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ヒトと動物の接点におけるインフルエンザ:5月1日更新
ヒトと動物の接点におけるインフルエンザ Influenza at the human-animal interface Summary and assessment as of 1 May 2015 (仮訳)鹿児島大学名誉教授 岡本嘉六 鳥インフルエンザ A(H5)ウイルスによるヒト感染 2003 年から 2015 年 5 月 1 日の間に、840 名の鳥インフルエンザ A(H5N1) ウイルスの感染が検査で確認された症例が 16 ヶ国から WHO へ公式に報告さ れている。これらの症例の中で 447 名が死亡している。 2015 年 3 月 31 日の WHO インフルエンザ更新以降、1 名の死亡を含む 14 名の鳥インフルエンザ A(H5N1)ウイルスの感染が新たに検査で確認された症 例が、エジプト(13 名)と中国(1 名)から WHO に報告された。 エジプトから報告された 13 名の A(H5N1)ウイルスの感染症例の内、9 名は 3 月に、残りは 4 月に発症した。エジプトの 8 つの行政区から症例が報告された (附属書 1 の表を参照)。これらの 13 名の年齢は 3 歳~58 歳の範囲で、中央値 は 31 歳、10 歳未満が 23%を占めた。男性よりも女性が若干多かった。1 名の みが致命的で、残りは回復して退院した。全ての症例が家禽への曝露歴を持っ ており、入院して抗ウイルス薬の治療を受けた。 全てのインフルエンザウイルスは、時間をかけて進化しており、暫定的検査 ではエジプトで患者と動物から分離された限られた数のウイルス株に、これま でに循環していた株と比較して大きな遺伝的変化を検出しなかったが、さらに 詳細な解析が進行中である。 過去 5 ヶ月と比べて、前回のリスク査定以降エジプトによって報告された鳥 インフルエンザ A(H5N1)感染が検査で確認された数は減少した。先月のヒト症 例数の減少は現在のところ不明確である。それは、家禽での発生の減少、リス クに対する公衆衛生学的警戒の高まり、季節的要因などが複合的に影響してい る。死亡割合は、他の国々に比べてエジプトは一貫して低く、とくに子供にお いて顕著である。 中国は雲南省から 1 名の鳥インフルエンザ A(H5N1) ウイルス感染を報告し たが、雲南省では先月 2 名が検出されている。この症例は、発症前に家禽への 暴露があり、既に回復している。 OIE が受取った報告によると、インフルエンザ A(H5N1)、A(H5N2)、 A(H5N3)、A(H5N6)および A(H5N8)など様々なインフルエンザ A(H5)亜型が、 西アフリカ、アジア、ヨーロッパおよび北米の鳥で検出されている。これらの インフルエンザ A(H5)ウイルスはヒトに感染して病気を起し得るが、これまで のところ、A(H5N1)と A(H5N6) ウイルスを除いて、その他の A(H5)亜型のヒ ト感染は報告されていない。 鳥インフルエンザ A(H5)ウイルスの全体的な公衆衛生学的リスク査定:報告 されたヒト症例は散発的で、そのウイルスはこれらの国の家禽に定着している 1 ことが知られている。家禽において鳥インフルエンザウイルスが循環している 時には常に、家禽または汚染された環境に曝された人々における散発的な感染 と小規模なクラスターが発生し得る。したがって、さらなるヒト症例の発生は 想定されない。 動物からのヒト感染の増加が過去数ヶ月間にエジプトで報告されているが、 これらのインフルエンザ A(H5)ウイルスはヒトの間で容易に伝播するとは現在 思われない。したがって、これらのウイルスが地域社会で広がるリスクは低く、 リスク査定は変わっていない。 ヒト感染のリスク要因および軽症例の潜在的役割を理解するためにはさら なる研究が必要である。動物からヒトへのこのウイルスの伝播の微妙な変化が 現在の状況に役割を果たしている可能性があるかどうかを理解するためには、 動物とヒトから採れたウイルスのさらなる解析が必要とされている。 2015 年 3 月におけるエジプトについての合同高レベル委員会の声明は、下 記のリンクにある。 http://www.emro.who.int/egy/egypt-news/upsurge-h5n1-human-poultry-c ases-may-2015.html 図 1.