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「布団乾燥機」
2005∼2006 年製品発表 「布団乾燥機」 システム創成学科シミュレーションコース 30777 梅城 崇師 c 2004/7/8 梅城崇師 page 1 背景(業界、製品動向) 布団乾燥機の競合分野として考えられるのは、除湿機、乾燥機メーカである。最近の除 湿乾燥機には、浴室を乾燥させる程の高機能を持ったものが多く、室内の乾燥によって布 団も間接的に乾かすような製品もある。また、布団の下に引いて、湿気を乾燥し、天日干 しによってその機能を回復するような除湿シートも存在する。 しかし、布団乾燥機の主な役目である、「布団を乾燥させる」、「布団を暖める」 、「ダニを 退治する」などの機能まで持っているような競合物は他にはない。除湿乾燥機の機能も、 布団乾燥をすると部屋に湿気がこもるという部分をついて出てきたものである。唯一、布 団乾燥機に抵抗できるものがあるとすれば、それはお天道様である。太陽の下で布団を干 すことが、布団を乾燥させ、ダニを退治し、暖めるという点では一番優れている。これに 勝るものはなく、この意味では布団乾燥機は必要ないとすらいえる。 布団乾燥機の基本構造としては、熱発生と送風のみであるので、簡単に製造しやすく、 値段も数千円程度が主流と安価な家電製品である。付加機能として高度な機能もそれほど 求められていないのが現状であり、中小規模の電気メーカもそれほど多くはないが参入し てきている。当然ながら、大手電気メーカは、ほぼ全社とも一通りの製品(シリーズ)を 投入してきている。 商品を生産しているメーカを例に挙げると、大手では、松下電器(パナソニック、ナシ ョナル)、三菱電機、三洋電機、日立電気、東芝電気。それ以外では、カンサイ、テスコム、 マツデン、サンリオなどがある。ここで、サンリオが投入している布団乾燥機はキャラク ターの図柄入りの乾燥機であり、ターゲット層を絞り込んでいるのが特徴となる。 布団乾燥機は、太陽の下に布団を干すのが面倒だったり、干せなかったりする人が使用 する場合が多い。例えば、日中外出の多い人や、花粉症等で屋外に布団を干すことが困難 な人、幹線道路沿いで埃が覆い地域である。また、冬場の冷えるときに、布団乾燥機で布 団を暖めたところに就寝するという使い方もある。 最近の布団乾燥機の主な機能として、羽毛羊毛対応や、ダニ退治機能はもちろんのこと、 フィルターにカテキンやフェノール系ポリマーを添着してウィルスを不活化するといった 空気清浄機のような機能を持ったものが多い。また、乾燥機としての機能を存分に生かす ため、洗濯小物や靴も乾かすことができるようなものが登場する一方、ホースを延長し温 風を2箇所から吹き込んだり、ダブルサイズベッドに対応したり、マット着脱不要など、 従来の機能や取り扱いを改善したものなど多数の種類がある。 これらは、既に安定商品になっており、更に長寿命商品であるので、買い替えもそれほ ど見込めないことから、各社様々な創意工夫を基本機能に加えることで、少しでも目立つ 製品を作ろうとしている結果である。 c 2004/7/8 梅城崇師 page 2 ライフスタイルシナリオ(使っている姿イラスト) 使用の度に出し入れするのを避けたい。面倒くさがりな人にも使ってもらいたい。 布団とセンサーに布団乾燥機が直結しており、人がいないときに自動的に布団乾燥を行 ってくれる。メインターゲットは、忙しい学生や会社勤めの人。使用場所はもちろん家。 朝 昼 Seitch ON 行って きます オキター 夜 夜 Seitch OFF 送風 ON ふかふか ひんやり してるぅ してるぅ また、室内の気温を感知して、冬の寒いときは、できるだけ遅い時間まで保温するよう にしておき、夏の暑いときには、寝つくときに送風し、寝苦しさを緩和する。 