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家電流通実態に関する調査研究
平成 22 年度 我が国の情報化社会における基盤整備事業 (家電流通実態に関する調査研究) 報告書 平成 23 年 2 月 経済産業省 =目次= 第1章 本事業の全体像と検討体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 1.1 本事業の背景と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 1.2 本事業の流れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 1.3 本事業の検討体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 第2章 地域電器店の実態と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 2.1 地域電器店の経営実態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 2.2 地域電器店の経営課題と現状の対応策・・・・・・・・・・・・・・・・15 第3章 地域電器店に対する消費者ニーズの実態・・・・・・・・・・・・・・・・・18 3.1 地域電器店に対する消費者ニーズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 3.2 消費者ニーズを踏まえた地域電器店経営への示唆・・・・・・・・・・・25 第4章 地域電器店の課題解決の方向性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 4.1 地域電器店自体に求められる取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・28 4.2 業界団体に求められる施策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 第5章 無店舗販売チャネルの家電流通実態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 5.1 無店舗販売チャネルの流通実態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 5.2 家電流通における無店舗販売チャネルのビジネスモデル・・・・・・・・46 5.3 無店舗販売チャネルが抱える課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 第6章 家電販売形態の多様化と消費者ニーズの動向・・・・・・・・・・・・・・・52 6.1 家電販売形態の変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52 6.2 家電購入に対する消費者ニーズの動向・・・・・・・・・・・・・・・・56 6.3 ネット通販に対する消費者意識の動向・・・・・・・・・・・・・・・・60 参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62 1 第1章 本事業の全体像と検討体制 1.1 本事業の背景と目的 家電流通業界において、家電量販店が都心での大型店展開に加えて郊外での 中小型店の展開を本格化させるなど厳しい業界環境の元、従来からの地域電器 店は店舗数が年々減尐してきている。しかし一方では、地域電器店には高齢者 世帯等における電気の安全・安心の確保や、家庭における省エネ製品の普及推進 などの課題に応えるための、地域のアドバイザーとしての役割が期待されてい る。 また、近年、クローズアップされている、車を持たない高齢者等の「買い物 難民」の問題への対応の観点からも、身近な地域電器店の存在は重要性を増し ている。 他方、従来からの地域電器店、家電量販店に加え、近年、無店舗販売(イン ターネット・TV通信販売等)が急速に増加するなど、販売チャネルの多様化 が進展してきている。こうした中、環境・リサイクル、製品安全、省エネルギ ー、公正取引等、家電をめぐる様々な課題への対応を検討する上で、改めて家 電流通の実態を把握することが重要となってきている。 特にネット通販における家電の販売については、その規模、事業者数、主要 な事業者等の実態も必ずしも明らかになっていない。 こうした家電流通をめぐる現状を踏まえ、本事業では、地域電器店の今後の 役割、経営力強化の方向性検討及び、多様化する家電流通の実態の把握、特に インターネットを経由した販売の実態の把握を行い、家電流通に関する施策の 企画立案の参考資料とすることを目的に実施した。 2 1.2 本事業の流れ 本調査事業では、多様化・複雑化する家電流通産業の実態をとらえるために、 近年改めて役割が見直されている「地域電器店」と、特に変化の大きい「無店 舗販売チャネル」という2つに焦点を絞ることとした。この2つの焦点に沿っ て、 「①地域電器店に求められる役割と施策検討」および「②家電流通の現状調 査・分析」の2つの調査を実施した。 「①地域電器店に求められる役割と施策検討」はさらに4つのタスクから構 成されており、まず1つ目の「①-a 地域電器店利用客調査」において、アンケ ートを通じて地域電器店の利用客の消費意識の把握を行った。次に2つ目の「① -b 地域電器店経営実態調査」において、同様にアンケートを通じて地域電器店 の経営状況および経営課題の把握を行った。3つ目の「①-c 地域電器店向け座 談会」においては、ディスカッションを通じて経営現場の課題や成功事例を抽 出した。4つ目の「①-d 地域電器店向けセミナー」では、座談会結果を踏まえ て、地域電器店の現状課題とこれからのあるべき姿について、専門家講師によ る問題提起とディスカッションを行った。 一方、 「②家電流通の現状調査・分析」は大きく2つのタスクから構成されて おり、まず1つ目の「②-a 無店舗販売実態調査」において、家電流通に占める 無店舗販売チャネルの位置づけの変化や、主要プレーヤーの変遷について整理 した。次に2つ目の「②-b 消費者ニーズと販売形態の多様化の傾向分析」にお いて、政府統計や野村総合研究所の独自調査から見える消費者ニーズの傾向分 析や、家電流通の全体像の整理を行った。 図表1-1.本事業の流れ ①地域電器店に求められる役割と施策検討 ②家電流通の現状調査・分析 ①-a 地域電器店利用客調査 ①-b 地域電器店経営実態調査 ②-a 無店舗販売実態調査 アンケートを通じて地域電器店の利用客の消 費意識の把握 アンケートを通じて地域電器店の経営状況 および経営課題の把握 家電流通に占める無店舗販売チャネルの位置づけの変 化や、主要プレーヤーの変遷について整理 ①-c 地域電器店向け座談会の開催 ②-b 消費者ニーズと販売形態の多様化の傾向分析 ディスカッションを通じて経営現場の課題や成功事例を 抽出 政府統計や野村総合研究所の独自調査から見える消 費者ニーズの傾向分析や、家電流通の全体像の整理 ①-d 地域電器店向けセミナーの開催 座談会結果を踏まえて、地域電器店の現状課題とこれ からのあるべき姿について講演とディスカッシ ョンを実施 報告書取りまとめ 3 1.3 本事業の検討体制 本事業の検討体制は以下の通りである。 ◆検討体制 《経済産業省 課長補佐 課長補佐 情報通信機器課》 木口慎一 久保田裕子 《野村総合研究所 サービス事業コンサルティング部》 上席コンサルタント 高木裕之 コンサルタント 森田諒 4 第2章 地域電器店の実態と課題 従来からの地域電器店は、厳しい業界環境の元、店舗数が年々減尐してきて いる。しかし一方では、高齢者世帯等における電気の安全・安心の確保や、家庭 における省エネ製品の普及推進などの課題に応えるための、地域のアドバイザ ーとしての役割が期待されている。 また、近年、クローズアップされている、車を持たない高齢者等の「買い物 難民」の問題への対応の観点からも、身近な地域電器店の存在は重要性を増し ている。しかし、全国におよそ3万店とも4万店とも言われている地域電器店 の経営実態は、十分に把握されているとは言い難い。 そこで本章では、地域電器店の経営実態と経営課題を明らかにする。本事業 では、独自に地域電器店を対象としたアンケート調査を実施し、定量的かつ定 性的にその実態を把握することとした。 2.1 地域電器店の経営実態 ここでは、定量的な観点から、地域電器店の経営実態を分析・整理した。 《「地域電器店の経営実態に関する調査」実施概要》 ●調査対象 全国電機商業組合連合会の加盟店のうち、関東圏の都市部/地方部各 500 店 (合計 1,000 店) ※都市部=東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県 ※地方部=群馬県・栃木県・茨城県・山梨県・新潟県 ●調査対象の選定方法 全国電機商業組合連合会の組合員名簿より無作為抽出 ●調査方式 無記名による記述式アンケート 5 《経営体制》 ◆ データ解説 従業員数についてご回答頂いた地域電器店全 127 店のうち、従業員数1~3 人の店舗が 87 店と7割近い比率にのぼり、大半の店舗が3人以下の尐人数で経 営されていることが改めて確認できた。 ◆ データからの示唆 このようにほぼ個人経営に近い経営状況の店舗が大半であることの背景には、 各地域店が後継者不足に悩まされている現状があると見られる。後継者育成が 進んでいないため、結果的に3人以上での経営を行っている店舗が尐なくなっ ている。 従業員数が尐なくなり従業員の高齢化が進むと、カバーできる顧客の範囲が 狭くなったり、屋根上での TV アンテナ取り付け等の危険を伴う作業に対応でき なくなったりと、提供可能業務の幅が狭くなってしまう。また、従業員が尐な いと日々の業務に追われてしまい、商品知識やスキルの習得に時間を投資する ことも難しくなる。 こうした現状に対応するためには、複数の店舗が協業して人材を融通し合っ たり、電気工事などスキルを要する業務については各店舗の得意分野を活かし て相互補完したりといった取り組みが有効と考えられる。 図表2-1.従業員数規模別の店舗数分布 100 87 80 店 舗 数 ( 店 ) 60 40 24 20 13 3 0 1~3人 4~5人 6~10人 従業員数規模(人) 6 11人以上 ◆ データ解説 従業員のうち電気主任技術者等の資格を持った技術者の人数について質問し た結果、6~10 人規模の店舗でも平均3人に留まり、店舗規模によらず技術者 数は全従業員の半数以下に留まることが分かった。 ◆ データからの示唆 地域電器店が、地デジ対応 TV の特需が収束した後の生き残り策として、太陽 光発電やオール電化など、単価の高い工事業務の提供を行うことが重要と指摘 する専門家も多い。 こうした工事業務には電気工事士の資格が必要であり、資格取得には数万円 の受験準備費用(工具等の購入も含む)と、受験に向けた一定期間の資格勉強・ 実習が必要となる。第 2 種電気工事士では筆記試験・技能試験ともに合格率 50% 前後とそれほど難関ではなく、余力のある地域電器店では従業員の資格取得を 一層推進することが推奨される。 図表2-2.従業員数規模別の平均技術者数 20 平均技術者人数 平均従業員数 15.67 15 従 業 員 10 数 ( 人 ) 7.23 4.33 5 2.22 0 1.10 2.00 1~3人 4~5人 3.00 1.00 6~10人 従業員数規模(人) 7 11人以上 《情報環境》 ◆ データ解説 地域電器店の情報インフラとして、ファックスや電話だけでなくパソコンの 保有率も9割を超えており、一定水準の IT リテラシーを保有していることが分 かった。ただし、後段でも触れるようにパソコンの接続業務に対応している店 舗は半数以下となっており、そのリテラシーを十分に活用できていない。 ◆ データからの示唆 高齢者世帯でも今やインターネット環境が普及しつつあり、接続トラブルへ の対応や、プリンター等周辺機器との接続設定に対するニーズは潜在的に存在 すると考えられる。 パソコンを使用できるスキルを持っているのであれば、更にインターネット 接続や周辺機器との接続設定などのスキルを一通り習得することで、 「出張修理」 や「パソコン教室の開催」などの方法で顧客の囲い込みに繋げることも可能と なると考えられる。 図表2-3.情報端末の保有率 100.0% 80.0% 保 有 率 ( % ) 60.0% 92.6% 98.5% 98.5% ファックス 固定電話 92.6% 40.0% 20.0% 0.0% パソコン 8 携帯電話 《顧客》 ◆ データ解説 顧客数(直近1年間の利用客数)についてご回答頂いた地域電器店全 119 店 のうち、顧客数 101~300 人の店舗が 40 店と3割以上を占めるなど、大半の店 舗が 1,000 人以下の顧客を対象にして経営していることが分かった。 のべ来店客数ではなくあくまで「直近1年間の利用客数」という設問なので、 例えば顧客数 101~300 人などのカテゴリーでは固定客が何度も利用している 可能性が高い。 ◆ データからの示唆 やはり地域電器店では、地域の固定客に継続的にリピート利用してもらう形 態が一般的であると見られる。