国および発症月別の報告に基づく鳥インフルエンザ A(H5N1)症例の疫学 的曲線、2015 年 5 月 4 日現在 鳥インフルエンザ A(H5)発生の急速な広がりと激しさに関して、最近まで動 物においてこの病気が経験なかった特別な分野は、公衆衛生部門の警戒の強化 が必要になっている。重要な公衆衛生の意義を持ち得るウイルスの伝播力と病 2 原性の変化が発生している場合、ヒト感染を初期段階で検出するため発生動向 調査を強化しなければならない。 その他の非季節性インフルエンザウイルスによるヒト感染 中国における鳥インフルエンザ A(H7N9)ウイルスのヒト感染:少なくとも 261 名の死亡を含め、検査で確認された鳥インフルエンザ A(H7N9)ウイルスに よるヒト感染の合計 657 名が WHO に報告されている。最近報告されたヒト症 例の大半は、感染した生きている家禽または生きている家禽が販売されている 市場を含む汚染環境への暴露に関連付けられている。インフルエンザ A(H7N9) ウイルスは、ヒト症例が発生している地域において家禽と環境から検出され続 けている。患者から最近分離されたウイルスには、以前分離したウイルスと比 べて大きな遺伝的懸架が見られない。最新情報は、これらのウイルスがヒトか らヒトへ容易に伝播しないことを示唆している。 鳥インフルエンザ A(H7N9)ウイルスの包括的な公衆衛生上のリスクは、 2015 年 2 月 23 日以降変化がない。 http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/influenza_h7n9/ Risk_Assessment/en/ 最新の情報は次の更新情報を参照。 http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/avian_influenza/ archive/en/ および http://www.who.int/influenza/vaccines/virus/201502_zoonotic_vaccinevir usupdate.pdf?ua=1 リンク: WHO Human-Animal Interface web page Cumulative Number of Confirmed Human Cases of Avian Influenza A/(H5N1) Reported to WHO Avian Influenza A(H7N9) Information WHO Avian Influenza Food Safety Issues World Organisation of Animal Health (OIE) web page: Web portal on Avian Influenza Food and Agriculture Organization of the UN (FAO) webpage: Avian Influenza OFFLU 3 図 2.鳥インフルエンザ A(H7N9)症例の発症した週別による疫学的曲線 附属書 表 1:検査で確認された鳥インフルエンザ A(H7N9)ウイルス感染(2015 年 4 月 1 日~5 月 1 日) 行政区 年齢 性 発症日 入院日 オセルタミ ビル投与日 転帰と期日 曝露 3/27 3/28 3/23 3/31 3/30 3/30 4/2 4/2 4/4 4/10 4/4 4/5 4/8 退院 4/4 退院 4/4 退院 4/6 退院 4/12 退院 4/8 退院 4/14 退院 4/8 退院 4/18 退院 4/18 退院 4/27 退院 4/20 死亡 4/8 退院 4/20 家禽 家禽 家禽 家禽 家禽 家禽 家禽 家禽 家禽 家禽 家禽 家禽 家禽 回復 NA エジプト Sharkia Sharkia Kafr el Sheikh Qalyoubia Sohag Sohag Giza Kafr el Sheikh Qena Damietta Beheira Beheira Beheira 雲南省 22 42 30 32 58 16 45 3 43 3 3 43 31 F F F F M F M F M M F M F 3/23 3/21 3/20 3/26 3/26 3/25 3/27 4/1 3/29 4/4 4/2 3/30 4/6 3/27 3/28 3/23 3/30 3/30 3/30 4/2 4/2 4/4 4/10 4/4 4/5 4/12 6 中国 M 3/23 NA NA NA:適用除外または情報なし 4