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2003年 2月号 NO.6 - 広島市中小企業支援センター

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2003年 2月号 NO.6 - 広島市中小企業支援センター
Vol. 6
2
ひろしま中小企業支援情報
デザインフェア広島2002
2002.11.15(金)∼11.21(木)
CONTENTS
2003.
GET
産業支援情報
《特集》中小企業の経営革新∼新たな経営戦略を考える∼
前財団法人中小企業総合研究機構 研究部長 濱田嘉一 …2
企業紹介 パーキテック株式会社 取締役社長 吉田哲夫 …4
これから「売れる」サービスの勘どころ
∼サービス業振興セミナーから∼ …………………6
海外経済交流ミッションを終えて
広島市経済局産業誘致推進室 ………………………8
技術支援情報
「デザインフェア広島2002」開催 …………………………10
活動紹介「新製品デザイン開発研究会」(平成14年度)…11
機能モデルによる材料の塑性変形シミュレーション ……12
平成14年度補助金対象新設機器の紹介 ……………………13
Information
広島市中小企業支援センターだより ………………………14
セミナー開催のご案内 ………………………………………16
ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
《特集》 中小企業の経営革新 ∼新たな経営戦略を考える∼
長引く景気低迷で悲観論につつまれた経営環境をどう打破したらよいのか。中小企業が元気になるための
方策はあるのか。今回GETでは、中小企業の経営環境に焦点をあて、経営革新の必要性やその取り組みな
どについて、前財団法人中小企業総合研究機構研究部長 濱田嘉一氏にご教授いただき、後半は、昨年企業
連合の取り組みなどにより内閣総理大臣表彰を受けたパーキテック株式会社取締役社長 吉田哲夫氏にその
経営戦略についてお話をお伺いしました。
中小企業の経営革新
∼環境変化に対処する中小企業経営∼
ル化や大企業の海外生産体制の確立により進行した
もので、ご当地広島市などの企業城下町や一部産地
に立地する中小製造業が大きな影響を受けている。
前財団法人中小企業総合研究機構
二つ目が「市場構造」の変化であり、デフレ経済の
研究部長 濱 田 嘉 一
進行による極度な購買力の伸び悩みと中国製品をは
じめとする海外廉価製品の氾濫、一方では世界的な
1.経営環境の変化と経営革新の必要性
ブランド商品の日本侵略といった「市場の混乱」と
バブル経済が崩壊して10年が経過、日本経済は立
日本各地で見られる「日本製商品市場」の狭隘化現
ち直りの気配すら感じられないまま2003年を迎え
象である。
た。この長期にわたる未曾有の不況は、これまでわ
経営の革新とは、この「変化」に経営を対応させ
が国が何度か経験した「循環的不況」とは根本的に
ることで、実際には、「自社の技術力」の発揮により
異なる「構造的不況」であるといわれている。「循
開発した「新技術や新製品」が、その取引先や市場
環的不況」が需要と供給のアンバランスに起因した
での優位性を獲得することを目的に経営を改革して
もので、当時の工業大国日本では、在庫が一掃され
いくことである。この実現のためには、まず、自社
れば、それ以前の好況期をも凌駕する経済成長がみ
の経営を見直し、場合によっては新事業活動を展開
られた。
しながら、自社の経営資源を明確に把握し「コア・
これに対して「構造的不況」は、90年の冷戦解消
コンピタンス(自社の強み)
」を最大限に活かして、
後の「大競争時代」の出現、さらには近年の中国工
「顧客ニーズ」を掴んだ新分野を開拓する積極的な
業の台頭(中国の世界の工場化)といった地球規模
経営が不可欠である。以下その取り組みの実態を成
の社会・経済構造の変容に起因するもので、根本的
長企業群(経営革新支援法の承認企業等でこの不況
には、日本の経済社会構造の変革なくしては脱出不
下でも頑張っている中小企業)から探ってみた。
可能な不況と考えられる。
盧 経営の見直し
だからと言って、個々の企業が、手を拱いて社会
① 市場・取引関係を見直し
の変革を待つといった悠長なことは言っていられな
自社の在るべき姿を、これまでの経験と今後を
い。この社会構造の変革期に対応させて、積極的に
見通し、イ.提案力などを一層強化する「系列指
自らの経営を革新しなければ、経営の維持、発展は
向型」か、ロ.取引の多角化を目指す「自立指向
望めない。
日本企業全体の99%を占める中小企業に、
型」か、ハ.または「混合型」で行くかを見極め、
その努力があってこそ、日本社会そのものの変革も
取引関係の改善に努めている。
なし得るものと思われる。
2.経営環境の変化に対処する経営の革新
社会構造の変化によりもたらされた「変化」の一
つは、「取引構造」の変化であり、経済のグローバ
2
② 経営目標の見直し及びビジネスプランの作成
付加価値の獲得を目標に、3年後、5年後、10
年先の企業の姿を数字で表したビジネスプランを
描いている。
ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
③ 経営の再構築
②のビジネスプランを達成するため、企業内人
盧
これまでの企業連携
① 仲間回しや横受け
材の適正配置や組織の在り方をワークシェアリン
以前から、東京大田区を中心とした地域や東大
グをも視野に入れて見直し、本来のリストラクチ
阪の中小企業集積地でみられている製造方式で、
ャリング(あらゆる面での経営の点検と再構築)
個々の企業では不足する技術を他企業と連携する
を検討している。
ことで「技術の相互補完機能」を100%活かし、
盪
新事業展開の検討
試作品等を仕上げるもので同地域の「要」のネッ
① 海外への事業展開
トワークといわれている。しかし、基幹技術のあ
内外経営戦略を持ち、特に内外機能を明確に分
担し、国内の本部機能や研究開発機能を重視して
る企業の廃業等もみられ、
将来の不安は拭えない。
② 異業種との連携
いる。ただし、中小製造業の中国への展開は、最
全国各地に異業種交流会が設けられ、多様な交
近、特に進出の著しい韓国、台湾等の企業との競
流活動が展開されて、一部には成果がみられるも
争が激しさを増し、一段と厳しいものになってき
のの全体的にみれば、その歩みは概して遅い。
ていることをも留意している。
② 新形態の事業形態
盪 新しい企業連携
① 新しいかたちの産学連携
経営のファブレス化、ファブリック化によって
大学等で開発された成果を中小製造業が試作品
経営の無駄を省き、あるいは、これらを取りまと
を手掛け製品化していく事例がみえはじめてき
めるコーディネート事業展開を目指している。
