...

こちら

by user

on
Category: Documents
1

views

Report

Comments

Description

Transcript

こちら
我が国の地球温暖化対策について
平成28年3月
環境省
地球環境局
地球温暖化対策に関する当面の課題
1.パリ協定の署名と締結、実施に向けた取組
○全ての国が参加する公平かつ実効的な国際枠組みとして採択された「パリ協定」の実施に向け、国際的な詳
細ルールの構築に積極的に貢献していくとともに、我が国の署名及び締結に向けて必要な準備を進める。
○途上国支援、イノベーションからなる新たな貢献策「美しい星への行動2.0」の実施に向け取り組む。
2.温室効果ガス削減対策の強化
○日本の約束草案及びパリ協定を踏まえ、この春までに地球温暖化対策計画を策定。
○庁舎へのLED照明の率先導入等、先導的な対策を盛り込んだ政府実行計画をこの春までに策定。
○国民各界各層の行動変革を引き出す普及啓発の強化、国際協力を通じた地球温暖化対策、地域におけ
る温暖化対策の推進を図るため、「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部改正法案」を今通常国会
に提出。
3.気候変動の影響への適応計画の実施
○平成27年11月、我が国として初めて策定した「気候変動の影響への適応計画」を着実に実施。
4.2050年、さらにその先を見据えた長期的・戦略的な取組
○世界共通の長期目標となった2℃目標の達成に貢献するため、我が国としても世界規模での排出削減に向け
て、長期的、戦略的に貢献。
1
(1)地球温暖化の科学的知見
(2)気候変動国際交渉の取組み
~2020年以降の新たな国際枠組みの構築に向けて~
(3)我が国の約束草案
(4)約束草案実現のための施策
(5)長期的な目標を見据えた戦略的取組
(6)気候変動の影響への適応策
(7)環境金融に関する取組
IPCC第5次評価報告書統合報告書(2014年11月2日発表)のポイント
統合報告書のキーメッセージ
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の概要
国連環境計画(UNEP)・世界気象機関(WMO) により1988年設置された政府間組織。
世界の政策決定者等に対し、正確でバランスの取れた科学的知見を提供し、気候変動枠組条約の活動を支援。
気候変動に関する国際交渉の節目に統合報告書を公表。2014年11月に第5次評価報告書統合報告書を公表。
観測された変化及びその原因
 気候システムの温暖化には疑う余地がない。
 人為起源の温室効果ガスの排出が、20世紀半ば以降の観測された温暖化の支配的な原因。
将来の気候変動、リスク及び影響
 今世紀末の気温上昇は、現状を上回る追加的な温暖
化対策をとらなかった場合は2.6~4.8℃となる可能性
が高い。
(℃)
 2℃目標の緩和経路は複数ある。
どの経路においても以下を要する。
①2050年までに40~70%削減( 2010年比)
②21世紀末までに排出をほぼゼロ
図.1986年~2005年平均気温からの気温上昇
(産業革命前と比較する際は0.61℃を加える。)
(IPCC AR5 SYR SPM 図SPM.6(a) より編集)
現状を上回る
温暖化対策を
とらなかった場合、
2.6~4.8℃上昇
緩和と適応
 温室効果ガス削減(緩和)と気候変動の影響への適
応はともに重要であり、相互補完的な戦略である。
厳しい温暖化対策をとった場合、
0.3~1.7℃上昇
3
我が国において既に起こりつつある気候変動の影響
米・果樹
異常気象・災害
米が白濁するなど
品質の低下が頻発。
日降水量200ミリ以上の大雨の発生日数が増加傾向
図: 洪水被害の事例
(写真提供:国土交通省中部地方整備局)
図: 水稲の白未熟粒(写真提供:農林水産省)
・水稲の登熟期(出穂・開花から収穫までの期間)の
日平均気温が27℃を上回ると玄米の全部又は一部
が乳白化したり、粒が細くなる「白未熟粒」が多発。
・特に、登熟期の平均気温が上昇傾向にある九州地方
等で深刻化。
(出典:気候変動監視レポート2013(気象庁))
デング熱の媒介生物
であるヒトスジシマカ
の分布北上
熱中症・
感染症
2013年夏、 20都市・地区計で15,189人の熱
中症患者が救急車で病院に運ばれた。
(国立環境研究所 熱中症患者速報より)
図 ヒトスジシマカ
(写真提供:国立感染症研究所
昆虫医科学部)
図: みかんの浮皮症
(写真提供:農林水産省)
成熟後の高温・多雨により、果皮と果肉が
分離する。(品質・貯蔵性の低下)
サンゴの白化・ニホンジカの生息域拡大
農林産物や高山植物等の食害が発生
農山村の過疎化や狩猟人口の減少等に加え、
積雪の減少も一因と考えられる。
生態系
図 サンゴの白化(写真提供:環境省)
(写真提供:中静透)
4
世界の気候変動影響
人間社会
農林水産業
気候の極端
現象増加
自然環境
水資源
