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企画調査終了報告書(PDF:6835KB)

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企画調査終了報告書(PDF:6835KB)
公開資料
社会技術研究開発事業
研究開発プログラム
「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」
平成21年度採択プロジェクト企画調査
終了報告書
プロジェクト企画調査名
「文教活動をてこにした文の京の
脱温暖化可能性調査」
調査期間
平成21年10月~平成22年3月
研究代表者氏名:花木
啓祐
所属、役職:東京大学大学院工学系研究科・教授
目
次
1.プロジェクト企画調査 ................................................................................................... 1
2.企画調査構想 ................................................................................................................. 1
3.企画調査実施体制 .......................................................................................................... 3
(1)体制 ............................................................................................................................ 3
(2)メンバー表 ................................................................................................................. 4
(3)運営のための会議開催 ............................................................................................... 5
4.実施内容及び成果 .......................................................................................................... 6
(1)実施内容および成果(全体) .................................................................................... 6
①プロジェクト提案を目的とした企画調査のねらい ........................................................... 6
②普及拡大戦略調査グループの成果 .................................................................................... 6
③学校と家庭での実践試行グループの成果 .......................................................................... 9
④成果のまとめとフルプロジェクト提案への反映 ............................................................. 12
(2)実施内容および成果(グループ毎) ........................................................................ 13
①普及拡大戦略調査グループ ............................................................................................. 13
a) 東京都文京区の特徴 ...................................................................................................... 13
b) 主体的行動誘発のための社会調査 ................................................................................. 17
c) 地域内の活動の組織化の検討......................................................................................... 34
c)-1. 既存の活動 ............................................................................................................. 34
c)-2.文の京知恵の実現センター ...................................................................................... 36
c)-3. 体験型実践講座 ...................................................................................................... 43
②学校と家庭での実践試行グループ .................................................................................. 58
a) 各種イベント・講座への脱温暖化要素組み込みの試行 ................................................. 58
a)-1.目的.......................................................................................................................... 58
a)-2.方法.......................................................................................................................... 58
a)-3.プログラムごとの結果と考察 .................................................................................. 61
a)-4. 全体の考察 ............................................................................................................. 98
a)-5. 報告会の開催 ....................................................................................................... 115
a)-6. 各種プログラム試行からの考察 ........................................................................... 119
b) 学校における教育と省エネの実践 ............................................................................... 119
b)-1
幼稚園での地球温暖化教育の試み....................................................................... 119
i
b)-2
文京区立大塚小学校での実施結果....................................................................... 131
b)-3
葛飾区立葛飾小学校での実施結果....................................................................... 157
b)-4
葛飾区立葛飾小学校での省エネナビを用いた省エネ授業の実施結果 ................. 164
b)-5
文京区立汐見小学校での実施結果....................................................................... 173
c) 学校における環境教育の波及効果のアンケート調査・分析 ........................................ 183
c)-1 実施プログラムの概要........................................................................................... 183
c)-2 効果的な学習プログラムの検討のための調査・分析 ............................................ 185
c)-3 学校から地域への波及効果の調査・分析 .............................................................. 194
c)-4 省エネルギーの見える化機器導入による意識変化の調査 ..................................... 205
c)-5 環境教育に関する先進地区調査結果 ..................................................................... 210
5.成果の発信等 ............................................................................................................. 222
ii
1.プロジェクト企画調査
(1)研究代表者名
:花木
(2)プロジェクト企画調査名
(3)企画調査期間
:
啓祐
ふみ
みやこ
:文教活動をてこにした文の 京 の脱温暖化可能性調査
平成21年10月~平成22年3月
2.企画調査構想
幼稚園・保育園から大学までの各段階の文教活動をてこにした脱温暖化社会の実現に
関して、人々が主体的にかかわる脱温暖化社会の形成のためにはどのような方法が有効
であるかを、調査と試行によって明らかにする。具体的には、主体的行動誘発のための
社会調査により、人々の脱温暖化行動の制限因子・促進因子を明らかにすること、地域
内の脱温暖化の活動の組織化の方向を明らかにすること、各種の講座やイベントに脱温
暖化の要素を組み込む試行によりその効果を明らかにすること、学校に対する調査と省
エネ活動を実施し、その効果と可能性を明らかにし、これらを元にして研究開発プロジ
ェクトの計画を立案することが目標である。
a)主体的行動誘発のための社会調査、およびb)地域内の活動の組織化の検討、を実施
する「普及拡大戦略調査グループ」と、c)各種講座への脱温暖化要素組み込みの試行、d)
学校における教育と省エネの実践、を実施する「学校と家庭での実践試行グループ」に
よって企画調査を進める。
それぞれが担当する内容は以下の通りである。
a)主体的行動誘発のための社会調査
脱温暖化社会の形成に向けて、いかなるインセンティブと社会的な状況が人々の主体
的な行動を呼び起こすかを、東京都文京区を対象にした大規模な社会調査によって明ら
かにする。
本調査では成人を対象にし、家庭における環境配慮型行動として、いかなる行動が一
般に認知され、実行されているかを、まずインタビューを通して明らかにする。その上
で、脱温暖化に寄与しうる行動を抽出し、各抽出行動について、その実行度、行動困難
さの認知、その行動をおこなってみたいという行動意図、行動実行の制約となっている
因子を、大規模アンケートにて明らかとする。アンケート結果より、各行動を、制約因
子や実行しやすさなどに基づき類型化すると同時に、各因子と、年齢、性別、趣味、嗜
好、習い事などといった個人属性がどのように関係しているかを明らかにすることによ
り、今後どのようなグループに優先的に働きかけることによって、行動誘発が可能とな
1
るかを評価する。このアンケートを行うにあたっては、インターネット調査会社を活用
して調査を実行する。このインターネット調査では文京区在住のモニターを対象にする
ため、脱温暖化に積極的な人々のみならず、環境に無関心な層の回答を得られることも
利点である。
b)地域内の活動の組織化の検討
東京都文京区において大学および企業に代表される事業所系、商店、家庭部門、に脱
温暖化の活動を拡大させていくための組織化の方策について検討する。
これら各部門の活動をつなげるハブとしての「文の京(ふみのみやこ)知恵の実現セ
ンター(仮称)」を設置する場合、この組織が果たすべき役割について検討する。期待
される役割としては、技術的な面での情報交流がまず挙げられる。学校及びオフィスの
建物の省エネルギーに関する技術のシンクタンクとしての役割、また家庭部門のさまざ
まな省エネルギー型ライフスタイルのショウケースとしての役割である。これらの役割
の必要性を中小企業に対しては聞き取り調査やアンケートにより明らかにする。本企画
調査にて行う学校と家庭部門の実践の成果も本検討に反映していく。
また、文京区の温暖防止地域推進計画との間での相互のフィードバックなど、地域全
体としての組織化を図るための可能性、文京区の各種政策との関係について検討する。
c)各種講座への脱温暖化要素組み込みの試行
文京区および他地域で行われている、文化・スポーツ・市民活動・職業理解体験・教
科学習に関する活動など様々な講座に、脱温暖化ライフスタイルの気づきを勧めるプロ
グラムを試行的に組み込み、講座参加者(保護者・児童生徒・スタッフ等)への調査を
実施する。講座のテーマは、環境とそれ以外も含めた領域に渡る。
これらの試行から、参加者の主体的な行動の誘発への有効性ならびに方法を探る。試
行の対象となるのは、文京区内のNPO、講座主催者を主とするが、あえて文京区内に限
らず他区のNPOに対してもこの試行を行い、効果が上がるケースを見いだしていく。延
べ10回程度の講座において試行する。
また、講座主催者が脱温暖化行動の啓発・広報の有効な企画運営を行う為の実践的連
続講座をサンプリングと並行して開催し、多様なネットワークの構築を図る。こちらで
は、メデイアリテラシー、有効な啓発のノウハウ、などを中心とした連続3回の講座を
予定している。
これらと併せて、日本各地での先進的な事例を検討し、参考にする。
2
d)学校における教育と省エネの実践
学校及び家庭部門での温暖化防止活動の推進のために、以下の事項を行う。
・ 学校内での温暖化防止活動を引き出す体験型環境学習プログラムを地域との連携
で試行
・ 効果的な学習プログラムの検討のための調査・分析
・ 学校から地域への波及効果の調査・分析
・ 省エネルギー機器の導入による温暖化防止に向けた意識変化の調査
・ それらに関する先進的事例の収集及び聞き取り調査による有効な手法の検討
・ 幼稚園・保育園での幼児環境教育の可能性について、出版社と協働して検討
さまざまなレベルの学校・幼稚園等に対して、教員・職員または生徒を対象にした調
査を行う。また、幼稚園・保育園から高校について個別の訪問調査によってきっかけと
なる活動を探る。
学校における省エネルギープログラムの実施を行うと共に、家庭部門への波及につい
て有効な方法を検討する。
3.企画調査実施体制
(1)体制
普及拡大戦略調査グループ
東京大学大学院工学系研究科(花木啓祐)
主体的行動誘発のための社会調査および地域
内の活動の組織化の検討を担当
研究代表者
(花木啓祐)
学校と家庭での実践試行グループ
環境ネットワーク・文京(澤谷 精)
各種講座への脱温暖化要素組み込みの試行、
学校における教育と省エネの実践を担当
3
(2)メンバー表
①普及拡大戦略調査グループ:○印はグループリーダー
氏
名
○花木啓祐
栗栖
聖
荒巻
俊也
澤谷
精
柳沢
幸雄
田代
純子
青木
えり
(オブザーバー)
所 属
役 職
研究項目
参加時期
東京大学大学院
工学系研究科
東京大学先端科
学技術研究セン
ター
東洋大学国際地
域学部
環境ネットワー
ク・文京
環境ネットワー
ク・文京
文京区役所 資
源環境部環境政
策課
東京大学大学院
工学系研究科
教授
統括・主体的行動誘発のた
めの社会調査
主体的行動誘発のための
社会調査
H21年10月~
H22年3月
H21年10月~
H22年3月
主体的行動誘発のための
社会調査
地域内の活動の組織化の
検討
地域内の活動の組織化の
検討
地域内の活動の組織化の
検討
H21年10月~
H22年3月
H21年10月~
H22年3月
H21年10月~
H22年3月
H21年10月~
H22年3月
主体的行動誘発のための
社会調査
H21年10月~
H22年3月
講師
教授
理事長
副理事
長
課長
大学院
生M1
②学校と家庭での実践試行グループ:○印はグループリーダー
氏
名
○澤谷 精
三芳千恵子
和田
菅
真澄
完治
所
属
環境ネットワー
ク・文京
環境ネットワー
ク・文京
リサイクル イ
ン 文京
環境ネットワー
ク・文京
役
職
理事長
理事
会長
青少年
地区対
策委員
会長
研究項目
参加時期
統括・学校における教育と
省エネの実践
各種講座への脱温暖化要
素組み込みの試行
各種講座への脱温暖化要
素組み込みの試行
各種講座への脱温暖化要
素組み込みの試行
H21年10月~
H22年3月
H21年10月~
H22年3月
H21年10月~
H22年3月
H21年10月~
H22年3月
各種講座への脱温暖化要
素組み込みの試行
H21年10月~
H22年3月
島田
幸勇
文京区商店街連
合会
鈴木
孝弘
東洋大学経済学
部
教授
学校における教育と省エ
ネの実践
H21年10月~
H22年3月
石幡
愛
伸一
大学院
生D1
教授
環境学習効果の解析
市川
東京大学大学院
教育学研究科
東京大学大学院
教育学研究科
H21年10月~
H22年3月
H21年10月~
H22年3月
中村
洋
(財)地球・人間環
境フォーラム
研究員
学校における教育と省エ
ネの実践
(オブザーバー)
環境学習効果の解析
4
H21年10月~
H22年3月
(3)運営のための会議開催
本企画調査を構成する二つのグループは、特に環境ネットワーク・文京を通じて日常
的に連携がとれているが、企画調査の進捗状況を確認し、調査を有効に進めるために毎
月定例の運営会議を開催した。それぞれの会議と、その際の議論の主たる内容を示すと
以下のようになる。
回数
第1回
日時
2009年10月7日(水) 18時か
ら19時半まで@東京大学
2009年11月12日(木)18時か
第2回
ら20時まで@東京大学
2009年12月11日(金)18時か
第3回
ら20時半まで@東京大学
2010年1月26日(火)18時か
第4回
第5回
ら20時まで@東京大学
2010年2月17日(水)18時か
ら20時まで@東京大学
2010年3月23日(火)16時半
第6回
から18時半まで@東京大学
討議内容
キックオフミーティングとして、研究領域全体
とプロジェクトのねらいについて理解したあ
と、半年間の企画調査の基本方針について討議
さまざまなイベントの場を借りて、省エネルギ
ーや環境配慮行動について参加者に訴え、その
効果を見る試み、学校の授業へ出かけて行って
家庭での省エネを体験させる授業の実施状況に
ついて報告があり、今後の方針を議論した
領域全体合宿からのフィードバック、イベント
での実施状況、について意見交換をする一方で、
「文の京知恵の実現センター」が果たすべき機
能について、検討を開始した。
各種のイベントの企画、学校への働きかけなど
の状況を議論した。さまざまなイベントの時に
行った参加者向けのアンケート調査の結果を討
議した。
企画調査のとりまとめに向けての各事業の進展
の確認を行った。環境行動に関して行った大規
模アンケートの調査を議論した。
すべての事業が修了し、それらをとりまとめる
方法について議論した。文の京知恵の実現セン
ターの機能、地域全体への脱温暖化行動の拡大
の方法と可能性について将来のプロジェクト提
案に向けての議論を行った。
5
4.実施内容及び成果
(1)実施内容および成果(全体)
①プロジェクト提案を目的とした企画調査のねらい
本企画調査は、東京都文京区を対象にして行われる「文教から変えていく文の京(ふ
みのみやこ)」プロジェクト(以下「フルプロジェクト」とよぶ)提案のために行われ
たものであり、プロジェクトにおいて想定されているさまざまな活動の有効性を調べる
と共に地域の脱温暖化活動の拠点とすることを目的として新たな設置を提案する「文の
京知恵の実現センター(仮称)」(以下「センター」とよぶ)が果たすべき役割とその
運営形態について、文京区を主たる対象として調査を行った。
フルプロジェクトにおいては文教活動を通じて区民の脱温暖化行動と設備更新を広く
進めることによって文京区全体の家庭・業務部門における脱温暖化を実現していくこと
をめざしている。その中でとりわけ困難が予想されるのは区民と事業者の行動による脱
温暖化の実現であり、企画調査においては、その面に特に力を入れた。区民の脱温暖化
をはじめとした環境配慮行動の実行に対する障害と促進方法を明らかにするために大規
模アンケート調査を行い、幅広い市民に対して取り組みやすい形で環境配慮行動を広げ
ていくために各種イベントを活用する「プチエコ」事業を試行した。更に小学校・幼稚
園における省エネルギー学習を複数の学校において実行してその効果を明らかにした。
②普及拡大戦略調査グループの成果
文京区の状況の把握
まず、対象地区である文京区の二酸化炭素排出状況を元に、力点を置くべき排出部門
を改めて明らかにした。当地域の2005年現在の二酸化炭素排出内訳は、業務部門:51.7%、
家庭部門:25.2%となっており、この2部門で全体の77%にも達する。また業務部門の排
出の基本となる床面積では、学校が35%、そのうち70%が大学であることから、大学を
含めた学校における取り組み、事業者の取り組み及び家庭の取り組みを本地区の中心に
据えることが妥当である。家庭部門においては約10万世帯の半数が単身者世帯である。
大学キャンパスの脱温暖化の状況
フルプロジェクトにおいては大学のキャンパスを通じた区内の大学間連携を行うが、
これについては、東京大学において東大サステイナブルキャンパスプロジェクト(TSCP)
が活発化するなど、基点となる部分はできており、センターをハブにして事業者も含め
た相互の連携を強めることが課題である。
区民の環境意識と環境配慮行動調査
主体的行動誘発のための社会調査においては、人びとの環境配慮行動をあえて脱温暖
6
化・省エネルギーに限定せず、資源循環に関わる行動も含めて対象にして調査を行った。
文京区の20歳以上の男女合計1,055名を対象にしてWeb調査にて行った。質問内容は、
①環境問題への意識・関心、②日常生活と行動、③行動と環境への効果、④環境配慮行
動への意識と状況であり、環境配慮型日常行動44項目及び機器導入13項目の合計57項目
に対して、実行の度合い、行動実施の理由、行動不実施の理由を問うた。
環境問題の中では地球温暖化問題を始めとした問題に70%以上の人が関心を示したも
のの、日常的に意識する人は40%に留まっていることがわかった。
日常の環境配慮行動の中で実行率が高いのは、ごみ分別、食べ物を残さない、エコド
ライブ、詰め替え容器の購入、公共交通機関の利用、エアコン温度の設定、カーテン利
用などであった。日常行動に関する実施の理由としては「お金の節約になるから」「簡
単に取り組めるから」「習慣・くせだから」「環境にやさしいから」の4項目がほとんど
の行動で上位に選択されていた(下図)。不実施の理由としては「手間がかかるから」
に次いで、「実行不可」「必要性を感じないから」「不便になるから」「忘れてしまう
から」といった回答が多かった。
0.6%
0.5%
1.0%
お金の節約になるから
0.4%
簡単に取り組めるから
0.2%
習慣・くせだから
1.8%
4.5%
環境にやさしいから
2.6%
ルールや規則だから
2.8%
健康にいいから
2.8%
31.8%
道徳観、モラルとして
便利になるから
13.4%
もの、行動の必要がないから
面白い、興味があるから
16.9%
他の人もしているから
20.6%
周囲に勧められたから
かっこいい、おしゃれだから
その他
文京区における環境配慮行動(日常44項目)実施の理由
機器導入においての実行率が高いのは、省エネ型テレビ、蛍光灯・LED、省エネ型冷
蔵庫などである。実施の理由としては「お金の節約になるから」「簡単に取り組めるか
ら」「環境にやさしいから」が上位に選択されていた。不実施の理由としては「費用が
かかるから」、「実行不可」「必要性を感じないから」といった回答が多かった。
一方環境に対する有効性の認識については、高いものから、公共交通機関の利用、エ
アコン温度の設定、太陽熱利用、ごみ分別、太陽光発電、などとなっている。
7
人々はインターネットと新聞から主たる環境情報を得ているものの、行動のきっかけ
は人との直接的な関与が高い比率を占めた。
これらの調査から、人的なネットワークを形成し、うまく働きかけることによって環
境配慮行動を促進できる可能性が高いことが分かる。
センターの構想
脱温暖化活動のハブとなるセンターの機能について、利用者として個人、学校、事業
者が想定される。このうち、特に団体である学校と事業者に対して、そのニーズを把握
するために二度のワークショップを開催した結果、以下のようなニーズと運用上の注意
が明らかになった。
事業者にとっては、省エネルギー活動の情報源となるセミナーの主催、文京区内外で
のセミナーの開催情報の流通、専門的な省エネルギーのノウハウの相談機能が重要。た
だし、事務所、商業施設、工場など、業種によって省エネのノウハウが異なるので、相
談を受ける専門家の多様性を確保することが必要。小中学校にとっては、センターから
の出前授業を行うだけでなく、教員に対する講習や日常的な情報提供の機能を持たせる
ことが有効。
いずれの場合も重要な点として指摘されたのは、常時情報が得られる「場」が必要で
あるという点である。
これらのセンターの機能を発揮するための仕組みについては、多数の専門家を常時雇
用することは現実的ではないため、事業者、幼稚園・小学校から大学までの教員が区内
の別の事業者・教員にノウハウを伝授する仕組みを作り、それらをコーディネートする
人材をセンターは雇用することが現実的に考えられる。
運営については、他地域の先進事例を参考に考えていくことが有効であるが、本地域
の特徴である文教活動を特徴に仕組みを作っていくことが有効であろう。また、本地域
は地球温暖化地域推進計画の実行に移る時期を迎えることもあり、行政との緊密な連携
の元に公的な役割をセンターに持たせていく可能性を具体化していくことが必要であろ
う。
人材の育成
上に述べたセンターが設立されたとしても、そのセンターを活用して脱温暖化行動を
区民に広げていくための人材が必要であり、そのような人材を常時雇用することは財政
的に困難である。そこで、区民がこのような環境リーダー役を務める際のさまざまなノ
ウハウを伝えるシリーズ講座を本企画調査により実施し、センターが果たすべき機能が
本地域で実行可能であることを示した。
8
③学校と家庭での実践試行グループの成果
各種イベント・講座への脱温暖化要素組み込みの試行
地域における既存のイベント・学習プログラムに、環境配慮的なアクティビティを組
み込むことを通して、イベントに参加した子どもや大人の、脱温暖化社会実現のための
行動への動機づけを高める試みを行った。ここでは、むしろ環境を主題としないイベン
トを主たるねらいにして、そこに負担の軽い環境配慮要素を「プチエコ」として導入す
ることを、合わせて10のイベントにおいて行った。イベントの名称を示すと、①葉脈作
り・科学実験教室、②蔵前小コミュニティ祭り、③リユース食器で模擬店のごみ減量
環境フェスタたいとう2009、④クールアースフェア、⑤こども広場「親子でお買い物ご
っこ」トライアングルでECOライフ、⑥トンネル探検隊、⑦千駄木フェスティバル、⑧
たこ飯食って凧揚げよう。竹箸つくり、⑨食材はどこから来るの、⑩パソコンでさんチ
ャレポスターを作ろう、である。これらのイベント主催者の多くは環境要素を含めるこ
とをこれまで考えていなかった。しかし、このように多様な人々が参加するイベントに
環境要素を組み込むことは地域全体に活動を広めていく際に有効であると考えられる。
それぞれのイベントのタイプによって対象者も異なり、さまざまな工夫を凝らしなが
ら環境要素をイベントに組み込んだ。ここでは、取り組みやすさを優先に考え、脱温暖
化以外の廃棄物に関する行動も対象にした。
今回対象とした10イベントのうち、環境に特化しないプログラムは7プログラムに及
んだが、そのいずれでも環境配慮の「プチエコ」は不都合なく、取り入れることができ
た。この試行を具体化して広く活動を行うには、多種多様なプログラム集積と、広域に
わたる多様な団体とのネットワーク、また継続させる仕組が重要で、今回本企画調査メ
ンバーの市川が主宰する「学びのポイントラリー制度」を活用してスムーズに行えた事
は大きな成果である。今後もこのような仕組を活性化させる取り組みが急務と思われる。
しかしながら常日頃環境問題を特に取り入れていない団体にとっては、従来のプログラ
ムに自然な流れでどのように環境配慮アクティビティを取り入れるかが大きな課題であ
る。そのような観点からも、センターの開設が有効であると考えられる。
このようなプチエコの効果を知るために、組み込んだ環境配慮行動学習の事前事後の
比較をするアンケートを行った。活動を行ったことがある(ポジ)か否(ネガ)か、今
後も継続したい(ポジ)か否(ネガ)か、ということで対象者を4分類すると、ネガ18
名、ネガ→ポジ390名、ポジ→ネガ7名、ポジ201名となり、390名もの人が今回の経験に
よって環境配慮行動を新たに行い、それを続ける意志があると答えた。比率でいえば、
9
事前経験者は32%であったが、今後やりたいと回答した人が91%にも上った。
各プログラムにおける各グループの人数
プログラム
全体
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
18
0
5
4
3
0
0
1
5
0
0
ネガ→ポジ
390
1
145
46
100
11
26
39
13
3
6
ポジ→ネガ
7
0
3
1
0
1
0
0
1
1
0
201
7
96
54
9
9
1
7
7
12
0
35
0
27
1
4
0
1
0
0
2
0
番号
ネガ
ポジ
未分類
ネガ→ポジ:その行動の経験がなかったが、今後は継続して行いたいと回答
また、今回の経験を面白く感じた人は今後ポジティブになると言うことがわかった。
このことは、プチエコを実施するにあたっては興味を持ってもらうようにそのイベント
の本来のねらいと関連づけるなどの工夫が必要であることを示している。環境配慮行動
に関するイメージに関して因子分析を行った結果、重要性、感覚性、簡便性の3側面に
集約されることが示された。
これらのプチエコ活動については、2010年3月20日に最終報告会『地域における「プ
チエコ・プログラム」』を公開の行事として実施した。
学校における教育と省エネの実践
幼稚園1園と小学校3校を対象にして脱温暖化に関する教育を実践し、その効果を把
握した。幼稚園年長組については新たな試みを行う一方で、小学校については3校に対
して異なった内容の授業を行い、その効果を家庭への波及効果も含めて把握した。
文京区立大塚小学校では大学院学生も加わる形で5年生の「総合みどり」の時間を利
用し、2ヶ月間、3-4限(約1時間半)の学習を7回行った。「問題提起→動機付け→解決
策を自ら見出す」という一連のプロセスを含む環境学習プログラムを作成・実施した。
先ず地球温暖化とは何か、その影響、CO2による温暖化のメカニズムを学習し、実験
でCO2による温暖化を体験した。その後、省エネナビによる学校の省エネの方法を学び、
ワットチェッカーを用いて、冷蔵庫、テレビ、掃除機、照明、待機電力を各班に分かれ
て電気使用量を測定し、それぞれの出来そうな省エネについて話し合った。さらに、家
庭に帰り通常の生活を1週間した各家庭の電気メーターを読んだ。その後、家庭内で省
エネについて話し合い1週間の電気メーターを読んだ。そのデータを学校で整理して、
各グループで家庭内での省エネについて話し合った。これまでの活動を各グループごと
にまとめ、発表した後、それを1枚の紙にまとめた。最終的に各グループのまとめをポ
スターにして、来賓の前で発表し、学区内の掲示板にポスターを張りだして、地域に省
10
エネの普及を図った。
葛飾区立葛飾小学校では、4ヶ月間にわたり5年生を対象に省エネナビを利用して省エ
ネメニューの効果を実測し、計画を作成し、自ら家庭で取り組む環境学習機会を設ける
ことによる温暖化防止活動への行動変容をもたらす環境学習手法を検討した。
全校と5年生・4年生のエネルギー使用状況が分かる2種類の省エネナビを設置した。
学習の対象になった5年生と対象外の4年生のエネルギー消費量の比較を行った。生徒
がつける省エネチェックシートと省エネナビのデータを解析することで、生徒の省エネ
行動が明確に把握出来ることが分かった。そして、省エネデータを解析することにより、
生徒の個々の省エネ行動の効果が定量的に把握出来ることも分かった。
文京区立汐見小学校では、4年生を対象に、地球温暖化のメカニズムや影響に関する
講義と実験を学習した後、自分たちの具体的な生活の中で地球温暖化を防止するために
出来る省エネ行動を実験で体験しながら行動の重要性を理解することを目的として3-4
限(約1時間半)の学習を2回行った。5年生の場合と発達レベルが異なるので、それに合
わせた内容の授業にした。
これらの小学校において学習効果を把握するため、学習前後の児童の行動変容をアン
ケートにより把握した。ここでは、環境配慮行動につながる要因として「環境リスク認
知(危機感)」、「責任帰属認知(責任感)」、「対処有効性認知(有効感)」を想定
して調査の解析を行った。
環境学習による行動の変化(大塚小学校)
(単位:%)
授業を受けて
実行するよう
になった。
項目1:照明をこまめに消す
項目2:エアコンの温度の調整
項目3:冷蔵庫の使い方の工夫
項目4:待機電力を減らす
項目5:水の使用量を減らす
35
22
39
17
13
授 業 を 受 け 授業を受け
る 前 か ら 実 たが実行し
行している。 ていない。
61
61
39
22
57
実行しな
く な っ
た。
4
9
22
52
17
0
9
0
0
4
大塚小学校の解析結果から(上表)、学校にて環境学習を実施したことにより、照明
や冷蔵庫の使い方については30~40%の児童が新たに省エネルギーに取り組むようにな
った。ただし、待機電力については、どのように減らすかという具体的な方法に関する
体験的な学習が必要ではないかと思われる。
葛飾小学校では、学校にて環境学習を実施したことにより、照明や冷蔵庫、待機電力
に関する省エネルギー行動を30~40%の児童が新たに取り組むようになった。
環境学習を実施して、一定期間(2ヶ月~3ヶ月程度)経過した後に、家庭における温
11
暖化防止活動の広がりを定量的に把握することを目指して調査を実施した。
3校の児童に対する調査から、環境学習を実施したことにより温暖化防止に向けた取
り組みをする児童が増加し、高い比率の児童が温暖化問題を気にかけるようになった(下
表)。しかし、家庭への波及効果として、家庭内での温暖化に関する話題の増加や温暖
化に関する学習意欲に関しては増加したケースが低く、今後の課題として残った。
環境学習による児童の行動や学習への意欲(大塚小学校)
(単位:%)
質問1.以前より温暖化防止のために何かすることが増えましたか?
質問2.以前より温暖化のことが気になるようになりましたか?
質問3. 以前よりお家で温暖化のことを話すようになりましたか?
質問4. 以前より温暖化のことを勉強したいと思いましたか?