顧客管理ソフトを活用して顧客の稼働状況や保 有商品を踏まえた提案を行うなど、顧客数が限られているからこその顧客密着 のサービスが不可欠である。 図表2-4.顧客数規模別の店舗数分布 50 40 40 店 30 舗 数 ( 店 20 ) 10 24 24 19 12 0 1~100人 101~300人 301~500人 501~1,000人 1,001人以上 顧客数規模(人) 9 ◆ データ解説 従業員数規模別に見ると、従業員数1~3人の店舗では 101~300 人程度の顧 客数が中心だが、従業員数4人を超えると 301~500 人程度あるいは 501~1,000 人程度の顧客数が中心となり、従業員数6人を超えると 1,001 人以上が中心と なる。多くの顧客数に対応するためには、一定以上の従業員数規模であること が必要であると分かった。 ◆ データからの示唆 顧客数 1,000 人というラインを超えて業容を拡大していくには、従業員6人 以上という規模が目安となる。例えば典型的な例で言えば、社長夫婦、男子社 員2人、パート社員2人で6人体制を組むことが出来るが、このような体制で は「家業」を脱却して「企業」という観点で経営していくことが必要になる。 そのためには、社員の福利厚生を整備し、就業規則等のルールも整備するな ど、社員を継続的に育成していく体制を構築していくことが肝要である。 図表2-5.従業員数規模別に見た顧客数規模別構成 100 1~100人 101~300人 80 301~500人 7 店 60 舗 数 ( 店 40 ) 11 501~1,000人 16 1,001人以上 回答なし 32 20 12 0 1~3人 3 7 7 5 7 5 2 1 4~5人 6~10人 11人以上 従業員数規模(人) 10 ◆ データ解説 さらに個人宅以外の顧客(企業、官公庁、教育機関等)に対する売上割合に ついてご回答頂いた地域電器店全 127 店のうち、売上割合 10%に満たない店舗 が半数以上だった。売上の半分以上が個人宅以外の顧客であるという店舗は7 店のみで、大半の店舗が個人宅を対象にしていることが分かった。一方、逆に 考えれば、半数以上の店が何らからの法人顧客との取引を行った実績があるこ とも分かった。 ◆ データからの示唆 地域の個人宅に密着して経営していくことが重要であるのはもちろんだが、 一方で法人顧客にも参入する余地はあるということも言える。地域の学校や中 小企業のオフィスなどのパソコン端末や消耗品などを受注することが出来れば、 継続的に安定的な売上を確保できる機会となり得る。こうしたユーザーがどこ に電化製品を発注しているかを把握しておくことも有効だろう。 図表2-6.個人宅以外の顧客の売上割合ごとの店舗数分布 50 40 45 店 30 舗 数 ( 店 20 ) 28 25 22 10 7 0 0%以上5%未満 5%以上10%未満 10%以上20%未満 20%以上50%未満 個人宅以外の顧客の売上割合(%) 11 50%以上 《主要販売商品および提供業務》 ◆ データ解説 主要な販売商品について複数回答にてご回答頂いた結果、大型・小型の白物 家電や AV 機器、消耗品については9割前後の店舗が取り扱っていた。一方、パ ソコンや周辺機器などの情報機器については取り扱っている店舗が半数に満た なかった。 図表2-7.商品カテゴリーごとの取り扱い率 取り扱い率(%) 0.0% 20.0% 40.0% 大型白物家電(エアコン、冷蔵庫、洗濯機等) 60.0% 80.0% 100.0% 97.0% AV機器(テレビ、HDD・DVD/ブルーレイ、 オーディオ機器等) 94.1% 小型白物家電(炊飯器、電子レンジ、ホットプ レート等) 88.1% 消耗品(電球、延長コード、電池等) 86.7% 情報機器(パソコン、周辺機器) 48.9% ◆ データ解説 一方、主要な提供業務について複数回答にてご回答頂いた結果、TV やエアコ ンの設置や、家電製品の修理については9割以上が対応していた。ただし、パ ソコンのネット接続や電話工事については対応できる店舗が半数を下回ってい ることが分かった。販売商品の結果と合わせると、そもそも商品として取り扱 っていないパソコンについては接続業務も対応していないという結果となった。 図表2-8.提供業務ごとの取り扱い率 取り扱い率(%) 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% エアコンの取り付け・取り外し 97.8% アンテナ工事 96.3% 家電製品の修理 91.9% TV・DVD・ ブルーレイ等の設置/接続 90.4% 配線工事 88.1% 修理品メーカー取り次ぎ 79.3% PCの接続 49.6% 電話工事 46.7% 12 80.0% 100.0% ◆ データ解説 また、商品販売と業務提供の売上金額のバランスについては、商品販売額が 50%以上を占める店舗が 111 店舗と全体(126 店舗)の9割近くにのぼってい る。ただし、商品販売額が 50%未満の店舗も 15 店舗存在し、必ずしも商品販 売主体の店舗ばかりではない。 ◆ データからの示唆 業務提供と一口に言っても、電化製品の設置・修理や配線工事から、エアコ ンのフィルターや空気清浄機の水槽などの清掃・メンテナンスまで多岐にわた る。地域の固定客に密着したサービスを目指すのであれば、商品を販売して終 わりではなくて、その後の修理やメンテナンスについてもビジネスとしていく ことが必要である。 その際には、明瞭な料金表に基づいて、 「値ごろ感のある水準の」料金を請求 することで透明性を担保することが重要である。業務提供の料金表を明示して いない場合、利用者側からすると、そもそもその店舗に依頼して対応してもら えるかどうかが分からず、依頼しづらい。また、一度依頼できるか聞いてしま うと、料金を聞いた後では断りづらくなってしまうため、初めから依頼しない という判断に流れてしまうことが多い。こうした状況を防ぐために、明瞭な料 金表が不可欠と言えよう。 図表2-9.売上に占める商品販売の割合別の店舗数分布 50 49 40 店 30 舗 数 ( 店 20 ) 10 33 29 15 0 0%以上50%未満 50%以上75%未満 75%以上90%未満 売上に占める商品販売の割合(%) 13 90%以上100%以下 《販売形態》 ◆ データ解説 各店舗で実施している販売形態について複数回答にてご回答頂いた結果、店 頭販売は 83.0%、訪問販売は 77.0%が実施していた。さらにどちらかの販売形 態のみ実施している店舗がどれだけあるか確認したところ、店頭販売を実施し ている 112 店舗のうち 20 店舗は店頭販売のみ、訪問販売を実施している 104 店舗のうち 12 店舗は訪問販売のみ実施していた。 よって、回答のあった 135 店舗のうち、これらを除いた 92 店舗では店頭販売・ 訪問販売の両方を実施していることが分かった。 図表2-10.販売形態ごとの実施比率 実施比率(%) 0.0% 20.0% 店頭販売 40.0% 83.0% 訪問販売 77.0% 電話・FAXでの受註販売 50.4% 電子メール・インターネット経由の受註販売 4.4% 14 60.0% 80.0% 100.0% 2.2 地域電器店の経営課題と現状の対応策 2.1では定量的な観点から地域電器店の経営実態を分析したが、ここでは、 定性的な観点から地域電器店の経営課題と、現状の対応策を整理した。ここで 取り上げる経営課題は、アンケートでご回答頂いた「各種営業政策」 「人手不足 対策」「商品知識の向上」「投資資金の確保」の4つである。以下では、頂いた ご回答を原文のまま抜粋・掲載させていただいた。 《各種営業政策》 ネット仕入・共同仕入・FC 加盟 • 現金問屋より仕入れてある程度の対抗策としている • インターネットで格安品の仕入れ • 共同仕入の実行・改善。商品・メーカーによってはネット仕入も • FC加盟で仕入れを下げている。 アフターサービスの充実 • 当店でお買上げの商品は毎年、毎年、点検、訪問をして生活ができ るようにしている。デジタル家電は、数回訪問し説明している。コ ンセント、消耗品等、点検、交換を毎年している。 • 設置・説明を丁寧にして何度でもわかるまで行くようにしている。 固定客の個別訪問 • 顧客への訪問を充実させ、家電販売の他の要望に対しても出来る限 り、対応し、満足してもらう。 • 高齢者が増えたので電球交換などこまかなこともまめに行なう。 • こまめに顧客を回り、お困り事など町のでんきやとして、家まるご と相談を承わるようにして、何かあったらすぐに来てくれる店とし て活動している。 設置・工事を伴う商品の取り扱い • 付加価値商品の販売(工事を伴なう商品)、リフォーム工事 • 付加価値(設置及び工事)を伴う商品の販売に心がけている。 太陽光・オール電化へのシフト • オール電化商品の取組 • 6 年前からオール電化、太陽光へのシフトができ、その面の競争はま だ始まったばかり。 スピーディーな対応 • 即日対応 15 価格面で尐しでも家電量販などの安売り攻勢に対応するために、共同仕入や FC 本部からの仕入に取り組んでいる地域店が多い。パナソニックショップを除 いては、メーカーによる明確な系列は衰退しつつあることもあり、地域電器店 自らが組織化・チェーン化して協業していく傾向が強まっている。 工事を伴う付加価値商品に注力していく流れもある中で、1店1店ではとて も幅広い商品に対応しきれなくなっていることも事実である。そこで、ここで も複数の店舗がグループとして協業し、電気工事士等の資格を持った技術者を 融通し合うことも打ち手として有効であろう。 また、こうした協業関係が固定客の継承に役立つこともある。グループの中 の1店が仮に事業縮小や廃業に直面しても、他の店舗に継承することで顧客基 盤の流失を最小限に食い止めることができる。 《人手不足対策》 アルバイトの活用 • 時にはアルバイトを頼む。(大型冷蔵庫・業務用エアコン等) • 繁忙時、閑散時のバラツキがあるので、アルバイト・パート等で調 整している。 • 冷蔵庫など、大きい商品は、一人で納品無理ですので、アルバイト を頼みます。 同業者間で融通 • 同業社同士で行き来しています。 • 同業者で融通する様にしている。 • 同業者に手伝い依頼 営業時間の延長 • 営業時間の延長や、オンコール対応、休日を減らす • 営業時間を長くして(日、祭日を利用)対応しています。 社員の増員 • 自社努力で、人数を尐しずつ増員している。10 年度、1名追加して、 新規出店した。今回も1名追加の予定。 協力会社等への外注 • 大型商品はメーカーの直送システムに依頼する。 • • 大型工事等は外注利用。 軽急便業者に依頼する。 16 前段でも触れたように、ほとんどの地域電器店が3人以下の従業員数で経営 している現状があるので、地域電器店どうしでの人材の融通や、外部の運送会 社・電気工事会社との連携が不可欠となってくる。 余力のある店舗であればしっかりと人材に投資して社員を育成していくこと が可能だが、そうでない店舗の場合には外部のリソースを活用しつつ、自社と しての注力分野を伸ばしていくことも選択肢である。 《商品知識向上》 メーカー講習会への参加 • メーカーの講習会へ参加。 • メーカー及び電気商組合の勉強会 技術研修への参加 • 技術研修等実施 • 研修には参加しています。 同業者間で勉強会 • 12 店のチェーンを組んで毎月勉強会をしている。 • 組合店同志の情報交換及びメーカー新製品研修会。 • 勉強会で各自向上 近年では電化製品のライフサイクルが速くなり、短期間に新商品が登場する ようになってきたので、日常業務に追われる中では商品知識を習得することが 難しくなっている。しかし、地域電器店にこうした商品知識や使用トラブル時 の迅速な対処などを期待する消費者も存在し、勉強会などを通じたキャッチア ップを怠らないことが重要である。 《投資資金の確保》 金融機関からの借入 • 金融機関からの融資等 • 銀行からの借入 利益率の高い電気工事の強化 • 顧客を選び家電販売にこだわらず電気工事・住設機器の販売等利益 率の良い仕事もする。 17 第3章 地域電器店に対する消費者ニーズの実態 従来から地域電器店に対する消費者調査というものは、個別には実施されて きた。しかし、それらは広く一般消費者を対象としたものであったり、ウェブ アンケートという形態を取った比較的 IT リテラシーの高い消費者を対象とした ものであったりと、あくまで世の中一般の消費者意識を聞くものだった。今回 の調査では、地域電器店の利用客のみを対象に、より焦点を絞って消費者ニー ズを聞くこととした。 3.1 地域電器店に対する消費者ニーズ 《「家電製品の購入に関する意識調査」実施概要》 ●調査対象 全国電機商業組合連合会の加盟店のうち、関東圏の都市部/地方部各 100 店 (合計 200 店)の利用客 2,000 人 ※都市部=東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県 ※地方部=群馬県・栃木県・茨城県・山梨県・新潟県 ●調査対象の選定方法 全国電機商業組合連合会の組合員名簿より対象店舗を無作為抽出 その後、対象店舗に書面にて各 10 人の利用客の選定と、調査用紙配布を依頼 ●調査方式 対象店舗より各 10 人ずつ利用客に調査用紙を配布 無記名による記述式アンケート 18 ◆ データ解説 ご回答頂いた利用客の年齢分布を見ると、60 歳以上が半数以上を占めること が分かった。