た。大学の実験工場的役割を町工場が持ち、バイ
③ 企業連携による新事業展開
中小企業が企業間ネットワークを構築、個々の
強みを持ち寄って、より強力な経営体質を構築、
受注、生産、販売活動を展開している。
蘯
オ研究や遺伝子工学等最新技術から生まれる成果
をものにしている。
② コーディネート企業を中心とする企業連携
イ.仲間回しに似た連携で、試作品を高度な技術
コア・コンピタンスを活かす経営の革新
を持った特定中小製造業が、それぞれの得意分
成長企業にみられる共通する特徴は、企業内部
野を担当し、精密かつ高価な試作品を完成させ
に蓄えられた独自の技術やスキルなどの「コア・
る「技術ネットワーク」で、東京多摩地域での
コンピタンス」を活かす経営を実施していること
成功例がある。
である。そこでは、経営者と従業員が一丸となっ
ロ.もう一つの連携が、次ページで紹介する「パ
て、これまでの経営を見直し、自社の強みを発揮
ーキテック㈱」にみられる企業連携で、自社の
し、他社に先行して新製品・新市場を開拓し、時
企画を実現するため、試作機の開発、製品製造、
代の変化に対応しており、ここに「経営の革新」
ラインの組み立て、メンテナンス等高度な技術
の実態をみることができる。
を持った日本最強のパートナーを個々に選定、
3.企業連携と経営の革新
ネットワークを組み、時代に対応した新しい商
現在の不況下、経営を維持、発展させるには、企
品を社会に送りだしている。「新しい企業連携」
業内での『経営資源の充実』は元より、「企業間ネ
の参加企業にみられる共通する特徴は、その保
ットワーク」や「公的支援」等の『外部資源の活用』
有する高度な技術やスキルを基に、相互に刺激
をも重視していくことが重要なポイントである。特
をしあいながら、絶えず挑戦する気風を持った
に、個々の強みが重層され、その効果が大きい「企
技術者集団であって、経営革新の担い手として、
業間ネットワーク」が日本の製造業の将来を担うも
それぞれの地域の中核企業として期待されてい
のと期待されている。その実態を概説する。
る。
3
ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
《特集》 中小企業の経営革新 ∼新たな経営戦略を考える∼
パーキテック株式会社 取締役社長 吉田 哲夫(よしだ てつお)氏
1950年生まれ。熊本大学工学部を卒業後、三菱重工業㈱に入社。同広島製作所、本社エ
レクトロニクス事業部などを経て1996年4月に独立し、広島にファクトリーエンジニアリ
ング株式会社(現パーキテック㈱)を設立、取締役社長に就任。兵庫県出身。
分野ごとに優れた技術を持つ企業と組むコンソーシアム(企業連合)方式で、業務用IH(電磁誘導加熱)
炊飯器をはじめとする効率的な製造設備をつぎつぎに開発し、昨年、卓越した経営者をたたえる「新事業挑戦
者」として内閣総理大臣表彰を受けたパーキテック株式会社取締役社長吉田哲夫氏に企業連合への取り組みな
どについて、お話を伺いました。
会社概要について
三菱重工業に在職中、京セラの創始者である稲盛和
コンソーシアム方式による経営手法で食品及び医
療品の製造・供給システムを開発し、事業を立ち上
げました。
食品部門では、NHKでも放映された業務用IH
炊飯プラントをはじめIH万能調理器、業務用IH
夫氏にお会いする機会があり、非常に感銘を受けま
した。
会社も法人ですから、きちんと人格をもつ必要が
あります。すなわち社会に求められ、社会に寄与で
きる会社であること。経営理念にも、安岡正篤先生
餃子焼き機、業務用IH惣菜プラントなどを製品化
し、販売しています。医療部門では、使い捨て注射
器製造プラントなどに取り組み、現在、アジアやア
フリカへプラントを輸出しています。また、IH顧
客を対象に分散型発電・ソリューションシステムな
の言葉をお借りし、①心中常に喜神を含むこと②心
ど電熱供給事業にも取り組んでおり、プラントにか
かるエネルギーの省力化に努めています。
会社組織は、「エネルギー事業部」「プラント事業
部」「技術研究所」からなり、東京事務所と愛知県
犬山市に中部センターを開設しています。
は持てない中でそれなりにやってきただけ。決して
成功者ではありません。
周りから助けられています。
そのような私が何かアドバイスできることがあると
したら、
「全ては経営者で決まる。投げたらイカン。」
ということでしょうか。
独立の経緯について
中絶えず感謝の念を含むこと③常に陰徳を志すこと
の三原則に沿った企業風土を構築し続けることを取
り入れています。
私は「持たざる経営」を実践していますが、それ
人材の確保について
三菱重工業の本社エレクトロニクス事業部に在職
していました。時代はグローバルコンペティション
広島には、優れたものづくりの歴史、優れた技術
の蓄積があり、優れた人材の宝庫でもあります。広
の曙で、過去の遺産ではやっていけない状況になり
つつありました。私たちはエネルギーを軸とした食
島に会社を置いたのもそのためです。
会社を支える人材は、知識・経験が豊富なその道
品プラントを検討し、新事業として提案したのです
が、最終的には実を結びませんでした。当時の上司
も退職(大学へ転出)し、哀惜の念、挫折感にくじ
の第一人者ばかりです。当社従業員40人のうち三分
の一以上が60歳以上の方で占められていますが、企
業定年で第一線を引かれた方々は、シルバーエイジ
けそうになる一方、今こそ創業のときという心の声
もあって会社を立ち上げたのです。
ではなくプラチナエイジなのです。そのような方々
のエネルギーを結集しています。
生産設備を持たない私が「こういう製品をつくり
たい」という一心だけで独立したものですから、製
造を担当してくれる会社が現れたこと及び事業に係
る資金を調達できたことが非常に幸運でした。
コンソーシアムについて
三菱重工業在職中に、コンソーシアムの概念を学
びました。と申しますのも「ボーイング777」
(旅客
機)の開発の一部は、国内の三菱重工、川崎重工、
4
会社経営について
富士重工などが担当し、製造まで行います。これが、
会社経営について、決して専門家でないのですが、
シアトルのボーイング社に搬入され、組み立てられ
ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
ているのです。一般には知られていま
せんが、このように当時からコンソー
シアムという手法が用いられていたの
です。
私は、こうしたコンソーシアムとい
う概念を事業に応用したわけです。
コンソーシアムは、信頼に基づく対
等な取引関係となるわけですが、その
一角でも欠ければ事業は成り立ちませ
ん。当然リスクもあります。取引先が
倒産することも考えられるわけで、相
手方の会社の信頼関係だけではなく、
相手の会社をよく知ることがとても重
要になってきます。
