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VOL.10 英語村E 3 [e-cube] プロジェクト(PDF:13.6MB)
The KINDAI News vol.10 2009/11 英語村E3 [e-cube] プロジェクト 3年間で 26万人が“遊”んだ! 英語教育「革命」 逆転の発想を結実させた「現場」のパワー 遊びながら楽しく英語を学ぶことを 3 目的とする「近畿大学英語村E [ecube](イーキューブ)」が近畿大学本 部キャンパス(大阪府東大阪市)に誕 生してから、2009年11月で3年を迎え ます。この間、英語村を訪れたのは、 のべ26万5,488人(10月20日現在)。 多いときは1日に1,000人以上の学生 が押し寄せる、キャンパス有数の人気 スポットになりました。目的は「遊び」、 そのための手段が「英語」という、大胆 で斬新なコンセプトが、学生のハート をつかんだ結果です。それを生み出 したのは、オープン以来、絶え間なく プログラムを進化させ、学生の満足度 向上を追い求めた、スタッフたちの試 行錯誤と努力でした。 欧米家庭料理を実演するネイティ ブスタッフ。「食べ物」系のアクティビ ティはとりわけ学生の人気が高い。 ■ 「英語が怖くなくなった!」 3 近畿大学英語村E [e-cube] 2006年11月、総工費約4億円を か け て 建 設。本 格 的 な カ フ ェ を 備 え、1日7~12名のネイティブスタッフ が常駐する。 「海外留学と同じ環境をキャンパス で」を目指し、施設内では英語しか 使えない。毎日3回、芸術や料理、 ス ポ ー ツ な どの「ア ク テ ィ ビ テ ィ」(実 習)を実施するほか、コンテストやコ ンサート、パーティーなど、年間20回 近いイベントも開催される。 大学休暇中には一般公開される。 ◇(英語村を利用して、以前よりも)外 国人に話しかけられても抵抗がなくなっ た?・・・84%が「YES」。◇英語を楽しい ものだと感じるようになった?・・・83%が 「YES」。◇英語をコミュニケーションの道 具としてとらえるようになった?・・・82% が「YES」。 今年6月、英語村を訪れた学生1,000人 に行ったアンケート結果の一部です。 英語村の目的は、英会話が「そこそこ できる」学生の底上げではありません。 外国人に英語で話しかけられると逃げ 出したくなる英語「恐怖症」や、それゆえ の英語「無関心」層が、無理なく楽しく、 自然に英語に慣れ親しめる環境を提供 することが、その存在意義です。 だ か ら、英 語 が「う ま く」な っ た こ と よ り も、英語が「怖くない」「楽しい」と、学生 たちに感じてもらえたことに、スタッフは 感激し、手ごたえを感じたのです。 ■ 国内外から相次ぐ視察 オープンから2年11カ月余り、来場者の べ26万5,488人の約8割が、一般公開や 見学会などの学外利用を除く近畿大学 の学生です。講義後やその合間、英語 に触れるために、これほど多数の学生が 足を運んだことは、スタッフにとっても想 定外の出来事でした。 英語村の成功は各界で話題となり、こ れまで多くの中学・高校からの見学はもと より、大学11件、企業など民間が8件、政 府・自治体・公共関連が6件、台湾桃園 国際英語村など海外からも視察がありま した。 なぜ英語村は成功したのか? どうす れば英語村をつくれるのか? 視察で寄 せられる疑問に対する答えは、そこで働 くスタッフたちが試行錯誤を繰り返して築 き上げ、今も進化を続ける「ソフト」にあり ます。 ■ 目的は「遊び」、手段が「英語」 英語村では1日3回、アクティビティと呼 ばれる日替わりの「実習」が行われます。 たとえば2009年10月の月間テーマは「ハ ロウィン」。日替わりメニューを見ると、 Low Budget Costumes、Halloween Cookies、Pumpkin Carving・・・ 実際に身体を動かして「ものを作る」体 験実習がほとんどを占めます。 人気のアクティビティには1回に80人以 上が押し掛けることも。メニューを考え、 講師となるのは外国人(ネ 次頁へ イティブ)スタッフたち。