やはり地域電器店の利用客の中では、高齢者の比率が高いという 実態が改めて確認された。 ◆ データからの示唆 今後さらに尐子高齢化が進展していく中では、人口分布に占める高齢者層の 割合がますます増えていくことが見込まれる。若年層や子世代の取り込みはも ちろん重要だが、現在高齢者層に深く入り込んでいる顧客基盤を活かして、高 齢者層のニーズに応えるような商品販売・業務提供を充実させていくことが有 効であろう。 一方で、50 歳未満の層も 22%存在し、若年層の中でも改めて地域電器店への 回帰が見られることも事実である。こうした層は、量販店で購入した家電の設 置や修理などを契機に地域電器店との接点が出来ることが多いので、そもそも 地域電器店の存在を認知してもらう機会として、また継続的に信頼関係を構築 するきっかけとして積極的に活用していくことがのぞましい。 図表3-1.利用客の年齢別構成比(N=46) 回答なし 2% ~20歳未満 2% 20歳以上~ 30歳未満 30歳以上~ 2% 40歳未満 9% 40歳以上~ 50歳未満 9% 60歳以上~ 54% 50歳以上~ 60歳未満 22% 19 ◆ データ解説 また、世帯構成について見ると、夫婦のみの世帯が4割近くを占める。さら に、60 歳以上の夫婦のみの世帯は全体の 28%を占める。 ◆ データからの示唆 こうした子供のいない世帯では、近隣に商店街や量販店がなく、車を保有し ていない場合、日々の買い物でさえ困難な「買い物難民」となっている可能性 がある。すでに一部では地域電器店が高齢者宅を巡回訪問するかたちで、電球 の交換や家電の修理・困りごとに対応している事例も存在するが、特に郊外や 過疎地においては、高齢者世帯にとっての生活インフラとしての機能が今後も 期待される。 図表3-2.利用客の世帯構成別構成比(N=46) 三世代以上の 同居世帯 11% 上記以外 6% 単身世帯 9% 夫婦と既婚の 子供の世帯 9% 夫婦のみの世 帯 39% ひとり親と未婚 の子供の世帯 4% 夫婦と未婚の 子供の世帯 22% 20 ◆ データ解説 地域電器店での商品カテゴリーごとの購入率を見ると、大型白物家電および AV 機器が高くなっている。 第2章にて掲載した、地域電器店における商品カテゴリーごとの取り扱い率 のグラフと見比べると、取り扱い率の高い順序と利用客の購入率の順序とがお およそ一致する。やはり店頭での品揃えが充実している商品ほど、利用客も「地 域電器店で購入する」と回答している。 ただし、消耗品については、地域電器店による取り扱い率が 86.7%と比較的 高いにも関わらず、利用客側では 37.0%しか「地域電器店で購入する」と回答 していないという結果となった。 ◆ データからの示唆 今やスーパーや量販店でも電球や電池などの消耗品を安価かつ豊富に揃えて いるため、わざわざ地域電器店で購入しなくても済むようになっていることが 影響していると見られる。こうした結果を踏まえて、品揃えの改廃を行ってい くことで、利用客のニーズにマッチした店づくりが出来てくる。 図表3-3.地域電器店における商品カテゴリー別の購入率(複数回答、N=46) 地域電器店での購入率(%) 0.0% 20.0% 40.0% 大型白物家電(エアコン、冷蔵庫、洗濯機等) 69.6% AV機器(テレビ、HDD・DVD・ブルーレイ、 オーディオ等) 69.6% 白物家電(炊飯器、電子レンジ、掃除機等) 52.2% 通信機器(固定電話、FAX等) 39.1% 消耗品(電球、蛍光灯、電池類等) 37.0% 小型電気製品(ドライヤー、シェーバー等) パソコン及び周辺機器等 32.6% 21.7% 21 60.0% 80.0% 100.0% ◆ データ解説 商品を購入する際の重視ポイントの集計結果を見ると、地域電器店の利用客 は、商品を購入する際に価格の安さよりも商品のブランド認知度やアフターサ ービスの充実度を重視する傾向がある。また、2割程度の利用客が、販売員が 推薦することを重視ポイントに挙げている。 ◆ データからの示唆 回答者の構成として高齢者層が多いこともあって、従来から家庭内で使用し ているパナソニックや三洋電機といった国産メーカーの商品に対する愛着や安 心感を持っており、 「名の通ったブランドやメーカーの商品」であることを重視 する結果となったものと見られる。 また、同様に、家電の新商品が出ると頻繁に買い替えていくというよりは、 一度買った商品を長期にわたって愛用するという消費特性を持っており、価格 の安さよりもアフターサービスの充実度を重視する結果となっている。 図表3-4.商品購入の際の重視ポイント(複数回答、N=46) 購入の際の重視率(%) 0.0% 20.0% 名の通ったブランドやメーカーの商品 47.8% 長期保証等アフターサービスが充実している 45.7% とにかく安くて経済的なものを買う 23.9% 販売員が推薦するもの 利用者の評判が良いこと 19.6% 13.0% 色や形等のデザインが気に入ったもの 10.9% 多種多様な機能があること 6.5% 22 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% ◆ データ解説 利用客が地域電器店を利用する理由としては、店員が顔見知りであることや、 保有している家電を把握してくれており、買い替え等の適切な助言がもらえる こと等が上位に挙がっている。 ◆ データからの示唆 地域電器店の利用客の傾向としては、店員との心理的な距離の近さ、相談し やすさに着目した回答が上位を占めている。大勢の利用客が押し寄せ、大勢の 店員で対応している家電量販店では、店員との間で信頼関係を築くのは困難で ある。地域電器店にとっては、こうした店員との信頼関係を量販店との差別化 ポイントとして強化していくことが重要である。 ただ利用客と心理的に親しくなればいいということではなくて、利用客の商 品の購買履歴や、修理履歴をシステム的に管理して、適切な商品提案を、適切 なタイミングで行っていくことが欠かせない。 図表3-5.地域電器店の利用理由(複数回答、N=46) 0.0% 店員が顔見知りで、安心して買い物ができるから 60.9% 店員があなたの保有している家電を把握しているので、商品の買い替え 店員があなたの保有している家電を把握しているの … 時期や、お勧め商品について適切に助言してくれるから 56.5% 電話での注文や修理に応じてくれるから 52.2% 店員の商品知識が豊富で、購入時に相談できるから 43.5% 買いたい商品や利用したいサービスがあるから 19.6% 自宅または最寄り駅の近くにあるから 17.4% 店舗が清潔で明るく、入りやすい雰囲気があるから 10.9% 価格が手頃だから 6.5% 23 地域電器店の利用理由(%) 40.0% 60.0% 80.0% 20.0% 100.0% さらに、以下では利用客からご回答いただいた、地域電器店への期待・要望 を取り上げる。以下では、頂いたご回答を原文のまま抜粋・掲載させていただ いた。 《地域電器店に対する期待・要望》 長い付き合いによる信頼関係 • 長いおつきあいができる店作り。(信頼性、安心性、便宜性) • 社長とは昔からの親交があり、今まで家の電器製品及び設置につい てすべて相談をし、購入しているので安心している。 きめ細かなサービス • • きめ細かなサービスと豊富な商品知識。 高齢化社会を迎え、家電の高機能化と利用者の高齢化が反比例する。 • 量販店には出来ないアフターケア、フォローを期待する。 アフター・サービスをお願いしたい。 • 地域に密着したサービスが提供できる電器店(販売、修理だけでな く街の行事等気軽に参加出来る店) 商品知識 • 新商品知識向上。 • 電気の色々な事に、とてもくわしく、丁寧に仕事をしてくれる。 商品の使い方・修理の相談 • 近くは量販店が多いが、使い方や修理など相談できる地域店は必要 なので、もっと頑張ってほしい。 • 修理してもらえること。色々聞けること。 24 3.2 消費者ニーズを踏まえた地域電器店経営への示唆 上記調査結果を踏まえると、地域電器店に対するいくつかの示唆が見えてく る。 まず、利用客に占める割合が圧倒的に 60 歳以上の層が高いことが改めて確認 されたことで、高齢者にターゲットを絞った商品販売・サービス提供をしてい くことがやはり重要と言える。 また、地域電器店で購入している商品のカテゴリーを見ると、白物家電や AV 機器が高くなっており、生活に密着した商品を中心に購入していることが分か る。こうした商品の中でも、例えばエアコンのフィルターや空気清浄機の水槽 など定期的なメンテナンスが必要な商品が多くあるので、購入してもらった後 のアフターフォローとしてメンテナンスを提案していくことで、利用客との信 頼関係を構築するチャンスにも繋げることができる。地域電器店を利用する際 の重視ポイントとして価格の安さよりも商品のブランド認知度やアフターサー ビスの充実度を重視する傾向があるという結果からも、こうした地道な活動の 積み重ねが重要と言える。 また、地域電器店を利用する理由として買い替え等の適切な助言がもらえる ことを挙げている利用客が多いことを踏まえると、定期的なアフターフォロー を積み重ねながら、次の買い替え時の商品提案につなげていくことが有効であ ると言える。 25 第4章 地域電器店の課題解決の方向性 地域電器店の強みは何と言っても地域のお客様の face to face の信頼関係であ る。単に店とお客様宅との地理的近さに留まらない。何か困った時に相談でき る心理的な近さの方がより大きな要素である。 消費者にとって、近所だからと言って心理的に近いと感じるとは限らない。 むしろサービスや価格を他店と比較して、地域電器店を選ばなかった時に断り にくいという近さゆえの問題を感じる消費者も多くないよう。 それでも店の中にいる「人」に信頼感を寄せて、地域電器店を選ぶ消費者は 多い。第3章で示された地域電器店に対する期待・要望として挙げられた「長 い付き合いによる信頼関係」、「きめ細かなサービス」は、店や企業というより 店主や店員個人に寄せられたものといっていい。これは家電量販店とは大きな 違いである。と同時に地域電器店の本質的な強みである。地域電器店が文字通 り地域に根差しているのは、単に店が以前からその場所にあるということだけ でなく、店のスタッフ自体が地域やコミュニティの構成員となっているからに 他ならない。 本章では、本事業にて開催した「地域電器店の経営力向上に関する座談会」 および「地域電器店の経営力向上に関するセミナー」にて参加者とのディスカ ッションの中から抽出した事例も交えながら、地域電器店の課題解決の方向性 について整理する。 26 ◆「地域電器店の経営力向上に関する座談会」(大阪) ・ 開催日時:2011 年2月 10 日(木) ・ 開催会場:大阪府電機商業組合 大会議室 ・ 開催協力:大阪府電機商業組合、全国電機商業組合連合会 ・ 開催趣旨:地域電器店の経営者の方々にご参加いただき、地域電器店を経営 していく上での「課題」、 「ご苦労」、 「成功事例」などについて、率直な声を お聞きし、ディスカッションすることにより、地域電器店の抱える課題と、 対応の方向性を取りまとめる。 ◆「地域電器店の経営力向上に関するセミナー」(東京) ・ 開催日時:2011 年2月 23 日(水) ・ 開催会場:全国家電会館 4階会議室 ・ 開催協力:全国電機商業組合連合会 ・ 講師:株式会社家電流通研究センター代表取締役 嶋崎守氏 ・ 開催趣旨:地域電器店の経営者の方々にご参加いただき、地域電器店を取り 巻く環境認識を共有し、地域電器店の生き残りのために必要な施策・取組み 事例についてディスカッションすることにより、地域電器店の目指すべき今 後の方向性を取りまとめる。 27 4.1 地域電器店自体に求められる取り組み 地域電器店は店の広さや価格面で、家電量販店と不利な競争を強いられてい ることは明らかであろう。それを前提の上で、敢えて地域電器店の生き残り策 を探れば「お客様と顔の見える関係」をベースにした営業活動であろう。 以下では地域電器店が「誰に」(ターゲット顧客)、「何を」(主力販売商品)、 「どのように」(営業方法)販売していくべきかの考察を行う。 地域電器店がやはりターゲットにすべきは高齢者である。高齢者は地域コミ ュニティとの接触頻度が高く、またコミュニティへの信頼度も比較的高い。加 えて高齢者は目まぐるしく変わる家電の新商品、高機能商品に十分対応できず、 商品を選択する際に、そして購入した後に接続・設定したり、実際利用する際 にサポートを必要とする方が多い。量販店も最近は高齢者向けサポートに力を 入れているとはいえ、お店までの距離が遠かったり、店員さんが顔馴染みであ ることはまれなので、なかなか気軽にコンタクトしにくい。その点地域電器店 であれば距離的にも心理的にも身近な存在である。さらに日常生活でも接点が ある場合には、その親密性がより増す。 次に地域電器店はどのような商品を売ることが求められているか。無論お客 様が求める電気製品・サービスであればどのような商品でも対応すべきだが、 現実的には地デジ対応やエコポイントなどの必要性や緊急性がない限り、いき なり大型家電製品や太陽光パネルなどのシステム製品の購入につながるケース は尐ない。