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健康経営まるごとガイド

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健康経営まるごとガイド
健康経営
まるごと
ガイド
中堅企業が挑む「健康経営」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
いま、なぜ健康経営
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
健康経営がもたらすもの
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
先進事例
サンスター、フジクラ、日本IBM
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
キーマンに聞く
第一生命・斎藤勝利会長(経団連社会保障委員会委員長)
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・
13
情報源
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
15
広島にある
“最上級の健康”
スーパー
中堅企業が挑む
フレスタ、健康ブランディングを多角的に展開
「健康経営」
広島市西区にあるフレスタ横川店。食品中心のこのスーパーマーケッ
トで働く社員の“名札”には、
「挑む!健康宣言*1」という文字ととも
に、
「1日1万歩!!!」
「
『美』健康的な美しさ、禁煙します」といった、
自分の健康づくりの目標が書き込まれている。同社は広島、
岡山、山口の3県で関連業態を含め65店舗を開設している
が、社長以下、約4500人の全従業員がこの名札を身につけ、
社員同士や顧客とのコミュニケーションに活用している。
参加への抵抗をなくす配慮も
フレスタは昨年、
「ヘルシスト(最上級の健康)スーパ
ー」というスローガンを打ち出した。今後の人口減少や高
齢者の増加などをにらめば、顧客との距離をさらに縮める
ことがビジネスのカギ。健康に関する多様な選択肢を提供
することはその役に立つ。健康に関心のある顧客なら、値
段や品数はあまり気にせず来店してくれるという利点もあ
る。そこで、
「健康」でブランディング*2をしようと考え
たという。
フレスタでは、正社員はもちろ
んパート・アルバイトまで、自
分の健康目標を書き込んだ名
札を胸に付けている(提供:フ
レスタ)
具体的には、
「活気のある接客を生き生きとした従業員
が行い、地域の食文化を守りながら、身体に“良い”基準を満たす商品
が豊富にあるという状態」をヘルシストスーパーと定義づけ、目標とし
て掲げた。定義から分かるように、健康経営もヘルシストスーパーづく
りの一環だ。30代後半を中心とする幹部候補生が各部門の担当者ととも
*1健康宣言
に検討を行い、従業員向け・顧客向けの様々な取り組みを考案した。そ
健康経営に取り組む際の
第一歩。従業員の健康を
経営課題ととらえ、社内
外に理念や方針を示す。
経営トップや従業員個人
が宣言する例も多い。
して最も効果が大きかったのが「それぞれの健康宣言」だ。
*2
「健康」で
ブランディング
健康経営のメリットは医
療費削減だけにとどまら
な い。 従 業 員 の 生 産 性
アップや企業イメージの
向上、優秀な人材確保な
ど、「企業価値」全体を
高めていく効果がある。
従業員は、
「食」
「動」
「美」の3分野から1つを選んで、それぞれ自分
の目標を立てる。
「美」を入れたのは、
「スーパーは女性の多い職場。体
重のことを気にする社員もいる。活動を取り組みやすいものにするため
に『美』にした」
(グループ経営本部経営企画グループ長の渡辺裕治氏)
という配慮からだ。
スタートに当たっては、全店で決起会を実施するなど健康づくりの意
識を社内に浸透させるための取り組みも実施。宣言後も、従業員向けの
無料ヨガ教室や顧客も参加できるウオーキング教室などを開催し、関心
の維持に努めてきた。
2年目に入るこの3月には、新しい健康宣言をしてもらう。3つのキー
ワードは同じで、前年と同じ目標でも差し支えない。
「自分の体のこと
2
中堅企業が挑む
「健康経営」
*3健康寿命を
のばそう!アワード
厚生労働省が健康増進に
取り組んでいる企業、団
体、自治体を表彰する制
度。2012 年から毎年実
施している。
を考え、自分で工夫して取り組むことに意味がある」
(前出・渡辺氏)
という考えから、自主性を尊重している。
ちなみに、社長の宗兼邦生氏の健康目標は、「BMI(体格指数)の引
き下げ」だった。
健康関連のPB商品を充実
健康宣言と並行して取り組んだのが、健康診断でメタボリック症候群
と判定された社員の数値改善プロジェクト。フレスタの健診受診率はほ
ぼ100%だが、受診後のフォローは十分とはいえなかったからだ。そこ
で健診や産業医の業務を委託している医療法人厚生堂・長崎病院のサポ
ートの下に実施している。
この病院はフィットネス・ジムも併設しており、メタボの社員は、メ
ディカルチェック、運動指導、食事指導が組み合わされたプログラムを
ワンストップで受けることができる。これまで22人がこのプログラムを
受け、3分の1がメタボから脱出したという。
