...

Interview - 認定中古車.com

by user

on
Category: Documents
12

views

Report

Comments

Transcript

Interview - 認定中古車.com
Interview
真 木 蔵 人
( 俳 優 )
ライフスタイル は シン プル な ほうが い い よ
今号の表紙を飾ってくれたのは、俳優、そして
(全長13.4mと7m)
を持っています。あまり人の
いたんですが、ある夜、ダウンタウンで食事をして
トップ・アマチュアサーファーとして活躍している
いない場所を選びながら家族といっしょに日本全
戻ってみるとあるべき所にないわけです。周辺の
真木蔵人さんだ。中学3年生の時にNHKの大
国を旅するのが好きなんです。八ケ岳の麓や宮
路上を必死になって探し回っていたまさにその
河ドラマ『武田信玄』でデビュー、その後TVドラ
崎の日向灘、四国の室戸岬などへ出かけていま
時、目の前を見覚えのあるハイエースがスーッと
マや映画などで主役を務め話題を集めたが、18
す。それから、普段の足に使っているのは2世代
通り過ぎていく……。そこでやっと盗まれたと認
歳の時に突然カリフォルニアへサーフィンの修業
前のホンダ・レジェンドです」
識した
(笑)
。クルマ、サーフボード、パスポート、
に旅立って周りを驚かせたのは記憶に新しい。
ごすことが少なくないというから、まさに大陸的な
後は67年式のVWバスにも乗っていましたね。
本サーフィン選手権大会や世界選手権などに出
使い方だ。もちろん自分でステアリングホイール
すごく雰囲気のいいクルマで、スピードは出ない
場し、95年にはロングボードの全日本大会で優
を握る。
けれど運転はとても楽しかった。サーフボードを
勝するなどの好成績を残している。実力はまさに
「ホンダ・レジェンドは義理の父のお下がりな
載せて、クルマを労りながらロスからサンフランシ
世界トップクラスと言っても過言ではない。自分
んですよ。でも、クルマをもらえるなんてすごいこ
スコまでトコトコ走ったのを今でも印象的に憶え
で決めたことは自分のやり方で成し遂げる。それ
とじゃないですか。妻の実家の思いがこめられて
ています」
が真木蔵人さんの基本姿勢なのだろう。言うま
いる気がして。僕にとっては特別なクルマなわけ
帰国してからの彼は、日産セドリック/グロリ
でもなく現在でもライフスタイルの中心にあるの
です。だから、自分の手でメインテナンスを施し
ア、
トヨタ・マークⅡなどの古いモデルばかりを乗
はサーフィンだ。さて、まずは彼のカーライフやク
ながら大切に乗っています」
り継いでいる。特にクラシカルな雰囲気の国産
クルマはサーフィンを
やるための道具
STYLING;小倉正裕
「今は93年式のシボレー・ウィネベーゴという
HAIR&MAKE-UP;羽田野俊介
キャンピングカーと、2台のキャンプ用トレーラー
TEXT;野田義彦
●デニム/NESTA BRAND
●ポロシャツ/NESTA BRAND
●ブーツ/Timberland
●キャップ/NIXON
財布、異国で全財産を失った瞬間でした。その
帰国後は、ショートボードとロングボードで、全日
ルマ遍歴から話を進めていこう。
PHOTOGRAPHY;大沢つよし
夏になると1ヵ月以上もキャンピングカーで過
最初のマイカーは、サーフィンの修業でカリフ
車が好きだと話す。
ォルニアに在住していた頃に購入したアメリカ仕
「親父がクルマ好きでね、その影響で幼い頃
様のトヨタ・ハイエースだった。そして、そのクル
からクルマには興味がありました。でも20代の頃
マには忘れられないエピソードが残っている。
は経済的に厳しい状況だったから、用途に合わ
「サンタモニカの中古車屋さんで買いました。
たしか3800ドルだったかな。けっこう気に入って
せて2台のクルマを持つなんて考えられなかった。
まずはサーフィンへ行くために長距離を走れるこ
027
とが第一条件。そして、ファミリーカーとして、また
発する人たちに脈々と受け継がれているのでしょ
「大げさなことじゃないですよ。例えばクルマで
仕事の移動にも使えること。それから自分のスタ
う。すごいことだと思います。そう言えば、親父は
言うと、パンクした時にひとりでタイア交換でき
イルに合うクルマ。となるとクラシカルな国産車
なぜかメルセデスには乗りませんよ。でも自分の
るか、みたいなことです。1本のタイアがパンクし
になったわけです。古いアメ車は信頼性に問題
クルマを自慢する時には、必ず比較する相手とし
ただけでJAFを呼んじゃう人が増えているでしょ。
があるし、60∼70年代のドイツ車は僕にとっては
て登場する。彼にとっては永遠の悪役なのかも
手を油で汚すのがカッコ悪いことのように言う人
高価だったし
(笑)
。クルマは選んだ人のセンス
しれない
(笑)
」
が多いじゃないですか。そういうのは“男”じゃな
が色濃く反映される道具だと思うんです。予算が
厳しくても雰囲気のいいクルマを選びたいじゃな
いですか。大きめの古い国産セダンは、アメリカ
パソコン型の役者にはなれない
現在彼は千葉県の太東海岸に住んでいる。