はい
いいえ
75
67
29
42
25
33
67
58
省エネナビの設置と温暖化学習を組み合わせた葛飾小学校の場合において、学校での
脱温暖化活動が高まること、児童の意識と行動が向上することが示された。
これらと並行して、全国の先進事例の調査を行った。
④成果のまとめとフルプロジェクト提案への反映
幅広い年齢層の一般区民を対象にした環境意識と環境配慮行動調査の結果、多様な関
心を持つ人々を対象にした10回のプチエコプログラム、小学校3校の児童を中心とした
学校での脱温暖化学習のいずれの場合も、学習の効果があることが示された。今回のこ
れらの調査・試行においてはいずれも対象者の行動についてのアンケートによる把握を
同時に行っており、そこから環境配慮行動・省エネ行動を人々が起こすための要因を知
ることができた。市民への働きかけ、イベントへの環境要素の組み込み、更に広い範囲
での学校での環境学習の拡大にあたっては、さまざまなノウハウとそれを担う人材が必
要であり、設置を想定しているセンターの役割がここにある。小学校の例を取れば、本
対象地域内に20校程度の学校があり、クラス数が複数であることを考えると、センター
所属の職員のみでは足りず、人材を養成することがセンターの役割として必要になる。
今後提案を行うフルプロジェクトにおいては、今回の調査で有効性が明らかになった
それぞれの活動の拡大を提案する。その際、センターを中心に据えて、行政と連携しな
がら各世代・各立場の区民・事業者が関われるような仕組みを示し、地域全体の脱温暖
化を進めるために一歩進んだ具体的な事業を展開する。
12
(2)実施内容および成果(グループ毎)
①普及拡大戦略調査グループ
a) 東京都文京区の特徴
東京都文京区は人口18万9千人、世帯数97千世帯の行政区であり、昼間人口が33万6
千人と昼間人口に対して大きいことが特徴である(2005年現在)。
同区では2009年度現在、地球温暖化対策地域推進計画を策定中である。
同区の温室効果ガス排出のほとんどは二酸化炭素である。その排出量とその部門別内
訳は表1.1のようになる。
表1.1 東京都文京区における二酸化炭素排出量の実績
産業部門
民生(家庭)部門
民生(業務)部門
運輸部門
一般廃棄物部門
合計
1990年
2005年
1990年
比増加率
排出量
比率
排出量 比率
137
14.8
49
4.3
-64.2%
232
25.1
289
25.2
24.6%
349
37.8
594
51.7
70.2%
194
21.0
207
18.0
6.7%
13
1.4
10
0.9
-23.1%
924
100.0
1,149
100.0
24.4%
排出量:1000t-CO2
地球温暖化対策地域推進計画中間まとめ(2009年11月)に基づき作成。
2005年の二酸化炭素総排出量は1990年に比較して24.4%も増大している。その中で、
産業部門の比率は1990年当時から低かったが、2005年には更に低下している。また運輸
部門については,若干増加しているものの比率的には減少している。増加しているのは
家庭部門(24.6%)と業務部門である。特に業務部門の増加量は70%にも達している。
これらのことから本区の二酸化炭素の排出量削減対策を考える際には家庭部門と業務
部門が非常に重要になると言える。このように家庭部門と業務部門の増大が見られるの
は日本全体の傾向であるが、その傾向が非常に強く表れているのがこの文京区であると
いうこともできる。
これら、家庭部門と業務部門について、もう少し詳しく見てみる。
家庭部門については、単身世帯の多さがこの文京区の特徴でもある。図1.1に示すよう
に文京区における単身世帯の割合は、51.2%と半分以上を占めており、全国平均よりも
13
顕著に高く、また東京都平均より高い。
文京区地球温暖化対策地域推進計画中間のまとめ(2009)による
図1.1. 文京区の単身世帯比率
図1.2に示すように、その単身世帯の年齢構成は、40 歳未満が全体の56%を占めるの
に対し、高齢者世帯(65 歳以上)は18%程度であり、比較的若い世代が多いのが特徴で
ある。これは、後述のように大学が大きな位置を占めるために若年層である学生、およ
び若年の勤労者が多く居住しているためと考えられる。
文京区地球温暖化対策地域推進計画中間のまとめ(2009)による
図1.2.文京区の単身世帯の年齢分布
次に、業務部門について見てみると、根本的な原因として、業務用建物の床面積が19
14
90年以降大きく増加していることがまず挙げられる(図1.3)。床面積あたりのエネルギ
ー消費量は増えないが、床面積が増大することによって全体のエネルギー消費、そして
二酸化炭素排出量が増大するというのが、日本の状態であるが、ここでもその傾向が非
常に強く出ている。
もっとも、2000年以降は事務所ビルの床面積の増加は収まり、それに代わって学校の
床面積の増加が近年では大きい。
文京区地球温暖化対策地域推進計画中間のまとめ(2009)による
図1.3.文京区の業務部門の床面積の推移
注目されるのは学校の床面積の比率の高さである。図1.4に示すように、業務部門全体
の約35%が学校で占められており、また学校の中では大学の比率が高く、70%に達して
いる。この大学の中には本企画調査に加わっている、東京大学本郷キャンパス、東洋大
学が含まれている。
文の京(ふみのみやこ)と呼ばれる文京区において環境負荷の面でも文教施設の比率
はこのように高い。しかし、一方で社会全体への浸透が必要な脱温暖化対策に対して、
大学が行えること、また小・中・高校を通じて行えることもまた大きい。
15
文京区地球温暖化対策地域推進計画中間のまとめ(2009)による
図1.4.文京区の業務部門建物の床面積に占める学校と大学の比率
文京区地球温暖化対策地域推進計画中間のまとめ(2009)による
図1.5.文京区の温室効果ガス削減計画
文京区においては、2014年度および2019年度を目標年度として温室効果ガス排出削減
計画を立案している(図1.5)。ここで、「現状対策ケース」とは、既に実施されている国
の京都議定書目標達成計画に基づく行動の継続や、2006 年度と同じ水準のエネルギー
効率の機器が普及した場合を意味し、「最大対策ケース」とは、「京都議定書目標達成
計画などの国の施策」、「東京都環境確保条例による削減義務」、「区民・団体、事業
16
者及び区が実施する対策(アクションプラン)」など、あらゆる取り組みを導入して達
成した場合を想定している。
本企画調査にて目的とする温室効果ガス削減は、ここで想定する2019年度目標を上回
る大幅なものであり、それを達成するには家庭部門と業務部門の強力な対策を立案して
実行することが文京区においては不可欠であることがこれらの解析から分かる。
これらのことから、本企画調査においては、家庭部門での脱温暖化を支配する人々の
環境行動と、業務部門と学校、市民を結びつけるネットワークの組織化について検討を
行うことが有意義であると言える。
b) 主体的行動誘発のための社会調査
本調査では、家庭における環境配慮行動の実施・不実施及び、その理由を把握するこ
とを目的とし、「環境問題と日常生活行動に関する調査」を実施した。対象者は20歳以
上の男女とした。調査方法は、大規模調査の実施容易さや回答者の負担軽減、高回収率
の確保といった利点を有するWeb調査を選択した(Yahoo!リサーチ)。調査は、2010
年1月29日(金)から2月4日(木)の1週間で行った。
調査票の内容は、①環境問題への意識・関心、②日常生活と行動(57の環境配慮行
動の実施度とその理由)、③行動と環境への効果、④環境配慮行動への意識と状況、⑤
回答者の属性、の大きく5項目からなる。
アンケート調査の結果、有効回答数として1055サンプルを得た。サンプルの世代、性
別構成と国勢調査における比率を以下の図1.6に示す。なるべく多くの回答者数を得るた
め回答者の調整を行わず、人口分布に比べ、高齢者の割合が少ないサンプル数となった。
200
174
180
160
185
149
141
145
140
人数
120
100
92
80
56
60
53
32
40
20
18
6
4
0
20代
30代
40代
男性
人口比率(男性)
50代
60代
女性
人口比率(女性)
図1.6.大規模アンケート回答者の年代・性別構成
以下、質問ごとに結果の概要を述べる。
17
70代以上
①の環境問題への意識・関心では、環境問題全般についてどの程度関心・意識がある
か、それぞれ「非常に関心/意識がある」「関心/意識がある」「どちらともいえない」
「あまり関心/意識がない」「関心/意識がない」の5段階尺度で問うた。また、地球温
暖化やごみ問題といった個別の問題に対しても同様の5段階尺度で関心度合を尋ねた。
約70%が関心ありとするも、日常で意識するのは40%程度とその差は大きい。図1.7
に関心と意識の回答に関するクロス集計の結果を棒グラフにて示す。これをみると、関
心があってもたまにしか意識しない層が多いということがうかがえる。
300
環境問題にどの程度関心がありますか。
250
非常に関心がある
関心がある
200
どちらともいえない
150
あまり関心がない
関心がない
100
50
0
非常に意識
よく意識
たまに意識
ほぼ意識しない
意識しない
日常生活の行動の中で環境問題をどの程度意識しますか
図1.7.環境問題に対する文京区における関心と意識
個別環境問題の関心程度について、図1.8に示す。図上から「非常に関心がある」と「関
心がある」を合わせた回答数が多い順に並べた。地球温暖化をはじめとして、生物多様
性を除いては50%を超える回答者の高い関心がうかがえた。
18
地球温暖化
226
大気汚染
222
ごみ問題
207
水質汚染
111
64 42
161
52 28
594
177
53 24
204
592
181
53 25
資源枯渇問題
203
587
177
54 34
森林破壊
192
189
55 32
環境中の有害化学物質
194
オゾン層の破壊
612
592
587
砂漠化
131
495
騒音
143
473
地域の美観
153
461
酸性雨
生物多様性
0%
10%
非常に関心がある
20%
関心がある
30%
47
284
113
42
299
99
43
321
352
394
129
40%
どちらでもない
50%
60%
40
97
285
461
89
89
236
530
160
80 31
229
521
70%
あまり関心がない
80%
138
46
129
51
90%
100%
関心がない
図1.8.個別環境問題に対する文京区における関心
②の日常生活と行動については、57の環境配慮行動の実施度とその理由を、対象とす
る57行動それぞれ対して、行動の実行度合と実行・不実行の理由について問うた。対象
とする環境配慮行動の決定にあたっては、環境省、省エネルギーセンターなどで取り上
げられている行動を確認し、家庭内での日常行動を中心に、買い物や移動手段、寄付、
新設備の導入まで一般市民ができる、もしくは家庭での環境配慮行動と認識されている
と思われる項目を幅広く取り上げ、さらに、環境配慮行動への意識が高いと思われる環
境NPOメンバー7名への聞き取り調査、及び環境を学ぶ大学生15名への聞き取り及びアン
ケート調査により、最終的に日常行動44項目と(表1.2)13の機器導入(表1.3)の57項
目とした。行動の実行度合は、「常に実施」「だいたい実施」「ほとんど実施しない」
「実施したことがない」の4段階尺度により、機器導入の実施度合は、「導入・買い替え
済み」「導入・買い替え予定」「導入・買い替えに興味はあるが予定はない」「導入・
買い替えるつもりはない」の4段階尺度で問うた。行動実施の理由に関しても、事前調査
に基づき改良を加えた上で、表1.4に示す項目に「その他」の項目を加え、理由の選択肢
とした。
19
表1.2.環境配慮行動として対象とする日常行動44項目
1.ごみは地域のルールに従って分別して出している
2.牛乳パック,トレーなどはリサイクルにまわしている
3.不用品はバザー,知人への譲渡などで,再利用をしている
4.自分の水筒やコップを持ち歩き,使い捨て容器の使用を抑制している
5.自分の箸を持参し,割り箸の使用を減らしている
6.エコマーク商品・リサイクル商品を選んで購入している
7.買うときは吟味して,必要なもの以外買っていない
8.壊れても修理をして長く大切に使っている
9.地元産のものを選んで購入・消費している
10.有機栽培品,オーガニック品を選んで購入している
11.レジ袋や過剰な包装を断っている
12.使い捨ての割り箸,スプーンなどを断っている
13.詰め替え商品を利用している
14.家族で同じ部屋に集まって過ごしている
15.使わない機器は主電源から切ることで,待機電力を削減している
16.エアコン,掃除機のフィルター掃除はこまめに行っている
17.冷やしすぎない冷房,暖めすぎない暖房温度設定にしている
18.お風呂は続けて利用し,追いだきをしていない
19.温水便座は温度調整をし,ふたをしめている
20.カーテンなどで直射日光の遮断および熱が逃げるのを防いでいる
21.植林,花壇設備,グリーンカーテンなど緑化をしている
22.洗濯はまとめて行い回数を減らしている
23.洗面,シャワーはこまめに水をとめている
24.食べ物を残さないようにしている
25.テレビ,PCの電源をこまめに切っている
26.部屋の明かりをこまめに消している
27.電気ポットを長時間使用しない時はコンセントプラグを抜いている
28.コンポスト,たい肥化,庭へ埋めるなど生ごみを自宅処理している
29.コンロの炎は鍋ややかんからはみださないようにしている
30.生ごみの水分は極力しぼって捨てている
31.料理時は,材料使い切り,ガス・電気使用量削減等に取り組んでいる
32.冷蔵庫はものをつめこみすぎず,開け閉めも少なくしている
33.冷蔵庫は温度に合わせて,強弱の調整をしている
34.必要なもの以外は印刷せず,印刷頻度を減らしている
35.印刷をする時は両面印刷をしている
36.階段を使うなど,エレベーターの使用を抑制している
37.メモ用紙や印刷用紙として裏紙を使用している
38.カーシェアリング,相乗りを利用している
39.自動車よりも自転車や電車等の公共交通機関などを利用している
40.カーボンオフセットやグリーン電力証,エコファンド等の商品を利用している
41.環境保全活動等に寄付をしている
42.タイヤの空気圧を適正にたもつ
43.車に無駄な荷物をつんだまま走らない
44.アイドリングや空ぶかし,急発進はせず一定の速度で走る
20
表1.3.環境配慮行動として対象とする導入機器項目
1.太陽光発電
2.太陽熱利用
3.燃料電池
4.風力発電
5.雨水利用
6.コンポスト、生ごみたい肥化
7.断熱性の向上(断熱フィルムなど)
8.窓の二重ガラス化
9.電球型蛍光灯やLED灯への交換
10.省エネ型テレビ
11.省エネ型給湯器
12.省エネ型冷蔵庫
13.エコカー(ハイブリッドカーなど)
表1.4.環境配慮行動の促進要因と阻害要因
13の促進要因(実行の理由)
簡単に取り組めるから
便利になるから
お金の節約になるから
習慣・くせだから
環境にやさしいから
ルールや規則で決まっているから
周囲に勧められたから
他の人もしているから
面白い、興味があるから
(行動 、資 源 使う ) 要
から
かっこいい、おしゃれだから
道徳観、モラルとして
健康にいいから
14の阻害要因(不実施の理由)
手間がかかるから
時間がかかるから
不便になるから
費用がかかるから
環境によくない、いいかわからないから
行動について考えたことがない
忘れてしまうから
他の人もしていないから
機会がないから
他の家族が担当しているから
面白くないから
行動を知らない、わからないから
(行動の)必要性を感じないから
(単身、機器がない、賃貸など)実行不可能
図1.9に、日常行動44項目の実行度の結果を示す。図上より「常に実施」及び「だいた
い実施」の和の大きい項目から並べた。最も実行度の高かった行動は「ごみ分別」であ
り、一方、実施度が最も低い行動は「カーシェア」であった。 車の運転関する3行動(タ
イヤの空気圧を適正にたもつ、車に無駄な荷物をつんだまま走らない、アイドリングや
21
空ぶかし、急発進はせず一定の速度で走る)は自家用車を所有している人にのみ尋ねて
いる。「食べ物を残さない」「エコドライブ」「詰め替え商品の利用」といった日常生
活の中で簡単に取り組める行動が高い実行度を示し、一方、「寄付」「生ごみ処理」「カ
ーシェアリング」のように自ら求めない限り機会を得られない行動については低い実行
度となった。
また、図1.10に日常行動44項目の実施の理由を図1.11に日常行動44項目の不実施の理
由を示す。日常行動に関する実施の理由としては「お金の節約になるから」「簡単に取
り組めるから」「習慣・くせだから」「環境にやさしいから」の4項目がほとんどの行動
で上位に選択されていた。不実施の理由としては「手間がかかるから」に次いで、「実
行不可」「必要性を感じないから」「不便になるから」「忘れてしまうから」といった
回答が多かった。実施・不実施理由の選択割合を示した図1.10及び図1.11からは、実施
理由よりも不実施理由に回答のばらつきが見られることがわかる。
図1.12に、機器導入13項目の実行度合の結果を示す。図上より「導入・買い替え済み」
及び「導入・買い替え予定」の和の大きい項目から並べた。どの項目も導入予定をあわ
せても導入度は50%にも及ばなかった。最も導入度の高かった機器は「省エネ型テレビ」
であり、一方、実施度が最も導入率が低い項目は「風力発電」であった。
22
0%
20%
40%
60%
80%
100%
ごみ分別
食べ物残さない
エコドライブ
詰め替え
公共交通
エアコン温度
カーテン
裏紙使用
コンロの炎
こまめに明かり
印刷頻度
洗濯少なく
必要な買い物
タイヤの空気圧
無駄な荷物
修理して大切に
節水
冷蔵庫つめこみ
レジ袋
エコクッキング
こまめに電源
ポットのコンセント
生ごみ水分
温水便座
牛乳パックやトレイ
家族団欒
両面印刷
フィルター掃除
待機電力
追いだきなし
使い捨て箸スプーン
冷蔵庫温度
バザー再利用
マイカップ
エレベータ
地産地消
エコ商品
緑化
有機栽培品
マイ箸
カーボンオフセット
寄付
生ごみ処理
カーシェア
常に実施
だいたい実施
ほとんど実施しない
実施したことがない
図1.9.文京区における環境配慮行動(日常44項目)の実施度
23
0.6%
0.5%
お金の節約になるから
0.4%
1.0%
簡単に取り組めるから
0.2%
習慣・くせだから
1.8%
4.5%
環境にやさしいから
2.6%
ルールや規則だから
2.8%
健康にいいから
2.8%
31.8%
道徳観、モラルとして
便利になるから
13.4%
もの、行動の必要がないから
面白い、興味があるから
16.9%
他の人もしているから
20.6%
周囲に勧められたから
かっこいい、おしゃれだから
その他
図1.10. 文京区における環境配慮行動(日常44項目)実施の理由
手間がかかるから
単身・機器なし等、実行不可
0.6% 0.4%
必要性を感じないから
1.4%
不便になるから
11.0%
1.6%
19.3%
機会がないから
忘れてしまうから
2.6%
費用がかかるから
4.2%
行動について考えたことがない
11.1%
6.1%
環境にいいと限らないから
時間がかかるから
6.6%
行動を知らないから
10.6%
6.8%
他の家族が担当しているから
他の人もしていないから
8.5%
9.2%
面白くないから
その他
図1.11. 文京区における環境配慮行動(日常44項目)不実施の理由
24
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
省エネ型テレビ
電球型蛍光灯やLED灯
省エネ型冷蔵庫
窓の二重ガラス化
省エネ型給湯器
断熱性の向上
エコカー
コンポスト、生ごみたい肥化
太陽光発電
燃料電池
太陽熱利用
雨水利用
風力発電
導入・買い替え済
導入・買い替え予定
興味はあるが予定はない
導入・買い替えるつもりはない
図1.12. 文京区における環境配慮行動(機器導入13項目)の実施度
実施している人は実施した方が費用の節約になるとし、実施していない人は費用が高
いため実施していないと、どちらも費用が最大要因としてあげられた。図1.13に機器導
入13項目の実施の理由を図1.14に不実施の理由を示す。実施の理由としては「お金の節
約になるから」「簡単に取り組めるから」「環境にやさしいから」が上位に選択されて
いた。不実施の理由としては「費用がかかるから」、「実行不可」「必要性を感じない
から」といった回答が多かった。日常行動と異なり、実施の理由と不実施の理由のばら
つき具合は同程度である。
次に③の行動と環境への効果では、ほぼ全ての項目で小さいが効果はあると回答した
人が半数にのぼる。とても効果があるという回答の割合が多い順に項目を並べたグラフ
を図1.15に示す。結果より、機器導入に関する効果がどれも比較的大きいと思われてい
た。また、地産地消、エコ商品、有機栽培品など購買による環境配慮行動に関しては、
どれも低い有効度と認識されている。「燃料電池」「風力発電」「寄付」「カーボンオ
フセット」「有機栽培品」は特に、「(効果があるのか)わからない」という回答が多
かった。金銭で寄与する形になる「寄付」と「カーボンオフセット」はどちらもこの割
合が高い。
25
0.2%
お金の節約になるから
0.7%
0.9%
簡単に取り組めるから
11.5%
1.0%
環境にやさしいから
1.5%
便利になるから
2.5%
38.3%
10.0%
面白い、興味があるから
かっこいい、おしゃれだから
周囲に勧められたから
ルールや規則だから
15.1%
道徳観、モラルとして
18.2%
他の人もしているから
その他
図1.13. 文京区における環境配慮行動(機器導入13項目)実施の理由
0.7%
0.8%
0.4%
0.2%
1.2%
費用がかかるから
単身・賃貸等、実行不可
6.0%
1.5%
必要性を感じないから
2.3%
機会がないから
2.9%
35.9%
7.0%
手間がかかるから
機器を知らないから
行動について考えたことがない
10.1%
環境にいいと限らないから
他の家族が選んだから
不便になるから
時間がかかるから
30.9%
他の人もしていないから
その他
図1.14. 文京区における環境配慮行動(機器導入13項目)不実施の理由
26
0%
20%
40%
60%
80%
100%
公共交通
エアコン温度
太陽熱利用
ごみ分別
太陽光発電
必要な買い物
エコカー
修理して大切に
断熱性の向上
窓の二重ガラス化
燃料電池
電球型蛍光灯やLED灯
エコドライブ
節水
雨水利用
風力発電
省エネ型冷蔵庫
レジ袋
詰め替え
追いだきなし
省エネ型テレビ
省エネ型給湯器
食べ物残さない
待機電力
フィルター掃除
洗濯少なく
カーテン
カーシェア
印刷頻度
牛乳パックやトレイ
ポットのコンセント
こまめに明かり
家族団欒
緑化
使い捨て箸スプーン
こまめに電源
エコクッキング
両面印刷
冷蔵庫つめこみ
裏紙使用
温水便座
無駄な荷物
バザー再利用
タイヤの空気圧
生ごみ処理
冷蔵庫温度
マイカップ
コンロの炎
エレベータ
寄付
地産地消
エコ商品
マイ箸
生ごみ水分
カーボンオフセット
有機栽培品
とても効果がある
小さいが効果はある
効果がない
わからない
図1.15. 文京区における環境配慮行動57項目の認識有効効果度
27
最後に、④環境配慮行動への意識と状況では、情報源としてまず複数回答(3つまで)
で環境問題全般に対する主な情報源と、環境にやさしい行動のきっかけとなるような情
報源について問うた。その結果を図1.16に示す。どちらの設問に対してもテレビ、つい
でインターネットと新聞という回答が多数である。2つの設問を見比べてみると、行動
のきっかけとしてより選択されたのは「町内会など地域コミュニティ」「市民団体」「友
人・知人」「家族」「講演会・講義」といった人と直接関わる情報源であった。
623
801
711
環境問題全般の情報源
行動のきっかけとなる情報源
487
157152
205179
105 93
44 62 28 32 80
44
0
54
21 27
その他
23 12
環境配慮行動をして
いない
家族
友人・知人
市民団体
・ NPO
)
( NGO
町内会など
地域コミュニティ
新聞
雑誌
本
ラジオ
テレビ
インターネット
38 39
情報がない
117 93
355
271
講演会・講義
47 48
公共団体
(
国、地方自治体等)
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
図1.16. 文京区における環境配慮行動57項目の認識有効効果度
また、環境にやさしい行動全般についての行動を決める要因は、身近であること、費
用がかからないことが実施に重要であった。結果を図1.17に示した。環境配慮行動をよ
いものと認識したうえでできるだけ取り組もうとしている姿勢がみられる。一方、「環
境にやさしい行動をしようと思ったことがない」という回答が5番目にみられたことから
行動自体の重要性を示すこともまだまだ重要であると思われた。また、「政府や自治体
などで決められたもの」が6番目に選ばれていたことからも、公共団体が積極的に関与す
る必要性も示された。
次に、環境配慮行動をするうえでは、費用がかかること、効果がわからないことが困
難になるとの回答であった。結果を図1.18に示した。また、5番目に「するべきことが多
すぎる」6番、7番目に「何をすればいいのかわからない」「どれから手をつければいい
のかわからない」といった回答がみられることからも、どのような行動がより効果的で、
何か取り組めばいいのかを具体的に提示していくことの重要性が読み取れる。
28
1.4%
0.5%
1.5%
0.3%
0.7%
0.3%
1.0%
身近なことからできるだけ
1.6%
3.1%
費用がお得なもの
特に気にせずに思いついたもの
4.1%
より環境によい効果があるものからできるだけ
7.3%
環境にやさしい行動をしようと思ったことがない
政府や自治体などで決められたもの
環境以外にもよい効果があるもの
13.3%
関心のある環境問題解決に貢献できるもの
64.9%
周囲に勧められたもの
他人の目に見えるところから
他の人もやっているもの
かっこいい・おしゃれなもの
その他
図1.17. 文京区における環境配慮行動の実施を決める要因
0.9%
0.7%
0.4%
1.8%
2.0%
2.1%
費用がかかる
3.8%
実際の効果がわからない
手間がかかる
4.7%
27.1%
特に困ったことはない
するべきことが多すぎる
4.9%
何をすればいいのかわからない
どれから手をつければいいのかわからない
5.7%
不便になる
周囲の人が取り組んでくれない
9.8%
商品などに選択肢がない
21.9%
時間がない
環境問題は難しい、よくわからない
14.2%
周囲の目が気になる、恥ずかしい
その他
図1.18. 文京区における環境配慮行動の実施にあたって困難な点
29
最後に、環境問題の解決にむけた取り組みに従事したことがあるか、また、あるとし
たらどのくらいの期間従事していた、しているのかを問うた結果を図1.19に示す。結果、
約2割の人が何らかの環境活動に従事したことがあると回答した。期間としては「当日手
伝いなど1日以内」が45%と多かった。
当日手伝いなど1日以内
24%
45%
11%
3か月未満
3か月以上1年未満
20%
1年以上
5%
14%
現在、取り組んでいる
以前、取り組んだことがあ
る
従事したことはない
81%
図1.19. 文京区における環境問題の解決に向けた取り組み活動従事状況
⑤回答者の属性、世帯属性についての結果を以下のとおり図で示す。図1.20には回答
者の職業構成を、図1.21には回答者の最終学歴、図1.22には回答者の世帯における同居
人数(回答者を含むので、単身者は1人という回答になる。)を、図1.23には回答者の世
帯における同居者(複数回答であてはまるものを全て選択する形式)、図1.24には回答
者の世帯における住居形態、図1.25には回答者の世帯における居住年数、図1.26には回
答者の世帯における町会等の地域コミュニティ加入状況、図1.27には回答者の世帯にお
ける平均年収を示した。
30
450
413
400
350
300
250
200
121
150
100
92 80
71 63
50
6
5
5
5
大学院
卒, 132
高校卒, 159
専門学校卒, 72
高専卒, 16
短大卒, 78
大学卒, 593
図1.21.回答者の最終学歴
31
30
その他
中学校卒, 5
0
農林漁業
図1.20.回答者の職業
3
薬剤師
専門学校生、予備校生
会計士、税理士
弁護士、弁理士、行政書士
その他医療関係者
非営利団体職員
定年退職・
就業引退
看護師
教職員・
講師
開業医、勤務医
無職
公務員
大学 院 生
大学生、短大生
派遣・
契約社員
パート・
アルバイト・フリーター
自営業・ SOHO
専業主婦・
専業主夫
会社員
0
38 29 24
18 16 14 12 10
8人, 2
9人, 1
10人以上, 0
7人, 3
6人, 14
5人, 51
4人, 185
1人, 358
3人, 200
2人, 241
図1.22.回答者の世帯における同居人数(回答者を含む)
600
500
500
400
338
300
200
122
157
81
100
7
16
3
35
その他
あなたの孫
あなた・
配偶者 の兄弟姉 妹
あなた・
配偶者 の祖父母
配偶者の母親
配偶者の父親
あなたの母親
あなたの父親
あなたのこどもの配偶 者
あなたのこども
あなたの配偶 者
0
15
5
図1.23.回答者の世帯における同居者(複数回答)
32
その他, 18
(持ち家)
一戸建て, 250
(賃貸・社宅)
集合住宅, 494
(持ち家)
集合住宅, 270
(賃貸・社宅)
一戸建て, 23
図1.24.回答者の世帯における住居形態
1年未満, 113
10年以上, 332
1年以上5年未
満, 375
5年以上10
年未満, 235
図1.25.回答者の世帯における居住年数
その他, 6
知らない, 175
加入している, 354
加入していな
い, 520
図1.26.回答者の世帯における町会等の地域コミュニティ加入状況
33
188
153
147
146
127
120
92
82
万円以上
1500
万円~ 1500
万円未満
1000
万円~ 1000
万円未満
800
万円~ 800
万円未満
600
万円~ 600
万円未満
400
万円~ 400
万円未満
200
万円未満
200
わからない/答 えたくない
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
図1.27.回答者の世帯における平均年収
このようにして、必ずしも区政や環境に対して意識のある住民だけでなく幅広い区民
の意識を大規模に得ることができた。今後は、本アンケート結果より、各行動を、制約
因子や実行しやすさなどに基づき類型化し、どのような働きかけをすべきかを明らかに
すると同時に、各因子と、年齢、性別、職業といった個人属性がどのように関係してい
るかも明らかにすることにより、どのようなグループに優先的に働きかけることによっ
て、行動誘発が可能となるのかまでを評価する。
c) 地域内の活動の組織化の検討
c)-1. 既存の活動
ア)大学のサステイナブルキャンパス活動
現在、大学におけるサステイナブルキャンパス活動が世界的に活発化している。文京
区に主キャンパスを置く東京大学においては、2008年に東大サステイナブルキャンパス
プロジェクト(Todai Sustainable Campus Project, TSCP)を開始し、2008年7月にはT
SCP室を発足させた。
34
持続型社会建設
に向けた社会連携
3つの要素を同時に
進めて、深めあって
いく(共進化)
低炭素社会のモデル地区
研究成果と実践的応用の
フィードバック
導入普及モデルの実践
共進化する
TSCP
エネルギー需給に
関する自立分散協
調系(見える化)
需給時空間平準化
全体最適化
省エネ・創エネ
による低炭素化
省エネ機器
脱フロン機器
フロー型エネルギー
による創エネ
の積極導入
図1.28 TSCPの考え方
TSCPでは図1.28に示すように、3つの要素を考えてキャンパスの持続性を高める事業
を進めている。温室効果ガス排出の少ないキャンパスを実現するために、的確な状況把
握(サステイナビリティ・モニタリング)を行いながら、低炭素化を実現するために的
確な対応設計(サステイナブル・デザイン)を実施するとともに、総合的な実施・評価
を行う。これにより、今後目指すべき持続型社会モデル(サステイナブル・社会モデル)
を社会に提案していく。TSCPではこれらの要素を同時に進めながら深めていく(共進化)
という立場を取っている。
TSCPでは具体的な二酸化炭素削減目標を2008年4月に設定した。
TSCP-2012は2012年を目標とする計画で、2008年度から2012年度にいたる5年間で2
006年度に比べ2012年度には非実験系の二酸化炭素排出量の15%削減(大学全体の二酸
化炭素排出量に対する削減率13%に相当)を目標にしている。
TSCP-2030は2006年度に比べ二酸化炭素排出量の50%削減を2030年に達成すること
を目標とし、2012年までにその具体案を示す計画である。
イ)事業所
文京区内の事業所には、二酸化炭素の削減のために優れた取り組みをしているところ
がある。例えば、共同印刷株式会社は東京都の「地球温暖化対策計画書制度」において、
本社事業所(文京区)の温室効果ガス削減への取り組み(2006年度)が特に優秀だとしてA
AA評価と認められ表彰を受けている。また、株式会社東京ドームも積極的に二酸化炭素
35
排出削減を進めている。東京大学本郷キャンパスとこれら2者の二酸化炭素排出量を合
計すると2005年時点で154,000 トンとなり、文京区の業務部門の排出量の約25%に達す
る。
また、区内の中小企業の中にも積極的に環境問題に取り組む事業所がある。清水印刷
紙工株式会社はその例で、カーボンオフセットを導入したり、ライフサイクルアセスメ
ント(LCA)による環境負荷評価を行うなど活発な活動を行い、LCA日本フォーラムか
ら表彰されている。
c)-2.文の京知恵の実現センター
(ア)基本構想
文京区内において、家庭部門、業務部門にまたがり広範な分野で脱温暖化運動を展開
するにあたって、その要(ハブ)となるセンターを設置することが有効ではないかと考え
られる。そのような機能を有する文の京(ふみのみやこ)知恵の実現センター(仮称)を
設置するとすれば、どのような機能を有することが必要で、また有効であるかを検討し
た。
大学
事業者
文の京知恵の
実現センター
学校
家庭
現状
モデル的な大学、学校と家
庭、事業者の脱温暖化とそ
の統合的な活動
地域への拡大
図1.29 文の京知恵の実現センターの機能
図1.29に文の京知恵の実現センター(以下、センターと呼ぶ)の基本的な考え方を示す。
現状では文京区内に存在する大学、学校、事業者、家庭の中で脱温暖化の活動は行われ
ていたとしても限定的であり、また互いに有機的な関係を持っていない。そこでセンタ
ーがハブとなって、まずモデル的に強い意識を持っている大学、学校、事業者、家庭に
おける脱温暖化を行い、次いでそれら同士を有機的に関連づける。その次の段階として
は、広く地域に脱温暖化の動きを拡大していく。
36
(イ)ニーズの把握
センターを設置した場合、事業者、大学、小中学校、市民は利用者であるばかりでな
く、そこに貢献する役割をも担うことが期待される。どのようなニーズがあり、またど
のような参加がありうるかを知るために以下のように2回のワークショップを開いた。
○文の京知恵の実現センターワークショップ(事業者グループ)
2010年1月8日(金)
16時30分~18時
場所:東大都市工学専攻会議室
出席者
花木
啓祐、澤谷
精、柳澤
幸雄(当企画調査チーム)
本田
城二・宮城
忠雄(共同印刷株式会社)
吉川
俊朗(株式会社東京ドーム)
清水
宏和(清水印刷紙工株式会社)
迫田
一昭・河野
小川
三男・松井孝士(環境ネットワーク・文京)、
匡志(東京大学TSCP室)
○文の京知恵の実現センターワークショップ(学校グループ)
2010年1月15日(金)
15:00~16:30
場所:東大都市工学専攻会議室
出席者
花木
啓祐、澤谷
精、鈴木
孝弘(当企画調査チーム)
今井芳彰(文京区立昭和小学校)
浅香英典(文京区立第九中学校)
星野孝雄(文京区立文林中学校)
田代純子(文京区資源環境部環境政策課/課長、当企画調査チーム)
鴻
久忠(株式会社チャイルド本社編集部/統括課長)
大石政俊(環境ネットワーク・文京)
中村洋(地球・人間環境フォーラム)
さまざまな議論が行われたが、論点を簡単にまとめると以下のようになる。
◇事業者のニーズ
・事業者にとっての省エネルギー活動の情報源としては、セミナーなどが多い。その
ようなセミナーなどの情報が十分に流れていないので、それを流す意味はある。
37
・区の中での地域情報の流通が現状では十分ではない。情報を流す方法として、商工
会議所の活用も考えられる。ただし、会社によって商工会議所活動への参加者の役
職が異なるので、その情報が有効に会社内に流れるかが異なる。
・特に中小企業を対象とした省エネのノウハウの伝達はニーズがある。
・ただし、会社によって、どのような対策が有効かは異なる。同じ業種ならある程度
は共通の方法で省エネが図れる。省エネに関しては、企業秘密による情報伝達の障
害は生じないと考えられる。
・省エネ専門家に対する相談について真の省エネ専門家を常駐させるのはむつかしい
かもしれないが、区内の省エネ優良事業所から人が時々来て滞在するような仕組み
はできないか。その際、日によって業種を変えるなどのアレンジは可能ではないか。
たとえば、本地域に多数存在する印刷関係の省エネに詳しい専門家、事務所の省エ
ネに詳しい専門家などが日にちを変えて滞在する。これはボランティアが想定され
る
・大学間の連携は現状では少ないので、センターを通じて強化していく。
・商店街については、商店街協会も活用するが、家庭向けの対策に近いので家庭部門
への対応と共通であろう。
・事業系の省エネに限定せず、持続可能な消費を意識したグリーンコンシューマーを
育てる機能を持たせるのがよい。
・さまざまな省エネ情報や、対策に関する経験の蓄積機能として重要である。
◇小中学校のニーズ
・出前授業をする場合、学校の時間のコマ数を配慮して企画されていれば受け入れや
すい。また、学校が年間計画を立てる段階でプログラムに関する情報があると学校
側は受け入れやすい。
・授業を行う教員に対する支援はセンターの重要な役割である。その際に以下の点が
重要である。
+教育の専門家、もしくは発達段階に応じた授業内容のアドバイスが必要。
+省エネに関する学習を行った経験がある教員がセンターにきて講師を務めるこ
とはその人にとってもプラスになるであろう。
+教員間の情報の交換の場としてセンターを機能させたい。
+センターに来られない教員に対して、授業のやり方をビデオ等で情報提供する、
Web上で提供することは有効。
38
+中学校では専門分野が分かれており、環境ネットワーク・文京等が文林中で実施
した授業でも理科の先生でないとノウハウが引き継げないのではないか。そのた
め、手順書やキット等があるといいのではないか。
+小中学校共に地域のことを学ぶ時間はあり、近所で省エネに取り組むスーパー等
を回ることはできる。センター等がそのような場所を紹介すればよい。
+教材作成について、子供が親しみやすい教材をセンターが作成し、学校が教材と
して購入することも可能。その場合、当初から区教委と連携した教材作成体制が
必要。
◇世代を超えた連携の可能性
地域に設置するセンターの役割として、希薄になった世代間の交流を促進することも
ある。
・幼小中が隣接する場合、中学生が小学校に絵本の読み聞かせなどのために訪問する
活動等を行っており、省エネについても違う世代のつながりをもたせることは可能。
ただし、学校間の移動に時間がかからない近所にあることが条件である。
・大学生が小学校に行き、小学生をグループ分けして、それぞれのグループについて
きめ細かくフォローすることは小学校等でも評判が良い。ただし、サークルや個人
では、小学校に出向いて環境学習を行う人数がその年により変動するため授業計画
を組みづらい。そのため、大学、研究科、研究室といった単位で環境学習に学生が
継続的かつ安定的に関わる仕組みが必要である。
・東洋大学では、現代社会総合研究所が窓口になってくれることから相談しやすい。
東洋学園大学では科目として環境教育を設置し、生徒が学校で環境学習を行うこと
が単位となる仕組みがある。ただし、学生が小学校に出向く場合、学生のトレーニ
ングを行う体制の整備や大学と小学校のコーディネートを行う人材が必要である。
・大量退職の時代であり、退職した先生の活用も得策。特定のコマだけ手伝ってもら
う場合には退職した教員の協力を得られる可能性がある。
(ウ)先進地区事例調査
先進事例として、京都市にある「京(みやこ)のアジェンダ21」と「京(みやこ)エ
コロジーセンター」を訪問して、「文の京
知恵の実現センター」構想の実現に向けて、
学ぶべき幾つかのヒントをまとめた。
39
「京のアジェンダ21」からのヒント
◇設立の経緯からのヒント
京都市では、1997年の地球温暖化に関する国際会議(COP3:気候変動枠組み条約第
三回締結国会議)を開催するホスト市に決まったことを受けて、1996年には、市が京都
市地球温暖化対策地域推進計画を策定した。
この計画を官民協働で押し進めていこうという目標で、京のアジェンダ21が策定され
た。そして、産官学および市民が協力しあって持続可能な社会の実現を目指して各種の
取組を推進することを目的として「京のアジェンダ21フォーラム」が結成された。
これに対して、文京区は、2008年洞爺湖サミットの開催を契機に地球温暖化対策の重
要性を認識して、2009年度に文京区地球温暖化対策地域推進計画を策定中である。
文京区では、2010年度にはその計画に従って産官学および市民が協力して低炭素社会
の実現に向けた地球温暖化対策推進協議会の設置を計画している。
文京区のそのような状況を基盤として、それを強力にサポートする企画・運営機関と
して、「文の京知恵の実現センター」構想は有効に機能すると考えられる。
◇京のアジェンダ21フォーラムの運営からのヒント
・フォーラムの設立時は、『京のアジェンダ21』策定委員会を結成して、それぞれの
パートナーが自ら策定した計画の実施に責任を負う形で、フォーラムの役員に就任し活
動を始めた。フォーラムは設立直後から、『京のアジェンダ21』の重点取組テーマごと
にワーキンググループを形成し、そのワーキンググループ内に、多様な領域からの団体・
メンバーたちが集まって、パートナーシップを模索しつつ、具体的な取組を計画、実行
し、評価と反省を行い、情報は公開することに努めてきた。
・文の京知恵の実現センターも、文京区の特徴である多くの大学があることのメリッ
トを享受するために、知的センターとしての大学を中心として、企業と市民が協働し、
文京区がそれを支援する委員会を結成して、それぞれのパートナーが自主的に策定した
計画の実施に責任を持つ形で、共通の目標である低炭素社会の実現に向けた活動を推進
することが有効であろう。
・さらに具体的な進め方として、文京区地球温暖化対策地域推進計画に基づいた幾つ
かの重点テーマを設定して、テーマ毎に協働し合えるメンバーからなるワーキンググル
ープを形成して活動を推進することがよいであろう。
◇京のアジェンダ21のこれまでの主な取り組みからのヒント
40
・
活動の初期から独立採算出来るNPO法人KES環境機構を創設し、全国展開事業
としている。
文の京知恵の実現センターも、早くからこのような自治体の支援に頼らない独立でき
る事業の創設を工夫するべきである。当面は、KESの文京支部を創設して、文京区内の
中小企業の環境マネジメントを支援することも考えられる。
・
京グリーン電力証書事業は、現在まだ大きな事業収益を上げてはいないようで
あるが、今後25%削減などにとって、この事業は非常に大切である。
文の京知恵の実現センターも文京区と協働して、家庭・学校・中小企業に太陽光発電
設備の設置を広げる活動を工夫するべきである。
◇ワーキンググループ活動からのヒント
・
家庭の省エネルギー対策プロジェクトチーム「省エネ相談所」は、家庭の省エ
ネアドバイザー養成研修会(2日間)、省エネ相談所の開設(30箇所)、省エネセット
の装備(1セット5万円)、省エネキャンペーンなど総合的に企画された市民の地道な活
動である。
文京区のCO2削減では、家庭部門(25%増加)と業務部門(70%増加)が非常に重要
である。これらの削減に向けて、文京区と協働しながら町内会ごと相談所を設置して家
庭の省エネを推進する。小中学校を拠点としてPTAとの協働で個々の学区に省エネ活動
を展開する。中小企業団体を巻き込んで業種別の特徴ある相談所を設置して、個別の地
道な省エネ活動を展開して行くべきである。
「京エコロジーセンター」からのヒント
◇主な運営事業からのヒント
・ 環境学習プログラムの開発・実践
・ 人材養成システムの制度設計(エコメイト制度)
・ 地域活動支援(講師派遣、講習会)
・ 環境情報交換支援(企画展示)
・ 研究調査(大学との協働)
・ 情報発信と交流(日中環境技術情報プラザの創設)
→文の京知恵の実現センターも、このような幅広い活動を展開して行けるような構想
を持って活動を充実して行く事が望まれる。
◇人材育成システムからのヒント
41
・ エコメイト養成講座(毎年開催50名養成)
・ エコメイトの実践の場の提供(3年間)・・エコロジーセンターの運営支援
・ 京エコサポーターの任命(3年間、90名)・・エコメイトを3年間経験した人から
任命、定例京エコサポーター交流会(月1回開催)に出席して、京都の様々な環境活動を
支援する
・ くらしの匠の任命
エコサポーターの中からコーディネイト出来る人を任命(有給)
→文の京知恵の実現センターにおいても、活発な活動を展開していくためには、それ
をサポートする人材が必要であり、その為に計画的にあるいは人材養成に適した制度を
創設して、最後はコーディネイトが出来る人材は、有給で継続的な活動を担保すること
が望まれる。
・ 各種講座の設置
・学生向け環境学講座「京エコロジー概論」・・「単位互換制度」を利用して、京都
の大学間で学生が相互交流しながら学べる
・子供エコセンクラブ・・環境省こどもエコクラブ京都市域事務所委託
・環境教育育成講座・・高度の講座を目指していたが、受講者が減少したので、マー
ケティングを行い、受講者が希望するレベルを調査して、そのレベルに合わせて、講座
内容の程度を大幅に落として開催している。
→文の京知恵の実現センターにおいても、市民、中小企業、主婦などそれぞれのレベ
ルに合わせた講座を企画することが大切である。また、大学の相互交流を促進して、大
学および学生の知的活動が交流しておのずから高められ、地域に有効に貢献してい行く
方策を作り上げていくことが望まれる。
(エ)文の京知恵の実現センターの設置に向けて
文京区は、2010年度から地球温暖化対策地域推進計画の実施段階に入るので、その推
進を文京区と協働して大学・企業・市民が活発な活動を展開できる拠点として「文の京
知恵の実現センター」を創設することは非常に重要である。
初めはソフトに重点を置いたある程度最小限の拠点を設けて活動して、京エコロジー
センターを京都でも長い年月を掛けて議論してハードを設置したように、文京区として
望ましい形が見えてきた段階で設備面の充実をはかる。
文京区の特徴である大学の知的活動を最大限に引き出す方法を考え、その知恵を実現
するためには市民の活動も必要であるので、それらが有効に作用できる制度設計が文京
42
区との協働を通して実現できるようにすることが望まれる。
文京区のCO2削減では、家庭部門と業務部門の大幅削減が出来ることに焦点を絞った
省エネ活動を創造することが大切であり、これは日本の全自治体でも要望されているこ
とである。
今回の京都市の先進地区調査からヒントを得て、文京区がさらに大学の知的財産を活
用した先進的省エネ技術を編み出して今後の活動を展開して行くことを目指したい。
c)-3. 体験型実践講座
脱温暖化活動を組織的に展開するには、前述の文の京知恵の実現センターのような組
織と場所が必要であるが、当然にそれらの組織の活動をになう人材の充実も必要である。
ここでは脱温暖化活動を含めた環境学習を広めていく際のリーダーになる人材を養成す
るための実践講座を行った結果を紹介する。
(ア)講座の到達目標
地域における脱温暖化活動を自立的に担う人材育成のために、企画・広報チラシ作成・
相互に批評を行う実践型講座を実施した。この講座により脱温暖化環境活動の全過程を
擬似的に経験することにより、自立的に活動を担う人材育成を目指す。
(イ)講座の概要
環境に関する知識の伝達方法の習得を目的にした体験型実践講座では、啓発広報媒体
作成ノウハウ・講座の企画運営・メデイアリテラシーに関して、大学や市民活動専門家・
企業専門分野担当者から講義を受けると共に、受講生グループによるミニプロジェクト
を行い、環境活動の企画と広報の全過程を擬似的に体験する。
(ウ)講座の内容
図のような受講生の募集チラシを作成し、環境ネットワーク文京のHP、および区内に
配布を依頼した。
講座は21年12月19日から22年2月20日まで3回開催し、それらの応用として特別講演
の企画を行った。
43
第1回講座
1回目の講座は、環境イベントの企画・正しい広報をテーマにした座学の後、受講生の
グループ分け、自己紹介、他己紹介を行いグループワークの基礎を作った。東京大学准
教授丸山康司氏による「環境イベントの仕掛け方」-エコとエゴをつなぐ-と題した講
義では、環境意識と行動の悩ましい関係、環境中心主義の落とし穴、環境の問題を身近
にする方法を主要な論点であった。未来予測に伴う不確実性が必然的に存在する環境問
題に対して、①何故、「地球温暖化捏造説」が流行るのか、②環境問題は、国民一人一
人の意識の問題なのか、③国民の意識を変えれば環境問題は解決するのか、④「地球環
境問題に対する関心」を調べると、国民のほとんどが何らかの関心を持っていて決して
意識は低くない。ただし、その度合い・関心点はさまざまである、⑤通常、個人行動は
自由に選択できるので、行動に制限をかけるためにはその行動が「反社会的」「他人に
危害を与える」という明確な根拠を示さなければならない、⑥何も行動を起こさなくて
もある程度の温暖化で収まる可能性も含め、幅がある結果予測(不確実性)を根拠に行
動の制限・変化が求められる、などの点が示された。これらに基づき、環境問題は、予
防注意原則の基「将来に向けて悔いのない選択をする」という価値観を受け入れる必要
があることが指摘された。
44
以上の認識の下で、環境イベントの企画・正しい広報を行うためには、前向きな関心
(楽しさ・利益・喜び)に問題を解決するきっかけを見出す、結びつけることが必要で
ある。具体例として、①コンサートと環境イベントの合体。エコに関心が無かった人々
ともコミュニケーションを取ることができる、②「市民の力で作る風車」は、自分の預
けたお金が確実に環境に良いことに使われていることを“見える化”し、配当も受ける
ことができる、③市民風車スタート時期は「環境」をキーワードに参加者を募集、続く
プロジェクトは「コミットメント(地域意識・地域のシンボル)」や「経済」に拡大。
さらに「環境問題に関心はあるが、何をして良いかわからない」という人々が加わるこ
とで参加者の目的が多様になり同時に参加人数が増加してきた、④個人の「省エネなど
による節約」は、創意工夫の楽しさを感じることができると面白くなる、⑤企業・行政
は、手がけた事業に対して明確な成果を求められる一方、市民ボランティアの方がリス
クが小さくチャレンジすることが可能であることが述べられた。
続いて受講生を3つのグループに分けた後、グループごとに図に示すワークシートを参
考にして、作業計画を立案した。初対面のメンバーが気後れすることなく議論に参加で
きるように、グループのニックネームを決定した。グループワークの成果は、配布した
ワークシートに纏められ、2回目の講座までの作業項目を明確化した。
45
第2回講座
2回目の第一部は、海の環境教育NPO bridge代表理事の伊東久枝氏を講師に、ひきつ
ける広報チラシの作り方について学んだ。伊東氏は環境教育プログラムを実施する一方、
フリ環境教育をテーマとした書籍や教材の企画・編集などを行っている。
講義は、①普及啓発のために、いろいろなイベントやセミナーを企画するが、いくら
内容がよくても、来てもらわないと何も伝えられないので、効果的な広報手段を考える
ことが重要である、②グループごとのテーマにそって考えた「架空の環境学習イベント」
の広報をケースとしたケーススタディー法により、効果的なチラシの作成方法を中心考
えることを導入として、進められた。
多様な広報手段の紹介の後、的確な広報手段を選択するために、①イベント対象者は
どのような人か、②より多くの対象者に届く広報手段は何か、例えばチラシ、ポスター/
HP告知(団体HP、情報発信専門のHP)、メールニュース、メーリングリスト/そのほ
かのインターネット情報発信(mixi、twitter)/新聞・公報紙・情報雑誌等(マスコミの
利用含)、③チラシの配布場所と配布方法を考える事の重要性が示された。
チラシの評価法を学ぶために、①参加者が持ってきたチラシをグループごとに評価し、
②なぜ「いい」と思ったのか「悪い」と思ったのかをクループ内討論し、代表による発
表が行われた。
46
続いて対象と表現方法の説明として、①事例から対象者にあった適切な表現を考える
ために。年齢:大人(高齢者、主婦)、子ども、親子(参加の決定権は親か子か)、知
識:有無(知らない人に広く伝えたい)に配慮すべきであることが示された。
チラシ必須項目として、①「誰が」「誰に」「いつ」「どこで」「何を」「どのよう
に」するのか(5W1H)、②具体的項目としてイベントタイトル、日時、場所(集合
場所)、対象、定員、参加費、主催者、事前申し込みの有無:無、申し込み(問合せ)
先、持ちもの、地図(参加者が近隣の人の場合はいらないこともある)、イベント内容
がリストアップされた。
これらの予備知識を基に、①グループで相談しながら1枚のチラシ原案をつくり、②各
グループのものを前に張り出して、それぞれのグループが内容を説明し、③他のグルー
プからの感想を聞き、④講師がコメントした。
原案を基にチラシ最終案を次回作成し、相互評価を行うことを確認して、ひきつける
広報チラシの作り方の講義を終了した。
2回目の第二部は、「環境ネットワーク・文京」理事田邉貞幸氏による「野外活動者に
おけるリスクマネジメント」JACS-J自然観察指導員を例にして、イベントでのリスクマ
ネジメントの重要性が講義された。
リスクマネジメントの基本的な考え方として、①リスクには「人間に起因するもの」
と「自然界に存在するもの」がある、②指導員はプログラムの準備段階から終了後まで
リスク回避のための知識・技術・方法を身につける必要がある、③人間に起因するリス
クの回避は「良好な人間関係」を築くことが重要であることが指摘された。
さらに、①現地を事前に下見して危険予知をすることが基本であり、②現地下見で危
険要因を見つけ出し、重大な事故が発生する可能性が高いリスクから対処すると共に、
③リスクが顕在化した場合の事後策も検討が必要である。
観察会当日には、①遭遇しそうな危険要因を参加者にも伝え、参加者自らが対応でき
るようにすることも重要、②参加者の事故を恐れて避けるだけでは、活動の目的は達成
されないので、自然との付き合い方を知ることも自然観察会の大切なテーマである、③
47
万一不幸にも何か起こってしまった場合、誠実な対応と正確な情報の伝達が必要である
ことが指摘された。
その他のリスク管理項目として、①自然観察会では自然のものを採取しないのが基本。
だり、②しかし、採取しないからと言って貴重な生き物を観察することは、いずれ違法
採取に繋がるリスクを高めることになる。自然観察会が自然に対してのリスクであって
はならないことを自覚すべきであり、③観察会フィールドで生活する人々に対しても、
田んぼの畦を壊したら・・・、勝手に山菜を採取したら・・・など地域社会に対するリ
スクにならないための配慮が必要である。
自然観察指導員の保険制度における事故申請より、①過去17年間に35件の事故申
請があったがすべて指導員本人の傷害事故だけで、参加者が怪我をして保険申請まで至
った「損害賠償責任事故」の事例は1件もないことから、②指導員のリスク管理が機能
していることが示された。
第3回講座
最終回は東京大学教授柳沢幸雄氏による、①発言しやすい雰囲気つくりの実践、②チ
ラシ最終案の仕上げ、③作成したチラシの発表と相互批評が行われた。
48
相互批評に必要な発言しやすい雰囲気を作るために、①同じ質問を参加者全員にする、
②参加者はその質問に回答するが前の人と同じ回答をしてはならない、というルールで、
講師と参加者の間で質疑応答を行った。
講師が参加者を当てる方法で全員に質問をした後、講師の質問に対して参加者が自由
に回答する方法に移行すると、なるべく早く回答したほうが前の人の回答と重ならない
ことから、参加者は自ら進んで積極的に発言するようになった。
チラシの最終案の仕上げを約1時間各グループで行った。
作成したチラシを写真のように全員に見せながら、チラシの内容とその意図を各グル
ープが説明した。
49
各グループの説明と相互批評の後、講師がすべてのチラシに対して批評を行って3回の
講座のとりまとめを行った。
毎回講座終了後、受講生に講座内容に対するアンケートを実施して、受講生の多様な
期待に沿うような講座内容とすることに努めてきた。最終回のアンケート結果のまとめ
を示す。
50
特別講演企画への応用
前記と同様の企画の環境ネットワーク・文京「企画・運営」の人材育成講座修了生が
スタッフとして公開講演会を企画・運営した。
修了生がフライヤー作成並びに、企画段階から関わり運営スタッフとして参加し、こ
れまで学んだ体験を活かす為の総合体験型講座である。
<特別講演
先住民族の叡智に学ぶ>
後援:文京区
51
講師:東大名誉教授
月尾嘉男先生
日時:平成22年2月27日(土)
13:00~15:30
会場:文京シビック26Fスカイホール
参加数:100名
参加費:無料
*講演概要
DVD映写会(約50分)
ラップランド
サーミ民族
「国境を越えて守る命」
講座生作成・広報用フライヤー
2,000枚文京区内外に配布。
文京区報2月5日号に掲載された。
計3回の体験型実践講座のノウハウが
活かされていると好評であった。
52
月尾先生講演(1時間)。会場は満席だった。月尾先生の最近の活動として、世界各地
の先住民族の文化・歴史から今日の環境問題を解決する鍵があると感じ、世界中を飛び
回っておられる。「ほんとうにこれから個人ができる、温暖化対策があるのか」との質
問に「とにかく直ぐにどんな事でも自分の出来る事をすべき」と回答が印象的だった。
<DVD「国境を越えて守る命」概要と講演内容の概要>
ノスカンジナビア半島の北部に生活する先住民族サーミの伝統的生活を学ぶ事で、見
習うべき先住民族の叡智があり、環境問題解決の鍵があるのではないか。
サーミはノルウエイに約3万人、スウェーデンに約17,000人、フィンランドに約4500
人、ロシアに2,000人といわれトナカイの放牧で知られる。
・トナカイとともに、サーミの生活スタイルは自然に従属する人間の行動である。
環境の限界を超越しない生活をサーミは行っている。
現在、バイオキャパシテイー・エコロジカルフットプリントなどと説明されるものだ
が彼らは生活の節度として根付いている。
環境を中心とする生命圏域・・放牧の為には国ではなく国境を越え自由に往来可能。
生物の行動を背景に設定された圏域をバイオリージョン,生命圏域という。
環境先進国家から、情報先進国家への飛躍。
90年代に既に北欧諸国では炭素税を導入し、産業構造を化石燃料を抑制する情報産業
に転換してきた。
我々は生命圏域を基礎とした生活をサーミ民族から見習う事が重要だ。
講演会の企画へのフィードバックを行うため、参加に対して下記のアンケートを実施した。
講演会の内容に限らず、環境に対する意識についても調査を行った。
53
講演会のアンケートにご協力下さい
2010・2・27「先住民族の叡智に学ぶ」特別講演会
Q1.この講演会の開催を何で知りましたか?
