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NHK - 日本山岳会北海道支部

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NHK - 日本山岳会北海道支部
第83号 2012年5月9日発行
日本山岳会北海道支部
支部長 滝本幸夫
WEB
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2012年度 北海道支部総会開催
主な目次:
(今月の一枚:海別岳)
~新生公益社団法人として北海道支部、着実な第一歩~
北海道支部総会
開催報告
1
定例山行のご案内
2
50周年記念事業検討 3
プロジェクトチーム
設置
オホーツク分水嶺踏 4~
査報告
8
自然児学校のご案内 9
道民カレッジ報告
9
私の一冊
10
事務局
〒003-0026
札幌市白石区本通1丁目南2
-38
事務局長 西山 泰正
Email:[email protected]
ホームページもご覧下さい
4月7日土曜日16:00から17:45まで、ロイトン札幌で開催されました。
会員56名、委任状61名の117名となり、会員総数190名のうち過半数に達し、総会は成立
しました。2011年度の事業報告と会計報告並びに2012年度事業計画と予算案並びに公益
社団法人移行に伴う支部長再任確認と併せて支部規約改正について審議され、それぞれ
の議案が承認され無事総会は終了しました。
議長には昨年同様海川会員にお願いするとともに金井会員から監査報告をいただきまし
た。お二人には感謝とお礼を申し上げます。そのあと物故者(中村彰志永年会員)に対する黙
祷後、支部長から「一年を振り返って」と支部運営への想いが語られました。
要約しますと、2007年の雪崩事故以降本格再開となった分水嶺踏査について、全長
350㎞ に及ぶコースの2/3の230㎞を踏査し支部創設50周年に当たる2015年までに完遂
できる見込みがたったこと。とりわけ、10月には4㎞のコースに、会員・会友34名が参加し、分
水嶺特有のヤブコギに汗を掻き支部全員の事業として一体感を強めることができ意義ある取
組であったこと。
雪崩事故以来強化してきた雪崩講習について、その成果として指導者資格を取得した3名
の会員を中心に昨年に引き続き札幌以外の道東、道南に地域・対象者を拡げ実施すること
ができたこと。今後、公益社団法人として、50周年の節目に向かって、会員の皆様とともに運
営に知恵を絞るので一層の協力・支援をいただきたいとのお願いと決意表明がありました。
その後、事務局及び各委員会の責任者から2011年度事業実績として、①分水嶺踏査、
定例山行、雪崩講習②高山植物盗掘防止パトロール③自然児学校について報告。
引き続き2012年度の事業計画として、山行企画委員会からは①2015年完遂に向けた分
水嶺踏査推進計画②定例山行と、岩登り・沢登り・山スキー、雪崩研修の実施計画を説
明。公益事業委員会からは①第13回自然児学校②高山植物盗掘防止パトロール、各自然
保護団体主催事業への参加③道民カレッジ講座、「語ろう会」、北海道山岳5団体交流会、
NHK登山教室、「大雪の山を撮る会」の開催、「山の日制定推進策」の実施、総務委員会か
ら各種集会参加、会報・支部通信の発行、ルーム・図書館の利活用、支部ホームページの
充実、支部規約改正などが説明。質疑・意見としては日本山岳会報「山」への積極投稿や
分水嶺踏査に伴う個人負担の軽減について、支部創設50周年検討体制などの議論が交わ
されました。
場所を移して、20時まで会員申請中の1人と会員会友1名、会友5人が加わり61名の出席
により、懇親の場が持たれ支部長の挨拶に続き、新入会員、会友紹介ののち、長谷川前支
部長の開会の言葉により、懇談の場はスタートし多くの皆さんからテーブルスピーチをいただ
きながら和やかに時間が経過し、新妻元支部長の歌唱指導と閉めの言葉で会を終えまし
た。皆さんには承認された支部総会議案を同封しました。
総会・懇親の場を通じてお手伝いいただいた会員・会友の皆さん、大変お疲れ様でした。
http://jac-hokkaido.com/
編集者 工藤 嘉高
臨場感のあるカラー版支部通信
をメール配信しております。アドレ
スのない方・不明の方には、簡易
印刷版を郵送いたします。ご理
解の程宜しくお願い致します。
左:総会の様子 右:懇親会の様子 写真:鈴木貞信
日本山岳会北海道支部通信
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定例山行浜益御殿~浜益岳登山のご案内
2012年度の定例山行の第1弾をご案内いたします。
◎実施日:5月12日(土) 前泊希望者は「旅館浜益荘」
*1泊2食6,500円(℡0133-79-2012)へ電話願います。
■行動計画:5:00までに浜益コミュニティセンター「きらり」駐車場集合
5:30林道合流地点325m→6:50大阪山・533m→7:40・615m→8:30・835m→9:20浜益御殿
・1038m→11:00浜益岳→11:45・山頂→13:15浜益御殿 →14:30・615m→15:00下山
■食糧計画:行動食。昼食など
■各自個人装備必携:日帰り装備+軽アイゼン、ストック(ピッケル)、サングラス、日焼け止め、登山靴、手袋、帽子
◎申し込み:5月10日(木)までに西山事務局長まで申し込んでください
E-Mail :[email protected]にお願いいたします。
※浜益岳の融雪の関係により、当初計画より一週間早まりました。
岩登研修実施のお知らせ
