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ビワ Eriobotrya japonica

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ビワ Eriobotrya japonica
ビワ Eriobotrya japonica
適切な管理が必要な産業上重要な外来種(産業管理外来種)
定着段階
分布拡大期∼まん延期
選定理由
法規制状況
なし
対策優先度の要件
特に問題となる地域・環境
Ⅳ
石灰岩質の岩壁地
基本情報
名称
分類
原産地
移入分布
日本での分
布
形態的特徴
生態的特徴
別名・流通名:ヒワ
別学名:Mespilus japonica
英 名 : Japanese loquat 、 Japanese medlar 、
Japanese plum、loquat
被子植物 バラ科 ビワ属
染色体数 2n=32、34。様々な栽培品種がある。
中国四川省・湖北省原産。
北アメリカ、太平洋諸島、レユニオン島に分布
する。
奈良時代からあり、日本に自生があったとの説
もあるが、中国から渡来して野生化したとされ
る(佐竹ら,1989)。本州(関東以西)、四国、
九州で野生化している。
常緑性の高木で、高さ6∼10m。
実:千葉県船橋市 2007.6.5©JWRC
花:千葉県館山市 2013.2.3©JWRC
<生育環境>
・日本では、暖地の石灰岩地に多くみられる。
・耐寒性はカンキツ類に比べると強いが、最低気温が−3℃以下になるところでは寒
さの害を受けやすい。日当たりが良く、冬期に北西の季節風が当たらない緩傾斜地
が栽培に適しているとされる。
・海外では、農耕地、自然林、植林地、河岸、荒地、撹乱地に生育する(ISSG)。
<繁殖>
・開花は 11 月から翌年の2月。果実は5∼6月に熟す。種子は鳥や動物により散布
される。
・栽培品種は接木によって繁殖される。
侵略性に関する情報
・種子が鳥や動物に運ばれて石灰岩質の岩壁地に侵入し、在来種と競合、駆逐する。
生態系
その他
<競合>
・低地の岩場において脅威を与える外来生物としてあげられた(小池ら,2010)。
・石灰岩地は北海道から琉球列島でみられるが、各々の地域に固有な好石灰岩植物が
生育する特有な環境である(加藤・海老原,2011)。ビワは暖地の石灰岩地で多く
みられるため、こうした環境に生育する固有種への影響が危惧されたと考えられ
る。
・太平洋諸島やレユニオンなどでは侵略的な外来種となっている(ISSG;PIER)。
・オーストラリア、ニュージーランド、ハワイ、南アフリカでは、環境雑草や有害雑
草とされている(GCW)。
利用に関する情報
利用状況
・様々な品種の果実が、生果として、または缶詰や瓶詰などに加工されて食用にされ
る。日本で栽培が盛んになったのは、江戸時代末期からとされる。
・葉や種子は薬用に利用される。
・材は、櫛、印材、木刀、杖などに利用される。
・海外でも、食用や観賞用に栽培される。
1
留意事項
・ビワが生育する石灰岩地は、特有な植物群落が生育する貴重な環境である。そのた
め、そうした場所に侵入するおそれのある場所には、持ち込まない。
対策に関する情報
防除方法
対策事例
・実生や幼植物を、抜き取るか掘り取る(PIER;Stone ら,1992)。
・海外では除草剤の散布も行われている(PIER)。
・ハワイでは国立公園で広がったため、実生の段階で駆除された(Stone ら,1992)。
参考文献
Global Compendium of Weeds(GCW)http://www.hear.org/gcw/index.html
堀田満・緒方健・新田あや・星川清親・柳宗民・山崎耕宇(1989)世界有用植物事典.平凡社.
Institute of Pacific Islands Forestry, Pacific Island Ecosystems at Risk (PIER) Plant threats to Pacific
ecosystems
http://www.hear.org/pier/index.html
Invasive Species Specialist Group (ISSG) of the SSC- Species Survival Commission of the IUCN
-International Union, Global Invasive Species Database
http://www.issg.org/database/species/impact_info.asp?si=572&fr=1&sts=tss&lang=EN
JF コード(日本花き取り引きコード)センター http://www.jfcode.jp/TOP.aspx
加藤雅啓・海老原淳(2011)国立科学博物館叢書⑪日本の固有植物.東海大学出版会.
小池文人・小出可能・西田智子・川道美枝子(2010)専門家アンケートによる在来植物の脅威となる外来生物の
重要度評価 http://vege1.kan.ynu.ac.jp/lecture/invasiveness2010.pdf
邑田仁・米倉浩司(2012)日本維管束植物目録.北隆館.
佐竹義輔・原寛・亘理俊次・富成忠夫(1989)日本の野生植物木本Ⅰ.平凡社.
Stone,C. P., C. W. Smith and T. Tunison(1992)Alien Plant Invasions in Native Ecosystems of Hawai’i:
Management and Research. University of Hawaii Press.
高橋秀男・勝山輝男(2000)山渓ハンディ図鑑3樹に咲く花、離弁花①.山と渓谷社.
太刀掛優・中村慎吾(2007)改訂増補帰化植物便覧.比婆科学教育振興会.
塚本洋太郎(1994)園芸植物大事典全3巻.小学館.
米倉浩司・梶田忠(2003-)BG Plants 和名−学名インデックス」
(YList)
http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html
2015.03.26
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