・干ばつによる水
不足
・主要作物の気温上昇
による収量減予測
・高緯度への海洋漁獲
量の拡大による低緯度
の供給・雇用減
金融業
・保険損害の増加
温暖化
自然生態系
・生物種の減少・
絶滅リスク増大
・湿地、森林の減少
沿岸域
海面の上昇
・沿岸域の氾濫・
海岸浸食
国土の保全
・水管理システムへ
の影響
・低平地の途上国や
小島嶼国の浸水
経済への打撃
災害による資産損失
水・農業・食料安全保障・
林業・健康・観光分野
リスクにさらされる人口と
資本の増加
世界の安全への打撃
人々の流動と移住
紛争リスクの増大
産業・エネルギー
・住宅及び商業部門の
冷房エネルギー需要増
健康
・熱中症、感染症など
の増加、拡大
IPCC 報告書(SREX及びAR5 WG2 SPM)を基に作成
世界レベルで
のリスク増大
国のインフラや領域
保全への影響
人間の生命への打撃
疾病率、死亡率増大
5
(1)地球温暖化の科学的知見
(2)気候変動国際交渉の取組み
~2020年以降の新たな国際枠組みの構築に向けて~
(3)我が国の約束草案
(4)約束草案実現のための施策
(5)長期的な目標を見据えた戦略的取組
(6)気候変動の影響への適応策
(7)環境金融に関する取組
世界のエネルギー起源CO2排出量の推移
米中2カ国で世界の40%以上を排出。
気候変動枠組条約締約国194カ国中、我が国は第5位の排出国。
今後の排出量は、先進国は微増に対し途上国は急増する見込み。
1990年
その他
27.5%
2012年(現状)
中国,
10.9%
その他
30.3%
ロシア
10.4% インド
EU27ヵ国,
19.3%
2.8%
210億トン
米国,
16.0%
米国
ブラジル
1.4%
日本
3.9%
その他
33.6%
中国,
中国
26.0%
その他
米国
23.2%
ブラジル
0.9%
日本
5.1%
2030年(予測)
EU27ヵ国
11.0%
EU27か国
ロシア
5.2% インド
6.2%
317億トン
中国, 28.1%
米国, 12.4%
ブラジル
1.7%
日本
2.5% ロシア
4.6% EU28ヵ国
7.4%
インド
9.5%
363億トン
IEA「CO2 emissions from fuel combustion 2014」「World Energy Outlook (2014 Edition)」に基づいて環境省作成
※2030年はNew Policies Scenarioの値。
7
COP21におけるパリ協定の採択
● COP21(11月30日~12月13日、於:フランス・パリ)に
おいて、 「パリ協定」(Paris Agreement)が採択。
 「京都議定書」に代わる、2020年以降の温室効果ガス
排出削減等のための新たな国際枠組み。
 歴史上はじめて、すべての国が参加する公平な合意。
●安倍総理が首脳会合に出席。
 2020年に現状の1.3倍の約1.3兆円の資金支援を発表。
 2020年に1000億ドルという目標の達成に貢献し、合意に向けた交渉を後押し。
●パリ協定には、以下の要素が盛り込まれた。
 世界共通の長期目標として2℃目標の設定。1.5℃に抑える努力を追求することに言及。
 主要排出国を含むすべての国が削減目標を5年ごとに提出・更新。
 すべての国が共通かつ柔軟な方法で実施状況を報告し、レビューを受けること。
 適応の長期目標の設定、各国の適応計画プロセスや行動の実施、適応報告書の提出と定期的更新。
 イノベーションの重要性の位置付け。
 5年ごとに世界全体の実施状況を確認する仕組み(グローバル・ストックテイク)。
 先進国が資金の提供を継続するだけでなく、途上国も自主的に資金を提供。
 我が国提案の二国間クレジット制度(JCM)も含めた市場メカニズムの活用を位置付け。
 発効要件に国数及び排出量を用いること。
8
(1)地球温暖化の科学的知見
(2)気候変動国際交渉の取組み
~2020年以降の新たな国際枠組みの構築に向けて~
(3)我が国の約束草案
(4)約束草案実現のための施策
(5)長期的な目標を見据えた戦略的取組
(6)気候変動の影響への適応策
(7)環境金融に関する取組
我が国の温室効果ガス排出量(2014年度速報値)
○ 2014年度の総排出量(速報値)は13億6,500万トン(前年度比 -3.0%)
○ 前年度と比べ、省エネの進展や再エネの導入拡大等に伴う電力由来のCO2排出量の減少により、エ
ネルギー起源のCO2排出量が減少。
○ 2005年度比では、オゾン層破壊物質からの代替に伴いフロン類の排出量が増加した一方、産業部門
や運輸部門におけるエネルギー起源のCO2排出量が減少。
排出量
(億トンCO2換算)
14億800万トン
13億9,600万トン
14億1,200万トン
(同 +0.8%)
(同 +1.1 %)
14
(2005年度比
-1.5%)
(同 -0.4%)
13億5,400万トン
(同 -3.0%)
13億2,700万トン
(同 -5.0%)
13
<前年度比 -3.0%>