のダウンタウンで見かけるちょっとワルなクルマの
海には毎日のように入っているそうだ。ロングボ
雰囲気を持っていて、僕のスタイルというか、感
ード、ショートボード、ブギボード、ニーボード、海の
性に合うんですよ」
表情に合わせてボードをチョイスする。波のない
撮影車両のメルセデス・ベンツ E320ステーシ
日は釣りもやるらしい。でもやっぱりファンの皆さ
ョンワゴンのドライバーズシートに収まり、興味深
んが気になるのは、映画やTVドラマへの出演予
げにインストルメントパネルを眺めながら穏やか
定だろう。
いよ。手と服は油で汚れるけれど、タイア交換は
もちろんのこと、自分でちょっとしたメインテナン
スをやってしまう人のほうがカッコいいと思う。少
なくとも僕は自分の手でやります」
六本木ヒルズより
太東海岸がいい
ところで、今の彼にとって都心部に家を建て
るなど容易いことなのではないだろうか。でも真
な表情で話す真木さん。
木さんは太東海岸を離
質問には、冗談を交え
れようとしない。そのあ
ながらひとつひとつ丁寧
たりを訊くと、
“目の前
に答えてくれる。そして
に海がある”
、それは六
取材する側にはきちんと
本木ヒルズに住むより
した言葉で礼を尽くす。
贅沢なことだと言い切
勝手に抱いていた“尖
る。
った”イメージとは対照
「自宅の家賃は都心
的な人である。
部 の 駐 車 場 代くらい
(笑)
。月に何百万円も
メルセデスには
武士道がある
出して六本木ヒルズに
住むのなんて僕には理
「こういうメルセデス
解できないですよ。それ
の最新モデルにも乗っ
より毎朝のように海に
てみたいですけどね。で
入れたほうがいい。仕
も、濡れたウェットスーツ
のまま運転したり、子供
たちが砂だらけのまま乗
撮影車両はサーティファイドカーのE320ステーションワゴン アバンギャルド。搭載する3.2RV6エンジンは224ps/32.1mkgの
パワーとトルクを叩き出す。全長4850×全幅1820×全高1480mm。レザーシート/ナビ/TV/サンルーフなどを装備する。
車両協力=メルセデス・ベンツ葛飾 柏中古車センター
(2003年式 走行0.8万km 価格648万円)
Tel.04-7134-6616
通っていますが苦ではな
いです」
り込んだりもするじゃないですか。僕は根が貧乏
「仕事ですか……、正直に話すと迷っていま
性だから、ぴかぴかの高級車は汚すともったい
す。今、男臭さを感じさせないタイプの俳優さん
ないと思ってしまう
(笑)
。中古で買った古いクル
がウケているじゃないですか。自分のスタイルが
マだと気にすることなく道具として使えるし。要す
時代に合っていない気がしてね。見た目と違って
高価なマンションや土地なんていらないです。い
るにライフスタイルに合っているんです」
僕は考え方も芝居もクラシックだから。結局は
い波に乗れて、家族がいる。それだけでいい。
子供がジュースをこぼした時にできたシートの
不器用なのかもしれない。変幻自在のパソコン
俳優の仕事はその次かな。いいクルマはその次
シミもいい思い出になるから、と明るく笑う。ただ
型人間にはなれないんですよ。それと、本気で話
(笑)
。このスタイルはいくつになっても変らない
し、メルセデス・ベンツというブランドには好感を
のできる“男気”のあるスタッフや俳優さんが少
と思います」
抱いているようだ。
なくなっているのでやりにくいというのもあります。
真木蔵人
「メルセデスは妻が好きで、
“タテ目”のモデル
撮影現場で意見を言ったりすると、扱いにくいヤ
にも乗っていたほどなんですよ。そうそう、海外で
ツとか、わがままなヤツとか言われたりして。僕は、
レンタカーのEクラスに乗る機会があったのです
誰にでもいい顔をするのはあまり得意じゃないか
が、走行感覚に“タテ目”の雰囲気が残っている
ら
(笑)
。無理をしないで、自分にしかやれない仕
ことに驚きました。最高水準の新しい技術を採
事をやっていくつもりです」
用しながら、伝統的な乗り味もしっかり残してい
る。魂というか、武士道みたいなスピリッツが開
028
事場へは2時間かけて
彼の言う
“男気”のある人とは、具体的にどん
な人のことを指しているのだろう。
最後に10年後の自分の姿をイメージできます
かという質問を向けてみた。
「今よりもっとシンプルにスッキリしているかな。
1972年10月3日生まれ。東京都出身。父は音楽家/俳優の
マイク眞木さん、母は女優の前田美波里さん。87年にNHK
の大河ドラマ『武田信玄』
で俳優としてデビュー。その後、北
野 武監督・脚本の映画『あの夏、一番静かな海』
で主役を演
じ、クランクアップした直後にカリフォルニアへサーフィンの修
業に旅立つ。帰国後は役者の仕事をこなしながら、
トップ・ア
マチュアサーファーとして活躍。95年にはロングボードの全日
本サーフィン選手権で優勝、日本代表として参加した世界選
手権ではファイナル・リパチャージまで勝ち進んでいる。2児
(12歳と3歳)
の父でもある。真木蔵人さんの最新情報はオフ
ィシャルサイトhttp://www.iandiproduction.comでどうぞ。
Fly UP