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契約書翻訳コース(日・英) ガイダンス資料

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契約書翻訳コース(日・英) ガイダンス資料
契約書翻訳コース(日・英)
ガイダンス資料
契約書翻訳コース(日・英)
I.
和文契約書の英訳業務が活躍する場
英文契約書を作成するのなら英米人のネイティブの方が上手なのに、日本人であるわれわが契約
書を英訳する場があるのでしょうか?疑問に思われるかも知れません。実際には、日本の法律事
務所でも、あるいは外国法事務弁護士事務所でも、この「和文英訳」の需要は高く、和文英訳の
プロセスで日本人の関与が求められています。
日本語の契約書
想わぬ関門
英米人弁護士
日本人による英訳
英文の完成
英米人エディター
「日本語の契約書を英訳する」あるいは、より正確には「日本語の契約書を英語化する」という
作業のワークフローは、-各会社、法律事務所によってすこし違いがあるでしょうが-、上図の
ようになっています。(「エディター」という職種は、これも呼称は様々かもしれませんが、ネ
イティブの英文チェッカーの方です。)
「日本人による和文契約書の英訳」は、このような本格的なチームワークの一環としてではなく、
単独で、日常的な文書やレター、急を要したり、時間や費用を割けない場合の単独の作業として
も行われており、あるいは翻訳者が熟達してくると単独で作業を委せられる機会が増えてきます。
「日本人による契約書の英訳」の需要、あるいはマーケットはこのような形で存在しています。
II.
和文契約書英訳の問題点
契約書を英訳するのに、特に変わった訓練が必要なのでしょうか?このような疑問にお答えする
ために、2・3実例を挙げて検討してみましょう。
(日本語)
(英語)
金銭消費貸借契約
⇨
? Loan for Consumption Agreement ?
使用貸借契約
⇨
? Loan for Use Agreement ?
保証委託契約
⇨
? Guarantee Consignment Agreement ?
これらの例の「英訳」が問題であるのは、「通じない。」ことの一言につきます。あるいは、英
文を読む人に、「日本人は、われわれの理解しがたい取引をやっているのだな。」というような
1
変な誤解を与えかねない点にあります。
このような問題が起こる原因は明らかです。
保証
委託
契約
(分解)
保証
委託
契約
Guarantee
Consignment
Agreement
(英和辞典的
逐語訳)
(結合)
Guarantee Consignment Agreement
「日本語の契約書を英訳する」という作業は、決してこのようなものではありません。また、こ
のような、日本語を分断して、和英辞典を引いて行くという癖をつけるのは学習者にとって好ま
しいことではありません。
つまり、アメリカ人・アメリカ企業が銀行からお金を借りるときに署名するのは「Loan Agreement」
であり、無償で物件を貸すとき(使用貸借!)には「License」するのであり、借入等の場合に保
証人となってもらう「保証委託」をするときに使用する書式には「Counter Indemnity Agreement」
と書いてあるはずなのです。「分解」⇨「和英辞典」⇨「結合」という誤った道に迷い込んではい
けないのです。
III.
和文契約書英訳の各レベル
伝統的な渉外法律事務所で培われてきたような、正統な和文英訳の能力養成の道を歩むとして、
実践的なレベルに達するまでには、いくつかの段階を通らなければなりません。
機械的な訓練
内容を理解した学習
2
専門的な法律的知識を
要求される特殊問題
1.
基本的な用語を習得する、基本的な表現が自然に出てくるまで機械的な繰り返しの訓練
をつむことは、やはり必須の課題です。
2.
次に、英文契約書特有の表現や構成の仕方を、「何故そうなるのか」、「何故このよう
な事項を書く必要があるのか」という理由、根拠を理解しつつ勉強していくことも必要
になってきます。
3.
和文契約書を英訳する際の特別な問題ではありませんが、英米法、日本法の両方にまた
がるような「特殊問題」に何とか対応しなければならないこともあります。
この度のコースでは、前記の三段階の内、円く囲った範囲をターゲットに学習を進めていきます。
IV.
コースの概要
1.
機械的な訓練
➢
定型的な表現
➢
慣用句
➢
英文契約書上の骨格
穴埋め式の問題を用意し、各自挑戦していた
だき、講義の冒頭に要点を口頭で解説するこ
とにします。
また、受講者の方には、ご自身の関心のある契約書一つを、「最初から最後まで」英訳
する課題に取り組んでいただきたいと思います。
2.
内容を理解した学習
○
和文契約書の英訳は、個々の語句の照応ではなく、「日本語の条文の内容と照応し
た内容の英文の条項を作成する」ことを目標とします。
➢ したがって、ネット上にあるリソースを検索して、「内容的に照応した英文」を
探してもらう訓練もしていきます。
○
和文英訳で利用する表現の多くは、アメリカ統一商法典(UCC)の特に第2編(動
産売買)の規定に見出すことができます。
➢ UCC の規定に照応した規定が日本語の契約書中に多数ありますので、それらを
題材に、例えば保証(Warranty)の意味、機能等を理解していきます。
○
和文契約書を英訳する場合、「独自の英作文」をするのではなく、「信頼できる英
文契約書を真似する」ことが重要になります。
➢ 各ユニット毎に、教材となる書式を提供します。教材を横断的に検討していただ
き、頻出する条項は何か確認してもらいます。
3.