コンソーシアム方式−下請関係ではなく対等な取引
業務用IH炊飯プラントの場合
全自動ラインの組立
(福井)
炊飯器メーカー
(鳥取)
企画・製品の販売
24時間メンテナンス
パークテック㈱(広島市)
(岡山)
経済面からの思いを申し述べますと、広島市には企
業の本社機構が必要です。工場は出ていっても仕方
ないが、
企業の本社機構は欠かすことはできません。
それと大切なのは大学。その点広島大学の移転は大
きな痛手だったと思います。
広島市には都心から車で約20分のところに西風新
都という広大な土地があります。現在、中心部・沿
岸部にある旧態化した生産部門を西風新都に移し、
その跡地をインテリジェンスを集約した場にし、文
コーディネート機能
商品のメンテナンス
です。そのためには例えば介護が充実している、教
育が充実していることなど、
いろいろ考えられます。
試作品の開発
(広島)
化を呼び込むことをやる。そうした夢を持って、や
ってみたらどうでしょう。官民一体となれば10年計
画でできると思います。
幸い広島市のように世界にチャンネルを持ってい
る都市はほかにありません。そのチャンネルを平和
の発信だけでなく、もっと経済面で有効に使うべき
だと思います。
広島が活性化するための方策等について
●企業に対して
よく私どものところに「当社にはこんな技術があ
るのですが」という相談を持ちかけられることがあ
ります。基本は、つくりたいものがあって、それか
今後の展開・抱負について
今後も、エネルギー(発電)を軸としたソリュー
ションビジネスの道を歩みます。規制強化と規制緩
和に着眼し、エネルギーと環境の二分野に力を入れ
ら足らない技術を探すということなので、いくら素
晴らしい技術があっても、
すぐには活用できません。
今後は、「誰かに依存した仕事」は危険です。自
立する能力を養うことが大切です。人は助けてくれ
て仕事を進めます。
ソリューションをまとめ上げる手法は、コンソー
シアムです。分散型発電は中国のように土地が広大
で分散している地域が、最も需要のある所だと考え
ています。沿岸部においても、波を利用した発電な
ません。そのためにも「自分の技術を自分の商品に
変える機能」を持たないと弱いと思います。
要素技術だけでなく、技術を価値に変える。その
プロセスにこそイノベーションが必要です。まさに
自分で生きざまそのものをイノベートすることが求
められているのではないかと思います。
●行政に対して
まず、広島市が住み良いところであることが必要
ど、面白いと思っています。
パーキテック株式会社
〒732-0814
広島市南区段原南一丁目3番53号(広島イーストビル9F)
TEL(082)567-2211 FAX(082)567-2200
http://www.parchitec.co.jp
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ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
これから『売れる』サービスの勘どころ
∼サービス業振興セミナーから∼
昨今の市場環境の変化、特に高度サービス化の影響を受けて、サービス業は今まで以
上に顧客ニーズを反映させた綿密な取り組みが必要とされています。そこで、財団法人
広島市産業振興センターでは、去る12月5日にメルパルク広島において大阪市よりソ
ーケンマネジメント株式会社マネジメントコンサルタント新谷聡美氏をお招きし、「こ
れから『売れる』サービスの勘どころ」というテーマで、既存サービスの強化・新サー
ビス開発の着眼点などを内容としたサービス業振興セミナーを開催しましたので、その
概要をご紹介します。
サービス業を取り巻く環境の変化
●高度サービス化社会の到来
サ ー ビ ス ( service) の 語 源 は ラ テ ン 語 の 奴 隷
(servus)だと言われています。つまり相手の要求
日常のちょっとした非効率、不便、未達成といっ
たマイナスの状態を改善するということです。
② 空間を含めたトータルサービス
例えば、病院内でのBGMや待合室のサロン化な
に応えて報酬を得るという関係であって、相手の要
どによるサービスの差別化です。
求していることがわかることが必要です。
③ プラスアルファのベネフィット(利点)
現在は、市場に商品があふれかえっており、商品
そのものの特徴・魅力だけでは訴求できない時代に
アドバイス、
カウセリングの付加などのことです。
④ オリジナリティの発揮
なってきています。例えば商品のブランド、ネーミ
高い専門性。独自性・こだわりの追求です。
ング、ラッピング・容器やアフターサービス・接客
●ライフスタイルの変化とニューサービスの発展
サービスなどが購買欲を高める重要なファクターと
現在のように、景気が長期低迷し、社会成長が停
なっています。また、新しいものを求めて顧客のニ
滞してきますと社会の求心力が減少してきます。つ
ーズのニッチ(すき間)例えば運転代行や留守中の
まり従来のように会社のためにみんなで頑張ろうと
ペット預かり等を探している時代でもあります。
か頑張れば出世できるということが見えなくなり、
このような高度サービス社会の特徴として、①サ
先行きが不透明な時代になってきています。
ービス業そのものの拡大 ②ソフト重視型の発想の
このような時代に大切なものは何か。結局自分自
広がり ③付加サービスの重要性の高まりが挙げら
身なのです。そこでは個の充足ということがポイン
れます。
トになってきます。つまり身近なことにお金をかけ
総務省の統計によるとここ10年間でサービス業は
るようになったのです。
12.2%、従業者数は37.9%増加し、200兆円を超える
個の充足とは具体的には次のようなことです。
市場となっています。ビジネスチャンスは広がって
① 日常生活の充足→リビング、ガーデニング志向
いるのですが、サービス業に期待されるものはより
② 精神的満足感の獲得→心のゆとり、くつろぎ志
高度になってきています。
向
今までサービス業が提供してきたものとして、①
③ 健康への欲求→安心素材、ヘルスケア志向
役務の提供 ②技術の提供 ③情報の提供 ④施
④ 自己投資の追及→資格取得、知識修得志向
設・設備の提供 ⑤金融の提供が考えられますが、
⑤ 資産保全への興味→財テク志向
今後はこの5つの要素を複合的に提供していかなけ
今までは、文化志向、娯楽志向、社会志向、環境
ればならないと思います。このことを前提に今から
志向、情報志向のキーワードを押えれば成功に近づ
のサービス業に期待されるポイントを次のようにま
くと云われていましたが、現在は先に掲げた個を充
とめてみました。
足させることのニッチを探すことが重要になってき
① 非/不/未の緩和
ています。
6
ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