電器店側にそれらに全て対応できる準備があるかの問題もある。ま ずは小さくても取引関係を作ることが重要である。たとえ他店が販売した商品 のアフターフォローでもよい。そこで地域電器店の強みである安心・安全・信 頼感をお客様に実感していただき、徐々に大型商品や太陽光パネルなどのシス テム製品につなげていくストーリーだ。無論最初にお求めいただく商品が太陽 光パネルというお客様もいるだろうが、小さな取引を次につなげるという意識 で接客・販売することが重要である。そしてゴールは一人のお客様の電気関連 商品・サービスを全面的に委託されることにある。 28 次に地域電器店はどのような営業活動をしていくべきか。これは上記商品の 拡大のストーリーと相似形にある。ファーストコンタクトは消耗品販売や気軽 な相談かもしれない。この段階ではまだ信頼関係構築の初期段階だ。ファース トコンタクトはお客様からアプローチされる場合もあるし、電器店サイドから アプローチする場合もある。 お客様からアプローチを受ける場合、店側にはその準備が必要だ。お客様が 何か商品を必要とした時に、地域電器店でその商品を取り扱っていることが分 かる告知がなければならない。入りやすい店の雰囲気作りやクレンリネス、商 品のパンフレットやPOPの設置、店外には横断幕やのぼり、そして周辺宅へ のチラシのポスティングも有効である。 地域電器店からファーストコンタクトを行う場合、いくつか方法がある。前 述のポスティングと同時に、巡回・個別訪問がある。しかし地域に密着してい るとはいえ、個別訪問を受けたらからと言ってそのまま受注につながるケース は尐ないであろう。地域電器店の強みが信頼関係であることを考えれば、最も 有効な手段は既存顧客からの紹介である。その紹介もお客様の口コミに頼るケ ースと、意図的・組織的に紹介をしていただくよう仕掛けるケースがある。例 えば大阪のある電器店では、高齢者を対象としたカラオケ大会を定期的に主催 し、その会の中でパソコンや家電製品の紹介をしている。カラオケ大会には既 存メンバーによる紹介で参加者を募っている。こうしてお客様同士の交友関係 を通じた紹介を組織的に行い、顧客のネットワークを構築している。一旦信頼 関係ができれば、何か電器製品について困った時にはまず第一に声をかけても らえる関係となる。 声をかけられ、いざ何かの商品を売り込む際に重要なことは何か。お客様が 高齢者の場合は特に電気製品を利用するときの使い方やその人にとっての利用 価値をお客様の立場に立って考え、十分説明することである。最近の家電製品 29 は多機能な分、使い方も複雑だ。機能を省略した高齢者向け携帯電話があるよ うに個々のお客様にとってはほとんど利用しないと思われる機能もある。十分 な説明によりお客様本人、場合によっては家族の納得感を得てから販売する。 価格は商品や購入店を選ぶ時の一要素だ。 さらにパソコンやスマートフォンのようにハードを買っただけでは機能を十 分に発揮しない商品に関しては、使い方の説明に加えてその後のアフターフォ ローをする申し出をするとよい。パソコンの設定や周辺機器の購入・接続、ア プリケーションのダウロードには費用がかかることから、将来的にかかること が予想される必要費用も含めて提示すると信頼感は高まる。また実際のパソコ ンの設定や周辺機器との接続、さらにはアプリケーションの使い方には指導料 がかかることも含めて申し出る。家電量販店やメーカーではコールセンターを 設けているが、高齢者にとってはたとえ有料でも気軽に相談できる人が身近に いる方が安心だ。 次にリピートを取るためには何をする必要があるか。お客様は電気製品をい ろいろな店で購入していると思われるが、尐なくとも自分の店で販売した商品 については、保証期間や大体の製品寿命を押さえておく必要がある。またリコ ールが起きた際にはすぐに声をかけられるよう、顧客別販売商品リストを作成 しておけばよいだろう。電気製品の場合、自動車や保険商品のように利用期限 が厳密に決められてはいないが、こうした商品を販売する店の顧客管理やCR M(Customer Relationship Management)の仕方が参考になる。 個々の商品の販売‐アフターフォローの積み重ねが信頼関係の強化になり、 太陽光パネルやオール電化のようなシステム商品販売や電気製品全面委託につ ながる。地域電器店はお客様と物理的・心理的に近い存在であるためこうした 一連の営業活動をする上で有利なポジションにいると言える。 30 4.2 業界団体に求められる施策 電気製品の高機能化・システム化・IT化が、高齢者の商品選択・活用を難 しくしている一方、同様のことが地域電器店側にも起きている。電器店で扱う 商品のジャンルが広がっている上に、各ジャンルでの専門化が進行している。 地域電機手は従業員数が尐なく、それぞれのジャンル毎に専門スタッフを置く ことができないため、結果として一人がカバーする商品ジャンルが広くなる。 高機能の新商品が次から次へと発売されるので、それに全て対応するのは極め て困難だ。また技術もIT化に伴いその領域が多岐に及んでいる。従って複数 の地域電器店による協業が必要だ。自主的に協業を行っている地域電器店もあ ろうが、地域電器店全体の成長を図るために組合など業界団体が積極的に推進 する必要がある。電器店のスタッフが具体的にどのような分野に得意領域を持 っており、どの電器店のスタッフが組めばお客様の要望に対応できるか皆で共 有できる環境を整備すべきだ。例えば図表4-2のような一覧表(スキルマッ プ)を常にアップデートし、関係者が閲覧できるようにする必要があろう。商 品知識や技術については互いにレベルを上げる取り組みがあってもいい。 業界団体はスキルマップの更新を行いながら、全体として弱いスキルについ て講習会やOJT(On the Job Training)を企画し、地域電器店全体のレベル 底上げを実施すべきだ。 また顧客管理の仕組みを共有できるとよい。複数の地域電器店が一人のお客 様に対応するということは、商品の購入履歴を電器店同士が分かる必要がある。 31 部品交換や保証期間、リコールへの対応なども協力して行う体制作りが重要だ。 一方でアフターフォローに関する電器店同士の役割分担とルール作りをあらか じめ設定しておかないと、互いのトラブルになりかねない。そのため業界団体 が全体最適の見地から公平な仕組み作りを行うのだ。 このように個々の地域電器店は、スタッフ数や保有するスキル、自前の得意 先などについて限界がある。これを業界団体がリードすれば疑似的な大規模家 電店のような体制を整備できる。兎角こうした議論は総論賛成各論反対に陥り がちだ。こうした課題を乗り越えられるかも業界団体のリーダーシップにかか っている。 32 第5章 無店舗販売チャネルの家電流通実態 本調査では、「TV 通販」「カタログ通販」「ネット通販」等、リアル店舗を経 由せずに販売を行う事業を「無店舗販売チャネル」として定義している。無店 舗販売チャネルは、近年ネット通販を中心に急速に伸びてきたため、実際の市 場規模感やプレーヤーの構成等の実態が体系的に整理されていないのが実情で ある。 また、一時期中小のネット通販事業者が大量に参入したため、一部の事業者 では消費者との間での遅配トラブルや決済トラブルが発生した。こうした事業 者では、予約を受けてから仕入元に発注する方式を採っていたり、逆に大量の 未処分在庫を抱えていたりと、商品調達や資金繰りの面で問題を抱えているこ とがトラブルの原因となっていたと言われていた。 近年は、こうした問題やトラブルは徐々に解決され、通販をめぐるトラブル も減尐してきている。また、通販に関するルールやガイドラインも整備され、 通販市場も成熟しつつあると考えられる。 こうした背景を踏まえ、本章では、近年ボリュームを増しつつあると言われ ている家電製品の「無店舗販売チャネル」について実態を調査し、整理するこ ととする。 図表5-1.通信販売に関する相談件数の推移 ( 件) 600,000 538,040 500,000 368,656 400,000 336,643 280,819 300,000 249,283 200,000 100,000 0 2005 2006 2007 2008 2009 ( 年度) 出所)独立行政法人国民生活センター「販売購入形態別の年度別推移及び相談 全体に占める割合」 33 ● 通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン 2009 年 12 月 1 日より改正特定商取引法が施行され、通信販売の返品特約 表示に関する規定が改正された。具体的には以下のような表示方法を規定し ている。 表示サイズ 十分な大きさの文字(例:PC であれば、12pt 以上)で表示する。 表示箇所について 消費者が容易に認識できるよう配慮する。 商品広告画面に表示する場合は、「カートに入れる」等の申込みを行 うための表示の近くに記載する。 商品ごとに各々異なる返品特約が適用される場合は、それぞれ返品特 約について記載する。 返品特約以外の事項とはっきり区別すること 返品特約は、申込み方法や振込方法等の他の事項に紛れたり、埋没し ないように「返品に関する事項」等の表題を掲げて表示する。 「返品の可否」「返品の条件」「返品に係る送料負担」の表示方法 上記の項目は、返品に関するトラブルの主な原因となっているため、 特に明瞭な方法で表示する。 ● 新規インターネット加盟店におけるクレジットカード決済に係る本人認証 導入による不正使用防止のためのガイドライン 2010 年 12 月 14 日、社団法人日本クレジット協会と日本クレジットカー ド協会は、ネット通販での「本人なりすまし」による不正使用被害を防止す るためのガイドラインを発表した。具体的には以下の通り規定している。 2011 年 3 月以降、ネット通販でクレジットカード決済をする新規の加盟 店は、「クレジットカード番号」及び「有効期限」の入力に加え、「セキ ュリティコード+3Dセキュア等」による本人認証を必須とする 34 5.1 無店舗販売チャネルの流通実態 はじめに家電流通全体に目を向けると、その市場規模は非常に大きい。例え ば年間商品販売額で見ると、2007 年時点で8兆 3,850 億円に上る。国内出荷額 で見ても、2009 年時点で6兆 7,090 億円となっている。 ただし、国内出荷額の推移に現れているように、直近の傾向としては頭打ち から縮小に向かう流れとなっている。この背景としては、家電量販店を中心と した激しい価格競争や中国をはじめとするアジア諸国の低価格品の流入等に伴 う商品単価の低下と、消費者全体としての需要の伸び悩みがある。需要の伸び 悩みは、例えば代表的な家電製品である冷蔵庫の出荷数量が 2005 年から 2009 年まで右肩下がりで減尐していることからも読み取れる。 こうした状況を受けて、今後人口減尐、世帯数の減尐がさらに進展する中で、 国内メーカー各社もアジアを始めとする海外市場への展開を加速している。 図表5-2.家庭用電気機械器具の年間商品販売額 ( 10億円) 10,000 電器店 百貨店・総合スーパー 7,997 118 613 381 8,000 6,000 卸売店 8,385 155 516 378 5,872 50 554 609 4,000 2,000 その他小売店 6,884 7,336 2002 2007 4,659 0 1997 ( 年) ※「電器店」は電気機械器具小売業、電気事務機械器具小売業の合計値 出所)経済産業省「商業統計」 35 図表5-3.家電製品※の国内出荷額の推移 ( 10億円) 10,000 8,000 7,474 7,166 6,000 6,751 6,631 6,953 7,268 7,283 7,255 7,200 6,709 4,000 2,000 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 ( 年) ※「家電製品」は、電気機器、映像・音響機器、情報通信機器(パソコン本 体)、照明器具、電球類、電池類の合計 出所)財団法人家電製品協会「家電産業ハンドブック 2010」 図表5-4.冷蔵庫の国内出荷数量の推移 ( 千台) 6,000 4,874 4,793 4,198 4,119 4,381 4,389 4,360 4,067 4,000 3,798 4,019 3,569 2,000 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 ( 年) 出所)経済産業省「生産動態統計調査」 36 短期的な視点で見ると、2010 年度の家電業界のトピックとして、2011 年 7 月 24 日の地上デジタル放送完全移行を控えた薄型テレビの需要が大きく伸び、 空前の売れ行きとなった。また、エコポイント終了直前の駆け込み需要により、 白物家電も含めた家電流通全体としての需要の高まりが見られた。 ただし、今後はこうした需要の反動が予想され、一段と厳しい需要環境にな るものと見られている。 図表5-5.