(2005年度比 -2.2%)
(1990年度比 +7.5%)
13億9,100万トン
13億7,600万トン
13億6,500万トン
13億400万トン
(同 -6.6%)
12億5,000万トン
12億7,000万トン
(同 -10.5%)
12
11
0
1990
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014(速報値)
注1 2014年度速報値の算定に用いた各種統計等の年報値について、速報値の算定時点で2014年度の値が未公表のものは2013年度の値を代用している。また、一部の算定方法については、より正確
に排出量を算定できるよう見直しを行っている。このため、今回とりまとめた2014年度速報値と、来年4月に公表予定の2014年度確報値との間で差異が生じる可能性がある。なお、確報値では、森
10
林等による吸収量についても算定、公表する予定である。
注2 各年度の排出量及び過年度からの増減割合(「2005年度比」等)には、京都議定書に基づく吸収源活動による吸収量は加味していない。
日本の約束草案のポイント
(平成27年7月17日気候変動枠組条約事務局へ提出)
◆国内の排出削減・吸収量の確保により、2030年度に2013年度比▲26.0%
(2005年度比▲25.4%)の水準(約10億4,200万t-CO2)にする。
◆エネルギーミックスと整合的なものとなるよう、技術的制約、コスト面の課題などを十
分に考慮した裏付けのある対策・施策や技術の積み上げによる実現可能な削減目
標。
2013年度比
(2005年度比)
エネルギー起源CO2
▲21.9%
(▲20.9%)
その他温室効果ガス
(非エネルギー起源CO2、
メタン、一酸化二窒素、HF
C等4ガス)
▲1.5%
( ▲1.8%)
吸収源対策
▲2.6%
( ▲2.6%)
温室効果ガス削減量
▲26.0%
(▲25.4%)
11
排出削減目標の構造
○第一に、省エネによりエネルギー需要の抑制
○第二に、ゼロエミッション電源やCO2の少ないエネルギーの選択
※第189回国会安倍総理施政方針演説: 「あらゆる施策を総動員して、徹底した省エネル
ギーと、再生可能エネルギーの最大限の導入を進めてまいります。」
省
エ
ネ
対
策
エネルギー需要
- 経済成長
- 世帯数増加
現在
2030
省
エ
ネ
対
策
し
た
場
合
の
エ
ネ
ル
ギ
ー
需
要
エネルギー
供給構成
再エネ
電
力
CO2
排出
石油火力
ガス火力
原発
石炭火力
火力
電
力
以
外
石炭
ガス
重油
軽油
等
CO2
排出
CO2
排出
C
O
2
排
出
量
CO2排出
※このほか、森林吸収、メタンガス抑制、フロン対策等
12
約束草案で見込んでいる主な省エネ対策①
燃費改善・次世代自動車の普及
2台に1台が次世代自動車(保有ベース)
ハイブリッド自動車:3%(2012)→29%(2030)
電気自動車/プラグイン・ハイブリッド自動車:0%(2012)→16%(2030)
燃料電池自動車:0%(2012)→1%(2030)
クリーンディーゼル自動車:0%(2012)→4%(2030)
交通流対策(エコドライブ等)
・交通流対策の推進
・公共交通機関の利用促進等
・高度道路交通システム(ITS)の推進
・自動運転の推進
・エコドライブの推進
・カーシェアリング
等
住宅/建築物の省エネ化、高効率給湯器の導入
・新築住宅/新築建築物について、2020年までに段階的に省エネルギー基準への適合を義務化
・低炭素建築物の推進、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)/ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
の促進
・高効率給湯器の導入
家庭用燃料電池:5.5万台(2012)→530万台(2030)
家庭用ヒートポンプ式給湯器:400万台(2012)→1400万台(2030)
13
約束草案で見込んでいる主な省エネ対策②
LEDなど高効率照明の導入
LED、有機EL等の高効率照明を用いた、高輝度な照明技術により省エネ
高効率照明のうち高効率LED・有機ELのシェア(保有ベース)は、LED照明の
トップランナー基準策定に伴い、2030年度でほぼ100%
エネルギー管理の実施(工場、業務、家庭)
・製造ラインの見える化を通じたエネルギー効率の改善
・HEMS/BEMSによる見える化・エネルギーマネジメント
HEMSの全世帯への導入
BEMSの約半数の建築物に導入
省エネ型の家電・OA機器の普及
・トップランナー基準等による、様々な製品(エアコン、冷蔵庫、複写機、プリンター
性能向上
等)の
国民運動の推進
・国民運動を通じた国民への情報提供の充実と省エネの行動変革
クールビズ・ウォームビズの実施徹底の促進
機器の買換え促進
等
14
(1)地球温暖化の科学的知見
(2)気候変動国際交渉の取組み