一方、顧客向けの健康経営として、健康を売り物にしたプライベート
ブランド商品「Bimi Smile」を、一層強化した。過去1
年間に70商品を販売し、さらに60商品を追加する予定
だ。健康経営に取り組んでいることを顧客に周知させ
る狙いもある。
こうした取り組みが評価され、フレスタは昨年、厚
生労働省が主催する「第3回健康寿命を伸ばそう!ア
ワード」*3で優良賞を受賞。日本政策投資銀行からも、
厚生労働省のイベントで表彰
されるなど、フレスタの取り組
みは社会的にも評価されている
健康経営格付*4を受けた。こうした社会的評価もあり、
長い目でみて社員の採用にもプラスになることを期待している。
健康経営2年目の目標としては、
「家族や顧客に広げる」ことが大きな
目標だ。顧客へのアピールが少し弱かったので、イベントを開催したり
*4健康経営格付
日本政策投資銀行が実施
している健康経営に関す
る企業評価。正式名称は
「DBJ 健康経営(ヘルス
マネジメント)格付」と
言い、格付が認められる
と融資に際して優遇金利
を受けられる。
情報提供に力を入れたりすることを考えている。3年目以降は、
「フレス
タなら健康になれる」というブランドロイヤリティを獲得し、
「健康は
楽しい!」というイメージを広めることが目標だ。
そしていずれは、食品全般に関する提案ができるスーパーという業態
を生かし、地域住民の健康づくりに取り組みたいという。未来構想とし
ては、フレスタがあるとその街が健康になるという「フレスタウン構想」
を掲げている。
「日経ビジネスONLINE」2015年3月17日付け記事より
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150313/278644/
3
解説
いま、なぜ健康経営
そもそも健康経営とは
従業員が健康で働くことが企業の価値を高めるという考えから、健康管
理を経営課題ととらえ、実践することを言う。それに対する戦略的な取
り組みが健康投資。具体的には、健康経営を経営理念に近いものとして
位置づけ、社内外にメッセージを出すことが重要となる。
健康経営がもたらすもの
1
生産性・利益率向上
~健康投資1ドルに3ドルのリターン~
健康経営への取り組みが何をもたらすのか?そ
●メンタルヘルス休職者比率と利益率との関係
の最大のものは、企業の生産性・利益率の向上だ。
メンタルヘルス休職
者増加企業は、利益
率低下が大きい
米日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソンは
グループ全体で健康経営に取り組んだ結果、欠勤
率が減少する一方、従業員の意識が高まり、生産
性が向上した。同社の試算によると、健康教育プ
ログラム作成などの投資1ドルに対し、企業イメー
ジの向上などを含め、3ドルものリターンがあった
という。反対に、企業の「健康」が悪化すると、
経済産業研究所レポート「企業における従業員のメンタルヘルスの
状況と企業業績」より。同研究所の企業調査から、従業員 100 人
以上の 451 企業をサンプルに、2007 年から 2010 年の売上高利
益率(当期利益÷売上高)の変化をみた。
利益率は低下するという研究結果もある(左図)
。
健康は、従業員1人ひとりに最大限の力を発揮
してもらうインフラとして、企業が積極的に関与し、投資するテーマに
なっている。
法律も「健康経営」を求めている
企業や保険者に対して、
「健康経営」を求める法
務付けられた「データヘルス計画(http://www.
律も増えてきた。その1つが2015年12月開始の
mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_
「ストレスチェック制度(http://www.mhlw.go.jp/
iryou/iryouhoken/hokenjigyou/)
」。検診やレセ
bunya/roudoukijun/anzeneisei12/kouhousanpo/
プトなどで得た健康医療データを分析し、加入者
summary/)
」
。定期的に従業員のストレス状況を検
(従業員)の現状に合った、より効果的・効率的
査し、メンタルヘルス不調のリスクを減らすこと
な保険事業を行うことが主な狙いだが、そのデー
が狙いだ。従業員50人以上の企業に義務付けられ
タを企業へも提供し、保険者と企業が一体で従業
ており、中堅・中小企業も対象となる。
員の健康の維持改善を図ること(コラボヘルス)
もう1つが健康保険組合などの医療保険者に義
を目指している。
4
解説
2
健康関連総コストの削減
~「心身不調」減らしが利益を生む~
健康への投資効果で代表的なのは、医療費の削
●健康関連総コストの推計
減。従業員が健康になれば、企業が支払う保険料
医療費
17.5%
4.7%
プレゼンティーイズム
74.9%
も少なくて済む。しかし、企業の健康関連コスト
傷病手当金 0.6%
労災保険料 2.2%
の中で直接医療費は、ごく一部にすぎない。東京
アブセンティーイズム
大学の研究によると、健康関連コストのうち直接
の医療費は2割弱。4分の3は、出勤しながら心身
プレゼンティーズ
ム(心身不調の状
態)のコストが 4
分の 3 を占める
の不調で効率が上がらない「プレゼンティーイズ
ム」だ。欠勤などの「アブセンティーイズム」も
5%を占める。
「健康で元気に働く従業員」を増や