岩登り研修会参加予定の皆様へ
2012年度第一回研修会が下記内容で実施いたします。
◎日時 5月16日(水) 講師:沼崎勝洋・京極紘一 益田敏彦
◎場所 ルーム白石 9:00集合
【午前 座学】
装備確認とクライミング一般について
【午後(昼食各自)】 NACでトレーニング(各自使用料支払)シューズ・ハーネスレンタル可
16:00解散
◎申込 5月14日(月)までに京極紘一会員まで申し込んでください
E-Mail :[email protected]にお願いいたします。
※装備 持っている方は岩登り装備一式、無い方はそのまま越しください。
2012年度道民カレッジのご案内
≪今後の予定≫
~実技~
◎6月13日(水) 赤岩
◎9月19日(水) 赤岩
◎10月17日(水)赤岩
で検討しております。
≪ほっかいどう学に連携≫
「道民カレッジ講座」ほっかいどう学コース 上期(5月~9月)実施分の予定をお知らせいたします。
◎5月22日(火)18:30~20:30 札幌市ボランティア研修センター2階(中央区北1条西9丁目)
「大雪山を撮り続けて」 講師:山岳写真家 市根井孝悦
内容:大雪山に魅せられて40年。春夏秋冬その魅力を語る。
◎6月28日(木)18:30~20:30 かでる2・7ビル(中央区北2条西7丁目) 受講料300円
「熱帯高山の氷河」 講師:写真家 水越武
内容:世界的に有名な写真家が、極めて希有な地帯に存在する氷河への旅を語る。
◎7月26日(木)18:30~20:30 札幌市ボランティア研修センター2階(中央区北1条西9丁目)
「私の見たヒマラヤとアルプス」 講師:植田惇慈
内容:空から見たヒマラヤのジャイアンツやヨーロッパアルプスの山旅を語る。
◎8月28日(火)18:30~20:30 札幌市ボランティア研修センター2階(中央区北1条西9丁目)
「白頭山登頂機」 講師:花島徳夫
内容:2度にわたって北朝鮮の白頭山に遠征した貴重な記録を語る。
◎9月25日(火)18:30~20:30 札幌市ボランティア研修センター2階(中央区北1条西9丁目)
「北海道の山・登頂の記録」 講師:京極紘一
内容:北海道1500m以上の山、夏冬登頂の記録やその他の沢や岩の魅力を語る。
支笏湖復興の森つくり
「支笏湖復興森づくりの会」より本年度の予定が下記の通り届いており、北海道支部として、参加します。
◎春:新たなカラマツ植樹 ◎夏:下草刈り ◎秋:苗木生長調査
参加につきましては西山事務局長までご連絡下さい。
E-Mail :[email protected]にお願いいたします。
車の同乗調整後、集合場所、時間、携行品等について追って連絡いたします。
詳細については、6月の支部通信で改めて、ご案内いたします。
日本山岳会北海道支部通信
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高山植物パトロール事前研修のお知らせ
2012年度の高山植物パトロール実施にあたり、下記日程で自然保護研修会が開催されますので、参加者は可能な限り下
記研修会に参加願います。
◎日 時 5月25日(金) 18:30
◎場 所 札幌エルプラザ(中央区北9条西4丁目)
◎内 容 ① 高山植物盗掘防止パトロ―ル事務について
講師 道庁自然環境課生物多様性保全グル―プ 主査 黒田 勝己氏
② 南極大陸の環境保護と大雪山のパトロ―ル
講師 大雪パークボランテア(元)副会長 藤井 純一氏
※多くのパトロ―ル員の出席をお待ちしています。出席される方は山岳保険の写しを持参してください。
定例山行 芽室岳(1,754m) 登山のご案内
2012年度の定例山行の第2弾をご案内いたします。
◎実施日:6月23日(土)~24日(日)
≪今後の定例山行の予定≫
■行動計画:
◎8月4日~5日
おぼこ岳
23日(土) 16:00頃までに芽室岳登山口に集合して下さい
◎9月1日~2日
平山
24日(日) 6:00登山口出発 10:00頂上 11:00下山開始 14:00登山口解散
◎10月27日~28日 お月見山行
■食料計画
23日(土)夕食は焼肉又はすき焼き鍋・オニギリを用意します、飲み物は各自(会費1,500円程度)
24日(日)朝食、昼食及び行動食は各自
■宿泊
登山口にてテント泊(テントは各自用意)
■装備計画 夏山装備、(頂上付近は残雪があります)
◎申し込み 6月18日(月)迄にメールで、田島祥光会員まで申し込んでください
登山計画書記載に必要なため、年齢、℡、携帯を記入してください
E-Mail :[email protected]にお願いいたします。
50周年記念事業検討プロジェクトチーム(通称「50年PT」)設置
公益社団法人日本山岳会北海道支部創設50周年記念行事を企画・検討するためプロジェクトチーム(「50年PT」)を立
ち上げます。先に開催の常任委員会では、単なる50年目の節目ということではなく、上ホロカメットク山からの再生という北
海道支部独自の意義と理念を明確にする必要があるとの意見が出され、その方向に沿って事業計画内容を具体的に検
討することになりました。具体的内容は今後開催する常任委員会において順次詰めることとし、検討結果を必要な都度、
支部通信でご報告することといたします。
○4月23日に開催の常任委員会での決定事項
■事業計画の企画・運営のために常任委員会に「50年PT」の設置
◆構成メンバー
・チームリーダー~西山事務局長
・プロジェクトメンバー~常任委員会委員
◆事業計画を実行するための委員会の設置
・夏頃を目途に「実行委員会」の設立
・事業計画を円滑化に進めるため、若干名の顧問を配置
なお、常任委員会で話し合われた計画内容のイメージについては、記念集会の開催(「オホーツク分水嶺踏査完遂記念