薄型テレビ(10 型以上液晶+PDP)の国内出荷数量の推移 ( 千台) 30,000 25,193 25,000 20,000 13,626 15,000 10,000 8,344 9,703 6,281 4,502 5,000 427 1,476 679 1,200 2,746 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 ( 年) 出所)電子情報技術産業協会「民生用電子機器国内出荷統計」 37 前述のような家電流通全体の傾向がある中で、インターネットショッピング の浸透に伴い着実にシェアを伸ばしているのが、無店舗販売(通信販売)市場 である。富士経済によると、家電製品とパソコンの無店舗販売市場を合わせる と、2009 年時点で 7,600 億円に達する規模となっている。 しかも、家電流通全体の市場規模が落ち込んでいる 2005 年から 2009 年にか けての期間に、無店舗販売市場はむしろ規模を拡大している。こうした背景に はインターネットショッピング利用者の拡大と、リアル店舗からの需要シフト があり、今後も市場は堅調に推移するものと見られる。 図表5-6.家電製品とパソコン関連商品の無店舗販売市場規模推移 ( 10億円) 家電製品 800 パソコン関連 760 678 606 600 309 536 306 468 296 400 274 255 451 200 213 310 263 372 0 2005 2006 2007 2008 2009 出所)富士経済「通販・e-コマースビジネスの実態と今後(2010-2011 38 ( 年) 市場編)」 図表5-7.主要プレーヤー15 社の家電製品・パソコン通販売上推移 (10億円) 120 ジャパネットたかた 楽天 アマゾンジャパン 100 ヤフー デル 80 ヨドバシカメラ ソニーマーケティング 上新電機 60 ストリーム 日本ヒューレット・パッカード 40 ビックカメラ エプソンダイレクト 20 MOA アベルネット ヤマダ電機 0 2006 No. 2007 企業名 2008 2009 2006年 (年) 2007年 (10億円) 2009年 2008年 1 ジャパネットたかた 71 76 95 106 2 楽天 31 40 67 103 3 アマゾンジャパン 45 62 74 94 4 ヤフー 25 27 44 52 5 デル 47 51 47 45 6 ヨドバシカメラ 26 27 30 29 7 ソニーマーケティング 22 24 28 28 8 上新電機 5 6 23 27 9 ストリーム 19 24 26 23 27 29 28 23 9 12 15 18 21 23 21 17 6 9 17 10 日本ヒューレット・パッカード 11 ビックカメラ 12 エプソンダイレクト 13 MOA - 14 アベルネット 8 9 10 16 15 ヤマダ電機 11 14 14 15 ※ 表内の企業掲載順は 2009 年の売上額の降順 ※ ソニーマーケティングの 2006、2007 年はソニースタイル・ジャパンの売上 を掲載 出所)富士経済「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 (2008-2009、2009-2010、2010-2011 市場編)」 39 次に、こうした無店舗販売チャネルにおける主要プレーヤーの変遷を見てみ ると、ジャパネットたかたや楽天、アマゾンジャパンなどのネット専業事業者 のシェアが高まってきていることが分かる。 ジャパネットたかたは、カタログ・テレビ・ネット・ラジオと4つの媒体で 通信販売を行っていることで高い認知度を誇っており、楽天やアマゾンジャパ ンは、家電のみに留まらない総合的かつ幅広い品揃えを武器に集客力を強化し てきているなど、着実にシェアを高めている。 一方、ヨドバシカメラや上新電機などの家電量販事業者によるネット通販事 業は、売上が伸び悩んでいる。こうした事業者では、価格面でリアル店舗との 違いを打ち出し切れないこと等が原因となって、消費者の需要取り込みがうま く進んでおらず、業績が伸び悩んでいるものと見られる。実際、家電量販業界 トップのヤマダ電機であっても、事業規模は伸びているものの無店舗販売市場 においてはトップ 10 圏外の 15 位に留まっているほどである。 図表5-8.ヨドバシカメラ・ヤマダ電機の通販売上割合推移 ( 10億円) ヨドバシカメラ ヤマダ電機 2,500 ヨドバシカメラ_通販割合 ヤマダ電機_通販割合 5.0% 2,000 4.0% 1,500 3.0% 1,000 2.0% 500 1.0% 0 0.0% 2005 2006 2007 2008 2009 ( 年度) ◆年商 2005年度 ヨドバシカメラ ヤマダ電機 2006年度 2007年度 2008年度 601 646 712 701 684 1,284 1,444 1,768 1,872 2,016 ◆通販割合 企業名 2005年度 ヨドバシカメラ_通販割合 ヤマダ電機_通販割合 (10億円) 2009年度 4.0% - 2006年度 2007年度 2008年度 3.9% 3.8% 4.3% 4.2% 0.7% 0.8% 0.8% 0.8% 出所)富士経済「通販・e-コマースビジネスの実態と今後(2010-2011 40 (10億円) 2009年度 企業編)」 そもそも家電量販事業者によるネット通販事業は、従来からの店舗増に依存 した業容の拡大が難しくなる中で、新たな販路として参入・開拓してきたとい う経緯がある。しかし一方では、後ほど第6章でも述べるように、家電量販事 業者による都心部以外の小商圏への出店や、地域電器店チェーンの子会社化が 進められており、販売チャネルとしてのネット通販チャネルの位置づけが改め て見直しを迫られる可能性がある。 上記のような現状を踏まえると、無店舗販売市場においては、今後もネット 専業事業者による躍進が続くものと見られ、家電量販事業者によるネット通販 事業の動向については、その出店戦略と合わせて注視していくことが肝要であ ると言える。 また海外の通信販売市場の動向に目を向けると、アメリカ・カナダの通販売 上高ランキングでデル社とアップル社が 3 位・4 位を占めるなど(2009 年時点)、 従来からパソコンを中心商材としたマーケットであった。 図表5-9.アメリカ・カナダの通販売上高ランキング(2009 年) No. 企業名 業種 通販売上高(10 億円) 1 Amazon.com Inc. 総合 2,257 2 Staples Inc. オフィス用品 903 3 Dell Inc. PC・電気製品 417 4 Apple Inc. PC・電気製品 391 5 Office Depot Inc. オフィス用品 378 6 Walmart.com 総合 322 7 OfficeMax Inc. オフィス用品 256 8 Sears Holdings Corp. 総合 256 9 CDW Corp. PC・電気製品 227 10 Best Buy Co. PC・電気製品 226 出所)Internet Retailer「The Top 500 List」 *1ドル=92.1 円のレートで換算(2009 年 12 月 30 日時点) 41 一方、ベストバイをはじめとする家電量販店がネット通販に参入するように なり、比較的大型の家電についてもネット通販で取り扱われるようになってき た。それに合わせて配送・設置等の機能を含めた物流網の整備が進み、米国で 過去 1 年間にネット通販で購入した商品を聞いた調査では、 「パソコン・周辺機 器」の 18.0%と並び、「生活家電」「AV 機器」がそれぞれ 11.1%、10.8%(すべ て 2009 年時点)を占めるほどになっている。 こうした米国の動向を踏まえると、日本においても依然としてネット通販事 業の拡大余地は大きいものと見られる。日本国内においては、今後パソコン、 タブレット PC、白物家電等の取り扱いが増加していくことが見込まれるためで ある。 図表5-10.インターネットショッピングで購入した商品・サービス(米国・2009 年) 出所)経済産業省「平成 21 年度電子商取引に関する市場調査」 42 次に、家電製品の店舗チャネルでの販売と、通販チャネルでの販売を、商品 カテゴリー別構成比の視点から比較した。 まず店舗チャネルにおける特徴を明らかにする。店舗チャネルにおける商品 カテゴリー別販売額では、2009 年度時点でテレビが 36.1%、白物家電が 26.1% と構成比が高くなっている。特にテレビは 2007 年度時点の 26.4%から比べると 9.7 ポイントもの上昇となり、地上デジタル放送対応テレビの需要の高まりが大 きく寄与していることが分かる。 一方通販チャネルでは、同じく 2009 年度時点でテレビが 52.9%、パソコンが 16.7%と構成比が高くなっている。テレビの販売額構成比の伸びが店舗チャネル と比較しても顕著であり、米国等と比較しても我が国の通販チャネルにおける 大きな特徴となっている。こうした特徴が生まれた背景としては、テレビの設 置・据え付けを含めた物流網の整備が進んだこと、消費者側にとってテレビを ネット通販で買うことへの抵抗感が薄れ、一般的な消費行動になってきたこと があると見られる。 図表5-11.量販店の店舗販売の商品別金額構成比 100% 80% 60% 40% 6.2% 4.8% 3.9% 18.7% 17.0% 14.2% 携帯電話機 26.5% 27.7% 7.5% 7.9% 6.8% 7.1% 6.9% 7.8% 26.1% 6.0% 5.8% 7.8% パソコン 白物家電 その他AV機器 デジタルカメラ DVD 20% 26.4% 28.7% 2007 2008 36.1% テレビ 0% 2009 ( 年度) 出所)経済産業省「家庭電気製品の量販店月次販売統計調査※」 ※国内の家電量販店・百貨店・チェーンストア・ホームセンター・通信販売で、家電製品の売上 が 10 億円以上の企業を対象にした統計調査 ※「白物家電」は冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、エアコン、食器洗い機、クッキングヒーター ※「その他 AV 機器」はVTR、携帯オーディオ機器、ホームオーディオ機器 ※店舗販売額は、全国(合計)から通信販売を除いた数値 43 図表5-12.量販店の通信販売の商品別金額構成比 100% 6.9% 14.0% 0.2% 0.3% 20.4% 16.7% 9.3% 6.9% 11.3% 4.8% 8.5% 5.5% 80% 8.8% 60% 10.9% 12.7% 10.8% 12.7% 40% 30.3% パソコン 白物家電 その他AV機器 16.4% デジタルカメラ 52.9% 20% 携帯電話機 39.4% DVD テレビ 0% 2007 2008 2009 ( 年度) 出所)経済産業省「家庭電気製品の量販店月次販売統計調査」 店舗販売と通信販売について、同様に数量の面からも比較した。 店舗販売については、金額での比較と同じように、テレビの販売数量の伸び が特徴的である。2007 年度と比較して、2009 年度時点で他の商品カテゴリー が 120%未満に留まっているのに対し、テレビだけは 180%近い規模に増加して いる。 一方、通信販売については、テレビももちろんだが、パソコンの伸びが顕著 である。店舗販売では 2007 年度と比較して 2009 年度は 114.7%の規模だが、 通信販売では 332.8%にまで規模を拡大している。このように数量ベースでは通 販チャネルによるパソコンの販売は劇的に増えていたにも関わらず、金額構成 比では 2007 年度から 2009 年度で 2.7 ポイント程度の伸びに留まっており、期 間中の単価の下落が大きかったものと見られる。 44 図表5-13.量販店の店舗販売の商品別数量伸び率(2007 年度=100%) 200.0% 180.0% 160.0% テレビ DVD 140.0% デジタルカメラ その他AV機器 120.0% 白物家電 パソコン 100.0% 携帯電話機 80.0% 60.0% 2007 テレビ DVD デジタルカメラ その他AV機器 白物家電 パソコン 携帯電話機 2008 2007 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 2009 ( 年度) 2008 116.6% 97.5% 93.4% 89.9% 99.6% 115.9% 73.8% 2009 175.8% 94.3% 85.7% 83.1% 72.7% 114.7% 70.3% 図表5-14.量販店の通信販売の商品別数量伸び率(2007 年度=100%) 350.0% 300.0% 250.0% テレビ DVD 200.0% デジタルカメラ その他AV機器 150.0% 白物家電 パソコン 100.0% 携帯電話機 50.0% 0.0% 2007 テレビ DVD デジタルカメラ その他AV機器 白物家電 パソコン 携帯電話機 2008 2007 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 2009 2008 118.1% 107.2% 146.7% 47.3% 110.0% 305.9% 10.4% ( 年度) 2009 179.0% 60.0% 99.6% 19.5% 137.7% 332.8% 1.9% 出所)経済産業省「家庭電気製品の量販店月次販売統計調査」 45 5.2 家電流通における無店舗販売チャネルのビジネスモデル 無店舗販売チャネルの市場の全体像と、主要プレーヤーの動向を確認したと ころで、代表的なネット専業の通販事業者を例として取り上げ、どのようなビ ジネスモデルを持っているのかを整理する。 