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先進国がより落ち込み
No.2015-119 2015年10月13日 ≪藤井英彦の 藤井英彦の視点≫ 視点≫ http://www.jri.co.jp IMF予測引き下げ ~ 先進国がより落ち込み ~ (1)IMFが世界経済見通しを下方修正(図表1)。IMFは年4回同見通しを公表。もっとも、 1、7月は簡易版。各国別計数など詳細予測は4、10月。そこで直近10月の見通しを本年4月と 15年の実質成長率で対比すると世界全体では3.45%から3.12%と▲0.33%引き下げ。先進国、 途上国別には途上国が4.26%から3.97%で▲0.29%。先進国は2.36%から1.98%で▲0.38%。 世界全体に占めるGDPの規模は途上国の39.6%に対して、先進国は60.4%。規模の大きい 先進国でより大幅な引き下げ。16年も同様。引き下げ幅は途上国の▲0.19%に対して先進国 は▲0.22%。少なくとも中国など新興国の景気減速が見通し下方修正の主因とは言い切れず。 (2)もっとも先進国、途上国別では国別の変化を見失う恐れ。そこで、GDP規模上位20ヵ国、 すなわち名目GDPが6千億ドル超の国を対象にみると15年で最大の引き下げ幅は▲2.0%の ブラジル(図表2)。同国は汚職問題に伴う通貨下落や物価上昇、格下げで景気悪化が増幅。 やや特殊事情。そこで同国を除いてみると、カナダ▲1.1%、メキシコ▲0.7%、韓国とアメ リカ▲0.6%、インドネシアと豪州と日本▲0.5%、イギリス▲0.2%。先進国のカナダや豪州 は資源価格の下落が主因ながら、少なくともアメリカや日本、イギリスについて下方修正の 要因を資源価格下落や新興国経済減速だけに帰するのはやや無理。16年も同様に引き下げ幅 最大は▲2.0%のブラジル。同国以外ではメキシコやインドネシアと並び、アメリカやカナダ、 豪州、韓国で下方修正(図表3)。先進国それぞれの国内事情を加味する必要。 (3)一方、中国は15、16年とも予測値据え置き。ロシアは15年0.01%、16年0.5%の上方修正。 インドは両年とも若干下方修正ながら、15年7.3%、16年7.5%で主要20カ国中最大の成長率。 中期的に、先進国の成長ペースが緩やかに鈍化するなか、新興国はハイペースの成長が持続。 その結果、世界全体に占める新興国経済のシェアは今後一段と増大する見通し(図表4)。 (図表1)IMFの世界経済率見通し(2015年4月、10月) 世界計(4月推計) 先進国(4月推計) 先進国(10月推計) (%) 5.4 世界計(10月推計) 途上国(4月推計) 途上国(10月推計) (図表2)2015年の世界経済率見通し(IMF) 0.7 8 (%) (%) 6 5.0 0.0 4.6 4 4.2 ▲0.7 3.8 2 3.4 0 3.0 ▲1.4 増減(①-②、左目盛) 2015年4月予測(②、右目盛) 2015年10月予測(①、右目盛) 2.6 ▲2 2.2 ▲2.1 1.8 ▲4 1.4 0.0 2014 15 16 17 18 19 (出所) IMF 20 (年) (出所) IMF (図表3)2016年の世界経済率見通し(IMF) 0.7 (注) 対象はGDP上位20ヵ国。 (図表4)主要国・エリアのGDPシェア見通し(IMF) 8 (%) アメリカ 日本 CIS 途上国(欧州) 中東北アフリカ (%) 30 (%) 6 0.0 25 4 20 2 15 0 10 先進国(その他) 先進国(欧州) 途上国(アジア) 中南米 サブサハラ ▲0.7 ▲1.4 増減(①-②、左目盛) 2015年4月予測(②、右目盛) 2015年10月予測(①、右目盛) 5 ▲2.1 ▲2 0 2013 (出所) IMF (注) 対象はGDP上位20ヵ国。 14 (出所) IMF 15 16 17 18 (注) 2015年10月予測。 19 20 (年) 【ご照会先】日本総研理事 藤井英彦([email protected] , 03-6833-6373) ≪藤井英彦の視点≫は、理事・藤井英彦が独自の視点から、新興国や一次産品動向を中心とするホットなトピックスに鋭く切り込むレポートです。