集会」、「山の日制定」北海道大会兼「東北・北海道支部地区集会」)、海外登山、「50年の歩み」記念誌の作成などが意
見として出されました。これを受けて、次回の常任委員会において、「50年PT」の構成メンバーでは、西山チームリーダーに
よる素案をもとにして、具体的な内容の意見交換をすることとしています。
日本山岳会北海道支部通信
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オホーツク分水嶺 C-12①-2錐山~・663M踏査報告
分水嶺距離 4.0㎞ 総歩行距離 12.1㎞
3月31日 9:12瑠辺斯川出合を出発→13:03錐山稜線→
13:14錐山頂上→15:07 ・607先 C1
4月1日 6:05 C1→7:01 ・663→
8:51 R244水準点204.4着
【1日目】 美幌町で吉野会員のサポート車に乗り、瑠辺斯川
出合へ送っていただく。根北峠は前回同様山並みが全く見え
ず、標高の低いスタート地点でも雪模様で周囲の山並みは
まったく見えず。前回よりは気温が高いがオホーツク海側に低
気圧があり、荒れる事間違いなしの気圧配置。二人とも気を
引き締め前日からの雪を踏みしめながらco680を目指しまし
た。もくもくと山スキーで高度を稼ぎながら錐山稜線分水嶺着
13:03、荷物をデポして錐山山頂まで山スキーで10分足ら
ず。視界は全く利かなく吹雪の洗礼を受ける。本来なら海別
岳や斜里岳が見えるだろうに残念でした。
山頂は積もっている新雪の下がアイスバーンで、co680か
ら・631への急な下りもアイスバーンでエッジが利かず、急斜
面を慎重に降りる。稜線上の風雪は強く視界も悪い。スタート
が予定より1時間20分ほど早かったので稜線上の距離は稼
げ、当初・631と考えていたC1を・607を超えた場所に設営す
る。このころ風雪が大変に強く、テント設営中にどんどん雪が
降り積もる。その後天気予報通り風雪が強まり、森林帯の中
に設営したテントが飛ばされるのではないかと思うほど揺れ
る。
【2日目】 4:00起床、テント撤収してスタート6:05、変わらず
風雪の強い中、分水嶺が西へ折れるco630ポコ通過。600mの
山とは思えない巨大な雪庇が連なり、知床の山の厳しさを前回
同様体感することとなった。・663ではまったく視界利かず、前
回以上の暴風雪で幾科林道への尾根を見極めるのに、コンパ
ス・GPSなど苦労して確認。・663からの急な下りは、当初想定し
た通り吹きっさらしガリガリのアイスバーンで、シールやスキーア
イゼンが利かない斜面が続き二人とも苦労する。
エスケープルートの所要時間は山スキー利用の成果で、3名
でスノーシューラッセルした前回より1時間50分短縮でき所要1
時間50分、8:51装備解除できました。今回も残念ながら2日間
とも山並みはまったく見えずじまいでした。
なお今回も現地は前回以上の大変な悪天候で、数日前に上
ホロで遭難死した事例などあったためか、所轄署からCL連絡先
へ行動確認の電話があったことを追記します。
◎メンバー:CL植田 惇慈、 植田 拓史 サポート:吉野 勝夫
風雪の分水嶺を行く
オホーツク分水嶺 B8-①藻琴山~美幌峠 踏査報告
分水嶺距離 10.5㎞
3月9日(金) 12:40 もことやま山荘→15:30 銀嶺荘(泊)
3月10日(土) 7:00銀嶺荘→8:30藻琴山→14:50美幌峠
【はじめに】 女満別町(現、大空町)に生まれ、晴れた日には
家から藻琴山が見えていた。それほど高い山でもなく魅力的
な山とは思ってはいなかったが、2011.10のオホーツク分水
嶺で久しぶりに頂上に立った時に、美しい屈斜路湖を見なが
ら向こうの美幌峠まで行けたらと思った。
【3月9日(金)】 札幌組は成田車(常本・岡田・今田)、一鐡
車(銭亀・土屋・武田)の8名で集合場所である美幌峠に向
かった。待ち合わせ時刻の11:00前には既に帯広組(田島・
助田・大崎・中谷)、北見(増子)、函館(片岡)が到着しておりメ
ンバー14名全員が
集合した。増子車と
片岡車をデポし宿
泊地の『銀嶺荘』へ
向かった。12:40
もことやま山荘(現
在、休業中)に向か
いの駐車場に車を
止め出発した。
15:30銀嶺荘に
記念撮影!
文:植田惇慈 写真:植田拓史
文・写真:岡田秀二
到着した。早速、入口とトイレの雪かきを行い、水質日本一と言
われた事の有る銀嶺水を掘り起こした。銀嶺荘には何十年振り
に見た石炭ストーブと石炭が置いて有った。
【3月10日(土)】 朝、外に出ると昨夜の祈願通り快晴で有る。
テンション120%にアップ。7:00 藻琴山頂上に向かって出発し
た。8:30藻琴山から美幌峠に向かって分水嶺の開始で有る。
頂上付近は木々が密集し中々進めない。また左側(湖側)は雪
庇での危険性が有り多少内側にルートを取った。
9:00危険地帯も終わり記念写真を撮る。偶然かもしれない
が、いや何か有るのだろうか。うさぎやキツネの足跡が分水嶺
ルートを歩いているのである。分水嶺の見分けで目視だと右側
の方が高く見える。GPSには誤差が有るのは判っているがGPS
の方を信じてしまう。831P(9:30)→481P(11:30)、遠くに藻琴
山の山頂が見えている。随分歩いて来たなと思うが、まだ半分
の 距 離 に テ ン シ ョ ン 50% に ダ ウ ン。461P(12:05) → 500P
(12:53)→485P(13:40)→498(14:15)とひたすら歩く。思ってい
た以上に平坦でスキーで滑る事ができない。徐々にシールに雪
が付いてきた。重い足取りで有ったが14:50踏破!!
