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コットンボール銀行 コットンボール銀行 代表 内田晴代さん
コットンボール銀行 代表 内田晴代さん 円借款事業における「知的協力」についての提案 JBIC業務方針の1つとして掲げられ、また、援助先の多くの国々からも重視されている「知 的協力」について、生涯学習という視点で考えてみました。 生涯学習というと、教養講座や高齢者の生きがいづくりのみにとらえられている向きがありま すが、目的は「自己の向上」と「生活の向上」と考えています。個々の学習成果を社会へ還元す ることで、共に住みよい社会をつくっていこうとの考え方です。このような視点から「知的協力」 という海外援助を考えたとき、現代日本が抱える問題の中にヒントがあることを見出しました。 わが国では、企業戦士といわれ、戦後の経済発展を支えてきた多くの人たちが定年退職を迎え るときになりました。それらの人たちは、優れた技術や経験をもち、まだまだ元気です。年金の 支給があり、そこそこの経済的安定もあります。今後日本は、少子高齢化が進み、国民の3人に 1人は高齢者という時代がすぐそこまできています。そのような時代になっても、活力に満ちた 社会を継続していくには、定年退職をきっかけに“社会”に自分の技能や経験を生かすような新 たな活動を創造していくことが大切かと考えます。 タイにおける産業村の振興や「一村一品」運動などでは、資金援助に加えて「知的協力」が求 められています。現地での技術指導、地域づくり、地域リーダーの養成など、必要とされる分野 は数多くあります。海外支援に関心のある人を対象に、まずは国内で生涯学習リーダー養成のプ ログラム(NPO法人全国生涯学習まちづくり協会実施)等を活用しての学習会やJICAと連 携しての海外援助研修を経て、現地滞在型知的協力を展開していけるのではないかと考えます。 一定期間の海外援助を終えて帰国後は、海外での経験を国内での国際理解教育に向けたり、新 たなNGO活動への発展も期待できます。JBICの事業が国民の目に届いていないという印象 がありますが、「知的協力」という形で多くの人が参画することによって、公開性が高まり、よ り理解が得られるものと考えます。国内の人的資源の活用と海外援助を踏まえた一石二鳥の方策 かと考えます。