~2020年以降の新たな国際枠組みの構築に向けて~
(3)我が国の約束草案
(4)約束草案実現のための施策
(5)長期的な目標を見据えた戦略的取組
(6)気候変動の影響への適応策
(7)環境金融に関する取組
パリ協定を踏まえた地球温暖化対策の取組方針(概要)
平成27年12月22日 地球温暖化対策推進本部決定
Ⅰ.国内対策の取組方針
「日本の約束草案(平成27年7月17日地球温暖化対策推進本部決定)」で示した2030年度削減目標の達成
に向けて着実に取り組む。また、パリ協定等において、2℃目標が世界の共通目標となり、この長期目標を達成するた
め排出と吸収のバランスを今世紀後半中に実現することを目指すとされたこと等を踏まえ、我が国としても世界規模での
排出削減に向けて、長期的、戦略的に貢献する。
1.地球温暖化対策計画の策定
日本の約束草案及びパリ協定を踏まえ、来春までに地球温暖化対策計画を策定する。策定に向けて、中央環境審
議会・産業構造審議会の合同会合を中心に検討を行う。
2.政府実行計画の策定
政府は来春までに、地球温暖化対策計画に即して、先導的な対策を盛り込んだ政府実行計画を策定し、率先して
取組を実施する。
3.国民運動の強化
政府が旗振り役となって地球温暖化防止国民運動を強化し、地方公共団体、産業界、全国地球温暖化防止活
動推進センター、NPO等多様な主体が連携しつつ、情報発信、意識改革、行動喚起を進める。
Ⅱ.美しい星への行動 2.0(ACE2.0)の実施
世界全体での抜本的な排出削減に貢献するため、今般、COP21首脳会合に合わせて発表した途上国支援、イノ
ベーションからなる新たな貢献策「美しい星への行動2.0(ACE2.0)」の実施に向けて取り組む。
Ⅲ.パリ協定の署名・締結・実施に向けた取組
パリ協定の実施に向けて国際的な詳細なルールの構築に我が国としても積極的に貢献していくとともに、我が国の署
名及び締結に向けて必要な準備を進める。
地球温暖化対策の推進に関する法律
大気中の温室効果ガス※の濃度を安定化させ、地球温暖化を防止することが“人類共通の課題”
 地球温暖化対策計画の策定(政府の地球温暖化対策推進本部を経て閣議決定)
 地球温暖化対策推進本部(本部長:内閣総理大臣、副本部長:内閣官房長官・環境大臣・経済産業大臣)の設置
 社会経済活動その他の活動による温室効果ガスの排出の抑制等を促進するための措置等により地球温暖化対策の推
進を図る。
※CO2、メタンなど7種類
1.温室効果ガスの排出の抑制等のための施策
政府・地方公共団体実行計画
 国・自治体がその事務・事業に関して行う排出削減等の計画
 都道府県・指定都市・中核市は、自然エネルギー利用
促進、公共交通機関の利便増進等、区域の自然的
社会的条件に応じた施策を位置づけ
 都市計画、農村振興地域整備計画等は地方公共団体
実行計画と連携
温室効果ガス算定報告公表制度
 一定以上の温室効果ガスを排出する事業者に対し、当該
排出量を算定し、国に報告することを義務付け、国がデータ
を集計・公表
 事業者、フランチャイズチェーン単位での報告
2.その他
排出抑制等指針
 事業活動に伴う排出抑制(高効率設備の導入、
冷暖房抑制、オフィス機器の使用合理化 等)
 日常生活における排出抑制(製品等に関するCO2
見える化推進、3Rの促進)
この2つの努力義務に関して、適切かつ有効な実施を図る
ため必要な指針を公表
地球温暖化防止活動推進センター等
 全国センター(環境大臣)
一般社団法人地球温暖化防止全国ネットを指定
 地域センター(都道府県知事等)
47都道府県+8市が指定(27年8月現在)
 温暖化防止活動推進員を都道府県知事等が委嘱
 森林等による吸収作用の保全等
 京都メカニズムの取引制度(割当量口座簿等)
 温室効果ガスの排出がより少ない日常生活用製品等の普及促進 等
普及啓発の強化、国際協力の推進、地域における対策の推進を目的にした法改正案を、H28年3月8日に閣議決定
17
対策の基本方針
 2030年度に2013年度比26%減(2005年度比25.4%)、その中で
も民生分野(業務その他部門及び家庭部門)では4割程度の大幅削減を行う必要が
あり、対策を抜本的に拡充する必要がある。
 今春までに地球温暖化対策推進法に基づく「地球温暖化対策計画」を策定(閣議決
定)。制度面での対応(各種規制や税制、対策の誘導的手法)と、エネルギー対策特
別会計予算の活用による財政・金融面での対応を両輪として、総合的かつ計画的に実施
していく。
エネルギー対策特別会計予算
[環境省]:1,564億円
・主に業務分野、家庭分野
[経産省]:3,677億円
・主に産業分野、エネルギー転換分野
規制・基準
低炭素化促進投資
2030年まで累積約100兆円
・排出抑制指針
・年1%省エネ推進義務
・住宅建築物断熱化義務
・自動車燃費規制
・家電等トップランナー基準 等
再生可能エネルギー
税
その他の予算
[国土交通省]:道路、住宅、港湾、鉄道、下
水道等
[環境省]:廃棄物