皆様、お疲れ様でした。ありがとうございます。
◎メンバー:CL武田一生、SL増子麗子、SL田島祥光
片岡次雄、助田梨枝子、大崎勝子、中谷秀子、一鐡巌、土屋
繁、銭亀三佐子、岡田秀二、常本良一、成田寛、今田美知子
サポート:吉野 勝夫
日本山岳会北海道支部通信
Page 5
オホーツク分水嶺 A-2 芽登峠~池北峠 踏査報告
分水嶺距離35.5km (1日目 3.1km 2日目 10.7km 3
日目 12.3km 4日目 9.4km)
3月13日 5:00 神埜車にて札幌発
9:00 足寄にてサポート・助田梨枝子さん合流
10:00 池北峠に神埜車配置
11:30 芽登峠(標高710m)より入山
12:50 ・961mに取り付<
15:10 △1123m肩通過
15:45 標高1070mでC1
3月14日 6:20 C1発
9:40 ・1044mアンテナ無し
10:10 ・1051m通過
14:45 東三国山(標高1230m)着
15:50 標高1190mでC2
3月15日 6:00 C2発
10:55 三角点標高791m通過
13:00 最低コル(600m)通過
15:50 ・858mでC3
3月16日 5:50 C3発
8:30 釧北牧場西端牧柵着
9:50 三角点標高431m及び電波塔の近くを
通過
10:20 池北峠(標高400m)着
12:40 足寄温泉→17:00 札幌着
3月7日16:30 エルプラザにて最終打合せが行われた。
鈴木貞信さんが参加出来ず、京極紘一さんと益田敏彦さん
の3人パーティーとなった。
3月13日、芽登峠発11:30 サポートの梨枝子さんに見送
られてうっそうとした樹林帯に分け入った。込み入った樹林
の中は雪が柔らかでスキーが埋まり、ザックの重さを考えると
この先の不安が心をよぎる。 12:50、・961mの急登にとりつ
いた。樹林は濃く、密生した幼木がバリケードのようにたちは
だかる。絞まりのない雪にスキーは後退りし、ザックは枝に
引っ掛かり、スキーをはずして倒木を越えるなどして悪戦苦
闘の末14:30やっとの思いでこのポイントを抜けた。峠で入
山準備しながら食べた梨枝子さん差し入れのお赤飯が困難
を克服するエネルギーになりました。
△1123m肩を15:10に越え、15:45、標高1070mのポイント
でC1とした。益田さんのザックから大量のアルコールが出て
きたのにはビックリ。宴会となりました。
3月14日薄曇り、微風の中6:20にC1を出る。樹林の中、
眺望はきかず、尾根を確認しながら進むと8:00に高圧送電
線の下に着く。遠くに樹林に覆われた東三国山(標高1230
m)が見える。台地状の尾根を進むと樹林の切れ目からクマ
ネシリ岳が白く輝いていた。1030mのコブとポイント1044m
に記載のある電波塔は撤去されていて無かった。林道の直
線路に入り・1051着10:10であった。
ここから標高差200m東三国山に向け、樹林帯の緩やか
斜面を進み・1159m、・1104mを通過し・1145mの岩塔に
文:神埜和之
写真:京極紘一
取り付いたのは11:00であった。濃い樹林に覆われた岩塔に
益田さんが進むも深雪の斜面は埋まるばかりで先に進めず、こ
こでも悪戦苦闘となった。京極リーダーの「一度、コルまで下が
る」の指示で仕切り直しとなった。右巻きにルートを変え、眺望
のきかない樹林の中ひたすらスキーを進めた。14:45、東三国
山標高1230m登頂。この踏査での最高点である。樹木があっ
て眺望がきかないだけに「感激」より、ここからは下りの「安堵
感」であった。スキーを北にむけ進み標高1190mでC2とした。
15:50であった。夕食時益田さんのザックから缶ビール500ml
が出て来て、話がはずんだ。
3月15日晴 6:00スタート時に京極リーダーから「今日の
ルートは尾根を確認」の指示があった。・1146m地点での尾根
の確認は慎重であった。地図、GPS更に空身でルートの下見
をして進んだ。今日も眺望はきかない。・772mのポイントでも
慎重なルート選択であった。三角点標高791mの通過は10:
55であった。風がなく、地吹雪にならないだけ尾根を歩けた。
14:00近く降雪があったが15分位の事であった。・832m地点
を15:00、・858m地点で15:50となりC3とした。益田さんの
ザックから「最後のビールです」とまたも500ml缶が出て来た。
こんな美味しいビールは初めてであった。
3月16日 昨日と同じ晴れで朝日の中、5:50スタート。標高
が下がり、尾根が分かりづらい樹林帯にはいった。 GPSで確認
しながら進み・840mのポイントを東に折れ、・785m地点から
は更に平坦となり、深雪にスキーを取られながら進んだ。
8:30、釧北牧場の西端部の牧柵に着く。お二人のルート選択
に「脱帽」。「あと2時間」のリーダーの声に励まされた。牧柵内
にルートを進め、三角点標高431m近くの小山通過は9:50、
国道を走る車が見えスキーに力が入り、池北峠着10:20で
あった。
10:50池北峠発、足寄温泉で入浴し高速に入った。天候に
恵まれた4日間であった。
帯広近郊から、日高山系、大雪山系の白い山並みが陽に
輝いていた。まるで3泊4日踏査の「ご褒美」の様であった。
◎メンバー CL京極紘一、神埜和之、益田敏彦
◎サポート 助田梨枝子
東三国山頂上
日本山岳会北海道支部通信
Page 6
オホーツク分水嶺 遠音別岳~ラサウヌプリ~海別岳踏査報告
分水嶺距離22.6km(二日目8.5km三日目7.9㎞ 四日目
6.2㎞)
総歩行距離38.2km
メンバー:京極紘一(CL)、益田敏彦。 サポート:伊藤正博
4月10日 伊藤正博さんのサポートにより海別岳峰浜に配
車した後、オペケプ川林道口に送ってもらう。
12:15 オペケプ川林道入口 出発