① 知人から ② チラシ
③
ホームページ
(お分かりになれば、どこのかお書きください)
④
区報
⑦通りがかり
⑥
CATV
⑧
その他:
Q2.講演会について
① 有意義でしたか
□大変満足 □満足 □やや不満 □不満
② 内容について □大変よくわかった □分かった □難しかった
Q3.あなたが今もっとも関心のある地域での環境問題は次のどれですか?
1.
地球温暖化
5. 食の安全
2.緑・自然環境
3.リサイクル・廃棄物
4. 化学物質
6. その他:
Q4.講演会について自由にご感想を記入して下さい。
Q4.あなたの年代は?
①
10 代未満
代
⑦
②10 代
②20 代
③30 代
④40 代
⑤50 代
⑥60
70 代以上
Q5.あなたの性別は?
① 男性
② 女性
Q6.あなたのご職業は?
① 専門・技術職 ②管理職 ③事務職、④営業販売職 ⑤サー
ビス職
⑥保安職
産・労務職
⑦農林漁業職
⑩無職
⑪学生
⑧運輸・通信職
⑫主婦
⑨生
⑬その他:
受付の「白熱電球一掃作戦」をご覧になった方は以下の質問にご協力下さい。
1.
白熱電球は 124 円ですが、蛍光灯に今すぐに買い替えたいと思う価格は
幾らくらいでしょうか?
① 1,500 円、②
2.
1,200 円、③
900 円、④
600 円
蛍光灯が 1500 円位であるとき、LED 電球を皆さんがすぐに買い替えたい
と思う価格は幾らぐらいでしょうか?
① 3,500 円、
②
3,000 円、③
2,500 円、④
アンケートにご協力有難うございました!
54
2,000 円
お帰りに受付でお出しください。
月尾教授講演会のアンケート結果 講演会は何で知りましたか
30
25
20
15
10
5
0
区報
知人
チラシ
知恵の環
HP
講演会について
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
有意義でしたか
内容につて
関心のある環境問題
35
30
25
20
15
10
5
0
55
年代と性別分布
50
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
年代
性別
職業分布
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
40
35
30
25
平 均 値 :2 , 381 円
平 均 値 :82 5円
20
蛍光灯
15
LED
10
5
0
3 500
3000
250 0
20 00
15 00
1 200
900
蛍光灯とLEDの購入価格
56
600
人材育成講座まとめ
今回開催した3回の体験型実践講座は、今後様々な活動の広報を具体的に行える、スキ
ル講座である。
広報として、主にフライヤー作成スキル、発信する方法を学び、それを実際に具現化
し特別講演会を開催した。
講演会は100名以上の大規模な企画であり、その為にはどのような課題があり、その
解決に何が必要かを、講演会に向けた打ち合わせ会議を通して(計5回)講座生有志は学
んだ。
「体験型実践講座」(計3回)のフライヤーと特別講演会のフライヤーは、基礎講座終
了生によって、作成された。特に講演会フライヤーは体験型実践講座のノウハウを活か
して作成された。レイアウトや色使い、目的の明確化などスキルアップになったものと
伺われる。
講演会の運営は、それぞれが自発的に行わなければ運営がスムーズに行かない事を体
験する良い方法である。とかく一人のリーダーに任せきりになる事が市民活動において
は多く見受けられるが、講演会などの一般公開行事はミスが大きな批判と繋がる事、ま
たミスを謙虚に受け止め、次につなげる努力が必要な事など体験する機会であった。
それとともに100名以上の人の参加を募るのは容易な事ではなく、集客ノウハウをス
タッフ全員で考えながら行った経験は、今後の「知恵の実現センター」の活動に大きく
寄与するものと考える。
地域の核となるべき人材の育成は、小規模であっても絶やす事のないように、行政、
企業、教育機関が、市民一体となって継続させる体制が最も重要である。
それには、よく行き届いた事務局機能と情報収集に心を砕く人材が必要だと考える。
57
②学校と家庭での実践試行グループ
a) 各種イベント・講座への脱温暖化要素組み込みの試行
a)-1.目的
低炭素社会を実現するためには、市民ひとりひとりの意識の向上と、日々の行動が不
可欠である。そのために、環境教育がなすべきことは、家庭、学校、地域において、低
炭素社会実現のための方法とその意義を広く伝えることである。そして、環境への意識
が高い層はもちろんのこと、そうではない層にも、意識と行動の改善を浸透させていく
必要がある。
そこで本チームでは、地域における既存の学習プログラムに、環境配慮的なアクティ
ビティを組み込むことを通して、プログラムに参加した子どもや大人の、低炭素社会実
現のための行動への動機づけを高める試みを行った。このような小さな環境学習・行動
はいわば「プチエコ」と呼ぶことができる。さらに、アクティビティ組み込みの試行と
同時に、その成果と今後の方針を探るための質問紙調査を実施した。これらの試行にあ
たっては、本企画調査のメンバーである市川が主宰する「学びのポイントラリー」と協
働した。
a)-2.方法
期間
アクティビティ組み込みの試行と質問紙調査は、2009年10月から2010年2月に
かけて行った。
フィールドと環境配慮アクティビティ
表2-1に挙げる10つのプログラムにおいて通
常の活動の一部に環境配慮アクティビティを組み込んだ。プログラムによって、扱う環
境配慮行動(以下、標的環境配慮行動)は異なっていた。10月31日の葉脈作り・科学実験、
11月21日の環境フェスタ台東、12月12日のクールアースフェアは、それ自体が「環境」
をテーマに実施されたプログラムであった。それ以外は「環境」は直接的なテーマでは
なかった。本研究の目的が、もともと環境に関心のある参加者以外にも、環境配慮行動
を浸透させることであるため、あえて、環境以外を主目的とするプログラムもフィール
ドとして選択した。
58
表2-1 フィールドと環境配慮アクティビティ
1
日時
イベント名
会場
アクティビティ
2009/10/31
葉脈作り・科学実験教
お茶の水女子大学
アクリルの実験
蔵前小コミュニティ祭
台東区蔵前小学校
ディッシュリユース
り
と周辺地域
リユース食器で模擬店
台東区生涯学習セ
のごみ減量 環境フェ
ンター・金竜公園
室
2
3
2009/11/1
2009/11/21-22
ディッシュリユース
スタたいとう2009
4
2010/12/12
クールアースフェア
5
2010/1/18
こども広場「親子でお
文京区大塚北交流
買い物ごっこ」トライ
館1F
白熱電球一掃作戦
衣類のリサイクル
アングルでECOライ
フ
6
2010/1/30
トンネル探検隊
五洋建設(株)東
戸越シールド工事と
京土木支店戸越
廃棄物処理工場の見
学
7
8
2010/2/7
千駄木フェスティバル
2010/2/13
文京区立第8中学
ディッシュリユース
校
割り箸リサイクル
たこ飯食って凧揚げよ
奈良市青少年野外
マイはしづくり
う。竹箸つくり
センター
9
2010/2/20
食材はどこから来るの
渋谷区山谷小学校
フードマイレージ
10
2010/2/20
パソコンでさんチャレ
渋谷区山谷小学校
紙のリユース
ポスターを作ろう
調査協力者
のべ653名が調査に参加した。全体と各プログラムについて、協力者の
年齢を表2-2に、性別を表2-3に示した。
表2-2 調査協力者の年齢
全体
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
未就学
6
0
5
0
0
0
0
0
1
0
0
小学生
151
5
81
17
1
0
13
0
10
6
18
中学生
13
0
5
5
0
0
1
0
2
0
0
高校生
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
大学生
3
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
プログラム
59
10代
8
0
0
2
4
0
0
2
0
0
0
20代
17
0
0
6
6
0
0
5
0
0
0
30代
91
0
38
16
11
13
1
10
2
0
0
40代
104
0
24
23
11
6
12
22
6
0
0
50代
62
0
20
14
21
1
1
4
1
0
0
60代
67
0
32
13
22
0
0
0
0
0
0
70代
55
0
26
9
19
1
0
0
0
0
0
80代
17
0
5
0
12
0
0
0
0
0
0
無回答
59
0
40
1
8
0
0
6
4
0
0
表2-3 調査協力者の性別
全体
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
男
220
1
89
46
29
0
15
18
13
2
7
女
392
6
167
59
78
21
13
25
8
4
11
41
1
20
1
8
0
0
6
5
0
0
無回答
質問紙
(1)環境配慮行動に対する認識に関する質問、(2)環境配慮行動に対する動機づ
けに関する質問、(3)日常生活における態度に関する質問、(4)全般的な興味関心に関する
質問、(5)回答者の属性に関する質問から成る質問紙を作成した(付録1, 2)。
(1)環境配慮行動に対する認識に関する質問
各プログラムで取り上げる環境配慮行
動について、それ以前に知っていたりおこなったりしたことがあるかを問う項目(問1)、
そのプログラムにおける標的環境配慮行動に関するレクチャー、実演、展示などがどの
くらい面白かったかを問う項目(問2)、標的環境配慮行動に対してどのようなイメージを
持ったかを問う項目(問3)を作成した。問1は「やったことがある(3)」「やったことはな
いけれど知っていた(2)」「今日はじめて知った(1)」の3件法、問2は「とてもおもしろか
った(4)」「まあまあおもしろかった(3)」「少しつまらなかった(2)」「とてもつまらな
かった(1)」の4件法で尋ねた。問3は、「大事だ(5)―大事でない(1)」「簡単そう(5)―難
しそう(1)」「すぐにできそう(5)―時間がかかりそう(1)」「節約できそう(5)―お金がか
かりそう(1)」「楽しそう(5)―面倒くさそう(1)」「おもしろそう(5)―つまらなそう(1)」
「体によさそう(5)―体に悪そう(1)」
「かっこいい・おしゃれ(5)―やるのは恥ずかしい(1)」
「環境によさそう(5)―効果がなさそう(1)」の9対のSD尺度について、それぞれ5件法で
尋ねた。なお、問3の9項目は、①-bにおける調査項目を参考に選定した。
(2)環境配慮行動への動機づけに関する質問
60
標的環境配慮行動を、今後もやってみた
いと思うかどうかについて、「とてもやりたい」「少しやりたい」「あまりやりたくな
い」「全然やりたくない」の4件法で尋ねた(問4)。
(3)日常生活における態度に関する質問
環境配慮行動に対する動機づけに影響を与
えると考えられる要因として、環境共生社会に対する意識がある。環境に関する活動を
行ってきた市民団体のメンバーを対象とした予備調査の結果、環境共生社会に対する意
識は、日常生活で育まれ、日常生活で示される態度であるとの見解が得られた。また、
その下位項目として、自然に対する興味、身近な他者に対する興味、地域社会に対する
興味の3カテゴリが抽出された。そこで、生き物が好きか(問5)、隣の家の人と会ったら
挨拶をするか(問6)、過去半年で町内会のイベントに参加したか(問7)を問う項目を作成し
た。問5は「とても好き(5)」「まあまあ好き(4)」「あまり好きではない(2」「全然好き
ではない(3)」の4件法、問6は「いつもする(4)」「ときどきする(3)」「あまりしない(2)」
「全然しない(1)」の4件法、問7は「参加した(2)」「参加しなかった(1)」の2件法で尋ね
た。
(4)全般的な興味関心に関する質問
必ずしも環境に関心のあるわけではない層にア
プローチする際、対象者の興味関心に沿ってプログラムを提供し、その中に環境配慮ア
クティビティを組み込む必要がある。そのため、対象者がどのような関心を持っている
のかを把握する必要がある。そこで、今後、プログラムを企画する際の方向性を決める
資料として、環境に直接関係のない項目も含めて、興味関心の有無を問う項目を作成し
た(問8)。
a)-3.プログラムごとの結果と考察
イベント等名
称
葉脈つくり 科学実験教室
学びのポイントラリー登録プログラム
開催日・場所
2009年10月31日・お茶の水女子大学
概要
アルカリ溶液に一晩漬けた数種の葉から歯ブラシを用いて葉脈標本をつ
くり、フィルムで挟みしおりを作成した。実験の後、アルカリの歴史と
して、灰化した海草からアルカリを作り生地を漂白していたことを紹介
し、今は何でも洗剤を使うが、状況に応じて上手に自然の力を使えるこ
とを解説した。本理科実験の、目的の一つはどのような実験も孤立した
もではなく、その歴史や他の事柄と関連を持ったものである事を示す為
に、今の環境問題との関連性を紹介した。
環境行動の選択肢として、いつも最良の唯一のものがあるのではない事
を実感として体得してもらいたい。
61
イベント概要
お茶の水女子大学環境科学倶楽部の実験教室
は常に身近なものを題材としている。
子どもたちが興味を持って自発的に実験に関われるよう、説明には専門用語をなるべ
く使わない。
また、どんな事でも質問できるよう言葉を選んで、雰囲気作りを心がけた。盛んに質
問が飛び子どもたちが、色々やってみたいと言う時、ちびっ子科学者誕生の手ごたえを
感じた。子どもと関わる事は常に学ぶ事が多い。
アルカリと歯ブラシで処理した葉っぱのフ
ォルダー。
お茶の水女子大の庭で拾った葉っぱを、実験
で使用した。
実験教室には定期的に参加する子どもが多
い。
名称は環境科学実験だが、必ずしも環境実験
にこだわらない。子どもたちに環境教育の啓発をする事は、どのような事柄も環境問題
と繋がっている事だ。それが分かる感性を養う活動で、子どもたちにとって葉脈を作る
事と洗濯することに海草が関係している事は小さな驚きである。
イベント名
蔵前小コミュニティ祭り
テーマ)ディッシュリユース
開催日・場所
2009年11月1日(日)午前10:00~午後4:00
台東区蔵前小学校及び隣接公園他
概要
台東区立蔵前小学校及び地域のコミュニティ委員会のお祭り。
模擬店での飲食提供を、リユース食器を使用しイベントからの廃棄物
削減を図る。
通常は、使い捨て容器を使用する模擬店の食器を、リユース食器を取
62
り入れ食器を戻してもらうとき、洗浄による水の汚れの低減を図るた
めに利用者自ら古布で、よごれを拭きとる(当事者意識の醸成)。
「蔵前小コミュニティ祭り」の会場は、蔵前小学校の校庭、隣接する公園、道路(大
俵引き)を使用して開催され、生徒や父兄の参加が多くみられた。
会津から大俵引祭も参加、地域を越えた交流となった。
アンケート回収所では、イラストによる環境配慮行動の話、再利用ペーパープレゼン
トも行われた。
<アンケート集計>
問1
問2
問3-1
問3-2
問3-3
問3-4
問3-5
問3-6
問3-7
24
26
12
27
30
28
29
34
27
1
137
57
5
14
12
31
25
7
5
2
25
5
2
17
14
25
42
25
14
無回答
63
3
92
4
121
14
63
58
49
85
94
90
68
34
52
50
24
38
39
37
210
104
113
120
58
78
104
5
問3-8
問3-9
問4
問5
問6
問7
無回答
28
22
15
21
17
25
1
23
14
1
4
1
49
2
27
4
16
22
6
204
3
93
24
146
121
34
4
53
18
100
110
220
5
53
195
年齢
性別
無回答
42
無回答
22
未就学
5
男
89
小
81
女
167
中
5
高
0
大
0
10代
0
20代
0
30代
38
40代
24
50代
20
60代
32
70代
26
80代
5
環境配慮行動試行の効果
蔵前小コミュニティ祭りは様々な団体、人々が参加し福島県会津市からの協賛プログ
ラムもあり、祭りとしての雰囲気を高め、コミュニティの意義を深め情報の発信として
も役割をはたしている。
楽しいと感じるイベントを通し世代、地域を越えたコミュニケーションが生まれ、先
人の知恵を学ぶきっかけにもなっている。ディッシュリユースを経験し、水の汚れを軽
減すること、廃棄物削減となっていることを知って、気がつけば環境配慮行動を実行し
64
ていたのだと、認識する効果がみられた。
リユース食器を使用したことで、使い捨て容器を使用した場合の廃棄物は0となり、食
器を拭いた古布と残渣は30リットルの袋で2袋だけであった。今後の課題として、食べ
残しを無くす工夫、意識の向上が望まれる。それにより更なる廃棄物削減が期待できる。
イベント等
エコ
名称
環境フェスタたいとう2009
開催日・場所
2009年11月21日(土)
テーマ)ディッシュリユース
22日(日)午前10:00~午後4:00
台東区生涯学習センター・区立金竜公園
概要
(台東区西浅草3-25-16)
台東区の環境イベントである「環境フェスタたいとう2009」の中で、来
場者への啓発活動として使い捨てではない食器で飲食を提供する「リユ
ース食器で模擬店のごみ削減
エ
コ
in 環境フェスタたいとう2009」を展開。
通常は、使い捨て容器を使用する模擬店の食器を、リユース食器を取り
入れ食器を戻してもらうとき、洗浄による水の汚れの低減を図るために
利用者自ら、古布で汚れを拭き取ってもらう(当事者意識の醸成)。
さらに、デポジットのシステムを来場者に体験してもらう。
模擬店を利用した来場者は、器を古布で拭きとってから返却しデポジット料金を受け
取る。
他人まかせにしないで、自分で考え自ら行動するヒントをイラストで説明。
気づきを引き出す。
65
<アンケート集計>
問1
問2
問3-1
問3-2
問3-3
問3-4
問3-5
問3-6
問3-7
0
6
2
4
4
4
4
6
4
1
35
15
1
4
4
14
8
1
1
2
16
1
1
8
9
16
26
6
4
3
55
48
9
26
24
17
32
34
43
36
11
25
23
12
18
22
22
82
39
42
43
18
37
32
無回答
4
5
問3-8
問3-9
問4
問5
問6
問7
無回答
3
3
1
3
2
5
1
7
1
0
1
0
32
2
8
3
5
8
2
69
3
38
9
43
40
20
4
24
10
57
54
82
5
26
80
年齢
性別
無回答
1
無回答
1
未就学
0
男
46
小
17
女
59
中
5
高
0
大
0
66
10代
2
20代
6
30代
16
40代
23
50代
14
60代
13
70代
9
80代
0
環境配慮行動試行の効果
エ
コ
「環境フェスタ たいとう 2009」の会場である台東区生涯学習センターと区立金竜公
園は隣接し、イベントとして近隣の市民が多く参加しやすい立地であり、地域に根ざし
たイベントといえる。エコフェスタというイベント名にあるように、主催者側のみなら
ず来場者の環境意識は高く、啓発行動に対する反応はきわめて敏感である。ディッシュ
リユースのアンケートに対する協力度がみられ、日常的な自らの行動や家族の行動が環
境配慮行動につながっていることに気づく場面もあり、さらなる発展性も感じられる。
環境配慮行動に対する市民の意識向上、気づきをうながす地域における啓発行動の今
後の継続性が期待できる。
イベント等名称
クールアースフェア
開催日・場所
テーマ)白熱電球一掃作戦
日時:2009年12月12日(土)10:00~16:00
場所:文京シビックセンター地下2階(区民広場)
◇東京都の白熱電球一掃作戦とは
東京都の白熱電球一掃作戦とは、電気メーカーや業界団体、消費者団体などと連携し、
白熱球一掃にむけた大規模な交換促進キャンペーンの実施などにより、できるだけ早く
家庭の中から白熱球を一掃しようとしている活動である。この「白熱球一掃作戦」をき
っかけに、東京都は「電気代の節減でCO2を減らす取組」
が全ての家庭に広がるよう
に期待している。因みに、東京都では、都有施設で現在使用されている白熱電球2万9千
個について、平成20年度末までに蛍光灯に交換して、年間536万kWh、207t-CO2 の
削減を計画している。
67
◇文の京クールアースフェアとは
文京区では、地球温暖化防止をテーマとして、次図に示すような「文の京クールアー
スフェア」というイベントを
8月と12月に2回行なった。このほか、4か月間区民が地
球温暖化防止につながる取り組みに参加する「クールアースアクション」も実施した。
◇白熱電球一掃作戦の組込の試行
各種講座への脱温暖化要素組み込みの試行として、われわれは文の京クールアースフ
ェアのクローズドイベントに、「白熱電球一掃作戦」を組み込んだ。
実施者:東洋大学/吉田、牧野、呂、戸高、山中、杉江、文京学院大学/森田、三浦、渡
辺、ENB/中川、星、澤谷
以上12名
実施内容:ブースを1箇所借り、そこに白熱電球、蛍光灯とLED電球の電力消費量を
ワットチェッカーで比較して示す。後ろの壁に以下に示すポスターを掲示
して、白熱電球に比べて蛍光灯やLED電球の電力消費が少なく脱温暖化対
策に有効であることを示した。展示を見に来てくれた人に展示内容を資料
で説明した後、アンケートで、彼らの省エネ行動を調査した。
68
69
展示ポスター
科学技術振興機構プロジェクト事業
交換するだけで
節電!
CO2削減!
白熱電球
蛍光灯
白熱電球
LED電球(白色電球より17mm高い)
蛍光灯(クール色)
LED電球(昼白色)
白色電球・蛍光・LED電球の波長分析(太陽光と比較)
白熱電球
LED電球
蛍光灯
白熱電球・蛍光灯・LEDのCO2排出量
(電球1個当たり)
60 50 CO2排出量
44kg削減
40 CO2排出量
48kg削減
30 20 (
年
間
二
酸
化
炭
素
排
出
量
)
k
g
白熱電球
蛍光灯
LED電球
1年間の使用電
気料金(円)
3,469
642
385
1年間の使用電
気量
(kWh)
263
58
23
10 0 白熱電球
蛍光灯
LED電球
1年間のCO2
排出量(kg)
70
89
20
8
電球の寿命(時
間)
1,000
13,000
40,000
電球1個の値段
(円)
124
1,472
3,480
白熱電球、蛍光灯とLED電球の電気金額比較
25,000 家庭からの平
均CO2排出量
5年間で約
1万5千円
の節約
20,000 ( )
電
球
代 15,000 +
電
気
料
金 10,000 円
LEDでも
約1年で
逆転する
家庭の照明器
16.1%
具からのCO2
排出割合
家庭の照明器
861kg
具からのCO2
排出量
白熱電球1個を
LED電球に変
48kg(6%)
換する時の
CO2削減量(削
減割合)
白熱電球
蛍光灯
LED電球
蛍光灯は
約5カ月で
逆転する
LEDは蛍
光灯と約5
年で逆転
5,000 0 1 3 5 7 9 1113151719212325272931333537394143454749515355575961
1年目
2年目
3年目
4年目
5年目
5年間料金比較
LED電球
電球代
蛍光灯
白熱電球
電気料金
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
電 球代+ 電気料金
白熱電球・蛍光灯・LED電球の発光原理の違い
(1) 白熱電球
白熱電球は、フィ
ラメントに電流を
流すと抵抗熱で
2000℃近くに発
熱し、白色光を発
生する。
(2)
(3)
蛍光灯
5,350kg
蛍光灯は、真空中
で電圧をかけて電
子を発生させ、管
内に分散している
水銀原子とぶつか
ると紫外線を発生
する。紫外線が、
管内側に塗ってあ
る蛍光体にあたる
と可視光が発生す
る。
LED電球
LED電球は、
電流を発光ダ
イオード(半導
体)に流して、
可視光を発行
する。
原典:パナソニック電工ホームページ
71
<アンケート集計>
問1
問2
問3-1
問3-2
問3-3
問3-4
問3-5
問3-6
問3-7
無回答
4
21
9
13
13
10
15
18
11
1
9
50
69
37
37
5
18
30
47
2
32
4
20
19
117
11
29
24
23
3
73
1
17
28
28
23
37
42
32
4
0
15
15
34
14
3
4
5
3
6
8
35
5
1
1
問3-8
問3-9
問4
問5
問6
問7
無回答
18
10
0
3
8
8
1
40
84
52
58
59
88
2
16
10
63
60
41
17
3
34
5
1
4
2
4
3
3
2
2
5
7
6
年齢
性別
無回答
11
未就学
男
29
小
女
78
無回答
11
中
高
大
10代
4
20代
6
30代
11
40代
11
50代
21
60代
22
70代
19
80代
13
72
アンケートの考察
白熱電球一掃作戦について
80
70
60
50
40
30
20
10
0
白熱電球一掃作戦
作戦の話は面白い
今後やってみたい
この結果から、東京都の白熱電球一掃作戦はあまり広く知られていなかったが、ワ
ットチェッカーでそれぞれの電球の消費電力を実際に目で見て確かめられる今回の試み
は蛍光灯やLED電球が省エネにつながることの効果を来場者に強く印象付けることが
出来た。また、このようないわゆる省エネの見える化については今後とも実施すること
に賛同があった。
73
白熱電球一掃作戦のイメージ
90
80
70
60
頻 50
度 40
30
20
10
0
非常に良い
まあまあ
普通
いやいや
非常にいや
このイメージは、他の要素組み込み試行も一緒であるので、「白熱電球一掃作戦」
にあまり適切でない質問もあったが、皆さん良く考えて回答をして頂いた。従って、あ
まり適切でない質問では「普通」が多くなって特徴は見られないが、省エネは大事であ
るとか環境に良いという質問では、非常に良いという回答が多くなっている。
来場者の年代
25
20
15
頻
度 10
5
0
来場者の年代は、50代から70代位が多くなっている。10代は、小学生の画稿での省エ
ネ活動の発表がこの会場で行われたのでその後でブースの寄ったと考えられる。70代か
ら80代以上の高齢者には。LED電球の寿命の長さはあまりアピールしなかった。
74
来場者の職業
14
12
10
頻
度
8
6
4
2
0
来場者の職業では、専門・技術者が多いいが、これはそれぞれのブースで説明者が
立ち寄ったこともあると思われる。やはり無職と主婦が多くなっている。この種のイベ
ントで学生が出てくることは少ないが、このイベントでは多かったのは特徴である。
来場者の性別
90
80
70
60
頻 50
度 40
30
20
10
0
男性
女性
来場者の性別では、女性が多かったのは、このイベントの各ブースでいろいろな景
品があるという広報が流されていたのも影響したのかもしれない。
75
白熱電球一掃作戦アンケート
蛍光灯とLED電球の購入価格
60
50
平均値:921円
平均値:2,438円
40
頻
30
度
20
蛍光灯
LED電球
10
0
600 900 1,200 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 購入価格(円)
白熱電球が1個124円であるのに対して、蛍光灯の省エネ効果を考慮すると平均921円
であればすぐに購入するという回答であり、特に600円よりも900円で購入する人が多く
なっているのは興味がある。LED電球は、平均2,438円という結果であったが、多くの
人が一番安い2,000円に集中しているのは、省エネ効果を考えてもやはりもう少し安くし
てほしいという希望であろう。また、LED電球のメリットとして寿命が長いことを説明
したが、年配の来場者は皆死亡した後LED電球だけが残ってもしょうがないと言ってい
たのは面白かった。
前述の①C)-3の特別講演会時に行った調査では、支払い意志額は平均で蛍光灯825円、L
ED2,381円と今回の結果とほぼ同じであった。
白熱電球一掃作戦は、今回のクールアースフェアの催しの中で、比較的好評の催しで
あった。特にワットチェッカーを使用して省エネの見える化をした活動が来場者にも関
心を呼んだ。
今回の白熱電球一掃作戦では、省エネの見える化と同時にそれぞれの製品の性能と価
格を説明して、そのメリットを易しい図表にして示したことも、主婦層の一般の方に優
しく受け入れて貰ったようで、身近で具体的であることが、特に有効な手法であると思
われる。
76
イベント等名称
子どもふれあい広場「親子でお買い物ごっこ
とらいあんぐるで
ECOライフ」
テーマ)リユース・リサイクル
開催日・場所
平成22年1月18日(月)大塚北交流館
概要
平成19年10月から2ヶ月に1回の割合で開催している、乳児から未就園
児の親子が遊びに来られる広場。今回は、使わなくなった子ども服や
おもちゃなどを持ち寄り、親子でお買い物ごっこを楽しむ。
今回に試行にあ
今までは主テーマは別のプログラムがあり、リサイクル品を隅に設け
たり
て、自由に見てもらっていた。リサイクル品はスタッフが持ち込んで
いたが、だんだんと参加者が品物を持参したり、参加者ではない方が
品物を提供してくれたりというサイクルが出来上がる。そこで、今回
の企画が持ち上がり、主のテーマをリサイクル品でお買い物ごっこと
なる。
広場の趣旨は、縦にも横にも子育て仲間のネットワークを広げてもら
う。
今回の趣旨は、リサイクル品を提供してくれるネットワークの拡大と
定着。→地域でリユース。
実施団体の活動とアンケート内容が一致していたので、活動の流れが
スムーズであった。
イベント概要
おかあさん・どれにしようかな
0026.お店屋さんオープン
77
視点
この企画により、広く世代を超えた沢山のママ
のネットワークが広がっている。
子供服のリサイクルは身近な生活に密着しつつ、
フリーマーケットとも違うアットホームで小規模
である事が小さい子供のいる家庭には参加しやす
い。環境と構えることなく、一人っ子の多い(兄
弟がいないので直ぐに衣類が不要となる)都会の
家庭では有効な環境教育の場作りが展開できそうである。
イベント試行の効果
・ どのようにしたら一般市民を巻き込んで、環境意識を高めるかという大きな目的の
一つがこの取り組みから得られたと思う。環境に対して無関心ではないが、幼児を
抱え時間的にも経済的にも大変な世代の親に取って、生活に沿う取り組み以外なか
なか自発的な取り組みにはなって行かない。
マスメデイアやWEBなどの実感の得にくい情報ではなく、地域の中での子育てネッ
トワークを構築して親子で参加できるこのような活動が必要である。リーズナブル
で教育的にも意義深いこのような活動に、正しい環境情報を発信していく時間を意
識的に組み込む事が必要だと思われる。
・ 知っているようで知らない、地域の物の循環システムを若いママが知る機会ができ
た。参加者からは廃棄量の多さに驚いたとの意見が寄せられた。また文京区の衣類
回収を知らない人も多く、今回回収会場の周知をする事が出来た。今後は利用した
いとのことであった。
<アンケート集計>
問1
問2
問3-大
問3-簡
問3-時
問3-お
問3-楽
問3-面
問3-体
事
単
間
金
しい
白い
に
0
1
0
2
0
0
0
0
0
1
27
2
1
1
0
3
4
0
0
2
13
0
0
7
0
9
4
3
1
3
7
16
2
14
18
14
24
15
20
28
11
11
14
5
11
21
11
33
12
15
16
4
8
15
無回答
4
5
78
問3-お
問3-環
しゃれ 境
問4
問5
問6
問7
無回答
0
0
0
4
4
5
1
0
1
1
0
0
17
2
2
0
0
3
1
25
3
16
5
22
18
7
4
18
6
24
22
35
5
11
35
年齢
性別
無回答
4
無回答
未就学
0
男
18
小
0
女
25
中
0
高
0
大
0
10代
2
20代
5
30代
10
40代
22
50代
4
60代
0
70代
0
80代
0
イベント等名称
4
地下トンネル探検隊
テーマ)廃棄物処理とリサイクル
開催日・場所
平成22年1月30日(土)
「五洋建設㈱東京土木支店戸越シールド工事」
「㈱リサイクル・ピア」廃棄物施設
イベント概要
建設工事現場から発生する廃棄物が現場でどの様に分別され、
建設廃棄物の中間処理施設で廃棄物の再資源化に向けてどの様な
処理がされているかを現地で体験した。同時に、一連の処理の中
でCO2発生抑制に向けてどの様な努力がなされているかも説明を
79
受けた。日頃この団体の事業は自然観察を中心とする環境教育が
主な活動であるが、今回シールド工法見学会の企画に、廃棄物工
場見学を加えてもらい、
主に建設現場から出る資材ごみを粉砕し、木材チップや道路舗装
材などの資材を生産している施設を見学した。参加者は文京区在
住の親子が中心で、日頃目にする事のない場所での見学会は大変
人気があり、定員を大幅に超えて抽選であった。
戸越シールド工事現場概要
戸越シールド工事見学
わ~すごい!!