[農水省]:農林水産業の省エネ
[文科省]:技術開発
固定価格買取制度
2015年:約1兆円、
設備認定案件が全て実現:約3兆円/年
制
・エコカー減税
・グリーン投資減税
・省エネ住宅減税
・モーダルシフト減税
・省エネ住宅向け贈与税特例
18
2015年7月1日から、新しい国民運動がスタート。
平成27年6月2日 安倍総理は、第29回地球温暖化対策推進本部において、
『COOL CHOICE』を旗印に、政府を挙げて国民運動を展開することを宣言しました。
「2030年度の温室効果ガスの排出量を26%削減するこの目標は、
政府だけでなく、事業者や国民が一致団結して行動を起こさないと
実現は不可能であります。
『COOL CHOICE』を旗印に
政府を挙げて国民運動を展開してまいります。
私もその先頭に立つ考えでございます。」
出典:首相官邸ホームページ
19
総理主導の新たな国民運動「COOL CHOICE」
● 2030年度△26%目標達成のための
【旗印】
省エネ・低炭素型の製品/サービス/行動など
あらゆる「賢い選択」を促す新国民運動
例えば、エコカーを買う、エコ住宅にする、エコ家電にする、
という「選択」。
例えば、高効率な照明に替える、公共交通を利用する、
という「選択」。
Fun to Share
低炭素社会実現へと導く事業者の技術や知
恵、取組を発信するなど温暖化対策に関す
る情報を共有する場。
例えば、クールビズを実践する、という「選択」。
例えば、低炭素なアクションを習慣的に実践する、
というライフスタイルの「選択」。
20
(1)地球温暖化の科学的知見
(2)気候変動国際交渉の取組み
~2020年以降の新たな国際枠組みの構築に向けて~
(3)我が国の約束草案
(4)約束草案実現のための施策
(5)長期的な目標を見据えた戦略的取組
(6)気候変動の影響への適応策
(7)環境金融に関する取組
気候変動の影響への適応とは
○適応とは:
既に起こりつつある、
あるいは起こりうる
気候変動の影響への対応
排出抑制
(緩和)
現在及び将来の
気候変動の影響へ
対応する
政府の適応計画策定の経緯
中央環境審議会地球環境部会に「気候変動影響評価等小委員会」を設置(平成25年7月)
気候変動の影響及びリスク評価と今後の課題を整理し、意見具申を取りまとめ(平成27年3月)
「気候変動の影響への適応に関する関係府省庁連絡会議(局長級)」を設置(平成27年9月11日)
COP21に先立ち、「気候変動の影響への適応計画」を策定(平成27年11月27日閣議決定) 22
22
気候変動の影響への適応計画について
○IPCC第5次評価報告書によれば、温室効果ガスの削減を進めても世界の平均気温が上昇すると予測
○気候変動の影響に対処するためには、「適応」を進めることが必要
○平成27年3月に中央環境審議会は気候変動影響評価報告書を取りまとめ(意見具申)
○我が国の気候変動
【現状】
年平均気温は100年あたり1.14℃上昇、日降水量100mm以上の日数が増加傾向
【将来予測】 厳しい温暖化対策をとった場合
:平均1.1℃(0.5~1.7℃)上昇
温室効果ガスの排出量が非常に多い場合 :平均4.4℃(3.4~5.4℃)上昇
※20世紀末と21世紀末を比較
<基本的考え方(第1部)>
■目指すべき社会の姿
○気候変動の影響への適応策の推進により、当該影響による国民の生命、財産及び生活、経済、自然環
境等への被害を最小化あるいは回避し、迅速に回復できる、安全・安心で持続可能な社会の構築
■基本戦略
(1)政府施策への適応の組み込み
(2)科学的知見の充実
(3)気候リスク情報等の共有と提供
を通じた理解と協力の促進
(4)地域での適応の推進
(5)国際協力・貢献の推進
■対象期間
○21世紀末までの長期的な展望を意識しつつ、
今後おおむね10年間における基本的方向を示す
■基本的な進め方
○観測・監視や予測を行い、気候変動影響評価を実施し、その
結果を踏まえ適応策の検討・実施を行い、進捗状況を把握し、
必要に応じ見直す。このサイクルを繰り返し行う。
○おおむね5年程度を目途に気候変動影響評価を実施し、
必要に応じて計画の見直しを行う。
<分野別施策(第2部)>
■農業、森林・林業、水産業
■水環境・水資源
■自然生態系
■自然災害・沿岸域
■健康
■産業・経済活動
■国民生活・都市生活
<基盤的・国際的施策(第3部)>
■観測・監視、調査・研究
■気候リスク情報等の共有と提供
■地域での適応の推進
■国際的施策
23
気候変動の影響と適応の基本的な施策(例)
分野
予測される気候変動の影響
一等米比率の低下
農業、
森林・
林業、
水産業
農業
森林・
林業
水産業
水環境・
水資源
自然
生態系
水環境
水資源
各種
生態系
適応の基本的な施策
適応以外の他の政策目的を有し、
かつ適応にも資する施策を含む。
高温耐性品種の開発・普及、肥培管理・水管理等の徹底
りんご等の着色不良、栽培適地の北上 優良着色系品種への転換、高温条件に適応する育種素材の開発、栽培管理技術等の開発・普及