13:20 送電線P252
16:30 森林限界でキャンプ C1
4月11日 5:45 出発
7:00 分水嶺到達 ザックデポ
8:55 遠音別岳 着
9:55 デポ地帰着
15:30 P772とP607のコルでキャンプ C2
4月12日 6:20 出発
10:50 ラサウヌプリ 着
16:20 P771とP888との間でキャンプ C3
4月13日 6:10 出発
8:55 鉱山道路跡(峠)
13:00 海別岳 着
15:30 峰浜(・194m)下山
4月10日 札幌を早朝にスタート。網走の伊藤正博さんの
サポートを得て下山口の海別岳峰浜に配車してオペケプ川
林道入口まで送っていただく。オホーツク海は青いが流氷の
残骸である氷塊が残る岸辺を背に鹿防護柵の網戸を開閉
してオペケプ川林道に入り12:15スキーを付けて出発。陽
光は眩しく、汗が噴き出るように流れる。
じきに林道と別れて遠音別岳の北西尾根の樹林の中を
行く。1時間で252mの送電線に出た。行く手には「ラサウの
牙」と呼ばれる岩峰が流れる雲の中に奇怪な姿を見せてい
る。さらに鬱蒼たる樹林の中を進み341mのコブを越えると
白樺の林となり、それを抜けて急な尾根を登ると原生林とな
る。森林限界まで進んで16:30にキャンプした。
4月11日 5:45 高曇の下を出発。樹林を出るとテラテ
ラに氷化した台地の上に真っ白くウサギがうずくまるような形
で遠音別岳の頂があった。
重荷のため台地を巻くように南へトラバースして分水嶺を
目指す。樹林との境をスキーでうまく辿り、遠音別岳の南コ
ル標高720mに出て7時に分水嶺に乗った。
重荷とスキーをデポしアイゼンとサブザックの軽装で遠音
別岳のアタックに向かう。カリカリに氷った広い急斜面にアイ
ゼンを利かせ強い風を受けながら登ること2時間、東壁を見
下しながら頂上に8:55に立った。どんよりとした空の下に知
西別岳や羅臼岳がモノトーンのように浮び、目を転じるとこ
れから向かうラサウヌプリの先に海別岳が霞んでいた。植田
パーテーへのメッセージを赤い連絡テープに残して9:10に
下る。9:55デポ地帰着。強風の中、スキーを着用してクラス
トした稜線を南下。小ピークが多くアップダウが続くがシール
を付けたままカタカタと滑り降りたりナイフリッジを強引にス
キーで突破したりラサウの牙を右に見ながら進むが、P691
文:京極紘一 写真:益田敏彦
mの辺りからガスに包まれる。吹き付ける風は強く湿ったガス
は濃く体を濡らし始めたのでP607を越えたコルで15:30キャン
プとした。風がゴーゴーと走り抜けるが積上げたブロックのお陰
でテントは静かだ。
4月12日 曇り空、烈風の中をスキーで6:20出発。直ぐに
氷った尾根となりスキーをトラーゲンしてアイゼンを着用。岩稜
となり岩塔が幾つも立っていて基部をたどるが、足元は陸志別
川にスッパリと切れ落ち結構な高度感である。P772に出た頃
から青空が出始め、ラサウヌプリの登りに入ると雲海の上に遠
音別岳が浮び、見事な眺めとなった。しかし風は強烈に強く、
幾度も耐風姿勢をとりながら進み、10:50快晴のラサウヌプリ
の頂に立った。眺望は羅臼岳から遠音別岳、海別岳と続き最
高である。国後のチャチャヌプリも見える。
下りは岩稜右の垂直に近いルンゼをバックステップで下る
が、烈風が氷片をブリザードのように吹き付けてきて苦しむ。な
んとかクリアして岩稜の基部に11:20に出ると、不思議なことに
烈風はピタリと止み、穏やかな春山となった。この先はスキー
を着用、春の陽光を浴びながらの稜線漫歩となった。P669を
14:00に通過。P771を越えた先のコルで16:20キャンプ。
4月13日 真夜中から強風が吹き荒れる。高曇の中を6:10
出発。案の定尾根はカリカリに氷化していてシールを目一杯利
かせて登る。物凄い烈風に煽られながら進むもハイマツの露
出した斜面は立っていられず、スキーを抱えて尻滑りで降り
る。P888は耐風姿勢も崩れ、よつんばいになって尾根の陰に
逃げ込む。風との闘いに消耗しつつスキーのまま何とか進む。
P901の下りは氷った斜面をカリカリ言わせてスキーで滑るが、
シールがボロボロになり始めた。ガスに包まれ吹雪となってき
た。地図とコンパスで方向を決め幾つかのピークを越えていくと
樹木が多くなり、風も穏やかな鉱山道路跡である峠に8:55に
出た。吹雪の中を広い尾根をたどり947mの登りにかかるが、
シールが利かなくなりアイゼンを着用して登る。次第にハイマツ
がミックスした尾根となる。尾根はますます急になり氷った斜
面はアイゼンのツアッケが少ししか食い込まないほど固い。風
も収りガスも流れてオホーツク海や海別岳の頂稜が見えだ
す。ナイフリッジを登って海別岳の頂上に立ったのは丁度
13:00あった。無風・曇天の静かな頂から斜里岳やオホーツク
海の流氷が望めた。振り返ると急なリッジの下に雲海が広が
り、歩いてきた分水嶺は残念ながら望めなかった。
下りはニセピークを越えて北西尾根を1170mまで下ってアイ
ゼンを外した。
そこからの滑降は
最高のフイナーレ
を飾るものであった。
車デポ地15:30着。
ラサウヌプリの頂上
後は遠音別岳
日本山岳会北海道支部通信
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オホーツク分水嶺 C-13②遠音別岳~知西別岳 踏査報告
分水嶺距離:5.9km 総歩行距離:36.6 ㎞
4月12日 9:05 春苅古丹さけ・ますふ化場出発
10:40 春苅古丹川緑栄橋、林道分岐
16:00 遠音別岳内院・745南Co753mBC
4月13日 5:20 BC出発 スキー
7:00 分水嶺稜線(・1170北東)到達
7:20 吹雪のため引き返し、下山
9:30 BC帰着 停滞
4月14日 4:40 BC出発 ツボ足