東京大学政策ビジョン研究センター尾形裕也特任教授の調査データを
基に作成。調査は、聖マリア病院の 1903 名の検診データとアンケート
調査を基に作成・分析している。
すのは、こうした「隠れコスト」を減らすことに
つながる。健康経営への投資が生産性を向上させ
るのは、こうした事実からも裏付けられる。
3
企業価値向上・優秀な人材確保
~企業評価の新しいモノサシに~
健康経営の利点で見逃せないのが、社会的な評
●健康経営に取り組む企業の市場の評価
価の向上だ。例えば株価。左図は、経済産業省の
健康経営銘柄は、
市場からも評価が
高い
試算だが、健康経営に取り組む企業の時価総額は、
それ以外の企業より高いことが分かる。かつて、
企業評価の最大のモノサシは業績だったが、企業
の社会性が高まるにつれ、人々は多面的な社会貢
献に注目し始めている。先進投資家が注目する
「ESG(環境、社会、企業統治)
」という考え方と
同様、
「健康」も重要なテーマになりつつあると
いえる。
経済産業省が「健康経営銘柄」選定時に試算したもの(ニュースリリー
スより)
。
選定時に使用した
「従業員の健康に関する取組についての調査」
の回答企業から、銘柄に選ばれた企業 22 社と、評価結果上位 20%の
企業の時価総額を指数化し、TOPIX(東証株価指数)と比較した。
健康経営の結果、
「善い会社」として社会に認
められる利点は大きい。企業イメージの向上、優
秀な人材の確保……。大企業にとどまらず、中
堅・中小企業にとっても、大きな資金負担なしに、成果を狙える「投資」
であることは見逃せない点だろう。
健康は、
「投資する価値」
がある経営課題
中堅・中小も
「人材確保」
の武器になる
5
生活習慣改善は
「健康道場」
から
先進事例
サンスター、玄米菜食で健診異常者を指導
企業に実施が義務づけられている健康診断。だが、健診で発見された
問題点の改善策にまで、手が回らない会社がほとんどだろう。特に、血
圧や中性脂肪、コレステロールなどの生活習慣病関係の検査項目につい
ては、異常があって医師に食事や運動など生活習慣の見直しを指示され
た社員がいても、実行は本人任せにしているケースが大半だとみられる。
*1特定検診
生活習慣 病対策として、
2008 年度から健康保険
組合などの保険者に義務
付けられた。企業の従業
員は健康診断で足りるが、
問題があった時に受ける
特定保健指導の実施率は、
大きなバラツキがある。
これに対しサンスターは、生活習慣の改善を実践する場として「健康
道場」を設けている。特定健診(メタボ健診)*1で、腹囲および複数の
生活習慣病項目に異常値があり「積極的支援」が必要とされた社員を中
心に、食事、運動、休養などの面で、正しい生活習慣が身につけられる
“修行”の機会を提供している。
「1200kcalでもやっていける」
「当道場の食事は、玄米と野菜中心で1日2食。栄養摂取は1
日1200キロカロリー。朝食は青汁1杯だけで間食は禁止。こ
うした食生活でも十分暮らしていけることを体得し、家に戻
ってからの継続につなげるのが目的だ」
。健康道場長の門脇
敏夫氏はこう語る。
サンスターには関連の一般財団法人があり、国内だけで約
1600人いる社員の健康づくりを担当している。門脇氏はその
健康推進室の所属だ。一方健康道場は、サンスター健康保険
組合の所有。健康道場は、会社と健保組合が協力して、社員
の健康づくりに取り組む場でもある。
道場の発足は1985年。30年近く前から、社員の健康づくり
に注目していたのには理由がある。サンスターの創業者は50
歳の若さで亡くなった。2代目社長(現相談役)も生活習慣
病で食事療法に苦労した。そのため、心身が健康でないと十
「健康道場」内には、プールや
トレーニングルームが設けら
れ、運動面の動機付けも行って
いる(写真上:サンスター提供)
分に能力が発揮できない、さらには「健康が企業価値につながる」とい
う今の健康経営の考え方が、だいぶ前から社内に根づいていたという。
社員は2泊3日の日程で“入門”
健康道場があるのは、大阪府高槻市内にある事業場の一角。建物内に
は、プールや食堂、トレーニングルーム、14室のベッドルームなどがあり、
特定健診で積極的支援の対象になった社員は2泊3日の日程で“入門”する。
費用はサンスター健保の負担だ。勤務上も出張扱いとなる。3日間と
はいえ社員に抜けられるのは各職場にとって痛手だが、上司も「2度と
6
先進事例
“道場送り”にならないように」と、積極的に送り出してくれるという。
サンスターでは、2008年度の特定健診の開始に先立ち、同じ基準で対
象者を選び、2007年度から健康道場で指導を始めた。初年度の対象者は
約170人に上り、120人が実際に入門。その後対象者は減少し、
「道場の
門を叩いた社員の半分以上は、次年度の健康診断で積極的支援の対象で
はなくなっている」と門脇氏は成果を語る。
入門前には、食事内容をはじめ生活習慣全般のチェックを行う。その
結果によって、個人ごとに健康上の課題を見つけて目標を立て、改
善に取り組む動機づけにする。
“修行”には、健康づくりに関する座学やストレッチ体操、ウオ
ーキングなどのメニューが盛り込まれている。運動習慣を身につけ
てもらうことも、入門の狙いの一つだからだ。座禅によるリラック
スや、熱い風呂と水風呂に交互に入る自律神経の訓練なども行う。
