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COP21における 地セクターの議論の概要

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COP21における 地セクターの議論の概要
機密性○情報
COP21における⼟地セクターの議論の概要
2016年 1⽉20⽇
IGES/GISPRI 共催 COP21報告シンポジウム
於 全社協・灘尾ホール 東京
林野庁 森林利⽤課 森林保全推進官
塚⽥直⼦
1
本⽇の概要
⼟地セクターとは
COP21における⼟地セクターの主な論点
今後の課題
2
⼟地利⽤と気候変動-IPCC第5次評価報告書から
 19世紀までは⼟
地利⽤からの排出
がほとんど。
 現在では化⽯燃
料等からの排出が
急増。
 排出は、⼤気、海
洋と共に、陸域の
吸収源に吸収され
る。
IPCC AR5 WGI Figure TS.4
3
IPCC AR5 – 部⾨別のGHG排出量  AFOLU(農業、林業、その他⼟地利⽤)からの排出が全体の1/4。
 新規植林、持続可能な森林経営、森林減少の抑制、農地・草地管理といっ
た⼟地利⽤部⾨での対策を組み合わせるアプローチが、費⽤対効果が⾼い。
IPCC AR5 第3作業部会報告書 図 SPM.2
4
農業、林業及びその他の⼟地利⽤(AFOLU)
2006 IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas Inventories Volume 4 Agriculture, Forestry and Other Land Use Figure 1.1 The main greenhouse gas emission sources/removals and processes in managed ecosystems.
5
⼟地セクターとは
吸収源
農業
REDD+
⼟地セク
ター?
 IPCCのセクター区分では、AFOLU(Agriculture, Forestry and
Other Landuse)にほぼ該当
 各国共有の定義はなく交渉上便宜的に使⽤
⼟地セクターの特性







GHG吸収源となりうる
⾃然現象の影響を受けやすい
⾃然的・社会的背景により各国事情は多様→計上ルールが複雑
排出源は主に途上国→途上国の参加が鍵
応答には⻑期間を要する→対策は⻑期的な視点を要する
緩和・適応の両⾯に貢献→両⾯を視野に⼊れた対策が必要
⽣物多様性保全、⾷糧安全保障、先住⺠の権利等と密接に関連
6
UNFCCCにおける⼟地セクターの取扱い
先進国
途上国
 ⼟地利⽤
京都議定書3条3項、4項に従い吸
収・排出量を計上

義務計上 





新規植林・再植林
森林減少
森林経営
植⽣回復
農地管理
草地管理
湿地の排⽔と再湛⽔
3条3項
 ⼟地利⽤
新規植林・再植林による吸収量のみ
CDMの対象
排出削減はREDD+により任意実施





3条4項
森林経営の吸収量は算⼊上限あり
算定・計上⼿法はIPCCガイドライン、
ガイダンスを適⽤
 農業
排出セクターとして削減義務
森林減少による排出の削減
森林劣化による排出の削減
森林炭素蓄積の保全
持続可能な森林経営
森林炭素蓄積の増進
モニタリング能⼒は各国間で多様
セーフガード情報の提供が必要
 農業
他の排出セクター同様削減義務なし
全ての国に適⽤する公平なルールの策定
★途上国における農業・⾷糧⽣産と緩和策とのトレードオフ★
★REDD+の活⽤と発展★
★先進国の吸収源活動の継続と計上ルールに関する交渉⻑期化の回避★
7
COP21における主な論点①農業の取扱い
背景
 IPCCは農業分野と⼟地利⽤分野をAFOLUセクターとして統合
 ⽶国等を中⼼に、農業政策・⼟地利⽤政策を包括的に捉える⼿法の有⽤性に注⽬
 先進国(UG、EU、EIG)は吸収源・農業・REDD+を包括的にカバーする「⼟地セ
クター」の概念を提案
 農業⽣産への影響を懸念する途上国(G77)が「⼟地セクター」の概念に強く反対
 アルゼンチンは⾷糧安全保障への配慮を明記することを強く主張
我が国の⽴場
 先進国・途上国ともに条約4条1項(d)に規定する吸収源・貯蔵庫の保全・強化に
引き続き取り組むことが重要であり、「⼟地セクター」の概念にはこだわらない
交渉結果
 「⼟地セクター」の語は協定、COP21決定のいずれにも使⽤しない
 森林等の温室効果ガスの吸収源・貯蔵庫の保全・強化を全ての締約国のすべきことと
して規定(パリ協定5条1項)
 ⾷糧安全保障の優先性と気候変動影響による⾷糧⽣産の脆弱性への認識を前⽂に
明記(パリ協定前⽂パラ10)
8
COP21における主な論点②REDD+の取扱い
背景