子供の声がひびく。
戸越シールド工事の正式名称は「戸越幹線貯留管中流部整備工事」という。
この事業は、浸水被害が多発している戸越銀座周辺の被害を軽減するための対策だ。
この工事は、豪雨時に下水道幹線の排水能力を超えた雨水を一時的に貯留するための施
設を築造するもので、貯留管本体をシールド工法により施工している。雨が止み、既設
下水道幹線に余裕ができたら、ポンプを使って貯めていた雨水を下水道に戻す。
下水道幹線に余裕ができたら、ポンプを使って貯めていた雨水を下水道に戻す。
シールド工法を写真や映像を使って具体的に説
明を受けている。こどもたちには、難しい事柄も
あったが温暖化の影響などで、都会での豪雨が増
えている事は身近に感じているようである。雨水
対応舗装の必要性などの意見が出た。
(株)リサイクル・ピア
80
廃棄物施設
廃棄物の分別作業エリアでの見学かなり大変
な手作業を含み、丁寧に分別される様子を見
学した。大人も子供も、物の生産から廃棄の
循環サイクルに有効な手段が、最後は手作業
である事を学んだ。
会議室で循環システムを学ぶ。廃棄物から
どのような物に再資源化されるかを実物を
見ながらの説明を受けた。アンケート記載
なども行った。
イベント試行で得られた効果
・ 温暖化の影響が豪雨などで身近に感じられた。その対策にはとてつもなく大きな施
設が必要であることなどを親子で学べたことがとても大きな成果だ。そのときだけ
の環境教育ではなく家庭ぐるみの学びの重要性を感じる。
・ 物の循環システムを構築する大変さを、親子で学ぶ事ができた。日常生活で各自が
丁寧な分別を行う事と、建材についても自然に戻る素材の重要性を学ぶ事ができた。
・ こうした見学会は頻繁に行えるものではないが、家庭ぐるみで楽しみながら学ぶ大
変意義ある活動だ。整備された施設見学とは違い特に廃棄物施設では生身の現場を
見てその大変さを実感できた事の意義は大きい。
<アンケート集計数>
問1
問2
問3-1
問3-2
問3-3
問3-4
問3-5
問3-6
問3-7
0
0
0
0
0
2
0
2
1
1
12
0
0
13
8
9
1
0
7
2
15
4
0
5
10
10
5
4
4
3
1
8
0
4
4
2
12
12
8
16
2
2
3
0
7
5
4
無回答
4
81
5
26
問3-8
問3-9
問4
4
問5
3
問6
5
0
0
1
0
0
1
1
2
0
0
0
0
4
2
2
0
0
1
1
23
3
12
1
10
8
10
4
7
4
17
19
17
5
5
23
無回答
0
0
男
15
小
13
女
13
中
1
高
0
大
0
10代
0
20代
0
30代
1
40代
12
50代
1
60代
0
70代
0
80代
0
イベント名
4
性別
無回答
未就学
5
問7
無回答
年齢
3
青少年対策汐見地区委員会主催 中学生企画事業
テーマ)ディッシュリ
ユース
(通称
日時・場所
千駄木フェスティバル)
平成22年2月7日 9:00~12:00 撤収作業・反省会 12:30~14:00
文京区立第八中学校
概要
文林中学校、第八中学校の両生徒会役員を中心とした中学生が、主に小学
生・幼児たちの為のイベントを企画・運営、それを地域の大人たち(地区対)
がバックアップするもの。参加数約300名ほどのイベントである。ここ数年
は千駄木フェスティバルという名称の、ゲーム・模擬店が中心のイベントと
82
なっている。今回は今まで模擬店で使用していた使い捨て食器類をリユース
可能のものへ転換、同時にワリバシのリサイクルにも取り組んだ。(ディッ
シュリユース)
イベント概要
アンケート作業準備
中学生が中心となって作業を進める
・
ディッシュリユース
・
ディッシュリユースの必要性を説明
した漫画ボードの展示をした。
・
初めて台東リサイクルネットから無
料レンタルされた食器。
83
役員が食器回収を担当。初めてで戸惑う
中学生企画の餅つき
事も多い。
◇千駄木フェスティバルについて
汐見(しおみ)地区は文京区の東側、台東区と境を接する千駄木1、2、3、5丁目であ
る。「地区対」とは、子どもたちの健全育成を目的に地域内の子どもに関係する団体や
住民が連帯協力して結成されている組織の略称である。正式名称は『青少年対策汐見地
区委員会』で、文京区内では地域活動センター単位に9つの地区対が活動している。家庭
と地域との結びつきが、ともすれば希薄になっている現在、まちの子どもたちが自分の
子と同じように健やかに育って欲しいとの思いから、青少年健全育成を目指している。
毎年「千駄木フェスティバル」と題し、今年は第八中学校を会場にその地区の中学生
が企画・運営を行う。中学生たちは、毎年大変楽しみにしている。特に一年生で参加し
た生徒は、来年生徒会の中心となった時には、これもやろう!あれもやろう!と一年間
いろいろと考えているようだ。また役員の大人も地区対行事のなかで中学生が主体的に
関われる唯一の行事なので、地域と学校をつなぐという意味で、価値があるものだと考
えている。今年は文京区の他の地区でもはじめてとなるディッシュリユース活動を取り
いれ、学校側からも意義深い活動として感謝された。今後の課題としては、宣伝方法を
もう一工夫して最低500名の来場者を確保し、地域中学生主体の活動として充実させた
い。
イベント試行の効果
・ 始めて食器リユースに挑戦するに当たり、食器の無料貸し出しを隣接台東区の環境
団体「台東リサイクルネットワークが申し出てくれた。先人の経験をアドバイスい
ただきスムーズに行えた。また地域を越えたネットワークが出来た事で、情報収集
にも幅が出来た。
・
前年度まで排出したごみ量は45リットル袋、約14~15袋であった。今回割り箸は台
84
東リサイクルネットワークが引き取り王子製紙へ回収にまわした。また使い捨て容
器がなくなった事を含めて、使用したごみ袋は45リットル袋、5袋であった。ごみ
量はほぼ3分の1に減量された。また予算的にも使い捨て容器がなくなり、その分他
の企画を充実させれことが出来た。
・ この取り組みは次年度会場である,文林中学の企画でも是非継続させたいと、文林
中学担当教師から申し出もあった。
<アンケート集計>
問1
問2
問3-大
問3-簡
問3-時
問3-お
問3-楽
問3-面
問3-体
事
単
間
金
しい
白い
に
0
1
0
2
0
0
0
0
0
1
27
2
1
1
0
3
4
0
0
2
13
0
0
7
0
9
4
3
1
3
7
16
2
14
18
14
24
15
20
28
11
11
14
5
11
21
11
33
12
15
16
4
8
15
無回答
4
5
問3-
問3-環境
おしゃれ
問4
問5
問6
問7
無回答
0
0
0
4
4
5
1
0
1
1
0
0
17
2
2
0
0
3
1
25
3
16
5
22
18
7
4
18
6
24
22
35
5
11
35
年齢
性別
無回答
4
無回答
4
未就学
0
男
18
小
0
女
25
中
0
高
0
大
0
10代
2
20代
5
85
30代
10
40代
22
50代
4
60代
0
70代
0
80代
0
イベント名:たこ飯食って、たこ凧あがれ
(小学生対象の体験プログラム)
学びのポイントラリー登録プログラム
日時:2010年2月13日10:00~16:00 (イベントは2時30分まで)
会場:奈良市青少年野外活動センター
奈良市阪町25-1
イベント内容
凧作りと凧揚げのプログラムの中に、プチエコとして、竹のマイ箸作りと環境のお
話タイム(地球環境とスローライフについて)を設けた。環境のお話は、今年1月か
ら連続して行っている。作ったばかりのマイ箸で、たこ飯を食べ、片付けのときに
自分たちにもできる環境配慮行動について話をし、食器洗いをした。
センターの竹を使って作った箸は、とても使いやすく持ち帰ってその後も活躍して
いる。
また当団体(環境ネットワーク・文京)が視察を行い、野外活動センターの可能性
を認識した。
イベント概要
凧つくり・サイズを決める。
冬の青空に何処までも上がる凧。
86
センターの竹をスタッフが切り出した
凧揚げで走り回った。スタッフ手作りの凧飯。
小刀で削る。これからお昼で使うよ。
普段食べない子もおかわり!
美味しいね。
マイ箸・竹の事・温暖化・いろんな環境問題考えよう!
アンケートも一生懸命考えて書いた。
視点
自然環境に恵まれたこの活動セ
ンターで、毎月多様なプログラム
が展開されている。必ずお昼を食
べる事が組み込まれている。当日
食べるおコメを一人分持参する。
好き嫌いもこのときばかりは解消
されるようだ。
またスタッフが地元の農業従事者や、職人の方など多才な人で構成され、見事なチー
ムワークでこどもの為に活動している。施設内ログハウスの修理もアスレチックもスタ
ッフ手作りであった。またほだ木にこどもがしいたけの菌を植え、次回3月のプログラム
はしいたけの収穫である。今後この人材並びに自然の有価価値を認識して、広くプチ環
境教育の発信基地として全国規模でのネットワーク化も可能だと考察した。
イベント試行の効果
・ 特に環境教育プログラムとしてこれまで運営したことがなかった。今回の取り組み
87
は当初スタッフとして躊躇した部分があった。しかし特別な事をするのではなく「普
段通りに運営する中で少し環境を意識する」。と言う取り組みをしてみて、運営側
が大変意義を感じたようだ。スタッフ側への啓発が大きかったと考察する。今後の
企画が期待できる。プログラム内でも温暖化に関する簡単な宿題を次回までにあた
え、以後、少しづつ環境配慮を意識したプログラム「プチエコプログラム」を継続
していくこととなった。
・ 地元にとってはこの自然環境の素晴らしさは当たり前の環境であり、むしろその不
便さばかりが強調されがちである。しかし東京のこどもの遊びと学びの環境を比べ
たらこの自然価値は計り知れない事を視察側がコメントした。参加者は地元を再認
識したとの事である。
・ 安全性が確保されたセンターのプログラムは、子どもにとって楽しい事の連続だ。
その中でクールダウンのひと時に、プチ環境講座は効果的であった。迎えに来た保
護者にとっても有効な情報であったようだ。
<アンケート集計>
問1
問2
問3-1
問3-2
問3-3
問3-4
問3-5
問3-6
問3-7
無回答
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
4
1
1
0
5
3
2
4
3
2
14
2
1
7
7
0
5
2
1
3
8
13
4
8
4
5
9
9
13
10
8
6
4
6
5
7
4
12
5
6
12
5
4
5
4
5
問3-8
問3-9
問4
問5
問6
問7
無回答
0
0
0
4
4
4
1
8
0
0
0
2
2
2
3
0
6
5
0
20
3
10
3
11
11
4
4
1
4
9
6
16
5
4
19
年齢
無回答
性別
4
無回答
5
88
1
男
13
小
10
女
8
中
2
高
0
大
0
10
0
20
0
30
2
40
6
50
1
60
0
70
0
80
0
未就学
奈良当日配布資料
◇竹と箸と環境問題
世界全体でこのまま木材消費が続き、森林破壊が進むと世界中の森林は50年後にはな
くなるといわれる。森林の破壊は地球の砂漠化と温暖化、異常気象、生態系の破壊など、
地球全体の生命維持システムの崩壊につながり、未来の子供達の生命を脅かす。
木材は一度伐採して再び植樹しても、その育成には最低50年はかかるが、竹は地下に張
りめぐった地下茎から毎年タケノコとして芽が出て、約3か月で10メートル以上に成長
し3年もたてば立派な成竹となる。
竹は根を張る力が強く、他の植生を脅かすこともあるが、逆に地崩れや地盤沈下を防
ぎ、森と人間の生活を守ってくれる。竹林を健全に保つためには適度に伐採して、密生
することを防ぐ必要があるが日本中の山林の竹林は、ほとんどが放置されている。
竹は約100年に一度花をつけるが結実性はなく、全く別の土地で自然に生えることは
ない。竹が自然に増える方法は地下茎を伸ばすしかない。今日本中に自生している真竹
も、むかし誰かの手によって植えられたものだ。
竹は木材に比べて加工しづらいという欠点もあるが、日本も含めアジアには昔からのす
ばらしい「竹の文化」があり、竹を住居や生活に上手に利用する知恵を持っている。竹
には天然の抗菌・浄化作用があり、とても人間にやさしい植物だ。今は生活様式の全て
が西洋化され竹に触れることも忘れられてしまった。
◇割り箸から、マイ箸にする理由
89
熱帯林の保護の問題と関連して、日本の割り箸消費量の多さが議論されることがある
(国内の年間消費量は、2003年の統計で約270億膳)。しかし、割り箸のほとんどは中
国産で熱帯林との関わりは少ない。一方、中国で生産される割り箸の原料は天然林であ
り、森林減少の原因のひとつになっている。ただ、日本の割り箸消費量は国内の木材消
費量のごくわずかにすぎず、森林問題というよりも使い捨て製品を使うライフスタイル
の問題として捉える方が適切だ。なお、森林問題や使い捨てにかかるライフスタイルの
問題とは別に、割り箸に残留する防かび剤や漂白剤による影響にも注目される。厚生労
働省でも、これらの化学物質の試験法や溶出量の目安を定めるなど、監視体制の強化を
図っている。
◇奈良視察活動団体
奈良市の人口:
活動登録団体:
NPO法人地域の学び推進機構の活動について
368,547人(H22.2.1現在)学校数:
12団体登録プログラム数:
小学校53校、中学校25校市民
30プログラム(平成21年度)
「実施団体名称:NPO法人奈良地域の学び推進機構」設立年月日:
平成21年1月21
日活動のモットー:「どの子にも、かがやく笑顔と、学ぶよろこびを」奈良支部の活動
は、2007年度5プログラムから始め、翌年14プログラム、今年度30プログラムと少しず
つ拡げている。課題の一つは、プログラムのバランスをとることで、現状の、文化74%、
教科12%、職業9%、市民5%の偏りを規模を拡大することで解消につとめる。奈良支部
の特徴は3つある。(1)野外活動センターを拠点にしていること(2)特色あるプログ
ラムを作り蓄積すること(3)学校ボランティア活動への積極的な関与子どもが地域で
色々な体験や活動を通し学ぶことを促す仕組みが必要だと考え、法人設立と同時に機構
の奈良支部として登録をした。拠点作りからネットワーク化へ奈良市青少年野外活動セ
ンター運営の管理委託を受け、学びのポイントラリーを活用した野外活動センターの稼
働率向上に取組んでいる。同時に奈良市美術館や奈良市100年会館、市営キャンプ場等
とポイントラリーによる連携を図っている。
プログラムを提供する市民団体をつなぐ核が形成され、子どもたちへ一元化した情報
提供をしていく環境が整いつつある。
◇世界遺産学習プログラムをつくる
奈良市は世界遺産を活用した特色ある教育を目指している。学校の先生方や奈良教育
大学と連携して、青少年野外活動センターを活用した世界遺産ハイキングをプログラム
化し提供している。これは、学校での学習と地域での学びをつなげる試みとして位置づ
けている。また、学校の先生方とは小学校英語の導入を前提にした地域で出来る取組み
90
としてイングリッシュキャンプを企画し実施した。これら青少年野外活動センターで実
施したプログラムや使ったワークシートは、一定のフォームで毎回蓄積されていて、ホ
ームページ上で全てダウンロードできる。同様の活動を地域で検討される時の情報提供
を行っている。
◇学校ボランティア活動の仕組みづくり
青少年野外活動センターは、毎年ほとんどの小学校5年生が宿泊体験学習に使う。この
センターの運営を通して先生方とプログラムを作ったり、周知活動を通して学校との連
携を徐々に作っている。特に学校支援地域本部活動の支援(奈良市地域学校連携推進委
員会作業部会)への参加や、学校を拠点にした地域の教育コミュニティづくり(奈良県
「地域の教育力」再生委員会)等への参加などで(http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_m
enuid-14352.htm)積極的に学校ボランティアの仕組みづくりに参画している。それは、
土曜日活動や放課後の活動、学童保育など、地域と学校が協働する場面が求められてき
ているため、それらの活動の参考になる実践情報を届けるのが目的だ。野外活動センタ
ーでしかできない場合もあるが、提供する多くのプログラムは、それぞれの地域や校区
でも実施できるものを重視している。実施計画書やワークブックをオープンにしている
のはそのためで、今年度は学校支援地域本部とは何かという研修を大人向けに行ったが、
今後はプログラムの活用方法などの実践研修を予定している。また大学と連携して地域
の教育支援人材の育成活動にも積極的に関わり、体験活動など実践研修の場の提供を行
って行く。6大学連携教育支援人材育成事業
(http://www.u-gakugei.ac.jp/~codomo/cn5/cn11/pg38.html)
◇地域の子どもを地域で育てる活動づくり
子どもは、いつまでも教えられ世話をされる存在ではないと考えている。活動への参
加者からお世話をする役割を担えるようバトンを渡す仕組が必要だ。世界遺産学習プロ
グラムでは、大学生や高校生のボランティアを促す仕組を作った。「平城遷都1300年祭
こどモード・ならコレクション」という、子どもイベントが高校生ボランティアの参加
で平成22年度に予定されている。これも、学びのポイントラリー参加プログラムだ。活
動コンテンツが流通し、人と人がつながるなかで、子どもが体験や活動を通して自立し
た市民としての自覚を培っていけるように、まず私たちが繋がる努力をしなければなら
ないと考えている。学びのポイントラリーというシンプルな仕組を活用して、個人や団
体がより一層つながることが今後の課題だ。平成22年度は「こどモード村」を大人と子
どもが一緒になって継続的に開拓するという、年間プロジェクトを準備している。
91
イベント名称
さんやチャレンジスクール2009 食育:食材はどこからくるの
テーマ)料理教室を通して地産地消について学ぶ
開催日・場所
2010年2月20日(土)10:00~12:00 渋谷区立山谷小学校
概要
「鶏肉でトマト風味のカレーを作ろう」のテーマで、3年生~6年生対象
家庭科室
に1時間30分でのプログラムである。
材料のうち、鶏肉・トマトの缶詰・にんにく、を事務局で、国産と外国
産で予め購入し、距離を平面の地図で比較し、運送の炭酸ガス排出量を
比較した。カレーは、ルーを使った。米も秋田産と千葉産で比較、国産
はトラックで、外国産は飛行機で運送、船と列車での比較も行った。地
球儀も使った。
お皿の中に、2種類のカレーを並べ、味を比べた。プチエコとしての講座
ではなく、環境講座としての食育講座だった。さんやチャレンジスクー
ルは、環境講座ではないが、年間10%ほどの環境に関係した講座が入っ
ている。
イベント概要
このトマトや鶏肉の産地を地球儀で確認しよう。国産に比べ飛行機だったらどのくら
いのCO2排出量だろうか?
鶏肉:ブラジル産128倍のCO2排出
27,000㎏CO2/t
19,500㎏CO2/t。
トマト缶詰:イタリア産139倍CO2排出
このトマトは何処から来たのか
こちらのカレーは国産の缶詰にしよう。
92
副校長先生も食べ比べてくれた。
紐で調べた距離を計算した。
食育講座「食材は何処から来るの」で「トマトのチキンカレー作り料理教室だった。
トマト缶詰とチキンは、国産とイタリア産・ブラジル産、お米は、秋田産と千葉産、大
きな地図を使って紐で飛行機・船の経路を測りCO2量に換算した。国産は、トラックと
貨物列車輸送で換算です。外国産で100倍以上、国産のお米でも約10倍だった。輸送手
段でも大きな差が出た。料理は環境に優しい・環境に優しくないで、味の違いに子供た
ちはびっくりしていた。値段の比較はしていない。
<アンケート集計>
問1
問2
問3-1
問3-2
問3-3
問3-4
問3-5
問3-6
問3-7
無回答
0
1
0
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
1
0
0
0
0
2
5
0
0
1
2
0
0
0
1
3
0
0
0
3
1
1
3
1
0
5
1
2
2
1
2
3
2
5
0
0
4
1
2
3
4
5
問3-8
問3-9
問4
問5
問6
問7
無回答
0
0
0
0
0
0
1
1
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
6
3
1
0
0
0
1
4
3
1
6
6
5
5
1
5
93
年齢
性別
無回答
0
無回答
0
未就学
0
男
2
小
6
女
4
中
0
高
0
大
0
10代
0
20代
0
30代
0
40代
0
50代
0
60代
0
70代
0
80代
0
◇プログラム実施団体・渋谷区さんやチャレンジスクール2009の活動について
活動拠点が渋谷区立山谷小学校校舎内である「さんやチャレンジスクール2009」は、
代表が学校のある町会
代々木三丁目町会会長、事務局長は、学校評議委員、事務局員
として、元保護者二人(子供が卒業して、現在は地域住民ボランティア)、元PTA会長、
会計は、定年退職した地域住民の方、学校から、校長・副校長先生、の8名で助成金申請・
企画立案・実施・報告書作成を行って6年になる。年間30日、一日2講座同時開催で年間
約60講座を行っている。
地域にある企業、お店、住民、行政からの紹介による、学校の先生には出来ない本物
講師の講座を開催して丸6年になる。4月からは7年目の「さんやチャレンジスクール201
0」になる。開始と同時期に始まったちょっと肩を押すポイント制度の導入により、講師
の選択に4つの分野が出来る様にする事で事務局は苦労している。事務局は、開始2年目
から地域の町会長を代表に元PTA会長も含め、保護者2名、校長、副校長、地域の協力者
の8名で構成している。 講座は、子供たちに授業が終了後一度帰宅させ受講に改めて学
校に来る、学校との関係を明確にしている。数年前から渋谷区では児童館を廃止し学校
の中に放課後クラブを設置し子供たちを預かる仕事を民間の放課後クラブに移管してい
る。この為、こどもによっては帰宅せずに放課後クラブからさんやチャレンジスクール
に参加してくれるようになり夏休みの平日講座は参加者が大幅に増えた。講座は、必要
94
な場所、道具、(例えば、家庭科室とその道具、図工室とその道具、体育館とその道具
など)は学校から提供を受け、講座の内容に大きな助けになっている。
試行イベントの効果
・ 実際にこどもたちでCO2排出量を計算しフードマイレージを実感できた。
・ 国内産・地産地消が美味しさに繋がっている事が体験できた。
イベント名称
パソコンでさんチャレポスターを作ろう
テーマ)紙のリサイクル
学びのポイントラリー登録プログラム
開催日・場所
2010年2月20日
概要
さんやチャレンジスクールの面白さを、参加している子どもの視点か
渋谷区立山谷小学校
ら伝えるためのポスター作り講座を実施した。パソコン操作と作文が
中心の講座だが、カレンダーの裏にポスターを印刷するというアクテ
ィビティと、紙ができるまでの過程と紙の再利用に関するお話を組み
込み、もともと環境に関心のある子ども以外にもアピールした。
イベントの効果
子どもたちが作成したポスター
95
・ 紙の再利用の話では、冒頭で、紙の原料に関するクイズを行った。選択肢を示す前
から、「木」という声があちこちから聞こえるなど、関心や基礎知識はもともと高
いようであった。しかし、使用される木材の7割が海外からの輸入材であること、国
産材を使わないと森林が荒れてしまうことなどは、初めて知ったようで、「へぇ」
という声があがった。
・ 木材から紙ができるまでの工程を、原材料、パルプ工場、輸送機関の写真などを用
いて解説した。子どもたちは、1枚の紙ができるまでに、たくさんの時間とエネルギ
ーがかかっていることを知ったようである。紙ができるまで話の最後の「こんなに
手間ひまかけて作られている紙、すぐにすてちゃもったいない。もういちど工夫し
て使おう」というメッセージに、大きくうなずく様子が見られた。
<アンケート集計>
問1
問2
問3-1
問3-2
問3-3
問3-4
問3-5
問3-6
問3-7
無回答
0
0
0
0
0
2
0
1
0
1
0
0
0
3
8
5
1
0
1
2
3
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4
1
1
1
1
1
3
15
6
1
5
5
7
7
7
8
11
4
3
1
2
4
4
3
13
3
3
1
5
5
5
4
5
96
問3-8
問3-9
問4
問5
問6
問7
無回答
0
0
2
0
0
0
1
1
0
0
0
0
4
2
1
0
1
2
2
14
3
10
1
4
6
4
4
2
3
11
10
12
5
4
14
年齢
性別
無回答
0
無回答
0
未就学
0
男
7
小
18
女
11
中
0
高
0
大
0
10代
0
20代
0
30代
0
40代
0
50代
0
60代
0
70代
0
80代
0
97
a)-4. 全体の考察
(ア)全体の単純集計
(1)環境配慮行動に対する認識、(2)環境配慮行動への動機づけ、(3)日常生活における
態度に関する全体の結果を表2-4に示した。
表2-4 各設問の各選択肢における回答者数
問1
問2
問3-1
問3-2
問3-3
問3-4
問3-5
問3-6
問3-7
24
51
19
42
44
42
45
57
40
1
291
76
11
42
46
103
47
13
19
2
133
18
4
66
61
97
102
46
30
3
204
278
47
165
150
125
222
223
225
229
93
128
124
67
117
135
114
478
209
227
218
119
178
224
無回答
4
5
問3-8
問3-9
問4
問5
問6
問7
無回答
46
31
20
40
34
51
1
49
24
4
7
3
161
2
46
10
30
46
14
440
3
224
50
303
261
97
4
139
63
295
298
504
5
148
474
年齢
性別
無回答
58
未就学
0
男
220
小
151
女
392
中
13
高
0
大
3
10代
8
20代
17
30代
91
40代
104
無回答
41
98
50代
62
60代
67
70代
55
80代
17
(イ)調査協力者のグループ化
問1(活動の経験)と問4(行動継続の意志)への回答に基づき、協力者を以下のよ
うにグループ化した。事前に標的環境配慮行動を知らなかったり行ったことがなかった
りして、事後も「やりたくない(あまりやりたくない、まったくやりたくない)」と回答
した協力者を「ネガティブ群(以下、ネガ)」、事前は標的環境配慮行動を知らなかった
り行ったことがなかったりしたが、事後は「やりたい(すこしやりたい、とてもやりたい)」
と回答した協力者を「ネガティブからポジティブへの変化あり群(以下、ネガポジ)」、
事前から標的環境配慮行動を行っていたが、事後は「やりたくない」と回答した協力者
を「ポジティブからネガティブへの変化あり群(以下、ポジネガ)」、事前から標的配慮
行動を行っていて、事後も「やりたい」と回答した協力者を「ポジティブ群(以下、ポジ)」
とした。各グループの人数を表2-5に示した。
表2-5 各プログラムにおける各グループの人数
プログラ
全体
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
18
0
5
4
3
0
0
1
5
0
0
ネガポジ
390
1
145
46
100
11
26
39
13
3
6
ポジネガ
7
0
3
1
0
1
0
0
1
1
0
201
7
96
54
9
9
1
7
7
12
0
35
0
27
1
4
0
1
0
0
2
0
ム
ネガ
ポジ
未分類
全体でみると、事前に「やったことがある」と回答した参加者は31.9%であったのに
対し、事後には参加者の90.7%が「今後もやりたい」と回答したことがわかる。環境配
慮行動の実行に対して積極的な回答を示した参加者の割合は全プログラムにおいて増加
した。したがって、アクティビティを組み込むことの効果が示されたといえる。
(ウ)SD尺度の因子分析
問3のSD尺度を分類するため、11月1日の蔵前コミュニティ祭りのデータを対象に、
99
探索的因子分析を行った。このデータを利用したのは、協力者数が多かったためと、年
齢や性別の比が全体におけるそれと似ていたためである。主因子法、バリマックス回転
により2~4因子を試し、解釈しやすい因子数を選択したところ、3因子解が選択された。
各因子にかかる変数の選択は、負荷量が0.4以上のものを採用した。表2-6に各項目の因
子負荷量を示した。第1因子は、「面白そう」「環境によさそう」「体によさそう」「重
要だ」が大きな負荷を示したため、環境配慮行動としての本来の意義に対する興味と重
要性の理解を示す「重要性」と命名した。第2因子は「節約できそう」「かっこいい、お
しゃれ」「楽しそう」が大きな負荷を示したため「感覚性」と命名した。第3因子は「す
ぐできそう」「簡単そう」が大きな負荷を示したため「簡便性」と命名した。したがっ
て、環境配慮行動に関するイメージは、「重要性」「感覚性」「簡便性」の3側面に集約
されるといえるだろう。
表2-6 因子負荷量
重要性
感覚性
簡便性
面白そう―つまらなそう
-0.63
-0.05
-0.18
環境によさそう―効果がなさそう
-0.56
-0.00
-0.09
体によさそう―体に悪そう
-0.56
-0.03
-0.07
重要だ―重要でない
-0.44
-0.11
-0.26
節約できそう―お金がかかりそう
-0.04
-0.76
-0.04
0.00
-0.68
0.04
楽しそう―面倒くさそう
-0.10
-0.58
0.10
簡単そう―難しそう
-0.17
0.13
-0.78
すぐできそう―時間がかかりそう
-0.27
0.03
-0.77
寄与率(%)
14.79
15.66
14.75
累積寄与率(%)
14.79
30.45
45.20
かっこいい、おしゃれ―恥ずかしい
(エ)各グループの特徴の分析
クロス集計
問1と4の回答に基づき分類されたグループの特徴を明らかにするため、
問2、問3の各項目、問5~6への回答とグループのクロス集計とカイ二乗検定を行った(付
録3)。「節約になりそう―お金がかかりそう(χ2(12)=18.04, p=.11)」「楽しそう―面倒
くさそう(χ2(12)=19.17, p=.08))「生き物は好きか (χ2(9)=3.85, p=.92)」以外の全ての
項目と、統計的に有意な連関が見られた。
アクティビティの面白さとの関連
プログラムで行われたアクティビティの面白さの
100
評価について、グループごとの回答の人数比を図2-1に示した。
100%
80%
面白かった
やや面白かった
ややつまらなかった
つまらなかった
60%
40%
20%
0%
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
図2-1 アクティビティの面白さの評価
ネガポジ群とポジ群では「面白かった」の割合が高いのに対して、ネガ群とポジネガ
群ではその割合が低く、「つまらなかった」「ややつまらなかった」の割合が高かった。
標的環境配慮行動を今後もやりたいと思った人は、プログラムで行われたアクティビテ
ィを好意的に評価していたといえる。
重要性因子との関連 重要性因子の下位尺度である「面白そう―つまらなそう(χ2(12)
=53.76, p<.001)」「環境によさそう―効果がなさそう(χ2(12)=37.44, p<.001)」「体に
よさそう―体に悪そう(χ2(12)=22.03, p=.03)」「大事だ―大事でない(χ2(12)=48.90, p
<.001)」は、いずれもグループとの関連が有意だった。これらの評価について、グルー
プごとの回答の人数比を図2-2, 2-3, 2-4, 2-5に示した。ネガポジ群とポジ群では「面白
そう」「体によさそう」「環境によさそう」「大事だ」の割合が高いのに対して、ネガ
群とポジネガ群ではその割合が低く、「つまらなそう」「(やや)体に悪そう」「(あまり)
効果がなさそう」の割合が高かった。標的環境配慮行動を今後もやりたいと思った人は、
その重要性を認識していたといえる。しかし、「大事だ」「環境によさそう」と答えた
人の割合はネガ群とポジネガ群においても高かったことは、今後やりたいとは思わなか
った人も、その重要性を低く見積もっていたわけではないことを示している。
101
100%
80%
面白そう
やや面白そう
どちらともいえない
ややつまらなそう
つまらなそう
60%
40%
20%
0%
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
図2-2 「面白そう―つまらなそう」の評価
100%
80%
環境によさそう
やや環境によさそう
どちらともいえない
あまり効果がなさそう
効果がなさそう
60%
40%
20%
0%
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
図2-3 「環境によさそう―効果がなさそう」の評価
100%
80%
体によさそう
やや体によさそう
どちらともいえない
やや体に悪そう
体に悪そう
60%
40%
20%
0%
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
図2-4 「体によさそう―体に悪そう」の評価
102
ポジ
100%
80%
大事
やや大事
どちらともいえない
あまり大事でない
大事でない
60%
40%
20%
0%
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
図2-5 「大事だ―大事でない」の評価
感覚性因子との関連
感覚性因子の下位尺度のうち、グループとの有意な関連が見ら
れたのは「かっこいい、おしゃれ―恥ずかしい」のみだった(χ2(12)=33.21, p<.001)。
したがって、感覚性は、環境配慮行動への動機づけ効果にそれほど大きな影響を及ぼさ
ないと考えられる。しかし、図2-6に示したように、ネガ群とポジネガ群は「(やや)恥ず
かしい」の割合が高く、環境配慮行動を行うことへの気恥ずかしさが、動機づけの阻害
要因になりうることが示された。
100%
80%
かっこいい
ややかっこいい
どちらともいえない
やや恥ずかしい
恥ずかしい
60%
40%
20%
0%
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
図2-6「かっこいい、おしゃれ―恥ずかしい」の評価
簡便性因子との関連
簡便性因子の下位尺度である「すぐできそう―時間がかかりそ
う(χ2(12)=66.35, p<.001)」と「簡単そう―難しそう(χ2(12)=38.25, p<.001)」は、い
103
ずれもグループとの関連が有意だった。これらの評価について、グループごとの回答の
人数比を図2-7、2-8に示した。ネガポジ群とポジ群では「すぐにできそう」「(やや)簡単
そう」の割合が高いのに対して、ネガ群とポジネガ群では、その割合が低く、「(やや)
時間がかかりそう」「やや難しそう」の割合が高かった。標的環境配慮行動を今後もや
りたいと思った人は、その簡便性を認識していたといえる。
100%
80%
すぐにできそう
ややすぐにできそう
どちらともいえない
やや時間がかかりそう
時間がかかりそう
60%
40%
20%
0%
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
図2-7「すぐにできそう―時間がかかりそう」の評価
100%
80%
簡単そうか
やや簡単そう
どちらともいえない
やや難しそう
難しそう
60%
40%
20%
0%
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
図2-8「簡単そう―難しそう」の評価
(オ)年齢層ごとの分析
調査対象者を、20代以下(若年層)、30代~50代(中年層)、60代以上(高齢層)の3つの層
に分け、それぞれについて、問2、問3の各項目、問5~6への回答と、グループのクロス
集計とカイ二乗検定を行った。若年層は、「面白そう―つまらなそう(χ2(12)=28.40, p
104
=.005)」「節約できそう―お金がかかりそう(χ2(12)=23.48, p=.024)」「かっこいい、
おしゃれ―恥ずかしい(χ2(12)=21.65, p=.004)」「すぐできそう―時間がかかりそう(χ
2(12)=35.05,
p<.001)」「簡単そう―難しそう(χ2(12)=34.08, p<.001)」「隣の家の人と
挨拶するか(χ2(9)=43.70, p<.001)」とグループに有意な関連があった。
中年層は、「環境によさそう―効果がなさそう(χ2(12)=60.62, p<.001)」「大事だ―
大事でない(χ2(12)=63.70, p<.001)」
「節約できそう―お金がかかりそう(χ2(12)=33.53,
p<.001)」「楽しい―面倒くさそう(χ2(12)=36.11, p<.001)」「かっこいい、おしゃれ
―恥ずかしい(χ2(12)=25.57, p=.012」「すぐできそう―時間がかかりそう(χ2(12)=39.