特定健診は、40歳以上の社員を対象に実施されるが、健康道場は、
他の年齢層、そして健診で異常のない社員でも利用可能だ。1週間
または3週間にわたって生活習慣改善を図るコースが設定されてお
り、月会費2000円を払って会員になると、年間5週間まで利用でき
る。東京から大阪へ出張で来た際、あるいは海外から一時帰国した
取材当日の夕食メニュー。玄
米ご飯の量は、利用者本人の
希望により所定量よりも減らし
てある
際に利用する社員もいる。
健食のブランドにもなった「健康道場」
健康道場の取り組みは、健保組合の財政と会社の経営の両方にメリッ
トを与えている。
*2保険料率
サンスター健保の保険料率*2は7.64%(2013年度計画)
。これは、中
健康保険の保険料を算定
する際に用いる割合。保
険者ごとに違いがある
が、高齢者医療への納付
金等の増加による財政悪
化に伴い、上昇傾向の健
康保険組合が多い。
小企業が加入している協会健保の10.06%よりも2ポイント以上低い。し
かも協会健保の10倍以上のお金を、保健事業費として加入者の健康づく
りに投じた上での話だという(加入者1人当たりの年間金額で比較)。在
職中、そして退職直後に亡くなる社員もここ数年目立って減った。2013
年度の在職死亡者数はゼロだった。
ビジネスにもメリットを及ぼしている。
「道場での食事を、家でも手
軽に続けられるようにしてほしい」という利用者の声を受け、サンスタ
ーは、「健康道場」というブランドで様々な健康食品をインターネット
上で販売している。青汁や緑黄野菜のドリンク、パック入りの発芽玄米
ご飯などだ。特定保健食品になっている製品もある。
近年、
「健康道場」ブランドの売り上げは好調で、会社の業績に貢献し
ている。健康道場の取り組みそのものが今後ビジネスになる可能性もある。
「日経ビジネスONLINE」2014年6月13日付け記事より
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140610/266588/?P=1
7
リスク度に応じた改善プログラム
先進事例
フジクラ、
「健康経営」宣言で周知図る
ケーブル機器や自動車電装製品などの生産を手がけるフジクラグループ
は、2014年1月1日、
「健康経営宣言」を行った。併せて人事・総務部内に
健康経営推進室を設置。同部部長で理事の中山幸洋氏を室長に任命した。
健康経営推進室副室長の浅野健一郎氏は、
「これまでにも健康宣言を
行う会社はあったが、それらは従業員個人の健康づくりを念頭に置いた
ものが大半だった。当社はマネジメントの一環であることを明確にする
ために、健康『経営』宣言とした」と話す。
マネジメントの一環である以上、健康推進に対する投資効果をデータ
で示すことが欠かせない。そこで医療費や労働生産性、疾病の有所見率、
さらにはウェブサイトや各種イベントの利用状況など、様々な指標につ
いてデータを取っている。
健康経営推進室長の中山氏は、
「健康増進・疾病予防の活動の成果がど
の指標に現れているとはまだ言えないが、経営陣の理解を得る上でもデー
タは欠かせない。業績との関係まで明らかにしようとは考えていないが、
健康経営宣言が実現できれば、結果として業績も向上するはず」とみる。
健康層向けプログラムは自社で開発
同社の生活習慣病予防プログラムの特徴は、リスクに応
じたきめ細かい施策にある。定期健康診断の結果や診療報
酬明細書(レセプト)に記載された医療機関での治療状況
などのデータに応じて、社員を4グループ(高リスク層、
リスク度に応じてプログラムを
4つに分けている
中リスク層、低リスク層、健康層)に分類し、それぞれ別
のプログラムを提供するのだ。
各グループの構成割合は、順に5%、10%、15%、70%となっている。
「活き活きと仕事をしている」を理念として掲げていることから、健康
状態に問題のない社員も支援対象としている。
高リスク層の社員に対しては、保健指導を手がける企業と契約し、重
症化予防のためのプログラムを提供。かかりつけ医と連携した上で、産
業保健スタッフが服薬や生活習慣について指導を行い、改善状況につい
て報告する。
中リスク層には、例えば「心疾患予防キャンペーンコール」と名づけ
た取り組みを実施。
「コール」と名づけたのは、リーフレットによる不
整脈などに関する情報提供にとどまらず、保健師が電話をかけてその人
が理解できるまで教えるようにしているからだ。
低リスク層には、
「節酒プログラム」を提供している。
「
『喫煙防止』
8
先進事例
ではありふれているので『節酒』にした。
『末永く飲酒を続けるプログ
ラム』とうたったが、残念ながら参加率は低かった。でも、3カ月間の
プログラムを終えて、アルコール摂取量や体重の減少、肝機能データの
改善などの成果がみられた」と浅野氏は話す。
そして健康層向けのプログラムは、ウェブサイトを通じた社員個人の
健康データの管理や見守り、そして各種の情報提供だ。社員から産業保
健スタッフ *1に相談できるだけでなく、健康データの変化を捉えて、
社員に注意喚起や助言を行う。健康づくりに安心して利用できる商品や
サービスの紹介も実施している。
フジクラでは、適切な委託業者が見つからなかったため、自社でこの
システムを開発して導入した。併せて、歩数計を配布したほか、社内各
所に体組成計や血圧計を設置し、手軽に健康管理ができるような環境を
