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放射線の康影に関する中学生の意識調査 及び放射線

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放射線の康影に関する中学生の意識調査 及び放射線
放射線の健康影響に関する中学生の意識調査
及び放射線に関する教育プログラムの開発
1 はじめに
専 攻
人間発達教育
コース
学校心理・発達健康教育
学籍番号
M11030J
氏 名
小池 理平
【質問項目】 rマスメディアは放射線による
福島第一原子力発電所事故(以下原発事故と
影響を問題ないと報道していますが,あなたは
する)後,放射線の健康影響が指摘され,様々
それぞれの項目についてどう思いますか」とし,
な不安が高まっている。一方,平成24年度から
それぞれr白身の健康被害(以下健康被害)」r食
中学校理科において放射線に関する教育が,エ
品製品の汚染(以下食品製品汚染)」「自身の周
ネルギー教育の視点で実施されることとなった。
りの環境汚染(以下環境汚染)」について4件法
学校教育は科学的根拠に基づいた信頼できる情
で調査した。また同様の内容で「中学生からみ
報を子どもたちが選択できるカを身につけるこ
た周りの大人の意識」についても調査した。さ
とを目的とするものである。本研究では,中学
らに各校の放射線に関する対策・教育の実施状
生および中学生からみた周りの大人(主に保護
況についても調査した。また正しい放射線の情
者)が放射線による健康影響についてどう思っ
報を得る際に活用するメディアとその信用度も
ているかを調査するとともに,それらの結果を
調査した。
踏まえ,放射線に関する教育プログラムを開発,
【分析方法】 健康被害・食品製品汚染・環境
実践し,今後の中学校における放射線に関する
汚染の項目を地域間でλ2検定により比較をし
教育を検討することを目的とした。
た。下位検定は残差分析を行い,有意水準は5%
2方法
未満とした。また各質間項目のクロス集計し,
研究1中学生の放射線に関する意識調査
残差分析を行った。
【調査期間】 2012年1月∼6月
【調査対象】 中学生1,2,3年生
研究2放射線に関する教育プログラムの開発
【プログラム開発・実践・検討】 研究1にて
首都圏A地区,近畿B地区・C地区・D地区,
判明した中学生の不安や心配を解消するため健
九州E地区・東海F地区の調査協力の承諾が得
康教育の視点からの教育プログラムを開発し,
られた中学校の1年生・2年生・3年生を対象
介入群にて実施した。対照群では学習指導要領
とし,質問調査紙法で行った。調査協力者数は
に削った授業を実施した。またそれぞれの群を
3500人であった。
比較検討した。
【調査地区の特徴】近畿B地区は近畿C地区・
【調査期間】 2012年10月∼12月
D地区と比べ原子力発電所に比較的近い場所に
【調査対象】 プログラム介入群・対照群
位置しており,近畿C地区は近畿D地区と比べ
各群それぞれ60名,136名の中学3年生。
都市部に位置している。
【質問項目】 放射線に関する「安全性」r危
険性」「利用」「報道」「健康影響」「興味関心」
「食品汚染」r知識」「原子力発電」についての
15項目を5件法で調査した。
【分析方法】 作為抽出の準実験デザインを採
介入群においては介入前後においてr安全性」
「危険性」「利用」「報道」「健康影響」「興味関
心」r食品汚染」r知識」の項目において放射線
への不安が有意に軽減した。対照群ではr安全
用したため,事前調査及び事後調査の結果ごと
性」「利用」「興味関心」「健康影響」で放射線へ
に,群間でMam−WhitneyのU検定を,授業の事
の不安が有意に軽減した。しかしどちらの群に
前事後の効果を見るために各群の事前事後の
おいても「原子力発電」に有意な差はなかった。
Wi1cox㎝の符号付き順位検定をそれぞれ行っ
4考察
た。
研究1
3結果
首都圏A地区・近畿D地区では,他の地区と
研究1【意識調査の結果】
比べ「心配していない」生徒の書11合が多く,生
原発事故により生徒自身の意識は,各地域,
徒の日に見える内容で放射線対策,または放射
健康被害,食品製品汚染,環境汚染について「心
線に関する教育が,多くの場面で実施されてい
配している」及びrどちらかといえば心配して
た。齋藤(2004)によれば「放射線の正しい理解
いる」を含めると高い割合を示した。その中で,
が進むと条件付きで安全であると変化する」と
首都圏A地区,近畿D地区が他の地区と比べ「健
述べている。このことから学校教育における放
康被害」「食品製品汚染」「環境汚染」において
射線に関する教育の重要性が示唆された。
「心配していない」生徒の割合が多かった。こ
研究2
の「心配していない」割合の多い首都圏A地区・
放射線に関する授業を実施することにより不
近畿D地区と「心配している」割合の多い近畿
安の軽減に効果があった。これは齋藤(2004)の
B地区の傾向は,中学生が感じている周りの大
結果と重なるものである。また介入群では対照
人の意識でも同様の傾向を示した。
群より不安低減がより大きく,食品汚染などの
また中学生は,自分たちの周りの大人の方が
身近な不安を教材として挙げた介入群の有効性
自分たちより放射能汚染全般を「心配している」
が示唆された。加えて条件付きで安全であると
と感じている傾向がすべての地区で見られた。
いう意識まで高まった。学習指導要領に削った
さらに中学生自身及び中学生が感じた周りの大
内容だけでも不安の低減が認められるが,本プ
人の「健康被害」「食品製品汚染」「環境汚染」
ログラムのような放射線に関する教育を実施す
を心配している生徒はすべての項目で心配して
ることにより,より不安の低減につながり,合
いる傾向があり,逆に心配していない生徒はす
理的な判断を行うために必要な正しい知識を得
べての項目で心配していない傾向があった。ま
ることが出来るようになったと考える。
た各項目の相関は強い相関があった。
なお,本研究は平成23,24年度兵庫教育大学
【各校の放射線に関する対策・教育状況】
現職教員のための研究経費助成をいただき実施
首都圏A地区,近畿D地区で他の地区より多
しました。関係者の皆様に感謝いたします。
くの場面で実施されていた。
主任指導教員 鬼頭英明
研究2【プログラム介入群・対照群の結果】
指導教員 鬼頭英明
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