●アウトソーシングの広がり
アウトソーシングに関する事業所は、総務省の統
③ 競争優位性(強み)の確保
この3つの視点が事業の中で構築できるかが売れ
計によると最近の5年間で約6千から1万4千へ急
るサービスの分かれ目となります。
増しています。その背景には、アウトソーシングに
●ニッチを狙うのが成功の鍵
対する認識の変化が挙げられます。つまり従来は、
ニッチをさがすポイントを述べてみましょう。
アウトソーシングといえば自社が不得手なこと(主
まず非/不/未を掘り起こすことです。
大阪では、
要業務でないこと)を専門業者に任せる「外注」の
ただ寝るだけの昼寝屋が成功しています。このよう
概念であったものが、現在では自社の経営資源を核
にちょっとした不便をいかに改善するかが成功の可
となる主要業務に集中させるために、積極的に外部
否になっています。また、業種業態を超えて複合化
の専門企業に任せる経営戦略の一環として認識され
することも重要です。最近では単なる観光・娯楽旅
るようになりました。
行から指導書付きの社会見学ツアーも出てきていま
こうした、コア・コンピタンス経営を推進するた
めに、例えば、企画力が核であるメーカーなどでは、
す。
最後に、顧客対応の手段を変えることもおもしろ
製造業でありながら製造部門をアウトソーシングし
いと思います。例えば新鮮さをアピールするため魚
ている、工場を持たないファブレス経営を行ってい
のパック売りをやめてガラス張りで顧客の前でさば
るところさえ珍しくない時代となったのです。
くとか顧客をより呼び込むため商品の配置を換えて
みる。インターネットを活用することなどが考えら
売れるサービスの目のつけどころ
れます。
売れるサービスの切り口としては、個人に対して
●伸びるコツはシステムの確立
は個の充足、法人に対してはアウトソーシングの広
サービス業の伸びない要因はいろいろあります
がりということになりますが、サービスの具体的な
が、サービスにばらつきがあり、業務フローがなく
展開にについては,次のことがポイントとなります。
管理ができていない。顧客を産みだすしくみがない
●基本に忠実が一番
ことなどが主な要因となっています。そこで売れる
これはマーケティングのセオリーを守ることが、
システムを確立するため、次のことを提案したいと
結局は勝ちにつながるということです。マーケティ
思います。
ングのセオリーとは顧客のニーズがないところにサ
① サービスレベルの均質化のために、従業員の教
ービスを提供するのは難しいということです。
具体例を挙げますとソニーのベータは画像がきれ
いということが売りでしたが顧客ニーズはそうでは
ありませんでした。顧客は使いやすさや汎用性によ
って、VHSを求めたのです。スカイパーフェクト
TVは多様なコンテンツを売りに加入者を募りまし
たが、契約予定を大幅に下回っています。
このようにマーケティングのプロセスとしては、
育とマニュアル化を徹底する。
② 業務フローをルール化・スケジュール化してプ
ロセスごとの管理方法を確立する。
③ 既存顧客を固定化するとともに、次の顧客を産
み出すためのしくみづくりを行う。
●情報活用型への転換を
売れ続けるためのしくみづくりとして情報管理は
欠かせません。売れるサービスを展開していくため
顧客が必要としている声を聞き、自社の強み・弱み
には、戦略立案のための情報とどんなサービスを提
を分析した上でターゲットを絞り、4P(商品、価
供したか業務管理のための情報が必要となります。
格、販売チャネル、プロモーション)を構築するこ
売上データ、商品構成、顧客属性、顧客評価のデ
とが大切になってきます。
また、マーケティング戦略において次の視点は欠
ータを集積し、現状を把握する。そして、ライバル
社の動き、コスト構造などの情報を収集し、比較検
かせません。
討することにより問題点を抽出し、目標を明確化す
① 戦略ベクトル(方向性)の明確化
ることが重要です。
② ターゲット市場(顧客)の明確化
(当センターの責任で内容を要約しました。
)
7
ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
∼海外経済交流ミッションを終えて∼
広島市経済局産業誘致推進室では、昨年9月29日から10月5日にかけて、バイオ関連及び環境関連の企業
からなる経済交流ミッションをカナダモントリオール市へ、10月7日から10月17日にかけて、自動車関連及
び情報通信関連企業からなる経済交流ミッションを欧州(フィンランド、フランス、ドイツ)に派遣し、具体
的な商談や関係機関への働きかけ等を行いました。今回GETでは、経済交流ミッションに参加された広島市
経済局産業誘致推進室の方にその概要をご紹介していただきます。
問し、トップの方と直接面談して、その企業の持つ
カナダ モントリオールから
技術、ニーズ、海外進出の意向等を把握させていた
広島市経済局産業誘致推進室
だきました。また、こうして得られた情報をモント
主査 行 廣 真 明
リオールの窓口である JETRO モントリオール事務
所に提供し、広島の企業に興味を持つモントリオー
「行廣さん、やりましたよ。僕が理想としていた
企業がここにありましたよ。これから一緒にやって
いきますから、見ていてください。」
ルの企業を選定していただいたのです。
このようにして、モントリオールでは、広島から
の参加企業は7、8社のモントリオールの企業と商
これは、モントリオール滞在4日目に、企業訪問
談や訪問を行うことができ、その結果、各企業とも
から帰っていらした洲澤社長(ミサワ環境技術㈱)
2∼4件の取引や事業提携、共同研究が始まるとい
からの電話の第一声です。この言葉が、今回のモン
う成果がありました。
トリオール経済交流ミッションの全てを物語ってい
今回のミッションは、私たちの期待以上の成果を
ます。私たちスタッフは、この社長の言葉に興奮す
挙げることができましたが、その勝因は素晴らしい
るとともに、ミッションの成功を確信し、胸をなで
技術や製品を持つ広島の企業を発掘できたこと、そ
おろしたのでした。
してその正確な情報を提供できたため、パートナー
今回の経済交流ミッションは、民間企業5社の参
としてふさわしいモントリオールの企業をピックア
加を得て、昨年9月29日から10月5日までの7日間、
ップできたことに尽きます。そうした企業が同じテ
カナダのモントリオールを訪問しました。これまで
ーブルにつけば、結果は自ずから生まれてくるので
に行った3回のミッションはバイオ関連産業を中心
す。
に実施されていましたが、今回は環境関連企業に焦
点を当てました。というのは、種々の調査を行う中
で、広島には優秀な、つまり全国、世界に通用する
環境関連企業が多数あるということがわかったから
です。こうした企業にミッションに参加いただけれ
ば、モントリオールの技術や製品を移入するだけで
