続結果変数の頻度分布を評価した。抗体力価のlog変換を用いて、パラメトリ
ック検定に必要とされる正規性仮定を満たした。同腹および場所(room)に関する各
群の比較性を評価するために、カイ二乗によってベースライン評価を行う。ウィルコクソ
ン順位和検定によって(従属変数として肺病変スコアおよび独立変数として包含される処
置を用いるPROC NPAR1WAY、肺病変の重症度を各ワクチン接種群および対照
群間で比較した。PROC NPAR1WAYは、一元配置で位置および尺度の相違に関
10
してノンパラメトリック検定を行い、PROC NPAR1WAYはさらに、経験分布関
数に基づく生データおよび統計値の分散標準分析も提供する(SAS Institut
e Inc.、Cary NC)。
【0169】
すべての統計的分析はSASシステムを用いて行う。正規性に関してW検定で求めた変
換変数の残差の分布が変換によって改善されなかった場合、必要に応じてノンパラメトリ
ック検定を用いた。有意水準はp<0.05に設定する。
【0170】
剖検当日、すべてのブタを安楽死させ、肺病変のスコアを取り、細菌単離用にスワブサ
ンプルを採取した。気管支肺胞洗浄(BAL)も集めた。スワブから単離された細菌は以
20
下のアクチノバチルス種(Actinobacillus species)、モラクセ
ラ・オスロエンシス(Moraxella osloensis)、ストレプトコッカス
・サングイニス(Streptococcus sanguinis)、アクチノマイセ
ス・ピオゲネス(A.pyogenes)、およびボルデテラ・ブロンキセプチカ(Bo
rdetella bronchiseptica)からなった。BALサンプルは、P
CR法によってMHに関して試験し、そのサンプルは病変が記録された環境対照群の2種
のサンプル、ならびにワクチン接種群および対照群の病変スコアの低い2種のサンプルで
あった。病変を有する環境対照群の両方のブタのBALサンプルは陰性であり、ワクチン
接種群の病変スコアの低い両方のブタは陽性であった。肺病変スコアの統計的分析を表8
に示す。
30
【0171】
【表8】
40
【0172】
このデータの統計的分析は肺病変の低減に関して緩和率(<50%信頼下限値>30%
)の基準を満たした。このワクチンは、2.09×108CFU/mlで、単回投与また
50
(36)
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は2回投与によって2mL用量をIM投与したMH画分に関して有効であるとみなされる
。さらにこのワクチンは、ワクチン接種後MHまたはPCVに関連する臨床徴候のないこ
とから安全であるとみなされる。
【0173】
(37)
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【表9】
10
20
30
40
【受託番号】
50
(38)
【0174】
ATCC25934
ATCC25617
ATCC25095
ATCC27715
ATCC27714
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(39)
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【国際調査報告】
10
20
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10
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A61K 39/295
(2006.01)
A61K 39/295
A61P 31/04
(2006.01)
A61P 31/04
C12N
1/00
(2006.01)
C12N
1/00
L
C12N
1/20
(2006.01)
C12N
1/20
A
C12N
7/00
(2006.01)
C12N
7/00
(81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),
10
EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,T
R),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,
BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K
G,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT
,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW
(72)発明者 シェン−ユエ チュ
アメリカ合衆国 66012 カンザス州 ボナー・スプリングス市 セダー・レーン 1567
1
(72)発明者 ズヒチャング スー
20
アメリカ合衆国 50501 アイオア州 フォート・ダッジ市 18ティ・エイチ・アヴェニュ
ー・ノース 2920
(72)発明者 ウミン リ
アメリカ合衆国 50501 アイオア州 フォート・ダッジ市 ノルクレスト・ドライブ 15
19
(72)発明者 ニコル レイ ギブソン
アメリカ合衆国 50548 アイオア州 ハンボルト市 220ティ・エイチ・ストリート 1
645
Fターム(参考) 4B065 AA99X BD50 CA45
4C085 AA03 AA04 AA38 BA07 BA48 BA51 BA55 DD86 EE03 EE06
FF17 FF21 GG03 GG08 GG10
30
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