病害虫の発生増加や分布域の拡大
病害虫の発生状況等の調査、適時適切な病害虫防除、輸入検疫・国内検疫の実施
山地災害の発生頻度の増加、激甚化
山地災害が発生する危険性の高い地区の的確な把握、土石流や流木の発生を想定した治山施設や
森林の整備
マイワシ等の分布回遊範囲の変化(北
方への移動等)
水質の悪化
無降水日数の増加や積雪量の減少に
よる渇水の増加
ニホンジカの生息域の拡大、造礁サン
ゴの生育適域の減少
漁場予測の高精度化、リアルタイムモニタリング情報の提供
工場・事業場排水対策、生活排水対策
あまみず
既存施設の徹底活用、雨水・再生水の利用、渇水被害軽減のための渇水対応タイムライン(時系列の
行動計画)の作成の促進等の関係者連携の体制整備
気候変動に伴い新たに分布した植物の刈り払い等による国立公園等の管理
気候変動に生物が順応して移動分散するための生態系ネットワークの形成
水害
○比較的発生頻度の高い外力に対する防災対策
・施設の着実な整備 ・災害リスク評価を踏まえた施設整備 ・できるだけ手戻りない施設の設計 等
大雨や短時間強雨の発生頻度の増加 ○施設の能力を上回る外力に対する減災対策
①施設の運用、構造、整備手順等の工夫 (・既存施設の機能を最大限活用する運用 等)
と大雨による降水量の増大に伴う水害
の頻発化・激甚化
②まちづくり・地域づくりとの連携 (・まちづくり・地域づくりと連携した浸水軽減対策 ・災害リスク情
報のきめ細かい提示・共有 等)
③避難、応急活動、事業継続等のための備え (・タイムライン策定 等)
高潮・
高波
海面上昇や強い台風の増加等による
浸水被害の拡大、海岸侵食の増加
土砂
災害
土砂災害の発生頻度の増加や計画規 人命を守る効果の高い箇所における施設整備、土砂災害警戒区域等の基礎調査及び指定の促進、大
模を超える土砂移動現象の増加
規模土砂災害発生時の緊急調査の実施
自然
災害・
沿岸域
暑熱
健康
感染症
産業・
経済活動
金融・
保険
国民
生活・
都市生活
インフラ、
ライフライン
夏季の熱波が増加、熱中症搬送者数
の倍増
感染症を媒介する節足動物の分布域
の拡大
海象のモニタリング及び同結果の評価、港湾・海岸における粘り強い構造物の整備の推進、港湾のハ
ザードマップ作成支援、順応的な対応を可能とする技術の開発、海岸侵食への対応の強化
気象情報の提供や注意喚起、予防・対処法の普及啓発、発生状況等の情報提供
感染症の媒介蚊の幼虫の発生源の対策及び成虫の駆除、注意喚起
保険損害の増加
損害保険協会等における取組等を注視
短時間強雨や渇水頻度の増加等によ
るインフラ・ライフラインへの影響
地下駅等の浸水対策、港湾の事業継続計画(港湾BCP)の策定、水道施設・廃棄物処理施設の強靱化
ヒートアイランド 都市域でのより大幅な気温の上昇
緑化や水の活用による地表被覆の改善、人工排熱の低減、都市形態の改善
24
(1)地球温暖化の科学的知見
(2)気候変動国際交渉の取組み
~2020年以降の新たな国際枠組みの構築に向けて~
(3)我が国の約束草案
(4)約束草案実現のための施策
(5)気候変動の影響への適応策
(6)長期的な目標を見据えた戦略的取組
(7)環境金融に関する取組
気候変動長期戦略懇談会の提言
Ⅰ. 懇 談 会 の 設 置
〇長期における温室効果ガスの大幅削減と、我が国が直面する構造的な経済的・社会的課題の同時解決を目指し、
我が国の新たな「気候変動・経済社会戦略」の考え方を議論するため、平成27年10月に設置。
〇委 員 名 簿(敬称略、五十音順)(◎座長 )
浅野 直人(福岡大学 名誉教授)、伊藤 元重(東京大学院経済研究科 教授)、
◎大西 隆 豊橋技術科学大学学長、 川口 順子 明治大学 国際総合研究所 特任教授
住 明正 国立研究開発法人環境所理事長、 安井 至 一般財団法人持続性推進機構理事長
Ⅱ. 提 言 の 概 要
〇平成28年2月26日に提言を公表。(https://www.env.go.jp/press/102179.html)
〇提言は以下で構成。
気候変動問題
1.気候変動の科学的知見と国際社会のコンセンサス
2.温室効果ガスの長期大幅削減の絵姿とその道筋
経済・社会的問題 3.我が国の経済・社会的課題と解決の方向性
4.「温室効果ガスの長期大幅削減」と「経済社会的課題」の同時解決に向けて
○温室効果ガスの長期大幅削減のための社会構造のイノベーションは、経済・社会的課題の解決のための
きっかけに。温室効果ガスの長期大幅削減と経済・社会的課題解決の方向性は同じ。
○社会構造のイノベーションの見通しを明確化するためにも、2050年に向けた長期戦略を策定
○同時に、社会構造のイノベーションを後押しするため、以下のような適切な施策を実施
【経済成長】グリーン新市場の創造と環境価値をテコとした経済の高付加価値化を通じて、経済成長を重視
【地方創生】再エネなど地域の自然資本の活用を通じ、エネルギー収支の黒字化等を図り地方創生を後押し
