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ドライカーボン説明資料 福井めがね工業株式会社

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ドライカーボン説明資料 福井めがね工業株式会社
ドライカーボン説明資料
福井めがね工業株式会社
炭素繊維の長所を一言で言うと「軽くて強い」という点です。鉄と比較すると比重で 1/4、比強度で 10 倍
あると言われています。その他にも、耐摩耗性、耐熱性、熱伸縮性、耐酸性、電気伝導性に優れてい
ます。短所としては、製造コストの高さ、加工の難しさ、リサイクルの難しさが挙げられます。
中でもドライカーボンと呼ばれるものは高強度・高耐久・高密度が特に優れたカーボン素材です。
航空,宇宙,軍需産業での使用が殆どでしたが、次世代素材として世界的に注目されています。
DRY CARBON(ドライカーボン)
オートクレーブ(真空加圧加熱釜)成型法と5軸マシニング切削加工について
専用の設備を用いて製造されなければ本当の意味での「ドライカーボン製品」とは言えません。
素材・製法・管理などノウハウも必要となるため、商品は国内有数の生産拠点で生産しています。
▲ 24 時間体制で極低温保存されたプリプレグシート。
ドライカーボンはカーボンの織物にエポキシ樹脂が半硬化の状態で含浸されているプリプレグシートを
使用します。プリプレグの厚みは、約 0.2mm あり、製品の必要厚に従い、複数のプリプレグを積層しま
す (例えば 3mm 必要であれば、15 枚積層) 。
製品の成形には、このプリプレグを金型に張り込むのですが、2 次元のプリプレグを 3 次元の型に張り
込むにはノウハウが必要で、経験がモノを言います。プリプレグを張り込んだ型は、薄い耐熱樹脂製で
作られた袋に入れ、真空ポンプで空気を抜き、型にプリプレグを密着させます。 その様子は布団圧縮
袋を想像していただくとわかりやすいと思います。 しかし単に空気を抜くだけではなく、様々な副資材
を使用し、確実に隅々まで真空になるようにしなければなりません。
↓
そしてこの真空パックを、真空を保ったままオートクレーブに入れて加圧します。この加圧により、大気
圧中で真空にした場合は 1Kg/c ㎡の所を、さらに高い圧力で型に押しつけることが可能になります。
このように高圧でプリプレグを型に押しつける事により、染みこまされた余分な樹脂が押し出され、より
軽くて強固な製品に仕上がるのです。
↓
加熱し焼き上げます。硬化温度と硬化時間の調整が難しく、どのように温度を上げ、その温度を維持し、
そしてどのように温度を下げるかが重要であり、これも多くのノウハウによって得られた最上のプログラ
ムが使用されます。
↓
焼き上がったドライカーボンはこの時点ではまだシート材料でしかありませんが、テンプルにはすでに
βチタン製の芯金がインサート成型された状態で焼きあがります。
ここからトリミング(切削加工)を行って製品の形状を整えていきます。
↓
切削は全て3D の CAD データを元に5軸マシニングセンタによって正確に施されます。
製品のフロント部は上下に分割された形状を個別に切削していきます。また、外形だけでなくリム内側
の切削やネジ穴も同時に切削されていきます。(画像はイメージです)
切削加工後は、切削面の磨きを行います。この工程は全て手作業で行いますが、最終的な仕上がりに
影響する工程ですので熟練工による入念な作業が求められます。
ドライカーボンは高密度であるために切削面のエッジが鋭角の状態は危険ですのでエッジ箇所は全て
面取り加工を行います。
ここから表面処理を施しマット塗装(UV コート)されます。 ※右図は開発中のカラーです。
カーボン素地は 200℃近い高温には耐えますが過度な紫外線に対しては色あせなど変化する場合が
ありますので塗装は必須です。紫外線をカットする耐 UV 塗料でクリアコートされ、コート面は研磨仕上
げされて、パッド、モダン組み付け後、最終仕上げ調整を経て完成品となります。