はなく、広島の技術力や製品をモントリオールに売
り込めると考えたのです。
そこで、私ども広島市経済局と JETRO(日本貿
易振興会)広島貿易情報センターの職員が企業を訪
8
ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
「NOKIA 社」に代表されるハイテク IT 産業が台
欧州(フィンランド・フランス・ドイツ)から
頭していますが、こうした成功の要因は、フィンラ
広島市経済局産業誘致推進室
ンド政府の施策の下、TEKES(技術庁)、SITRA
主査 神 岡 正 浩
(研究開発基金)、VTT(国立技術研究センター)
等の支援が充実していることや企業と大学との強い
この度のミッションは、一昨年10月の市長トップ
協力関係があること、加えてインノポリ社のような
セールスを踏まえ、具体的な商談や関係機関への働
ビジネス・インキュベーションが大きく関わってい
きかけ等を行うため、広島地域の自動車関連企業や
ることであり、「 hiBIC」計画を進めていく上で、
IT(情報通信)関連企業を中心とした経済交流ミ
大変参考になりました。
ッションを編成し、昨年10月7日から10月17日まで
の11日間、欧州を訪問しました。
ま た 、 PSA Citroen 社 、 ル ノ ー 社 、 Audi 社
(VW グループ)、BMW 社では、現在、会社の設
フィンランド(ヘルシンキ市)では、フィンラン
立準備を進めている「広島自動車デザイン開発会社
ド日本商工会議所、ヘルシンキ市役所、
(仮称)
」についてのプレゼンテーションを行いまし
INNOPOLI(インノポリ)社、ヘルシンキ IT 研究
た。この自動車デザイン開発会社は、自動車のデザ
所、フィンランド経済団体連合会、フィンランド経
イン開発を一括して受注できる会社を設立しようと
済産業省を、フランス(パリ市)では、パリ市役所、
するもので、広島地域の自動車関連企業を中心に昨
PSA Citroen 社、ルノー社、パリ商工会議所を、
年5月に「広島自動車デザイン開発会社(仮称)設
ドイツでは、Audi 社(インゴールスタット市)、
立準備会」を発足し、会社設立のための検討を進め
BMW 社(ミュンヘン市)、ホーフ市を訪問しまし
ているところです。また、11月には準備会事務所が
た。
開所されました。
そして、「広島市経済セミナー」を開催し、欧州
訪問した自動車メーカー各社とも、この新会社の
の自動車関連企業や IT 関連企業とのビジネス・マ
コンセプトについてご理解していただき、この会社
ッチングを行ったり、本市の立地環境を説明しまし
に関心を持っていただきました。そこで、今後も引
た。さらに、本市に21世紀のリーディング産業であ
き続き、コンタクトを取り、詳細な事業計画(ビジ
る IT 産業と広島の基幹産業である自動車産業にフ
ネス・プラン)を提示して、将来的にはこうした自
ォーカスした産業拠点をつくり、新事業を創出しよ
動車メーカーからの新規受注に向けてのセールスを
うとする「hiBIC」
(hiroshima Business Incubation
推進していきたいと思っています。
Center)計画、すなわち、具体的には自動車デザ
イン開発会社を設立し、ベンチャー育成のための教
育機関(ビジネス人材育成センター)を併設したビ
このように、
この度のミッション派遣においては、
また次に繋がる成果があったと思います。
こうした動きがますます活発化することにより、
ジネス・インキュベーションセンターを設置しよう
広島と欧州との企業がグローバルに繋がり、広島が
とする計画についてプレゼンテーションを行い、広
自動車・IT の産業拠点としての展開が図られると
島を進出の候補地としてもらうよう PR を行うとと
思います。
もに経済交流の協力要請を行いました。
そうした中、10月下旬には、パリ市でビジネス・
マッチングを行った企業が、ミッションで来日し、
その際、広島を訪問して意見交換を行いました。ま
た、引き続き、情報交換を行っている企業もありま
す。
また、フィンランドでは、御存知のように、近年
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ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
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「デザインフェア広島2002」開催
今回の「デザインフェア広島2002」は、
「デザインネットワークが始まる」をテーマに優れたデザイン商品、
作品等の展示とシンポジウム、交流会を行うことにより、広島地域のデザイナーとデザイン関係者間の連携を
図ることを目的に開催しました。その概要をご紹介します。
1 展示
11月15日(金)から21日(木)までの7日間、中区袋町の旧日本銀行広島支店で開催しました。内容は、広
島のデザイナーによる作品や広島の企業によってデザインされた商品の展示のほか、地元のデザイン関連学校
で学ぶ学生の作品、広島のデザイン賞を受賞した商品、ネットワーク先進事例などで約400点を展示しました。
また、展示会場内にステージを設置し、日替わりでさまざまなデザイナーによるトークやショーを行いまし
た。若い学生のエネルギーはじけるファッションショーや、ベテランデザイナーによるトークなど多彩な内容
で行われ、来場者にも好評でした。
期間中の来場者数は延べ4,808人で、多くの方に足を運んでいただくことができました。
2 シンポジウム
11月16日(土)の午後1時30分から4時30分まで、
中区袋町の広島市まちづくり市民交流プラザで開催
しました。基調講演は「生活軸のデザイン」をテー
マに、大阪在住で㈱IDKデザイン研究所代表取締
役であり、国内外で活躍中の工業デザイナー、喜多
俊之氏が講師となり「日本のこれからのものづくり
はハイテクとハイセンスで勝負していくことが必要
であり、今後はますますデザインの時代である」と
強調されました。
また引き続き行われたパネルディスカッションは
「スローデザイン」をテーマに、喜多氏のほか東京のベンチャー企業であるフラオグルッペ㈱代表取締役社長
の沖幸子氏、広島大学大学院教授の杉本俊多氏がパネリストとなり、㈱新広島設計代表取締役会長の錦織亮雄
氏がコーディネーターとなって進められました。新しい概念である「スローデザイン」の検証を通して、沖氏
は「企業の経営にもデザインにも必要なのはバランス感覚やセンスであり、シンプルな暮らしのなかで自然に
生きることから良い物が生まれる」と述べ、杉本氏は「現代社会では消費は美徳ではなくなってきている。周
りに対する影響を考えてものづくりを行うことが重要で、産業にも文化を作るという発想が必要」と強調し、