整備した。ちなみに、本社内の階段には入口に「健康階段」というプレ
ートが貼られており、省エネを兼ねて上2階、下2階ぐらいのフロアーに
は、歩いていくことが励行されている。
どの階層のプログラムも社員の同意を得た上で提供している。低リス
フジクラの「健康測定ルーム」
。
血圧や体組成を測定しようと、
従業員がひっきりなしに訪れて
いる
ク層以外の参加率は、80~100%と高い。中山氏は、
「何らかの効果が実
感できているから、これだけの参加率になっているのだろう。会社が提
供することで参加者同士のコミュニケーションが活発になれば、継続意
欲を高める」と指摘する。
*1産業保健スタッフ
社員の健康や安全衛生を
担当する職種。具体的に
は、社内の人事労務管理
スタッフに加え、産業医
や衛生管理者、保健師、
カウンセラーなどを言
う。対処すべき課題がよ
り高度化複雑化するなか
で、社外を含めた産業保
健スタッフとの連携の重
要性が高まっている。
グループや家族に順次拡大
データ分析は、個別の社員に対する効果的な健康づくり施策の立案に
役立つ。例えば、毎月200キロメートルもランニングしているにもかか
わらず、一向にやせない社員がいた。ところが遺伝子検査の結果、有酸
素運動ではやせないタイプだということが判明し、月4回の筋力トレー
ニングに切り替えた。その結果、約8キログラムの減量に成功した。
中には、直ちに減量効果を求める社員もいるし、少しずつ体重を減ら
していきたい社員もいる。このように性格を踏まえた健康づくりのアド
バイスも、社員を対象とした調査データの活用で可能になる。
「全社で健康プログラムの展開を始めて1年、これまではおもしろがっ
て取り組んでくれたが、今後は定着が課題になる」と中山氏は指摘する。
フジクラは、2014年度は関係会社の社員約3000人を対象に加え、2015年
度は社員の家族へと活動対象を広げていく計画だ。浅野氏は、
「健康増
進活動を継続・拡大していくためにも、しっかりしたエビデンスで効果
を示していきたい」と話している。
「日経ビジネスONLINE」2014年2月21日付け記事より
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140218/259929/
9
歯周病予防で医療費削減に効果
先進事例
導入例少ない「予防歯科」に取り組む日本IBM
企業や健康保険組合にとって、歯の疾患対策は大きな課題の1つだ。
歯科医療費は全医療費の1割以上を占めており、歯痛による仕事の能率
低下や通院による欠勤といった労働損失も生じる。企業が従業員の健康
の維持・増進を支援することが経営効率の向上につながるという「健康
経営」の中で、その解決策として注目されるのが、まだ導入企業が少な
い「予防歯科」の取り組みだ。それを積極的に進めている日本アイ・ビ
ー・エム(IBM)の事例を紹介する。
図1●歯科予防プログラムの費用便益分析
図1は、日本IBM健康保険組合の歯科予防プログ
ラムの“収支”
。2004年に「p-Dental21」という個
人向けのプログラムをスタートさせて8年目の2011
年、医療費抑制の累積額がそれまでに投じた総コス
トを約3200万円上回り、損益分岐点を超えた。今後
も“黒字”は増加し続ける見通しだ。
一方、被保険者1人当たりの歯科医療費は、2004
年、2005年は前年より増加した。予防プログラムの
健診で疾患が発見され、治療のために受診した社員
※歯科医療費抑制額の累積値からコストの累積値を控除した額。
2012 年は見込み(出所:日本 IBM 健康保険組合)
が増えたためだ。しかし、その後は減少傾向に転じ
た。2010年に、歯科予防プログラムを実行していな
かったと仮定した場合よりも、年間5000円ほど抑えられている。
事業所で効果を実証し全社に展開
日本IBMでは以前から、近くに歯科医院がない地方の事業所に歯科診
療室を設けていた。しかし、次第に、利用者が一部の社員に限られるこ
とや治療中心の診療に対する疑問が生まれてきたという。
そこで1990年代後半から、歯科診療室で歯周病健診とその後のフォロ
ーアップに取り組み始めた。すると、デンタルフロスや歯間ブラシとい
った、歯と歯の間の汚れを取るための道具を使って歯周病予防に取り組
む社員が大幅に増え、歯周病が改善されるとともに、歯科医療費の抑制
効果も認められた。これを受けて、2004年から健保組合が主体となり、
全社員を対象に「p-Dental21」プログラムに取り組むことにしたわけだ。
2004年は40歳以下の全社員を、2005年は42歳以上の希望する社員を、
それぞれ対象にしてプログラムを実施。具体的には、約30分かけて歯科
医が口腔を診察し、歯科衛生士が歯周病やそのセルフケアに関する説
明・指導を行った。2006年以降は、主に25歳から5歳刻みの年齢になっ
た社員で希望する人を対象に実施。中小規模の事業所では、全年齢の希
10
先進事例
望者を対象に数年に1回実施している。
2013年3月末までにプログラムを受けた社員は約2万2000人。日本IBM
健保の歯科医・加藤元氏は、
「1年間にプログラムを実施できるのは、全
社員の1割に当たる3000人。その3割が初めて受ける人で、社員の入れ替
わりを考えると、効果を上げ易い状況になっている」と話す。
歯科予防プログラムの目的は、歯や歯肉の健康チェックだけではなく、
*1行動変容
歯周病予防のための行動変容*1にある。そこで、そのための工夫をい
