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セキュリティー技術がさらに重要に

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セキュリティー技術がさらに重要に
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技術・市場 レポート
「オートモーティブワールド2015」
セキュリティー技術がさらに重要に
クルマの 先 端 技 術 展「オートモー
問題になる」と訴えた。それにより、第
合弁のSTMicroelectronics社は、
それ
ティブワールド2015」
が2015年1月に
三者の侵入リスクがますます高くなる
ぞれ自社ブースで、
米TCG(Trusted
開催された(図1)
。先進運転支援シス
からだ。インターネットやBluetooth、
Computing Group)
のTPM(Trusted
テム(ADAS)や自動運転技術に注目が
スマートフォンなどを介したハッキン
Platform Module)仕 様 のセキュアー
集まる中、それらを実現するための通
グがリスクに挙げられるという(図3)
。
ICを展示した。
信セキュリティーに関する展示も多く
さらに同氏は、車両の安全性と同様
見られた。
にセキュリティーについても標準化の
セキュアーICを車載に提案
取り組みが重要だと説いた。
企業向けIT機器で採用実績があるセ
オートモーティブワールド 2015 の講
展示会では、ハッキング対策の一つ
キュアーICを展示して、セキュアーIC
演では、ドイツBosch社取締役のDirk
として、業務用PCや複合機などに使用
の実績を訴えると共に、そのICを車載
Hoheisel氏が、同社におけるオープン
するセキュアーICをクルマ向けに適用
向けに提案できるとアピールした。
イノベーションの取り組みを説明した
する提案が見られた。セキュアーICと
両社の説明員とも、
「車載ICの信頼
(図2)
。同氏は「ネットワーク化が進む
は、暗号や防御ソフトなどでハッキン
性テスト規格『AEC-Q100』に準拠さ
ことで自動運転やADASの機能が向上
グなどから技術的に保護した半導体
せたり、温度保証範囲をクルマ向けに
する」としたが、一方で自動車のセキュ
チップのことである。ドイツInfineon
広げたりして、車載向けのTCG TPM
リティーでは「脆弱性が今後ますます
Technologies社と、イタリア・フランス
仕様セキュアーICを提供可能」という。
図1 オートモーティブワールド2015の会場内の様子
展示会には過去最多となる636社・団体が出展し、約2万5000人が来場した。
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図2 講演するドイツBosch社取締役のDirk Hoheisel氏
同氏は車両の安全性と同様に、セキュリティーについても標準化の取り組みが
必要だと言う。
Nikkei Automotive 2015. 3
SID=ce986be9f405291b35b6f5729c492796ab04e014f7b1d916 無断複製・無断転載禁止 日経BP社
Bluetooth ペアリング
スマートフォン
(Bluetoothスタック)
インターネット
メディアファイル
音声モデム
ECU
HU
ABS
OBD
CAN
ECU
ABS
OBD-WiFi
3つのリスク
車の盗難
データの流出
ECU:電子制御ユニット
HU:ヘッドユニット
車両システムの操作
ABS:アンチロック・ブレーキ・システム
OBD:自己故障診断
図3 ハッキングの手口とリスク
自動車の自動運転技術やネットワーク化が進むにつれて、ハッキングに対する危険性
も高まりつつある。
(Bosch 社のスライドを基に本誌が作成)
図4 ドイツInfineon Technologies社のセキュアーICを車載
通信機器に採用した例
暗号化処理IC「SLI97」
を採用したイスラエル Autotalks 社製アンテナモジュ
ール。
さらに両社は、IT 機器向けのTCG
ハッキング対策が必要なのは、
「ADAS
にすれば、リコールの削減にもつなが
TPM仕様のセキュアーIC以外に、車
や自動運転のためだけではない」と指摘
る」
(同氏)という(図6)
。
載を意識したセキュアーICも展示した。
するのは、
ルネサス エレクトロニクス第
ハッキング対策のポイントの一つが、
Infineon社は、暗号化処理IC「SLI 97」
一ソリューション事業本部副事業本部
情報処理系の車載ICと制御系のICの
が、イスラエルAutotalks社の車載通
長兼車載制御システム事業部事業部長
間に設けるセキュリティーゲートウエ
信機器のリファレンス設計に採用され
の吉岡真一氏だ。同社では、テレビなど
ーだ。これは悪意のあるものは通さず、
たとした(図4)
。一方、STMicro 社は
の家電製品やPCなどの情報機器と同
意味のあるものは通す仕組み。実現方
TCG TPM仕様を満たすためのファー
様、車載ソフトウエアもネットワーク経
法はさまざまだが、
「ソフトウエアによ
ムウエアを搭載しないセキュアーマイコ
由で更新するようになるとみる。
るものが現実的」
(同氏)という。現在、
「ユーザ
ン「ST 32 F 512」を展示して、
「米国など国土の広い場所では、ソフ
ソフトウエアベースの 同ゲートウエー
ーが目的にあったセキュアー用ファー
トをディーラーでしか更新できないの
を開発中で、2015 年中には具体的な姿
ムウエアを載せられる」とアピールした
はコスト面から厳しい。セキュリティー
を見せられると同氏は言う。
(図5)
。
(佐藤雅哉)
を確保してリモートで更新できるよう
図5 イタリア・フランス合弁
STMicroelectronics社が
出展したセキュアーICの例
TCG TPM 仕様の IT 機器向けセ
キュアーIC以外に、
車載に対応し
たセキュアー ICも出展した。
ネットワーク経由で
制御プログラムの
アップデート
①無線で裏のROMにダウンロード
(Key On時)
フラッシュマイコン
フラッシュ
メモリー
フラッシュ
メモリー
セキュリティー
ROM
8Mバイト表
フラッシュ
メモリー
ROM
8Mバイト裏
②Key Off時にROMの
表と裏を切り替え
図6 車載ソフトウエアのリモートによるアップデート
遠隔地からでもネットワーク経由で制御プログラムを車両に送信し、最新のものにアップデートすることが
できる。
(ルネサスエレクトロニクスのスライドを基に本誌が作成)
Nikkei Automotive 2015. 3
SID=ce986be9f405291b35b6f5729c492796ab04e014f7b1d916 無断複製・無断転載禁止 日経BP社
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