34, p<.001)」「町内会のイベントに参加したか(χ2(9)=12.57, p=.006)」とグループに有
意な関連があった。
高齢層は、「面白そう―つまらなそう(χ2(12)=43.26, p<.001)」「体によさそう―体
に悪そう(χ2(12)=31.93, p=.001)」「節約できそう―お金がかかりそう(χ2(12)=24.39,
p=.018)」「すぐできそう―時間がかかりそう(χ2(12)=23.25, p=.026)」とグループに有
意な関連があった。
年齢層ごとに、グループと各項目との関連の有無を表2-7に示した。若年層は感覚性と
簡便性を、中年層は重要性と感覚性を、高齢層は重要性を重視する傾向が見られた。
表2-7 グループと関連のあった項目
若年層
面白そう―つまらなそう
重要性
○
環境によさそう―効果がなさそう
○
体によさそう―体に悪そう
○
○
節約できそう―お金がかかりそう
○
○
かっこいい、おしゃれ―恥ずかしい
○
○
楽しそう―面倒くさそう
簡便性
簡単そう―難しそう
○
すぐできそう―時間がかかりそう
○
隣の人と挨拶するか
○
○
町内会のイベントに参加したか
105
○
○
生き物は好きか
日常の態度
高齢層
○
大事だ―大事でない
感覚性
中年層
○
○
(カ)興味関心の分析
各項目について興味の有無の割合を表2-9(子ども)と表2-10(大人)に示した。子ども
は、料理(52.4%)、山や川で遊ぶ(48.8%)、工作(46.4%)、読書(42.8%)、実験(41.0%)に高
い関心を示し、大人は、食(54.1%)、健康(53.4%)、節約(45.5%)に高い関心を示した。し
たがって、衣食住に関連するプログラム、自然や実験に関連するプログラム、ものづく
りや文化に関するプログラムに、環境配慮アクティビティを組み込むことで、対象者が
もともと持っている関心に沿って、環境配慮行動を伝えることができると考えられる。
100%
80%
60%
興味なし
興味あり
40%
20%
友 達 と過 ご す
読書
音楽
絵 を描 く
工作
昔 のあ そび
歴史
外国
実験
植物
山 や川
ま ち探 検
手芸
料理
0%
図2-9 興味の有無(子ども)
100%
80%
60%
興味あり
興味なし
40%
20%
北 ア メリ カ
アジア
ア フリ カ
中東
ヨ ー ロ ッパ
106
ガ ー デ ニ ング
図2-10 興味の有無(大人)
科学
農業
自然体験
ウ ォー キ ング
サ イ ク リ ング
健康
節約
リ メイク
ハン ド メ イ ド
オ ー ガ ニ ック
食
0%
100%
80%
コミ ュニケ ー
シ ョン
読書
音楽
美術
107
デザ イ ン
図2-11 興味の有無(大人)・続き
手作 りおもち ゃ
昔 の生 活
昔 の遊 び
昭和
江戸
流行
伝統
南 ア メリ カ
0%
興味あり
興味なし
60%
40%
20%
付録1 子ども用アンケート
○○についてのアンケート
しつもん
よ
つぎの質問を読んで、【
なか
えら
】の中からあてはまるものを選んで、○をつけてください。
1.○○という活動をしっていましたか?
し
し
【やったことがある ・ やったことはないけれど知っていた ・ きょうはじめて知った】
はなし
2. ○○の 話 は、おもしろかったですか。
【とてもおもしろかった ・ まあまあおもしろかった
・
すこしつまらなかった
・
とてもつまらなかった】
さ ゆ う
3. ○○について、どのようなイメージがありますか。左右のことばの、どちらにどれ
ちか
くらい近いか、あてはまる数字に ○をつけてください。
例
だいじだ
1-------2-------3-------4-------5
だいじでない
1
だいじだ
1-------2-------3-------4-------5
だいじでない
2
かんたんそう
1-------2-------3-------4-------5
むずかしそう
3
すぐにできそう
1-------2-------3-------4-------5
じかんがかかりそう
4
おかねがかかりそう
1-------2-------3-------4-------5
おかねがかからなそう
5
めんどうくさそう
1-------2-------3-------4-------5
たのしそう
6
おもしろそう
1-------2-------3-------4-------5
つまらなそう
7
からだによさそう
1-------2-------3-------4-------5
からだによくなさそう
8
やるのははずかしい
1-------2-------3-------4-------5
かっこいい・おしゃれ
9
かんきょうによさそう
1-------2-------3-------4-------5
やってもいみがなさそう
おも
4. ○○をこれからお家でもやってみたいと思いますか。
【とてもやりたい ・ すこしやりたい ・
ぜんぜんやりたくない】
うらにつづく
108
あまりやりたくなり ・
い
もの
す
5. 生き物は好きですか。
【とてもすき ・ まあまあすき ・ あまりすきではない ・ ぜんぜんすきではない】
いえ
ひと
あ
6. となりの家の人と会ったとき、あいさつをしますか。
【いつもする ・ ときどきする ・ あまりしない ・
がつ
がつ
ちょうないかい
ぎょうじ
ぜんぜんしない】
さ ん か
7. ことしの4月~10月に、町 内 会 の行事に参加したことはありますか。
【ある ・ ない】
えら
ぜ ん ぶ
8. あなたがやってみたいことを選び、あてはまるもの全部に、○をつけてください。
りょうり
しゅげい
もの
もの
たんけん
やま
かわ
料理 ・ 手芸(ぬい物・あみ物・ビーズなど) ・ まち探検 ・ 山や川であそぶ
しょくぶつ
そだ
じっけん
がいこく
し
植 物 を育てる ・ 実験 ・ 外国について知る
むかし
こうさく
え
れきし
・ 歴史について知る
おんがく
ほん
よ
昔 のあそび ・ 工作 ・ 絵をかく ・音楽 ・ 本を読む
ひと
ほかの人といっしょにすごす
9. がくねん
10. せいべつ
・ そのほか(
小 ・ 中 ・ 高
おとこ
・
109
・
・
)
年生
おんな
し
・
付録2 大人用アンケート
○○についてのアンケート
次の質問を読んで、【
】の中から当てはまるものを選び、○をつけてください。
1. ○○という活動を知っていましたか。
【やったことがある ・ やったことはないけれど知っていた ・ 今日初めて知った】
2. ○○の話はおもしろかったですか。
【とてもおもしろかった ・ まあまあおもしろかった
・ 少しつまらなかった
・
つまらなかった】
3.○○について、どのようなイメージがありますか。左右の言葉の、どちらにどれくら
い近いか、当てはまる数字に○をつけてください。
例
大事だ
1-------2-------3-------4-------5
大事でない
1
大事だ
1-------2-------3-------4-------5
大事でない
2
簡単そう
1-------2-------3-------4-------5
難しそう
3
すぐにできそう
1-------2-------3-------4-------5
時間がかかりそう
4
お金がかかりそう
1-------2-------3-------4-------5
節約になりそう
5
面倒くさそう
1-------2-------3-------4-------5
楽しそう
6
面白そう
1-------2-------3-------4-------5
つまらなそう
7
体によさそう
1-------2-------3-------4-------5
体に悪そう
8
やるのは恥ずかしい
1-------2-------3-------4-------5
かっこいい・おしゃれ
9
環境によさそう
1-------2-------3-------4-------5
やっても効果がなさそう
4. これからもリユースを、やってみたいと 思いますか。
【とてもやりたい ・ すこしやりたい ・
うらにつづく
110
あまりやりたくなり ・
やりたくない】
5. 生き物は好きですか。
【とても好き ・ まあまあ好き ・ あまり好きではない ・ 全く好きではない】
6. 隣の家の人と会ったとき、あいさつをしますか。
【いつもする ・ ときどきする ・ あまりしない ・
全くしない】
7. 今年の4~10月に町内会の行事に参加したことはありますか。
【ある ・ ない】
8. あなたが興味のあることをすべて選び、○をつけてください。
食
・
オーガニック
サイクリング
科学
・
読書
ハンドメイド ・
・ウォーキング
ヨーロッパ
南アメリカ
昔の生活
・
・
・
伝統
・
節約
自然体験
・
農業
・
ガーデニング
・
アジア
・
リメイク
・
中東
・アフリカ
・
流行
・
手作りおもちゃ
・コミュニケーション
・
・
江戸
デザイン
・
昭和
・
・
美術
・
・
北アメリカ
昔の遊び
・
その他(
健康
音楽
・
・
)
9. 年齢
【10代 ・ 20代 ・ 30代 ・ 40代 ・ 50代 ・ 60代 ・ 70代 ・ 80代以上】
10. 性別
【男性
・
女性】
11. 職業
【専門・技術職 ・ 管理職 ・ 事務職
・ 営業販売職 ・ サービス職 ・
保安職 ・農林漁業職 ・ 運輸・通信職
・ 生産・労務職】
12. 婚姻
【未婚
13. 子どもの有無
・
既婚】
【いる
・
いない】
111
・
・
・
付録3 クロス集計表
アクティビティの面白さ×グループ
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
つまらなかった
3
52
2
17
ややつまらなかった
2
12
0
4
10
173
4
80
2
130
1
87
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
大事でない
3
7
0
1
あまり大事でない
1
1
0
2
どちらともいえない
3
34
1
8
やや大事
2
65
2
20
大事
9
275
3
167
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
難しい
2
22
0
11
やや難しい
4
44
3
13
どちらともいえない
7
115
1
37
やや簡単
2
78
0
43
簡単
4
109
1
87
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
時間がかかりそう
7
22
2
10
やや時間がかかりそう
2
45
2
12
どちらともいえない
5
100
0
36
ややすぐにできそう
3
78
0
37
すぐにできそう
1
119
1
97
やや面白かった
面白かった
大事か×グループ
簡単そうか×グループ
すぐにできそうか×グループ
112
節約できそうか×グループ
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
お金がかかりそう
5
61
1
28
ややお金がかかりそう
2
69
0
20
どちらともいえない
4
79
3
36
やや節約になりそう
2
40
0
24
節約になりそう
5
121
1
83
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
面倒くさそう
4
21
0
16
やや面倒くさそう
6
57
2
34
どちらともいえない
6
137
2
69
やや楽しそう
1
78
1
31
楽しそう
1
70
0
41
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
つまらなそう
3
5
1
2
ややつまらなそう
3
26
1
14
どちらともいえない
8
140
3
65
やや面白そう
2
92
0
33
面白そう
1
95
0
74
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
体に悪そう
2
13
0
2
やや体に悪そう
2
18
1
8
どちらともいえない
9
230
4
74
やや体によさそう
2
77
0
30
体によさそう
3
134
0
74
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
5
17
1
21
楽しそうか×グループ
面白そうか×グループ
体によさそうか×グループ
かっこいいか×グループ
恥ずかしい
113
やや恥ずかしい
4
29
0
10
どちらともいえない
7
132
3
72
ややかっこいい
1
90
0
44
かっこいい
1
97
1
42
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
効果がなさそう
0
18
1
5
あまり効果がなさそう
2
4
0
4
どちらともいえない
6
27
1
14
やや環境によさそう
3
40
1
17
環境によさそう
7
285
2
153
ネガ
ネガポジ
ポジネガ
ポジ
全然好きではない
0
5
0
2
あまり好きではない
2
28
1
13
やや好き
7
155
1
89
とても好き
7
181
4
90
環境によさそうか×グループ
生き物が好きか×グループ
114
a)-5. 報告会の開催
第2回 地域教育応援セミナー
地域における「プチエコ・プログラム」として報告会
を公開で行った。
2010年3月20日(土)13:00~16:00、東京大学教育学部1階第1会議室において、
以下のように実施した。
13:10-13:30
「学びのポイントラリー」について
市川伸一
(地域の学び推進機構会長、東京大学教
育学研究科教授)
13:30-13:35
「プチエコ・プログラム」趣旨紹介
三芳千恵子
13:35-14:25
(地域の学び推進機構副会長)
「プチエコ・プログラム」実践事例紹介
「学びのポイントラリー」実施団体代表者より
14:25-14:40
休憩
14:40-15:00
「プチエコ」の調査アンケート結果
石幡
愛
(東京大学大学院教育学研究科
115
博士課程)
15:00-16:00
パネル討論・質疑応答
花木啓祐
(東京大学工学系研究科教授)
善財裕美
(機構事務局長、台東区支部代表)
森
(お茶の水女子大学理学部准教授)
義仁
「学びのポイントラリー」について
まず、東京大学大学院教育学研究科教
授で地域の学び推進機構会長の市川教授
(本企画調査メンバー)が、当日配布し
た冊子「学びのポイントラリー
運営の
しくみと活動展開」を用いて活動の趣旨、
しくみ、実施の様子などを説明した。「学
びのポイントラリー」は、子どもたちが
地域のボランティア団体や行政などの提供するプログラムに参加し、多くの方と関わり
をもつことによって人間力を形成することをねらいとした活動であり、このしくみを取
り入れて活動している地域が徐々に増えていることが報告された。
「プチエコ・プログラム」趣旨説明
続いて、地域の学び推進機構文京区支部
代表の三芳(本企画調査メンバー)が、今
回のセミナーのテーマである「プチエコ・
プログラム」の趣旨を説明した。スポーツ
や文化活動などの環境に特化していないプ
ログラムの中に簡単な環境配慮への学習を
組み込むことによって環境意識を根付かせ
ようという試みを、「学びのポイントラリー」に登録されているプログラムを基盤に10
のプログラムで実施したことが報告された。
「プチエコ・プログラム」実践事例紹介
116
次に、「プチエコ・プログラム」を実践
した4団体より、事例紹介がおこなわれた。
文京区で活動するNPO法人地域ネットワ
ーク・とらいあんぐる代表の大和田さんか
らは、未就園児の親子が遊びに来る「子ど
もふれあい広場」で、使わなくなった子ど
も服やおもちゃを持ち寄り、親子でお買い
ものごっこを楽しんだ後、お母さん方にリ
ユースについての話をし、意見交換をしたという事例が紹介された。
地域の学び推進機構渋谷区支部代表の倉地
さんからは、渋谷区立山谷小学校で地域住民
と学校が協力して運営している「さんやチャ
レンジスクール」で開催した食育プログラム
が紹介された。
中・高学年向けのプログラムでは、近隣で
とれた食材、遠くから運ばれてきた食材の2
種類を用意し、輸送距離・手段からCO2換算
して環境に配慮した食材の選び方を考えた。
また、それぞれの食材を使ってカレーを調理して食べ比べた。
奈良市青少年地域活動センター役員ならびに、
地域の学び推進機構奈良市支部代表の三宅さん
からは、奈良市青少年野外活動センターで開催
した「たこ飯食って、たこ凧あがれ」という竹
を使った凧作りと凧揚げのプログラムの中に、
竹のマイ箸作りと環境のお話タイムを組み込ん
だ事例が紹介された。自分で作った箸で食事を
するとともに、おかわりは自由なので食べられ
る分だけ自分でよそうことを徹底したことによ
り、食べ残しがなくなるという効果があった。
台東リサイクルネットワーク・代表ならびに、地域の学び推進機構台東区支部代表の
善財さんからは、「蔵前小学校コミュニティまつり」「環境フェスタたいとう」の2つの
117
イベントでの飲食の提供にリユース食器を
使用した事例が紹介されました。使用後は
小さな布で食器を拭いてから返してもらう
ことにしており、来場者が自ら行動するこ
とで当事者意識を持たせようと工夫しまし
た。また、使い捨ての食器を使用していな
いため、排出するごみも少量に抑えられた。
プチエコの調査アンケート結果
「プチエコ・プログラム」への参加者に実施したアンケートの分析結果について、地
域の学び推進機構幹事の石幡(本企画調査メンバー)より報告された。プログラムで扱
った環境配慮行動を今後もやりたいと回答した人が全体の91%を占め、プログラムでの
動機づけ効果は得られたと考えられる。特に、今後もやりたいと思った人は、重要性(面
白そう、環境によさそう、体によさそう、
大事だ)、感覚性(節約できそう、おしゃ
れ、楽しそう)、簡便性(簡単そう、すぐ
できそう)の3側面を認識しているとの分析
に対し、参加者から「いのち(の大切さ)
という要素もあるのではないか」という指
摘が出たが、今回のアンケート解析にもそ
の要素が組み囲まれている事を説明した。
パネル討論・質疑応答
最後に、東京大学大学院工学系研究科の花木教授(本企画調査メンバー)・地域の学
び推進機構事務局長で台東区支部代表の善
財さん、地域の学び推進機構幹事でお茶の
水女子大学理学部准教授の森先生の3名に
よるパネル討論をおこなった。花木は「都
会での脱温暖化可能性調査」の趣旨を説明
し、望ましい社会の実現のためにどうした
ら人々が行動するかとの問題提起をした。
これに対し、善財さんは「台東区こども環
118
境委員会」の活動を紹介し、子どもの頃から日常行動の中で環境配慮意識を醸成するこ
とが大事だと話した。森先生は以前に視察した高校で全ての教科を環境学習と結びつけ
ていたことを例に出し、繰り返しおこなうことで環境意識へのセンスが身につくとの意
見を述べた。また、働き盛りの男性にもっと地域のプログラムに出てきてほしいと訴え、
参加者との対話も交えながら活発な討論がおこなわれた。
a)-6. 各種プログラム試行からの考察
・ 首都圏ならびに奈良の活動を視察し、少なからず子どもの多様な地域教育は国内の
広域に行われていている事が確認された。
・
今回実施された、プログラムで環境に特化しないプログラムは10プログラム中7プ
ログラムに及んだが、そのいずれでも環境配慮の「プチエコ」は不都合なく、取り
入れることができた。
・ この試行を具体化して広く活動を行うには、多種多様なプログラム集積と、広域に
わたる多様な団体とのネットワーク、また継続させる仕組が重要で、今回「学びの
ポイントラリー制度」を活用してスムーズに行えた事は大きな成果である。今後も
このような仕組を活性化させる取り組みが急務と思われる。
・ しかしながら常日頃環境問題を特に取り入れていない団体にとっては、従来のプロ
グラムに自然な流れでどのように環境配慮アクティビティを取り入れるかが大きな
課題だ。そのような観点からも、このプロジェクトの次の取り組みである、知恵実
現センターの開設が有効であると考えられる。
b) 学校における教育と省エネの実践
b)-1
幼稚園での地球温暖化教育の試み
(ア)目的
幼稚園児への地球温暖化教育を通して地域住民の意識を高めることにより、地域にお
ける温暖化対策推進に貢献しうるかどうかを確認する事を目的とする。ここでは、まず
小規模なグループの幼稚園児を対象とした地球温暖化教育を試み、以下の項目について
確認・考察を行う。
幼稚園児が地球温暖化の現状や省エネルギーの大切さを理解できたかどうか。また、
理解を促進するためにどのような工夫があるか。
119
幼稚園児が実施できる地球温暖化防止対策があることを理解したかどうか。また、理
解を促すためにどのような工夫があるか。
(イ)実施日時・場所
【日時】2010年2月23日(火)12:30~13:00
【場所】文京学院大学文京幼稚園
【対象者】年長組40名
【実施者】環境ネットワーク・文京/澤谷、中川、東洋大学荒巻研究室/菊池、榊原、
鷲尾、田鍋文京学院大学/小林(以上7名)
(ウ)授業内容
・ 地球温暖化とは何かについて紙芝居で説明(15分)
授業の始まり
地球儀を利用し、知っている国などを問いかけることにより園児たちの集中を高めると
ともに、地球温暖化の問題への導入をおこなう。
質問への活発な応答
紙芝居の始まり
120
太平洋の真ん中のツバルの説明
どうすれば地球温暖化が防止できるかの説明
自然エネルギーを体験するために、太陽光発電を利用したおもちゃ数点で子どもと遊
ぶ(15分)
風車の実験
ソーラーカーの実験
121
お猿の綱渡りの実験
活発な質問
事前準備と事後のフォローアップ
・
1月13日:実施幼稚園との打ち合わせ。実施時間、対象人数、対象学年などの確認
を行った。また、文京幼稚園の副園長から幼稚園児に理解を促すためには短時間(1
5分程度)のプログラムが有効なこと、紙芝居や実際のおもちゃなどをつかったアク
テビティが有効であること、などの示唆が得られた。
・
2月12日(金)14:00~16:00(場所:文京区文京アカデミー湯島):実施内容の
打ち合わせ。当日の段取りや温暖化教育の内容について議論を行った。紙芝居を行
う前に、導入として地球儀を使ったアクティビティを行うこと、NPO法人エコプラ
ンふくい作成の紙芝居のセリフを修正するとともに、一部は別なイラストと入れ替
えて利用すること、おもちゃをつかったアクティビティの内容の確認を行った。
・
2月19日(金)14:00~16:00(東洋大学白山第2キャンパス):実施内容の確認。当
日の役割分担を確認し、当日の紙芝居の練習をした。
122
2月23日(火)13:00~14:00 実施者全員で、今回の幼稚園の環境教育の試みについ
・
ての実施結果についてフォローアップをした。幼稚園児が地球温暖化について意外
に良く知っていて、応答も活発だったので、初めての授業としては非常にやりやす
かったのが、まず実施者の感想であった。しかし、幼稚園児が非常に的を突いた質
問を沢山してきた。その回答で日頃大人が使っているエネルギーとか二酸化炭素な
どの言葉では理解してもらえないだろうと考えた時、幼稚園児が理解できる言葉で
易しく地球温暖化について説明することが非常に難しいことが分かった。
イントロダクションと地球温暖化の紙芝居の概要
4名で実施。導入訳A、地球儀担当B&D、紙芝居担当C、という構成で行う。
(地球儀を利用し、知っている国などを問いか
けることにより園児たちの集中を高めるとと
もに、地球温暖化の問題への導入をおこなう。)
地球儀を最初隠しておく。
A:「みなさん、こんにちは」
地球儀をいきなり見せて
A:「これ何かわかる?」(間をおく。地球を
答えさせる。)
A:「みんなが住んでいる日本はどこかな?」。
B:日本を指さしながら「ここがみんなが住ん
でいる日本だよ。」
A:「他に知っている国はあるかな?」(間を
おいて、答えさせる)「そうだね、いろんな国
があるね。」
A:「実は、この地球でいま困っていることが
起きているんだ。地球温暖化っいうんだけど聞
いたことあるかな?」
123
紙芝居を始める。
C:「今から地球温暖化の話をするね。もしか
したらさっきみんなが教えてくれた国が出て
くるかもしれないからよく聞いててね。」
出典:JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進セン
ター
(紙芝居と地球儀を組み合わせて、地球上で起
こっている、あるいは起こるかもしれない問題
を紹介する。)
C:「助けて!わたしは、北極に住むアザラシ。
氷がどんどんとけて、どうやって暮らしていっ
たらいいか、わからないの。どうしてこんなこ
とになってしまったのかしら?」
B:地球儀を指しながら、「北極はここだよ。」
C:「助けて!ぼくは、南の島ツバルに住んで
るんだ。海の水が増えて、島が沈んでしまうか
もしれないんだ。南極や北極の氷がとけて、海
の水が増えているからなんだ。」
B:地球儀を指しながら、
「ここがツバルだよ。」
C:「助けて!わたしは、バングラディッシュ
に住んでいるの。ものすごい雨が降って、川が
あふれて、街中が大洪水で、家もめちゃめちゃ
になったの。昔は、こんなひどい洪水はなかっ
たとおじいちゃんが言ってたわ。」
B:地球儀を指しながら、「ここがバングラデ
シュだよ」
124
(なぜそのような問題が起こっているかを既
存の紙芝居を用いて丁寧に説明する。)
C:「助けて!暑いよー。ぼくは地球。最近と
ても暑いんだ。みんなが車に乗ったり、電気を
たくさん使ったりしてCO2をどんどん出すか
らなんだ。ゴミを燃やすときにもCO2は出て
くるんだ。木がたくさんあれば、CO2を吸っ
てくれるけど、緑もだんだん減っているんだ。」
C:「そして、CO2が地球の周りにいっぱい
たまって、ぼくはどんどん暑くなってしまうん
だよ。これが地球温暖化なんだ。それで、北極
の氷が溶けたり、大洪水が起こったりして、困
ったことが起きちゃうんだ。」
出典:JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進セン
ター
(どのようなことをすればよいかを紙芝居を
使いながら、園児たちに問いかける。そして、
そのようなアクティビティが自分自身ででき
ることを理解させる。)
C:「でもね、ぼくの地球温暖化はとめること
ができるんだよ。みんなどんなことをすればい
いか知っている?」
(紙芝居を見せながら、子供たちの答えを待
つ。答えが出てきた場合は、答えに応じて以下
を説明。答えが出てこない場合は、それぞれ指
を指しながら、何かを問いかける。)
C:「この中で、みんなができることはあるか
な?」(答えを待つ。いくつか挙げてもらう。)
125
C:「そうだね。いろいろなことをやって、み
んなで地球を守っていこうね。おしまい」
C:「じゃぁ、実際に風の力や太陽の光を使っ
た実験をしましょう。」
(紙芝居の終了)
出典:地球温暖化防止啓発ポスターコンクール
注)紙芝居は、NPO法人 エコプランふくい制作『ぼくの地球温暖化病をなおして』(文:
みずかみさとこさん、絵:アトリエ「ラクガキ屋ユウとヒサ」のひささん)を一部使用して
います。
使用した太陽光発電のおもちゃ
ソーラーカー
風車
病院
お猿さんの綱渡り
126
実施要項
【所要時間】30分、準備時間:30分くらい
【所要人員】5~7名
【参加者】幼稚園年長組 30~40名
【実施のポイント】
・
紙芝居は、紙芝居屋さんのような舞台が望ましい。
・
玩具の数は1~2種類で、子どもたちが自分で触って遊べる工夫が望ましい。
【注意する点】
・
室内で太陽光発電のおもちゃを操作する電球は熱いので火傷に注意する。
・
太陽光がある時は、直接太陽光で動かす方が説得力がある。
幼稚園へのアンケート結果
・
内容について
・
授業時間
・
実験の内容
□大変よく分かった
☑ 30分くらい
☑1~2種類ぐらいがよい
☑子どもが
その他
☑□大いに必要
□必要
□必
□難しいので無理である
幼稚園の環境教育として望ましいもの
保護
・
□
□やや難しかった
□30分より短く
今回の地球温暖化の環境教育は必要でしょうか
要であるが難しい
・
□30分以上
□今回の種類は多すぎた
自分で触れられる方がよい
・
☑分かった
☑□リサイクル・ごみ問題
☑□地球温暖化
□生物多様性
☑□食育
□緑・自然
□その他
幼稚園の先生(副園長)の自由な感想
難しいテーマでしたが、園児に分かりやすいように、教材を工夫して下さったお陰で、
127
楽しくワークショップに参加させて頂くことが出来ました。
園児も年少・年中組には難しいと思いますが、年長組に十分理解できるためになる内
容だったと感じました。
幼児は話し方もゆっくりはっきり文節を切りながら語らないと聞き取れないのですが、
今回は先生にその点もご配慮いただいており、分かりやすかったです。
当日、帰りに「今、水を無駄に使っていた子がいたから、注意して教えてあげたよ!」
と私の処に報告に来た子が居たり、翌日
保護者の方から"「地球温暖化」「風力発電」
「ソーラーパネル」など教えて頂いた内容を子どもが話してくれてびっくりしました"
などの声もありました。
今回授業に参加した大学生の感想
・
想像以上に、幼稚園児が集中力と多様な知識(国の名前や大地震や風力発電など)
を持っていることに驚いた。
・
時間の関係もあるが、もう少し、深く、丁寧に教えてあげられればよかった。
紙芝居の際に、幼稚園児から「どうして氷が溶けてしまうの?」「どうして大洪
水になってしまうの?」などの質問が出たので、その場で説明した。これについ
ては、紙芝居の中で、地球温暖化によって引き起こされる現象として、詳しく説
明した方がわかりやすかったのではと思った。(ツバルが沈んでしまう理由や紙
芝居に出てくる国の特徴などについて)
・ 太陽光発電のおもちゃも数が少ないため、一人ひとりに時間がかかり、順番待ちの
時間が長く、紙芝居の印象も薄れてしまうのではないかと心配した。
・ 幼稚園児が、地球温暖化や自然エネルギーなどの環境問題にどの程度興味・関心が
あるのかを事前に把握していれば、それに合った活動が計画できると思った。
・ 幼稚園児がすごく元気で楽しかった。活力がみなぎっている幼稚園児をまとめられ
る(幼稚園の)先生はすごいと思った。
・ 幼稚園児は私たちと話したがっていた。なのに、私たちはまごついていて、思った
ように受け答えができなかったことを反省している。
・ ほんの少ししかお手伝いできなかったけれど、この体験を通じて様々なことを知っ
た。幼稚園への訪問は初めてだったので、とても新鮮だった。
考察
◇世代間教育の可能性
128
大学生の方々が幼稚園児のエネルギーや知性に圧倒されたのと同じように、大学生の
方々の鋭い指摘や感性から多くのことを学びました。非常に建設的な意見をいただけた
と思います。幼稚園環境教育に若い大学生が参加することによって、こんなにも豊かな
収穫が生み出されるのかと、環境教育のみならず、世代間教育の可能性も感じました。
幼稚園児は目新しい者に敏感です。「子供たちは私たちと話したがっていた」と大学生
の感想にあるように、若い大学生への興味が、環境問題への興味を育てるような相乗効
果があったのではないでしょうか。
◇幼稚園児の認知的限界
「どうして氷が溶けてしまうの?」「どうして大洪水になってしまうの?」という園
児の質問に対して、「今日地球上で起こっている現象について、もっと詳しく紙芝居の
中で説明した方がよかったのではないか」という大学生からの意見があったように、紙
芝居の説明が多少不親切なので、説明を補足する必要があるかもしれない。とはいえ、
「どうして?」という園児の問いかけを引き出せたこと自体に大きな教育的成果を感じ
る。なぜなら、幼稚園児では、理論的に物事を考えるということにおいては限界がある
ので、十分に説明しても、紙芝居の一連のストーリーをどこまで理解できるのか、疑問
だからである。
ピアジェは、幼児期を「前操作的思考期」として、イメージや言語を通して象徴的な
思考ができるようになるが、論理的思考は難しく、直観に頼る部分が多い」と言ってい
る。それに対して、児童期は、「具体的操作期」として、幼児期にはできなかった、具
体的な事象(もの)を対象として論理的な思考ができるようになる」時期としている。
南極の氷が解ける、ツバルが沈む、バングラデシュの洪水などの現象から、「地球の温
暖化」という一つの理論を導きだすことは、児童期(小学期)になってできるようにな
ることともいえる。幼稚園児には、もう少し直観に訴える方法で、地球の温暖化を説明
する工夫が必要かもしれない。
そうした限界を考慮すると、「どうして氷が溶けてしまうの?」「どうして大洪水に
なってしまうの?」という疑問を育てたこと自体が、次につながる一つの成果と言える
だろう。これは、地球儀を使っての最初の導入が魅力的で、子供たちが惹きつけられた
ことの成果であると思われる。園児の知識には驚かされるが、あくまで直観的なもので
あるという限界もあることを考慮すべきであろう。
◇幼稚園児ができる環境行動についてより明確に打ち出す
129
特に幼児期の発達課題として重要なことは、正しい生活習慣を身につけることである
といわれる。そうした点で、水を大事に使う、電気をマメに消す、物を大事にする、ゴ
ミを分けて捨てるなど、子供ができる環境行動を生活習慣として身につけさせることが
問われる。これは、早いうちからの習慣づけが重要と思われる。したがって、この部分
がもっと強調される必要があるのではないだろうか。紙芝居ではこの部分の扱いが小さ
く、多少インパクトに欠けるようだった。「子供ができることをもっと明確に打ち出す」
ことについては、副園長からも指摘があったので、水道の蛇口を閉める場面の絵、電気
を消す場面の絵など、子供の直観に訴えるように、個々の場面をそれぞれ一枚の絵にす
るような扱いで、もっとアピールする必要性を感じた。
この時期の子供の価値判断は、善か悪かのどちらかです。なぜなのかは十分理解でき
なくても、良い事、悪いこととして、環境行動に関して、大人が明確に教え、しつけて
いく工夫が必要と思われる。
◇その他
「おもちゃの順番を待つ時間が長く、紙芝居の効果が薄れてしまうのでは」という大
学生からの指摘があったが、順番を待つ事や友達がやっているのを見るという経験も教
育の一環といえるだろう。終了後、地球儀を触りにやってきた子たちもいるなど、地球
儀も効果的だった。
今回の試みのまとめ
・ 年長のレベルであれば、今回の手順で、温暖化問題やその対策に対する基本的な理
解を促すことは可能。
・
導入部の工夫により、園児の集中力を高めることが重要?
・
教材の工夫とともに、紙芝居などでの話し方の工夫が必要?
・ 幼稚園児に理解してもらえるような易しい言葉で地球温暖化問題を説明できるよう
な事前の準備が必要であった。
・ 幼稚園のアンケートにより、学んだ内容を家庭で披露している事例があり、幼稚園
児を通して各家庭での温暖化に対する意識を高められる可能性が示唆された。
・ 今後、今回の試みを行ったグループで、今回の試みを反省して、自分たちがよいと
考える紙芝居を含めた新しい教育プログラムを作成することを目指したい。
130
b)-2
文京区立大塚小学校での実施結果
(ア)目的
温暖化防止に向けた実践活動につなげることを目的とし、「問題提起→動機付け→解
決策を自ら見出す」といった一連のプロセスが含まれる環境学習プログラムを作成・実
施した。
(イ)全体概要
【対象】文京区立大塚小学校
5年生
【時間・回数】基本的には3~4限(10:25~12:00)×7回
【実施時期】2009年9月25日(金)~11月24日(火)
【実施者】澤谷、小川/環境ネットワーク・文京
中村、尾立、岩本/地球/人間環境フォーラム
学生/東洋大学大学院
【スケジュール】以下のような日時に従って環境学習を実施した。
表2-8 大塚小学校での実施全体スケジュール
日時
回数
位置づけ
内容
9/25 (金)
1
問題提起、動機付 ・ 地球温暖化に関する問題提起
け
・ 温暖化のメカニズムに関する学習
・ 温暖化の影響に関する学習
・ 比熱実験、発電実験等の体験的学習
10/2(金)
2
課題の抽出(解決 ・ 大塚小学校の電気使用量に関する問題点や
策を見出すため
課題の考察
の基礎調査)
・ グループ毎に電気使用量の削減方法に関す
る実験を行う
(冷蔵庫の使い方に関するワットチェッカー
を用いた電流測定、白熱灯・蛍光灯・LEDのワ
ットチェッカーを用いた電流測定及び手回し
発電機によるそれぞれの照明の点灯実験、待機
電力のワットチェッカーを用いた測定等を行
った。)
10/9(金)
3
解決策の検討①
・ 各グループによる実験結果のまとめ
・ 実験結果の発表に向けた準備(我が家の温
暖化防止計画の作成)
・ 各家庭での取り組みのための実測方法の説
明
解決策の実践
10/10(土)~10/14(水):メーターの測定+家族
での話し合い
10/15(木)~10/21(水):今までと同じ生活(電
気メーターの計測+生活の振り返り)
10/22(木)~10/28(水):我が家の温暖化防止計
画に従った行動(電気メーターの計測+計画の
実施状況に関する振り返り)
10/30 (金) 4
解決策の検討②
・ 実施結果の計算(省エネ量の算出)
131
(再検討)
11/6 (金)
5
11/17(火)
11/24(火)
6
7
解決策の地域へ
の普及に向けた
活動の準備
同上
解決策の地域へ
の普及に向けた
活動
・ 実施結果の発表、話し合い(お勧めのメニ
ューの検討)
・ ポスターの作成分担及びポスターの作成
・ ポスターの作成(分担案:デザイン、文字、
発表原稿、タイトル等)
・ 発表練習
・ 発表(1時限程度 ※自治会、PTA、教育
委員会等から約20名の参加を得て実施し
た)
・ →12月からおうちで取り組んでみること
を呼びかけた。
(ウ)第1回授業内容
表2-9 9月25日(金)授業スケジュール
3限
時間
作業
内容
15分 アンケート
授業前のアンケート(別紙1)<
留意点>
※ 書いてあることはゆっく
りと読む。
※ 氏名を必ず書くようにお
願いする。
※ 行動は単一回答、理由は複
数回答であることを説明
する。
※ 設問・選択肢はゆっくりと
すべて読む。
記入中に児童の回答についてミ
スがないかをチェックする(単
一・複数回答で間違いがないか、
氏名の記入漏れはないか等)。
5分 説明(導入)
・ 授業実施者から挨拶
・ 全体の学習内容の説明
10分 グループワーク ・ 地球温暖化の現状を説明(地
球、日本、東京)
・ その後、地球温暖化は良いこ
となのかどうかグループで話
し合う。
・ 結果は「温暖化はうれしい?
困るシート」に記入する。
5分 発表
・ 各 班で 考えた こと を発表 す
る。
5分 学習①
・ プロジェクターを用いて、温
暖化の影響として起こること
を説明する。
5分 学習②
・ プロジェクターを用いて温暖
化のメカニズムについて学習
する。
132
担当
澤谷
資料・準備物
授業前アンケー
トの配布・回収
澤谷
配布資料1を各
児童に配布
配布資料2(温暖
化はうれしい?
