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サクラマスの研究⑤
10.産卵期の違い (1)サクラマスとヤマメの産卵期の体色 サクラマス (漁協の許可を得て「総合的な学習の時間」に熊野沢で捕獲したサクラマスの雄) ホンマス(中禅寺湖) 中禅寺湖の地引き網体験(総合的な学習の時間に体験)の時に捕れたホンマスです。ホ ンマスというのは、サクラマスとビワマスのを交配したものといわれています。体形や婚 姻色など、川俣のサクラマスと全く同じです。 - 61 - ヤマメ 熊野沢で観察したヤマメで、サクラマスと同じように婚姻色が出ていました。 はサクラマス(2匹います)で、 はヤマメです。ヤマメの雌は、体側が黒くな ります。写真の左にいるヤマメを見ると、そのことがわかります。この場所は、かなり大 きい産卵床になっていて、10匹ほどのサクラマスやヤマメが産卵行動をしていました。 特に、左の雌のヤマメはまさに産卵床を掘っているところです。産卵床の部分は、周りよ り白くなっています。写真をよく見ると、写真のふちの方の茶色い部分以外は、ほとんど が産卵床だということがわかります。何匹ものサクラマスやヤマメが産卵していることに なります。 - 62 - (2)産卵床 渓山荘横鬼怒川本流:大きな産卵床で、たくさんのペアが掘ったものです。 鬼怒川本流第1堰堤下:観察した産卵床のなかで、1番大きかったです。 渓山荘下鬼怒川本流:サクラマスがちょうどペアリングしていました。 (3)ペアリング - 63 - 鬼怒川本流の第1堰堤下で観察しました。手前が雄、奥が雌です。雄の方はかなり体に カビが生えていました。 鬼怒川本流の渓山荘横で観察しました。右が雌で、左が雄です。 無砂谷沢で観察しました。右が雄で、左が雌です。 - 64 - (4)産卵 雌が産卵床を掘ります。雄が掘ることはありませんでした。雄は、他の雄がこないよう に常に周りを警戒していました。 他の雄が産卵に参加しようと狙っていましたが、雄に追い払われました。 産卵の瞬間にヤマメが2匹割り込んできました。サクラマスの雄に何度も追い払われて いましたが、ずっと狙っていたようです。どの魚も自分の子孫を残すことに必死だという ことがわかりました。 - 65 - (鬼怒川本流第1堰堤下で先生方が撮影) 産卵の瞬間です。両方とも口を大きく開けています。サクラマスの産卵は、1回で終わ るのではなく何回かに分けて行うようです。 (5)産卵後 産卵後のサクラマスです。腹びれや尾びれが産卵のためすり切れて白くなっていました。 また、産卵の時はかなりのたいへんな体力を使うため抵抗力もなくなり、頭の方がしろく かびていました。サクラマスやヤマメは、産卵が終わると死んでしまいます。イワナは、 産卵しても死なず、何度も産卵するそうです。 - 66 - 産卵が終わって死んでしまったサクラマスです。無砂谷沢で観察しました。 「総合的な学習の時間」に熊野沢で観察したものです。尾びれの方はなくなっていまし た。45 cm くらいあったようです。この死骸が、川の生物たちの栄養分になっていくの だと思いました。 - 67 - 雌 雄 ・2007年10月9日に「総合的な学習の時間」に熊野沢で捕獲したサクラマスです。 (漁協の許可を得て捕獲しました。) ・雌は少し小さめで46cm、雄は53.5cmありました。 ・この2匹は、学校の学習教材としてはくせいにしてもらいました。現在は川俣ダムの広 報館に展示してあります。 結果とまとめ ・秋になるとサクラマスは、湖から川に遡上します。この時期になると銀色ではな く、体色は赤黒い婚姻色になってきます。雄は特にいかつい顔つきになり、鼻曲 がりになってきます。見た感じは海から遡上してくるサケのようです。サクラマ スに対してヤマメは、同じように婚姻色にはなりますがサクラマスよりは薄く、 パーマークも残っていました。ただし、産卵時期や場所は同じでした。 ・産卵行動では、サクラマスとヤマメでは大きな違いはありませんでした。降海型 サクラマスの場合は、ほとんどが雌なので産卵の時にヤマメの雄とペアリングす ることがよくあるそうですが、川俣湖のサクラマスは、雄も多く存在しており、 観察したペアリングではほとんどがサクラマスどうしでした。 疑問 ・サクラマスどうしの産卵によって産んだ卵は、ほとんどがサクラマスになると思 いますが、サクラマスの雌とヤマメの雄によって生んだ卵は、いったいどちらに なるのでしょうか。資料によると、どちらの場合も川に残ってヤマメになるもの と海に下ってサクラマスになるものとに分かれるそうなのですが、いったいどう なっているのでしょうか。→ 今後の課題 ・「 6.肉の色の違い」の考察でサケは川を遡上すると肉の色が白くなってくると いう点について、サクラマスはどうなるのか疑問に思いました。また、肉の色と 婚姻色の関係についても疑問に思いました。→ 今後の課題 - 68 -