人の行動が変わること。
保健分野では、健康レベ
ル低下の原因となってい
る生活習慣などに本人が
気づき、改善に向けて日
常生活を変化させていく
意味で使うことが多い。
ろいろ盛り込んでいる。
例えば、歯科医の診察の際は、CCDカメラを用いて歯や歯肉の状態
を受診者に見せる。タバコを吸う社員の場合にはヤニなどで変色してい
ることがわかるし、非喫煙者でも歯が磨けていない部分がわかるので、
禁煙や適切な歯磨きを行う動機付けに結びつけやすい。また、位相差顕
微鏡を用いて、歯から採取した汚れの中で細菌が動いている様子を示し、
歯周病予防に取り組む必要性を認識させたりもする。
様々な機会を捉えて啓発
こうした取り組みの結果、歯周病の予防につながる歯間清
掃を実施している社員の割合は、2004年の32%が2012年には
42.7%へと増加した。また、受診者対象の満足度調査の結果で
は、78.6%が歯科予防プログラムに「大変満足」と回答してい
る。回答者の約7割は家族や同僚などにプログラムのことを話
しており、予防のための取り組みが広がることが期待できる。
満足度調査の自由記入欄には、
「口臭の悩みが解決し、自信
日本 IBM 健保の歯科予防プロ
グラムでは、歯科衛生士が歯
周病の予防法を実地で指導す
る(提供:日本 IBM 健康保険
組合)
を持って正面を向いて自分の意見を言えるようになった」な
ど、
「口臭」に関する記述が少なくない。男性社員は、年齢とともにポス
トが上がることなどで、口臭を気にする人の割合が増えてくるという。
そこで日本IBM健保では、社員のビジネスマナー教育の機会も利用し、
歯科予防の重要性を訴えている。例えば、
「ブレスケア―いい息と笑顔を
ビジネスチャンスに活かす―」と題したセミナーを開催したことがある。
口臭はビジネス上の問題だけにとどまらない。加藤氏はある社員の口
腔を診察中、独特なにおいがするのに気づいた。そこでその社員に尋ね
たところ、糖尿病の持病があるにもかかわらず治療をさぼっていたこと
がわかったという。歯科予防活動が健康診断にもなったわけだ。
「予防歯科活動の究極の目標は、健保組合が支払う総医療費の抑制に
ある」と加藤氏は話す。歯がきれいだと自信をもって話ができるように
なり、心身の活動全体が活発化する。それにより、アンチエイジングに
も一役買ってほしいという。
「日経ビジネスONLINE」2013年9月24日付け記事より
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130919/253622/?P=1
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キーマンに
聞く
健康寿命延伸へ出足は上々
第一生命・斎藤勝利会長(経団連社会保障委員会委員長)
──2014年6月に改訂された政府の「日本再興戦略」に、健康経営が盛
り込まれました。
斎藤 「健康経営に取り組む企業が、自らの取り組みを評価し、
優れた企業が社会で評価される枠組みなどを構築…」という文言
が、日本再興戦略に盛り込まれたのは大きな意味がある。社内を
動かすためには、社会的な評価の仕組みがあるとやりやすい。経
団連でも、政府と呼応してその推進を図りたい。
私自身も、政府の次世代ヘルスケア産業協議会のメンバーで、
昨年6月の中間取りまとめに際しては、健康投資・健康経営の促
第一生命保険会長の斎藤勝利
氏。日本経済団体連合会の社
会保障委員会委員長を務めて
いる
進策に関する検討に加わった。ただこの協議会での議論は、どち
らかといえばヘルスケアサービスの供給サイドが中心。需要サイド、す
なわち利用者としての国民・企業へのアプローチも欠かせない。
──健康経営の進み具合をどうみていますか。
斎藤 第2次「健康日本21」では、健康寿命の延伸と都道府県ごとの格
差の縮小が掲げられている。厚生科学審議会の資料によれば、2010年に
*1健康寿命
比べ2013年の健康寿命*1は、男性が約0.8歳、女性が約0.6歳それぞれ伸
介護などによらず、日常
生活に制限がない形で
生活している期間のこ
と。 算 定 方 式 は 異 な る
が、
WHO(世界保健機構)
も発表している。
びている。2020年に、2010年より健康寿命を1歳以上伸ばそうという日
本再興戦略の目標に向けて、自信を持っていい状況だと考えている。
特に企業では、健康経営の取り組みが進んできた。従業員のQOLの
向上を第1の目的とし、結果として医療費負担の軽減につながるように
その実践に取り組んできたからだ。ほかにも、生産性の向上やリスクマ
ネジメント、ブランドイメージの向上などの効果も期待できる。
財政難が健保の保健事業にブレーキ
斎藤 一方、自治体による住民への取り組みはこれから。住民の健康意
*2高齢者医療への
支援金や納付金
2008 年に 65 歳以上の
高齢者が加入する高齢者
医療制度が創設され、そ
の財源として企業健康保
険組合などの医療保険者
が財源として納付金を納
めることとなった。高齢
化の進展とともにこれた
の納付金が増加してお
り、保険者の財政を圧迫
している。
識の高揚を図るには、健康保険上のインセンティブ以外にも対策を考え
る必要があるだろう。首長さんに自治体の健康状況について問題意識を
持ってもらうことで、様々な知恵が生み出されてくると考えている。