そ The KINDAI News vol.10 2009/11 英語村E3 [e-cube] プロジェクト 前頁から の採用では、英語が母国 語であることや人柄だけ でなく、料理や芸術、スポーツなどの 「一芸」に秀でていることが必須です。 英語村の最大の特長は、このアクティ ビティ。「学生は一緒に料理を作り、食 べるのが楽しみで参加します。わざわざ 英語の勉強には来ません。しかし、英語 村では英語しか使えない。だから、楽し もうとすればするほど英語を使い、自然 と英語に慣れていく」。 マネージャーとしてスタッフを束ねる水 野恵子さんが語るように、アクティビティ は、「目的は遊び、手段が英語」というコ ンセプトを具体化したものといえます。 チャット(おしゃべり)を主眼とする“英 大学教員が英語村に着目し、授業に 取り入れる動きが広まったことも追い風 になりました。英語教員がアクティビティ 参加を課題に設定したり、「サイエンス月 間」には理工学部の教授がアクティビ ティ参加・レポート提出を課したり、マス コミにも登場する名物教授が英語での 特別講義を買って出たり…。 ■ 止まらない「発展と進化」 スタッフと打合せる水野マネージャー(左) 語サロン”は、ほかにもあります。しかし、 「遊び」を目的に定め、プロフェッショナ ルなサービスとして提供しているのは、 英語村が唯一といえます。 ■ 「顧客満足」を追い求めて 2006年11月のオープン以来、アクティ ビティは試行錯誤の連続でした。 当初は1日1回。翌年春から2回に増や したものの、せいぜい1回10人前後が集 まる程度。悩んだ末、開催時間が学生 に不便なことに気付き、同12月から、そ れまでの「昼休みと15時」を、「(午後の) 3・4・5時限目に(1日3回)開催」に変更。 講義の邪魔をしないとの配慮から、講義 のない学生を取り込むことに方針転換し ました。 2008年4月から月ごとのテーマを設定 し、関心のある学生が継続的に通える環 境を整備。こうして徐々に参加者を増や したアクティビティが大ブレークしたの は、同年11月のFood Monthでした。 「学生がいちばん望むのは、おいしい 食べ物を作り、それを食べることでは?」 というスタッフの気づきが実現させた、料 理&試食オンパレードの1カ月。スタッフ は腕をふるって母国の食べ物や飲み物 を披露し、学生が殺到しました。 あまりの盛況にスタッフの多くが過労で 倒れる危機もありました。それを乗り越 え、学生は何を望むかを考え続け、実行 することで、ノウハウが築かれたのです。 写真㊤から㊦へ:クリスマスパーティーでの合 唱、誕生パーティー、ハロウィングッズ作り、ホッ トドッグ大食いコンテスト(いずれも英語村にて) この9月からは、ハイレベルの英語力を 持つ学生を対象に、比較的すいている 午前中に開催するMorning Activityを開 始。英語恐怖症の学生から「怖さ」を取り 除くという英語村の大目的は変えずに、 そこから漏れてしまう学生も救済しようと いうものです。 試行錯誤を繰り返し、新たな試みを取 り入れ、多くの人を巻き込みながら、英 語村は今も進化を続けています。 ■ 英語教育のパイオニアへ 英語村「村長」 の北爪佐知子・ 文芸学部教授 (英語学)は、 「日本人が英語 を避けるのは 『笑われる恐怖』 が強いから。とこ ろが『遊び』を目 的とする英語村 には、その恐怖 がない。これが 英語村村長の いちばん大事」 北爪佐知子教授 と語ります。1年 生でTOEIC550点の学生が、英語村に 「遊び」に来るだけで1年後、850点に なった例もあるといいます。 「楽しむことで英語が話せるようにな る、このノウハウを日本や世界に広めた い。英語村は新しい英語教育のパイオ ニアになれると信じています」(北爪教 授) 水野さんは毎日、英語村での出来事 を日記に綴っています。 オープン翌日 には、こうあります。 「はじめて(学生が) 自分からハローと言った。うれしい」 ■ このニュースレターに関するお問い合わせ先 ■ 近畿大学総務部広報課 担当:澤田 〒577-8502 大阪府東大阪市小若江3-4-1 TEL (06)6721-2332〔内線:2024〕 FAX(06)6727-4435 E-mail: [email protected] URL:http://www.kindai.ac.jp