6:20 ・1170分水嶺稜線、到達
7:40 遠音別岳(1330m)山頂
11:50 1275mピーク 通過
13:10~20知西別岳(1317m)山頂
14:45 ・1184 分水嶺離別
15:35 BC帰着
4月15日 6:20 BC撤収、出発
8:35 緑栄橋、林道分岐
9:50 春刈古丹さけ・ますふ化場帰着
2011年のゴールデンウィーク、京極CLのもと知床峠~遠
音別間13kmの分水嶺踏査を目指すも、峠通行止めと悪天
候のため途中撤退となった。その時残していた知西別~遠
音別間5.9kmの再挑戦となる今回。植田惇慈CLと植田拓
史の2名体制で臨む。
12日、順調に車を走らせ、予定より早く9:05歩き始める。
雪解けの進む林道をひたすらスキーを進める。3泊4日分の
荷物が肩に食い込み、晴天の中汗が吹き出る。緑栄橋付
近での渡渉を期待するが、雪解けが進み立派に川が出てい
る。かなりの迂回を覚悟して春刈古丹川の左岸をたどると、
運よく作業用(?)の仮設橋を見つけ無事渡渉完了。右岸の
岩壁を左に回りこむと目指す遠音別岳の東壁が姿を見せ
る。まるでヒマラヤかヨーロッパアルプスのような堂々とした
姿。気持ちも昂ぶる。二股を越えた後はゆるやかな斜面を
どこまで距離を伸ばせるかの勝負。等高線間隔は非常に広
く、余裕かと思われたが細かい畝(うね)状地形のアップダウ
ンが体力を奪う。・745南標高753mポコでタイムアップ。BC
を設営し明日に備える。
13日早朝、アタックに向けてテントを出るが高曇り。遠音
別の向こうには暗い雲が見え、天候の悪化の兆し。スキーを
履いて出発、程なく支尾根に取り付くが、カリカリに凍った斜
面はシールが効かない。スキーアイゼンを装着するも、標高
900m以上は無理。スキーをデポしアイゼンを装着する。稜
線に上がると遠音別山頂はすでに雲の中。山頂を目指す
が、吹雪とガスで視界不良となり、とても細尾根を歩ける状
況でないと判断、比較的尾根のやさしそうな知西別方面に
足を向ける。が、風雪は強まるばかり。稜線の形もまったく判
別できず、これではいつか落ちると思い、すぐに撤退を決め
る。GPSと地形図を頼りに尾根状を下り、BCまで降りてまだ
9:30。天候が回復したら知西別だけでも再アタックしようと相
談するも、雪、風いっこうに収まらず、ふて寝する。結局この
日は動けずBC二泊目。明日の天気回復に期待し、再度、
文・写真:植田 拓史
遠音別、知西別両山にアタックすることに。夜中、テントが大き
く揺れる強風が吹き荒れる。
14日、山頂に雲、風が少し残っているが天候は良くなりそう。
朝食を食べて、4:40つぼ足で出発。今日は長い一日になりそ
うな予感。分水嶺稜線手前で風が止み、山頂もきれいに姿を
見せる。遠音別山頂までは両側が切れたナイフリッジ。滑落し
ないよう、雪庇を踏み抜かないよう慎重に歩みを進める。植田
拓史、高度感にびびって足が出ず、植田惇慈CLにトップで
ルートを切り開いてもらい、その後をおっかなびっくり進む。稜
線到達から1時間20分、7:40遠音別岳山頂到着。3日前に
京極隊が残してくれた赤テープが昨夜の風に叩かれた雪面か
らかろうじてその姿を見せている。皆の力で分水嶺踏査がつな
がっている事に感動しつつ、テープを回収。
遠音別岳への稜線
その後も続くナイフリッジを抜け、10:20、1030mの最低コル
へ降り、難関が一段落したところで、植田CLはここまで常にトッ
プを歩いた疲労とこれからの距離を勘案しBCへ下山。植田拓
史単独で知西別を目指すことに。コルから山頂まで3.7km、
時間的には間に合いそう。必要ないと思われる荷物を植田CL
に預け、最小限の荷物で出発。分水嶺上を歩くため、小ピーク
を3つ越えていかねばならず、アップダウンに時間をとられ
る。・1267(通称ペレケ山)山腹の台地から山頂手前までの細
尾根をものすごく緊張しながら抜け、あと150mで山頂というと
ころで、最後の難所、岩の出たナイフリッジに出くわす。ギブ
アップ、もう帰る、帰ろうと心底思ったが、岩の直登を試行、断
念した時に左に巻けるラインを発見、腕の力がなくなるほどピッ
ケルを打ち込みながら一歩一歩進む。13:10今までの緊張感
が嘘のような穏やかな山頂。羅臼岳からの連山が青空に白く
稜線を刻み、オホーツク海の沖合いには真っ白な流氷、太平
洋側には国後島が黒く浮かぶ。一年前に京極CLと来たときも
この景色を見ていたんだなと思い起こし、しばし感慨にふけりた
かったが、またあの緊張するルートを通って帰らねばならない
ので記念の写真を撮ってそそくさと下山。帰りは登り返しの少
ないラインを選び、一目散にBCへ。程よく緩んだ雪面をキック
ステップでとばす。
日本山岳会北海道支部通信
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15:35BC帰着。植田CLがお湯を沸かして迎えてくれる。安
着のビールの美味いこと。
15日、帰るのがもったいないほどの晴天。ゆっくりと朝食、
テント撤収をして、6:20スキーで下山。できるだけ畝の登り
返しを避けながらスキーを滑らし、順調に二股、簡易橋を通
過、最後の長い林道を黙々と歩き9:50車に戻る。行きは7
時間かけたところを3時間半で戻る。やればできるものだ。
一日の停滞日を挟んだものの、三泊四日で昨年からの宿
題だった分水嶺を歩くことができ、無事に帰ってこられたこと
に大きな達成感を感じる今回の山行だった。来年の、知床
峠から岬へ向けてのルートも安全に、確実に踏査し、つなげ
ていきたい。
◎メンバー:植田惇慈、植田拓史
P1275から降りてきて。真ん中が知西別、
右奥に羅臼岳からの知床連山
オホーツク分水嶺 B-11①-1
清里峠~・592~・788踏査報告
分水嶺距離 5.8㎞ 天候:曇り