──経団連はじめ経済三団体は、2014年「医療保険制度改革への要望」
で、社会保険料負担の抑制のために給付の重点化・効率化を求めました。
斎藤 もし高齢者医療への支援金や納付金*2がなければ、健康保険料
は半分にできるはずだ。負担をみんなで分かち合うのに反対はしないが、
企業や健保組合による医療費抑制に向けた独自の取り組みが支援金・納
付金の額には反映されていない。保険料の上昇に歯止めをかけられない
と、せっかくの賃上げも帳消しになりかねない。
12
キーマンに
聞く
財政状態が厳しいので、健保組合も健康経営の一環である保健事業の取
り組みが手薄になってきている。以前、経常支出の5%を占めていた保
健事業費の割合は、今や4%そこそこだ。それでも全組合の合計では数
千億円という額に上る。2013年度の保険料率が8.7%と2ケタに達しない
のは、保健事業による医療費抑制の効果もあるものと考えている。
──御社ではどのような健康経営の取り組みをされていますか。
斎藤 創業者の矢野恒太が掲げた「お客さま第一主義」
「最大たるより
最良たれ」の経営理念の下、戦前から当時日本人の死因の第1位だった
結核の対策に取り組んできた。戦後は、保健文化賞を創設したり、循環
器系疾患専門の研究・治療機関である財団法人心臓血管研究所を開設し
たりして、
「安心・健康」に向けた取り組みを積み重ねてきた。
そして職員自身の健康増進を重要な経営課題と捉え、健康経営に本腰
を入れる証しとして、2011年に「第一生命グループ健康宣言」を発表し
た。2013年4月には「健康増進基本方針」を制定し、地域の皆様の健康増
進に寄与する経営を行うとともに、職員の健康増進を図ることを盛り込
んだ。さらに、DSR(第一生命グループの社会的責任)推進体制の枠組
みに健康増進を位置づけるなど、社内推進体制の整備を進めてきている。
──健康診断の受診を徹底しているそうですが。
●定期健康診断後の2次健診受診率の推移(第一生命による)
斎藤 定期健康診断の受診率は2010年から99%台
に乗っている。再検査や精密検査が必要とされた
社員の受診率も、2008年の27.2%から右肩上がりで
上昇しており、2013年には78.4%まできた。定期健
診の総合判定の有所見率は、男女ともに4年ほど下
がり続けており、効果が出てきているとみている。
当社は女性が9割を占める会社だから、婦人科
系、中でも乳がん検診には力を入れている。検診
車を全国に派遣し、320カ所で30歳以上の女性社
員に乳がん検診を実施し、2013年には全国平均よりも18ポイント高い
52.3%の受診率をマークした。胃がんや大腸がんの受診率も全国平均よ
り10ポイント以上高くなっている。
──こうした成果が上がっている要因は何でしょうか。
斎藤 社長が先頭に立って健康増進を訴えているからだと思う。経営理
念としてうたっているのでやりやすい。会社の人事部門と健保組合、労
働組合が連携して従業員の健康維持・増進に取り組んでいるのも奏功し
ている。健康経営は「チャレンジング」な経営課題だが、しっかり取り
組んでいけば必ず成果に結びつくものだと考えている。
「日経ビジネスONLINE」2015年1月29日付け記事より
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150123/276622/?P=1
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情報源
健康経営全般、関連法令
健康経営ガイドブック(経済産業省)
経済産業省が企業が実際に「健康経営」を始めるにあたっての取り組み方について、初歩から指南するガイ
ドブック。前半には、経営者に向けて、健康経営が目指すものとその効果についても触れている。
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei_guidebook.html
健康経営のすすめ(東京商工会議所)
東京商工会議所が中小企業の経営者や人事総務担当に向けて作った「健康経営」のパンフレット。健
康経営に取り組む第一歩となる、自社のステージを確認できるチェックシートがあるのが便利。
http://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=25780
ストレスチェック制度(厚生労働省)
50人以上の従業員がいる会社に実施が義務付けられた「ストレスチェック制度」の概要を説明した厚
生労働省のサイト。標準的な調査票として予定している「職業性ストレス簡易調査表」が掲載してある。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/kouhousanpo/
データヘルス計画(厚生労働省)
2015年施行の「データヘルス計画」の概要を説明した厚生労働省のサイト。
「導入の手引き」があるほ
か、企業の健康保険組合での取り組み事例も紹介している。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/
目指せ健康経営(日本経済団体連合会)
日本経済団体連合会が発行する「週刊経団連タイムズ」が2013年から2014年に連載した記事をまとめ
たもの。東京大学政策ビジョン研究センター健康経営研究ユニットの古井祐司特任助教が執筆している。
