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ミレニアム・プロジェクト「成層圏プラットフォーム」 平成14年度評価報告書 1.ミレニアム・プロジェクト「成層圏プラットフォーム」の概要 (1) ミレニアム・プロジェクト 平成11年12月、夢と活力に満ちた新しい千年紀(ミレニアム)を迎えるため、 今後の我が国の経済社会にとって重要性や緊急性の高い情報化、高齢化、環境対応の 3つの分野について、内閣総理大臣より、ミレニアム・プロジェクトが決定された。 (2) 「成層圏プラットフォーム」の概要 ミレニアム・プロジェクトの3分野のうち、「環境対応」については、「燃料電池 の導入」、「テクノスーパーライナーの運航」、「高度海洋監視システム(ARGO 計 画)の構築」と並んで、「成層圏プラットフォーム」に取り組むことになった。 ア 目標 二酸化炭素等の温室効果気体の直接観測を行い、地球温暖化対策に資する成層圏プ ラットフォーム技術を確立する。 イ プロジェクトの概要 平成15年度(2003年度)までに、成層圏における二酸化炭素の採取を行うた めの成層圏滞空飛行試験とともに、定点滞空技術の確立に必要な定点滞空飛行試験を 開始する。 (3)成層圏プラットフォーム評価・助言会議の経緯 ミレニアム・プロジェクトについては、省庁横断的な取り組みと官民の十分な連携 を図ることはもとより、明確な実現目標の設定、複数年度にわたる実施のための年次 計画のほか、有識者による評価・助言体制の確立を図るという、新しい試みが導入さ れた。 これを受け、「成層圏プラットフォーム」プロジェクトについても、平成12年5 月22日第1回評価・助言会議が開催された。その後、平成13年6月21日第2回 評価・助言会議において平成12年度評価報告書を、平成14年6月26日第3回評 価・助言会議において平成13年度評価報告書を、それぞれ取りまとめた。 この度、平成14年度について、平成14年度の事業実施報告書(別冊1)を基に 評価報告書の作成方、要請されたところである。 2.平成14年度事業実施報告 平成14年度における事業においては、別冊1のとおり、事業実施報告書を添付する が、その概要は以下のとおりである。 (1)総論 当初の事業計画における平成14年度の目標をほぼ達成した。 (2)各論 ア 飛行船分野 ・成層圏滞空飛行試験については、試験機の製作が完了し、メーカーより受領した。ま たサブスケール供試体による放船模擬試験を行い、その結果等を踏まえて飛行試験計 画をまとめた。 ・定点滞空飛行試験については、平成14年6月に基本設計、続いて平成15年3月に 詳細設計を終了し、試験機の製作に着手した。また試験機の開発に必要な各種評価試 験を行った。 ・大気採取測定システムについては、平成13年度に製作したプロトタイプを基に実用 機を完成させ、信頼性試験、航空機搭載試験を行い、動作確認を実施した。また、実 用機を成層圏滞空試験機に搭載し、インターフェース確認を行った。 ・両試験に必要な要素技術開発試験を実施し、膜材料の評価試験、小型飛行船による飛 行制御基礎試験、電源系開発試験等多くの成果を獲得した。 ・成層圏滞空飛行試験を行う北河原実験場の整備を完了した。また定点滞空飛行試験を 行う大樹実験場については現在整地を終了し、格納庫、実験支援棟の整備を開始した。 イ 追跡管制分野 ・システム技術については、定点滞空飛行試験に向けて、システム仕様及び開発スケジ ュールの細部についての調整、確定を終えた。また、それを反映させた追跡管制シス テムの設計・製作を実施した。 ・風観測・予測技術については、成層圏滞空飛行試験、定点滞空飛行試験に先立って局 地的な固有の気象特性を解明すべく、それぞれの実験場に観測設備の据え付けを終え、 観測による気象データの収集を行うとともに分析を開始した。 ・飛行・運用シミュレーション技術については、インターフェース装置を製作して飛行・ 運用シミュレーションと追跡管制設備とのインターフェースの確立を終えた。更に、 飛行船システムの要素技術試験データによってシミュレーションの検証を一部実施し た。 ウ その他 開発協議会を通じた産学官連携、広報活動等も実施された。 関係機関技術連絡会においては、平成14度以降計10回の会合を開催したほか、必 要に応じ、作業部会、分科会を発足させ、検討を行った。 3.平成14年度事業実施に対する評価と助言 (1)プロジェクト全体に対する評価と助言 ア 「成層圏滞空試験」及び「定点滞空試験」に向けての準備、並びにそれらを支える 各種「技術」の準備は着実に進んでいると評価できる。 イ 今後の取り組みに当たって留意すべき点は次の通りである。 (ア)今後とも関係機関及びメーカーが互いに協力しあいながら挑戦的に開発作業を進 めるべき。 (イ)これまでに得られた結果及びこれから得られるであろう諸結果を、何が実用に供 されていくかの見通しも含め、ミレニアム・プロジェクト後に向けて活用できる よう整理していくことが必要。 (2)「飛行船分野」に対する評価と助言 ア 飛行船分野において、成層圏滞空飛行試験機及び定点滞空飛行試験機に必要な要素 技術研究開発については、着実に進められていると評価する。 イ 今後の取り組みに当たって留意すべき点は次の通りである。 (ア)特に実施が間近である成層圏滞空飛行試験については、各パートを結合させた総 合試験や、実際の試験を想定した習熟試験を早急に行うことが必要。 (イ)実機試験において予定外の事態が発生することを想定し、そのような可能性をあ らかじめ洗い出しておくとともに、対応策を準備しておくことが必要。 (ウ)容器に採集された大気試料の分析について具体的に検討し、分析方針と要求内容 を明確にしておくべき。また、連続測定装置との比較についてもさらに検討すべ き。 (3)「追跡管制分野」に対する評価と助言 ア 追跡管制の技術は、当初の計画にしたがってほぼ順調に事業が実施され、飛行試験 の実現に向かってより具体的な成果が得られていると考えられる。 イ 今後の取組みに当って留意すべき点は次のとおりである。 (ア)北東気流の予測及び霧予測については評価が不十分であるため、さらに数多くの 年での評価が必要。