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Title
通信ネットワークを使った不登校者のための教材管理提供
システムの開発( はしがき )
Author(s)
後藤, 忠彦
Report No.
平成9年度-平成10年度年度科学研究費補助金 (基盤研究
(B)(2) 課題番号09558015) 研究成果報告書
Issue Date
1998
Type
研究報告書
Version
URL
http://repository.lib.gifu-u.ac.jp/handle/123456789/347
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
は
し
が
き
文部省等の調査からも見られるように,在宅学習,院内学習,適応教室での学習者が多
くなる傾向にあり,学校外での教育の必要性がますます高くなってきている。とくに,義
務教育での不登校児童・生徒が10万人以上となり,社会的に大きな課題となっている。
ところが,これらに対応した教育システムが整備されていなく,在宅学習をいかに構成す
るか,教育界に大きな課題が出されている。
これらの解決策としては,それぞれの学習者により違いがあるため,多様な方法が用い
られているが,その中で新しいメディアの利用も進めるべきである。
このような在宅学習に対する教育システムとしては,衛星通信やテレビ会議システムを
用いた方法が試行されるようになりだした。学校,社会教育施設や在宅と連結した学習が
進められれるようになってきた。ところが,これらの教師と学習者の関係で構成されてい
る教育システムに対し,教材等の資料流通システムの構成が整備されていないのが現状で
ある。
また在宅学習では,学校での図書館や教卓の資料等の活用も困難であり,教材や各種の
学習資料が利用できる新しい学習環境の構成が必要となる。
そこで,本研究では,教材管理システムを利用した地域の社会教育施設・家庭等での在
宅教育を可能にする教材管理システムの構成,通信ネットワークを用いた教材提供の検討
を進めた。教材としては,不登校者が学習の理解・定着を目的とする資料と地域社会への
興味・関心を高められるような資料の提供を可能にする必要がある。そこで,これらに配
慮した学習環境をもち,不登校者(適応教室,在宅学習)の学習を支援できる教育情報シ
ステムの在り方を明らかにした。
在宅教育の方法を考察するために,家庭,地域社会,学校内での不登校者に対する学習
支援の可能性について,担当教師に学習指導面での実態について調査・分析し,その教育
システムの在り方について検討し,その試案を構成した。これをもとに,教育システムと
して,学校,生涯学習施設,教育センター等がいかなる学習環境をもっべきか検討した結
果,双方向の情報交流ができ,テレビ会議システム等を利用できる教育方法の試案を作成
した。これらの遠隔教育に対し,まず教材等の整備が必要である。このため,不登校者に
対応した個人学習を可能にする教材,学習支援情報の整備を行い,学習情報の管理システ
ムを構成した。そこで,教材・学習支援情報のデータベース開発は,教材等を管理・流通
できる教材管理提供装置を用いて,学習目的に応じて資料を取り出すことが可能な教材管
理システムを開発した。その情報内容としては,不登校者が地域への関心を高めるために
.
地域の情報データベースを作成した。とくに,市町村等での地域素材資料を構成するため
に,地域の様子,歴史,産業,地域からの情報発信(各学校,市町村施設等)など,不登
校者の身近な情報が提供できるような教材開発(データベース)の試案を作成した。通信
ネットワークを利用した学習に適応できる情報管理システムは,一つの体系化された教育
情報の提供が必要とされ,ネットワークで使える次のようなデータベースを開発した。
①基礎基本的な学習を可能にする教材
②地域に興味・関心を高めさせる情報
③図書館,博物館,歴史資料館,科学館などの施設のもつ情報
このような情報を用いた学習指導方法としては,現状ですべてを通信ネットワークを用
いて学習させることば困難であり,地域の教育施設,学校,家庭で教材データベースをC
D-ROM化し,学習者に教材を選択させる指導方法を開発した。
このような家庭,学校,地域の教育施設で教材データベースを利用するには,個人学習
のため,どのように学習を進めたらよいかを示す案内情報の提供として,学習ガイドが必
要であることが判明した。このため,各教材が各自の学習過程の中でどのような位置づけ
にあるのか,また,さらに学習を深めたり,関連分野の学習へ発展できるような情報提供
が必要となり,これらを解決する一方法として学習に適応できるシソーラスの構成を検討
し,その開発方法の検討をした。
今後,在宅教育は,現在の教育事情から見て,まだ増加すると考えられ,その教育シス
テム構成が教育界の大きな課題である。しかし,その教育方法は,個により違いがあり,
その多様化がこれらの問題を解決する一方法であり,今後さらなる検討が必要である。
研究代表者
後
藤
忠
彦
(岐阜大学教育学部教授)
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