喜多氏は「日本の伝統工芸品には作り手の気が込もっており、そういう姿勢が今後のものづくりには必要とな
る。よみがえった広島は世界の希望の街であり、スローな暮らしの復活についてぜひ広島から発信してほしい」
と主張されました。
3 交流会
シンポジウム終了後、同じく市民交流プラザにおいて、講師を囲んで交流会を行いました。
講演を聞かれたデザイナー、企業家、学生など様々な方が参加され、シンポジウムの内容について直接講師
に質問したり、参加者同士で情報を交換するなど終始なごやかに歓談され、このイベントのテーマであるネッ
トワークづくりにも有益な会となりました。
「デザインフェア広島2002」については今後も隔年で開催していく予定です。また、引き続きデザインネッ
トワークづくりの手法について検討を行っていきたいと思っておりますので、より多くの企業やデザイナーの
方がネットワークに御参加下さることを願っています。
(技術振興部デザイン開発室)
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ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
活動紹介 「新製品デザイン開発研究会」(平成14年度)
多種多様な製品が新たに生み出されるなかで、製品そのもののデザイン展開だけでなく、CI(コーポレ
ートアイデンティティー)といった自社のあるべき姿(企業イメージ)を誰もが理解できるよう目に見える
形で社会に表明し、顧客に製品の確かさを伝えることが重要となっています。新製品開発研究会では会員各
社の現状CIと照らし合わせながら、デザイン展開のシミュレーションと研究を行っています。
目 的
本研究会はCIの概念などを学び、ビジュアルデ
ザインの導入、パッケージや名刺などの関係アイテ
ムへの適用展開を行い、自社ブランドの確立と付加
価値の高い商品づくりを目的に開催しています。
メンバー
㈱オガワ ㈱岸工業
堂本食品㈱ 丸徳海苔㈱
㈱ミカサ リョーコクショウジ㈱
内 容
自社のCI実践展開に向けて、CIの概念や、C
Iのデザインワーキングなどを行います。(年間7
回開催)今回は、研究会の開催内容について紹介し
ます。
■第1回 CIとは何か
CIとは(コーポレートアイデンティティー)の
略であり、「企業イメージの統一」をするためのシ
ステムの一つです。現在、このCIを多くの企業が
経営革新や営業戦略の転換策として用いています。
CIはそこで働く従業員の意識改革や経営の総合
的な戦略として考えられ、現在では重要な役割を担
っています。
このようなCIを作り上げていくために、自社の
企業理念や自社の社風、対外的なイメージ、社名や
社章についてイメージを再構築する演習を行いまし
た。
■第2回 CIと企業イメージ
CIというのはまず自社がどのように見られたい
■3回 CIと社名ネーミング
CIと共に新しく社名を考える場合には、その企
業の思想をきちんと反映しているのか、類似性がな
いか、印象が強いか、視認性が優れているかなどを
さまざまな観点から検討をする必要があります。
また文字の形状によって受けるイメージが全く異
なるものになってしまうこともあるので、フォント
や文字の太さなどについても細かな検討が必要にな
ってきます。
■第4回 CIとデザイン1
今後あるべきイメージを策定する作業が終了する
と、今度はデザインを開発する作業へ転換していき
ます。デザインを組み立てていく場合には、まずど
のようなイメージにするのかといったデザインの照
準(クライテリア)を決めます。いくら美しいマーク
が完成したとしても、自社のイメージにあっていな
ければ使い物にならないものとなってしまいます。
照準の中心となるイメージ語は、企業の実績に最
も効果的に作用するキー・イメージが選ばれます。
消費者や業界が自社に何を要求しているのか、自社
はどう答えてゆくのかがイメージ語のポイントです。
■第5回 CIとデザイン2
企業にふさわしいイメージキーワードが決まった
ら、CIの基本要素となるマークやコーポレートカ
ラーなどのアイテムを定めます。
次に適用アイテムに沿ってデザインの細部の仕上
げに入ります。例えば看板に用いた場合、拡大縮小
した時の見え方や、横組みで作ったものに関しては
のか、どのように見られているのかを認識すること
から始まります。イメージの形成のための情報は視
縦にした時のバランスなども検討します。また色彩
覚情報が85%を占めているため、名刺や封筒、看板
や営業車といった目に触れるあらゆるものがその企
ノクロのものなどさまざまなバージョンを用意する
かどうかも併せて検討します。
業のイメージを形成する重要な要素となります。
現在の企業競争の中では「イメージ」が切り札に
なっているといわれており、これは第1に、技術競
争の結果、製品の品質差がなくなり、サービス態勢
でも大差がなくなってきたことがあげられます。
企業イメージを形成する上でマークやロゴタイプ
は重要な役割を担っていて、その企業が目標とする
望ましいイメージを形成できる事が大切なのです。
に関してはカラーのもの、白抜きの場合のもの、モ
今後のCIについて
新商品が次々とリリースされる中で、企業はブラ
ンドイメージを持つ事によって、他との差別化を企
る必要があります。そのためには、CIのシステム
(消費者に与える企業イメージを計算に入れた)
に基づいたデザインの戦略的ビジュアル(社名、ロ
ゴマークなど)展開を図ることが必要です。
(技術振興部 寺戸 毅、平松 志保)
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ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
機能モデルによる材料の塑性変形シミュレーション
1.まえがき
自動車は多数の部品で構成されています。部品の
極限性能を調べる試験などは非線形性が強いので
す。材料の塑性変形等の非線形性を解析的に検討す
る方法は現時点では確立されていません。製品開発
においても、材料の塑性変形等を開発段階で解析的
に予測できれば、製品開発期間の短縮やコストの削
Ks
Cs
Ds
減につながります。
本研究では、動的な非線形問題が容易に解けるこ
とで最近注目されている機能モデルを用いて材料モ
デルを作成し、単軸応力場における引張試験片の弾
塑性変形シミュレーションを行いました。
2.材料モデルの作成
盧 機能モデルの作成
延性のある金属材料に荷重を加えて除荷した時に
元の形状に戻る変形を弾性変形、戻らない変形を塑
Fig.1 材料モデル
降伏点を原点としたグラフに書き換え、各々の負荷
荷重におけるグラフの接線を求めます。しかし塑性
おいても弾性域、塑性域を区別しました。
まず、
弾性域における機能モデルを作成しました。
材料を一軸方向に引張る場合、負荷荷重に対する変