健康経営の概略を短時間で把握するのに適している。
https://www.keidanren.or.jp/journal/times/kenkoukeiei.html
東京大学政策ビジョン研究センター健康経営研究ユニット
サイト内に健康経営について解説した資料「『健康経営』の枠組みに基づいた 健康課題の可視化及び
全体最適化に関する研究」がある。
http://pari.u-tokyo.ac.jp/unit/phmr.html
表彰、格付け、調査など
健康寿命をのばそう!アワード(厚生労働省)
厚生労働省が2012年から実施している表彰制度。「日常生活に制限なく暮らす期間」とされる「健康寿
命」を伸ばす取り組みをしている企業、団体、自治体を表彰している。健康経営に取り組む企業の受
賞も多い。
http://smartlife.go.jp/
健康経営銘柄(経済産業省、東京証券取引所)
経済産業省と東京証券取引所が協同で2015年3月に選定・公表した「健康経営銘柄」についてのサイト。
選定された22社の企業レポートもあるが、2014年に開催した説明会の当日資料として公開されている「投
資家から見た「健康経営」について」
(http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/
chiiki/pdf/141105_1_meigara.pdf)が、海外の状況などが良く分かり、役に立つ。
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_meigara.html
http://www.jpx.co.jp/news/0010/20150325-01.html
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情報源
DBJ健康経営格付(日本政策投資銀行)
日本政策投資銀行が実施する「健康経営格付」のサイト。2012年に開始したもので、健康経営への取
り組みを数値化し、格付けの高い企業には優遇金利で融資するというユニークな仕組み。
http://www.dbj.jp/service/finance/health/
健康経営度調査(大和総研)
大和総研が2014年に発表した「健康経営度」に関する調査結果の概要。東証1部・2部の計2352社にア
ンケートした結果で、多くの企業が社員の健康状態や健康増進の重要性を認識しながら、現実的な手
を打てていない実態が見える。
http://www.dir.co.jp/release/2014/20140925_008971.html
健康経営センサス調査(電通)
「健康経営」をキーワードに、2013年に1695社にアンケート調査した結果のサマリー。
「健康経営に取り
組むメリット」
「健康経営を推進する上で必要なこと」などについて、各企業の意識がまとまっている。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2013025-0308.pdf
メディアによる主な報道
「時代は健康経営」(日経ビジネスONLINE)
「日経ビジネス」2015年6月15日号の特集「時代は健康経営」との連動企画。雑誌には掲載していない
記事や経営者インタビューを連載している。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150611/284163/
「健康経営最前線」(日経ビジネスONLINE)
「日経ビジネスONLINE」で2013年から不定期連載している記事。本冊子に登場している企業を含め、
多くのケーススタディを掲載している。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130404/246164/
NHKクローズアップ現代「“健康経営”のすすめ」
NHKの「クローズアップ現代」で、企業や自治体の取り組みに関して2014年に放送したもの。映像の
一部を視聴できるほか、番組内のコメントやナレーションをテキストで全文読むことができる。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3459.html
モーニングスター「東証と経産省、健康経営銘柄を選定―ESG投資にも影響与える「健康」」
株式情報サイトモーニングスターが、経済産業省と東京証券取引所の健康経営銘柄について報道した
記事。投資家の視点に立ち、企業のESG(環境、社会、企業統治)投資と関連した指摘をしている点
が他にない。
http://www.morningstar.co.jp/msnews/news?rncNo=1518702
健康経営フォーラム
健康経営に関連した企業で組織する団体。健康経営の価値と意義を明確化し、情報発信することで、
企業の社会的な評価を高めることを目的とする。日経BP社、日本生産性本部、電通の3社が主催。
http://expo.nikkeibp.co.jp/hcf/
©2015 日経 BP 社
本書の無断転載を禁止します。
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http://mkt.nikkeibp.co.jp/kenkokeiei/
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