Comments
Description
Transcript
高脂血症治療薬
高脂血症治療薬 2015年11月02日 1 コレステロール合成経路 2 血清リポ蛋白の組成 3 4 リポ蛋白の物理化学的性状 5 6 血清リポ蛋白質のアガロース電気泳動 7 リポタンパク質の代謝経路 ●外因性脂質の代謝 (食事に由来する脂質の吸収機構) ●内因性脂質の代謝 (肝臓に取り込まれたカイロミクロン レムナントやLDLをコレステロールまで 合成する機構) ●HDLの代謝(コレステロール逆転送機構) 8 9 小腸におけるコレステロール吸収のメカニズム 10 細胞内コレステロール代謝経路 11 12 レシチン・コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の作用機序 13 Scavenger receptor B1(SR-B1)の作用機序 14 リポ蛋白代謝経路と病態 1.家族性LPL欠損症、アポリポ蛋白質C-II欠損症 2.家族性高コレステロール血症 3.CETP欠損症、4.家族性複合型高脂血症、5.家族性III型高脂血症 15 リポタンパク質受容体 【LDL受容体ファミリ-】 ●LDL受容体関連蛋白(LRP); レムナントの異化に関与する ●スカベンジャー受容体ファミリ-; アセチルLDL, 酸化LDL(OxLDL)をマクロファージが取り込む。 ⇒マクロファージの泡沫化。 ●HDL受容体(SR-BI);HDL中のコレステロール を選択的の細胞内に取り込む。 16 レムナントリポタンパク質とは? ●もとの粒子に比べて、粒子径が小さい ●比重が大きい ●トリグリセリドが減少し、コレステロールエ ステルが相対的増加をしている ●アポリポタンパク質Cに比べてアポリポタ ンパク質Eの相対的な増加したもの。 17 細胞内コレステロール濃度の調節 -LDL代謝の発見ー 18 まとめ―1 ●6種類のアポリポ蛋白質 ●粒子の大きさによる分類 ●高脂血症の病型診断は 血清リポ蛋白質の電気泳動 ●リポ蛋白の代謝経路は主に3種類 ●腸管からのコレステロール吸収に関わる分子 ●リポ蛋白質の受容体と細胞内代謝 LDLコレステロールの濃度調節の仕組み 19 二次性高脂血症の原因 20 高脂血症の成因分類 21 高リポ蛋白血症の表現型と高脂血症成因分類との対応 22 日本人の血清総コレステロール(T-Chol) 厚生労働省原発性高脂血症研究班研究 2002年 23 日本人の血清トリグリセライド(TG) 厚生労働省原発性高脂血症研究班研究 2002年 24 日本人のHDL-コレステロール(HDL-C) 厚生労働省原発性高脂血症研究班研究 2002年 25 日本人のLDL-コレステロール(LDL-C) 厚生労働省原発性高脂血症研究班研究 2002年 26 動脈硬化性疾患と血清リポ蛋白コレステロールとの関係 27 28 スクリーニングのための高脂血症診断基準(mg/dl) 29 2000年日本人の血清トリグリセライド値 30 2000年日本人の総コレステロール値 31 2000年日本人のLDLコレステロール値 32 2000年日本人のHDLコレステロール値 33 家族性高コレステロール血症(FH)患者家族における 正常者とFH患者の血清TCとLDL-Cの分布 34 高脂血症患者の血清静置試験 35 動脈硬化と関係のあるリポタンパク質 ●酸化LDL ●レムナントリポタンパク質 ●Small, dense LDL ●リポタンパク質(a) Lp(a) ●糖化LDL 36 正常者、ヘテロおよびホモFH患者の培養皮膚線維芽細胞 におけるLDL-レセプター活性 37 38 世界で発見されたLDLレセプターの異常 39 LDLレセプター遺伝子異常とレセプターの構造異常 40 41 家族性高コレステロール血症の3主徴候 ●高コレステロール血症 ●腱黄色腫 ●早発性冠動脈硬化 (⇒狭心症、心筋梗塞) 42 43 ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症患者にみられる身体所見 