【安全保障】世界の気候変動対策への貢献を通じ、気候安全保障の強化と国益の確保
(1)地球温暖化の科学的知見
(2)気候変動国際交渉の取組み
~2020年以降の新たな国際枠組みの構築に向けて~
(3)我が国の約束草案
(4)約束草案実現のための施策
(5)気候変動の影響への適応策
(6)長期的な目標を見据えた戦略的取組
(7)環境金融に関する取組
気候変動リスクの経済的意味① ~グローバルリスク~
世界経済フォーラムが発表するグローバルリスクの上位に、「気候変動による災
害」「温室効果ガスの排出量の増大」といった、気候変動関係のリスクが2011年以
降継続して選定されている。
【世界経済フォーラム】
ビジネス界、政界、学界、社会におけるリーダーが参加し、世界・地域・産業のアジェンダを形成する
国際機関。
●発生の可能性が高いグローバルリスクの上位5位(世界経済フォーラム)
※赤字は気候変動と関連があると思われるリスク
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
1 資産価格の崩壊
資産価格の崩壊
気象災害
極端な所得格差
極端な所得格差
2 中国の経済成長鈍
化
中国の経済成長
鈍化
水害
長期間にわたる
財政不均衡
長期間にわたる
財政不均衡
3 慢性疾患
慢性疾患
不正行為
温室効果ガス排
出量の増大
温室効果ガス排
出量の増大
4 グローバルガバナ
ンスの欠如
財政危機
生物多様性の喪
失
サイバー攻撃
水供給危機
5 グローバル化の抑
制(新興諸国)
グローバルガバ
ナンスの欠如
気候変動による
災害
水供給危機
高齢化への対応
の失敗
28
出典:World Economic Forum「第8回グローバルリスク報告書」
気候変動リスクの経済的意味②
~座礁資産~
いわゆる「2℃目標」は、国際的な合意事項。この目標の達成のためには、今後、
世界の化石燃料の推定埋蔵量の1/3しか、利用できない(推定埋蔵量の2/3が
使えない=座礁資産化)。現在の資源会社の企業価値は、過大に見積もられている
可能性。
●COP16「カンクン合意」(2010
年)
各国政府が、産業革命以前からの平
均気温上昇を2℃未満に抑制するこ
とに合意(2℃目標)
●気候変動に関する米中共同声明
(2015年9月)
2℃目標を念頭に、今世紀半ばまで
の戦略策定の重要性を強調
●パリ協定(2015年12月)
世界共通の長期目標として2℃目標
のみならず1.5℃への言及
世界の化石燃料の
推定埋蔵量に含まれる
CO2 2860ギガトン
565~886
ギガトンCO2
利用できる
化石燃料
2℃目標達成
のためには、
1974~2295
ギガトンCO2分の
化石燃料が利用できない!
座
礁
資
産
29
出典:Carbon Tracker「燃やせない炭素2013」より作成
気候変動リスクを踏まえた世界の動向①
●海外では既に、金融機関、機関投資家等が、気候変動が企業価値に影響を与える
リスクを評価し、投融資活動に反映する動きが見られる(日本ではこうした動きは
見られない)。
●2015年6月5日、ノルウェー公的年金基
金(GPFG)※が保有する石炭関連株式を
すべて売却する方針を、ノルウェー議会が
正式に承認。
●石炭等の化石燃料
を「座礁資産」
(2℃目標の達成
のための措置によ
り使用できなくな
るリスクがある資
産)と捉え、投融
資を引き揚げる動
き(ダイベストメ
ント)が、大手機
関を含めて始まっ
ている。
出典:QUICK ESG研究所
※約104兆円(平成27年3月末時点)の資産規模を有す
る世界有数の年金基金。我が国の年金積立金管理運用独
立行政法人(GPIF)の資産規模は、約138兆円。
出典:12月3日
30
日本経済新聞
気候変動リスクを踏まえた世界の動向②
中央銀行・国際機関における気候変動リスクへの言及
金融安定理事会(FSB)議長・英国中央銀行総裁
(Mark Carney)のスピーチ(昨年10月)
気候変動は以下の三つの経路から金融システムの安定を
損なう恐れがある。
物理的リスク:異常気象によって銀行や保険会社の資産が直接
的な損害を受ける場合
信頼性リスク:気候関連の損失補填を求める人々や企業に対し
金融機関やその顧客が将来の法的責任を負う場合
移行リスク:低炭素経済への移行過程で発生する予想外のコス
ト
出典:Financial Times(2015年9月30日付電子版)
金融安定理事会(FSB)によるタスクフォースの設置(昨年12月)
FSBは、気候変動関連リスクに関する開示タスクフォース(The
Task Force on Climate-related Financial Disclosures,TCFD)
を設置。企業が投資家、銀行、保険会社その他関係者へ情報提供
する際に用いるための、任意で一貫性のある気候変動関連金融リ
スク情報の開示を進める。
気候変動リスクに関する情報開示
組織・
プロジェクト
情報開示に関する活動等
カリフォルニア
州職員退職年金
基金(カルパー