困るシート)を
各班に1枚配布
する。
澤谷
澤谷
澤谷
澤谷
最後にパワーポ
イントを4スラ
イドを1枚に印
刷した資料(配
布資料3)を各児
童に配布する。
4限
時間
作業
内容
5分 実験③(仕掛け) ・ 実験内容を説明。
・ 二酸化炭素を注入し、温度を
読む(シートに温度を各人が
記入)。
10分 実験①
・ 火力発電実験セットにより電
気と化石燃料との関係を説明
する。
20分 実験②
・ 二酸化炭素の性質を知り、固
形燃料を燃焼することで二酸
化炭素が発生していることを
実験する。
5分 学習③
・ 実験③の結果を発表する。結
果は、各自のシートに記入し、
どれぐらい違いが出たかにつ
いて意見を聞く。
5分 考察
・ まとめカードを拡大コピーし
たものを黒板に張りながら並
び替えを行う。
担当
森
先生
澤谷
森
先生
森
先生
森
先生
9月25日(金)
◇配布資料1
1
2
133
資料・準備物
配布資料4(温暖
化のしくみを知
ろう!)の配布
森先生にまとめ
カード(A3)を
お渡しする。
3
4
5
134
◇配布資料2
135
◇配布資料3
136
137
138
139
◇配布資料4
140
(エ)第2回授業内容
表2-10 10月2日(金)授業スケジュール
3限
時間
作業
内容
5分 振り返り
・ 先週の授業の復習をまとめカ
導入
ードを使って行う。
・ 今日行うことの説明
20分 実測
・ 省エネナビの紹介、使い方の
説明
・ 実際に省エネナビを操作
5分 学習
5分 説明
10分 実測
4限
時間
作業
15分 実測(続き)
担当
澤谷
資料・準備物
中村
省エネナビの使
い方(配布資料
1:全校プラスフ
ロア型)
省エネナビワー
クシート(配布資
料2)
大塚小学校の電
気使用量のワー
クシート(配布資
料3)
大塚小の電気使
用量(プロジェク
ター)
家庭の電気使用
量(プロジェクタ
ー)
・ 大塚小の電気使用量につい 中村
ての説明
・ 一人ひとりが取り組むこと
の必要性を説明し、身近なと
ころでできることを実測す
ることを説明する。
・ 家庭の電気使用量のグラフを
見せ、使用量の多い「冷蔵庫」、
「照明」、「テレビ」、「そ
の他」と「待機電力」を測定
することを説明する。
・ 6 つの実測の紹介し、それぞ 澤谷
れの内容を説明した上で、じ
ゃんけんで選ぶ。
・ 各場所に分かれての実測
内容
担当
実測結果の記入
シートの配布
(配布資料4※
班により異な
る)
資料・準備物
・ 実測の続きを行う。
・ 実測が終了後に二酸化炭素削
減量の計算を行う。
20分 分析
10分 考察
・ 実測の結果の整理
・ 二酸化炭素の削減量、節約金
額の計算
・ 実験結果からどのような省エ
ネ行動ができるか考える。
141
まとめシートを
配布(配布資料
5)
10月2日(金)
◇配布資料1
◇配布資料2
◇配布資料3
142
◇配布資料4-1
143
◇配布資料4-2
144
◇配布資料4-3
145
◇配布資料4-4
146
◇配布資料4-5
(オ)第3回授業内容
表2-11 10月9日(金)授業スケジュール
3限
時間
作業
内容
5分 導入
・ 先週の授業の感想を聞く。
・ 先週の大塚小学校の電気使用
量の答え合わせ
147
担当
中村
資料・準備物
大塚小学校の電
気使用量(大き
目の紙で印刷し
10分 学習
30分 グループワーク
4限
時間
作業
15分 発表
・ これまでの復習
・ なぜ家庭でやることが重要な
のかの説明
・ ブータン、日本、アメリカの
二酸化炭素排出量の違い(8
時間あたりの排出量)を実際
に持って体感してみる。
・ これからやることの説明
・ 省エネ効果の計算を行う(先
週の続き)。
・ 班によっては追加の情報提供
を行う(テレビ、冷蔵庫、照
明、待機電力等)
・ 班毎にお勧めの省エネメニュ
ーを 4 つ考える(CO2 削減量
ベスト 4 は一人一つ分担して
発表するため、一人一つ発表
用のシート(配布資料 3)に
記入する)。
★早く計算が終わりお勧め省エ
ネメニューの作成が終わった児
童に対して分かったことを整理
するように伝える。
★それも終わった児童がいた場
合には色鉛筆等を使って絵をつ
けてもらう。
・ 終わった班は発表練習を行う
(お勧め省エネメニュー+分
かったことを発表する。全員
に役割があるように役割分担
を決める)。
・ ★時間がない場合は分かった
ことはなくてもよい。
内容
・ 班毎に分かったことお勧めの
省エネ行動を発表する(前に
出て手に持って発表する)。
<発表内容>
① 省エネメニューベスト 4 の
発表
② 実験をして分かったことや
感想
・ 発表後は、分かったこととお
勧め省エネ行動発表用シート
を黒板に貼り、残しておく。
148
中村
たもの)
二酸化炭素排出
量の違いの体感
グッズ
プロジェクター
スクリーン
中村
お勧め省エネ発
表用シートの配
布(配布資料1)
担当
中村
資料・準備物
5分 まとめ
・ 各班の発表についてコメント
中村
をする。
・ お勧め省エネ行動をみんなで
やってみることを提案する。
10分 学習
・ 実験のやり方を伝える。
中村
・ 家庭の電気メーターの読み方
の演習をする。
15分 演習
・ 実際に家庭の電気メーターを
読み、記入する。
10月9日(金)
◇配布資料1
149
中村
電気メーター測
定の演習資料の
配布(配布資料
2)
◇配布資料2
(カ)第4回授業内容
表2-12 10月30日(金)授業スケジュール
3限
時間
作業
内容
5分 復習
・ 各家庭の電力量計(電気メー
ター)の測定状況を確認。
150
担当
澤谷
資料・準備物
資料「省エネに
取り組んで、電
力量計(電気メ
ーター)を読ん
10分 学習
・ グループワークのため、机を
班毎に移動。
・ 今日やることの説明。
岩本
30分 グループワーク
・ 家庭で取り組んだ資料を用い
て、電気使用量の合計を計算
する。
・ 各自、資料を用いて、「いつ
も通り」と「省エネ」を行っ
た期間の二酸化炭素の排出量
を計算する。
・ 各自、電気の使い方について
気付いたことを班毎に話し合
い、「分かったことシート」
にまとめる。
・ どんな省エネ行動が有効だっ
たかを話し合い、「地域への
お勧め省エネメニュー」を 4
つ考える。
岩本
内容
・ 終わった班は発表練習を行う
(排出量計算+分かったこと
+お勧め省エネメニューを発
表する。全員に役割があるよ
うに役割分担を決める)。
・ 各自、記入漏れがないかの最
終確認を行う。
・ 班毎にお勧めの省エネ行動を
発表する(前に出て手に持っ
て発表する)。
<発表内容>
③ 各児童は、「いつも通り」
と「省エネ」時に排出され
た二酸化炭素の量を発表す
る。
④ グループ毎に地域へのお勧
め省エネメニューを発表す
る。
⑤ 測定を行なって分かったこ
とや感想を発表する。
・ 発表後、地域へのお勧め省エ
ネメニュー発表用シートを黒
板に貼り、残しておく。
・ 各班の発表についてコメント
をする。
・ 発表結果から、お勧め省エネ
行動をみんなでやってみるこ
担当
岩本
4限
時間
作業
5分 演習
20分 発表
5分 まとめ
151
岩本
澤谷
でみよう!」
資料「省エネに
取り組んで、電
力量計(電気メ
ーター)を読ん
でみよう!」
排出量計算用シ
ート(配布資料
1:各班4枚)
分かったことシ
ート(配布資料
2:各班1枚)
地域へのお勧め
省エネメニュー
用シート(配布
資料3:各班1枚)
電卓
資料・準備物
15分 説明
とを提案する。
・ 11 月から普通の生活をして、 澤谷
12 月にみんなで考えたメニ
ューを家族で話し合ってみ
ようと呼びかける。
・ 次回の授業で行うポスター
の作成について説明を行う。
お勧め省エネメニュー発表
用シートから 5~6 個選んで、
項目を決定すること。
・ ポスターを作製するので、グ
ループ毎にポスターの作成
の分担(分担案:デザイン、
文字、発表原稿、タイトル等)
の話し合いを行う。
・ 分担案(温暖化メカニズム、
温暖化の影響、大塚小での実
測、大塚小での取り組み、省
エネメニュー)
ポスター作成用
シート(配布資
料4:各班1枚)
ポスター用紙
(紙サイズ見本
用)
10月30日(金)
◇配布資料1
◇配布資料2
大塚小学校 9月25日「配布資料2」参照
152
◇配布資料3
◇配布資料4
153
(キ)第5回授業内容
表2-13 11月6日(金)授業スケジュール
3限
時間
作業
内容
3分 導入
・ こ れま での授 業の 感想を 聞
く。
・ 今日やることの説明
5分 グループワーク ・ 作業分担の説明及び班内での
分担の決定
・ <作業分担>
・ タイトル(担当機器の絵+タ
イトルの文字)
・ 実測方法(絵+文字+発表時
の文章)
・ 省エネの効果(絵+文字+発
表時の文章)
・ メッセージ(文+絵+発表時
の文章※メッセージそのまま
でも良い)
40分 グループワーク ・ その後、役割分担に従って作
業を行う。
4限
時間
作業
45分 グループワーク
内容
・ 役 割分 担に従 って 作業を 行
う。
★作業が終わった班から発表練
習を行う(教室の前後を使って実
際の発表(3分~5分程度)の流れ
に沿った練習)。
<発表の順番>
①タイトルの発表
②実測方法の発表
③エネの効果の発表
④地域の人へのメッセージ
担当
中村
資料・準備物
中村
A5の模造紙(各
班1枚)
作文のための用
紙(各児童1枚)
各班
担当
者
担当
各班
担当
者
資料・準備物
(ク)第6回授業内容
表2-14 11月17日(金)授業スケジュール
3限
時間
作業
内容
担当
5分 導入
・ 今日やることの説明
中村
・ 発表作文の作成内容の説明
各班
40分 グループワーク ・ 発表内容の検討
担当
・ 発表分担を決める。
者
①実験や計算をした理由の説明。
②実験や計算内容の説明。
154
資料・準備物
パンフレット
(各児童1枚)
作文のための用
紙(各児童1枚)
③省エネ方法等(ポスターの内
容)の説明。
④感想
11月17日配布資料(作成ポスター)
(ケ)第7回授業内容
作成したポスターの各班のまとめた内容を、自治会長、PTA会長、教育員会の先生、
校長先生など10名の来賓者の前で、それぞれ5分間発表し、その発表に対するお互いの
質疑を行った。
作成したポスターは、地球温暖化対策のための省エネ活動の地域への普及のために、
校区内の自治会の展示版に貼り出すことにした。
(コ)まとめ
総合みどりの時間で、2時限ずつ7回の授業を行った。先ず地球温暖化とは何か、その
影響、CO2による温暖化のメカニズムを学習し、実験でCO2による温暖化を体験した。
その後、省エネナビによる学校の省エネの方法を学び、ワットチェッカーを用いて、
冷蔵庫、テレビ、掃除機、照明、待機電力を各班に分かれて電気使用量を測定し、それ
155
ぞれの出来そうな省エネについて話し合った。さらに、家庭に帰り通常の生活を1週間
した各家庭の電気メーターを読んだ。その後、家庭内で省エネについて話し合い1週間
の電気メーターを読んだ。そのデータを学校で整理して、各グループで家庭内での省エ
ネについて話し合った。
これまでの活動を各グループごとにまとめ、発表した後、それを1枚の紙にまとめた。
最終的に各グループのまとめをポスターにして、来賓の前で発表し、学区内の掲示板に
ポスターを張りだして、地域に省エネの普及を図った。
156
b)-3
葛飾区立葛飾小学校での実施結果
(ア)目的
葛飾小学校において、省エネメニューの効果を実測し、計画を作成し、自ら家庭で取
り組む環境学習機会を設けることによる温暖化防止活動への行動変容をもたらす環境学
習手法を検討した。
イ)全体授業概要
【対象】葛飾区葛飾小学校
5年生(2クラス)
【時間・回数】1~4限 8:45~12:10(それぞれ2限ずつ)
【実施時期】2009年10月19日(月)~11月26日(木)
【実施者】澤谷、小川/環境ネットワーク・文京
中村、尾立、岩本/地球/人間環境フォーラム
学生/東洋大学大学院
【スケジュール】以下のような日時に従って環境学習を実施した。
表2-15 葛飾小学校での全体実施スケジュール
日時
回数
位置づけ
内容
電気メーターを用いた家庭での実測に向け
10/19(月)
0
測定準備
た資料の配布。
10/21(水)~
各家庭でいつもどおり生活しながら電気メ
測定
11/3(火)
ーターを測定。
省エネの効果に関するわっとチェッカーを
用いた測定及び計算を行い、その後、二酸化
11/10(火)
1
解決策の検討
炭素の排出量が記されたカードを用いて省
エネメニューを作成。
各家庭で自分たちが考えた省エネメニュー
11/11(水)~
をお家の人と相談して実践しながら電気メ
実践
11/24(火)
ーターを測定。
「いつも通り」と「省エネ」に取り組んだ時
11/26(木)
2
解決策の再検討
では、どのくらい電気の使用量に差があるの
かを計算し、その結果から考察を行った。
実際に省エネナビを使った実験を行い、省エ
2/10(水)
1
測定
ネの効果を学ぶ。
省エネに取り組んだ成果を省エネナビのデ
2/26(金)
1
解決策の再検討
ータを見ながら考えることで、省エネについ
ての理解を深める。
(ウ)第1回授業内容
表2-16 11月10日(火)授業スケジュール
1限(3限)
157
時間
作業
1分 自己紹介
2分 確認
17分 説明
25分 グループワーク
2限(4限)
時間
作業
25分 まとめ①
10分 グループワーク
10分 まとめ
内容
・ 自己紹介。
・ 今日やることの説明。
・ 電力量計(電気メーター)の
測定状況の確認。
担当
中村
資料・準備物
中村
・ 電卓を用いてそれぞれの日に
ちにおける電気使用量と合計
の数値を計算する。
★早く終わった児童に対して
は、気づきの部分を記入して
いる場合には電気使用量との
関係の考察を促す。気づきを
記入していない場合には他の
児童の支援を促す。
★ 非常 に計算 が遅 い場合 に
は、各班の支援をする側が計
算の支援を行う。
① 白熱電球と蛍光灯・LED の電
気使用量測定
② 電熱ポットの電気量測定
③ ゲームの電気使用量測定
④ 冷蔵庫と扉を開けた時の電気
使用量測定
⑤ テレビの電気使用量測定
⑥ パソコンの電気使用量測定
⑦ ビデオデッキの電気使用量測
定(待機電力)
中村
測定ができてい
ない児童には先
生から計算用の
例を配布してい
ただく。
児童が記録した
用紙(「省エネ
に取り組んで、
電力量計(電気
メーター)を読
んでみよう!」)
を用いて計算を
行う。
澤谷
7班がどれか1つ
の機器を選んで
ワットチェッカ
ーで使用電力を
測定する
内容
担当
・ 実測結果から年間電気料金と 澤谷
省 エネ 室約金 額の 計算を 行
う。
・ 家庭の様々な場所でどのよう 中村
な 省エ ネをや って みるか を
10 個話し合って選ぶ。
・ 選んだ省エネ行動におついて
二酸化炭素削減量、節約金額、
省エネ行動のやりやすさの星
の数を計算する。
資料・準備物
実験結果まとめ
の資料
・ 各班の省エネルギーメニュー
を各人で家庭の省エネルギー
メニューとして記録する。
・ 各家庭で自分たちが考えた省
エネメニューをお家の人と相
談して実践しながら電気メー
ターを測定することを促す。
158
中村
おうちでできる
省エネを考えよ
う!(家庭マッ
プ)(A3 各班1
枚)
省エネメニュー
カード(各班1
セット)
私たちの省エネ
メニュー(整理
版)(A3 各班1
枚)
電気メーターの
測定資料(児童1
人につき1枚)
11月10日(火)
◇配布資料1
159
◇配布資料2
◇配布資料3
160
◇配布資料4
161
(エ)第2回授業内容
表2-17 11月26日(木)授業スケジュール
1限(3限)
時間
作業
内容
1分 自己紹介
・ 自己紹介。
・ 今日やることの説明。
2分 確認
・ 電力量計(電気メーター)の
測定状況の確認。
17分 個々人での計算
5分 個々人での計算
15分 グループワーク
5分 グループワーク
担当
中村
資料・準備物
中村
測定ができてい
ない児童には先
生から計算用の
例を配布してい
ただく。
児童が記録した
用紙(「省エネ
に取り組んで、
電力量計(電気
メーター)を読
んでみよう!」)
を用いて計算を
行う。
中村
※実測できていない児童がどの
ようにするかは先生から言って
頂く(先生に微妙に手法が異なる
ため)。
①電卓を用いてそれぞれの日に
ちにおける電気使用量と合計の
数値を計算する。
早く終わった児童に対しては、気
づきの部分を記入している場合
には電気使用量との関係の考察
を促す。気づきを記入していない
場合には他の児童の支援を促す。
②二酸化炭素削減量と節約金額 中村
を計算する
① 家庭で取り組んだ成果をお互 中村
いの成果を発表する。
② どれぐらい二酸化炭素を減ら
し、節約できたのかを考える。
③ どのようなところに気をつけ
た日が特に減ったのか等をみ
んなで考える。
④ 個人個人で分かったことや感
想を考え、班内で発表する。
発表の分担を考え、それぞれの発 中村
表部分について、どのように発表
するかを考える。
(分担例)
1人目:減らせた二酸化炭素量の
報告
2人目:節約金額の報告
3人目:分かったこと(一つ目)
4人目:分かったこと(二つ目)
5人目:分かったこと(三つ目)
162
資料(「酸化炭素
をどれぐらい減
らせたか計算し
てみよう!」)に
記入(個々人に記
入)
資料(「分かっ
たことをまとめ
てみよう」)に
記入(各班に配
布)
※4 人の班は、二酸化炭素量と金
額を両方とも発表する。
2限(4限)
時間
作業
20分 グループワーク
15分 発表
10分 アンケート
内容
発表に向けた準備を行う。
※画用紙に色鉛筆等で発表内容
をそれぞれ作成する。
各班から家庭で取り組んだ結果
や分かったことを発表する。
<発表の順番>
①減らせた二酸化炭素量の報告
②節約金額の報告
③分かったこと(一つ目)
④分かったこと(二つ目)
⑤分かったこと(三つ目)
・ 授業後のアンケートを実施す
る
担当
中村
資料・準備物
中村
中村
11月26日(木)
◇配布資料1
◇配布資料2
大塚小学校 9月25日「配布資料2」参照
(オ)まとめ
第1回授業で、テレビ、パソコン、プレイステーション、ビデオデッキ、冷蔵庫、電気
ポットの電気使用量をワットチェッカーを用いて測定する。それぞれの機器の省エネ方
法を考えて、その効果を与えられて表で計算する。さらに、カードゲームで省エネ効果
を考えてみる。
各家庭で話し合って省エネ活動を行い、普通に生活した場合と省エネを行ったそれぞ
れ1週間の電気消費量を比較する。そして分かったことを各グループで発表した。
163
b)-4
葛飾区立葛飾小学校での省エネナビを用いた省エネ授業の実施結果
(ア)第1回授業内容
表2-18 2月10日(水)授業スケジュール
1限(3限)
時間
作業
内容
10分 導入
・ 今日やることの説明
・ 省エネナビで分かることの説
明
・ 今日の実験の説明
・ グループ分け(1クラス(29
名)を3グループに分ける)
15分 グループワーク ・ 1 グループに 2 つに分けて省
エネナビを操作する。
・ 教室に残ったグループは、ど
のような実験をするかを考え
る。
・ 実験の際の分担を考える。
30分 実験
・ 各グループで考えた実験を行
う。(最大 30 分)
※エアコンの実験は 30 分以内で
必ず終るように考慮すること。
2限(4限)
時間
作業
内容
20分 整理
・ 実験結果をみんなに伝えるた
めに整理する。
・ 実験結果から省エネ方法を提
案する。
10分 発表
・ 実験結果の発表を行う。
15分 全体作業
・ これから 2 週間みんなで取り
組んでみることを考える。
・ できたかどうか担当者が記録
する。
164
担当
中村
資料・準備物
省エネナビの操
作方法資料
実験方法を記入
する資料
省エネナビを記
録する資料
実験結果を記録
する資料
担当
中村
資料・準備物
省エネナビの操
作方法資料
できたかどうか
の記録資料
2月10日(水)
◇配布資料1
◇記入例
(イ)第2回授業内容
表2-19 2月26日(金)授業スケジュール
3限(4限)
時間
作業
内容
5分 導入
・ 今日やることの説明。
・ 省エネナビのグラフの読み方
の説明。
担当
中村
資料・準備物
資料1:省エネナ
ビでの測定結果
の資料
資料2:行った省
エネを整理した
資料
5分 個人での考察
15分 班での考察
・ 各児童がどのような成果があ
ったのかを考える。
・ 班に分かれ、気付いたことを
発表しながら以下について班
毎に整理する。
①教室の省エネで気付いたこと。
②エアコンの省エネで気付いた
こと。
③体育館の省エネで気付いたこ
と。
④省エネナビを見て分かったこ
165
7班あるため、7
人がそれぞれ1
班について補足
説明を行う。
10分 発表
5分 まとめ
と、感じたこと(5人の班を2人
がそれぞれ考える)
・ 各 班で 考えた こと を発表 す
る。
→発表した紙は名前を書いても
らっておき、発表が終わったら黒
板に貼っておく。
・ 児童の取り組みについて鈴木
教授や澤谷氏からお話をいた
だく。
166
2月26日(金)
◇配布資料1
167
168
169
◇配布資料2
(ウ)考察
全校の省エネナビ
全校の電灯と動力の動きが分かるので、今後5年生だけでなく全校に省エネ活動を広げ
170
て行った時、全校の動向が良く分かると思われる。また、夏などプールを使用する場合
には動力の使用状況が良く分かるし、空調の使用状況の把握にも有効であろう。
今回、体育館の電灯の使用状況が把握でくるようにしたため、学校開放でPTAの皆さ
んが土日を含めて電灯を多く使用し、学校の電気使用量のかなりの部分を占める体育館
の電気使用量を関係者にも示して、省エネ活動を進める可能性があろう。また、今回の
授業で、5年2組の生徒が明るいので電灯を消して体育館を使用し、45分間の授業で約70
円の節約ができることが分かった。このような事実を全校に広めることで、さらに省エ
ネが進む可能性があると思われる。
5年生の省エネナビ
・
空調の使用について、10日の環境教育を行った成果として、10日以降学校の平均気
温がその前は10℃以上であったのが10℃以下に下がり全校で空調の使用電力が3
0%増大したのに対して、5年生は省エネに努力して10%の増加に留めた。
・
空調(暖房)の設定温度を5年1組は23℃、5年2組は18℃にし、省エネナビのデータ
を解析した結果、その違いが明瞭に示された。そして、その日1日で低い温度に設定
した効果が400円もの節約に結び付いたことが分かった。これも省エネナビを上手
く設定した効果である。最近のインバーター制御のエアコンは温度調節が上手にで
きるので、低温度に設定する効果がより顕著に出るようである。
・ 環境教育を行った後、生徒が教室の電灯を明るい窓側やお昼休みの消す省エネ行動
をするようになったことが、省エネナビのデータを解析して確認された。これを生
徒に示すことにより、今後更に省エネが進むことが期待できると考えている。また、
省エネデータを解析することにより、窓側の電気を消すだけで、1時間に20円の節
約ができることも分かった。
・
2月15日の1時限に5年1組の体育の授業があり、2時限に5年2組の授業があった。5
年2組は体育館が明るかったので、電燈を消して体育の授業を行った。これが省エネ
ナビのデータと生徒が付けていた省エネチェックシートのデータから確認できた。
そしてエネルギー使用量を省エネナビのデータから解析した結果、45分の1時限の
授業で70円の節約ができることが分かった。
(エ)まとめ
葛飾小学校に全校と5年生と4年生のエネルギー使用状況が分かる2種類の省エネナビ
を設置した。全校の省エネナビは、全校の電灯と動力、及び体育館のエネルギー使用状
171
況が把握できる。5年生と4年生の省エネナビは、環境教育をする5年生と教育をしない4
年生との電灯使用の省エネ挙動の違いを見ることにより環境教育の効果を把握できる。
また、5年生の2つの組の空調のエネルギー使用を見ることができるようにしたので、両
者でエアコンの設定温度を変えた場合のエネルギー使用状況の違いを把握出来て、低温
設定の方がより省エネにつながることが明瞭となった。
生徒がつける省エネチェックシートと省エネナビのデータを解析することで、生徒の
省エネ行動が明確に把握出来ることが分かった。そして、省エネデータを解析すること
により、生徒の個々の省エネ行動の省エネ効果が定量的に把握出来ることも分かった。
このような5年生が行った個々の省エネ行動の定量的効果を、全校に広めることによりさ
らに大きな省エネ効果が期待できるであろう。
体育館のエネルギー使用量は、全国的に学校開放が進むにつれて、土日や夜間の使用
が進み、学校のエネルギー使用量の大きな部分を占めるようになってきている。これに
対して、そのエネルギー使用量を定量的な把握できるようにすることで、PTAの皆さま
にもその実態を示し,より学校の省エネが進むことも期待できるであろう。
172
b)-5
文京区立汐見小学校での実施結果
(ア)目的
地球温暖化のメカニズムや影響に関する講義と実験を学習した後、自分たちの具体的
な生活の中で地球温暖化を防止するために出来る省エネ行動を実験で体験しながら行動
の重要性を理解する。また、アフリカの水不足について学習し、実際に5kgの水を運ぶ
ことで、世界の水事情を認識する。
(イ)全体概要
【対象】文京区汐見小学校
4年生
【時間・回数】3~4限×2
【実施時期】2009年12月15日(火)~12月22日(火)
【実施者】澤谷、小川/環境ネットワーク・文京
尾立、岩本/地球/人間環境フォーラム
学生/東洋大学大学院
【スケジュール】以下のような日時に従って環境学習を実施した。
日時
12/15(火)
12/22(火)
表2-20 汐見小学校での全体実施スケジュール
回数
位置づけ
内容
プロジェクターを用いて、温暖化の影響と
1
学習
メカニズムを学習する。
地球温暖化のしくみを実験する。
白熱電球、蛍光灯、LED電球の消費電力を
ワットチェッカーでそくていし、それぞれ
1
実験
の電気使用量を比較する。
アフリカの水事業を講義で学習する。
(ウ)第1回授業内容
表2-21 12月15日(火)授業スケジュール
3限
時間
作業
内容
15分 アンケート
(ア) 授業前のアンケートの実施
<留意点>
① 書いてあることはゆっくりと
読む。
② 氏名を必ず書くようにお願い
する。
③ 行動は単一回答、理由は複数回
答であることを説明する。
173
担当
澤谷
資料・準備物
授業前アンケー
トを各児童に配
布・回収
④ 設問・選択肢はゆっくりとすべ
て読む。
10分 説明(導入)
5分 学習①
15分 学習②
4限
時間
作業
5分 実験③
記入中に児童の回答についてミ
スがないかをチェックする
(イ) 授業実施者から挨拶
(ウ) 全体の学習内容の説明
(エ) プロジェクターを用いて、温
暖化の影響として起こること
を説明する。
・ プロジェクターを用いて温暖
化のメカニズムについて学習
する。
・
・
10分 実験①
・
20分 実験②
・
5分 学習③
・
5分 まとめ
・
宿題
・
内容
実験内容を説明。
二酸化炭素を注入し、温度を
読む(シートに温度を各人が
記入)。
火力発電実験セットにより電
気と化石燃料との関係を説明
する。
二酸化炭素の性質を知り、固
形燃料を燃焼することで二酸
化炭素が発生していることを
実験する。
実験③の結果を発表する。結
果は、各自のシートに記入し、
どれぐらい違いが出たかにつ
いて意見を聞く。
まとめカードを拡大コピーし
たものを黒板に張りながら並
び替えを行う。
温暖化について「いいこと」、
「わるいこと」考察する。
澤谷
配布資料1を各
児童に配布。
澤谷
澤谷
配布資料2)を各
児童に配布。
担当
澤谷
資料・準備物
配布資料3(温暖
化のしくみを知
ろう!)を各児
童に配布。
澤谷
澤谷
澤谷
配布資料4のま
とめカードを配
布。
澤谷
配布資料5:いい
こと、わるいこ
とシート
◇実験の写真
地球温暖化シミュレーションの実験、右側のCO2を入れてある箱の温度が高くなる。
174
デル火力発電実験で石油燃料を燃やすと発電が出来ることを説明。
石油燃料を燃やした気体を集めて、飽和石灰水に注入して白濁させる実験。
人間の息を飽和石灰水に吹き込んで、
白濁することを実験。
175
◇配布資料1,2, 3
大塚小学校 9月25日「配布資料1,3,4」参照
◇配布資料4
176
◇配布資料5
(エ)第2回授業内容
表2-22 12月22日(火)授業スケジュール
3限
時間
作業
内容
10分 振り返り
・ 先週の授業の復習と感想。
・ 児童数人が発表。
5分 導入
・ 3 限目の授業説明(省エネに
ついて)
15分 実験
・ 照明の種類について何を知っ
ているか投げかける。
・ 白熱灯、蛍光灯、LED の電力
量を測定する。
担当
澤谷
資料・準備物
澤谷
澤谷
配布資料1を各
児童に配布。
ワットチェッカー
白熱灯、蛍光灯、
LED
5分 まとめ
10分 実験
4限
時間
作業
5分 導入
15分 学習
20分 実験
・ 質疑応答を踏まえながら、グ
ラフを用いて、20 年間での電
気使用量と電気代を説明。電
気の使い方についても明記。
・ 手回し発電機を用いて燃料電
池自動車を動かす実験
澤谷
内容
(オ) 4 限目の授業説明。
・ プロジェクターを用いて、各
国における水不足の影響と深
刻さを説明する。
担当
澤谷
澤谷
(カ) 5kg の砂袋(6 つ)を各グル
澤谷
ープに配置し、児童一人ずつ
に砂袋を持ちながら歩いて
もらう。
・ さらに 5kg の砂袋で試してみ
177
澤谷
資料・準備物
配付資料2を各
児童に配布。
砂袋
5kg(12個)
る。
5分 グループ
ワーク
(キ) 質疑応答を踏まえながら、水
澤谷
不足に対して、私たちに出来
ることを説明。
授業後 アンケート
・ 全 体の 授業に 対す るコメ ン
ト。
・ 授業前のアンケートの実施
岩本
配布資料(授業
後アンケート)
◇実験の写真
ワットチェッカーで白熱電球、蛍光灯、およびLED電球の消費電力を測定する実験
手回し発電機で水を電気分解して、燃料電池自動車を動かす実験
178
12月22日(火)
◇配布資料1
179
◇配布資料2
180
181
(オ)まとめ
脱地球温暖化の授業は、従来一般的に総合学習の時間で5年生を対象に行われて来たが、
今回汐見小学校の担任の先生の要望で4年生の授業を試みた。
第1回の授業での温暖化の仕組みの説明は、5年生用の資料でも大方の理解は得られた
ようである。また、温暖化のしくみの実験もCO2の影響であることも理解でき、CO2に
よる飽和炭酸カルシウムの白濁実験は特に興味を引いたようである。
第2回の授業内容を打ち合わせた時、一番大きな問題として4年生は小数点の計算を学
習していないので、ワットチェッカーで電気量を測定しても、小数点の計算が必要な二
酸化炭素の算出が出来ないことであった。それで、実験を行うが,電気量の計測を記入
するだけにした。また、4年生は、水道の勉強をしているので、水の節約を授業にと入れ
て欲しいという担任の先生の要望を入れて、アフリカの水事情を取り上げた。
生徒のカリキュラムを十分に理解して、その発達レベルに合わせた内容の授業にする
重要性がよく理解できた。
182
c) 学校における環境教育の波及効果のアンケート調査・分析
環境学習は小中学校における総合的な学習の時間におけるテーマ例の一つとして指導
要領に挙げられ、エネルギーに関する内容も指導要領に明記されている(文部科学省[2
008a][2008b])こともあり、先進的な学校や地方自治体では温暖化防止に向けた環境学
習や学校内での実践、地域への波及を目指した取り組みが進められている(環境首都コ
ンテスト全国ネットワーク[2009])。
しかし、当財団の調査(地球・人間環境フォーラム[2009])によると、学校におい
て温暖化やエネルギーを総合的な学習の一環として取り扱っている割合は2割に満たず、
地域に波及効果をもたらすような活動を行っている学校の割合も3割程度である。割合が
低い要因として、同調査によると教材の不足、予算の不足、教員の時間の不足(地域と
の連携が不十分)、体験的な学習機会の不足、教員に対する研修機会の不足等が挙げら
れている。
教科内では温暖化に関する学習は、小学校の4割、中学校の6割で行なわれている(地
球・人間環境フォーラム[2009])ものの、教科内での学習では知識の提供にとどまって
いる学校が8割を占める(地球・人間環境フォーラム[2008])。既往の研究では、温暖化
防止に向けて人間の行動を引き出すには、知識の習得ではなく、実習や体験で感情を刺
激することが有効であり、「問題提起→学習の動機付け→解決策を見出す」といった一
連の学習法が有効であるとされている。(植村[2000])
しかし、現状の学校における環境学習では、断片的な知識の提供にとどまっているた
め児童・生徒の温暖化防止活動へとつなげることが難しく、さらに地域への波及効果も
期待できない状況にある。
今回の試行がもたらす効果についてアンケートなどを中心に把握した。
以下に、実施・分析結果を報告する。
c)-1 実施プログラムの概要
詳細についてb)で述べた大塚小学校、葛飾小学校および汐見小学校について効果の
解析を行った。それぞれの学校におけるカリキュラムの概要を表2-23から2-25に再掲す
る。
183
表2-23大塚小学校での実施スケジュール(再掲)
日時
回数
位置づけ
内容
9/25 (金)
1
問題提起、動機付 ・ 地球温暖化に関する問題提起
け
・ 温暖化のメカニズムに関する学習
・ 温暖化の影響に関する学習
・ 比熱実験、発電実験等の体験的学習
10/2(金)
2
課題の抽出(解決 ・ 大塚小学校の電気使用量に関する問題点や
策を見出すため
課題の考察
の基礎調査)
・ グループ毎に電気使用量の削減方法に関す
る実験を行う
(冷蔵庫の使い方に関するワットチェッカー
を用いた電流測定、白熱灯・蛍光灯・LEDのワ
ットチェッカーを用いた電流測定及び手回し
発電機によるそれぞれの照明の点灯実験、待機
電力のワットチェッカーを用いた測定等を行
った。)
10/9(金)
3
解決策の検討①
・ 各グループによる実験結果のまとめ
・ 実験結果の発表に向けた準備(我が家の温
暖化防止計画の作成)
・ 各家庭での取り組みのための実測方法の説
明
解決策の実践
10/10(土)~10/14(水):メーターの測定+家族
での話し合い
10/15(木)~10/21(水):今までと同じ生活(電
気メーターの計測+生活の振り返り)
10/22(木)~10/28(水):我が家の温暖化防止計
画に従った行動(電気メーターの計測+計画の
実施状況に関する振り返り)
10/30 (金) 4
解決策の検討②
・ 実施結果の計算(省エネ量の算出)
(再検討)
・ 実施結果の発表、話し合い(お勧めのメニ
ューの検討)
・ ポスターの作成分担及びポスターの作成
11/6 (金)
5
解決策の地域へ
・ ポスターの作成(分担案:デザイン、文字、
の普及に向けた
発表原稿、タイトル等)
活動の準備
11/17(火)
6
同上
・ 発表練習
11/24(火)
7
解 決 策 の 地 域 へ ・ 発表(1時限程度 ※自治会、PTA、教育
の普及に向けた
委員会等から約20名の参加を得て実施し
活動
た)
・ →12月からおうちで取り組んでみること
を呼びかけた。
表2-24 葛飾小学校での実施スケジュール(再掲)
日時
回数
位置づけ
内容
10/21(水)~
各家庭でいつもどおり生活しながら電気メ
測定
11/3(火)
ーターを測定。
省エネの効果に関するわっとチェッカーを
用いた測定及び計算を行い、その後、二酸化
11/10(火)
1
解決策の検討
炭素の排出量が記されたカードを用いて省
エネメニューを作成。
184
11/11(水)~
11/24(火)
11/26(木)
実践
2
解決策の再検討
各家庭で自分たちが考えた省エネメニュー
をお家の人と相談して実践しながら電気メ
ーターを測定。
「いつも通り」と「省エネ」に取り組んだ時
では、どのくらい電気の使用量に差があるの
かを計算し、その結果から考察を行った。
表2-25 汐見小学校での実施スケジュール(再掲)
日時
回数
位置づけ
内容
・地球温暖化の仕組み、影響を理解する。
・温暖化と自分たちの生活の関連性を理解する。
導入、動機
・自分たちの行動が温暖化を防ぐために重要であ
12/15(火)
1
付け
ることを考える。
・自ら実測して、何ができるかを考えるための情
報を集める。
・自分たちの行動が温暖化を防ぐために重要であ
ることを考える。
・3種類の照明を自ら実測して、何ができるかを考
12/22(火)
2
動機付け
えるための情報を集める。
・世界各地で起こっている水不足の問題を理解す
る。
・各自が水を節約する意識を高める。
c)-2 効果的な学習プログラムの検討のための調査・分析
広瀬[1994, 1995]の分析においては、環境配慮行動につながる要因として「環境リ
スク認知(危機感)」、「責任帰属認知(責任感)」、「対処有効性認知(有効感)」
があるとしている。そのため、当事業で実施したプログラムが、どのような要因におい
て有効であったのか、児童の行動がどのように変化したのかを分析した。具体的な調査
方法(調査票等の設計等)に関しては早渕[2008]の手法を参考にした。
c)-2-1 大塚小学校における調査・分析
(ア)調査手法
本調査では授業参加前と参加後に環境学習を受けた児童全員に対して調査票(付録4,
5)を配布し、行動変容の要因を分析した。対象、サンプリング手法、回収率等は以下
のとおりである(表2-26、表2-27)。
185
表2-26 環境学習参加前の温暖化に関する行動の調査概要
環境学習参加前の調査
対象
大塚小学校5年生 24名
サンプリング手法
全数調査
学級担任から配布し、学校内で記入 調査 2009年9月25日(金)
調査方法
し、担任が回収した。
時期
92%(回収数23)※一部インフルエンザ等の欠席により回収でき
回収率
ず。
1. 日常の温暖化防止行動の実施程度
質問項目
2. 温暖化に関する知識
※質問票は付録4参照。
表2-27 環境学習後の行動変容に関する調査概要
環境学習参加後の調査
対象
大塚小学校5年生 24名
サンプリング手法 全数調査
学級担任から配布し、学校内で記入 調査 2009年11月17日(火)
調査方法
し、担任が回収した。
時期
サンプル数
大塚小24名
96%(回収数23) ※一部インフルエンザ等の欠席により回収でき
回収率
ず。
1. 日常の温暖化防止行動の実施程度の変化(授業を受けての変化)
質問項目
2. 温暖化に関する知識
※質問票は付録5参照。
(イ) 分析
温暖化の知識と省エネルギー活動の関連
学習前に温暖化に関する知識と5つの行動について調査を行った。その結果、照明や
水に関する行動は温暖化の理解に関係なく、多くの児童が省エネルギーに取り組んでい
る。母親からの指摘などの自由記述も見られ、習慣化している家庭が多いことが考えら
れる(表2-28、表2-32)。
ただし、冷蔵庫や冷房の設定については、取り組んでない世帯も半数程度存在する
ことから、これらの省エネルギー行動を学校から地域に普及させることは意味があるも
のと思われる(表2-29、表2-30)。
待機電力については、「知っている」グループのほうが取り組めていないことも分
かった(表2-31)。
<環境学習前の省エネルギー等に関する行動と温暖化への理解度の関係>
表2-28.大塚小学校における環境学習前の「人がいない時に照明はこまめに消すよう
186
にしている」行動と温暖化の理解度の回答数
温暖化への理解度
人がいない時に照明はこまめに消すようにしている。
4.まったく
3. たまに
2. だいたい
1. いつもし
してない
している
している。
ている
4. よく知っている
2
10
0
10
5
7
3. 知っている
2. あまり知らない
3
7
1. 知らない
合計
表2-29
0
2
10
合計
10
22
大塚小学校における環境学習前の「冷房の設定温度を夏は上げ、暖房の設定
温度を冬は下げるようにしている」行動と温暖化の理解度の回答数
温暖化への理解度
冷房の設定温度を夏は上げ、暖房の設定温度を冬は下げる
ようにしている。
4.まったく
3. たまに
2. だいたい
1. いつもし
してない
している
している。
ている
4. よく知っている
5
7
5
7
5
7
3. 知っている
2. あまり知らない
3
7
1. 知らない
合計
表2-30
1
7
4
合計
10
22
大塚小学校における環境学習前の「冷蔵庫の電気使用量をできるだけ少なく
するように使っている」行動と温暖化の理解度の回答数
温暖化へ
の理解度
冷蔵庫の電気使用量をできるだけ少なくするように使っ
ている。
4.まったく
3. たまに
2. だいたい
1. いつもし
してない
している
している。
ている
4. よく知っている
6
3. 知っている
187
6
合計
5
7
2. あまり知らない
5
3
5
7
1. 知らない
7
合計
表2-31
4
8
3
22
大塚小学校における環境学習前の「待機電力をできるだけ少なくするように
している」行動と温暖化の理解度の回答数
温暖化への理解度
待機電力をできるだけ少なくするようにしている。
4.まったく
3. たまに
2. だいたい
1. いつもし
してない
している
している。
ている
4. よく知っている
9
3
3
6
5
7
3. 知っている
2. あまり知らない
3
6
1. 知らない
6
合計
6
6
合計
3
21
表2-32 大塚小学校における環境学習前の「水の使用量を少なくするようにしている」
行動と温暖化の理解度の回答数
温暖化への理解度
水の使用量を少なくするようにしている。
4.まったく
3. たまに
2. だいたい
1. いつもし
してない
している
している。
ている
4. よく知っている
3
9
2
8
5
7
3. 知っている
2. あまり知らない
3
7
1. 知らない
合計
0
5
5
合計
12
22
環境学習による行動変容とその要因分析
学校にて環境学習を実施したことにより、照明や冷蔵庫の使い方については30~40%
の児童が新たに省エネルギーに取り組むようになった。ただし、待機電力については、
学習後も実行できていない割合が半数あり、アンケートでは、親から「コンセントを抜
くな」という注意を受けたという記述もあったことから、待機電力そのものの電気量で
188
はなく、どのように減らすかという具体的な方法に関する体験的な学習が必要ではない
かと思われる。
また、環境学習で取り扱っていない「水の使用量を減らす」項目については、項目1
~4の今回実施した環境学習で取り扱った内容と比べて、授業後の行動の割合が低いこと
もあり、環境学習を実施したことが省エネルギー行動を促進したことが逆に推察される
(表2.11)。
また、行動の変化をもたらした要因としては、「自分の行動が温暖化に影響するから」
(一部を除き、35~65%)が最も高くなっている(表2.12)。これは、温暖化の影響や
自分たちの生活に関する内容を簡単にしか説明しなかった葛飾小学校では25%前後しか
ないことから、温暖化の影響や実験により自分たちの生活と温暖化の影響が結びついた
ことで行動の変化をもたらす要因になったものと考えられ、学習により「環境リスク認
知(危機感)」が高まったことが推測される。
また、「お金が節約できるから」(一部を除き、50~60%前後)も行動や意識の変化
をもたらした主要因と言える。特に児童に対しては、CO2削減量に比べるとお金が節約
できるほうが身近で分かりやすいと教員から指摘もあったように、省エネルギーの実験
等により、お金の節約額で説明することにより省エネルギー行動に対する「対処有効性
認知(有効感)」が高まったものと考えられる。
なお、「責任帰属認知(責任感)」に関する理由については、行動変化をもたらした
要因としての割合は低くなっている。
表2-33 環境学習による行動の変化
授業を受けて
実行するよう
になった。
項目1:照明をこまめに消す
項目2:エアコンの温度の調整
項目3:冷蔵庫の使い方の工夫
項目4:待機電力を減らす
項目5:水の使用量を減らす
(単位:%)
授 業 を 受 け 授業を受け 実 行 し な
る 前 か ら 実 たが実行し く な っ
行している。 ていない。 た。
35
22
39
17
13
61
61
39
22
57
4
9
22
52
17
0
9
0
0
4
表2-34 環境学習後の行動をもたらした理由
理由1:興味や関心がないから
理由2:自分だけがしても意味ないから
理由3:お金がかかるから
189
項目1
項目2
項目3
0
0
26
0
4
17
13
0
13
(単位:%)
項目4
項目5
17
4
0
0
4
13
理由4:誰もしていないから
理由5:やり方が分からないから
理由6:面倒くさいから
理由7:興味関心があるから
理由8:自分の行動が温暖化に影響するから
理由9:お金が節約できるから
理由10:( )がしているから
理由11:( )から習ったから
理由12:気がとがめるから
理由13:行動をするきっかけがあったから
理由14:その他
9
0
0
43
65
61
4
0
13
0
0
0
4
4
35
35
57
0
0
13
0
0
4
17
9
30
43
61
0
0
4
0
4
4
35
22
9
17
22
0
0
4
0
0
0
4
4
22
39
52
4
0
13
0
0
(ウ) 調査結果の整理
調査から、今後の活動の参考となる結果として以下が考えられる。
・ 多くの世帯で取り組まれている照明等の項目については追加的な削減効果が乏しく、
待機電力等の方法が分からない、面倒だという取り組みについて追加的に行うこと
で二酸化炭素排出量の削減が見込まれるものと考えられる。
・
今回の調査では「環境リスク認知(危機感)」および「対処有効性認知(有効感)」
が行動の変容をもたらした主要因として考えられ、温暖化の影響等への認識、省エ
ネルギー行動をした際の効果を理解できるような環境学習を行うことで、追加的な
二酸化炭素の削減に結びつくことが期待される。
c)-2-2 葛飾小学校における調査・分析
(ア) 調査手法
調査方法は大塚小学校(c)2-1)と同様である。回収率等の調査概要は以下のとおりで
ある(表2-35、表2-36)。
表2-35 環境学習参加前の温暖化に関する行動の調査概要
環境学習参加前の調査
対象
葛飾小学校5年生 58名
サンプリング手法
全数調査
学級担任から配布し、学校内で記入 調査
調査方法
し、担任が回収した。
時期
回収率
95%(回収数55)
1. 日常の温暖化防止行動の実施程度
質問項目
2. 温暖化に関する知識
※質問票は付録4参照。
表2-36 環境学習後の行動変容に関する調査概要
190
2009年10月19日(月)
環境学習参加後の調査
対象
葛飾小学校5年生58名
サンプリング手法 全数調査
学級担任から配布し、学校内で記入 調査 2009年11月26日(木)
調査方法
し、担任が回収した。
時期
回収率
98%(回収数57)
1. 日常の温暖化防止行動の実施程度の変化(授業を受けての変化)
質問項目
2. 温暖化に関する知識
※質問票は付録5参照。
(イ)分析
温暖化の知識と省エネルギー活動の関連
学習前に温暖化に関する知識と5つの行動について調査を行った。その結果、照明に関
する行動は温暖化の理解に関係なく、大塚小で見られたのと同様に習慣化している家庭
が多いことが考えられる(表2.15)。ただし、葛飾小においては水に関する取り組みは
知っているが取り組んでいない割合が最も高くなっている(表2.19)。
ただし、冷蔵庫や冷房の設定については、取り組んでない世帯も半数程度存在するこ
とから、これらの省エネルギー行動を学校から地域に普及させることは意味があるもの
と思われる(表2-38、表2-39)。
待機電力については、知識の有無に関係なく、取り組めていない世帯が多い(表2.
