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環 大阪 平野 アートリンク構想について

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環 大阪 平野 アートリンク構想について
2014/06/18 現在
かんおおさか へ い や
環大阪平野アートリンク構想について
北夙川
不可止
日本の二大都市圏、近畿圏と首都圏は非常によく似ていると同時に、大きな相違点もいくつもあります。その中でも最
たるものは、平野部の形でしょう。
関東は、平地のほぼ全てが関東平野より成り立っています。それに対して関西では、大阪平野が非常に狭く、京都盆地、
奈良盆地、近江盆地は、同一通勤通学圏内でありながら、大阪平野に含まれません。
つまり、東京では気軽にアクセスしづらい里山が、京阪神では極めて身近に存在する、ということになります。大阪平
野をぐるりと囲む形で、都心からせいぜい 1~2 時間圏内に、棚田や茅葺古民家、木造校舎など日本の原風景を残した里
山エリアが、まだまだ豊富にあるのです。
そのうちの一つが、西宮市の船坂地区です。私は 2009 年、西宮船坂ビエンナーレの立ち上げから関わりました。生ま
れながらの西宮市民である私にとっても、西宮市中心部から車で 30 分程度、大阪・神戸の都心からでも一時間程度で行
ける船坂の地の自然と歴史文化は驚きでした。谷を挟んで小さな集落が広がっていて、「二十四の瞳」に出てきそうな木
造校舎の廊下に立つと、谷向こうの見事な棚田が一望に見渡せます。茅葺の古民家が点在し、お寺の本堂は 17 世紀の建
物、そして奈良時代から貴賤の衆生が湯治に通った有馬街道も船坂の地を抜けて有馬へと通じています。
東京出張も多いのですが、改めて関西の自然の豊かさと、歴史的風土の奥深さを認識し直すことができました。
日本の人口が縮小傾向にあり、経済面でも新興諸国に並ばれ、抜かれつつあります。国内では首都圏への一極集中が進
行中です。日本社会の中での関西の未来を考えると、首都圏より有利なこの点を活かして、今後の活路を開いていかねば
ならないでしょう。そして世界の中での日本を思えば、いつまでも工業製品の輸出ばかりには頼れません。欧州諸国のよ
うな「文化大国」となることが、国際競争を生き残るために一番大切なことでしょう。
となれば、関西の持てる文化的潜在力を生かすことが、関西にとっても日本にとっても非常に重要なことは、言うまで
もありません。大阪平野の狭さは、関東にはない関西独自の利点です。そして、歴史的に常に日本の中央であり続けてい
た関西には、都市部にも里山にも、大変豊かな歴史的資産が多く残されています。
船坂のほかにも、能勢電鉄(川西市)も沿線でビエンナーレ形式でのアートイベントを始めています。宝塚市でもビエ
ンナーレをという機運が高まっています。少し離れますが、京都府木津川市でも木津川アートというアートイベントが定
着し、全国的な知名度を得ています。堺市、貝塚市、富田林市などでもアートイベント計画が始動しています。
関西の特徴は、それぞれの地域、自治体の個性が豊かで、自由闊達であることでしょう。東京一極集中の関東と違い、
京阪神三都はそれぞれに個性を発揮しています。「まとまりがない」とも言えますが、それは欠点ではなく「豊かな個性」
だと考えます。高度成長期には全体主義的なやり方が効果的なこともありましょうが、これから文化大国を目指すのであ
れば、多様性こそが必要とされるのです。
ですから、中央の号令のもと、一斉にアートイベントを、という考え方はナンセンスに過ぎましょう。そもそもアート
とはそういうものではありません。しかし、関西各地で広がりつつあるアートの活動を、「ばらばらのまま」で置いてお
くのももったいない話です。それぞれの個性と、そして主体性を維持したまま、緩やかに連携し、協力し、ともに関西の
未来を切り拓いていく、そのような協力体として、「環大阪平野アートリンク」を構想しています。まだまだ個人の、そ
れも漠然とした思い付きに過ぎませんが、しかし非常に大きな可能性を秘めているのではないか、そう考えています。
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