REDD+を独⽴した条⽂として法的合意に位置づけるべき(熱帯⾬林諸国連合)
REDD+は緩和策として位置づけるべきではない(ブラジル)
⾮炭素便益へのインセンティブの付与に⾔及すべき(アフリカ諸国)
JMA*を法的合意に位置づけるべき(ボリビア)
法的合意に位置づけるのであれば、途上国のみを対象とするのはバランスを⽋くため、
「⼟地セクター」に含め先進国の取組みも併せて位置づけるべき(⽶国等)
我が国の⽴場
 法的合意に位置づけるのであれば緩和策として位置づけ、排出削減量の国際移転や
(JCMを含む)多様な資⾦源の活⽤を可能とすべき
交渉結果
 パリ協定に緩和からも資⾦からも独⽴した条⽂として第5条(森林等)を位置づけ
 全ての締約国が吸収源・貯蔵庫の保全・強化を図るべきことを規定(パリ協定5条1項)
 REDD+やJMAの実施・⽀援のための措置を執ることを各国に奨励する。その際、必要
に応じ⾮炭素便益にインセンティブを与える重要性を再認識する。(パリ協定5条2項)
 REDD+やJMAのための資⾦源の重要性を認識し、⼆国間、多国間、官⺠、代替的
資⾦源を含む様々な資⾦の調整を促進する。(COP21決定パラ55)
*JMA:一体的かつ持続可能な森林経営のための緩和と適応の
共同アプローチ(ボリビアの提案する独自概念)
9
REDD+ - 主な交渉の経緯 COP11 2005年 カナダ・モントリオール
■ PNGとコスタリカが、REDDの基本概念を共同提案
COP13 2007年 インドネシア・バリ
■ 「バリ⾏動計画」、REDD+を将来枠組みの検討対象として位置づけ
COP16 2010年 メキシコ・カンクン
■ 「カンクン合意」、REDD+の基本事項が決定
COP17 2011年 南ア・ダーバン
■ セーフガード、森林参照(排出)レベルの基本的技術指針決定
COP19 2013年 ポーランド・ワルシャワ
■ 「REDD+のためのワルシャワ枠組」、実施のためのパッケージ合意
COP20 2014年 ペルー・リマ
■ 「リマREDD+情報ハブ」、実施のための情報プラットフォーム整備
2015年9⽉ 南ア・ダーバン 森林資⾦に関するSCFフォーラム開催
COP21 2015年 フランス・パリ
■ セーフガード、⾮炭素便益、JMAを含む⽅法論的事項の検討完了
10
COP21における主な論点③計上ルール
背景
 森林等吸収源分野には排出セクターとは異なる計上ルールが必要
 多くの先進国は、京都議定書下での計上ルール策定に⻑期間を要した経験から、既
存のルールを活⽤すべきことを主張
 途上国は、REDD+の結果ベース⽀払いに対する要求事項の追加を避ける観点から、
REDD+のためのワルシャワ枠組みをベースとすることを主張
 多くの国がINDCにAFOLU/LULUCF/REDD+の貢献量を含めており、INDC策定
時と異なるルールとなることは避けたいとの考え
我が国の⽴場
 INDCでは京都議定書の計上ルールに基づき森林・農地等の吸収源で2.6%の吸収
量の確保を⽬標とすることを表明
 NZ、カナダ等と連携し、京都議定書の計上⼿法が排除されないことを確保
交渉結果
 各国はCMA1で採択するガイダンスに従って削減⽬標を計上(パリ協定4条13項)
 計上のガイダンスは条約とその関連する法的⼿段の下で確⽴されたアプローチをもとに
APAで検討し、第1回CMAで検討・採択(COP21決定パラ31)
全ての排出源・吸収源を⽬標に含めるよう努⼒し、⼀度含めた排出源・吸収源・活動は継続的に計上等
 計上にあたっては既存の⽅法論・ガイダンスを必要に応じ考慮(パリ協定4条14項)
11
⼟地利⽤関連の主要イベント
森林と気候変動に関する⾸脳宣⾔
11⽉30⽇(⽉)、英国、ノルウェー等の
呼びかけにより、森林と気候変動に関する
⾸脳級宣⾔の発表イベントを開催。
我が国を含む17カ国の⾸脳が、気候変
動対策における森林が果たしうる役割の
重要性を再確認し、各国政府や企業等
が取組を進めることの必要性を強調。
フォーパーミル
4/1000イニシアチブ
(世界の⼟壌の炭素蓄積量を年率0.4%向上)
12⽉1⽇(⽕)、議⻑国であるフランス政府の主
導で発⾜した「4/1000イニシアチブ」の⽴ち上げイ
ベントを開催。
農業⽣産性の向上と気候変動緩和を両⽴しうる
活動として、農地等における炭素貯留機能の重要
性を認識し、各国の科学的知⾒や経験の共有を
図ることを⽬的。
我が国を含む30ヶ国以上に加え、国際機関や
NGO等が共同声明に署名。
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今後の課題
 森林・⼟地利⽤分野を含む吸収量・排出削減量の計上ガイダンスの
検討(第1回CMAで採択)
パリ協定ではCOPの下の既存の⽅法論・ガイダンスを考慮することを規定
各国事情に応じた柔軟性、公平性と透明性の確保
持続可能な森林経営・⼟地利⽤の促進
 REDD+の活動促進と代替的資⾦(市場メカニズム等)の検討
UNFCCCの下での結果ベース⽀払い開始
 「⽀援の調整に関する⾃主会合」の年1回開催と2017年のSB47における組
織・ガバナンスに関する検討
 緑の気候基⾦による結果ベース⽀払いの運⽤ルール整備
 資⾦に関する常設委員会による検討
パリ協定6条(協⼒的アプローチ、国連管理型メカニズム等)の下での
取り扱い
JCMのための各種ガイダンスの整備と運⽤
 森林等吸収源対策の推進
2.6%の確保に向けた森林整備、農地⼟壌炭素貯留等の推進
⽊材利⽤の促進
⽊質バイオマスの利⽤促進
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