過去には小規模な事業者が大量に市場に参入したことで、経営基盤の脆弱な 事業者やサービス品質の低い事業者がネット通販におけるトラブルを引き起こ してきたことも事実である。しかし、大半を占める優良な事業者のビジネスモ デルについて改めて確認することで、ネット通販事業者のあるべきビジネスモ デルを明らかにし、トラブルを引き起こすような事業者に対する対応策を検討 する材料としたい。 ここでは、ネット通販専業 A 社に対して実施したヒアリング結果を紹介しな がら、そのビジネスモデルの特徴を整理した。 《ネット通販専業 A 社 ヒアリング結果》 販売方針 正規品/それ以外の構成比 正規品が 99%、他に再生品(返品されたものを修理・再梱包して 再販するもの)などが 1%程度ある。 商品カテゴリ別構成比 家電(白物家電・デジタル家電):40%、カメラ:30%、時計: 10%、楽器 10%、その他:10%の割合。 販売チャネル別構成比 ネット通販:85%、新聞広告:5%の合計 90%が消費者への直販 チャネル。 テレビ通販、ラジオ通販への卸売が合計 10%。 仕入方針 仕入チャネル別構成比 商品供給の安定性を考慮し、95%がメーカーまたはメーカー販社 からの直接仕入。 一部輸入商品については問屋を経由して仕入れている。 46 A 社で扱う商品については、95%が「正規品」=「メーカーからの直接仕入れ 品」となっている。これは A 社としての商品調達の安定性、ひいては消費者・ メーカーに対しての継続的な信頼関係の構築を主眼に置いているためである。 また、複数のメディアミックスによる販売を通して認知度を高める戦略を取 っていることも特徴的である。 在庫の管理方針 在庫の持ち方 予め仕入れておいて販売する方法が 80%で、定番商品が対象。 それ以外に、注文が入ってから取り寄せる方法が 20%で、販売見 込みの立ちにくいチャレンジ商品が対象。 在庫の管理場所 自社オフィスを倉庫スペースとして活用。 上記倉庫スペースから佐川急便、ヤマト便、ゆうパックを利用し て直接全国へ配送している。 在庫の管理方針については、予め仕入れておいた商品を販売する方法が 80% となっている。こうすることで商品の発送が遅れるトラブルや、最悪の場合発 送キャンセルといった事態も予防することができる。 A 社の場合、この在庫管理方針を主に定番商品に適用しており、ある程度の 売れ行きが見込める確証を持って仕入れているため、売れ残りリスクを最小限 に抑えることが出来ている。 また、在庫商品は自社オフィスの倉庫スペースにおいて管理しているので、 在庫の有無を瞬時に確認できる。 リサイクルの方針 リサイクル A 社への持込みおよび自治体での回収の 2 パターンを提示してい る。 どちらも消費者自身が製品の持込み費用およびリサイクル費用 を負担する必要があり、実態として A 社に持ち込まれるケースは ゼロである。 47 製品保証の方針 製品保証 メーカーによる 1 年間保証は原則全商品に付けている。 さらに、延長保証サービスのワランティマート社と契約して、商 品価格の 5%を支払うことで 5 年保証に延長できるサービスも提 供している。 修理対応 1 ヶ月以内の初期不良の場合には、新品交換にて対応。 それ以上経過した場合の故障では、メーカーへの直接問い合わせ を依頼している。 個人経営などの小規模事業者においては度々トラブルとなる、製品保証につ いても外部委託会社を活用して量販店と同等水準の保証を提供している。一方 で初期不良以外の故障等についてはメーカーへの直接問い合わせを推奨してお り、自社で保有しているリソースに見合ったサービス提供を中心としながら、 メーカーや外注会社を有効に活用してビジネスモデルを構築していることが分 かる。 48 5.3 無店舗販売チャネルが抱える課題 無店舗販売チャネルでの家電流通、特にネット通販チャネルは、低価格化や 価格比較サイトの登場に伴って近年急拡大してきたが、一方で商品の品質その ものに対する不安や、代金決済、配達などの場面でのトラブルも増加してきて いる。店舗での直接の顧客接点を持たないがゆえに、製品安全や販売者責任の あり方が問われるようになっている。 直近の事例で言えば、通販事業者最大手のジャパネットたかたで製品故障が 発生した例が記憶に新しい。これも、販売した後のアフターフォローのあり方 について改めて問われる事案と言える。 ● 「テレビ台ガラス割れる事故 74 件 ジャパネットたかた販売」 テレビ通販大手のジャパネットたかた(長崎県佐世保市)が 2005 年末か ら 09 年初めにかけて販売したテレビ台の天板の強化ガラスが突然割れる 事故がこれまでに計 74 件あったことが 16 日、経済産業省や同社などの 調査で分かった。テレビ台は中国製と台湾製で、液晶テレビなどとセット 販売された。いずれもけが人はなかったが、同社は製品のリコール(回収・ 無償修理)も含めて対応を検討する。 同省によると、同社側が今年、独立行政法人の製品評価技術基盤機構(N ITE)にテレビ台の天板の破損事故が相次いでいることを報告。件数が 多いことからNITEが経産省にも報告した。 原因は調査中だが、一般的には「ガラスに不純物が混ざるなどしていると、 ガラスの上に物を置かなくても突然割れることがある」(同省)という。 出所)2011/2/16,日本経済新聞 上記のようにリサイクルや修理対応に関しては、多くの無店舗販売事業者が 実質的には消費者の判断に委ねているのが実態である。直接の顧客接点を持た ないがゆえに、販売した後のアフターフォローについては対応が不十分な側面 も見られる。 こうしたアフターフォローを、地域電器店など全国にネットワークを持つ事 業体と情報共有・連携して対応するなど、家電流通全体で取り組んでいく必要 がある。 49 また、最近ではネット通販の形態自体にも変化が起きつつある。 例えば「グルーポン」に代表されるような共同購入型クーポンによるビジネ スが広まりつつある。 さらに近年では「ペニーオークション」と呼ばれるオークション形態も出現 した。これは、新品の家電やブランド品などが入札開始価格0円といった破格 の安さで出品されるが、従来のインターネットオークションと異なり、入札の つど手数料が生じ、落札できなくとも支払う必要があるといったビジネスであ る。 こうした新たなビジネス形態において、消費者トラブルが頻発しており、新 規参入事業者に対するルールづくりや監視体制の整備が急がれる。 ● 「グルーポンに改善要請、おせち不当表示、業者には命令、消費者庁」 インターネットの共同購入サイト「グルーポン」を通じて注文したおせ ち料理が見本と違うと苦情が相次いだ問題で、消費者庁は外食文化研究 所(横浜市)が価格や食材を不当表示したとして、景品表示法違反(優 良誤認など)で再発防止を求める措置命令を出した。サイトを運営する グルーポン・ジャパン(東京・渋谷)にも違反がないよう再発防止を要 請した。 消費者庁によると、外食文化研究所が昨年末にサイト上で発売した「バ ードカフェ謹製おせち」の価格について「通常価格2万1千円」を「5 0%OFF1万500円」と表示していた。だがこのおせち料理の通常 価格は日常的な販売実績がない架空の値段であり、商品を安く見せかけ ていた。 食材では、メニューに「キャビア」と表示したが実際はランプフィッシ ュという魚の卵を使うなど、7品が記載とは異なることが分かった。 出所)2011/02/25, 日経MJ(流通新聞) ● 「新オークションに苦情急増 入札するたびに手数料…落札困難」 入札のたびに手数料が取られる「ペニーオークション」と呼ばれる新手 のインターネットオークションに関して、「いくらやっても落札できな い」といった苦情が11月ごろから、各地の消費者センターで急増して いることが28日分かった。 ほとんどの業者が格安で商品を落札できることを売りにしているが、落 札できなくても手数料が返金されない点などを明確に表示していない 場合、景品表示法(有利誤認)に抵触する恐れがある。消費者庁は情報 50 収集に着手し、年明けにも注意喚起したい考えだ。 国民生活センターなどによると、ペニーオークションに関する相談は1 1月末までに150件あった。「業者がサクラを使って参加者に落札さ せないようにしているのではないか。不審だ」との声も寄せられた。 出所)2010/12/29, FujiSankei Business i 51 第6章 家電販売形態の多様化と消費者ニーズの動向 本章では家電販売形態が多様化している実態の整理と、それに伴って変化し てきている消費者ニーズの動向を整理する。 6.1 家電販売形態の変化 我が国では 1950 年代以降、家電製品の多くは家電メーカー系列の地域電器店 で販売されてきた。それは組織小売業が発達していなかった当時、所謂家電の 三種の神器(テレビ、冷蔵庫、洗濯機)を全国の家庭に供給する一大ルートと して大きな役割を果たした。 1960 年代からスーパーマーケットのチェーン化が進む。スーパーは店舗数を 数百店規模に拡大するとともに、取り扱い商品を衣料品・食料品・住居関連商 品の全ジャンルに広げた。当然住居関連商品の中に家電製品も含まれた。それ まで家電製品を大量販売する企業はなかったが、大手スーパーは大量販売する 上に低価格を訴求した。その結果、系列店も含めて利益確保をしたい家電メー カーと時折衝突することもあった。松下電器とダイエー間の対立はその象徴で ある。1990 年代前半がスーパーマーケット全盛の時代である。 しかし 1990 年代後半から小売業態の専門店化が進行する。衣食住を揃える総 合業態(百貨店、総合スーパーなど)は、特定の商品ジャンルに特化した専門 店チェーンに売上と売り場を徐々に奪われていく。バブル崩壊とともに消費者 の価格志向が強まり、専門カテゴリーのみを販売するために無駄なものは省き ローコスト化した専門店チェーンは売上と利益を向上させた。2000 年代になる と小売業態の主役は完全に専門店に移ることになった。 52 家電量販店はその典型的なカテゴリーだ。家電製品は食品のように嗜好の地 域性が強いわけではないので、この業態は全国チェーン化してスケールメリッ トを追求しやすい。もともとは家電を扱う個人商店であった店が徐々に店の数 を増やし一定の規模になるとバイイングパワーを強め、また費用面では無駄を 省いてローコストを武器に郊外で店の大型化と多店舗化のペースを上げた。ま た都心のカメラ専門店は家電全般に品揃えを広げて大型化し、大都市のターミ ナル近辺に多店舗化した。グラフにあるように家電量販店は過去10年、ドラ ッグストアなど他の専門店同様一貫して売上規模を拡大している。 53 食品スーパー GMS CVS 家電量販 百貨店 ドラッグストア アパレル専門店 ホームセンター 生協 ディスカウントストア 00年度 13.0 10.0 6.9 5.1 01年度 12.8 8.3 7.0 5.2 02年度 13.2 8.2 7.1 5.1 03年度 13.2 7.9 7.2 5.3 04年度 13.3 8.0 7.4 5.4 05年度 13.5 8.7 7.6 5.8 1.9 2.5 1.8 2.5 0.9 2.1 2.7 2.7 2.3 1.1 2.6 2.6 2.8 2.4 1.0 2.9 2.7 2.9 2.5 1.2 3.3 2.8 3.1 2.5 1.7 3.6 3.1 3.1 2.5 1.9 06年度 13.0 8.6 7.4 5.7 8.3 3.7 3.2 2.8 2.5 1.4 07年度 13.6 8.7 7.5 6.4 8.1 4.3 3.4 3.1 2.5 1.4 08年度 13.7 8.8 8.0 6.4 7.5 4.6 3.6 3.2 2.5 1.4 09年度 13.9 8.6 8.0 6.5 6.4 4.8 3.5 3.2 2.4 1.3 出所)ダイヤモンド・フリードマン社「Chain Store Age」2001 年~2010 年各年実施の「日本の小売業 1000 社」データよりNRI作成 業態全体で伸長している家電量販店の中でも事業戦略の変化や合従連衡が進 んでいる。 例えば、家電量販のヤマダ電機はこれまで郊外次いで都心部の大型店を中心 に出店してきたが、今後はこれまでカバーし切れていない小商圏を狙って小型 店を大量出店する方針を出している。地上デジタル対応テレビの商品の設置・ 配線など、販売後のアフターフォローまでを含めたトータルサービスソリュー ションでよりきめ細かく消費者に浸透する狙いである。小型店は直営による出 店のほか、フランチャイズチェーンシステムやボランタリーチェーンシステム による加盟店開拓も活用する。コスモスベリーズの子会社化は小商圏攻略の一 環だ。このように家電量販を主軸とする家電店の系列化が加速している。 54 一方で家電量販店同士の統合も進んでいる。前述のように家電製品に対する 消費者ニーズはそれほど地域差がないため、全国で同一の商品が販売される。 当然大量仕入れ・大量販売できる企業は家電メーカーに対し大きな交渉力を持 つことになる。大型スーパーも含めこれまでチェーンストアはスケールメリッ トの追求をしてきたのだが、最近ではその水準が極めて高くなっている。家電 製品だけで一社が 5000 億円から1兆円を超える売上規模になり、そのレベルで の仕入れ価格交渉、販売価格の設定の競争となっている。