ス)等
石油・天然ガス会社に対し気候
変動リスクの公表を義務付ける
よう、米証券取引委員会に要求
上海証券取引所
炭素効率指数「SSE 180 Carbon
Efficient Index」を公表。炭素効
率が高い企業への投資を促進す
るもの。
アリアンツ・
グローバル・
インベスターズ
等85以上の
機関投資家等
世界の証券取引所に対し、上場
企業向けにESGに関する自主的
な情報開示ガイダンスを発行す
るよう求める書簡を提出
CDP
企業に対し気候変動問題への取り
組み、温室効果ガスの排出量等の
開示を求めるプロジェクト
2013年2月1日時点では全世界で
722機関がプロジェクトに賛同し
署名している
(カーボン・
ディスクロー
ジャー・プロ
ジェクト)
31
気候変動リスクを踏まえた世界の動向③
●中期的な投資リスクを回避するなどの観点から、企業の環境配慮等の要素を考慮し
て投資を行う「ESG投資」が世界的に急速に拡大。
●世界のESG投資運用額は、 2012年の13.3兆米ドルから2014年には21.4兆米ドル
へ。2年でおよそ61%も増加。
地域別のESG投資運用額
ヨーロッパ
13.6兆米ドル
(世界の63.7%)
カナダ
0.9兆米ドル
(世界の4.4%)
アジア
0.05兆米ドル
(世界の0.2%)
豪州・NZ
0.8兆米ドル
(世界の0.8%)
アメリカ合衆国
6.6兆米ドル
(世界の30.8%)
32
出典:Global Sustainable Investment Review 2014(GSIA)より環境省作成
我が国の動向①
~公的年金によるPRI署名~
●平成27年9月16日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国連責任投資原
則(PRI)に署名。
●今後、国内の他の年金基金にもこうした動きが拡がる可能性。
平成27年9月27日 国連サミット
安倍総理大臣ステートメント(抄)
…この度、世界最大、1兆ドル規模の年金積立金
を運用する我が国のGPIFが、国連の責任投資原
則に署名しました。これは、持続可能な開発の実
現にも貢献することとなるでしょう。
出典:外務省ホームページ
【PRIとは?】
●投資家の意思決定プロセスにESGの視点を
組み入れるための原則。2006年に、
UNEP-FIと国連グローバルコンパクトが
主導して策定。
●PRI署名機関は、2015年10月28日時点で
1408機関(うち日本は35機関)となり、
さらに増加中。署名機関の運用資産高も
45兆米ドルを超えている(世界の全運用
資産高の約63%)。
【PRI署名年金基金と資産規模】
GPIF
地方公務員
共済組合連合会
企業年金連合会
我が国の動向②
~21世紀金融行動原則~
●環境省の支援のもと平成23年10月に採択された「21世紀金融行動原則」には、現
在、194の金融機関等が署名。5つのワーキンググループの活動等を通じ、環境金
融の取組の輪をひろげる。
【21世紀金融行動原則】
1.自らが果たすべき責任と役割を認識し、予防的アプローチの視点も踏まえ、事業を通じ最善の取
組を推進
2.金融商品・サービスの開発・提供を通じ、持続可能なグローバル社会の形成に貢献
3.地域コミュニティの持続可能性をサポート
4.多様なステークホルダーが連携において
主体的な役割を担う
5.環境負荷の軽減に積極的に取り組み、
サプライヤーにも働き掛ける
6.取組みの情報を開示する
7.役職員の意識向上を図る
【平成26年度定時総会の様子】
●こうした機関投資家や金融機関の動きは、金融を通じて、投資先企業の行動を環境
に配慮したものへ変化させる強力なインセンティブとなる。
●今後、機関投資家や金融機関によるESG投資の取組、投資先企業との環境に関す
34
る対話をさらに促進していくことが重要。
環境金融に関する環境省の取組
再生可能エネルギー等への投融資の促進
ESG投資の普及・定着に向けた環境整備
○地域低炭素投資促進ファンド事業
○ESG検討会
民間資金が十分に供給されていない地域の低炭素化プ 長期投資にあたり、 ESG情報を考慮する上で
機関投資家等に参考となり得る考え方や切り口の整
ロジェクトを出資等により支援。
理等を分かりやすくまとめるため、有識者検討会を
開催。
○環境情報開示基盤事業
投資家等が環境情報を比較可能かつ容易に入手でき
る開示システムを整備。
平成27年度は、企業、金融機関、機関投資家等あわ
せて約300者が参加。
【これまでの出資決定案件】※平成27年度11月末時点






太陽光5件(うちサブファンド1件)
風力:2件
バイオマス:5件
中小水力:3件(うちサブファンド1件)
地熱(温泉熱):1件(うちサブファンド1件)
複数種:1件 (うちサブファンド1件)
合計:17件(うちサブファンド4件)
○その他
グリーン投資を促す観点から、①再エネファンドの情
報開示項目、②グリーンボンドの普及促進策等につい
て検討を実施。
35
Fly UP