専門的な法律知識を要求される特殊問題
法律的な問題に深入りしませんが、どの種の問題が生ずるか、そしてそのような問題に遭
遇した場合の対処の仕方を例示します。資料をご提供して、参考にしていただくことにし
ます。
4.
ボキャブラリーの養成
3
契約書の英訳には、どうしても法律英語のボキャブラリーを養成しておく必要があります。
そのために、『英米の代理制度』、『英米の手形小切手』のようにトピックを取り上げる
機会を設け、ボキャブラリーを構築してもらいます。
V.
専門的な法律的知識を
要求される特殊問題
内容を理解した学習
機械的な訓練
上達のためのヒント
和文契約書を英訳する場合、翻訳者の「頭の中のイメージの動き」は次のようになると思います。
<過去の英文・和訳の蓄積-データベース>
和訳作業
英文
和訳
探索・照合
英訳
和文
英訳作業
1.
課題の和文契約書が出てきた場合、過去にやったことのある「英文契約書の和訳結果」
と意識的・無意識を問わず、照合している(照合)。
2.
同じような過去の「和訳」があったら、遡って元の英文原稿を参照する(逆行)。
3.
照応する「英文」をたたき台に、英訳作業を進める(修正的翻訳)。
❉ 自分の頭の中の、あるいはパソコンの中の「英文・和訳」ペアのデータベースを充実させて
いく地道な作業も必要不可欠になります。「契約書翻訳(英和)」にも、「この英文の表現は、
英訳の際に役立つのではないか」というような関心をもって、取り組んでください。
4
契約書翻訳コース(日・英)
日程表
回
日時
I. 英訳の基礎
1
4月7日
契約の成立と組み立ての確認
契約の成立と契約書の骨格の把握
契約書の書き出し部分と署名(記名押印)ページが作
成できるようになる。
2
4 月 14 日
契約内容の確認
和文契約書の内容把握と照合する英文契約書の同定
英文契約書の「タイトル」を正しく選択でき、英訳作
業の方向付けができるようになる。
3
4 月 21 日
標準条項への取り組み
頻出する標準条項を分類・確認する
翻訳する英文契約書の中で、標準条項の占める比率を
認識し、翻訳をスピードアップできるようになる。
4
4 月 28 日
ソフトウェアライセンス契約(エンドユーザー)
license、warranty、jurisdiction 条項を理解する
warranty の意義、裁判管轄条項を理解し、英訳できる
ようになる
5
5 月 12 日
ソフトウェアライセンス契約(業務用)
confidential information と秘密保持義務を理解する
様々な Confidential Information 規定と秘密保持規定を
分類整理して、英訳に対応できるようになる
6
5 月 19 日
商標ライセンス契約
商標ライセンスと付随する業務提携関係を理解する
商標、ライセンス、付随する業務提携にかかわる条項
が英訳できるようになる
7
5 月 26 日
特許ライセンス契約
パテントライセンスの基本的な仕組みを理解する
特許実施契約以外でも頻出する、「知的財産権の帰属」
規定が英訳できるようになる。
8
6月2日
金銭消費貸借契約
ローン契約書特有の規定を理解する
「貸付」にあたる英語の訳し分け、先行条件、誓約(カ
ビナント)の英訳ができるようになる
9
6月9日
担保権設定契約
日米の担保付取引・担保権設定取引を理解する
モーゲージ、担保権設定に関連する用語が分かり、英
訳に用いられるようになる。
10
6 月 16 日
株式引受契約
エクイティファイナンスの仕組みを理解する
エクイティファイナンス関連の契約書、規定が英訳で
きるようになる。
11
6 月 23 日
社債引受契約
デットファイナンスの仕組みを理解する
デットファイナンス関連の契約書、債券の要項が英訳
できるようになる。
12
6 月 30 日
不動産売買契約
日米の不動産売買契約書を対比して理解する
基本的な不動産法の用語に親しみ、簡単な不動産売買
契約書が英訳できるようになる
13
7月7日
不動産賃貸借契約
日米の不動産賃貸借契約書の違いを学ぶ
簡単な商業用不動産賃貸借契約書・規約類が英訳でき
るようになる。
14
7 月 14 日
信託契約・区分所有その他
信託・コンド / モール関連の契約書を学ぶ
信託契約、居住用不動産やリゾートマンションに関連
する契約書・規約類が英訳できるようになる。
15
7 月 21 日
建設工事請負契約、設計業務委託契約
建設請負、設計契約特有の用語と規定を理解する
日米ともに特有な請負契約の用語法を学び、特約条項
が英訳できるようになる。
16
7 月 28 日
契約としてみた定款
会社の定款を契約の一類型としてとらえ理解する
定款、組合契約等が英訳できるようになるとともに、
社内規程
17
8月4日
雇用労務関連の契約
雇用契約、労務関連の契約の基本類型を学ぶ
外国企業の日本法人が必要とする契約、規約(就業規
則を含む)が英訳できるようになる。
18
8 月 18 日
戦略的提携契約
開発協力とベンチャー企業関連の論点を学ぶ
ベンチャー企業を想定して必要となる契約書が英訳で
きるようになる。
19
8 月 25 日
ジョイントベンチャー契約
ジョイントベンチャー契約の基本的な規定を学ぶ
ジョイントベンチャー契約の基本的な規定が英訳でき
るようになる。
II. 知財関連契約
ユニット
契約類型
テーマ
学習目標
III. ローン契約
IV. 不動産契約
V. 企業契約
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