よってその規模に満 たない企業は同じ土俵に上がるべく、企業の統合を進めてきた。 ヤマダ電機 エディオン デオデオ(03からエディオン) エイデン(03からエディオン) ミドリ電化(05にエディオンへ) ヨドバシカメラ ビックカメラ ケーズ デンコードー(07にケーズへ) コジマ ベスト電器 上新電機 ラオックス 96年度 97年度 98年度 99年度 00年度 01年度 02年度 03年度 04年度 05年度 06年度 07年度 08年度 09年度 879 1,265 1,621 2,428 3,322 5,609 7,938 9,391 11,024 12,840 14,437 17,678 18,718 20,161 4,342 4,380 7,147 7,403 8,512 8,030 8,200 1,833 2,235 2,058 2,039 2,193 2,347 2,382 1,079 1,059 1,276 1,478 1,907 1,989 872 943 989 1,172 1,394 2,035 2,207 2,222 2,332 1,777 2,233 2,385 2,847 3,407 4,321 5,159 5,450 5,808 6,012 6,463 7,121 7,013 6,836 1,114 1,281 1,375 1,714 2,105 3,451 3,867 4,416 4,566 4,332 4,805 5,657 6,307 5,892 741 871 884 1,041 1,295 1,711 1,949 2,200 3,434 3,998 4,311 5,678 5,742 6,486 552 652 646 747 892 1,203 1,222 1,170 1,193 1,186 1,186 2,264 2,777 3,016 3,664 4,251 4,960 5,035 4,762 4,907 4,980 5,013 5,003 4,598 4,383 2,384 2,830 2,556 2,646 2,933 3,686 3,546 3,552 3,579 3,614 3,690 4,135 3,719 3,456 2,295 2,491 2,248 2,392 2,602 2,379 2,239 2,453 2,632 2,980 3,157 3,410 3,597 3,856 1,262 1,449 1,417 1,542 1,756 1,798 1,679 1,551 1,291 1,034 807 590 406 95 出所)日本経済新聞社「日本の小売業調査」よりNRI作成 55 6.2 家電購入に対する消費者ニーズの動向 上記で取り上げたような業界構造の変化もあり、消費者ニーズにも変化が生 まれている。 弊社独自調査の「生活者1万人アンケート」によれば、家電量販店を年に1 回以上利用すると回答した消費者は経年で増加し続け、2009 年度には 78.6%に 達した。一方で前項で指摘したように百貨店・デパートのような総合業態の利 用者割合は減尐傾向にある。 大型家電量販店の利用は、都市部や地方部といったエリアを問わず上昇して いる(図表6-6)ので、完全に我が国に定着しつつあると言ってよい。特に 2006 年~2009 年の3年間では人口20万人以下の市での利用率が向上してい る。これは家電量販店が従来の都市部に加えて、こうした中小都市への出店攻 勢を強めていることの結果と思われる。まだ相対的には利用者割合が低い町村 部へも今後出店が進み、今後割合が上昇すると思われる。 56 図表6-6 エリア別大型家電量販店の利用率(1年に1回以上) 100 (%) 90 80 82.3 78.7 79.5 76.2 78.1 75.1 76.1 70 67.7 72.9 69 2009年 60 2006年 50 また性別年代別で利用者割合をみると(図表6-7及び図表6-8)どのセ グメントでも上昇しているが、特に男女とも中高年での上昇率が高いことが分 かる。 図表6-7 男性の年代別大型家電量販店の利用率(1年に1回以上) 100 (%) 90 85.7 80.7 80 70 87.9 86.5 87.2 84.4 78.2 75 71 68.3 72.3 66.6 60 2009年 2006年 50 10代男 20代男 30代男 57 40代男 50代男 60代男 図表6-8 女性の年代別大型家電量販店の利用率(1年に1回以上) 100 90 (%) 83.8 80 85.2 81.8 76.9 84.8 78.9 74.3 69.9 70 60 62.7 61.2 58.1 55.8 50 10代女 20代女 30代女 40代女 50代女 2009年 2006年 60代女 一方でかつて家電流通の主役であった地域電器店の利用頻度は低下している と思われる。図表6-9の日常利用チャネルの平均利用頻度を見ると、地域電 器店の属する「商店街の中の一般小売店」の利用頻度は 1997 年一貫して低下し ている。 一口に家電製品と言っても多機能化やシステム化が進み、その商品説明から 販売、アフターサービスに高度な知識と専門性が求められる。消費者サイドも 58 商品情報や使い勝手などを十分吟味してから購入に及ぶ消費スタイルが拡大し ている。 上図のように消費者は「高いか、安いか」という価格軸より、「自分のお気に入 りにこだわるか」のこだわり軸による判断を強めていることが分かる。前項で説 明したようにあらゆる商品ジャンルで専門店が伸長しているのは、このこだわ り志向に対応した店づくりができているからだ。 大型家電量販店では低価格を訴求するのみならず、深い品揃えと消費者の疑 問に応えられる専門員を備えており、これがまさに消費者のお気に入り志向に 対応できる店となっている。一方地域電器店は広い売り場を持つことは事実上 難しく、また細分化・専門化が進む家電製品全てに精通することも困難だ。 今後地域電器店が生き残ってゆくとすれば、グラフの左上の証言「利便性消 費」に徹底的に対応することではなかろうか。次々と市場に投入される新商品に 戸惑っているのは消費者も同様だ。家電製品やIT機器に関心を持ち、購入す る際「徹底探索」する消費者がいる一方、興味や知識はあまりないが、それを手 軽に利用したいと考えている消費者も多い。特に高齢者は商品の選択から使い 方まで身近でアドバイスしてもらうことが望まれている。特にパソコンやスマ ートフォンを始めとするIT機器は、購入してからの設定やカスタマイズでハ ードの持つ機能を引き出せることから、購入後のサービスがより強く望まれて いる。 59 6.3 ネット通販に対する消費者意識の動向 インターネットの普及に伴い、ネット通販の売上高は年々拡大している。2010 年に百貨店とネット通販の売上高が逆転したのはその象徴だ。そして今後もネ ット通販の売上高は拡大し続け、2015 年には 14 兆円にのぼると予想されてい る。 ネット通販で販売される商品は多岐にわたる。普及初期には書籍やCDなど 商品の内容や価格が決まっており、店で買ってもネットで買っても全く同じと いったジャンルで利用された。しかし今や、自分の体のサイズに合うか実物を 手にしないと分からないような衣料品、個体ごとに品質の異なる生鮮食品もネ ット通販の成長市場だ。況や家電製品は型番でスペックが決まっており、また メーカーやブランドを超えて機能比較ができるなどネット販売に最も適したジ ャンルといえる。さらに同一商品を店間で価格比較できたり、実際のユーザの 声を知ることができる点は、実際の店舗では実現し得ない機能である。 このようなネットの情報提供機能・価格比較機能は前述の「徹底探索」をする 消費者に深く浸透してきた。しかし最近では商品ジャンルの拡大や扱い事業者 の拡大、特にリアル店舗の小売業やテレビ通販企業が参入することで、様々な 60 消費者がネット通販を利用するようになっている。例えばスーパーがネット上 で食品を販売しその日の内に自宅に配達するネットスーパーは、主婦や高齢者 まで普及している。最近では実際の店になかなか行けない買い物弱者にネット 通販を活用しようという動きも出ている。 図表6-12 ネット通販利用率推移 過去1年でネット通販を利用した人の割合(男性) ③最近は中高年男性 の利用がアップ 50% 46% 43% 33% 30% 20% 50% 34% 13% 11% 21% 10% 8% 1% 10代 29% 2000年 20% 24% 10% 30代 22% 40代 50代 60代 2003年 2000年 17% 11% 6% 5% 2% 2% 10代 ①2000年代前半は若年男性 の利用がアップ 2006年 22% 10% 5% 4% 3% 2009年 34% 30% 15% 10% 0% 20代 37% 14% 12% 4% 0% 30% 2003年 25% 17% 10% 37% 2006年 28% 22% ④今後は中高年 女性の利用が アップ 2009年 40% 33% 23% 48% 45% 42% 40% 35% 過去1年でネット通販を利用した人の割合(女性) 20代 30代 40代 1% 50代 7% 4% 1% 1% 60代 ②2000年代半ばは若年女性 の利用がアップ ※2000~2006 年調査は「パソコンを使って商品・サービスの発注をしたことがある人」の割合、 2009 年調査は「インターネットショッピング利用者の割合」 出所)NRI「生活者1万人アンケート調査」 (2000 年~2009 年) 上図のように過去1年以内にネット通販を利用した人の割合は性別・年代を 問わず上昇している。まだインターネット自体が普及の途上にあった 2000 年代 前半は若年男性が主たるネット通販利用者であった。インターネットの普及と 低価格化が進むと、もともとカタログ通販やショッピングに関心のある若年女 性に広がった。最近では中高年の利用比率が向上している。 今後はスマートフォンやタブレット型端末の普及によりあらゆるユーザ・あ らゆる場面でのネット通販が広がると思われる。 61 参考資料 アンケート調査票 「地域電器店の経営実態に関する調査」 「家電製品の購入に関する意識調査」 アンケート単純集計結果表 「地域電器店の経営実態に関する調査」 「家電製品の購入に関する意識調査」 62 ●「地域電器店の経営実態に関する調査」調査票 ◆問1.貴社のプロフィール はじめに御社業務についてお伺いします。(選択肢の番号を○で囲むか、数字をご記入ください) 問1-1 ご担当者 (記入者) 氏名 部署・ 役職 問1-2 従業員数 (家電販売に従事する人数) ※「うち技術者」については、 電気主任技術者等の資格 保有者の人数をご回答下さい。 合計 人 うち営業担当者 人 うち技術者 問1-3 人 店舗にて利用可能な情報端末 1.パソコン ※該当するものをすべてご回答ください。 2.ファックス 3.固定電話 4.携帯電話 5.その他( ) ◆問2.販売状況 商品販売・役務提供の状況についてお伺いします。(選択肢の番号を○で囲むか、数字をご記入ください) 問2-1 顧客数 (直近1年間の利用客数) 問2-2 個人宅以外の顧客の売上割合 (企業、官公庁、教育機関等) 問2-3 09年度年商 ※年商全体と合わせて、役務提供 を除いた商品販売の割合もご回 答ください。(おおよその割合で 結構です。) 問2-4 人 % 年商 千円 うち商品販売の割合 主要な販売商品 ※該当するものをすべてご回答ください。 % 1.大型白物家電(エアコン、冷蔵庫、洗濯機等) 2.小型白物家電(炊飯器、電子レンジ、ホットプレート等) 3.AV機器(テレビ、HDD・DVD/ブルーレイ、オーディオ機器等) 4.情報機器(パソコン、周辺機器) 5.携帯電話 6.消耗品(電球、延長コード、電池等) 7.その他( ) 問2-5 主要な仕入元 1.メーカー販売会社 ※該当するものをすべてご回答ください。 2.FC本部 3.協業グループ本部 4.その他( ) 問2-6 販売形態 1.店頭販売 ※該当するものをすべてご回答ください。 2.訪問販売 3.電話・FAXでの受註販売 4.電子メール・インターネット経由の受註販売 5.その他( ) 問2-7 主要な提供役務 1.TV・DVD・ブルーレイ等の設置/接続 ※該当するものをすべてご回答ください。 2.エアコンの取り付け・取り外し 3.家電製品の修理 4.PCの接続 5.アンテナ工事 6.配線工事 7.電話工事 8.修理品メーカー取り次ぎ 9.その他( ) 63 ◆問3.経営上の課題 経営上の課題についてお伺いします。 問3-1 経営上の課題への対策 ※各課題について工夫していることをご回答ください。 1.価格競争対策 2.人手不足対策 3.商品知識の向上 4.投資資金の確保 5.その他 問3-2 政府や業界団体への要望 ※ご要望やご意見をご自由にお書きください。 64 ●「家電製品の購入に関する意識調査」調査票 ◆問1.ご回答者のプロフィール はじめにあなたご自身およびご家庭についてお伺いします。(選択肢の番号を○で囲むか、数字をご記入ください) 問1-1 性別 1.男性 2.女性 問1-2 ご年齢 1.~20歳未満 ※該当するものを1つご回答ください。 2.20歳以上~30歳未満 3.30歳以上~40歳未満 4.40歳以上~50歳未満 5.50歳以上~60歳未満 6.60歳以上~ 問1-3 世帯構成 ※該当するものを1つご回答ください。 