18)。
表2-37
葛飾小学校における環境学習前の「人がいない時に照明はこまめに消すよう
にしている」行動と温暖化の理解度の回答数
温暖化への理解度
人がいない時に照明はこまめに消すようにしている。
4.まったく
3. たまに
2. だいたい
1. いつもし
してない
している
している。
ている
4. よく知っている
8
26
4
17
15
19
3. 知っている
2. あまり知らない
6
15
1. 知らない
合計
表2-38
1
11
34
合計
9
55
葛飾小学校における環境学習前の「冷房の設定温度を夏は上げ、暖房の設定
191
温度を冬は下げるようにしている」行動と温暖化の理解度の回答数
温暖化への理解度
冷房の設定温度を夏は上げ、暖房の設定温度を冬は下げる
ようにしている。
4.まったく
3. たまに
2. だいたい
1. いつもし
してない
している
している。
ている
4. よく知っている
18
14
12
8
14
18
3. 知っている
2. あまり知らない
5
15
1. 知らない
合計
表2-39
14
16
16
合計
6
52
葛飾小学校における環境学習前の「冷蔵庫の電気使用量をできるだけ少なく
するように使っている」行動と温暖化の理解度の回答数
温暖化への理解度
冷蔵庫の電気使用量をできるだけ少なくするように使っ
ている。
4.まったく
3. たまに
2. だいたい
1. いつもし
してない
している
している。
ている
4. よく知っている
16
17
7
14
14
19
3. 知っている
2. あまり知らない
6
15
1. 知らない
合計
表2-40
6
17
19
合計
12
54
葛飾小学校における環境学習前の「待機電力をできるだけ少なくするように
している」行動と温暖化の理解度の回答数
温暖化への理解度
待機電力をできるだけ少なくするようにしている。
4.まったく
3. たまに
2. だいたい
1. いつもし
してない
している
している。
ている
4. よく知っている
3. 知っている
2. あまり知らない
27
7
17
3
15
19
5
15
1. 知らない
合計
22
22
192
7
合計
3
54
表2-41
葛飾小学校における環境学習前の「ゲームの時間を短くする」行動と温暖化
の理解度の回答数
温暖化への理解度
水の使用量を少なくするようにしている。
4.まったく
3. たまに
2. だいたい
1. いつもし
してない
している
している。
ている
4. よく知っている
23
10
10
11
14
19
3. 知っている
2. あまり知らない
6
15
1. 知らない
合計
15
18
合計
13
8
54
環境学習による行動変容とその要因分析
学校にて環境学習を実施したことにより、照明や冷蔵庫、待機電力に関する省エネ
ルギー行動を30~40%の児童が新たに取り組むようになった。大塚小学校に比較すると
待機電力に取り組み始めた児童の割合が高い。待機電力については、大塚小では知った
上でやっていない児童がほとんどであったが、葛飾小では知らなくてやっていない児童
の割合も相当数あったことが関係していることが推測される(表2.20)。
行動の変化をもたらした要因としては、「お金が節約できるから」(一部を除き、5
0~60%前後)も行動や意識の変化をもたらした主要因となっている。葛飾小での学習内
容において省エネルギーについて考える際に、節約金額を基本とした学習を行ったこと
が効果をもたらしたものと考えられる(表2.21)。
ただし、温暖化の影響等について学習していないこともあり、学習を行った大塚小
学校に比べて、「環境リスク認知(危機感)」の向上割合は比較的低い。
なお、「責任帰属認知(責任感)」に関する理由については、行動変化をもたらした
要因としての割合は低くなっている。
表2-42 環境学習による行動の変化
(単位:%)
授業を受けて
実行するよう
になった。
項目1:照明をこまめに消す
44
193
授 業 を 受 け 授業を受け
る 前 か ら 実 たが実行し
行している。 ていない。
46
9
実行しな
く な っ
た。
2
項目2:エアコンの温度の調整
項目3:冷蔵庫の使い方の工夫
項目4:待機電力を減らす
項目5:ゲームの時間を減らす
21
32
39
28
42
39
23
26
33
30
35
40
2
0
2
4
表2-43 環境学習後の行動をもたらした理由
(単位:%)
理由1:興味や関心がないから
理由2:自分だけがしても意味ないから
理由3:お金がかかるから
理由4:誰もしていないから
理由5:やり方が分からないから
理由6:面倒くさいから
理由7:興味関心があるから
理由8:自分の行動が温暖化に影響するから
理由9:お金が節約できるから
理由10:( )がしているから
理由11:( )から習ったから
理由12:気がとがめるから
理由13:行動をするきっかけがあったから
理由14:その他
項目1
項目2
項目3
項目4
項目5
4
2
23
9
0
12
7
26
47
4
2
14
7
4
7
4
12
11
2
19
9
25
26
11
0
5
7
4
9
5
7
2
5
16
11
25
37
5
2
11
5
4
5
4
16
12
5
30
11
12
30
2
0
7
9
4
11
5
5
4
0
7
16
11
23
4
0
9
4
4
(ウ)調査結果の整理
調査から、今後の活動の参考となる結果として以下が考えられる。
・ 地域により取り組まれている省エネルギー行動等が異なることもあり、追加的に家
庭での二酸化炭素を削減するための波及効果をもたらすためには、地域における温
暖化防止の意識や活動について調査を行ったうえで環境学習を行うことが効果的で
ある。
・ 「環境リスク認知(危機感)」が比較的低くても、「対処有効性認知(有効感)」
が高ければ、行動の変容へとつながる可能性がある。
c)-3 学校から地域への波及効果の調査・分析
環境学習を実施して、一定期間(2ヶ月~3ヶ月程度)経過した後に、家庭における温
暖化防止活動の広がりと二酸化炭素削減効果を定量的に把握することを目指して調査を
実施した。
c)-3-1 大塚小学校における調査・分析
194
(ア)調査手法
家庭における温暖化防止活動の広がりについては、環境学習を受けた児童の家庭に対
して環境学習実施後の家庭内の温暖化防止活動の変化を質問するとともに、変化が見ら
れる場合には、二酸化炭素削減量の算出可能な内容(例.暖房の温度を1℃上げる等)を
記入する項目を設けることにより、環境学習の家庭への波及効果ならびに二酸化炭素削
減量の推計を行った。なお、調査方法(調査票等の設計等)に関しては早渕[2008]の手
法を参考にした(調査票は付録6, 7参照)。対象、サンプリング手法、回収率等は以下
のとおりである(表2-44)。
また、児童に対しては環境学習による意識の変化を見ることを主な目的として同時期
に以下のような調査を実施した(表2-45)。
表2-44 環境学習の家庭への波及効果及び二酸化炭素削減量の推計に関する調査概要
児童の家庭への調査
対象
大塚小学校5年生 24名
サンプリング手法
全数調査
学級担任から児童を通じて各家庭
2010年2月10日:配布
調査
調査方法
に配布し、担任を通じて回収を行っ
2010年2月17日:回収
時期
た。
回収率
88%(回収数21)
1. 環境学習の家庭への影響
質問項目
2. 日常の温暖化防止行動の変化
※質問票は付録6参照。
表2-45 環境学習の児童への影響に関する調査概要
児童の家庭への調査
対象
大塚小学校5年生 24名
サンプリング手法
全数調査
学級担任から児童に記入してもら 調査
調査方法
い、担任を通じて回収を行った。
時期
回収率
100%(回収数24)
1. 環境学習による行動や学習への意欲
質問項目
2. 温暖化に関する知識
※質問票は付録7参照。
2010年2月10日
(イ)分析
児童の環境学習を受けての意識
児童に対する調査から、環境学習を実施したことにより温暖化防止に向けた取り組み
をする児童が75%になり、67%の児童が温暖化問題を気にかけるようになっている。た
195
だし、家庭内での温暖化に関する話題の増加や温暖化に関する学習意欲に関しては今後
の課題として残った(表2.24)。
表2-46 環境学習による児童の行動や学習への意欲
(単位:%)
はい いいえ
75
67
29
42
質問1.以前より温暖化防止のために何かすることが増えましたか?
質問2.以前より温暖化のことが気になるようになりましたか?
質問3. 以前よりお家で温暖化のことを話すようになりましたか?
質問4. 以前より温暖化のことを勉強したいと思いましたか?
25
33
67
58
家庭への波及効果
家庭への温暖化防止に関する意識や行動の影響については、児童ほどの影響は見られ
ない。しかし、38%の家庭で温暖化に関する会話が増加しており、29%の世帯で温暖化
への取り組みが増えたと回答していることから一定の波及効果はあったものと考えられ
る。家庭での温暖化防止の会話や活動を促進するために効果のあった児童から家庭への
働きかけについては(表2.26)、児童の温暖化への関心向上が最も高くなっており(63%)、
それに続いて家庭での実践や電気メーターの測定等(いずれも38%)が挙げられている。
そのため、学校から家庭への波及効果をもたらすために、児童の関心を高める内容な
らびに家庭での実践や調査を行うことで、地域への波及効果をもたらしやすくなるもの
と考えられる。
表2-47 環境学習による家庭への影響
(単位:%)
質問1. 家庭内での温暖化に関する会話
質問2. 家庭内での温暖化への関心
質問3. 家庭内での温暖化防止に関する取り組み
学習後、
増えた
学習前から
ある
学習後もな
い
38
29
81
71
33
10
10
10
29
表2-48 家庭に影響をもたらした理由
(単位:%)
理由1:子供が温暖化に関心を持つようになったから
理由2:子供が温暖化について教えてくれるから
理由3:子供が省エネに取り組むようになったから
理由4:電気メーター等を読む活動をするなどの契機があったから
理由5:子供が学校で作製し、家庭に持って帰ったポスターで省エ
196
質問1
質問2
質問3
63
25
38
38
13
0
50
50
0
50
17
0
33
17
17
ネの方法が分かったから
理由6:子供が学校で作製し、家庭に持って帰ったポスターで省エ
13
0
0
ネの効果が分かったから
理由7:その他
0
0
0
※表中の数値は表2-36で「学習後増えた」世帯から寄せられた回答。質問2については、「学
習後増えた」世帯が少ない中で理由の回答数も少なかった(サンプル数2)。
家庭における二酸化炭素削減効果
新たに取り組むようになった世帯において年間CO2削減量を算出し、回答のあった21
世帯で平均し、平均CO2削減量を計算した(表2-49)。
本調査において、児童が家庭に対して普及した省エネルギー活動の多くは、すでに多
くが実行されていたこともあり、回答のあった21世帯のうち学習後に新たに取り組みを
始めた世帯は1~3世帯と少ない。そのため、環境学習による追加的なCO2削減量も少な
くなっている(新たに取り組みを始めた世帯のみで計算すると年間187kg-CO2の削減量
が推定されており、平均的な家庭からの二酸化炭素排出量約5,300kg-CO2(温室効果ガス
インベントリオフィス)のうち3.5%にあたる)。
今後の学校から家庭への普及を考える上で、表2-40で網掛けになっている元からの実
行割合が少ないものを題材として取り上げることにより学習後の追加的な削減量が向上
することが見込まれる。ただし、児童が配布したパンフレット以外の項目であっても温
暖化への意識の高まりによりその他の項目(買い物袋の持参)についても新たな取り組
みが増えていることもあり、よく知られた省エネルギー行動に学習を行った場合でも学
習した温暖化防止活動への波及効果がもたらされることも期待される。
表2-49 省エネルギー行動の実行割合と環境学習による追加的なCO2削減量
もとから実
行している
人の割合(%)
86
52
76
67
90
90
86
95
38
76
57
1. 不要な照明の消灯
2. LEDの導入
3. 冷蔵庫の設定温度
4. 冷蔵庫の扉の開閉回数
5. 冷蔵庫の設置間隔
6. 暖房機器は必要な時のみ使用
7. 暖房機器の設定温度
8. 見ていないテレビを消す
9. 待機電力の削減
10. シャワーの際にこまめに止める
11. お風呂に続けて入る
197
うち学習後から
やるようになっ
た人の割合(%)
5
0(10)
5
0
0
5
0
0
14
5
0
(単位:%)
学習による追
加的な平均
CO2削減量
(kg-CO2/年)
0.1
2.5
1.3
0.0
0.0
0.9
0.0
0.0
9.7
1.4
0.0
12. 歯磨き時に水を出しっぱなしにしない
13. 買い物袋を持参する
95
0
62
14
合計平均CO2削減量
0.0
2.2
18.1
※LEDの削減量はLED推進委員会Webサイト(http://www.led-lamp.jp/eco/co2.html)から
引用。買い物袋の持参については、「平成18年名古屋市地球温暖化防止行動計画改定検討
会」から引用。その他は、「家庭の省エネ大辞典」(省エネルギーセンター)の数値を用
いて計算した。
※LEDのカッコ内は、まだ買い換えてはいないが、買い替えを考えるようになったという
世帯であり、CO2削減量は、これらの世帯について算出した。
(ウ) 調査結果の整理
調査から、今後の活動の参考となる結果として以下が考えられる。
・ 児童の家庭で取り組まれていない省エネルギー行動を促進するような環境学習を行
うことで、より効率的・効果的に追加的な家庭における温室効果ガスの排出削減が
行われる。
・ 家庭への波及効果をもたらす要因としては、児童の温暖化への関心向上が最も高い
割合を占めており、それに続いて家庭での実践や電気メーターの測定となっている。
そのため、これらの項目について影響をもたらす環境学習を検討することが重要で
ある。
c)-3-2 葛飾小学校における調査・分析
(ア)調査手法
調査方法は大塚小学校(c-3-1)と同様である。対象、サンプリング手法、回収率等
は以下のとおりである(表2-50、表2-51)。
表2-50 環境学習の家庭への波及効果及び二酸化炭素削減量の推計に関する調査概要
児童の家庭への調査
対象
葛飾小学校5年生 58名の家庭
サンプリング手法
全数調査
学級担任から児童を通じて各家庭
2010年2月12日:配布
調査
調査方法
に配布し、担任を通じて回収を行っ
2010年2月19日:回収
時期
た。
回収率
95%(回収数55)※胃腸炎等の流行で一部回収できず。
1. 環境学習の家庭への影響
質問項目
2. 日常の温暖化防止行動の変化
※質問票は付録6参照。
198
表2-51 環境学習の児童への影響に関する調査概要
児童への調査
対象
葛飾小学校5年生 58名
サンプリング手法
全数調査
学級担任から児童に記入してもら 調査 2010年2月12日
調査方法
い、担任を通じて回収を行った。
時期
回収率
95%(回収数55)※胃腸炎等の流行で一部回収できず。
1. 環境学習による行動や学習への意欲
質問項目
2. 温暖化に関する知識
※質問票は付録7参照。
(イ)分析
1 児童の環境学習を受けての意識
環境学習により69%の児童が以前より温暖化防止のための取り組みを行うようになり、
温暖化が気になるようになっている(65%)。しかし、家庭内での温暖化に関する話題
や温暖化に対する学習意欲に関しては今後の課題として残った(表2-52)。
表2-52 環境学習による児童の行動や学習への意欲
(単位:%)
はい いいえ
質問1.以前より温暖化防止のために何かすることが増えましたか?
質問2.以前より温暖化のことが気になるようになりましたか?
質問3. 以前よりお家で温暖化のことを話すようになりましたか?
質問4. 以前より温暖化のことを勉強したいと思いましたか?
69
65
38
49
31
35
62
51
家庭への波及効果
家庭への温暖化防止に関する意識や行動の影響については、大塚小学校と同様に児童
ほどの割合はない。しかし、36%の家庭で温暖化に関する会話が増加しており、27%の
世帯で温暖化への取り組みが増えたと回答していることから一定の波及効果はあったも
のと考えられる(表2-52)。
家庭での温暖化防止の会話や活動を促進するために効果のあった児童から家庭への働
きかけについては(表2-48)、児童の温暖化への関心向上が最も高くなっており(31%)、
それに続いて家庭での実践(29%)が挙げられている。ただし、児童の関心については、
大塚小学校の割合(63%)の半分程度であり、「問題提起→学習の動機付け→解決策を
見出す」という学習の流れにおいて「解決策を見出す」部分のみでは、家庭への波及効
果をもたらす最も大きな要因について効果が少なくなることも考えられる(表2-54)。
199
そのため、学校から家庭への波及効果をもたらすために、児童の関心を高める内容な
らびに家庭での実践や調査を行うことで、地域への波及効果をもたらしやすくなるもの
と考えられる。
表2-53 環境学習による家庭への影響
質問1. 家庭内での温暖化に関する会話
質問2. 家庭内での温暖化への関心
質問3. 家庭内での温暖化防止に関する取り組み
学習後、
増えた
学習前から
ある
36
31
56
51
(単位:%)
学習後もな
い
33
16
24
質問1
(単位:%)
質問2 質問3
27
22
表2-54 家庭に影響をもたらした理由
理由1:子供が温暖化に関心を持つようになったから
31
20
20
理由2:子供が温暖化について教えてくれるから
15
5
7
理由3:子供が省エネに取り組むようになったから
29
16
18
理由4:電気メーター等を読む活動をするなどの契機があったから 16
5
9
理由5:子供から省エネの方法を聞いたから
11
9
5
理由6:子供から省エネの効果を聞いたから
11
9
5
理由7:その他
0
0
0
※表中の数値は表2-38で「学習後増えた」世帯から寄せられた回答。質問2については、「学
習後増えた」世帯が少ない中で理由の回答数も少なかった(サンプル数2)。
家庭における二酸化炭素削減効果
新たに取り組むようになった世帯において年間CO2削減量を算出し、回答のあった55
世帯で平均し、「平均CO2削減量」を計算した。葛飾小学校では、10%を超える世帯が
新たに取り組み始めた省エネルギー行動が4つと大塚小学校に比べると多く、環境学習に
よりまったく新たな行動を生み出さなかったものはLEDを含め2項目しかない。そのた
め、環境学習による平均削減量は、大塚小学校に比べるとやや多くなっている。(表255)。
また、葛飾小学校においても大塚小学校と同様に買い物袋の持参などの学習を行って
いない項目についても新たな取り組みが増えており、環境学習を行うことで、家庭に対
して温暖化防止活動を広める効果があるだけでなく、他の環境保全活動への波及効果も
あるものと考えられる。
200
表2-55 省エネルギー行動の実行割合と環境学習による追加的なCO2削減量
もとから実
行している
人の割合(%)
1. 不要な照明の消灯
2. LEDの導入
3. 冷蔵庫の設定温度
4. 冷蔵庫の扉の開閉回数
5. 冷蔵庫の設置間隔
6. 暖房機器は必要な時のみ使用
7. 暖房機器の設定温度
8. 見ていないテレビを消す
9. 待機電力の削減
10. シャワーの際にこまめに止める
11. お風呂に続けて入る
12. 歯磨き時に水を出しっぱなしにしない
13. 買い物袋を持参する
学習後からやる
ようになった人
の割合(%)
86
5
42
0
67
0
65
4
67
2
80
5
78
15
75
7
51
11
75
11
60
4
87
5
44
13
合計平均CO2削減量
(単位:%)
学習による追
加的な平均
CO2削減量
(kg-CO2/年)
0.1
0
0
0.2
0.4
1.0
3.5
1.0
7.4
3.2
3.2
0.9
2.0
22.8
※LEDの削減量はLED推進委員会Webサイト(http://www.led-lamp.jp/eco/co2.html)から引用。買い物
袋の持参については、「平成18年名古屋市地球温暖化防止行動計画改定検討会」から引用。
その他は、「家庭の省エネ大辞典」(省エネルギーセンター)の数値を用いて計算した。
(ウ) 調査結果の整理
調査から、今後の活動の参考となる結果として以下が考えられる。
・ 児童の家庭での取り組みを考慮しながら、環境学習を組み立てることで、より効率
的・効果的な家庭への波及効果をもたらすことができる。
・ 「問題提起→学習の動機付け→解決策を見出す」という学習の流れにおいて「解決
策を見出す」部分のみでは、家庭への波及効果をもたらす最も大きな要因について
効果が少なくなる
・
家庭での実践や調査を行うことで、地域への波及効果をもたらしやすくなる
・ 家庭で一般的に行われている省エネルギー行動を題材にした場合、追加的な二酸化
炭素削減量が見込みづらくなる。
・
温暖化という特定の分野の学習であっても、他の環境分野での活動へとつながる。
・ 児童が家庭内で温暖化防止活動や計測などに取り組むことにより、家庭への波及効
果を高めることができる。
c)-3-3 汐見小学校における調査・分析
201
(ア)調査手法
汐見小学校における調査手法は大塚小学校(c)-3-1)と同様である。調査概要(回収率等)
は以下のとおりである(表2.34, 表2.35)。
表2-56 環境学習の家庭への波及効果及び二酸化炭素削減量の推計に関する調査概要
児童の家庭への調査
対象
汐見小学校4年生 37名の家庭
サンプリング手法
全数調査
学級担任から児童を通じて各家庭
2010年3月10日:配布
調査
調査方法
に配布し、担任を通じて回収を行っ
2010年2月17日:回収
時期
た。
回収率
32%(回収数12)
1. 環境学習の家庭への影響
質問項目
2. 日常の温暖化防止行動の変化
※質問票は付録6参照。
表2-57 環境学習の児童への影響に関する調査概要
児童への調査
対象
葛飾小学校4年生 37名
サンプリング手法
全数調査
学級担任から児童に記入してもら 調査
調査方法
い、担任を通じて回収を行った。
時期
回収率
97%(回収数36)
1. 環境学習による行動や学習への意欲
質問項目
2. 温暖化に関する知識
※質問票は付録7参照。
2010年3月10日
(イ)分析
児童の環境学習を受けての意識
児童に対する質問紙調査から、環境学習を実施したことにより温暖化防止に向けた
取り組みをする児童が56%になり、78%の児童が温暖化問題を気にかけるようになって
いる。ただし、他の小学校と同様に家庭内での温暖化に関する話題や温暖化に対する学
習意欲に関しては今後の課題として残った(表2-58)。
表2-58 環境学習による児童の行動や学習への意欲
質問1.以前より温暖化防止のために何かすることが増えましたか?
質問2.以前より温暖化のことが気になるようになりましたか?
質問3. 以前よりお家で温暖化のことを話すようになりましたか?
質問4. 以前より温暖化のことを勉強したいと思いましたか?
202
(単位:%)
はい いいえ
56
44
78
22
28
72
47
53
家庭への波及効果
家庭への温暖化防止に関する意識や行動の影響については、大塚小学校と同様に児童
ほどの意識や行動の変化は見られない。しかし、33%の家庭で温暖化に関する会話が増
加しており、33%の世帯で温暖化への取り組みが増えたと回答していることから一定の
波及効果はあったものと考えられる(表2-59)。
家庭での温暖化防止の会話や活動を促進するために効果のあった児童から家庭に変化
をもたらした理由(表2-60)、他の学校では高くなっていた「児童の温暖化への関心向
上」が比較的低い。これは、大塚小学校では、温暖化が起こると自分たちは困るのか?
困らないのか?を考える時間を取ったことと比べ、汐見小学校では温暖化の影響に関す
る学習時間が少なかったことが影響しているものと考えられる。「問題提起→学習の動
機付け→解決策を見出す」という学習の流れにおいて「学習の動機付け」として温暖化
の影響について自分たちの問題として考える手法が必要である。
表2-59 環境学習による家庭への影響
質問1. 家庭内での温暖化に関する会話
質問2. 家庭内での温暖化への関心
質問3. 家庭内での温暖化防止に関する取り組み
学習後、
増えた
学習前から
ある
33
50
67
75
(単位:%)
学習後もな
い
17
0
0
質問1
(単位:%)
質問2 質問3
33
25
表2-60 家庭に影響をもたらした理由
理由1:子供が温暖化に関心を持つようになったから
17
17
8
理由2:子供が温暖化について教えてくれるから
25
8
8
理由3:子供が省エネに取り組むようになったから
25
8
25
理由4:電気メーター等を読む活動をするなどの契機があったから
0
8
8
理由5:子供から省エネの方法を聞いたから
17
8
8
理由6:子供から省エネの効果を聞いたから
8
8
8
理由7:その他
0
0
0
※表中の割合はサンプル数で回答数を割っているため記入漏れ等で100%にならない場合
がある。
家庭における二酸化炭素削減効果
汐見小学校ではサンプル数が少ないことから全体的な傾向とまでは言えないが、学
203
習後の家庭での温暖化への取り組みが他の学校と比べると見られない(表2.39)。他の2
校では、児童が家庭で省エネルギーに取り組んだり、電気メーターを計測したり、ポス
ターを持ち帰ったりという家庭への働きかけがあったが、汐見小学校では、それらの取
り組みがなかったことが影響している可能性が考えられる。
そのため、学校から家庭に温暖化防止活動を普及させるためには、学校で学んだこと
を家庭で実践したり、調査したりすることで、地域を巻き込んだ温暖化防止活動へと展
開させることができるものと考えられる。
表2-61 省エネルギー行動の実行割合と環境学習による追加的なCO2削減量
もとから実
行している
人の割合(%)
1. 不要な照明の消灯
2. LEDの導入
3. 冷蔵庫の設定温度
4. 冷蔵庫の扉の開閉回数
5. 冷蔵庫の設置間隔
6. 暖房機器は必要な時のみ使用
7. 暖房機器の設定温度
8. 見ていないテレビを消す
9. 待機電力の削減
10. シャワーの際にこまめに止める
11. お風呂に続けて入る
12. 歯磨き時に水を出しっぱなしにしない
13. 買い物袋を持参する
学習後からやる
ようになった人
の割合(%)
83
0
50
0
75
8
83
0
92
0
92
0
75
0
92
0
83
8
83
0
50
8
83
0
67
0
合計平均CO2削減量
(単位:%)
学習による追
加的な平均
CO2削減量
(kg-CO2/年)
0
0
2.3
0
0
0
0
0
5.7
0
7.3
0
0
15.2
※LEDの削減量はLED推進委員会Webサイト(http://www.led-lamp.jp/eco/co2.html)から引用。買い物
袋の持参については、「平成18年名古屋市地球温暖化防止行動計画改定検討会」から引用。
その他は、「家庭の省エネ大辞典」(省エネルギーセンター)の数値を用いて計算した。
(ウ)調査結果の整理
調査から、今後の活動の参考となる結果として以下が考えられる。
・ 温暖化の影響について自らの問題について考える時間を取ることで家庭への波及効
果をもたらす、児童の意識の変化が高まる。
・ 児童が家庭内で温暖化防止活動や計測などに取り組むことにより、家庭への波及効
果を高めることができる。
204
c)-4 省エネルギーの見える化機器導入による意識変化の調査
全国の学校で体験的な学習として最も遅れているものが、気温、水温等の身近な環境
に関する指標を用いた学習である(地球・人間環境フォーラム[2009])。しかし、消費
した電気消費量がある期間をおいて分かる場合には、行動と効果が結びつかない場合に
は、温暖化について知っていても行動に結びつかないことも指摘されている(早渕[200
8])。
そのため、学校内での温暖化防止活動を推進するために、学校内での電気という指
標をリアルタイムで表示し、児童・生徒の活動がすぐに見えることにより、学習内容が
効果的に行動に結びつくという仮説のもと、葛飾区立葛飾小学校において、電気使用量
がリアルタイムで表示できる機器(エネルギー管理ナビ)を設置し、設置による温暖化
に対する意識の変化を調査・分析した。
c)-4-1 電気使用量の“見える化”設備の設置
(ア)設置目的
これまで省エネルギーセンター等の事業により導入された学校の電気使用量の見える
化のための設備は学校全体の電灯(100V)、動力(200V)のみを測定しているか、フロア
毎の測定が多い。しかし、このような設置では、学校全体、フロア全体の計測になって
しまうため、児童自らの使い方はどのようになっているのか、省エネルギーに取り組む
ことによる成果を測定することが困難であり、児童が学校での環境学習の素材として省
エネルギーに取り組み、成果を確認し、達成感を得ることが難しい。
そのため、本調査では、自らの電気使用量を確認し、どのような削減ができるかを
調査し、計画を立案し、その計画について自ら評価するというPDCAサイクルをまわす
ために、環境学習を中心となって受ける学年の照明、各クラスのエアコン、体育館など
主要な電気使用機器について自分たちの努力の成果が見えるように、より細分化して設
置した。
(イ)設置概要
【設置箇所】葛飾区立葛飾小学校
【設置日時】2010年1月23日(土)12時~15時
【立ち会っていただいた葛飾小の主任電気技術者】諏訪明氏(諏訪電気管理事務所)
205
【設置者】江戸川電設株式会社
【設置運営】中村洋/(財)地球・人間環境フォーラム
【設置内容】表2.40
表2-62 葛飾小学校における電気使用量の“見える化設備”設置内容
測定対象
設置設備
設置場所
個数
全校電灯、全校エアコン
基本セット(300A)
電気室
1
全校動力
計測器(150Aタイプ。動力)
電気室
1
体育館
計測器(150Aタイプ。電灯)
5年1組(電灯、エアコン) 基本セット(150A)
1
3F分電盤+屋上分電
盤
1
5年2組(電灯)
計測器(75Aタイプ。電灯)
3F分電盤
1
5年2組(エアコン)
計測器(75Aタイプ。動力)
屋上分電盤
1
その他
中継器
屋上、電気室
2
c)-4-2 設備を活用した環境学習の実施
(ア)目的
児童・生徒による省エネルギー活動の効果がすぐに分かる機器を用い、温暖化防止の
実践活動に結びつけるための環境学習手法を実施した。
(イ)全体概要
【対象】葛飾区葛飾小学校
5年生(2クラス)
【時間・回数】2月10日(木)& 26日(金)の2回
【スケジュール】以下のような日時に従って環境学習を実施した(表2.41)。
表2-63 葛飾小学校での設備を使った環境学習実施スケジュール
日時
回数
位置づけ
内容
・機器の使用方法を説明し、児童が実際に活用した。
・自分たちの電気の使い方を機器から得られたデー
機器の使用
タから考察した。
方法、省エ
2/10(水)
1
・機器を用いて体育館の照明、エアコン、教室の照
ネ方法の検
明について実測を行い、省エネ方法や省エネの効果
討
を計算した。
・来週1週間、やってみる省エネ計画を考えた。
2/15(月)~
省エネの取
みんなで決めた省エネに取り組み、省エネ活動につ
2/19(金)
り組み
いて記録をつけた。
省エネの効
1週間(2/15~2/19)省エネに取り組んだ結果を、
2/26(金)
1
果の検討
機器のデータを用いて分析し、自分たちの行動の成
206
果を考えた。
c)-4-3 設備を活用した環境学習による学校での二酸化炭素削減の評価
環境学習による二酸化炭素削減効果の分析
児童が考えた省エネルギー行動の実施を設備により調査したところ、以下のような二
酸化炭素削減効果が見られた。
◇効果①:エアコンの使用からの二酸化炭素削減効果
寒い日が多かったことから1/25~2/7に比べて2/8~2/21の全校のエアコン(児童教
室のみ)の電気使用量は約30%増加した。しかし、設備を使ってエアコンの電気使用量
に関する体験的な学習を行った5年生ではエアコンの使用量を抑えるような計画を立案
して実行した(2/15~2/19の間)こともあり、5年生では同時期は7%しか増加しなかっ
た(表2.42)。
表2-64 全校と環境学習を行った5年生のエアコンの電気使用量の比較
全校のエアコンの 5 年 生 の エ ア コ ン の
期間
電気使用量(kWh)
電気使用量(kWh)
a. 1/25(月)~2/7(日)
2524
251
b. 2/8(月)~2/21(日)
3267
267
増加率( b/a *100)
30%
7%
この結果から、5年生が増加を抑えた23%分の二酸化炭素削減量を推計すると、約5
2kg-CO2の排出を削減した計算になる(30%増加した場合:325kWh使ったと仮定し、0.