行程(日時):
4月17日10:30 清里峠発→13:00 ・592→14:00co574
テン場着C1
4月18日6:00 C1発→6:25・660→7:10・723→8:10-30
・788→9:46・660→10:00テン場着テント撤収
11:30発→11:50・592→14:00清里峠着
4月17日(火)予報通りの曇り空ですが現地の天候に期待
し、田島車(3名)で清里峠に向かう。車窓から眺める残雪と
春のきざしに見とれながら、これから行く山には雪があるのか
と不安がよぎる。なぜなら「雪が無ければ中止」と田島Lの判
断が告げられているからです。
10:00清里峠着。心配した雪は驚く程の積雪量でスキー歩
き踏査出来ることの嬉しさでホットする。
10:30出発、標高434mでは雲が下がり小雨模様で視界
が悪い中、スキー装着で田島LはGPS片手に、助田さんと私
は帰り迷わないようにとルート旗付け役で歩き出す。
出発から1㎞程なだらかでアップダウンも少ない針葉・広葉
樹が多く、やっと樹林帯からくぐり抜けると、一気に130mの
急登の山・592です。この山を登らないとテン場に着かない
のです。8合目辺りから強風にあおられる足元はアイスバー
ンのところもあり、ジグを切るのが大変で慎重そのものでし
た。(助田さんはスキーアイゼン着用でした)
13:00・592山頂着、頂上は一部雪もなく短い笹が出てい
ましたが、今度は風の当たらない低いところ迄移動しスキー
滑走。14:00co574テン場到着。時間も早かったのでゆっく
り体を休め、明日に向けての晴天祈願祭で盛り上がりまし
た。
4月18日(水)6:00、C1出発。昨夜からの小雨も止み、今
日も曇りのようだ。
田島Lから今日のコースと注意点のお話があり、スキー装備
でスタートです。20分歩いたところで「熊の足跡」発見。まさ
しく今歩いたばかりで足の爪痕まではっきり雪に残っており、
文:中谷秀子
写真:田島祥光
ザワ~不気味、田島Lはすぐ笛を鳴らしてくれた。
7:10・723標高も高く、周りの木々はまばらになり、遠くは雲が
下がり何も見えない。
8:10・788終点の山頂到着。登り2時間10分、ヤッター握手で
登頂を喜びあい。
ルート旗を付け記念写真を撮り、京極さん漆崎夫妻の踏査と
つながったことの喜びで万歳の繰り返しでした。時折眼下の雲
が切れ近くの尾根が見え隠れし、晴れていたら養老牛岳、
標津岳と素晴らしい眺めだろうに残念でなりませんでした。
8:30頂上を後にスキーでの急降りに気を付け、アップダウンの
繰り返しとルート旗を取り外し、途中登頂祝いと小休止し下
山。今朝見た熊の足跡の他にまた新たな足跡があり危険個
所のようです。10:00テン場着 (下り1時間30分)
11:30テント撤収し下山、11:50・592頂上には笹が出ている
為北に巻き滑走。14:00清里峠到着。2日間厚い雲の中を歩
き、遠くは何も見えませんでしたが、田島Lのお蔭で分水嶺を
歩くことが出来大満足です。有難うございました。
◎メンバー:CL田島祥光 SL助田梨枝子 中谷秀子
写真 予定
・723で記念撮影
日本山岳会北海道支部通信
2012年
第13回自然児学校
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実施にあたり協力スタッフ募集
来る7月27日~29日の3日間、日高にて第13回自然児学校を開催いたします。子供達へ広い声掛けによる募集は皆様の
協力なしに実現できません。 前回は、登山、キャンプファイヤー、化石のレプリカ作り、ご飯炊き、そして、名物ツリークライミ
ングなどを行い、子供達もそこに潜むリスクを回避するすべを学びながら、存分に自然を楽しんでいただけたと思います。
実施概要は下記の通りです。詳細は追ってご案内いたします。皆様の協力のほど、宜しくお願いいたします。
◎実施年月日 平成24年7月27日(金)~7月29日(日)
2泊3日 JR札幌駅集合 バス停より発着
◎実施場所 日高町国立日高青少年自然の家 キャンプ場
◎児童応募要項 小学4年生~中学3年生 25名程度
◎参加費 (検討中)
◎主なカリキュラム 登山、ツリー・クライミング、ロープ・ワーク、
キャンプファイヤー
※自然児学校の実行委員を募集しております、
お手伝いいただける方連絡ください。
◎連絡先 田島祥光会員まで
FAX
自然児学校へ寄付金お知らせ
当会会員
浅利欣吉様より自然児学校事業へ10,000
円
0155-35-2522 E-mail [email protected]
道民カレッジ「登山用具の変遷」を受講して
3月15日(木)のルームは満席の状態で講師の金井哲夫
氏が資料のコピーの増刷りで多忙でした。その資料とは秀岳
荘初代社長「金井五郎」氏の手書きのカタログであり、そぼく
な昭和27年初版カタログは登山用具の変遷の原点であり、
懐かしい用具・用語が金井哲夫氏の静かな口調で語られ、
充実した時間でした。金井テントから秀岳荘への移行、北大
山岳部員の意見による用具の製作など秘話が多く、失敗の
連続と用具の改良など、物資不足の時代を創造力と五郎
氏の人脈の輪が拡大し、用具の変遷を通して北海道登山
界の人脈を知る貴重な時間でもありました。
門田のピッケルの変遷、山岳スキーの製作など、秀岳荘
50周年記念誌「山の仲間と50年」に編集しきれなかった余
話も多く、特に日本が始めて開発したビニロンの化学繊維の
収縮性によるヤッケ・テントへの応用は苦情処理の連続で
あったこと、登山用具の変遷は登山人口の変移でもあるこ
と、現在の山ガールブームにつながるファッション性への幅
広いニーズが多様化していることなど、2代目「金井哲夫」社
長の苦労を痛感しました。
夜の2時間はアッという間に過ぎてしまいましたが、最後の
映像による「ポロシリの山旅」は圧観でした。金井五郎氏が