形量は材料固有の値となります。機能モデルではこ
抵抗係数 Cs は荷重と速度の関係を結び付ける係数
であることから、実験データの荷重−伸び線図を繰
返し計算におけるサンプリングタイムで除して荷
重−速度の関係に変換し、Cs の導出を行いました。
また、内部粘性減衰係数 Ds は材料データブックに
れをばね要素として扱い、ばね定数を Ks としまし
記載している値を用いました。
た。また、材料に衝撃荷重を与えた場合振動を起こ
しますが、いずれは減衰してその振動は収まります。
その振動の減衰率は機能モデルでは内部粘性減衰に
相当し、粘性減衰係数を Dks としました。
次に、
塑性域における機能モデルを作成しました。
3.シミュレーション結果
シミュレーションにより得られた結果を Fig.2 に
示します。縦軸は荷重[N]、横軸は伸び[m]と
しています。今回は試験材料としてチタンを用いま
塑性変形は、形状を元に戻さない性質を有します。
そこで、機能モデルでは負の速度を入力速度に加算
します。また、負の速度は負荷荷重に対して各々の
値であり、荷重と速度を関係付ける係数を塑性抵抗
係数 Cs としました。
した。入力条件は試験機上部入力速度を8.33×10-6
[m/s]、試験機下部入力速度は固定としました。図
より、シミュレーション結果と実験結果はほぼ重な
り、非常に精度の高いシミュレーションが実現でき
ました。
性変形と区別しています。機能モデルを作成するに
以上の係数要素を繋ぎ合せて作成した機能モデル
を Fig1 示します。エネルギーは左から右に流れる
ものと仮定して符号を付けました。図において左側
の入力速度、出力荷重はそれぞれ試験機上部の入力
速度、出力荷重、右側の入力速度、入力荷重はそれ
ぞれ試験機下部の入力速度、
出力荷重としています。
盪 パラメータの導出
材料の剛性 Ks、内部粘性減衰 Ds、塑性抵抗係
数 Cs の導出を行います。本研究では、実験データ
をシミュレーションに適用することを試み、実験で
得られた引張試験の荷重−伸び線図を用いました。
塑性抵抗係数 Cs の導出では、まず実験データの
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Fig.2 シミュレーション結果
(技術振興部 清水 功史)
ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
平成14年度 補助金対象新設機器の紹介
〈日本自転車振興会補助金対象機器〉
広島市の中小企業が抱えている技術的な課題に対応する試験・検査・指導用の機器の整備を図るために日本
自転車振興会からの補助を受けて下記の機器を導入しました。
微小硬度計
○用途 微小な領域で、主に金属の硬さを計測します。
○型式 ㈱フューチュアテック製 FM-ARS7000
○仕様 試験荷重 98.07∼9807mN
対物レンズ 10倍、50倍
メカニカルCAEシステム
○用途 製品開発において、デジタル技術を応用した設計・解
析などを支援するためのシステムです。
○概要
ハードウェア
コンピュータ本体、ディスプレイ、プリンタ
ソフトウェア
1 ADINA社 ADINA7.5
2 SDRC社 I-DEAS9
〈地域再生産業集積対策事業費補助金対象機器〉
自動車関連産業をはじめとした中小企業の技術の高度化等を支援するため、経済産業省からの補助金を受け
て、より高精度な材料評価試験機器を導入しました。
精密万能試験機
○用途 金属、セラミックス、プラスチック等の各種材料の引
張性質、曲げ性質、圧縮性質等の機械的性質を高精度
に測定することができます。
○型式 ㈱島津製作所製 AG−250kNI
○仕様
ロードセル容量 250kNおよび10kN
クロスヘッドテーブル間 最大1440mm
有効試験幅 575mm
負荷方式 ACサーボモータ
クロスヘッド速度 0.0005∼500mm/min
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ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
広島市中小企業支援センターだより
窓口相談のご案内【無料】
窓口相談員(中小企業診断士や弁護士等)、当センターのマネージャー・職員が、広島市内の中小企業が抱
える経営向上のための様々な相談や経営上生じた法律に関する問題についての相談、創業者の事業の立ち上
げ等に関する相談に応じ、助言を行います。
【秘密厳守】
■専門家による経営相談
原則第1∼第4火・金曜日の9:00∼16:00は、経営の専門家が相談に応じます。(1件1時間)
※ 混雑している場合お待ちいただくことがありますので、なるべく事前に連絡してください。
■弁護士による法律相談
原則第2・第4木曜日の13:00∼17:00は、弁護士が経営に関する法律相談に応じます。(1件50分)
※ 法律相談は事前の予約が必要となります。予約申込は相談日の1週間前までにお願いします。
■窓口相談員予定(3月) ※窓口相談員の予定は、予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
3月
日
曜
相談員名
資 格
専門分野
中小企業診断士
ITコーディネータ
中小企業診断士
税理士
中小企業診断士
社会保険労務士
経営戦略立案から情報システム運用まで一貫した支援
4
火
普家 浩文
7
金
高見澤正夫
11
火
川上 正人
13
木
山本 敬三
弁護士
法律問題に関するアドバイス
14
金
山根 敏宏
中小企業診断士
1級販売士
創業支援(資金アドバイス)、経営支援(経営革新)
18
火
酒井 健次
中小企業診断士
事業承継・後継経営者養成、マーケティング戦略策定
20
木
新居 敏春
25
火
伊藤 雅次
中小企業診断士
社会保険労務士
財務内容改善、資金繰り・資金調達のアドバイス
27
木
青山 裕
弁護士
法律問題に関するアドバイス
28
金
藤田悠久雄
中小企業診断士
1級販売士
小売・サービス業の経営支援・販売促進、創業支援
経営全般、税務・経理に関するアドバイス
ベンチャー企業等の経営革新支援、流通業の業務改善
新商品開発、新規事業企画、社員教育、販売促進
■このほか、日時・相談員を指定できる予約窓口相談、電話やEメールによる相談も随時行います。
《申込み先》譛広島市産業振興センター 産業振興課 中小企業支援係
TEL(082)278-8032 FAX(082)278-8570
E-mail
[email protected]
広島市中小企業勤労者共済事業(愛称:ドゥプレ)のご案内
事業主の皆様は、優秀な人材を確保・定着させるために、従業員の健康管理、生活の安定、余暇の積極的
な活用といった福利厚生の充実に取り組んでおられると思います。こうした皆様の福利厚生のお手伝いをす