このようにオートクレーブ成型法によるカーボンは圧縮に対して強度のあるエポキシ樹脂と引っ張りに
対して同じ太さの鋼線を遥かにしのぐ強度を有するカーボン繊維とのコンポジット(複合)構造となります
ので、重量比強度が非常に優れた素材となります。また高密度なことから寸法精度が高いこともドライ
カーボンの特徴です。MUGE カーボンフレームはこれら特徴を活かした超高強度眼鏡フレームです。
・製品特徴: 完成品同士を打ち付けると金属的な打音を発します。
樹脂部品としての主張ではなく、金属部品(強度部材)的な主張を製品自身がするのも
「オートクレーブ焼成品」の特徴と言えます。
■一般的なカーボン(ウエットカーボン)との違い
現在市場で多く流通している FRP ガラス繊維やカーボン繊維にポリエステル樹脂を含浸し常温乾燥さ
せた俗に言うウエットカーボンとは比べものにならない強度を有しています。
素材と製法に特徴があるドライカーボンは卓越した強度と耐久性を持つ先進素材として航空宇宙、兵
器産業および F-1 などのモータスポーツ界で今もなお活躍しています。
ではなぜ高価なのか
<材料代が高い> ←これが最大の理由です
原材料となるポリアクリロニトリルと呼ばれる有機ポリマーを精錬しカーボンファイバーにする段階で材
料は 50%消失し、摂氏数百度から 1000 度の熱処理を幾度も繰り返して炭素化する処理施設は大きな
エネルギーを消費するため莫大な稼動コストが発生します。処理施設の規模は通常でも15~30メー
トルほどの大きな熱処理機が必要で高額な設備投資が必要となるため、原材料のコストは一般のプラ
スチック材料の何十倍もかかります。
MUGE ブランドではこのカーボンプリプレグシートを 10 枚以上積層して使用するため、実際のコストは
さらに高くなっています。
<製造コストが高い>
オートクレーブ製法は初期設備投資が非常に高額なため製品コストが高くなります。また、量産化が難
しい製法ですので原価償却に時間がかかります。
①冷蔵保存設備が必要
カーボンプリプレグシートは常温で固形化してしまうため 24 時間体制で極低温保存環境が必須となり
ます。素材単体が高価なうえに維持経費まで経費が高くなるやっかいな素材と言えます。
②オートクレーブ設備が必要
オートクレーブ設備は最低でも数千万円規模の経費が必要です。
高度な先端技術による最新設備であり大型の機械ですので導入にかかる設備投資額が非常に高く原
価償却にかかる期間が大変長くなってしまうことがコストに影響しています。
このようにドライカーボン製品の製作には、高価なプリプレグを惜しげもなく使用し、多くの副資材と
様々な設備を必要とします。 またほとんどの工程が手作業であることから、大量生産に向かず、非常
に高価になってしまうのです。
補足資料
比強度
強度重量比または重量比強度とも呼ばれるもので、物質の強さを表す基準のひとつ。
密度あたりの引っ張り強さを表しており、比強度が大きいほど軽くて強い材料となります。
破断長
「引っ張り強さ÷重量密度」つまり物質の固さを示す基準のひとつ。
ドライカーボンの特性
図に示す通り、チタン合金に比べて比強度が約 3.5 倍、破断長が約10倍であることがわかります。
その他、ガラス繊維など高強度として知られる素材に対しても優れた値であることをご確認ください。
素材
引っ張り強度
密度
比強度
破断長
/Mpa
/(g/cm3)
/(kN/m/kg)
/km
コンクリート
10
2.3
4.35
0.44
ゴム
15
0.92
16.3
166
真鍮
580
8.55
67.8
6.91
ナイロン
78
1.13
69
7.04
ポリプロピレン
80
0.9
88.88
9.06
600
2.7
222
22.65
チタン合金
1300
4.51
288
29.38
ガラス繊維
3400
2.6
1307
133
ドライカーボン
4300
1.75
2457
250
アルミニウム合金
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