44 45 ホモ接合家族性高コレステロール血症(FH)の冠動脈狭窄の進行 46 心筋梗塞患者における高脂血症の頻度 47 まとめー2 ●高脂血症には一次性、二次性がある ●家族性高コレステロール血症(FH) 比較的頻度;高い ●FHの原因は B-100アポリポ蛋白質の構造異常 LDL受容体の構造異常 ●動脈硬化が進行しやすい :若年の狭心症、心筋梗塞 ●動脈硬化と関連する変性したリポ蛋白質 48 高脂血症の治療 ●食事療法 ●運動療法 ●薬物療法 49 高コレステロール血症の薬物治療 生理的なコレステロール代謝をブロックする。 (1)コレステロールおよび胆汁酸の吸収をブロック (食事療法、陰イオン交換樹脂、エゼチミブ、ACAT阻害剤) (2)コレステロールおよびLDL生合成経路をブロック (HMG-CoA還元酵素阻害剤、MTP阻害剤など) (3)コレステロール再利用経路のCETPをブロック (CETP阻害剤) 50 高脂血症治療薬の種類と作用機序 (現在使われているもの) ●HMG-CoA還元酵素阻害薬 ●フィブラート系薬物 ●プロブコール ●陰イオン交換樹脂 ●ニコチン酸、エイコサペンタエン酸(EPA) ●コレステロール吸収阻害薬 51 現在使われている高脂血症治療薬 52 HMG-CoA 還元酵素阻害薬 53 コンパクチンを産生するPenicillinium cutrinum 54 ヘテロ接合体性家族性高コレステロール血症に対する コンパクチンの効果 55 56 スタチン系薬剤の作用機序 57 HMG-CoAとスタチンの構造 58 肝細胞におけるコレステロール代謝経路と スタチン投与による影響 59 スタチンの種類と性質 60 61 スタチン系薬剤の副作用 ●横紋筋融解症 (筋肉痛、脱力、褐色尿) ●臨床検査でCPK高値、ミオグロビン高値 ●その他の副作用 肝障害、発疹、ミオパチー様症状 62 フィブラート系高脂血症治療薬 63 フィブラート系薬剤の作用機序 肝細胞 64 フィブレートによりPPARa活性が高まり影響を受ける 脂質代謝及び炎症関連遺伝子 65 代表的なフィブラート系薬剤 クロフィブラート クリノフィブラート フェノフィブラート ベンザフィブラート 66 フィブラートの高脂血症における作用 67 フィブラートのVLDL, LDLに対する影響 68 フィブラート系薬剤の副作用 ●横紋筋融解症 (特に腎機能低下例でみられる) ●高LDL-C+高TG血症ではフィブラート系+スタ チン系の併用が考えられるが、横紋筋融解症 を発症しやすい。 ●肝障害、急性膵炎 ●薬物相互作用あり。 ワルファリンの作用を増強、 スルフォニル尿素剤の作用を増強 69 プロブコール ●LDL-コレステロール低下薬 ●抗酸化薬(→抗動脈硬化作用) マクロファージにおける 酸化LDLの生成を抑える ●HDL-コレステロールも低下させる。 ●胆汁酸へのコレステロール排泄を増加させる 70 プロブコールコールの作用 71 プロブコールの副作用 ●不整脈 (重症の心室性不整脈があるときは禁忌) ●妊婦は禁忌 ●下痢、腹部膨満感 ●フィブラート系薬剤との併用でHDL-Cの低下 72 ニコチン酸(ナイアシン):ビタミンB群 <推定される機序> ●ナイアシン受容体に作用する (GPR109A、HM74;G蛋白共役型受容体) ●脂肪細胞における脂肪分解を抑制 (→脂肪酸の動員を抑制、TG合成抑制) ●LPL活性を高める (→VLDL,IDLの異化促進) ●肝コレステロール合成の抑制 ●HDL-コレステロールを上昇させる。 73 ナイアシンの多彩な作用 *日本ではまだ承認されていないので発売されていない。 74 ニコチン酸系薬剤の副作用 ●低血圧 ●禁忌例 重症低血圧 出血持続例 妊婦 75 EPA製剤(イコサペント酸エチル) ●EPAの摂取が進められる理由 #グリーンランドのイヌイットでは虚血性心疾患 などの血栓性疾患の罹患率が極端に低く、血 清コレステロール値が低いこと。血中のEPA濃 度が高いこと。 ⇒EPAは血栓性疾患を抑制する可能性 ⇒そこでEPAの産生に関係するn-6系脂肪酸と n-3系脂肪酸の食事摂取比率の分析 76 n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸の代謝の概略 77 EPA製剤の作用機序 78 EPA製剤の副作用 ●出血傾向 ●出血している患者には禁忌 血友病、毛細血管脆弱症、消化管潰瘍、尿路 出血、喀血、硝子体出血 ●慎重投与:月経期間中の患者、出血傾向の ある患者、手術を予定している患者 79 リポ蛋白代謝経路と病態 1.家族性LPL欠損症、アポリポ蛋白質C-II欠損症 2.家族性高コレステロール血症 3.CETP欠損症、4.家族性複合型高脂血症、5.家族性III型高脂血症 80 81 陰イオン交換樹脂の作用機序 コレステロール プール:減少する ↓ 肝のLDL 受容体増加* ↓ 血中LDL-C低下 *スタチンと同様に家族性高コレステロール血症ホモ接合体には無効 82 陰イオン交換樹脂の構造 83 陰イオン交換樹脂の副作用 ●安全性の高い薬 ●腎障害例、妊婦でも投与可能 ●便秘、腹部膨満感(重症とはならない) ●服用量が多く服用しにくいため、 服薬コンプライアンスが悪い。 ●栄養素や他の薬剤を吸着する。 食事や服薬時間と離して使用する 84 コレステロール吸収阻害剤 ●強力にHMG-CoA還元酵素を阻害する と、腸管からの食事性および胆汁酸中 のコレステロール吸収が亢進する。 ●腸管からのコレステロール吸収を阻害 する薬とスタチンとの併用が薬理学的に 望ましい。 85 86 87 エゼチミブの副作用 ●下痢 ●腹痛 ●便通異常(便秘) ●妊婦に対しては安全性は確立されていない が、スタチンのように禁忌とはされていない。 88 レジンとエゼチマイブの腸管 コレステロール吸収に対する効果 89 90 まとめー3 ●高脂血症治療の3原則 食事療法、運動療法、薬物療法 ●高コレステロール血症の治療薬 HMG還元酵素阻害薬(スタチン系) フィブラート系薬物 プロブコール 陰イオン交換樹脂 ニコチン酸、エイコサペンタエン酸(EPA) コレステロール吸収阻害薬(エゼチミブ) ●薬物治療の副作用 ●EPA製剤はどうして効くのか? 91 開発中の高脂血症治療薬 92 開発中の高脂血症治療薬 ●ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質 (MTP)阻害薬 ●アシルCoAコレステロールアシルトランスフェ ラーゼ(ACAT)阻害薬 ●スクアレン合成酵素阻害薬 ●回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬 93 MTP阻害剤の効果 94 MTP阻害剤の効果 95 96 97 98 高脂血症治療薬 99 家族性高HDL血症 (家族性CETP欠損症) ●常染色体性優性遺伝を示す。 ●日本人のCETP遺伝子異常の頻度 (約10%) ●動脈硬化性疾患は認めない。むしろ家系内 で長寿者が認められる。 ●高HDL血症はHDL2の増加 ●CETPトランスジェニックマウスでは著明な動 脈硬化が見られ、CETPは動脈硬化促進蛋白 の一つと考えられる。 100 コレステロールの重要性 ●すべての細胞膜の構成成分として必須 ●生体はコレステロールを体内に保持し、再利 用し、無駄に分解、排泄しないような機構が 進化している。 ●主に4つの機構によってコレステロールを体 内にとどめようとする。 101 4つの機構とは (1)食事由来、または胆汁中に分泌されたコレ ステロールおよび胆汁酸は再吸収される。 (2)肝臓から分泌されたLDL-コレステロールで も余分なものは直ちに肝臓に取り込まれる。 (3)末梢細胞で不要になったコレステロールは HDLに取り込まれ肝臓へ逆転送される。 (4)HDL-コレステロールはCETPを介してLDL-コ レステロールとなり再利用される。 102 脂質代謝の種差と動脈硬化惹起性 103 コレステロール低下療法の歴史 104