文:新妻徹
写真:今田美知子
若かりし頃、坂本直行氏をリーダーとした日高山脈の8ミリ映
画、50フィート4分間の16コマ撮りをVHSに収録し、更にDVD化
した貴重な動画であり、BGMなしですが、五郎氏がポロシリ
七ッ沼で泳ぐ後姿のシーンが懐かしい。大きなキスリングで渡
河するシーンは迫力があり、ラストシーンは馬車に乗って直行
氏の開拓原野(野塚)に向かう山族の笑顔が印象的でした。
用具の改良や進化は、産業に効率を求めるものなのでしょう
が、登山の世界に限らず精神文化の豊かさを再認識した集会
でした。 (参加者23名)
思い出の品を丁寧に語る金井講師
NHK登山教室の実施のお知らせ
日曜ゆっくり登山実施スケジュール
◎5月13日 伊達紋別岳
◎6月17日 ホロホロ・徳瞬瞥山
◎7月14日~15日 雄阿寒岳・雌阿寒岳
◎8月19日 札幌岳
◎9月 9日 黒岳
◎10月7日 目国内岳
講師:武田一生ほか
熟年からのゆっくり水曜登山実施スケジュール
◎5月23日 濃昼山道(濃昼峠)
◎6月27日 昆布岳
◎7月25日~26日 石垣山・白雲岳
◎8月22日 ペンケヌーシ岳
◎9月 5日 余市岳
◎10月5日 ホロホロ・徳瞬瞥山
講師:神埜和之ほか
日本山岳会北海道支部通信
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シリーズ「ヌプリを読む」
文:鈴木貞信
毎年の支部総会時の楽しみの一つに、当日配付される
「ヌプリ」がある。
日頃の支部活動は支部通信やHPなどで知ることが出来る
が、100年前の話、大正時代や昭和戦前当時の山の話、道
外や海外の山情報、そして深田久弥氏や今西錦司氏など
先人と北海道支部との関わり、山と人との出会いなど、いつ
も楽しみにしている。特に、昔の登山はどのようにして行われ
たかに興味を持って読んでいる。
現在は山に登られていな方でも、昔登った山の話など、こ
れからも「ヌプリ」に投稿頂き、お教え頂きたいと願っていま
す。
また、編集にあたり、原稿集めから編集・校正・印刷手配と
分水嶺など忙しい山行の合間に尽力頂いた編集人に感謝
し、心からお礼申し上げます。
これからも「ヌプリ」を楽しみにしています。
私の「この一冊」
「空白の五マイル」
「そして謎は残った」
角幡唯介著
2010年11月発行 集英社
会報「山」797号で紹介された「第一回・山と探検文学
賞」など昨年いくつかの文学賞を贈られた作品で、爽やか
な読後感を味わえる読み物としてお薦めしたい。
ヒマラヤ山脈に並行してチベット高原を大きく東へ横切る
ツアンポー川は、山脈東端で岩山の隙間を通り抜ける急流
に変わった後、名を変えてベンガル湾に注いでいる。山脈
を横断する急流は途中で人を寄せ付けない難所を作り、
探険家の誰もが挑戦してみたい未確認の流域が「空白の
五マイル」として残されていた。この本は、その流れを確か
めながら単独の踏査行で埋めた探検記録である。
“探検がしたかった。ツアンポー峡谷の探検史というパズ
ルに残された最後のピースを自分ではめ込もうと決めたの
だ”といった決意と執念を集中させた文章が続くが、若々し
い奔放さと図太さが上手く表現されていてバランスがいい。
また、先人が500本もの丸太をながして下流を確認した奇
想天外な事実や、近くの支流で日本のテレビ局が秘境ラフ
ティングを取材していた様子とその遭難事故などにも触れ
ていて話題が多い。まさにノンフィクションの中にこそドラマ
があると実感できる楽しい時間を戴いた想いがする。
この本は著者の高校時代の恩師に当たる海川俊雄会員
(函館)から御寄贈いただき、図書室に収まっていて何時で
も自由にご閲読頂けます。
(記:藤内英夫)
会員・会友動向(敬称略)
◎新入会員(申請中) 園部 保
◎新入会友 会友番号95 東一男
会友番号96 益田敏彦
会友番号97 津田キヨ子
会友番号98 宮崎正徳
◎退会会友 No13前田靖子 No89 沼田邦夫
No79 坂東幸男 No55 三宅昴
No74 柳沼勝
ヨッヘン・ヘルレブ、エリック・R・サイモンスン著
1999年12月 文芸春秋社
サイモンスンを隊長とする米国の「マロリー・アービン捜
索隊」は、1999年5月1日、エベレストの8230m地点で
ついに伝説の登山家マロリー(英)の遺体を発見した。
マロリーとアービンがエベレスト世界初登頂を目指し、
遭難したのは1924年のことだが、マロリーが登頂してい
たかどうかをめぐって様々に議論されてきた。彼は嘗て
「なぜ山に登るのか」と問われた時に「Because It is
there(そこに山があるから)」と答えたことで有名だが、本
書は75年ぶりに遺体で発見された、その時の記録であ
る。
マロリーのたどったコースの推定、遺体発見時の様
子、登頂したかどうかの考察等、興味ある資料が提供さ
れ、やがて、マロリーの人間像が浮き彫りになる。
(記:海川俊雄)
※皆様からの「この一冊」に関する投稿をお待ちしており
ます。多くの方の推薦本を掲載したいと思いますので、
300字ほどのコメントを日本山岳会北海道支部 私の「こ
の一冊」係まで郵送又は、メールにてお願い致します。
郵便:〒003-0026
札幌市白石区本通1丁目南2-38
(Email)
[email protected]
オホーツク分水嶺基金のお願い
現在、踏査を推進しているオホーツク分水嶺。全体の約半分
を終え、終点の知床岬まで着実に進んでおります。分水嶺踏査
完了の実現に向け、寄付金を募集しております。今年度より公益
社団法人になるにあたり、寄付金は24年度の控除対象となりま
す。皆様のご協力のほど宜しくお願いいたします。
北海道銀行本店
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