453kg-CO2/kWhを用いて二酸化炭素排出削減量を推定した)。
この取り組みをすべてのクラス(6学年×2クラス)で実施した場合、1ヶ月で約310
kg-CO2の削減が可能である。
◇効果②:体育館の省エネ
ルギー効果
5年生のクラスは体育館で
照度計を用いて、文部科学省
が定める基準を満たしながら、
207
図2-12 体育館の照明を消した場合の効果
使い方の工夫について調査を行った。その体験から、明るい時に体育館の照明を用いな
かった(図2-12)。
この省エネルギー行動により45分間の授業中で3.17kWhの電気使用量を減らすこと
ができ、二酸化炭素排出量を約1.4kg-CO2減らすことができた。この取り組みについて
は、夕方の地域住民の利用などもあり、体育館を使うすべての人の協力が必要になるが、
逆に学校から地域へと温暖化防止活動を普及させる糸口になる可能性も考えられる。た
だし、授業中に照度を落とすこと(文部科学省が定める基準内)、体育館を使う地域住
民の協力を進めるためには、学校での温暖化防止の取り組みの認知度を向上させ、協力
しやすい環境を整備することが必要である。
◇効果③:教室の照明による省エネ
ルギー効果
照明は5年1組・5年2組・算数教室と、
3年1組・3年2組・その他教室の3教室ず
つの比較を行った。省エネについて、
照度計を用いて窓側の照明は消しても
文部科学省の定める照度が十分あるこ
とから、5年生では窓側の教室の照明の
消灯、昼休みの電気の消灯を行った(図
図2-13 5年生と3年生の照明の電気使用量の違い
2-13)。
その結果、5年生では3年生に比べて、1時間で電気使用量を0.8kWh削減することが
できた。これは、二酸化炭素に換算すると約0.35kg-CO2にあたる。
これらの取り組みをすべての学年で実施し、年間通じて行うことにより、500~600
kg-CO2の削減も期待できる。
施設の活用による児童の行動変容の効果
同設備を導入することによる児童の行動変容について以下のように調査を実施した
(表2-65・調査票は付録8)。
表2-65 調査概要
児童に対する調査概要
対象
葛飾区立葛飾小学校5年生 58名
サンプリング手法
全数調査(設備を用いた学習を行った児童のうち全数)
調査方法
担任から児童に配布 調査時期 省エネナビ設置後に調査を実
208
回収率
質問項目
し、担任が回収した。
施(2010年2月26日)
95%(回収数55)
1. 省エネナビの設置による意識の変化。
2. 具体的な行動の変化。
調査結果からは、電気使用量を見ることができるようになったことで、電気使用量
への関心は高まっており(表2-66)、電気使用量の削減効果も見ることができるため(リ
アルタイムで電気使用量の変化を見るモードもある)、効果が把握できることにより(表
2-67)電気使用量削減に向けた取り組みが行われていることが期待できる(表2-66)。
ただし、設備を操作して自分たちが見たいデータを見られたという児童は9%しかおら
ず、設備を入れた後に設備を活用した学習を行い、操作方法を身につけることが必要と
されている。学校の管理職や担当教員からも操作方法について分かりにくい、見られな
いという声があり、設備そのものも学校で使いやすい表示形式、ボタン形式を検討する
必要も考えられる。
表2-66 施設を活用した環境学習による児童の意識や行動の変化
(単位:%)
はい いいえ
質問1. 以前より電気使用量が気になりますか?
質問2. 以前より学校内で電気使用量について話すことは増えました
か?
質問3. 以前より電気使用量を減らすために何かすることは増えました
か?
質問4→別表にて整理
質問5. 省エネナビを操作しましたか?
58
38
24
76
64
36
51
45
※記入漏れ、回答無しも含めた割合のため合計が100%にならないところもある。
表2-67「質問3」の意識や行動の変化をもたらした要因
(単位:%)
質問3
理由1:省エネの効果が分かったから
42
理由2:省エネに興味がわいてきたから
18
理由3:省エネのやり方が分かったから
11
理由4:行動するきっかけになったから
11
理由5:みんなが省エネをやるようになったから
7
理由6:その他
7
※表中の割合はサンプル数で回答数を割っているため記入漏れ等で100%にならない場合
がある。
209
(ウ)エネルギーの見える化設備を活用した学校での温暖化防止活動に関する整理
・ 調査結果から、エネルギーの見える化設備の導入により学校での温暖化防止活動が
促進されることが考えられる。以下に、調査結果から考えられる成果や現在の課題
について整理する。
・ エネルギーの見える化設備の導入により児童の意識や行動は向上する(定性的およ
び定量的な評価からそれらが確認できた)。
・
効果が見えることを理由として、それらの意思や行動の変化がもたらされている
・ ただし、設備そのものを児童が操作するのに向いていないこともあり(特定のデー
タのみ円表示ができない、ボタンの数が多い、記号等の習っていないものも多い
等々)、自ら見てチェックするまでには至っていない。設備の操作方法に関する学
習の促進や設備を児童向けに分かりやすいものにすることが今後の課題である。
c)-5 環境教育に関する先進地区調査結果
(ア)目的
全国では学校での温暖化防止活動の推進や学校から地域に波及効果をもたらす取り組
みが進められている。そのため、今後の取り組みの有用なヒントとなる手法に関する情
報収集を行うために先進地域における聞き取り調査を実施した(表2.46)。
(イ)調査概要
以下のような対象に対して、半構造的な対面式聞き取り調査を実施した。なお、聞き
取り調査をする対象として選定した主な取り組みを調査対象内のカッコ内に記した。
表2-68 調査概要
調査方法 半構造化した質問項目(以下)に基づく対面式聞き取り調査
サンプリ 環境首都コンテストや環境自治体白書などの情報源からヒントになり得る事
ング手法 例を中心として聞き取り調査先を選定する。
・学校内での温暖化防止活動の推進方法
・学校から地域への波及方法
・上記の取り組みを進めるための制度・政策
質問項目
・学校での環境学習における課題(教材、予算、教員の時間、体験的な学習
機会、教員に対する研修機会の不足等)を解決するためのヒントがあると
思われる方法
<8自治体・学校>
①学校での温暖化防止の取り組み(自治体6、学校2)
調査対象 ・ 日田市(全小中学校で学校版環境ISO)
・ 宇部市(フィフティー・フィフティー・プロジェクト)
・ 和歌山県(環境学習に関する方針等の作成)
210
・ 板橋区(発達段階に応じた環境学習カリキュラムの作成)
・ 文京区(誠之小学校)(学校での省エネルギー活動以外の温暖化防止に関
する環境学習の推進)
・ 水海道市(同市立絹西小学校)(学校での温暖化防止活動の促進。※この
調査は既存の資料から整理した)
②学校から地域への波及効果に関する取り組み(自治体2)
・ 福井市(地域を巻き込んだ学校版環境ISO)
・ 福山市(学校から地域へと温暖化防止活動を広める取り組み)
(ウ)学校を中心とした温暖化防止活動の展開手法の検討
調査結果において、主な質問項目について以下のような参考となる情報が得られた。
学校を中心とした温暖化防止活動を促進するための主要論点(聞き取り調査から)
・ 発達段階に応じて、すべての対象となる児童にいきわたるような教材が必要。ただ
し、環境学習プログラムの共有、学校での活用に向けた修正、教育課程との整合性
などの面で、作成に際しては教育委員会、環境部署、学校、地域のNPOが連携する
ことが必要。
・ 外部からの支援が欲しいが学校で行う教育とずれてしまうことで外部の支援を受け
入れない学校がある中で、環境教育に取り組む負担を軽減するために、行政側が拠
点となる機能を有する組織を設置し、その組織が学校側と外部者の調整や研修を行
うような仕組みが必要。
・ 行政側からの指示だけでは学校側は何をしていいのか分からない。研修等を行い、
どのように行うのか、どのような効果があるのかを教員等に理解してもらう機会の
確保が必要。そのような機会があることで教員の自発的な取り組みも促進される。
・ 教員に対する研修は教育委員会が定める研修の一部として位置づけられなければ、
教員の負担が大きくなり参加しづらくなる。
・ パートナーシップの素地とその盛り立て(積み上げ方・裾野の広げ方はじめ、市の
関わり方の絶妙さ)、教育理念あっての環境教育、コストを抑える工夫、全市的で
ありながら各校の独自性を尊重する運用のしなやかさが必要。
・ 地域特定を生かした環境学習を行い、その中で温暖化に関する学習を取り込むよう
なプロセスのほうが学校側は受け入れやすい。また、温暖化に関する仕組み(ISO
等)についても、地域性、学校規模、特性などに応じて緩やかに取り組めるISOが
有意義。
・
行政側に予算がなくても継続的に実施できる程度の仕組み(学校版環境ISO等)の
方が継続的に行われやすい。また、学校側も過度な負担にならないような、学校の
実情に合わせた仕組みになることで継続して行われやすくなり、長期的な効果が得
211
られやすい(ただし、一定期間で内容の見直しや更新が必要で、先進地域でも、そ
の課題に直面している)。
・ 行政区域内で資料やモデル事業を実施するためには行政側が、一定規模(数百万円
程度)の予算を確保することが必要。
・
家庭でのCO2削減行動を持続させるためには継続的なフォローアップが必要。
・ 学校に取り組みを呼びかけるためには教育的効果や発達段階を踏まえた内容にする
等の学校側の知りたいことを踏まえることが必要。そのためには教育委員会と環境
部署の連携が必要。
・ 企業等が資金的な協力を行うメリットを生み出せるような仕組みを構築することで、
環境学習を継続するための小規模な予算を確保することが可能となる。
・ 行政内部で環境に関する取り組みの優先順位が高いという認識を地域内で共有する
ことで、学校での環境学習や環境保全活動への取り組みが促進される。
・ 学校内で教科間をつなぎ、どのように環境学習に取り組むかを考えるために教科間
のつながり等を意識した年関計画を作成することが有用。
・ 児童が環境学習の成果を発表できる場をセッティングしてもらったことで、児童が
達成感を持つことができ、教師としてもそれを見ると環境学習へ取り組む動機が生
まれる。
・ 特定の学校で作成されたマニュアルを配布するだけでは取り組みは広がりにくい。
外部からの支援者と学校内の教師が相談しながら、学校や児童の状況に合わせてプ
ログラムを作り上げていくプロセスが重要。
・ 教育委員会や環境部署が主導し、小学校と中学校等が連携して、幼小中などを含め
た発達段階に応じた環境学習の計画を策定することが必要。
(エ)調査結果の詳細
調査対象の詳細は以下の通りである。
詳細については、
「参考資料
環境教育に関する先進地区調査結果」を参照されたい。
(ア)日田市(大分県)
【対象】日田市市民環境部
(イ)宇部市(山口県)
宇部市(行政)【対象】宇部市環境部環境共生課
公立小学校【対象】宇部市立新川小学校
公立中学校【対象】宇部市立東岐波中学校
212
(ウ)和歌山県
和歌山県教育委員会(行政)【対象】和歌山県教育委員会
県立高等学校【対象】貴志川高等学校
県内公立中学校【対象】広川町立津木中学校
(エ)東京都板橋区
【対象】板橋区エコポリスセンター
環境教育推進係
(オ)東京都文京区
文京区立誠之小学校
(カ)茨城県水海道市
水海道市立絹西小学校
(キ)福井県福井市
福井市(行政)【対象】福井市市民生活部環境課
公立学校【対象】棗幼小中学校、福井市教育委員会学校教育課
(ク)広島県福山市
福山市(行政)【対象】福山市建設局都市部都市交通課
公立学校【対象】福山市立駅家西小学校
<参考文献>
文部科学省[2008a], 『小学校学習指導要領』
文部科学省[2008b], 『中学校学習指導要領』
環境首都コンテスト全国ネットワーク[2009],『 日本の環境首都コンテスト第7回報告書』
地球・人間環境フォーラム[2009], 『平成20年度環境保全活動・環境教育に関する制度的検
討業務報告書(環境省請負事業)』
地球・人間環境フォーラム[2008], 『平成19年度環境教育の推進に係る制度的検討業務報告
書(環境省請負事業)』
植村研一[2000], 効果的な情意教育の展開, じほう
早渕百合子[2008], 『環境教育の波及効果』, ナカニシヤ出版
213
付録4
環境学習前の質問(大塚小学校の例)
温暖化に関する質問
【行動②】 エアコンの設定温度を夏は上げ、冬は下げるようにしている。
これはテストではありませんので思ったとおりに答えてください。
この質問は、温暖化の勉強がどのようにみなさんに伝わったかを考えるものなので、みなさんの名前が出る
ことはありません。クラス全体でどうだったかを見るためだけに使いますから安心して答えてください。
1.
いつもしている。
2.
だいたいしている。
3.
たまにしている。
4.
まったくしていない。
(財)地球・人間環境フォーラム
企画調査部
【理由②】なぜですか?
中村洋
1. 興味や関心がないから。
氏名(
)
7. 興味関心があるから。
2. 自分だけがしても意味がないから。
8. 自分の行動が温暖化に影響するから。
3. お金がかかるから。
9. お金が節約できるから。
4. 誰もしていないから。
10. (
)がしているから。
5. やり方がわからないから。
11. (
)から習ったから。
6. 面倒くさいから
12. 気がとがめるから。
13. 行動をするきっかけがあったから。
お家であなたがしている行動について、1から5の中からもっとも当てはまる番号一つだけを○で囲んでく
ださい。
14. その他(
(
次に、その理由としてあてはまる番号すべてを○で囲み、選ぶものがない場合には、
)
)の中に自分
が思うことを書いてください。
【行動③】 冷蔵庫の電気使用量をできるだけ少なくできるような使い方をしている。
【行動①】
お家では人がいない時には照明をこまめに消すようにしている。
1.
いつも消している。
2.
だいたい消している。
3.
たまに消している。
4.
まったく消していない。
1.
いつもしている。
2.
だいたいしている。
3.
たまにしている。
4.
まったくしていない。
【理由③】なぜですか?
【理由①】なぜですか?
1. 興味や関心がないから。
7. 興味関心があるから。
2. 自分だけがしても意味がないから。
8. 自分の行動が温暖化に影響するから。
3. お金がかかるから。
9. お金が節約できるから。
1. 興味や関心がないから。
7. 興味関心があるから。
2. 自分だけがしても意味がないから。
8. 自分の行動が温暖化に影響するから。
3. お金がかかるから。
9. お金が節約できるから。
4. 誰もしていないから。
10. (
)がしているから。
11. (
)から習ったから。
12. 気がとがめるから。
4. 誰もしていないから。
10. (
)がしているから。
5. やり方がわからないから。
5. やり方がわからないから。
11. (
)から習ったから。
6. 面倒くさいから
6. 面倒くさいから
12. 気がとがめるから。
13. 行動をするきっかけがあったから。
14. その他(
13. 行動をするきっかけがあったから。
14. その他(
)
214
)
【行動④】 待機電力をできるだけ少なくするようにしている。
※ 「待機電力」とは、コンセントに接続された電気を使う製品が、電源の切れている状態 (待機
している状態)で消費する電力のことです。例えば、テレビやビデオも使っていなくても、少
以下の質問に答えてください。
しだけ電気を使っています。
1.
いつもしている。
2.
だいたいしている。
3.
たまにしている。
4.
まったくしていない。
【質問①】「地球温暖化」で地球の温度がどれぐらい上がったか知っている。
(知らない・知っている)
【質問②】「地球温暖化」がおこる仕組みを知っている。
(知らない・知っている)
【質問③】地球温暖化に興味がある。
(ある・ない)
【質問④】地球温暖化についてのテレビなどで見ますか?
(見る・見ない)
【理由④】なぜですか?
1. 興味や関心がないから。
7. 興味関心があるから。
2. 自分だけがしても意味がないから。
8. 自分の行動が温暖化に影響するから。
3. お金がかかるから。
9. お金が節約できるから。
4. 誰もしていないから。
10. (
)がしているから。
5. やり方がわからないから。
11. (
)から習ったから。
6. 面倒くさいから
12. 気がとがめるから。
13. 行動をするきっかけがあったから。
14. その他(
)
【行動⑤】 水の使用量を少なくするようにしている。
1.
いつもしている。
2.
だいたいしている。
3.
たまにしている。
4.
まったくしていない。
【理由⑤】なぜですか?
1. 興味や関心がないから。
7. 興味関心があるから。
2. 自分だけがしても意味がないから。
8. 自分の行動が温暖化に影響するから。
3. お金がかかるから。
9. お金が節約できるから。
4. 誰もしていないから。
10. (
)がしているから。
5. やり方がわからないから。
11. (
)から習ったから。
6. 面倒くさいから
12. 気がとがめるから。
13. 行動をするきっかけがあったから。
14. その他(
)
215
付録5
環境学習実施後の質問(大塚小学校の例)
温暖化に関する質問
【行動②】 お家ではエアコンの設定温度を夏は上げ、冬は下げるようにしている。
今回の学習によって、どのように変わりましたか?
これはテストではありませんので思ったとおりに答えてください。
1.
以前はしていなかったが、今はするようになった。
この質問は、温暖化の勉強がどのようにみなさんに伝わったかを考えるものなので、みなさんの名前が出る
2.
以前からしていたし、今もしている。
3.
以前からしていないし、今もしていない。
4.
以前はしていたが、今はしなくなった。
ことはありません。クラス全体でどうだったかを見るためだけに使いますから安心して答えてください。
(財)地球・人間環境フォーラム
企画調査部
氏名(
【理由②】なぜですか?
中村洋
)
1. 興味や関心がないから。
7. 興味関心があるから。
2. 自分だけがしても意味がないから。
8. 自分の行動が温暖化に影響するから。
3. お金がかかるから。
9. お金が節約できるから。
4. 誰もしていないから。
10. (
)がしているから。
5. やり方がわからないから。
11. (
)から習ったから。
6. 面倒くさいから
12. 気がとがめるから。
13. 行動をするきっかけがあったから。
お家であなたがしている行動について、今回の学習によってどのように変わったかを、1から4の中から
14. その他(
もっとも当てはまる番号一つだけを○で囲んでください。
次に、その理由としてあてはまる番号すべてを○で囲み、選ぶものがない場合には、(
)
)の中に自分
が思うことを書いてください。
【行動③】 冷蔵庫の電気使用量をできるだけ少なくできるような使い方をしている。
【行動①】
今回の学習によって、どのように変わりましたか?
お家では人がいない時には照明をこまめに消すようにしている。
今回の学習によって、どのように変わりましたか?
1.
以前はしていなかったが、今はするようになった。
1.
以前はしていなかったが、今はするようになった。
2.
以前からしていたし、今もしている。
2.
以前からしているし、今もしている。
3.
以前からしていないし、今もしていない。
3.
以前からしていないし、今もしていない。
4.
以前はしていたが、今はしなくなった。
4.
以前はしていたが、今はしなくなった。
【理由③】なぜですか?
【理由①】なぜですか?
1. 興味や関心がないから。
7. 興味関心があるから。
1. 興味や関心がないから。
7. 興味関心があるから。
2. 自分だけがしても意味がないから。
8. 自分の行動が温暖化に影響するから。
2. 自分だけがしても意味がないから。
8. 自分の行動が温暖化に影響するから。
3. お金がかかるから。
9. お金が節約できるから。
3. お金がかかるから。
9. お金が節約できるから。
4. 誰もしていないから。
10. (
)がしているから。
4. 誰もしていないから。
10. (
)がしているから。
5. やり方がわからないから。
11. (
)から習ったから。
5. やり方がわからないから。
11. (
)から習ったから。
6. 面倒くさいから
12. 気がとがめるから。
6. 面倒くさいから
12. 気がとがめるから。
13. 行動をするきっかけがあったから。
14. その他(
13. 行動をするきっかけがあったから。
14. その他(
)
216
)
以下の質問に答えてください。
【行動④】 待機電力をできるだけ少なくするようにしている。
(注)
「待機電力」とは、コンセントに接続された電気を使う製品が、電源の切れている状態 (待
地球の温度は過去 100 年間でどれぐらい上がりましたか?正しいと思うものを○で囲んでく
【質問①】
機している状態)で消費する電力のことです。例えば、テレビやビデオも使っていなくても、少し
ださい
だけ電気を使っています。
(
【質問②】
今回の学習によって、どのように変わりましたか?
1.
約 0.7℃
約 1.0℃
)
)にあてはまる単語を答えてください。
以前はしていなかったが、今はするようになった。
「人間が石油などの化石燃料を使うことで、生活が便利になってきたが、布団の綿のような役
割のある(
2.
以前からしていたし、今もしている。
3.
以前からしていないし、今もしていない。
4.
以前はしていたが、今はしなくなった。
【質問③】
【理由④】なぜですか?
)が増えてしまったので、働いて地球が温暖化している。
」
今回の学習を受けて、温暖化に興味がでてきましたか?
1.
今までは興味がなかったが、興味がでた。
2.
今までどおり興味をもっている。
1. 興味や関心がないから。
7. 興味関心があるから。
3.
今までも興味がなかったし、今も興味がない。
2. 自分だけがしても意味がないから。
8. 自分の行動が温暖化に影響するから。
4.
今までは興味があったが、興味がなくなった。
3. お金がかかるから。
9. お金が節約できるから。
4. 誰もしていないから。
10. (
)がしているから。
5. やり方がわからないから。
11. (
)から習ったから。
6. 面倒くさいから
12. 気がとがめるから。
【質問④】
13. 行動をするきっかけがあったから。
14. その他(
)
【質問⑤】
【行動⑤】 水の使用量を少なくするようにしている。
今回の学習によって、どのように変わりましたか?
1.
(
約 0.4℃
以前はしていなかったが、今はするようになった。
2.
以前からしていたし、今もしている。
3.
以前からしていないし、今もしていない。
4.
以前はしていたが、今はしなくなった。
【理由⑤】なぜですか?
1. 興味や関心がないから。
2. 自分だけがしても意味がないから。
3. お金がかかるから。
4. 誰もしていないから。
5. やり方がわからないから。
6. 面倒くさいから
7. 興味関心があるから。
217
今回の学習を受けて、さらに温暖化に関する勉強をしてみたいと思いましたか?
1.
もっと勉強してみたい。
2.
別にしたくない。
3.
どちらでもない。
今回の学習を受けて、温暖化についてのテレビなどで見るようになりましたか?
1.
よく見るようになった。
2.
ときどき見るようになった。
3.
特に見ていない。
付録6
環境学習実施数ヶ月後の質問(家庭向け・大塚小学校の例)
大塚小学校 5 年生のお家の方へ
質問 2. お子さんが学校で温暖化について学習された後(昨年の 10 月~11 月)、このアンケートにご回答い
ただいている方は、以前より温暖化のことに関心を持つようになりましたか?(あてはまるものを一
環境学習の家庭への影響についてのアンケート(ご協力のお願い)
つだけ○で囲んでください)
(財)地球・人間環境フォーラム
中村洋
1.
2.
3.
4.
当財団では、東京大学及び環境ネットワーク・文京が中心となって実施する「文の京の脱温暖化可能性調査」に
おいて、学校での温暖化防止に関する環境学習を担当しております。
学習後から関心を持つようになった。
学習前から関心を持っている。
あまり関心がない。
その他 (
)
その活動の一環として、大塚小学校では、昨年 10 月~11 月にかけて 5 年生を対象として総合的な学習の時間内
【理由】「1. 学習後から関心を持つようになった。」と回答された方は理由を教えてください。
(あてはまるものをすべて○で囲んでください)
1. 子供が温暖化に関心を持つようになったから。
2. 子供が温暖化について教えてくれるから。
3. 子供が省エネに取り組むようになったから。
4. 電気メーター等を読む活動をするなどの契機があったから。
5. 子供が学校で作製し、家庭に持って帰ったポスターで省エネの方法が分かったから。
6. 子供が学校で作製し、家庭に持って帰ったポスターで省エネの効果が分かったから。
7. その他(
)
で計 7 回(各 2 コマ)の温暖化に関する学習を行い、ご家庭で省エネに取り組んだり、ご家庭向けのポスターを作
製したりするなどの活動を行いました。その際にはご協力いただき、大変ありがとうございました。
このアンケートは、環境学習の効果(家庭での CO2 削減量)の分析を行い、今後の活動の参考にさせて頂くため
に実施するものであり、個別のご家庭のお名前が出ることはありません。
2 月 17 日(水)までにお子さんにお渡しいただき、担任の先生にご提出いただきますよう、よろしくお
願い申し上げます。サンプル数が少ないため、ご協力いただければ幸いです。
なお、ご回答は、成人であればどなたがお答えになってもかまいません。このアンケートに記入されたご本人の
ことについてお答えいただければ幸いです。
質問 3. お子さんが学校で温暖化について勉強した後(昨年の 10 月~11 月)、このアンケートにご回答いただ
ご多用中、お手数をおかけしますが、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
[連絡先](財)地球・人間環境フォーラム
〒113-0033 東京都文京区本郷 3-43-16 成田ビル 3 階
TEL:03-3813-9735
いている方は、温暖化防止のために何かすることは増えましたか?
中村洋
FAX:03-3813-9737
E-mail:[email protected]
1.
2.
3.
4.
学習後から何かすることが増えた。
学習前からしている。
あまりしていない。
その他 (
)
①お答えになった方について教えてください。
氏名(
)
性別
(
男
・
女
【理由】「1. 学習後から関心を持つようになった。」と回答された方は理由を教えてください。
(あてはまるものをすべて○で囲んでください)
1. 子供が温暖化に関心を持つようになったから。
2. 子供が温暖化について教えてくれるから。
3. 子供が省エネに取り組むようになったから。
4. 電気メーター等を読む活動をするなどの契機があったから。
5. 子供が学校で作製し、家庭に持って帰ったポスターで省エネの方法が分かったから。
6. 子供が学校で作製し、家庭に持って帰ったポスターで省エネの効果が分かったから。
7. その他(
)
)
② 次の質問についてあてはまるものを○で囲んでください。
なお、以下は、お子さんではなく、お答えになる方のことについて教えてください。
質問 1. お子さんが学校で温暖化について学習された後(昨年の 10 月~11 月)
、このアンケートにご回答いただ
いている方は、家庭内で温暖化の話をすることは増えましたか?(あてはまるものを一つだけ○で囲んで
ください)
1.
2.
3.
4.
学習後から話をすることが増えた。
学習前から話をしている。
あまり話はしていない。
その他 (
③ 次の質問についてあてはまるものを一つだけを○で囲んでください。
なお、以下は、お子さんではなく、お答えになる方のことについて教えてください。
)
【理由】
「1. 学習後から関心を持つようになった。
」と回答された方は理由を教えてください。
(あてはまるものをすべて○で囲んでください)
1. 子供が温暖化に関心を持つようになったから。
2. 子供が温暖化について教えてくれるから。
3. 子供が省エネに取り組むようになったから。
4. 電気メーター等を読む活動をするなどの契機があったから。
5. 子供が学校で作製し、家庭に持って帰ったポスターで省エネの方法が分かったから。
6. 子供が学校で作製し、家庭に持って帰ったポスターで省エネの効果が分かったから。
7. その他(
)
それぞれの質問で、「1. 学習後から、そうするようになった。」と答えた方は、学習後(10 月~11 月に学習を行
いましたので、それ以降)の行動の回数を分かる範囲で(
)内に数字で書いてください。
質問 1. 人のいない部屋の照明は、こまめに消すように心がけるようになりましたか?
1. 学習後から、そうするようになった。1 日に(
2. 学習前から、そうしている。
3. あまり取り組んでいない。
4. その他 (
218
)
)回ぐらいこまめに消すようになった。
質問 2. LED の照明を利用するようになりましたか?
質問 8. テレビは見ないときは消すように心がけるようになりましたか?
1. 学習後に LED を購入した。
→購入した方は以下についても教えてください。
① 元々使っていた電球を選んでください。( 白熱灯、蛍光灯 )
② ワット数(
)
③ LED に変えた個数(
)
2. 今後変えていく予定。
3. 学習前から LED を使っている。
4. 今のところ予定はない。
5. その他 (
)
質問 3. 冷蔵庫の設定温度を低くするように気をつけるようになりましたか?
1. 学習後から、そうするようになった。設定温度を(
(※例
2. 学習前から、そうしている。
3. あまり取り組んでいない。
4. その他 (
)から(
1.
2.
3.
4.
学習後から、見ないときは消すようになった。1 日に(
学習前から、そうしている。
あまり取り組んでいない。
その他 (
)
)時間ぐらい消すように気をつけた。
質問 9. 待機電力を減らすように心がけるようになりましたか?(「待機電力」とは、コンセントに接続された電気を使う
製品が、電源の切れている状態 (待機している状態)で消費する電力のことです。)
1.
2.
3.
4.
学習後から、待機電力を減らすようになった。
学習前から、そうしている。
あまり取り組んでいない。
その他 (
)
)にした。
設定温度を(強)から(中)にした等)
質問 10. シャワーを使う時は、お湯を出しっぱなしにしないように気をつけるようになりましたか?
1.
2.
3.
4.
)
学習後から、そうするようになった。
学習前から、そうしている。
あまり取り組んでいない。
その他 (
)
質問 4. 冷蔵庫の扉の開閉を少なくし、開けている時間を短くするように気をつけるようになりましたか?
1.
2.
3.
4.
学習後から、そうするようになった。1 日に(
学習前から、そうしている。
学習後も、あまり取り組んでいない。
その他 (
)
)回ぐらい減らすように気をつけた。
質問 11. お風呂は家族が続けて入るように気をつけるようになりましたか?
1.
2.
3.
4.
学習後から、そうするようになった。1 週間に(
学習前から、そうしている。
あまり取り組んでいない。
その他 (
)
)回ぐらい気をつけるようになった。
質問 5. 冷蔵庫は壁から適切な間隔(※壁から 5~10cm もしくは説明書等に記載された距離)で置くようになりましたか?
1.
2.
3.
4.
質問 12. 歯磨きの時、水を出しっぱなしにしないようになりましたか?
学習後から、そうするようになった。
学習前から、そうしている。
あまり取り組んでいない。
その他 (
)
1.
2.
3.
4.
学習後から、そうするようになった。1 日に(
学習前から、そうしている。
あまり取り組んでいない。
その他 (
)
)回ぐらい気をつけるようになった。
質問 6. 暖房機器(エアコン、ファンヒーター、ストーブ)は必要なときだけ使うように気をつけるようになりましたか?
)時間ぐらい減らすように気をつけた。
1. 学習後から、そうするようになった。1 日に(
→取り組みをされた暖房機器の個数を教えてください。
(エアコン(
)台、ガスファンヒーター(
)台、石油ストーブ(
)台)
2. 学習前から、そうしている。
3. あまり取り組んでいない。
4. その他 (
)
質問 13. 買い物に行くとき、レジ袋をもらわないための買い物袋を持っていくようになりましたか?
1.
2.
3.
4.
学習後から、そうするようになった。1 週間に(
学習前から、そうしている。
あまり取り組んでいない。
その他 (
)
)回ぐらい買い物袋を持っていくようになった。
質問 7. 暖房機器(エアコン、ファンヒーター、ストーブ)の温度に気をつけるようになりましたか?
1. 学習後から、そうするようになった。設定温度を(
)℃下げるように気をつけた。
質問は以上です。ご協力ありがとうございました。
※温度設定ができない場合には具体的な温度は書かなくても結構です。
(財)地球・人間環境フォーラム 中村洋
2. 学習前から、そうしている。
3. あまり取り組んでいない。
4. その他 (
)
219
付録7
環境学習実施数ヶ月後の質問(児童本人向け・大塚小学校の例)
温暖化防止活動についてのアンケート
これはテストではありませんので思ったとおりに答えてください。
この質問は、温暖化の勉強がどのようにみなさんに伝わったかを考えるものなので、みなさんの名前が出る
ことはありません。このクラスで昨年 10 月~11 月の学習後、どのような変化があったかを見るためだけに使
いますから安心して答えてください。
(財)地球・人間環境フォーラム
企画調査部 中村洋
氏名(
)
質問 4. 暖房機器(エアコン、ファンヒーター、ストーブ)の温度に気をつけるようになりましたか?
1. 学習後から、そうするようになった。設定温度を(
2. 学習前から、そうしている。
3. あまり取り組んでいない。
4. その他 (
①次の質問についてあてはまるものを一つだけを○で囲んでください。
1. 学習後から、見ないときは消すようになった。1 日に(
2. 学習前から、そうしている。
(
3. あまり取り組んでいない。
・
いいえ
)
)
質問 5. テレビは見ないときは消すように心がけるようになりましたか?
質問 1. 昨年 10 月~11 月に温暖化の勉強した後、温暖化防止のために何かすることが増えましたか?
はい
)℃下げるように気をつけた。
※温度設定ができない場合には具体的な温度は書かなくても結構です。
4. その他 (
)時間ぐらい消すように気をつけた。
)
質問 2. 温暖化の勉強をした後、以前より温暖化のことが気になるようになりましたか?
(
はい
・
いいえ
質問 6. 待機電力を減らすように心がけるようになりましたか?
)
(※「待機電力」とは、コンセントに接続された電気を使う製品が、電源の切れている状態 (待機している状態)で消費
質問 3. 温暖化の勉強をした後、以前よりお家で温暖化のことを話すようになりましたか?
(
はい
・
いいえ
)
1. 学習後から、待機電力を減らすようになった。
質問 4. 温暖化の勉強をした後、以前より温暖化のことを勉強したいと思いましたか?
(
はい
・
いいえ
)
2. 学習前から、そうしている。
3. あまり取り組んでいない。
4. その他 (
②以下の質問では、それぞれの行動についてあてはまる数字に○をつけてください。
それぞれの質問で、
「1. 学習後から、そうするようになった。
」と答えた方は、学習後(10 月~11 月に学習
を行いましたので、それ以降)の行動の回数を分かる範囲で(
する電力のことです。例えば、テレビやビデオも使っていなくても、少しだけ電気を使っています。)
)内に数字で書いてください。
質問 1. 人のいない部屋の照明は、こまめに消すように心がけるようになりましたか?
1. 学習後から、そうするようになった。1 日に(
)回ぐらいこまめに消すようになった。
2. 学習前から、そうしている。
3. あまり取り組んでいない。
4. その他 (
)
)
質問 7. シャワーを使う時は、お湯を出しっぱなしにしないように気をつけるようになりましたか?
1. 学習後から、そうするようになった。
2. 学習前から、そうしている。
3. あまり取り組んでいない。
4. その他 (
)
質問 8. お風呂は家族が続けて入るように気をつけるようになりましたか?
1. 学習後から、そうするようになった。1 週間に(
)回ぐらい気をつけるようになった。
2. 学習前から、そうしている。
質問 2. 冷蔵庫の扉の開閉を少なくし、開けている時間を短くするように気をつけるようになりましたか?
)回ぐらい減らすように気をつけた。
1. 学習後から、そうするようになった。1 日に(
2. 学習前から、そうしている。
3. 学習後も、あまり取り組んでいない。
4. その他 (
)
3. あまり取り組んでいない。
4. その他 (
)
質問 9. 歯磨きの時、水を出しっぱなしにしないようになりましたか?
1. 学習後から、そうするようになった。1 日に(
質問 3. 暖房機器(エアコン、ファンヒーター、ストーブ)は必要なときだけ使うように気をつけるようになり
2. 学習前から、そうしている。
ましたか?
1. 学習後から、そうするようになった。1 日に(
)時間ぐらい減らすように気をつけた。
→取り組みをされた暖房機器の個数を教えてください。
(エアコン(
)台、ガスファンヒーター(
)台、石油ストーブ(
)台)
2. 学習前から、そうしている。
3. あまり取り組んでいない。
4. その他 (
)
3. あまり取り組んでいない。
4. その他 (
)回ぐらい気をつけるようになった。
)
質問は終わりです。ご協力ありがとうございました。
(財)地球・人間環境フォーラム 中村洋
220
付録8
省エネナビ設置効果の質問(葛飾小学校)
省エネナビについてのアンケート
この質問は、省エネナビがみなさんにどのように活用されているかを考えるものなので、みなさんの名前が
出ることはありません。安心して思ったとおりに答えてください。
(
)組
氏名(
)
質問 1. 省エネナビが入ってから、以前より電気使用量が気になるようになりましたか?
あてはまるものを一つだけ○で囲んでください。(
はい
・
いいえ
)
質問 2. 省エネナビが入ってから、以前より学校内で電気使用量についてお友達や先生と話すことは増え
ましたか?あてはまるものを一つだけ○で囲んでください。
(
はい
・
いいえ
)
質問 3. 省エネナビが入ってから、電気使用量を減らすために何かすることが増えましたか?あてはまる
ものを一つだけ○で囲んでください。 (
【理由】なぜですか?
はい
・
いいえ
)
「はい」と答えた人はその理由を教えてください。
あてはまるものをすべて○で囲んでください。
1. 省エネの効果が分かったから
4. 行動するきっかけになったから。
2. 省エネに興味がわいてきたから。
5. みんなが省エネをやるようになったから。
3. 省エネのやり方が分かったから。
6. その他。(
)
質問 4. 省エネナビが入ってから、特にどのような省エネをするようになりましたか。
あてはまるものをすべて○で囲んでください。
1.
2.
3.
4.
5.
省エネナビが入ってから、教室の照明に気をつけるようになった。
省エネナビが入ってから、体育館の照明の使い方に気をつけるようになった。
省エネナビが入ってから、エアコンの使い方に気をつけるようになった。
その他(
)
特に気をつけるようになったことはない。
質問 5. 省エネナビを実際に操作しましたか?
(
はい
・
いいえ
あてはまるものを一つだけ○で囲んでください。
)
【理由①】「はい」と答えた人は自分が見たいデータを見ることはできましたか?
(
見たいデータを見ることができた
・
見たいことを見ることができなかった
)
【理由】
「見たいことを見ることができなかった」と答えた人はその理由を教えてくだ
あてはまるものをすべて○で囲んでください。
1. 操作方法が分からない。
3. 画面が読みづらい。
2. データの読み方が分からない。
4. その他(
)
質問は終わりです。1 年間一緒に勉強させてもらい、ありがとうございました。
(財)地球・人間環境フォーラム
中村洋
221
5.成果の発信等
(1)口頭発表
①口頭講演
青木
(国内1件、海外1件)
えり、栗栖
聖、中谷
隼、花木
啓祐「市民の環境配慮行動に対する全国47
都道府県の現状分析と地域間比較」土木学会環境システム論文集(投稿中)
Keisuke Hanaki, “Collaboration with local community toward the formation of
low carbon city”, International Sustainable Campus Network Symposium,
Better Campus, Better City: Learning for a Sustainable Future, 27 - 28 July
2010 (Shanghai, China) 予定
(2)その他
東京新聞地域版
平成21年11月15日(日)付け
「蔵前小コミュニティ祭り」は、福島県会津美里町との交流もあり、地域・世
代を越えたイベントである。取材した記者は「蔵前小コミュニティ祭り」につい
て掲載した中で、リユース食器について次のように述べている。
前文略「そして驚いたのがゴミ箱を公園内に設置されていない事です。模擬店
で使っている食器・箸はリサイクル食器を使用し全てブースで回収されていまし
た。お聞きしたところ、台東リサイクルネットワークで食器の無料貸し出しを利
用したとの事です。使用した食器をフキンで拭き最終的には洗浄するそうです。
少しでもゴミを無くそう・減らそうという事で使い捨てよりは手間が掛かり
ますが環境にはとても良い事だと感じました。この地域では日ごろ町会行事やイ
ベントが多く町会の皆さんによる手作り模擬店等も行われています。こういった
環境に配慮した方法もこれから増えてくるのではないかと感じました。」後文略
222
223
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