布団乾燥機本体は邪魔にならないように、ベッドの下など、どこにでもおけるようにし、 ホースを用いて布団とつなぐ。マットをセットする手間を省くため、布団カバーがマット として用いることができるようになっている。 c 2004/7/8 梅城崇師 page 3 コンセプト(ワンフレーズ)とポジショニング コンセプト:「 It's automatic ∼側にいるけれど 邪魔だなんて思わない∼ 」 誰もが太陽の元で布団を干したいと思うのは当然のことである。 ダニ退治、布団乾燥、そしてあの太陽の香り、それらを手に入れるために干すのである。 しかし現代人は、特に学生や社会人は、昼間や週末は家にいないことが多く、時間がな い。朝、学校や会社に行くときに布団を干していったとしても、雨が降るかもしれないし、 夜帰るのが遅くなると意味がなくなるので、干しにくいのである。寝ている最中に汗をか くことを知っているので、布団を干したいにも関わらず、布団を干すのに絶好の機会が無 い(逃している)のである。 それに加え現代は、外で布団を干すのを躊躇われる理由がある。都会は大気汚染で空気 が汚れており、干している最中にも布団に微粒子が付着し続けている。更に、花粉症の人 とっては、屋外に布団を干すなんてことは言語道断である。 そこで登場するのが布団乾燥機であるが、布団乾燥機はいちいちマットを布団にセット せねばならず、面倒くさいことこの上ない。そこで、全部を自動化してしまおうというの がこの製品のコンセプトである。赤外線や温度センサーなどで、人がいないときに、自動 的に布団乾燥機のスイッチが入るようにし、布団乾燥が終わると自動的に電源が切れる。 また、夜の睡眠する時間が近くなると、自動的に暖めてもくれ、夏は寝るときに送風する ことで涼しくしてくれるのである。 乾燥機の構造で重要な点はマットを敷く必要がないことである。これは後で述べる。 この乾燥機は、通常のダニ退治等は十分にこなすことができる。しかしそれだけでは、 全自動かされているだけでインパクトがない。よってそれに加えて、太陽の下で干したと きに特有のあの香りが再現できるようなオプションをつける。香水を撒くのと同じように、 乾燥機から布団へ送風する際に、太陽の香りの入った液を、蒸発させながら混合させれば よいのである。太陽の香りというのは、太陽の熱や紫外線によって、布団についていた脂 肪などが分解されてできた揮発性の物質が原因らしい。しかも、その香りを抽出すること にも成功している。詳しいことは不明だが、その香りを香水のようにすることも、全精力 を注いで研究すれば可能なのではないだろうか。最初のうちは、値段が高くて、少々品質 が悪くても、売れていけば、値段も下がり、開発することで品質の向上も期待できる。布 団乾燥機で暖めることで、太陽の香りまでしてくれば、これは絶対に売れるに違いない。 また、ターゲット自体は学生や社会人であるが、セールスターゲットはその親である。 学生等は布団乾燥機を自分から買うことはあまりしない。そのため、引越しや新入時に親 から子供へ布団と共に買ってあげるような、セールスを行いたい。布団メーカやベッドメ ーカとタイアップして、共同のブランドを作るなどすることで、一層の販促が得られるの ではないだろうか。 c 2004/7/8 梅城崇師 page 4 製品デザイン 自動化に関しては、赤外線センサーと温度センサー程度でよい。赤外線センサーをベッ ド付近に置き、人が寝ているかどうかの判別に用いる。ベッドから起きて人がいなくなる とセンサーが働き、それから数時間して自動的に布団乾燥機の電源が入る。 また、製品に内部時計を組み込んでおき、夜に寝る時間を計測できるようにする。これ を学習させることにより、夜寝る前に自動的に布団を暖めておくこともできるようになる。 学習がうまくいかないようなときには、音声センサーを用いて、発語を分析し、 「布団を暖 めろ」などという言葉に反応して作動するようにしたい。