1.単身世帯 2.夫婦のみの世帯 3.夫婦と未婚の子供の世帯 4.ひとり親と未婚の子供の世帯 5.夫婦と既婚の子供の世帯 6.三世代以上の同居世帯 7.上記以外 問1-4 自動車の保有台数 台 ◆問2.消費に対する意識 家電に関する消費意識についてお伺いします。(選択肢の番号を○で囲むか、数字をご記入ください) 問2-1 過去1年間の家電への世帯消費支出額 ※おおよその金額で結構です。 円 問2-2 商品の購入先 ※以下の商品について、購入先をすべてご回答ください。 問2-2-A.大型白物家電(エアコン、冷蔵庫、洗濯機等) 1.地域の電器店 2.家電量販店 3.百貨店、大型スーパーマーケット 4.ホームセンター、ディスカウントストア 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 6.その他( ) 問2-2-B.白物家電(炊飯器、電子レンジ、掃除機等) 1.地域の電器店 2.家電量販店 3.百貨店、大型スーパーマーケット 4.ホームセンター、ディスカウントストア 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 6.その他( ) 問2-2-C.小型電気製品(ドライヤー、シェーバー等) 1.地域の電器店 2.家電量販店 3.百貨店、大型スーパーマーケット 4.ホームセンター、ディスカウントストア 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 6.その他( ) 65 問2-2 商品の購入先(つづき) ※以下の商品について、購入先をすべてご回答ください。 問2-2-D.AV機器(テレビ、HDD・DVD・ブルーレイ、オー ディオ等) 1.地域の電器店 2.家電量販店 3.百貨店、大型スーパーマーケット 4.ホームセンター、ディスカウントストア 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 6.その他( ) 問2-2-E.通信機器(固定電話、FAX等) 1.地域の電器店 2.家電量販店 3.百貨店、大型スーパーマーケット 4.ホームセンター、ディスカウントストア 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 6.その他( ) 問2-2-F.パソコン及び周辺機器等 1.地域の電器店 2.家電量販店 3.百貨店、大型スーパーマーケット 4.ホームセンター、ディスカウントストア 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 6.その他( ) 問2-2-G.消耗品(電球、蛍光灯、電池類等) 1.地域の電器店 2.家電量販店 3.百貨店、大型スーパーマーケット 4.ホームセンター、ディスカウントストア 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 6.その他( ) 問2-3 家電購入時の重視ポイント ※該当するものを2つ回答ください。 1.とにかく安くて経済的なものを買う 2.長期保証等アフターサービスが充実している 3.名の通ったブランドやメーカーの商品 4.多種多様な機能があること 5.色や形等のデザインが気に入ったもの 6.販売員が推薦するもの 7.利用者の評判が良いこと 8.その他( ) ◆問3.情報家電の利用状況 情報家電の利用状況についてお伺いします。(選択肢の番号を○で囲んでください) 問3-1 自宅に保有している情報端末 ※該当するものをすべてご回答ください。 1.パソコン(デスクトップ、ノート) 2.固定電話 3.ファックス 4.携帯電話 5.地上デジタル放送対応TV 6.HDD・DVD・ブルーレイ 7.その他( ) 問3-2 インターネットの利用状況 ※該当するものを1つご回答ください。 1.毎日利用している 2.週に2、3回は利用している 3.週に1回程度利用している 4.月に1回程度利用している 5.利用していない 66 ◆問4.地域の電器店の利用実態 地域の電器店の利用実態についてお伺いします。(選択肢の番号を○で囲むか、数字をご記入ください) 問4-1 地域の電器店の利用頻度 ※該当するものを1つご回答ください。 1.月に1回以上利用している 2.半年に1回程度利用している 3.年に1回程度利用している 問4-2 地域の電器店を利用する理由 ※該当するものをすべてご回答ください。 1.買いたい商品や利用したいサービスがあるから 2.価格が手頃だから 3.自宅または最寄り駅の近くにあるから 4.店員の商品知識が豊富で、購入時に相談できるから 5.店舗が清潔で明るく、入りやすい雰囲気があるから 6.店員があなたの保有している家電を把握しているので、 商品の買い替え時期や、お勧め商品について適切に助言 してくれるから 7.店員が顔見知りで、安心して買い物ができるから 8.電話での注文や修理に応じてくれるから 9.その他( ) 問4-3 過去1年間の利用金額 ※過去1年間に地域の電器店を利用したおおよそ の金額をご回答ください(商品購入や設置工事 などの総額)。 円 ◆問5.地域の電器店への期待・要望 地域の電器店への期待・要望についてお伺いします。 問5 地域の電器店への期待・要望 ※ご要望やご意見をご自由にお書きください。 67 ●「地域電器店の経営実態に関する調査」単純集計結果表 ◆問1.貴社のプロフィール 問1-2 従業員数 平均(人) 合計 3.3 うち営業担当者 2.0 うち技術者 1.6 問1-3 【複数回答】店舗にて利用可能な情報端末 割合(%) 1.パソコン 92.6 2.ファックス 98.5 3.固定電話 98.5 4.携帯電話 92.6 ◆問2.販売状況 問2-1 顧客数(直近1年間の利用客数) 平均(人) 顧客数 739.9 問2-2 個人宅以外の顧客の売上割合(企業、官公庁、教育機関等) 平均(%) 売上割合 12.8 問2-3 09年度年商 平均(千円) 年商 707,924.2 平均(%) うち商品販売の割合 72.7 問2-4 【複数回答】主要な販売商品 割合(%) 1.大型白物家電(エアコン、冷蔵庫、洗濯機等) 97.0 2.小型白物家電(炊飯器、電子レンジ、ホットプレート等) 88.1 3.AV機器(テレビ、HDD・DVD/ブルーレイ、オーディオ機器等) 94.1 4.情報機器(パソコン、周辺機器) 48.9 5.携帯電話 5.9 6.消耗品(電球、延長コード、電池等) 86.7 7.その他 23.0 68 ◆問2.販売状況(続き) 問2-5 【複数回答】主要な仕入元 割合(%) 1.メーカー販売会社 95.6 2.FC本部 3.7 3.協業グループ本部 7.4 4.その他 38.5 問2-6 【複数回答】販売形態 割合(%) 1.店頭販売 83.0 2.訪問販売 77.0 3.電話・FAXでの受註販売 50.4 4.電子メール・インターネット経由の受註販売 4.4 5.その他 7.4 問2-7 【複数回答】主要な提供役務 割合(%) 1.TV・DVD・ブルーレイ等の設置/接続 90.4 2.エアコンの取り付け・取り外し 97.8 3.家電製品の修理 91.9 4.PCの接続 49.6 5.アンテナ工事 96.3 6.配線工事 88.1 7.電話工事 46.7 8.修理品メーカー取り次ぎ 79.3 9.その他 15.6 69 ●「家電製品の購入に関する意識調査」単純集計結果表 ◆問1.ご回答者のプロフィール 問1-1 性別 割合(%) 男性 56.5 女性 21.7 無回答 21.7 問1-2 ご年齢 割合(%) ~20歳未満 2.2 20歳以上~30歳未満 2.2 30歳以上~40歳未満 8.7 40歳以上~50歳未満 8.7 50歳以上~60歳未満 21.7 60歳以上~ 54.3 無回答 2.2 問1-3 世帯構成 割合(%) 単身世帯 8.7 夫婦のみの世帯 39.1 夫婦と未婚の子供の世帯 21.7 ひとり親と未婚の子供の世帯 4.3 夫婦と既婚の子供の世帯 三世代以上の同居世帯 8.7 10.9 上記以外 6.5 問1-4 自動車の保有台数 平均(台) 保有台数 1.5 ◆問2.消費に対する意識 問2-1 過去1年間の家電への世帯消費支出額 平均(円) 消費支出額 272,496.6 70 ◆問2.消費に対する意識(続き) 問2-2 【複数回答】商品の購入先 A.大型白物家電(エアコン、冷蔵庫、洗濯機等) 割合(%) 1.地域の電器店 69.6 2.家電量販店 30.4 3.百貨店、大型スーパーマーケット 2.2 4.ホームセンター、ディスカウントストア 4.3 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 0.0 6.その他 0.0 B.白物家電(炊飯器、電子レンジ、掃除機等) 割合(%) 1.地域の電器店 52.2 2.家電量販店 39.1 3.百貨店、大型スーパーマーケット 4.3 4.ホームセンター、ディスカウントストア 8.7 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 6.5 6.その他 0.0 C.小型電気製品(ドライヤー、シェーバー等) 割合(%) 1.地域の電器店 32.6 2.家電量販店 52.2 3.百貨店、大型スーパーマーケット 4.3 4.ホームセンター、ディスカウントストア 15.2 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 2.2 6.その他 0.0 D.AV機器(テレビ、HDD・DVD・ブルーレイ、オーディオ等) 割合(%) 1.地域の電器店 69.6 2.家電量販店 28.3 3.百貨店、大型スーパーマーケット 6.5 4.ホームセンター、ディスカウントストア 4.3 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 2.2 6.その他 0.0 E.通信機器(固定電話、FAX等) 割合(%) 1.地域の電器店 39.1 2.家電量販店 41.3 3.百貨店、大型スーパーマーケット 0.0 4.ホームセンター、ディスカウントストア 8.7 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 2.2 6.その他 13.0 71 ◆問2.消費に対する意識(続き) 問2-2 【複数回答】商品の購入先 F.パソコン及び周辺機器等 割合(%) 1.地域の電器店 21.7 2.家電量販店 58.7 3.百貨店、大型スーパーマーケット 0.0 4.ホームセンター、ディスカウントストア 2.2 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 15.2 6.その他 6.5 G.消耗品(電球、蛍光灯、電池類等) 割合(%) 1.地域の電器店 37.0 2.家電量販店 30.4 3.百貨店、大型スーパーマーケット 10.9 4.ホームセンター、ディスカウントストア 45.7 5.通信販売(カタログ、テレビ、インターネット等) 2.2 6.その他 0.0 問2-3 【複数回答】家電購入時の重視ポイント 割合(%) 1.とにかく安くて経済的なものを買う 23.9 2.長期保証等アフターサービスが充実している 45.7 3.名の通ったブランドやメーカーの商品 47.8 4.多種多様な機能があること 6.5 5.色や形等のデザインが気に入ったもの 10.9 6.販売員が推薦するもの 19.6 7.利用者の評判が良いこと 13.0 8.その他 6.5 ◆問3.情報家電の利用状況 問3-1 【複数回答】自宅に保有している情報端末 割合(%) 1.パソコン(デスクトップ、ノート) 76.1 2.固定電話 87.0 3.ファックス 67.4 4.携帯電話 89.1 5.地上デジタル放送対応TV 82.6 6.HDD・DVD・ブルーレイ 67.4 7.その他 4.3 72 ◆問3.情報家電の利用状況(続き) 問3-2 インターネットの利用状況 割合(%) 1.毎日利用している 37.0 2.週に2、3回は利用している 19.6 3.週に1回程度利用している 2.2 4.月に1回程度利用している 8.7 5.利用していない 21.7 無回答 10.9 ◆問4.地域の電器店の利用実態 問4-1 地域の電器店の利用頻度 割合(%) 1.月に1回以上利用している 8.7 2.半年に1回程度利用している 50.0 3.年に1回程度利用している 28.3 無回答 13.0 問4-2 【複数回答】地域の電器店を利用する理由 割合(%) 1.買いたい商品や利用したいサービスがあるから 19.6 2.価格が手頃だから 6.5 3.自宅または最寄り駅の近くにあるから 17.4 4.店員の商品知識が豊富で、購入時に相談できるから 43.5 5.店舗が清潔で明るく、入りやすい雰囲気があるから 10.9 6.店員があなたの保有している家電を把握しているので、 56.5 商品の買い替え時期や、お勧め商品について適切に助言 してくれるから 7.店員が顔見知りで、安心して買い物ができるから 60.9 8.電話での注文や修理に応じてくれるから 52.2 9.その他 4.3 問4-3 過去1年間の利用金額 平均(円) 利用金額 182,159.1 73