るのが広島市中小企業勤労者共済事業(ドゥプレ)です。充実した福利厚生が安価な経費で実現できますの
で、ぜひご加入ください。
■5つの加入メリット
① 割安な負担で、パーティ・日帰り旅行などのレクリエーションに参加できます。
② コンサートなどの各種チケット、その他割引あっせんがあります。
③ 人間ドッグ・宿泊施設の利用など各種利用助成があります。
④ お祝い事、ご不幸があったときの慶弔金、その他出産・入学などの祝金の給付があります。
⑤ 特約店・施設の割引利用があります。
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ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
■入会できる方
中小企業に従事し、広島市内に居住する事業主および従業員。
■会 費
1人につき入会金500円、会費月額1,000円です。
■お問い合わせ先
譛広島勤労者職業福祉センター(広島市西区商工センター三丁目1番1号 広島サンプラザ2階)
TEL(082)278-8001
FAX(082)278-7011
中小企業倒産防止共済制度のご案内
中小企業倒産防止共済制度は、取引先事業者の倒産の影響を受けて、中小企業が倒産する事態(連鎖倒産)
または、倒産に至らないまでも著しい経営難に陥る事態の発生を防止するため、毎月一定金額を掛け、万一
取引先事業者が倒産し、売掛金や受取手形などの回収が困難となった場合には、掛け金総額の10倍の範囲内
で共済金の貸付けを受けることができる共済制度です。
■加入資格・掛金
引き続き1年以上事業を行っている以下の中小企業者です。
☆ 従業員数300人以下または資本金3億円以下の製造業・建設業・運送業その他の業種の会社及び個人。
☆ 従業員数100人以下または資本金1億円以下の卸売業の会社及び個人。
☆ 従業員数100人以下または資本金5千万円以下のサービス業の会社及び個人。
☆ 従業員数50人以下または資本金5千万円以下の小売業の会社及び個人。
☆ 企業組合、協業組合など。
■掛金
☆ 毎月の掛金は、5,000円から80,000円までの範囲内(5,000円きざみ)で自由に選べます。
☆ 加入後、増・減額ができます(ただし、減額する場合は一定の要件が必要)。
☆ 掛金は、総額320万円になるまで積み立てることができます。
☆ 掛金は、税法上損金(法人)または必要経費(個人)に算入できます。
■貸付事由
加入後6か月以上経過して、取引先企業が倒産し、売掛金債権等について回収が困難となった場合です。
■貸付金額
掛金総額の10倍に相当する額か、回収が困難となった売掛金債権等の額のいずれか少ない額となります
(一共済契約者当たりの貸付残高が3,200万円を超えない範囲)。
■お問い合わせ先
お取引先の金融機関の本支店・商工会連合会・市町村の商工会・商工会議所・中小企業団体中央会など
の中小企業総合事業団と業務委託契約しているところへお問い合わせください。
中退共制度(中小企業退職金共済制度)のご案内
中退共制度(中小企業退職金制度)は、退職金制度を持つことが困難な中小企業に、中小企業の方の相互
共済と国の援助で退職金を支払うことができるようにすることを目的として作られた国の制度です。
■中退共制度の特色・掛金
☆ 国の制度ですので、安全・確実・有利です。
☆ 掛金を納めるだけで企業の実態にあった退職金制度を手軽にもつことができます。
☆ 掛金の一部を国が助成します。
☆ 掛金は税法上、全額損金・必要経費として非課税になります。
☆ 加入前の過勤務期間や転職した場合に通算ができます。
■加入の手続き
所定の申込書に記入・押印のうえお近くの金融機関または委託事業主団体へ申込んでください。
■お問い合わせ先
広島退職金相談コーナー(広島市中区東平塚町1番14号大興平塚ビル9階)
TEL(082)240−7151 FAX(082)240-7153
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ひろしま中小企業支援情報 Vol.6
セミナー開催のご案内
中小企業IT推進セミナー
流通部門へのIT導入による経営革新
日 時 2月28日(金)13:30∼16:30
場 所
広島国際会議場ダリア(広島市中区中島町1番5号 平和記念公園内)
講 師
基調講演――㈱グローバルマネジメントディレクションズ 坂田 淳一 氏
事例発表――㈱ナシオ 取締役(管理本部部長)佐々木 久人 氏
対象者
定 員
中小企業経営者等
120名(先着順)
入場料
無料
小売業販売促進セミナー
販売促進のポイント「効果的な販売活動に求められるものは何か。
」
日 時 3月5日(水)13:30∼16:30
場 所
メルパルク広島 5階「瀬戸の間」(広島市中区基町6番36号)
講 師
対象者
定 員
入場料
㈱マーケティング・ナビ 代表取締役社長 三宅 曜子 氏
小売業を中心とする中小企業者及び小売業に興味をお持ちの方
50名(先着順)
無料
自動車関連企業新商品開発セミナー
自動車関連企業新商品開発事例集掲載企業による事例発表
日 時 3月11日(火)13:30∼16:30
場 所
メルパルク広島 5階「桜の間」(広島市中区基町6番36号)
講 師
基調講演――㈱吉田経営研究所 代表取締役 吉田 利兵衛 氏
事例発表――㈱秦野精密 代表取締役 渕脇 忠夫 氏
㈱浅沼技研 代表取締役 浅沼 進 氏
進行役―――広島市中小企業支援センター プロジェクトマネージャー 高橋 滋 氏
対象者
定 員
入場料
中小企業経営者等
70名(先着順)
無料
■各セミナーの申込み・問い合せ先
譛広島市産業振興センター 産業振興課
TEL(082)278-8880 FAX(082)278-8570
ひろしま中小企業支援情報GET 2003年2月号№6 2003年(平成15年)2月20日発行
編集・発行 財団法人広島市産業振興センター
産業振興部 広島市西区草津新町一丁目21番35号
技術振興部 広島中区千田町三丁目8番24号
先端科学技術研究所 広島中区千田町三丁目8番24号
TEL(082)278-8880
FAX(082)278-8570
TEL(082)242-4170 FAX(082)245-7199
TEL(082)247-0263 FAX(082)247-9753
URL:http://www.economy.city.hiroshima.jp「広島市の産業と観光」 E-mail:[email protected]
URL:http://www.assist.ipc.city.hiroshima.jp「広島市中小企業支援センター」
URL:http://www.sentan.city.hiroshima.jp「広島市先端科学技術研究所」
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