これも簡単に行える。 寝ている最中にも自動化は働き、冬場の寒いときは、寝つきの数十分は適度な温度に保 温し続けてくれるようにし、夏場には送風を行うことで、布団を通風して寝過ごしやすい 環境を作る。夏場と冬場の見極めは、内蔵の室内温度センサーによって行う。 ちなみに、人がいない時間に乾燥する、乾燥所要時間はそれほど気にしなくてもよい。 自動化されているということは、マットを敷く必要もない。ではどうやって乾燥するか。 掛布団は、掛布団カバーをマットとして用いる。しかし、カバーは汗を吸収するために、 通気性が求められる。通気性がよくなると、乾燥機からの空気が漏れて十分に乾燥が行え ない。そのため、乾燥機の風量を増大するとともに、専用のカバーを発売し、カバーに送 風口を前方、中方、後方などの複数設け、それらに順次送風していくことで一回あたりの 必要風量を押さえることもする。また、カバー上面と横面の通気性を犠牲にし、人体に触 れる下面の通気性をより挙げることができるようにする。それがうまくいかなければ、カ バーと布団を一体化させ(専用の布団を作成し)、内部に空気を通さない仕切りを設け、仕 切りで区切られた単位ごとに乾燥していくような仕組みを作る。 敷布団に対しては、掛布団から出てくる、温風で乾燥させることができる。それに加え て、敷布団の下から噴出させるようなオプションも用意しておく。これは上面に小さな穴 が複数開いた金属又はプラスチック製の箱を用意し、その上に敷布団を敷いてベッドを構 成するのである。その箱に乾燥機を接続すると、穴から敷布団全体に対して、温風が吹き 出し、敷布団を下面からも乾燥させることができる。両者を併用することで、敷布団の両 面から攻め、ダニの避難場所を無くして、壊滅させるという効果も期待できる。 これらによって、マットがなくて澄み、邪魔にならないというコンセプトも達成される。 乾燥機本体も、ベッドに組み込んだり、延長ホースによって、ベッドから離れた場所にお けるようにしたりする。乾燥機本体も邪魔にならないようにしなければならない。 もちろん、他の布団乾燥機と同様に、部屋のインテリアに合うような、白くて丸まった 製品外形や、持ち運びに適したキャリングハンドルなどは必須である。 c 2004/7/8 梅城崇師 page 5 考察、結論 布団乾燥機というものは、通常あまり使われない。まず一人暮らしでは持っていない人 が多いし、持っている人も、もらいものや景品で有る場合も多い。更に、持っている場合 でも、冬場の暖めるときにしか使わなかったり、月に1回くらい思い出したようにダニ退 治をしたりという程度である。 その布団乾燥機の市場で成功を収めるには、シェアを奪うことよりも、新たなニーズや 市場を見つけることの方が重要となる。それは、布団乾燥機が前述の理由により、それほ ど使われない家電製品であり、かつ製品構造が単純なため故障せず長寿命になり、それに 加えて壊れた場合でも無くても生活はできる場合が多いので、積極的に買いなおす程の強 い動機も発生しないためである。この市場の停滞を打破するには、布団乾燥機に新たな機 能をつけることで、市場を開拓することが重要となる。特に、布団乾燥機を毎日の生活に 使える、日用電化製品の一部と位置づけることに成功すれば、一気に需要を増やすことも 夢ではない。 布団乾燥機という市場はもはや完成されているともいえるので、少し奇抜すぎる程度の アイデアがないと、新商品は売れないと思い、このような製品を提案した。面倒くささを 逆手にとって、面倒な操作をなくすことで、一人暮らしのずぼらな学生にも広めようとい うことである。ただ、買ってもらうのは親を想定しているが、その辺りの販売戦略をどう するかといった点は、前述のタイアップ以外は十分に練れておらず、不安も残る。 c 2004/7/8 梅城崇師 page 6